説明

無線通信装置、情報処理装置、無線通信方法及び情報処理システム

【課題】無線接続される装置に対する利用者の指示によってリーダライタの機能を開始する無線通信装置を提供すること。
【解決手段】通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部と、端末通信移行部によって送出される移行指示により通信端末に対する通信が可能な状態に移行する端末通信部と、移行指示に応じた移行指示信号を生成する信号生成部と、信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信部と、送信部から送信した移行指示信号に対する情報処理装置からの応答を無線受信する受信部と、受信部が受信した応答に応じて通信端末と情報処理装置との間の情報の送受信を制御する端末通信制御部と、を備える無線通信装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、情報処理装置、無線通信方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや家電機器、POS(Point Of Sales)レジスタ等の情報処理装置に、接触通信または非接触通信が可能なICチップを内蔵した端末(例えばIC(Integrated Circuit)カードや携帯電話等)との間で読み書きを実行するリーダライタを有線で接続して、代金の支払いや、割引サービス、ポイントサービス等のサービスを提供する情報処理システムが広く普及している。また、リーダライタを接続した上記情報処理装置と、ネットワークで接続されたサーバとの間で情報を授受することで代金の支払いや各種サービスを提供することも同様に広く行われている。
【0003】
また上記情報処理システムは、リーダライタを有線ではなく無線で上記情報処理装置と接続して使用する形態もある。例えば、パーソナルコンピュータ本体と無線で接続されるキーボードに、ICチップ内蔵端末への読み書きを実行するリーダライタが内蔵されているような場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-271703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無線接続される装置は、充電池によって電力が供給されることが多く、電力寿命が比較的長くなることが多かった。しかし、装置によっては電池によって電力を供給するものも少なくない。従って、電池によって電力が供給される装置にリーダライタを内蔵した場合に、リーダライタに常に電力を供給し続けていると電池の消耗が早くなってしまうという問題があった。またこのような電池によって電力が供給される装置にリーダライタを内蔵した場合には、電池の消耗速度を抑えるために他の装置からリーダライタを起動させる仕掛けを用意する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、無線接続される装置に対する利用者の指示によってリーダライタの機能を開始することで消費電力を抑え、またリーダライタからの情報を、無線通信先の装置の状況に応じて送信することが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、情報処理装置、無線通信方法及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部を含む操作部と、前記端末通信移行部によって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する端末通信部と、前記移行指示に応じた移行指示信号を含む、前記操作部に対する操作に応じた信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信部と、前記送信部から送信した前記移行指示信号に対する前記情報処理装置からの応答を前記情報処理装置から無線受信する受信部と、前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する端末通信制御部と、を備える、無線通信装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、操作部は、接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部を含み、端末通信部は、端末通信移行部によって送出される移行指示により通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する。また、信号生成部は、移行指示に応じた移行指示信号を含む、操作部に対する操作に応じた信号を生成し、送信部は、信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信し、受信部は、送信部から送信した移行指示信号に対する情報処理装置からの応答を情報処理装置から無線受信する。そして、端末通信制御部は、受信部が受信した応答が、情報処理装置において通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、通信端末と情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する。その結果、無線接続される装置に対する利用者の指示によって端末通信部の動作を開始させることで消費電力を抑えることができ、また、無線通信先の情報処理装置の状況に応じて、接触通信または非接触通信を行う通信端末と、無線通信先の情報処理装置との間の情報の送受信を開始させることができる。
【0009】
前記通信端末と前記情報処理装置との間で情報を送受信している場合に前記操作部に対する操作がなされたときは、前記信号生成部は信号の生成を制限するようにしてもよい。
【0010】
前記信号生成部は、前記端末通信部と前記通信端末との間の通信に影響しない操作が前記操作部に対してなされた場合には、該操作に応じた信号を生成するようにしてもよい。
【0011】
前記端末通信制御部は、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にないことを検知すると無線通信装置固有の情報を前記通信端末に対して送信するよう前記端末通信部を制御するようにしてもよい。
【0012】
前記端末通信制御部は、前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあるが他に情報を送受信している通信端末が存在していることを示すものである場合には、無線通信装置固有の情報及び前記情報処理装置における動作状況に関する情報を前記通信端末に対して送信するよう前記端末通信部を制御するようにしてもよい。
【0013】
前記動作状況に関する情報は視聴中の番組に関する情報であってもよい。
【0014】
