説明

無線通信装置、及び該無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナ

【課題】非接触ICカード機能の通信不能領域が発生しにくく、かつ高密度実装が可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】非接触通信用アンテナは、ICカード処理装置に対して第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナ(送受信アンテナ21)と、ICカード処理装置に対して第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、ICカード処理装置に対する通信特性が第1のループアンテナ(送受信アンテナ21)よりも良好な第2のループアンテナ(送信アンテナ23)とを有している。第2のアンテナ(送信アンテナ23)は、ループ面がかざし面Kから第1の距離の位置に平行に配置され、第1のループアンテナ(送受信アンテナ21)は、ループ面がかざし面Kに対して第2のアンテナ(送信アンテナ23)よりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信装置、及び該無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナに係り、特に、非接触ICカード機能を有する携帯電話端末などのように、同機能を内蔵するための高密度実装を必要とする場合に適用して好適な無線通信装置、及び該無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末などの携帯用の無線通信装置は、通常の通話機能や電子メールの送受信機能を有する他、近年では、たとえば、交通機関の改札機との通信や、コンビニエンスストアなどに設置されている金銭の支払い用のリーダ/ライタ(ICカード処理装置)との通信などに用いられる非接触ICカード機能(以下、単に「ICカード機能」ともいう)を有するものが製作されている。無線通信装置がリーダ/ライタとの間で無線通信を行う場合、同無線通信装置及び同リーダ/ライタのアンテナの大きさ及び巻数、並びに、同無線通信装置と同リーダ/ライタとの間の距離に依存して、同無線通信装置と同リーダ/ライタとの間で通信を行うことができない領域(通信不能領域)が発生ことがある。
【0003】
この通信不能領域が発生する場所は、アンテナの形状及び巻数によって変化するため、単一のアンテナのみでは、通信不能領域の発生を防ぐことが困難である。特に、無線通信装置が携帯電話端末である場合、同携帯電話端末の小型化及び薄型化に伴い、通信不能領域はさらに発生しやすくなっている。一般に、ICカード側の無線通信装置のアンテナの巻数を増やすか又はアンテナのサイズを大きくすると、リーダ/ライタと通信する際に起電力が得られやすくなり、通信可能な距離は長くなるが、リーダ/ライタとの距離が短いときに通信不能となりやすい。一方、ICカード側の無線通信装置のアンテナの巻数を減らすか又はアンテナのサイズを小さくすると、起電力が得られにくくなるため、通信可能な距離は短くなるが、リーダ/ライタとの距離が短いときでも、通信不能となりにくい。
【0004】
また、ICカード機能やリーダ/ライタ機能を携帯電話端末などの無線通信装置に内蔵する場合、携帯電話端末内の実装基板、構成部品、及び電池のような金属の影響により、通信特性が著しく低下する。この場合、通信特性を良好にするために、たとえば、アンテナの裏面及び電池裏蓋に、電磁波の通過の良好な磁性シートが貼付される。特に、通信特性を良好に保つために、磁性シートを厚くしたり、アンテナと金属との距離を離すことによって空間を確保する。ところが、高密度の実装、及び薄さが要求される携帯電話端末では、厚みや空間を確保する対策は、デザインに対して悪影響を及ぼすという問題点がある。また、近年では、防水対応の携帯電話端末が製作されているが、防水構造を施すことにより、構成部品の実装スペースに余裕がなくなる状況にある。防水構造を伴う携帯電話端末では、ケーブルアンテナが実装されていることがある。
【0005】
この種の携帯電話端末は、たとえば図7に示すものがある。
この携帯電話端末10では、内部の電池11を囲む態様でケーブルアンテナ12が施されている。しかしながら、ケーブルアンテナ12は、1つのアンテナで構成されているため、通信不能領域が大きく、また、リーダ/ライタ機能を用いる場合、十分な通信特性を確保することができないという問題点がある。
【0006】
上記の携帯電話端末の他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された非接触ICカードがある。
