説明

無線通信装置、および無線通信制御方法

【課題】周辺環境の通信状況に応じてエラー発生率が最小となるアンテナを迅速に選択する無線通信装置および無線通信制御方法を提供すること。
【解決手段】探索手段が、第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索し、探索されるアクセスポイントごとに、第1の無線通信に先立って、第1検出手段が、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する。検出されるエラー発生率は記憶手段に記憶される。一方、報知手段は、第2の無線通信による通信状況を監視してアクセスポイントごとの通信の有無を報知する。報知に応じて第1選択手段が、記憶手段よりエラー発生率が最小となる第1アンテナを第1の無線通信の通信用として選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、および無線通信制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、混信中や外来ノイズの発生時、すなわち受信電界強度とビットエラー率の相関関係が崩れた場合、受信データのビットエラー率を加味してアンテナの切り替えを行う。すなわち、アンテナ切換判定手段は、受信電界強度の瞬時値がしきい値以下となった場合、ビットエラー率が低い場合はアンテナ切換信号を出力せず、ビットエラー率が高い場合は、アンテナ切換信号を送出し、アンテナを切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−191305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、周辺の電波状況の変化を検出するごとに、受信電界強度の検出、ビット誤りの検出、およびビットエラー率の測定を行わなければならない。こうした検出や測定には所定の時間を要する。このため、電波状況が変化したことにより良好な通信品質が得られるアンテナが変わってしまう場合、電波状況の変化に応じてアンテナを切り換えるとしても、アンテナが切り換わるまでには所定の時間が必要となる。アンテナが切り換わるまでの間は通信品質の十分でないアンテナで通信が継続することとなり、通信品質の悪化を招来してしまうおそれがある。特に、電波状況が随時変化する環境においては、電波状況の変化の度に一時的に通信環境が悪化してしまうこととなる。電波状況の変化の頻度によっては、良好な通信が確保できない場合も考えられ、問題である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、周辺環境にある無線通信用のアクセスポイントに応じたアンテナごとの通信状況をあらかじめ把握しておくことにより、通信状況の変化の際には、アクセスポイントの使用の有無を検出することで好適なアンテナを選択することが可能な無線通信装置、および無線通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的を達成するために請求項1に記載の無線通信装置は、第1の無線通信を行うための複数の第1アンテナと、第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索する探索手段と、第1の無線通信に先立って、探索手段により探索されるアクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる第2の無線通信の有無に応じて、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する第1検出手段と、第1検出手段により得られるエラー発生率を記憶する記憶手段と、第2の無線通信による通信状況を監視し、アクセスポイントごとに通信の有無を報知する報知手段と、報知手段に応じて、記憶手段よりエラー発生率が最小となる第1アンテナを第1の無線通信の通信用として選択する第1選択手段とを備えて構成されている。
【0007】
請求項1に記載の無線通信装置では、探索手段が、第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索する。探索されるアクセスポイントごとに、第1の無線通信に先立って、第1検出手段が、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する。この検出はアクセスポイントによる第2の無線通信の有無に応じて行われる。検出されるエラー発生率は記憶手段に記憶される。一方、報知手段は、第2の無線通信による通信状況を監視してアクセスポイントごとの通信の有無を報知する。報知に応じて第1選択手段が、記憶手段よりエラー発生率が最小となる第1アンテナを第1の無線通信の通信用として選択する。尚、第2の無線通信は、第1の無線通信とは異なる通信である。
【0008】
また、請求項2に記載の無線通信装置は、請求項1に記載の無線通信装置において、第1検出手段は、第2の無線通信が何れのアクセスポイントにおいても非通信の場合に、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する第2検出手段を含み、第2検出手段により検出されるエラー発生率が最小となる第1アンテナを選択する第2選択手段を備えて構成されており、第2選択手段により選択される第1アンテナを記憶手段に記憶する。
【0009】
請求項2に記載の無線通信装置では、第1検出手段に含まれる第2検出手段は、第2の無線通信が何れのアクセスポイントにおいても非通信の場合に、第1の無線通信によるエラー発生率を第1アンテナごとに検出する。第2選択手段は、第2検出手段により検出されるエラー発生率が最小となる第1アンテナを選択する。第2選択手段により選択される第1アンテナは記憶手段に記憶される。
【0010】
また、請求項3に記載の無線通信装置は、請求項1または2に記載の無線通信装置において、第1検出手段は、アクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる第2の無線通信の通信時、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する第3検出手段を含み、アクセスポイントごとに、第3検出手段により検出されるエラー発生率が最小となる第1アンテナを選択する第3選択手段を備えて構成されており、アクセスポイントごとに、第3選択手段により選択される第1アンテナを記憶手段に記憶する。