前記信号生成部は、前記端末通信部と前記通信端末との間の接触通信または非接触通信に影響しない操作が前記操作部に対してなされた場合には、該操作に応じた信号を生成するようにしてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線端末から無線送信される信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した信号に、前記無線端末から接触通信または非接触通信を行う通信端末への通信を可能な状態に移行させる移行指示が含まれているかどうかを解析する信号解析部と、前記信号解析部での解析の結果、前記移行指示が含まれている場合において、前記通信端末に対する通信処理が可能な状態にあり、かつ、情報を送受信している他の通信端末の存在が無いときに、前記移行指示に対する応答を生成する応答生成部と、を含む、情報処理装置が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する送出ステップと、前記送出ステップによって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する移行ステップと、前記移行指示に応じた移行指示信号を生成する信号生成ステップと、前記信号生成ステップが生成した前記移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信ステップと、前記送信ステップで送信した前記移行指示信号に対する応答を前記情報処理装置から無線受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する制御ステップと、を備える、無線通信方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線によって信号を送受信する無線通信装置と、前記無線通信装置との間で無線によって信号を送受信する情報処理装置と、を含み、前記無線通信装置は、接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部を含む操作部と、前記端末通信移行部によって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する端末通信部と、前記移行指示に応じた移行指示信号を含む、前記操作部に対する操作に応じた信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信部と、前記送信部から送信した前記移行指示信号に対する前記情報処理装置からの応答を前記情報処理装置から無線受信する受信部と、前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する端末通信制御部と、を備え、上記情報処理装置は、無線端末から無線送信される信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した信号に、前記無線端末から接触通信または非接触通信を行う通信端末への通信を可能な状態に移行させる移行指示が含まれているかどうかを解析する信号解析部と、前記信号解析部での解析の結果、前記移行指示が含まれている場合において、前記通信端末に対する通信処理が可能な状態にあり、かつ、情報を送受信している他の通信端末の存在が無いときに、前記移行指示に対する応答を生成する応答生成部と、を備える、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、無線接続される装置に対する利用者の指示によってリーダライタの機能を開始し、またリーダライタからの情報を、無線通信先の装置の状況に応じて送信することが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、情報処理装置、無線通信方法及び情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10の構成について示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100の構成について示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100に含まれる制御部110の構成について示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の構成について示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の外観の一例について示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210の構成について示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理について示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理の別の例について示す流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理について示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、以下の順序に従って本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.情報処理システムの構成]
[1−2.テレビ受像機の構成]
[1−3.テレビ受像機に含まれる制御部の構成]
[1−4.リモートコントローラの構成]
[1−5.リモートコントローラに含まれる制御部の構成]
[1−6.ICカードアクセス処理]
<2.まとめ>
【0022】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.情報処理システムの構成]
まず、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10の構成について示す説明図である。以下、図1を用いて本発明の一実施形態に係る情報処理システム10の構成に付いて説明する。
【0023】
図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10は、テレビ受像機100と、リモートコントローラ200と、サーバ300と、を含んで構成される。
【0024】
テレビ受像機100は、本発明の情報処理装置の一例である。テレビ受像機100は、放送波を受信し、受信した放送波に基づいた映像を画面に表示するものである。本実施形態にかかるテレビ受像機100はインターネットのような双方向のネットワーク20に接続する機能を有しており、ネットワーク20を介してサーバ300との間でデータの送受信を行うことができる。
【0025】
また、テレビ受像機100は、リモートコントローラ200からの無線信号に応じた動作を実行する。テレビ受像機100が実行するリモートコントローラ200からの無線信号に応じた動作とは、例えば電源のオン・オフ、放送波(地上アナログ放送、地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送)の切り替え、受信するチャンネルの切り替え、音量の調節、メニュー画面の表示等である。
【0026】
さらに、テレビ受像機100は、無線信号を送出したリモートコントローラ200に対する応答を無線で送出する機能を有する。無線信号を送出したリモートコントローラ200に対する応答をテレビ受像機100から無線で送出することで、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間で情報の授受が可能となる。
【0027】
リモートコントローラ200は、本発明の無線通信装置の一例である。リモートコントローラ200は、テレビ受像機100を遠隔操作するためのものである。リモートコントローラ200の一の面にはテレビ受像機100を遠隔操作するためのボタンが複数配置されている。また、リモートコントローラ200は、無線によって信号を送出する機能を有しており、配置されたボタンを操作者が押下することで、押下したボタンに応じた信号が無線によってリモートコントローラ200から送出される。リモートコントローラ200から無線で送出された信号をテレビ受像機100が受信することで、リモートコントローラ200からテレビ受像機100を遠隔操作することができる。
【0028】