この非接触ICカードでは、改札機などに設けられているリーダ/ライタなどの通信対象機器との間の無線通信用に設けられた小型アンテナ及び同小型アンテナよりもアンテナ長の長い大型アンテナが設けられている。小型アンテナは、上記通信対象機器のアンテナと通信する際、同アンテナの内周側に位置するように配置される一方、大型アンテナは、上記通信対象機器のアンテナと通信する際、同アンテナの外周側に位置するように配置される。小型アンテナから得られる第1受信電圧と大型アンテナから得られる第2受信電圧とが合成され、合成電圧が比較手段により基準電圧と比較される。アンテナ切換手段により、通信対象機器との距離に応じて変化する合成電圧が基準電圧よりも大きいとき、大型アンテナの機能が停止する一方、合成電圧が基準電圧よりも小さいとき、大型アンテナの機能が動作する。そして、制御手段により、大型アンテナのアンテナ機能を停止させるときの基準電圧と、大型アンテナの機能を動作させるときの基準電圧との間で電圧差を設けるように制御される。
【0007】
また、特許文献2に記載されたデータ通信装置では、非接触ICカード回路に対して、第1のアンテナコイルを介して電磁結合される外部のリーダ/ライタによってデータの書込み又は読出しが行われる。リーダ/ライタ回路により、第2のアンテナコイルを介して電磁結合される外部の非接触ICカードに対してデータの書込み又は読出しが行われる。フィルタ回路により、第2のアンテナコイルから放出される信号が所定の信号レベルに抑制される。外部のリーダ/ライタと非接触ICカード回路との通信が行われるとき、フィルタ回路の動作を抑制するため、切換えスイッチにより、第2のアンテナコイル側から見たフィルタ回路の負荷インピーダンスが非動作時よりも大きくなるように切り換えられる。また、第1のアンテナコイル及び第2のアンテナコイルは、同一面内に近接して配置され、たとえば同心円状に巻回された巻回パターンとして形成されている。
【0008】
また、特許文献3に記載された携帯端末装置では、筐体内にアンテナと電池とが配設されている。アンテナは、可撓性を有するケーブルにより構成され、かつ電池を囲繞するように配置されている。
【0009】
また、特許文献4に記載された無線通信装置では、動力となる電池の周囲にループ形状のアンテナが配置され、また、同電池の側面の周囲にループ形状の磁性体シートが配置されている。
【0010】
また、特許文献5に記載されたRFID用アンテナでは、複数本の導線を所定間隔で整列配置したものを樹脂により固定したケーブル層と、磁性材からなる磁性シートとが設けられ、これらが接着材によって接着固定されてアンテナコイル部が構成されている。このアンテナコイル部がバッテリパックの外壁に沿って配設され、アンテナコイル部の端部に所定の曲率を付与した折り曲げ部が形成され、その先端がコネクタ接触子に接続されている。
【0011】
また、特許文献6に記載されたRFID用アンテナでは、複数本の導体線を含むアンテナ本体と磁性シートとが粘着材を介して一体化され、それらを環状に形成したアンテナコイル部が備えられている。アンテナコイル部に形成される折曲部には、所定の曲率が設けられている。また、粘着材は、所定の樹脂基材の両面に粘着材層が設けられた多層構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−281818号公報
【特許文献2】特開2005−092352号公報
【特許文献3】特開2005−303541号公報
【特許文献4】特開2007−274551号公報
【特許文献5】特開2008−228252号公報
【特許文献6】特開2008−301295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載された非接触ICカードでは、大型アンテナの幅がリーダ/ライタ(通信対象機器)側のアンテナの幅よりも大きい。ところが、リーダ/ライタのアンテナの幅は、一般的に携帯電話端末の筐体の幅よりも大きい。このため、大型アンテナの幅は、携帯電話端末の筐体の幅よりも大きくなり、非接触ICカードと同様のアンテナを携帯電話端末に対して実装することは困難である。また、携帯電話端末に対して非接触ICカードの機能を搭載する場合、アンテナのサイズが異なる種々のリーダ/ライタに対して良好な通信特性が得られるようにする必要があるが、リーダ/ライタにおけるアンテナのサイズが一定でない場合には、2つのアンテナの受信電圧の合成電圧を基準電圧と比較することによってアンテナを切り換えることは困難である。なぜなら、非接触ICカードとリーダ/ライタとの間の距離を変えた場合の合成電圧は、非接触ICカード側の2つのアンテナ及びリーダ/ライタ側のアンテナのサイズの大小関係に依存して、複雑な振る舞いを示すからである。そこで、携帯電話端末などの無線通信装置で、リーダ/ライタに対する通信特性を良好に保ちつつ、アンテナサイズの小型化及び面積の削減を行う必要があるという課題がある。
【0014】
特許文献2に記載されたデータ通信装置では、第1のアンテナコイル及び第2のアンテナコイルが同一面内に近接して配置されているため、筐体内で大きい面積を占有し、また、たとえば携帯電話機のような高密度実装が要求される装置に適用した場合、体積的制約があるため、面積を必要とする分、厚みに対する制約も多いという問題点がある。
【0015】
特許文献3に記載された携帯端末装置では、筐体が小形化され、アンテナループを大きく取ることが可能であるが、この発明とは構成が異なり、上記の問題点は、改善されない。