【0011】
請求項3に記載の無線通信装置では、第1検出手段に含まれる第3検出手段は、アクセスポイントによる第2の無線通信の通信時、第1の無線通信によるエラー発生率をアクセスポイントごと第1アンテナごとに検出する。第3選択手段は、アクセスポイントごとに、第3検出手段により検出されるエラー発生率が最小となる第1アンテナを選択する。アクセスポイントごとに、第3選択手段により選択される第1アンテナは記憶手段に記憶される。
【0012】
また、請求項4に記載の無線通信装置は、請求項1乃至3の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置において、第2選択手段により選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナが第3選択手段により選択されるアクセスポイントについて、第1フラグを設定する第1フラグ設定手段を備えて構成されている。
【0013】
請求項4に記載の無線通信装置では、第2選択手段と第3選択手段とで選択される第1アンテナが異なる場合、第1フラグ設定手段は、第3選択手段により選択されるアクセスポイントに第1フラグを設定する。
【0014】
また、請求項5に記載の無線通信装置は、請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置において、エラー発生率が第1フラグの設定されるアクセスポイントの通信時におけるエラー発生率より大きな値を含むアクセスポイントについて、第2フラグを設定する第2フラグ設定手段を備えて構成されている。
【0015】
請求項5に記載の無線通信装置では、第2フラグ設定手段により、エラー発生率が第1フラグの設定されるアクセスポイントの通信時におけるエラー発生率より大きな値を含むアクセスポイントに第2フラグを設定する。
【0016】
また、請求項6に記載の無線通信装置は、請求項4または5に記載の無線通信装置において、報知手段により、第1または第2フラグの設定されているアクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、第1選択手段は、通信中のアクセスポイントについて記憶手段に記憶されているエラー発生率から第1アンテナごとに最大値を抽出し、抽出されたエラー発生率のうち最小値となる第1アンテナを選択する。
【0017】
また、請求項7に記載の無線通信装置は、請求項6に記載の無線通信装置において、複数の第1アンテナが2つである場合、報知手段により、第2フラグの設定されているアクセスポイントを含まず第1フラグの設定されているアクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、第1選択手段は、第1フラグの設定されているアクセスポイントについて第3選択手段により選択され記憶手段に記憶されている第1アンテナを選択する。
【0018】
また、請求項8に記載の無線通信装置は、請求項6に記載の無線通信装置において、複数の第1アンテナが2つである場合、報知手段により、第2フラグの設定されているアクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、第1選択手段は、第2フラグの設定されているアクセスポイントについて第3選択手段により選択され記憶手段に記憶されている第1アンテナを選択する。
【0019】
また、請求項9に記載の無線通信装置は、請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置において、第2の無線通信を行うための第2アンテナを備えて構成されており、探索手段、第1検出手段、およびアクセスポイントによる第2の無線通信の有無は、第2アンテナを介して行われる。
【0020】
請求項9に記載の無線通信装置では、第2アンテナを備えて第2の無線通信が行われる。第2アンテナを介して、探索手段、第1検出手段、およびアクセスポイントによる第2の無線通信の有無の確認が行われる。
【0021】
また、請求項10に記載の無線通信装置は、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置において、第1の無線通信は連続的な応答性が必要な音声通信であり、第2の無線通信は間欠的な応答性を有するデータ通信である。
【0022】
また、請求項11に記載の無線通信制御方法は、第1の無線通信を行うための複数の第1アンテナを備える無線通信装置が実行する無線通信制御方法であって、第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索するステップと、第1の無線通信に先立って、探索により探索されるアクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる第2の無線通信の有無に応じて、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出するステップと、エラー発生率の検出により得られるエラー発生率を記憶するステップと、第2の無線通信による通信状況を監視し、アクセスポイントごとに通信の有無を報知するステップと、報知に応じて、記憶されているエラー発生率が最小となる第1アンテナを第1の無線通信の通信用として選択するステップとを備えている。
【0023】