そして、本実施形態にかかるリモートコントローラ200は、接触通信または非接触通信が可能なICチップとの間で情報を伝送するためのICリーダライタを備えている。本実施形態においては、非接触通信が可能なICチップを内蔵した通信機器(例えば、ICカードや携帯電話等)をICリーダライタにかざすことで、当該通信機器とリモートコントローラ200との間で非接触通信を行うことができる。また、ICチップを内蔵した通信機器とリモートコントローラ200との間で非接触通信を行うことで、当該通信機器とテレビ受像機100との間の、リモートコントローラ200を介した通信が可能となる。図1では、非接触通信が可能なICチップを内蔵した通信機器として携帯電話400を示している。なお、接触通信または非接触通信が可能なICチップを内蔵した通信機器は携帯電話に限られないことは言うまでも無い。
【0029】
サーバ300は、テレビ受像機100とネットワーク20を介して接続されており、テレビ受像機100との間で、データを双方向で送受信することができるものである。本実施形態にかかるサーバ300は、ICチップを内蔵した通信機器との間で各種処理(例えば、代金の決済、残高・ポイント残高の照会等)を行うことが出来る。サーバ300がテレビ受像機100とネットワーク20を介して接続されていることで、携帯電話400をリモートコントローラ200のICリーダライタにかざすと、携帯電話400とサーバ300との間の通信が可能となる。この通信は、テレビ受像機100及びリモートコントローラ200を介した、携帯電話400とサーバ300との間の通信である。
【0030】
以上、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100の構成について説明する。
【0031】
[1−2.テレビ受像機の構成]
図2は、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100の構成について示す説明図である。以下、図2を用いて本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100の構成について説明する。
【0032】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100は、制御部110と、放送受信部120と、出力部130と、ネットワーク接続部140と、リモートコントローラ通信部150と、を含んで構成される。
【0033】
制御部110は、テレビ受像機100の内部の各部の制御に用いられるものである。制御部110として、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等を用いてもよい。
【0034】
放送受信部120は、放送局から送信されてくる放送波の受信処理を実行するものである。放送局から送信され、VHFアンテナ、UHFアンテナ、パラボラアンテナ等の放送波受信用アンテナで受信された放送波をテレビ受像機100で受信すると、放送受信部120が、受信した放送波から映像や音声を再生する。放送受信部120には、例えばテレビ受像機100が受信した放送波に含まれる映像信号や音声信号をデコードして映像データや音声データを出力する映像デコーダや音声デコーダ、放送波に含まれる電子番組表(EPG)情報から電子番組表データを生成するEPGデコーダ等が含まれていてもよい。放送受信部120によって再生されたて映像データや音声データ、及び復号された電子番組表データは出力部130に送られる。
【0035】
出力部130は、放送受信部120によって再生された映像データや音声データ等に基づいて映像を表示したり音声を出力したりするものである。出力部130は、映像を表示するための、液晶表示装置や有機EL(Electro−Luminescence)表示装置その他のディスプレイや音声を表示するためのスピーカが含まれる。なお、本実施形態においては、本発明の情報処理装置の一例としてテレビ受像機100を挙げているので、テレビ受像機100の内部に出力部130を設けているが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでも無い。
【0036】
ネットワーク接続部140は、ネットワーク20に接続して、ネットワーク20に向けてデータを送出したり、ネットワーク20より送られてくるデータを受信したりするものである。本実施形態では、テレビ受像機100からサーバ300に送られるデータはネットワーク接続部140から送出され、サーバ300からテレビ受像機100に送られるデータはネットワーク接続部140で受信される。
【0037】
リモートコントローラ通信部150は、リモートコントローラ200との間で無線による通信を行うものである。リモートコントローラ通信部150は、リモートコントローラ200から無線で送信される信号を受信すると、受信した信号を制御部110に伝送する。制御部110は、リモートコントローラ通信部150で受信した信号を解析し、受信した信号に応じた動作をするように制御する。
【0038】
また、テレビ受像機100からリモートコントローラ200に対して信号を送信する必要が生じた場合には、制御部110の制御により、リモートコントローラ通信部150から無線で信号を送出する。リモートコントローラ通信部150による無線信号の送受信によりテレビ受像機100とリモートコントローラ200との間の通信が可能となる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100に含まれる制御部110の構成について説明する。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100に含まれる制御部110の構成について示す説明図である。以下、図3を用いて本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100に含まれる制御部110の構成について説明する。
【0041】
[1−3.テレビ受像機に含まれる制御部の構成]
図3に示したように、本発明の一実施形態にかかる制御部110は、ブラウザ表示部112と、ICカードアクセス処理部114と、リモートコントローラ制御部116と、を含んで構成される。
【0042】
ブラウザ表示部112は、出力部130に対するブラウザの表示を制御し、また出力部130に表示させたブラウザに対する情報の表示を制御するものである。ブラウザ表示部112は、HTML(HyperText Markup Language)やBML(Broadcast Markup Language)によって記述されたコンテンツを出力部130に表示する機能を有している。
【0043】
ICカードアクセス処理部114は、サーバ300と携帯電話400に内蔵されたICチップとの間で情報のやり取りを仲介するための処理を実行するものである。本実施形態にかかる情報処理システム10では、サーバ300と携帯電話400に内蔵されたICチップとの間で直接情報のやり取りは行わない。本実施形態にかかる情報処理システム10では、テレビ受像機100の制御部110によって動作が制御されるICカードアクセス処理部114によって情報のやり取りを行う。
【0044】
ICカードアクセス処理部114は、ブラウザ表示部112によって出力部130に表示されたコンテンツの内容に応じて、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態、すなわち、情報のやり取りの仲介が可能な状態となるようにしてもよい。例えば、ブラウザ表示部112によって出力部130に表示されたコンテンツが、商品の購入ページであった場合を考える。この場合において、ユーザが携帯電話400に内蔵されたICチップによって商品の購入ページに表示された商品の決済を希望したときに、ICカードアクセス処理部114の動作が有効となるようにしてもよい。もちろん、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態となるには、かかる例に限定されないことは言うまでも無い。