【0016】
特許文献4に記載された無線通信装置では、本体が厚くなることが防止されるが、この発明とは構成が異なり、上記の問題点は、改善されない。
【0017】
特許文献5に記載されたRFID用アンテナでは、アンテナコイル部のQ値、インダクタンス値などの特性が向上するが、この発明とは構成が異なり、上記の問題点は、改善されない。
【0018】
特許文献6に記載されたRFID用アンテナでは、アンテナ本体と磁性シートとが一体化された場合に、同磁性シートの浮きが回避され、かつ、インダクタンスの低下が抑制されるが、この発明とは構成が異なり、上記の問題点は、改善されない。
【0019】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、非接触ICカード機能の通信不能領域が発生しにくく、かつ高密度実装が可能な無線通信装置、及び該無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、非接触通信用アンテナを当該無線通信装置の筐体のかざし面を介してかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置に係り、前記非接触通信用アンテナは、前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとを有し、前記第2のアンテナは、ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、前記第1のループアンテナは、ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されていることを特徴としている。
【0021】
この発明の第2の構成は、非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、当該無線通信装置の筐体の非接触通信用のかざし面をかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナに係り、前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとから構成され、前記第2のアンテナは、ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、前記第1のループアンテナは、ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
この発明の構成によれば、ICカード処理装置に対する通信特性を良好に保ちつつ、無線通信装置の筐体の平面方向、及びアンテナの厚みやクリアランスの確保による厚み方向に要する実装面積を削減でき、高密度実装における実装スペースを有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態である無線通信装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の送受信アンテナ21及び送信アンテナ23の構成例、及び携帯電話端末20に対する実装状態の例を示す図である。
【図3】携帯電話端末20が折り畳み型の筐体を有する場合の部分透視図である。
【図4】送受信アンテナ21とリーダ/ライタとの距離と電圧検出回路32で検出される受信電圧rvとの関係を示す図である。
【図5】送受信アンテナ21と送信アンテナ23との切り替えにより得られる通信性能を示す図である。
【図6】非接触通信用アンテナの変形例を示す図である。
【図7】携帯電話端末の要部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記ICカード処理装置から電磁誘導を受けた上記第1のループアンテナ(送受信アンテナ)の受信電圧を検出し、同受信電圧が所定の閾値以下のときに、上記ICカード処理装置に対する送信信号を上記第1のループアンテナ(送受信アンテナ)を介して送信する一方、上記受信電圧が上記閾値よりも大きいときに、上記送信信号を上記第2のループアンテナ(送信アンテナ)を介して送信するアンテナ選択手段(アンテナ制御回路)が設けられている無線通信装置を実現する。
【0025】
また、上記第1のループアンテナ(送受信アンテナ)と上記第2のループアンテナ(送信アンテナ)との間隔は、上記第1の領域と上記第2の領域とが連続(すなわち、不連続にならない)可能な距離に設定されている。また、上記非接触型ICカード又は同非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、上記第2のループアンテナ(送信アンテナ)を介して所定の送信を行う送信制御手段(リーダ/ライタ制御回路)が設けられている。上記第1のループアンテナ(送受信アンテナ)及び第2のループアンテナ(送信アンテナ)は、可撓性の基板の表面上にパターンとして形成され、同基板は、上記表面が上記かざし面に対して垂直になるように配置され、かつ、当該無線通信装置の内部の所定の構成部品を包囲する態様で設けられている。また、上記第1のループアンテナ(送受信アンテナ)及び第2のループアンテナ(送信アンテナ)は、それぞれ所定の線材を有するケーブルで構成されている。