請求項11に記載の無線通信制御方法では、第1の無線通信を行うための複数の第1アンテナを備える無線通信装置が実行する無線通信制御方法に関するものである。第2の無線通信を行うアクセスポイントが探索される。探索されるアクセスポイントごとに、第1の無線通信に先立って、第1アンテナごとの第1の無線通信によるエラー発生率を検出する。この検出はアクセスポイントによる第2の無線通信の有無に応じて行われる。検出されるエラー発生率は記憶される。一方、第2の無線通信による通信状況は監視され、アクセスポイントごとの通信の有無が報知される。報知に応じて、記憶されているエラー発生率が最小となる第1アンテナを第1の無線通信の通信用として選択する。尚、第2の無線通信は、第1の無線通信とは異なる通信である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の無線通信装置、および請求項11に記載の無線通信方法によれば、複数の第1アンテナの何れかを使用して第1の無線通信を行うことに先立って、第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索する。そして、第1の無線通信におけるエラー発生率を第1アンテナごとに検出する。この検出はアクセスポイントごとに第2の無線通信の有無に応じて行われる。こうして得られる検出結果は記憶手段に記憶しておくことができる。第1の無線通信を行う際、記憶手段に記憶されている検出結果を参照することで、第2の無線通信を行うアクセスポイントに応じて、エラー発生率の最小となる第1アンテナを選択することができる。記憶手段に記憶されている検出結果を参照すれば好適な第1アンテナを選択することができ、第1の無線通信の実行中に第2の無線通信を行うアクセスポイントが変化しても、その変化に遅れることなく、エラー発生率が最小となる第1アンテナを選択して、良好な第1の無線通信を継続することができる。
【0025】
請求項2に記載の無線通信装置によれば、アクセスポイントによる第2の無線通信が行われていない通信状況において、第1の無線通信でのエラー発生率を第1アンテナごとに検出して、その最小値を有する第1アンテナを選択して記憶手段に記憶しておくことができる。第2の無線通信の非通信時に第1の無線通信に使用する第1アンテナを、第1の無線通信に先立って特定しておくことができる。
【0026】
請求項3に記載の無線通信装置によれば、アクセスポイントごとに第2の無線通信が行われる場合の第1の無線通信でのエラー発生率を第1アンテナごとに検出して、アクセスポイントごとにその最小値を有する第1アンテナを選択して記憶手段に記憶しておくことができる。第2の無線通信を行うアクセスポイントごとに、第1の無線通信に好適な第1アンテナを、第1の無線通信に先立って特定しておくことができる。
【0027】
請求項4に記載の無線通信装置によれば、第2の無線通信が非通信の場合に第2選択手段により最小のエラー発生率であるとして選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナが、第2の無線通信が通信される場合に最小のエラー発生率であるとして選択されるアクセスポイントを、第1フラグで識別することができる。
【0028】
請求項5に記載の無線通信装置によれば、第1フラグが付与されるアクセスポイントの通信時に検出されるエラー発生率より大きなエラー発生率が検出されるアクセスポイントを、第2フラグで識別することができる。
【0029】
請求項6に記載の無線通信装置によれば、第1フラグが付与されているアクセスポイントがない場合には、通信中のアクセスポイントについて最小のエラー発生率となる第1アンテナは、アクセスポイントが非通信の場合に最小のエラー発生率となる第1アンテナと同じである。従って、アクセスポイントの通信中に選択する第1アンテナはアクセスポイントの非通信の際と同じとすればよい。
【0030】
これに対して、第1フラグが付与されているアクセスポイントについては、アクセスポイントの非通信と通信とで、最小のエラー発生率となる第1アンテナが異なる。このため、第1フラグが付与されているアクセスポイントを含んで通信中のアクセスポイントに対して、第1アンテナごとにエラー発生率の最大値を抽出し、最大値の中で最小のエラー発生率を有する第1アンテナを選択すれば、エラー発生率の最小な第1アンテナを選択することができる。
【0031】
また、第2フラグが付与されているアクセスポイントが通信中である場合も同様である。第2フラグが付与されているアクセスポイントを含んで通信中のアクセスポイントに対して、第1アンテナごとにエラー発生率の最大値を抽出し、最大値の中で最小のエラー発生率を有する第1アンテナを選択すれば、エラー発生率の最小な第1アンテナを選択することができる。この場合、第1フラグが付与されているアクセスポイントが通信中あるか否かには依存しない。第2フラグのアクセスポイントでのエラー発生率は、第1フラグのアクセスポイントについて非通信時のエラー発生率より小さなエラー発生率を有する第1アンテナにおいて、第1フラグのアクセスポイントでのエラー発生率より大きいからである。これにより、第1フラグのアクセスポイントには依存せず第2フラグのアクセスポイントが有するエラー発生率で制限されるからである。
【0032】
請求項7に記載の無線通信装置によれば、第1フラグが付与されているアクセスポイントについては、アクセスポイントの非通信時に選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナの方がエラー発生率は小さい。ここで、第2フラグが付与されているアクセスポイントを含まないため、第1フラグが付与されていない通信中のアクセスポイントについては、非通信時に選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナの方がエラー発生率は大きくはなる。しかしながら、第1フラグの付与されているアクセスポイントとの比較では、第1フラグが付与されていないアクセスポイントの方がエラー発生率は小さい。以上により、第1フラグの付与されているアクセスポイントが通信時に選択される第1アンテナ、すなわち、アクセスポイントの非通信時に選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナ、を選択することで最小のエラー発生率となる第1アンテナを選択することができる。
【0033】
請求項8に記載の無線通信装置によれば、第2フラグが付与されているアクセスポイントについては、アクセスポイントの非通信時に選択される第1アンテナの方がエラー発生率は小さい。ここで、第1フラグが付与されているアクセスポイントも通信を行っている場合、第1フラグが付与されているアクセスポイントについては、非通信時に選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナの方がエラー発生率は小さくはなる。しかしながら、非通信時に選択される第1アンテナとは異なる第1アンテナで比較した場合、第1フラグの付与されているアクセスポイントより第2フラグが付与されているアクセスポイントの方がエラー発生率は大きい。以上により、第2フラグの付与されているアクセスポイントが通信時に選択される第1アンテナ、すなわち、アクセスポイントの非通信時に選択される第1アンテナ、を選択することで最小のエラー発生率となる第1アンテナを選択することができる。