【0045】
リモートコントローラ制御部116は、リモートコントローラ200から無線送信された信号の内容を解析し、解析結果に応じてテレビ受像機100の各部の動作を制御するものである。例えば、リモートコントローラ200から無線送信された信号が音量を大きくするための信号であれば、リモートコントローラ制御部116は、信号に応じて出力部130から出力される音量を上げるように出力部130に対して指示を送出する。リモートコントローラ制御部116からの指示を受けた出力部130は、当該指示に応じて、出力部130から出力する音の音量を上げる。
【0046】
また例えば、リモートコントローラ200から無線送信された信号が、リモートコントローラ200のリーダライタ機能を開始することを通知する信号であれば、リモートコントローラ制御部116は、信号に応じてICカードアクセス処理部114の動作の状態を確認する。ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であれば、リモートコントローラ制御部116は、当該信号を送出したリモートコントローラ200に対してICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態である旨のメッセージを送出するように、リモートコントローラ通信部150に対して指示する。
【0047】
以上、本発明の一実施形態にかかるテレビ受像機100に含まれる制御部110の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の構成について説明する。
【0048】
[1−4.リモートコントローラの構成]
図4は、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の構成について示す説明図である。以下、図4を用いて、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の構成について説明する。
【0049】
図4に示したように、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200は、制御部210と、ボタン部220と、通信部230と、ICカードアクセス部240と、を含んで構成される。
【0050】
制御部210は、リモートコントローラ200の内部の各部の制御に用いられるものである。制御部210として、例えばCPUやDSP(Digital Signal Processor)等を用いてもよい。
【0051】
ボタン部220は、テレビ受像機100を遠隔操作したり、リモートコントローラ200のリーダライタ機能を開始したりするための各種ボタンが含まれているものである。テレビ受像機100を遠隔操作するボタンとしては、例えばテレビ受像機100の電源を入れたり切ったりするための電源ボタン、テレビ受像機100から出力される音量を調節するための音量ボタン、テレビ受像機100で視聴するチャンネルを選択するためのチャンネルボタン等がある。ユーザがボタン部220を構成する各ボタンを押下すると、制御部210において、押下されたボタンに対応した信号が生成される。
【0052】
通信部230は、テレビ受像機100との間で無線による通信を行うものである。ユーザがボタン部220を構成するボタンを押下すると、制御部210において、押下されたボタンに対応した信号が生成され、制御部210で生成された信号が通信部230からテレビ受像機100へ向けて無線送信される。また、テレビ受像機100からリモートコントローラ200へ向けて無線信号が送出された場合には、通信部230はその無線信号を受信して制御部210へ伝送する。
【0053】
ICカードアクセス部240は、本発明の端末通信部の一例である。ICカードアクセス部240は、非接触通信が可能なICチップを内蔵した端末(例えば携帯電話400)との間で非接触通信を行うものである。図4には図示しないが、ICカードアクセス部240には、例えば、携帯電話400との間でデータの送受信を実行するリーダライタアンテナ部、携帯電話400へ送信するデータを変調するための変調部、携帯電話400から送信されたデータを復調するための復調部等が含まれていてもよい。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の外観の一例について示す説明図である。
【0055】
図5に示した例では、リモートコントローラ200の一の面に、ボタン部220と、リーダライタアンテナ部250と、が設けられている。そして、ボタン部220には、リモートコントローラ200のリーダライタ機能を有効にするためのICカードボタン222が設けられている。ユーザがICカードボタン222を押下していない状態では、リモートコントローラ200のリーダライタ機能は有効となっていない(すなわち、リーダライタアンテナ部250はポーリング動作を実行していない)。従って、リモートコントローラ200のリーダライタ機能が無効の状態でリーダライタアンテナ部250に携帯電話400をかざしても、リモートコントローラ200と携帯電話400との間で非接触通信を行うことが出来ない。ユーザがICカードボタン222を押下すると、リモートコントローラ200のリーダライタ機能が有効となる(すなわち、リーダライタアンテナ部250はポーリング動作を開始する)。リモートコントローラ200のリーダライタ機能が有効である状態でリーダライタアンテナ部250に携帯電話400をかざすと、リモートコントローラ200と携帯電話400との間で非接触通信を行うことが出来る。
【0056】
図5に示した例では、リーダライタアンテナ部250の状態を把握するためのライト252がリモートコントローラ200の一の面に設けられている。ライト252は、リモートコントローラ200のリーダライタ機能が無効の状態には消灯し、ICカードボタン222が押されると点灯するようにしてもよい。携帯電話400に内蔵されたICチップとテレビ受像機100との間でデータの送受信が行われている場合には、ランプを予め定めた色Aで点滅させるか、または予め定めた点滅間隔Bで点滅させてもよい。そして、リモートコントローラ200と携帯電話400との間でデータの送受信が行われている場合には上記の色Aとは別の色Cで点滅させるか、または上記の点滅間隔Bとは異なる点滅間隔Dで点滅させてもよい。
【0057】
なお、図5に示した例では、リーダライタアンテナ部250の状態を把握するために、ライト252をリモートコントローラ200の一の面に設けていたが、本発明ではかかる例に限定されないことは言うまでも無い。例えば、ICカードボタン222にライトを設けても良く、リーダライタアンテナ部250にライトを設けても良い。
【0058】
ICカードアクセス部240は、ユーザがICカードボタン222を押下するまでは、リモートコントローラ200の動作電源(例えば乾電池)からの電力供給は行われていない。ユーザによるICカードボタン222の押下によって初めてICカードアクセス部240への通電が行われる。ICカードボタン222の押下によって始めてICカードアクセス部240への通電が行われることで、リモートコントローラ200の電力消費を抑えることが出来る。
【0059】
以上、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210の構成について説明する。