【実施形態】
【0026】
図1は、この発明の一実施形態である無線通信装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の無線通信装置は、同図に示すように、携帯電話端末20であり、非接触型ICカード又は同非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのリーダ/ライタ(ICカード処理装置)に対して、ユーザが非接触通信用アンテナを携帯電話端末20の筐体の非接触通信用のかざし面を介してかざすことにより無線接続されて通信を行う。すなわち、この携帯電話端末20は、送受信アンテナ21と、容量調整回路22と、送信アンテナ23と、容量調整回路24と、アンテナ制御回路25と、リーダ/ライタ制御回路26と、制御部27とを備えている。上記送受信アンテナ21と送信アンテナ23とで、上記非接触通信用アンテナが構成されている。
【0027】
送受信アンテナ21は、ループアンテナで構成され、リーダ/ライタに対して所定の第1の領域内で無線接続され、同リーダ/ライタから出力された変調データを受信する。容量調整回路22は、たとえば可変容量素子などで構成され、送受信アンテナ21がリーダ/ライタと無線接続されるように、同送受信アンテナ21の共振周波数を調整する。送信アンテナ23は、ループアンテナで構成され、リーダ/ライタに対して上記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、同リーダ/ライタに対する通信特性が送受信アンテナ21よりも良好になるように調整されている。容量調整回路24は、容量調整回路22と同様に、可変容量素子などで構成され、送受信アンテナ23がリーダ/ライタと無線接続されるように、同送受信アンテナ23の共振周波数を調整する。また、送信アンテナ23は、ループ面が携帯電話端末20の筐体のかざし面から第1の距離の位置に平行に配置され、送受信アンテナ21は、ループ面が上記かざし面に対して送信アンテナ23よりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されている。この場合、送受信アンテナ21と送信アンテナ23との間隔は、上記第1の領域と上記第2の領域とが連続(すなわち、不連続にならない)可能な距離に設定されている。
【0028】
アンテナ制御回路25は、受信データ復調回路31と、電圧検出回路32と、アンテナ切替回路33と、負荷変調回路34と、負荷変調回路35とから構成されている。受信データ復調回路31は、送受信アンテナ21で受信された変調データを復調し、復調データを制御部27へ送出する。電圧検出回路32は、送受信アンテナ21で受信された変調データに対応した受信電圧rvを検出する。アンテナ切替回路33は、切替スイッチ33Sを有している。切替スイッチ33Sの接点33aは負荷変調回路34に接続され、接点33bが負荷変調回路35に接続されている。同アンテナ切替回路33は、電圧検出回路32で検出された受信電圧rvが所定の閾値以下のときにコモンcを接点33aに接続し、リーダ/ライタに対する送信信号mを負荷変調回路34へ送出する一方、同受信電圧rvが同閾値よりも大きいときにコモンcを接点33bに接続し、同送信信号mを負荷変調回路35へ送出する。負荷変調回路34は、上記送信信号mを変調して送受信アンテナ21へ送出する。負荷変調回路35は、上記送信信号mを変調して送受信アンテナ23へ送出する。リーダ/ライタ制御回路26は、この携帯電話端末20がリーダ/ライタとして用いられる場合、非接触型ICカード又は同非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、送信アンテナ23を介して所定の送信を行う。制御部27は、この携帯電話端末20全体を制御する。
【0029】
図2は、図1中の送受信アンテナ21及び送信アンテナ23の構成例、及び携帯電話端末20に対する実装状態の例を示す図である。
送受信アンテナ21及び送信アンテナ23は、図2(a)に示すように、非接触通信アンテナ40に施されている。すなわち、送受信アンテナ21及び送信アンテナ23は、可撓性の基板、すなわちFPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブル・プリント基板)41の表面上に銅線のパターンとして形成されている。この場合、送受信アンテナ21は、たとえば4本の銅線がFPC41上に形成されることにより、4ターンのループアンテナとして形成される。また、送信アンテナ23は、たとえば2本の銅線がFPC41上に形成されることにより、2ターンのループアンテナとして形成される。送受信アンテナ21と送信アンテナ23との間には、上記間隔として、一定の距離g(たとえば、1mm)が確保されている。
【0030】
図2(b)は、図2(a)のL方向矢視図である。