【0034】
請求項9に記載の無線通信装置によれば、無線通信装置は第2の無線通信用である第2アンテナを備えているので、この第2アンテナを介して、探索手段、第1検出手段、およびアクセスポイントによる第2の無線通信の有無を行うことができる。
【0035】
請求項10に記載の無線通信装置によれば、間欠的な応答性を有するデータ通信であることにより通信と非通信とが時間と共に切り替わる第2の無線通信に応じて、エラー発生率を抑制するように第1アンテナが選択されて第1の無線通信が行われる。これにより、連続的な応答性が必要となる音声通信である第1の無線通信において、第2の無線通信として行われるデータ通信の間欠性に起因して通信品質が大きく変動することが抑制される。均質な音声通信を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】無線通信装置の一例を示す外観図である。
【図2】無線通信装置の一例を示すシステム構成図である。
【図3】周辺環境を例示する図である。
【図4】周辺環境におけるWLAN通信の有無によるDCL用アンテナでのエラー発生率を例示する図である。
【図5】周辺環境に存在するWLAN通信用のアクセスポイント(AP)での通信状況に応じたDCL用アンテナのエラー発生率の情報を取得するフロー図である。
【図6】図5のフローにより取得された情報テーブルの一例である。
【図7】DCLでの通信時、周辺環境におけるWLAN通信の有無に応じてアンテナを選択するフロー図の前半部である。
【図8】DCLでの通信時、周辺環境におけるWLAN通信の有無に応じてアンテナを選択するフロー図の後半部である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本願に係る実施形態として例示される多機能周辺装置(以下、MFP(Multi Function Peripheral)と称する)1と、音声通話を行う子機2との外観構成を示す斜視図である。
【0038】
MFP1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能に加え、無線LAN(以下、WLAN(Wireless Local Area Network)と称する)機能、デジタルコードレス電話(以下、DCL(Digital CordLess)と称する)機能とを備えて構成されている。ここで、WLAN機能は、MFP1の周辺に配置されているアクセスポイント(以下、AP(Access Point)と称する)との間で、またDCL機能は、MFP1の本体と子機2との間で、無線通信を行い、それぞれ、データ通信、および音声通話を行う。
【0039】
こうした機能を有するMFP1では、データ通信に使用される無線通信と音声通話に使用される無線通信3とで通信方式が異なっていても、各々の無線通信で使用される周波数帯域が重複している場合がある。
【0040】
たとえば、WLAN通信およびDCL通信の各通信方式は、何れも2.4GHzから2.48GHzまでの周波数帯域(2.4GHz帯)を使用している。そして、各々の通信方式において、周波数帯域内を分割したチャネルが設定されている。なお、各々の通信方式におけるチャネルを区分するために、以下、WLAN通信で使用されるチャネルをWLANチャネル(WLAN CH)、DCL通信で使用されるチャネルをDCLチャネル(DCL CH)と称する。
【0041】
WLAN通信では、2.4GHzから2.48GHzまでの周波数帯域が13または14のWLANチャネル(WLAN CH)に分けられている。WLAN通信は、13または14のWLANチャネル(WLAN CH)のうち1つのWLANチャネル(WLAN CH)を継続して使用しながら、その1つのWLANチャネル(WLAN CH)に対して無線通信を行う。
【0042】
一方、DCL通信では、2.4GHzから2.48GHzまでの周波数帯域が89のDCLチャネル(DCL CH)に分けられている。そして、ホッピング周期と称される所定の周期(例えば、1/100秒)ごとに、89あるDCLチャネル(DCL CH)のうち予め選択された例えば45のDCLチャネル(DCL CH)の間で、使用されるDCLチャネル(DCL CH)が変更(ホッピング)される周波数ホッピング方式により無線通信3が行われる。
【0043】
MFP1は、同一の周波数帯域を使用するWLAN通信とDCL通信との間で、互いの電波干渉を抑制しながら、WLAN通信とDCL通信との両機能を良好に実行可能にする。特に、DCL通信における無線通信3での通信品質を確保して、音声通話における音途切れや聞き取り不能な音質悪化などが抑制された無線通信3を確保するものである。
【0044】
次に、図2を参照して、MFP1とその周辺のシステム構成を説明する。
【0045】
MFP1は、入出力ポート20を介して、WLAN通信制御回路11、DCL通信制御回路12、音声処理LSI14、NCU15、CPU16、メモリ17、操作キー18、および表示パネル19が接続されている。
【0046】
WLAN通信制御回路11は、WLAN用アンテナ11aを備えている。WLAN用アンテナ11aは、MFP1から外方に突出して備えられている。尚、WLAN用アンテナ11aは、MFP1の外観斜視図(図1)では不図示である。WLAN用アンテナ11aは、APX(X=31)(図3、参照)が備えるアンテナxaとの間で無線通信4を行う。ここで、SSID:x(x=A)(図3、参照)とは、APXを識別するための識別番号(ID)である。また、図2においては図示されていないが、PCとの間で無線通信4を行う場合もある(図3、参照)。ここで、SSID:x(x=AまたはB)(図3、参照)とは、APxを識別するための識別番号(ID)である。
【0047】
WLAN通信制御回路11は、WLAN用アンテナ11aとアンテナxaとの間の無線通信4を介してAPxに接続され、LAN200との間で主にデータ通信を行う。無線通信4ではデジタル信号が伝送される。通信方式としては直接拡散方式が使用される。無線通信4は、2.4GHz帯の周波数帯域において、20MHzの幅を有するWLANチャネル(WLAN CH)が互いに一部の周波数域で重複しながら13または14チャネル設定されているうちの1チャネルで行われる。