【0060】
[1−5.リモートコントローラに含まれる制御部の構成]
図6は、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210の構成について示す説明図である。以下、図6を用いて本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210の構成について説明する。
【0061】
図6に示したように、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210は、通信制御部212と、ICカードアクセス制御部214と、を含んで構成される。
【0062】
通信制御部212は、本発明の信号生成部の一例である。通信制御部212は、リモートコントローラ200からテレビ受像機100へ向けた無線通信を制御するものである。通信制御部212は、例えばユーザがボタン部220に設けられたボタンを押下すると、押下されたボタンに応じた信号を生成する。通信制御部212が生成した信号は、通信部230からテレビ受像機100へ向けて無線送信される。また通信制御部212は、テレビ受像機100から無線送信され、通信部230で受信した信号の内容を解析する。制御部210は、通信制御部212で解析された信号の内容に応じてリモートコントローラ200の動作を制御する。
【0063】
ICカードアクセス制御部214は、本発明の端末通信制御部の一例である。ICカードアクセス制御部214は、ICカードアクセス部240による携帯電話400へのアクセス処理(例えば、ICチップに対する読み書きなどのICカードコマンド送受信処理)を制御するものである。ICカードアクセス制御部214によるアクセス処理の制御によって、リモートコントローラ200のリーダライタアンテナ部250に携帯電話400がかざされた場合に、リモートコントローラ200から携帯電話400に対してアクセスすることができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態にかかるリモートコントローラ200に含まれる制御部210の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いた、ICカードアクセス処理について説明する。
【0065】
[1−6.ICカードアクセス処理]
図7は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理について示す流れ図である。なお、本実施形態における「ICカードアクセス処理」は、携帯電話400に内蔵されたICチップにアクセスして、ICチップへ情報を読み書きするための処理を示すものとする。以下、図7を用いて、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理について説明する。
【0066】
本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理は、リモートコントローラ200に設けられたICカードボタン222の押下によって開始される(ステップS102)。リモートコントローラ200に設けられたICカードボタン222が押下されると、ICカードボタン222の押下を制御部210で検知し、通信制御部212においてICカードボタン222が押下されたことを示す信号を生成する。そして、通信制御部212が生成した、ICカードボタン222が押下されたことを示す信号は、通信部230からテレビ受像機100へ向けて無線送信される。なお、リモートコントローラ200からは、ICカードボタン222が押下されたことを示す信号以外にも、リモートコントローラ200を識別するための情報(例えば一意に識別するための機器ID情報)が、併せてテレビ受像機100へ向けて無線送信される(ステップS104)。
【0067】
リモートコントローラ200では、ICカードボタン222が押下されると、ICカードボタン222が押下されたことをユーザに対して分かりやすく示すために、ライト252を点灯させる。ライト252の点灯は、例えばICカードアクセス制御部214によって実行されるようにしてもよい。
【0068】
テレビ受像機100は、リモートコントローラ200から無線送信された信号をリモートコントローラ通信部150で受信する。リモートコントローラ通信部150がリモートコントローラ200からの信号を受信すると、制御部110は受信した信号の内容を解析する。制御部110による解析の結果、リモートコントローラ200から無線送信された信号が、ICカードボタン222が押下されたことを示す信号であり、リモートコントローラ200を識別するための情報が含まれている場合には、テレビ受像機100がICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であるかどうかを、制御部110で判断する(ステップS106)。ステップS106における判断の結果、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であると制御部110で判断した場合には、制御部110はICカードアクセス処理部114に対して、リモートコントローラ200を識別する情報を伝送する。ICカードアクセス処理部114は、リモートコントローラ200を識別する情報を受け取ると、当該情報を保持し、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理と、ICカードアクセス処理のトランザクション制御を開始する。
【0069】
テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理は、例えば以下の手順によって開始される。ICカードアクセス処理部114が、リモートコントローラ200を識別する情報を保持すると、リモートコントローラ制御部116に対してリモートコントローラ200への応答信号の生成を指示する。当該応答信号は、ICカードアクセス処理が可能であることを示す信号である。リモートコントローラ制御部116でリモートコントローラ200への応答信号が生成されると、生成された応答信号はリモートコントローラ通信部150からリモートコントローラ200へ向けて無線送信される。リモートコントローラ200がテレビ受像機100から送信された信号を受信することで、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理が開始されることになる。
【0070】
テレビ受像機100では、ICカードアクセス処理部114は、リモートコントローラ制御部116を介して、リモートコントローラ200のICカードアクセス制御部214、ICカードアクセス部240を経由した、リモートコントローラ200にかざされた携帯電話400に対するアクセス処理を実行する。また、ICカードアクセス処理部114は、サーバ300から受信したコンテンツやプログラムに対する処理を実行する。そしてICカードアクセス処理部114は、リモートコントローラ制御部116を介して、リモートコントローラ200のICカードアクセス制御部214、ICカードアクセス部240を経由した、リモートコントローラ200にかざされた携帯電話400に対するアクセス処理を実行する。
【0071】
ところで、本実施形態にかかる情報処理システムにおいては、テレビ受像機100を遠隔操作するためのリモートコントローラは1つに限られない。本実施形態にかかる情報処理システムにおいては、2つ以上のリモートコントローラを同時に使用してテレビ受像機100を遠隔操作する場合もある。かかる場合において、どのリモートコントローラとの間でICカードに対するアクセス処理を実行すべきかをテレビ受像機100が適切に判断できないと、テレビ受像機100が意図しないICカードに対するアクセスを行ってしまうおそれがある。従って、ICカードアクセス処理部114によるICカードアクセス処理のトランザクション制御が重要になる。