非接触通信アンテナ40では、FPC41の表面Fに送受信アンテナ21及び送信アンテナ23が形成され、また、同図2(b)に示すように、FPC41の裏面Mに磁性シート42,…,42が貼付されている。
【0031】
図2(c)は、携帯電話端末20に実装された状態の非接触通信アンテナ40を示す斜視図である。
非接触通信アンテナ40は、同図2(c)に示すように、携帯電話端末20の内部の所定の構成部品を包囲し、表面Fが外側、及び裏面Mが内側になる態様で設けられている。基板43は、携帯電話端末20の面方向に対して水平に位置するプリント基板である。コネクタ44は、基板43と非接触通信アンテナ40とを、ループアンテナが構成されるように接続する。
【0032】
図2(d)は、図2(c)のU方向矢視図である。
非接触通信アンテナ40は、同図2(d)に示すように、基板43及び非接触通信アンテナ40を介して、電池45を包囲するループアンテナを構成している。この場合、非接触通信アンテナ40は、FPC41の表面Fが携帯電話端末20の面方向に対して垂直になっている。また、通信特性の劣化の原因となる電池45とFPC41との間に磁性シート42,…,42が挟まれる態様となり、特性劣化を軽減する構成となる。近年の磁性シートは、透磁率が高くなっているため、薄いものであっても、特性劣化を軽減する性能が良好である。
【0033】
図3は、携帯電話端末20が折り畳み型の筐体を有する場合の部分透視図である。
この携帯電話端末20では、同図3に示すように、FPC41は、その表面Fが非接触通信用のかざし面Kに対して垂直になるように配置されている。また、送信アンテナ23は、かざし面Kから近い位置(すなわち、上記第1の距離の位置)、及び、送受信アンテナ21が、かざし面Kから離れた位置(すなわち、上記第2の距離の位置)に配置されている。
【0034】
図4は、送受信アンテナ21とリーダ/ライタとの距離と電圧検出回路32で検出される受信電圧rvとの関係を示す図、及び、図5が、送受信アンテナ21と送信アンテナ23との切り替えにより得られる通信性能を示す図である。
これらの図を参照して、この形態の携帯電話端末20の動作について説明する。
非接触ICカード機能時では、たとえば交通機関の改札機などで使用されるリーダ/ライタと通信する場合、同リーダ/ライタから出力された変調データは、送受信アンテナ21で受信され、アンテナ制御回路25では、この変調データが受信データ復調回路31により復調され、復調データが制御部27へ送出される。また、アンテナ制御回路25から外部のリーダ/ライタに対する応答は、アンテナ切替回路33により選択された負荷変調回路及びアンテナによって行う。この場合、アンテナ制御回路25により、リーダ/ライタから電磁誘導を受けた送受信アンテナ21の受信電圧rvが検出され、同受信電圧rvが所定の閾値以下のときに、上記リーダ/ライタに対する送信信号mが同送受信アンテナ21を介して送信される一方、同受信電圧rvが上記閾値よりも大きいときに、同送信信号mを送信アンテナ23を介して送信される。また、リーダ/ライタ機能時では、リーダ/ライタ制御回路26は、制御部27の送信命令に従い、送信アンテナ23を経て対向する非接触ICカードに対して送信データを送信する。
【0035】
図4では、受信電圧rvの閾値Vtが示されている。この閾値Vtは、携帯電話端末20とリーダ/ライタとの距離がアンテナ切替回路33によって返信用のアンテナを切り替えるべき距離であるか否かを判定する基準となる。アンテナ切替回路33では、電圧検出回路32によって検出された受信電圧rvが閾値電圧Vtと比較され、その比較結果に基づいて、負荷変調回路34又は負荷変調回路35のいずれかが選択され、各負荷変調回路に接続されたアンテナを介して返信が行われる。この場合、ユーザが携帯電話端末20をリーダ/ライタにかざし、得られた受信電圧rvが閾値電圧Vtよりも大きい(すなわち、携帯電話端末20とリーダ/ライタとの距離が距離hHよりも短い)とき、図4中の送信アンテナ23で返信する領域Bとなり、切替スイッチ33Sのコモンcが接点33bと接続される。このとき、送信信号mが負荷変調回路35により変調され、送信アンテナ23を経てリーダ/ライタに対する返信が行われる。一方、受信電圧rvが閾値電圧Vtよりも小さい(すなわち、携帯電話端末20とリーダ/ライタとの距離が距離hHよりも長い)とき、図4中の送受信アンテナ21で返信する領域Aとなり、切替スイッチ33Sのコモンcが接点33aと接続される。このとき、送信信号mが負荷変調回路34により変調され、送受信アンテナ21を経てリーダ/ライタに対する返信が行われる。
【0036】