【0048】
DCL通信制御回路12は、2つのDCL用アンテナ12a、12bを備えている。DCL用アンテナ12aは、MFP1から外方に突出して備えられている。尚、DCL用アンテナ12aは、MFP1の外観斜視図(図1)では不図示である。これに対してDCL用アンテナ12bは、MFP1に内蔵されている。DCL用アンテナ12aまたはDCL用アンテナ12bのいずれか一方が、子機2が備えるアンテナ2aとの間で無線通信3を行う。
【0049】
DCL通信制御回路12は、DCL用アンテナ12aまたは12bとアンテナ2aとの間の無線通信3を介して子機2との間で、音声通話を行う。無線通信3では音声信号がデジタル化して通信されデジタル信号が伝送される。通信方式としては周波数ホッピング方式が使用される。無線通信4と同じ周波数帯域である、2.4GHz帯において、1つのチャネルが0.90MHzの幅を有するDCLチャネル(DCL CH)が、89チャネル設けられており、その中から、45チャネルを順次使用しながら通信が行われる。子機2に備えられているDCL通信制御回路2bは、MFP1に備えられているDCL通信制御回路12に対応する機能を有しており、アンテナ2aを介してDCL用アンテナ12aまたは12bとの間で無線通信3を行う。
【0050】
送受話器13は、MFP1に備えられている。NCU15は、電話回線網100との音声信号の送受信を制御する。送受話器13、NCU15は、音声処理LSI14によりデータ処理される。
【0051】
CPU16は、MFP1の各機能を制御する。たとえば、周辺環境でのWLAN通信による電波状況に応じて、DCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER(Bit Error Rate))の情報を取得する処理(図5)、およびDCL通信時のWLAN通信の有無に応じたアンテナ選択の処理(図7、図8)を行う。メモリ17には、これらの処理(図5、図7、図8)のプログラムが格納されており、また、取得されたDCL用アンテナのエラー発生率(BER)の情報が情報テーブル(図6)として記憶される。CPU16は、その他、WLAN通信制御回路11、DCL通信制御回路12、音声処理LSI14、NCU15、メモリ17、操作キー18、および表示パネル19に関する各種の制御を行う。ここで、メモリ17は、揮発性あるいは不揮発性のメモリ、またはその両者を含んで構成することができる。更には、ハードディスクその他の記録媒体を含んで構成することができる。
【0052】
操作キー18は、MFP1の各機能を実行するためにMFP1に備えられているキーである。また、表示パネル19は、MFP1の各種機能情報を表示するために、MFP1に備えられている。
【0053】
MFP1は、CPU16の制御により、周辺環境でのWLAN通信による電波状況に応じて、各DCL用アンテナ12a、12bの無線通信3によるエラー発生率(BER)の情報を取得する。取得されたエラー発生率(BER)の情報は、情報テーブル(図6)としてメモリ17に記憶されており、その後のDCL通信時に、WLAN通信の有無に応じて、DCL用アンテナ12a、12bのうち無線通信3におけるエラー発生率(BER)が小さいアンテナを選択して無線通信3を行う。
【0054】
図3は、MFP1の周辺環境を示す一例である。MFP1の周辺には、MFP1とWLAN通信を行うAP31およびPC32が存在する。AP31の識別番号(ID)は、SSID:Aである。更に、AP33乃至35が存在する。識別番号(ID)は、SSID:B、C、Dである。AP33乃至35は、MFP1とは異なるネットワークとの間で無線通信を行い、MFP1とはデータの伝送はしない。
【0055】
MFP1においてDCL通信を行う際、DCL通信におけるエラー発生率(BER)は、無線通信3に使用するDCL用アンテナ12a、12bによって異なる。これを図4に示す。図4では、WLAN通信による無線通信が行われていない場合(I)には、MFP1の外部に突出しているDCL用アンテナ12aが、内蔵のDCL用アンテナ12bに比してエラー発生率(BER)が小さい。周辺環境における電波干渉がない場合には、外部に突出しているDCL用アンテナ12aの方が受信感度が良いからである。逆に、WLAN通信による無線通信が行われている場合(II)には、内蔵のDCL用アンテナ12bが、MFP1の外部に突出しているDCL用アンテナ12aに比してエラー発生率(BER)が小さくなる。DCL用アンテナ12aに近接してAP34が配置されており、AP34によるWLAN通信が通信状態にある場合、外部に突出しているDCL用アンテナ12aへの電波干渉が、DCL用アンテナ12bへの電波干渉より大きいからである。
【0056】
尚、WLAN通信による無線通信とは、MFP1による無線通信4の他、MFP1とはデータの伝送を行わないAP33乃至35による無線通信を含む。
【0057】
以上説明したように、MFP1では、周辺環境でのWLAN通信による電波状況、具体的には周辺環境に配置されているAP31乃至35の通信状況によって、DCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER)の大小関係が逆転する場合がある。従って、周辺環境に配置されているAP31乃至35の通信状況に応じて、DCL用アンテナ12a、12bのうちエラー発生率(BER)の小さいアンテナを選択することで、周辺環境におけるWLAN通信の有無に関わらず、DCL通信での無線通信3を良好に維持することができる。以下の説明では、DCL通信におけるDCL用アンテナ12a、12bの選択の手順を説明する。
【0058】
図5に記載のフローでは、周辺環境に存在するWLAN通信用のAPでの通信状況に応じたDCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER)の情報を取得する。取得した情報は、情報テーブル(図6)としてメモリ17に記憶しておく。この処理は、DCL通信に先立って行うものであり、DCL通信が開始される前に行う。あるいはDCL通信中に定期的に実行してもよい。この場合、メモリ17に記憶されている情報テーブル(図6)を随時更新することができる。