【0072】
上記ステップS106における判断の結果、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であると制御部110で判断した場合には、次に、テレビ受像機100で、既にICカードアクセス処理部114によるICカードアクセス処理が実行中であるかどうかを制御部110で判断する(ステップS108)。ICカードアクセス処理部114によるICカードアクセス処理が実行中であるかどうかは、例えば、ICカードアクセス処理部114が既にリモートコントローラ200を識別する情報を保持しているかどうかで判断してもよい。
【0073】
上記ステップS108における判断の結果、ICカードアクセス処理部114によるICカードアクセス処理が実行中で無いと制御部110で判断した場合には、ICカードボタン222が押下されたリモートコントローラ200の識別情報をテレビ受像機100の内部で保持する(ステップS110)。当該情報は、上述したようにICカードアクセス処理部114で保持する。リモートコントローラ200の識別情報がテレビ受像機100の内部に保持されると、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理と、ICカードアクセス処理のトランザクション制御とが開始される(ステップS112)。
【0074】
一方、上記ステップS106における判断の結果、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であると制御部110で判断した場合、または、上記ステップS108における判断の結果、ICカードアクセス処理部114によるICカードアクセス処理が既に実行中であると制御部110で判断した場合には、テレビ受像機100は、ICカードボタン222が押下されたリモートコントローラ200に対する応答は行わない。テレビ受像機100は、リモートコントローラ200から受信したリモートコントローラ200の識別情報を破棄する(ステップS114)。ICカードボタン222が押下されたリモートコントローラ200は、テレビ受像機100からの応答の到達を所定の時間待機する。そして、テレビ受像機100からの応答が無ければ、リモートコントローラ200は、携帯電話400がかざされても、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理を行わない。
【0075】
なお、図7に示した本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理では、上記ステップS114において、テレビ受像機100は受信したリモートコントローラ200の識別情報を破棄していたが、本発明は係る例に限定されない。図8は、図7に示した本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理の別の例について示す流れ図である。
【0076】
図8では、図7に示したステップS114の処理に変えて、テレビ受像機100で保持している、現在視聴している番組の情報やテレビ受像機100に登録された機器登録情報を、テレビ受像機100からリモートコントローラ200へ送信する処理を行っている(ステップS124)。現在視聴している番組の情報としては、例えば、チャンネル情報や時刻情報等がある。また、テレビ受像機100に登録された機器登録情報としては、例えば、ユーザがテレビ受像機100に登録した郵便番号や、現在地情報等がある。なお、テレビ受像機100は、番組情報だけではなく、適切なURL情報などのインターネットに接続するための情報についても、リモートコントローラ200に対して送信しても良い。また、上記機器登録情報の例として挙げた現在地情報は、テレビ受像機100にGPS(Global Positioning System)機能を内蔵している場合には、当該GPS機能を用いて取得した現在地情報であってもよい。
【0077】
テレビ受像機100から上記ステップS124において送信された情報をリモートコントローラ200で受信すると、リモートコントローラ200は、リーダライタアンテナ部250にかざされた携帯電話400へ、受信した情報を送信することができる。
【0078】
図9は、複数のリモートコントローラ200からテレビ受像機100に対するICカードアクセス処理の開始要求が行われた場合における、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理について示す流れ図である。
【0079】
図9のステップS102及びステップS104は、図7及び図8に示した流れ図におけるステップS102及びステップS104と同様の処理であるので、詳細な説明は省略する。ICカードボタン222が押下され、リモートコントローラ200からテレビ受像機100へ信号が無線送信されると、ICカードボタン222の押下に応じたテレビ受像機100でのICカードアクセス処理が開始されたかどうかを制御部110で判断する(ステップS132)。ステップS132での判断の結果、ICカードアクセス処理が開始されたと判断されれば、テレビ受像機100とリモートコントローラ200の間でICカードアクセス処理を実施する(ステップS134)。ICカードアクセス処理が開始される場合とは、すなわち、ICカードアクセス処理部114の動作が有効な状態であり、他にICカードアクセス処理を実施しているリモートコントローラが無い場合である。
【0080】
一方、上記ステップS132での判断の結果、ICカードボタン222の押下に応じたテレビ受像機100でのICカードアクセス処理が開始されなかったと判断されれば、続いて、テレビ受像機100からリモートコントローラ200へ応答があったかどうかを、リモートコントローラ200の制御部210で判断する(ステップS136)。ステップS134における判断の結果、テレビ受像機100からの応答があったと判断されれば、テレビ受像機100から受信した情報を、リモートコントローラ200で保持している情報と併せて、リモートコントローラ200から、リーダライタアンテナ部250にかざされている携帯電話400へ送信する(ステップS138)。一方、ステップS134における判断の結果、テレビ受像機100からの応答が無かったと判断されれば、リモートコントローラ200で保持している情報のみを、リモートコントローラ200から、リーダライタアンテナ部250にかざされている携帯電話400へ送信する(ステップS140)。
【0081】
このように、リモートコントローラ200のICカードボタン222が押下されても、テレビ受像機100でICカードボタン222の押下に応じたICカードアクセス処理が開始されなかった場合には、リモートコントローラ200は、テレビ受像機100からの応答の有無によって、携帯電話400へ送信する情報を変化させる。ここで、テレビ受像機100でICカードボタン222の押下に応じたICカードアクセス処理が開始されなかった場合としては、既に他のリモートコントローラとICカードアクセス処理が実行中である場合等である。携帯電話400は、リモートコントローラ200から送信された情報を用いてその後の処理(例えばインターネットへのアクセス等)を実行することができる。
【0082】