図5に示すように、送受信アンテナ21は、リーダ/ライタとの通信可能な距離は長いが、短距離において通信不可領域Cが発生するアンテナであり、一方、送信アンテナ23は、リーダ/ライタとの通信可能な距離が短く、長距離において通信不可領域Dが発生するが、短距離において通信不可領域が発生しにくいアンテナである。これらのアンテナについては、送受信アンテナ21の巻数を多くし、送信アンテナ23の巻数を少なくすることによって、このような特性が得られることが実測及びシミュレーションによって確認されている。両アンテナの特長を活かし、携帯電話端末20とリーダ/ライタとの距離が長い場合には、送受信アンテナ21を経てリーダ/ライタへ返信し、短い場合には送信アンテナ23に切り替えて返信することにより、1つのアンテナのみで通信を行う場合の最低限必要な通信距離hMと比較して広い範囲を有する返信可能領域Eが得られる。この返信可能領域Eは、送受信アンテナ21で返信する領域Aと送信アンテナ23で返信する領域Bとが連続しているので、近距離及び長距離のいずれにおいても良好な通信特性が得られる。これにより、たとえば、携帯電話端末20の筐体を薄型化するために電池裏蓋などに貼付された磁性シートを削除した場合でも、リーダ/ライタとの通信が可能となる。
【0037】
すなわち、この携帯電話端末20では、非接触ICカード機能によりリーダ/ライタと通信する際、送受信アンテナ21を介して返信すると通信不可となる場合には、送信アンテナ23で返信する一方、同送信アンテナ23で返信すると通信不可となる場合には、送受信アンテナ21で返信する。このように、2つのアンテナの返信時の特性の短所を互いに補うように、返信用のアンテナを切り替えながら通信することによって、通信性能が向上する。これにより、携帯電話端末20の筐体が薄型のため、内部のハードの実装条件に制約があり、通信特性の確保が困難な場合でも、良好な通信特性が得られる。
【0038】
以上のように、この実施形態では、携帯電話端末20の筐体の平面方向(かざし面Kの方向)に対して垂直方向に送受信アンテナ21及び送信アンテナ23が配置されるので、リーダ/ライタに対する通信特性を良好に保ちつつ、同筐体の平面方向、及びアンテナの厚みやクリアランスの確保による厚み方向に要する実装面積が削減され、高密度実装における実装スペースが有効活用される。また、携帯電話端末20の筐体の平面方向から見た場合、送受信アンテナ21及び送信アンテナ23が環状の1本の線に近いため、面形状のアンテナに比べてデッドスペースを活用しやすいため、他の部品の実装に与える影響が少なく、実装の幅が広がる。さらに、アンテナを送受信アンテナ21及び送信アンテナ23で構成し、リーダ/ライタとの通信特性が良好なアンテナが選択されるので、1本のケーブルアンテナと比較して通信不能領域が発生しにくく、また、リーダ/ライタ機能を用いる場合でも、十分な特性が確保される。
【0039】
また、送受信アンテナ21と送信アンテナ23との間のギャップ、及びパターンの間隔を最適にすることで、良好な通信特性が確保され、電池裏蓋に磁性シートが貼付されている場合でも、これを削除することができ、筐体の厚みを薄くすることが可能となって設計の自由度が向上する。また、携帯電話端末20自体が送信電力を発するリーダ/ライタ機能時では、リーダ/ライタ制御回路26は、送信アンテナ23を介して送信を行うが、同送信アンテナ23は、巻数が少なくアンテナ長が短いので、抵抗成分が少ない。このため、電力が有効に利用され、特性確保に有利となる。また、巻数が少なくアンテナ長の短い送信アンテナ23を筐体のかざし面Kに近い位置になるよう配置されることで、より送信距離を伸ばすことができ、良好なリーダ/ライタ機能の特性が確保される。
【0040】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、それぞれ所定の線材を有するケーブルで構成されていても良い(請求項6に対応)。この場合、たとえば図6に示すように、第1のループアンテナが送受信アンテナ51、及び第2のループアンテナが送信アンテナ52で構成され、これらの間に距離dが確保されている。送受信アンテナ51は4ターンの線材51a、及び送信アンテナ52が2ターンの線材52aで構成されている。距離dは、送受信アンテナ51で返信する領域と送信アンテナ52で返信する領域とが図5に示す特性と同様に連続可能な値に設定されている。また、アンテナ制御回路25は、図1中の構成に限定されず、たとえば、アンテナ切替回路33を切替スイッチ33Sのみの構成とし、電圧検出回路32が受信電圧rvを閾値と比較し、その比較結果に基づいて同切替スイッチ33Sを制御するようにしても良い。
【0041】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0042】
(付記1)非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、非接触通信用アンテナを当該無線通信装置の筐体のかざし面を介してかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置であって、前記非接触通信用アンテナは、前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとを有し、前記第2のアンテナは、ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、前記第1のループアンテナは、ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されている無線通信装置。