【0059】
先ず、周辺環境において、WLAN通信が不使用である場合の各DCL用アンテナ12a、12bでのDCL通信によるエラー発生率(BER)を取得する(S1)。そして、取得された各DCL用アンテナ12a、12bでのエラー発生率(BER)から、WLAN通信の不使用時に使用するDCL用アンテナを選択する(S2)。
【0060】
次に、周辺環境に存在するAPを探索し、確認されるAPの個数「N」(図3の場合、N=5)を検出する(S3)。この処理では、MFP1とは異なるネットワークに属するAPも対象となる。WLAN通信では、ネットワークが異なりデータ伝送ができない場合でも、お互いの識別番号(ID)等を交換して通信相手の存在を確認することは可能である。処理(S3)では、この機能を利用する。
【0061】
その後、変数nを「1」に初期化し(S4)、変数nが、処理(S3)で取得したAPの個数「N」に至るまで、以下の処理を継続する(S5)。変数nが「N」に至らない場合には(S5:N)、識別番号(ID)n(以下、SSID:nと称する)のAPと通信を行いながら、各DCL用アンテナ12a、12bでのエラー発生率(BER)を測定する(S6)。そして、SSID:nのAPが通信中である場合に、エラー発生率(BER)の最小となるDCL用アンテナを選択する(S7)。処理(S5)乃至(S7)は、変数nを「1」ずつ増加させながら繰り返して行われる(S8)。そして、変数nが「N」に至った場合には(S5:Y)、先に取得した、WLAN通信の不使用時、および各APの通信時の各々について、各DCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER)、およびAPごとに通信時に使用するアンテナを情報テーブル(図6)としてメモリ17に記憶する(S9)。更に、APの通信時に使用するアンテナがWLAN通信の不使用時に使用するアンテナと異なり、エラー発生率(BER)が小さくなる場合、当該APについて監視フラグ1を情報テーブルに付与してメモリ17に記憶する(S10)、また、監視フラグ1が付与されたAPにおけるDCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER)より、エラー発生率(BER)が大きなアンテナを有するAPについては、監視フラグ2を付与する(S11)。監視フラグ2を情報テーブルに付与してメモリ17に記憶する。
【0062】
図6は、図5のフローにより取得される情報テーブルの一例である。WLAN通信の不使用時を含め、AP31(SSID:A)乃至AP35(SSID:D)の各々について、エラー発生率(BER)、使用アンテナ、監視フラグで構成される情報テーブルを構成している。エラー発生率(BER)は、DCL用アンテナ12a、12bごとAPごとに記憶されている。図6での表記上、スラッシュ(/)の右側はエラー発生率(BER)の測定時に使用するビット数であり、左側はそのうちエラーが発生したビット数である。各APでは、WLAN通信が行われるとエラー発生率(BER)は大きくなる。また、AP34以外は、DCL用アンテナ12aに比してDCL用アンテナ12bのエラー発生率(BER)が大きくなっている。これは、DCL用アンテナ12aがMFP1の外部に突出したアンテナであり、通信の感度が良好であるためである。これに対して、AP34では、DCL用アンテナ12bに比してDCL用アンテナ12aのエラー発生率(BER)が大きくなっている。これは、AP34がDCL用アンテナ12aに近接しているためである。
【0063】
次に、図7、図8に記載のフローを説明する。DCL通信時に各APでのWLAN通信の有無に応じてDCL用アンテナ12a、12bから、DCL通信に使用するアンテナを選択する。図7、図8では、DCL通信による通話が開始されることにより起動し、WLAN通信の監視を行いながら好適なアンテナを選択する処理を例示している。図7が処理の前半部であり、図8が処理の後半部である。以下での説明は、右側のフローがDCL通信制御回路12で行われ、左側のフローがWLAN通信制御回路11で行われるものとする。
【0064】
DCL通信による通話が開始されると(図7:S21)、周辺環境にあるAPにおいてWLAN通信が行われているか否かを監視する命令が送出される(図7:S22)。WLAN通信制御回路11が監視命令を受けると(図7:S23)、その時点での監視フラグ1および2を付与されているAP(図6において、AP33、34)の通信状況をDCL通信制御回路12に通知する(図7:S24)。
【0065】
DCL通信制御回路12では、この通知を確認する(図7:S25)。確認により、監視フラグ2の付与されているAPが通信中であれば(図7:S26:Y)、処理(図7:S27)に移る。監視フラグ2の付与されているAPが通信中でなければ(図7:S26:N)、監視フラグ1の付与されているAPの通信状況に応じて処理を行う。通信中であれば(図7:S28:Y)、処理(図7:S29)に移る。通信中でなければ(図7:S28:N)、WLAN通信の不使用時のアンテナ(図6の場合は、DCL用アンテナ12a)を選択する(図7:S30)。
【0066】
処理(図7:S27)では、2本のDCL用アンテナ12a、12bのうち、情報テーブル(図6)から、監視フラグ2の付与されているAPにおいて使用アンテナとされているアンテナ(DCL用アンテナ12a)を選択する。監視フラグ2の付与されているAPが通信中である場合、監視フラグ1の付与されているAPが通信中であるか否かに関わらず、監視フラグ2の付与されているAPにおいて使用アンテナとされているアンテナ(DCL用アンテナ12a)が最小のエラー発生率(BER)を有することとなる。監視フラグ1の付与されているAPが通信中である場合に選択されるアンテナ(DCL用アンテナ12b)は、監視フラグ2の付与されているAPが通信中であることによりエラー発生率(BER)が大きくなってしまうからである。監視フラグ1の付与されていないAPにおいて使用アンテナとされているアンテナ、これは、監視フラグ2の付与されているAPにおいて使用アンテナとされているアンテナとおなじである。このアンテナ(DCL用アンテナ12a)が、エラー発生率(BER)が小さくなる。尚、この場合に選択されるアンテナは、WLAN通信の不使用時に選択されるアンテナである。