次に、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10における、ICカードアクセス処理中におけるリモートコントローラ200の操作制御について説明する。ICカードボタン222が押下され、リーダライタアンテナ部250にかざされている携帯電話400に対するICカードアクセス処理が実行されている場合に、リモートコントローラ200のボタン部220をユーザが操作すると、ICカードアクセス処理が中断してしまうおそれがある。例えば、誤ってユーザがリモートコントローラ200のボタン部220に設けられる電源ボタンを押下してしまうと、テレビ受像機100の電源が落とされてしまい、ICカードアクセス処理が中断してしまう。そのため、リモートコントローラ200のボタン部220が操作されても、ICカードアクセス処理の実行中には、ICカードアクセス処理に影響を及ぼすような機能は制限することが望ましい。
【0083】
例えば、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ユーザによってリモートコントローラ200のボタン部220が操作され、操作されたボタンに対応した信号がリモートコントローラ200からテレビ受像機100へ無線送信された場合を考える。かかる場合において、リモートコントローラ200から無線送信された信号をテレビ受像機100で受信しても、テレビ受像機100は受信した信号を破棄する。また例えば、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、他のリモートコントローラ200からボタン部220の操作に基づく信号がテレビ受像機100へ無線送信された場合を考える。かかる場合においても、テレビ受像機100との間でICカードアクセス処理を実行していない他のリモートコントローラ200から無線送信された信号をテレビ受像機100で受信しても、テレビ受像機100は受信した信号を破棄する。このようにテレビ受像機100は受信した信号を破棄することで、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ユーザによってリモートコントローラ200のボタン部220が操作されたときであっても、ICカードアクセス処理に影響を及ぼさない。
【0084】
なお、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ICカードアクセス処理を解除するためのボタンがリモートコントローラ200で押下された場合には、テレビ受像機100は当該押下に応じてリモートコントローラ200から無線送信された信号に基づいて、ICカードアクセス処理を停止させてもよい。ICカードアクセス処理を解除するためのボタンは、ICカードボタン222であってもよく、ICカードボタン222とは別のボタンであってもよい。また例えば、複数のボタンに対して、ICカードアクセス処理を解除するためのボタンを定義しても良い。例えば、ICカードアクセス処理を実行中に電源のオフのみを認めると定めた場合には、電源ボタンをICカードアクセス処理の解除のためのボタンと定義してもよい。
【0085】
上述の説明では、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ユーザによってリモートコントローラ200のボタン部220が操作されたときは、テレビ受像機100においてリモートコントローラ200から送信された信号を破棄していたが、本発明においては係る例に限定されない。テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ユーザによってリモートコントローラ200のボタン部220が操作されたときは、リモートコントローラ200において信号の生成を制限してもよい。例えば、ICカードアクセス処理を解除するためのボタン以外のボタンが押下されても、当該ボタンの押下に応じた信号を生成しないように、制御部210で制限してもよい。また、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ICカードアクセス処理に影響を及ぼさないボタンがリモートコントローラ200で押下された場合には、当該ボタンの押下に基づく信号を生成しても良い。ICカードアクセス処理に影響を及ぼさないボタンとしては、例えば音量の調節ボタンであってもよい。また、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が実行されている場合に、ICカードアクセス処理に影響を及ぼさないボタンが、テレビ受像機100との間でICカードアクセス処理を実行していない他のリモートコントローラ200で押下されたときは、他のリモートコントローラ200は、当該ボタンの押下に基づく信号を生成しても良い。
【0086】
以上、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム10における、ICカードアクセス処理中におけるリモートコントローラ200の操作制御について説明した。
【0087】
<2.まとめ>
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、ユーザによって、リモートコントローラ200のICカードボタン222が押下された場合に初めてICカードアクセス部240への通電が行われる。ICカードボタン222の押下によって始めてICカードアクセス部240への通電が行われることで、リモートコントローラ200の電力消費を抑えることが出来る。
【0088】
また、本発明の一実施形態によれば、リモートコントローラ200のICカードボタン222が押下されたことをテレビ受像機100で検知する。そして、テレビ受像機100で、ICカードボタン222が押下されたリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理が可能な状態であれば、テレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理を開始する。このようにテレビ受像機100とリモートコントローラ200との間でICカードアクセス処理を開始することで、テレビ受像機100は、リモートコントローラ200のリーダライタアンテナ部250にかざされた携帯電話400に対してアクセスすることができる。
【0089】
また、本発明の一実施形態によれば、テレビ受像機100が既に他のリモートコントローラとの間でICカードアクセス処理を実行していれば、別のリモートコントローラ200のICカードボタン222が押下されても、そのリモートコントローラ200とはICカードアクセス処理を実行しない。このようにICカードアクセス処理を制限することで、テレビ受像機100に対して複数のリモートコントローラが存在する場合であっても、1対1のICカードアクセス処理を実行することができる。
【0090】
また、本発明の一実施形態によれば、リモートコントローラ200のICカードボタン222が押下されても、テレビ受像機100がそのリモートコントローラ200との間のICカードアクセス処理を開始できない場合には、リモートコントローラ200からリーダライタアンテナ部250にかざされた携帯電話400に対して情報を送信する。リモートコントローラ200から携帯電話400へは、例えばリモートコントローラ200の情報を送信したり、テレビ受像機100から受信した情報を送信したりすることができる。このように携帯電話400に対して情報を送信することで、携帯電話400では受信した情報を用いた処理が可能となる。
【0091】
また、本発明の一実施形態によれば、リモートコントローラ200のICカードボタン222が押下されて初めてICカードアクセス処理が可能となる。従って、ユーザの意図しない携帯電話400へのアクセスを制限することができる。
【0092】