【0043】
(付記2)前記第1のループアンテナの受信電圧を検出し、該受信電圧が所定の閾値以下のときに、前記ICカード処理装置に対する送信信号を前記第1のループアンテナを介して送信する一方、前記受信電圧が前記閾値よりも大きいときに、前記送信信号を前記第2のループアンテナを介して送信するアンテナ選択手段が設けられている付記1記載の無線通信装置。
【0044】
(付記3)前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとの間隔は、前記第1の領域と前記第2の領域とが連続可能な距離に設定されている付記1又は2記載の無線通信装置。
【0045】
(付記4)前記非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、前記第2のループアンテナを介して所定の送信を行う送信制御手段が設けられている付記1、2又は3記載の無線通信装置。
【0046】
(付記5)前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、可撓性の基板の表面上にパターンとして形成され、該基板は、前記表面が前記かざし面に対して垂直になるように配置され、かつ、当該無線通信装置の内部の所定の構成部品を包囲する態様で設けられている付記1、2、3又は4記載の無線通信装置。
【0047】
(付記6)前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、それぞれ所定の線材を有するケーブルで構成されている付記1、2、3又は4記載の無線通信装置。
【0048】
(付記7)非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、当該無線通信装置の筐体の非接触通信用のかざし面をかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナであって、前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとから構成され、前記第2のアンテナは、ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、前記第1のループアンテナは、ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されている非接触通信用アンテナ。
【0049】
(付記8)前記無線通信装置は、前記第1のループアンテナの受信電圧を検出し、該受信電圧が所定の閾値以下のときに、前記ICカード処理装置に対する送信信号を前記第1のループアンテナを介して送信する一方、前記受信電圧が前記閾値よりも大きいときに、前記送信信号を前記第2のループアンテナを介して送信するアンテナ選択手段が設けられている付記7記載の非接触通信用アンテナ。
【0050】
(付記9)前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとの間隔は、前記第1の領域と前記第2の領域とが連続可能な距離に設定されている付記7又は8記載の非接触通信用アンテナ。
【0051】
(付記10)前記無線通信装置は、前記非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、前記第2のループアンテナを介して所定の送信を行う送信制御手段が設けられている付記7、8又は9記載の非接触通信用アンテナ。
【0052】
(付記11)前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、可撓性の基板の表面上にパターンとして形成され、該基板は、前記表面がかざし面に対して垂直になるように配置され、かつ、当該無線通信装置の内部の所定の構成部品を包囲する態様で設けられている付記7、8、9又は10記載の非接触通信用アンテナ。
【0053】
(付記12)前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、それぞれ所定の線材を有するケーブルで構成されている付記7、8、9又は10記載の非接触通信用アンテナ。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、携帯電話端末に限らず、非接触通信用アンテナを有する無線通信装置全般に適用でき、特に高密度実装が要求される場合に適用して有効である。
【符号の説明】
【0055】
20 携帯電話端末(無線通信装置)
21 送受信アンテナ(第1のループアンテナ、非接触通信用アンテナの一部)
23 送信アンテナ(第2のループアンテナ、非接触通信用アンテナの一部)
25 アンテナ制御回路(アンテナ選択手段)
26 リーダ/ライタ制御回路(送信制御手段)
31 受信データ復調回路(アンテナ選択手段の一部)
32 電圧検出回路(アンテナ選択手段の一部)
33 アンテナ切替回路(アンテナ選択手段の一部)
34 負荷変調回路(アンテナ選択手段の一部)
35 負荷変調回路(アンテナ選択手段の一部)