【0067】
処理(図7:S29)では、監視フラグ1の付与されているAPにおいて使用アンテナとされているアンテナ(DCL用アンテナ12b)を選択する。この場合は、監視フラグ2の付与されているAPは非通信であるので(図7:S26:N)、監視フラグ1の付与されているAPにおいて使用アンテナとされているアンテナ(DCL用アンテナ12b)の方がエラー発生率(BER)が小さくなるからである。
【0068】
図2では、DCL通信制御回路12では、2本のDCL用アンテナ12a、12bを備える場合について例示している。しかしながら、本願は、DCL用アンテナの本数に制限があるわけではない。3本以上のアンテナを備えて構成することも可能である。この場合、図5の処理は上記に説明した場合と同様に行われる。得られた情報も、アンテナの数が異なる以外は、図6の情報テーブルと同様にメモリ17に記憶される。
【0069】
一方、処理(図7:S27)および(図7:S29)は、共に同じ処理となる。以下に処理内容を示す。通信中のAPのうちエラー発生率(BER)が最大になるDCL用アンテナを選択候補から除外する。残りのアンテナに対して同じ処理を行い、順次、エラー発生率(BER)が大きなアンテナを除外していく。最後に残ったアンテナを選択する。これにより、通信中のAPにおいて、エラー発生率(BER)が最小となるアンテナが選択される。
【0070】
処理(図7:S27)、(図7:S29)、または(図7:S30)によりアンテナの選択が行われ、必要に応じてアンテナが切り替えられる。これにより、DCL通信は、音切れ等の音質悪化を最小限に抑制して通話が継続される。
【0071】
一方、WLAN通信制御回路11では、WLAN通信監視を終了する命令を受けたか否かを判断し(図8:S33)、WLAN通信監視終了の命令(図8:S32)を受けるまでは(図8:S33:N)、監視フラグ1、2の付与されているAPの通信状況の変化を監視する(図8:S34:N)。通信状況の変化を検出した場合には(図8:S34:Y)、DCL通信制御回路12に向けてAPの通信状況を通知する(図8:S35)。DCL通信制御回路12では、通話終了ではない場合(図8:S31:N)、APの通信状況の変化を待つ(図8:S36:N)。APの通信状況の変化の通知を受けると(図8:S36:Y)、処理(図7:S26)に戻りアンテナの選択を行う。
【0072】
一方、DCL通信制御回路12より、通話の終了が検出された際(図8:S31:Y)に発行されるWLAN通信監視終了の命令(図8:S32)を受けて(図8:S33:Y)、WLAN通信制御回路11は、WLAN通信監視の処理を終了する。
【0073】
以上、詳細に説明したように、本願の実施形態によれば、DCL通信の無線通信3に先立って、WLAN通信を行うAPごとに、DCL用アンテナ12a、12bのそれぞれについて、APの通信によるエラー発生率(BER)を検出して、情報テーブルとしてメモリ17に記憶しておく。この情報テーブルを使用して、DCL時に最適なアンテナを選択することができる。DCLでの無線通信3の実行中にAPの通信状況が変化しても、通信中のAPに応じて情報テーブルから最適なDCL用アンテナを選択することができる。APの通信状況の変化に即応して関わらず最適なDCL用アンテナを選択することができ、WLAN通信による周辺の通信状況によらず、常に良好なDCLを確保することができる。
【0074】
また、情報テーブルには、監視フラグ1、2も記憶されるので、監視フラグの付与されているAPでの通信の有無に応じて、最適なDCL用アンテナを選択することができる。監視フラグ1、2の付与されていないAPが通信中であるか否かに関わりなく、最適なDCL用アンテナを選択することができる。
【0075】
ここで、DCL用アンテナ12a、12bは第1アンテナの一例である。また、WLAN用アンテナ11aは第2アンテナの一例である。
【0076】
また、APでの通信状況に応じたDCL用アンテナ12a、12bのエラー発生率(BER)の情報を取得するフロー(図5)において、処理(S3)は探索手段の一例である。また、処理(S1)および(S6)は第1検出手段の一例であり、処理(S1)は第2検出手段の一例、処理(S6)は第3検出手段の一例である。また、処理(S9)およびメモリ17は記憶手段の一例である。また、処理(S2)は第2選択手段の一例である。また、処理(S7)は第3選択手段の一例である。また、処理(S10)は第1フラグ設定手段の一例である。また、処理(S11)は第2フラグ設定手段の一例である。
【0077】
また、DCLでの通信時、周辺環境におけるWLAN通信の有無に応じてアンテナを選択するフロー(図7、図8)において、処理(図7:S23)、(図7:S24)、(図8:S33)乃至(図8:S35)は報知手段の一例である。また、処理(図7:S26)乃至(図7:S30)は第2選択手段の一例である。
【0078】
尚、本願は前記実施形態に限定されるものではなく、本願の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、DCLでの無線通信3を行うアンテナとして、2つのDCL用アンテナ12a、12bを備える場合を例示したが、本願はこれに限定されるものではない。3つ以上のDCL用アンテナを備える構成においても、実施形態に記載の処理は同様に行うことができる。
また、図7、図8の処理フローでは、フローの左側をWLAN通信制御回路11が行い、右側をDCL通信制御回路12が行うとして説明したが、本願はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1 多機能周辺装置(MFP)
2 子機
3、4 無線通信
11 WLAN通信制御回路
11a WLAN用アンテナ
12 DCL通信制御回路
12a、12b DCL用アンテナ
16 CPU
17 メモリ
31乃至35、AP アクセスポイント
DCL デジタルコードレス電話
WLAN 無線LAN



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信を行うための複数の第1アンテナと、
前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索する探索手段と、