なお、上述した情報処理システム10を用いたICカードアクセス処理は、ハードウェアによって行われるようにしてもよく、ソフトウェアによって行われるようにしてもよい。ソフトウェアによって行われるようにする場合には、テレビ受像機100やリモートコントローラ200の内部にコンピュータプログラムを格納し、格納されたコンピュータプログラムを制御部110、210が読み出して順次実行するようにしてもよい。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0094】
10 情報処理システム
100 テレビ受像機
110 制御部
112 ブラウザ表示部
114 ICカードアクセス処理部
116 リモートコントローラ制御部
120 放送受信部
130 出力部
140 ネットワーク接続部
150 リモートコントローラ通信部
200 リモートコントローラ
210 制御部
212 通信制御部
214 ICカードアクセス制御部
220 ボタン部
222 ICカードボタン
230 通信部
240 ICカードアクセス部
250 リーダライタアンテナ部
252 ライト
300 サーバ
400 携帯電話


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部を含む操作部と、
前記端末通信移行部によって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する端末通信部と、
前記移行指示に応じた移行指示信号を含む、前記操作部に対する操作に応じた信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信部と、
前記送信部から送信した前記移行指示信号に対する前記情報処理装置からの応答を前記情報処理装置から無線受信する受信部と、
前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する端末通信制御部と、
を備える、無線通信装置。
【請求項2】
前記通信端末と前記情報処理装置との間で情報を送受信している場合に前記操作部に対する操作がなされたときは、前記信号生成部は信号の生成を制限する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、前記端末通信部と前記通信端末との間の接触通信または非接触通信に影響しない操作が前記操作部に対してなされた場合には、該操作に応じた信号を生成する、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記端末通信制御部は、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にないことを検知すると無線通信装置固有の情報を前記通信端末に対して送信するよう前記端末通信部を制御する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記端末通信制御部は、前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあるが他に情報を送受信している通信端末が存在していることを示すものである場合には、無線通信装置固有の情報及び前記情報処理装置における動作状況に関する情報を前記通信端末に対して送信するよう前記端末通信部を制御する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記動作状況に関する情報は視聴中の番組に関する情報である、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記信号生成部は、前記端末通信部と前記通信端末との間の接触通信または非接触通信に影響しない操作が前記操作部に対してなされた場合には、該操作に応じた信号を生成する、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項8】
無線端末から無線送信される信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した信号に、前記無線端末から接触通信または非接触通信を行う通信端末への通信を可能な状態に移行させる移行指示が含まれているかどうかを解析する信号解析部と、
前記信号解析部での解析の結果、前記移行指示が含まれている場合において、前記通信端末に対する通信処理が可能な状態にあり、かつ、情報を送受信している他の通信端末の存在が無いときに、前記移行指示に対する応答を生成する応答生成部と、
を含む、情報処理装置。
【請求項9】
接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する送出ステップと、
前記送出ステップによって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する移行ステップと、
前記移行指示に応じた移行指示信号を生成する信号生成ステップと、
前記信号生成ステップが生成した前記移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信ステップと、
前記送信ステップで送信した前記移行指示信号に対する応答を前記情報処理装置から無線受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する制御ステップと、
を備える、無線通信方法。
【請求項10】
無線によって信号を送受信する無線通信装置と、
前記無線通信装置との間で無線によって信号を送受信する情報処理装置と、
を含み、
前記無線通信装置は、
接触通信または非接触通信を行う通信端末に対する通信を可能な状態に移行させる移行指示を送出する端末通信移行部を含む操作部と、
前記端末通信移行部によって送出される前記移行指示により前記通信端末に対する接触通信または非接触通信が可能な状態に移行する端末通信部と、
前記移行指示に応じた移行指示信号を含む、前記操作部に対する操作に応じた信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部が生成した移行指示信号を情報処理装置に対して無線送信する送信部と、
前記送信部から送信した前記移行指示信号に対する前記情報処理装置からの応答を前記情報処理装置から無線受信する受信部と、
前記受信部が受信した応答が、前記情報処理装置において前記通信端末との間の情報の送受信が可能な状態にあり、かつ他に情報を送受信している通信端末が存在していないことを示すものである場合に限り、前記通信端末と前記情報処理装置との間の情報の送受信の制御を開始する端末通信制御部と、
を備え、
上記情報処理装置は、
無線端末から無線送信される信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した信号に、前記無線端末から接触通信または非接触通信を行う通信端末への通信を可能な状態に移行させる移行指示が含まれているかどうかを解析する信号解析部と、
前記信号解析部での解析の結果、前記移行指示が含まれている場合において、前記通信端末に対する通信処理が可能な状態にあり、かつ、情報を送受信している他の通信端末の存在が無いときに、前記移行指示に対する応答を生成する応答生成部と、
を備える、情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−206317(P2010−206317A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47230(P2009−47230)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】