41 FPC(Flexible Printed Circuit)(可撓性の基板)
51 送受信アンテナ(第1のループアンテナ、非接触通信用アンテナの一部)
51a,52a 線材
52 送信アンテナ(第2のループアンテナ、非接触通信用アンテナの一部)
K かざし面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、非接触通信用アンテナを当該無線通信装置の筐体のかざし面を介してかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置であって、
前記非接触通信用アンテナは、
前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、
前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとを有し、
前記第2のアンテナは、
ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、
前記第1のループアンテナは、
ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1のループアンテナの受信電圧を検出し、該受信電圧が所定の閾値以下のときに、前記ICカード処理装置に対する送信信号を前記第1のループアンテナを介して送信する一方、前記受信電圧が前記閾値よりも大きいときに、前記送信信号を前記第2のループアンテナを介して送信するアンテナ選択手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとの間隔は、
前記第1の領域と前記第2の領域とが連続可能な距離に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、前記第2のループアンテナを介して所定の送信を行う送信制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、
可撓性の基板の表面上にパターンとして形成され、
該基板は、
前記表面が前記かざし面に対して垂直になるように配置され、かつ、当該無線通信装置の内部の所定の構成部品を包囲する態様で設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1のループアンテナ及び第2のループアンテナは、
それぞれ所定の線材を有するケーブルで構成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の無線通信装置。
【請求項7】
非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器と通信を行うためのICカード処理装置に対して、当該無線通信装置の筐体の非接触通信用のかざし面をかざすことにより無線接続されて通信を行う無線通信装置に用いられる非接触通信用アンテナであって、
前記ICカード処理装置に対して所定の第1の領域内で無線接続される第1のループアンテナと、
前記ICカード処理装置に対して前記第1の領域よりも距離の短い第2の領域内で無線接続され、前記ICカード処理装置に対する通信特性が前記第1のループアンテナよりも良好な第2のループアンテナとから構成され、
前記第2のアンテナは、
ループ面が前記かざし面から所定の第1の距離の位置に平行に配置され、
前記第1のループアンテナは、
ループ面が前記かざし面に対して前記第2のアンテナよりも離れた第2の距離の位置に平行に配置されていることを特徴とする非接触通信用アンテナ。
【請求項8】
前記無線通信装置は、
前記第1のループアンテナの受信電圧を検出し、該受信電圧が所定の閾値以下のときに、前記ICカード処理装置に対する送信信号を前記第1のループアンテナを介して送信する一方、前記受信電圧が前記閾値よりも大きいときに、前記送信信号を前記第2のループアンテナを介して送信するアンテナ選択手段が設けられていることを特徴とする請求項7記載の非接触通信用アンテナ。
【請求項9】
前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとの間隔は、
前記第1の領域と前記第2の領域とが連続可能な距離に設定されていることを特徴とする請求項7又は8記載の非接触通信用アンテナ。
【請求項10】
前記無線通信装置は、
前記非接触型ICカード又は該非接触型ICカードと同等の機能を有する電子機器に向けて、前記第2のループアンテナを介して所定の送信を行う送信制御手段が設けられていることを特徴とする請求項7、8又は9記載の非接触通信用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−165151(P2011−165151A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30747(P2010−30747)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】