前記第1の無線通信に先立って、前記探索手段により探索される前記アクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる前記第2の無線通信の有無に応じて、前記第1アンテナごとの前記第1の無線通信によるエラー発生率を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段により得られる前記エラー発生率を記憶する記憶手段と、
前記第2の無線通信による通信状況を監視し、前記アクセスポイントごとに通信の有無を報知する報知手段と、
前記報知手段に応じて、前記記憶手段より前記エラー発生率が最小となる前記第1アンテナを前記第1の無線通信の通信用として選択する第1選択手段とを備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1検出手段は、前記第2の無線通信が何れの前記アクセスポイントにおいても非通信の場合に、前記第1アンテナごとの前記第1の無線通信による前記エラー発生率を検出する第2検出手段を含み、
前記第2検出手段により検出される前記エラー発生率が最小となる前記第1アンテナを選択する第2選択手段を備え、
前記第2選択手段により選択される前記第1アンテナを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1検出手段は、前記アクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる前記第2の無線通信の通信時、前記第1アンテナごとの前記第1の無線通信による前記エラー発生率を検出する第3検出手段を含み、
前記アクセスポイントごとに、前記第3検出手段により検出される前記エラー発生率が最小となる前記第1アンテナを選択する第3選択手段を備え、
前記アクセスポイントごとに、前記第3選択手段により選択される前記第1アンテナを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2選択手段により選択される前記第1アンテナとは異なる第1アンテナが前記第3選択手段により選択される前記アクセスポイントについて、第1フラグを設定する第1フラグ設定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記エラー発生率が前記第1フラグの設定される前記アクセスポイントの通信時における前記エラー発生率より大きな値を含む前記アクセスポイントについて、第2フラグを設定する第2フラグ設定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記報知手段により、前記第1または第2フラグの設定されている前記アクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、
前記第1選択手段は、通信中の前記アクセスポイントについて前記記憶手段に記憶されている前記エラー発生率から前記第1アンテナごとに最大値を抽出し、抽出された前記エラー発生率のうち最小値となる前記第1アンテナを選択することを特徴とする請求項4または5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記複数の第1アンテナが2つである場合、
前記報知手段により、前記第2フラグの設定されている前記アクセスポイントを含まず前記第1フラグの設定されている前記アクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、
前記第1選択手段は、前記第1フラグの設定されている前記アクセスポイントについて前記第3選択手段により選択され前記記憶手段に記憶されている前記第1アンテナを選択することを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記複数の第1アンテナが2つである場合、
前記報知手段により、前記第2フラグの設定されている前記アクセスポイントを含むアクセスポイントが通信中であると報知される場合、
前記第1選択手段は、前記第2フラグの設定されている前記アクセスポイントについて前記第3選択手段により選択され前記記憶手段に記憶されている前記第1アンテナを選択することを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記第2の無線通信を行うための第2アンテナを備え、
前記探索手段、前記第1検出手段、および前記アクセスポイントによる前記第2の無線通信の有無は、前記第2アンテナを介して行われることを特徴とする請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記第1の無線通信は連続的な応答性が必要な音声通信であり、
前記第2の無線通信は間欠的な応答性を有するデータ通信であることを特徴とする請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
第1の無線通信を行うための複数の第1アンテナを備える無線通信装置が実行する無線通信制御方法であって、
前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信を行うアクセスポイントを探索するステップと、
前記第1の無線通信に先立って、前記探索により探索される前記アクセスポイントごとに、該アクセスポイントによる前記第2の無線通信の有無に応じて、前記第1アンテナごとの前記第1の無線通信によるエラー発生率を検出するステップと、
前記エラー発生率の検出により得られる前記エラー発生率を記憶するステップと、
前記第2の無線通信による通信状況を監視し、前記アクセスポイントごとに通信の有無を報知するステップと、
前記報知に応じて、前記記憶されている前記エラー発生率が最小となる前記第1アンテナを前記第1の無線通信の通信用として選択するステップとを備えることを特徴とする無線通信制御方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−178110(P2010−178110A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19145(P2009−19145)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】