説明

無線通信装置およびデータ処理方法

【課題】小型,低消費電力,低価格を実現することができる無線通信装置を得ること。
【解決手段】HNBとしての機能する無線通信装置であって、E−DCH,RACHで同時に送信する端末の数を制限し、無線受信データを格納するUL TrCHメモリ15と、MAC処理の処理対象を、処理スロットごとにUL DCHデータとRACHデータとのうちの1つ未満と、E−DCHデータと、のうちの2つ未満とし、1処理スロット内のUL DCHデータ,E−DCHデータ,RACHデータの処理量の上限値を最小TTIに対応するデータ量とし、最小TTI以外の送信間隔で送信された無線受信データを分割し、分割したデータを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択するUL MAC9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用基地局(Home NodeB:HNB)として機能する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規格化されている移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Terrestrial System)では様々なサイズ,到着間隔で到来するユーザデータの無線伝送を行なうために無線インタフェースプロトコルを適用している(下記非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。無線インタフェースプロトコルは、ユーザデータに対して、適切なサイズへ分割・連結したり、無線伝送における誤り・消失,順序逆転への対処を行ない、無線伝送データとする。
【0003】
無線インタフェースプロトコルには、たとえば、PDCP(Packet Data Convergence Protocol),RLC(Radio Link Control),MAC(Media Access Control)があり、いずれも端末(UE:User Equipment)側とネットワーク側(RAN:Radio Access Network)の両方に配置される。
【0004】
PDCPは、各種プロトコルのヘッダ圧縮やロスレスハンドーバを行なうためのプロトコルであり、UEおよび無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)で終端する。RLCはデータの分割・連結,ARQ(Automatic Repeat reQuest)による再送制御,暗号化,インテグリティ等を行なうプロトコルであり,UEおよびRNCで終端する。
【0005】
MACは無線伝送チャネルに最適な無線伝送データの多重・送信スケジューリング,無線伝送データのレートに応じた無線伝送チャネルの選択,暗号化,HARQ(Hybrid ARQ)による高速再送制御等を行なうプロトコルであり、UE、RNCおよび基地局(BTS:Base Transceiver Station)で終端する。RAN側のMACプロトコル処理としては、BTSが、高速無線パケットアクセス(HSPA:High Speed Packet Access)チャネルで送信する無線伝送データに対して、HARQ,ユーザ多重,送信スケジューリングを行ない、その他の処理をRNCが行なう。以下、RAN側のMACプロトコル処理のうちBTSが行なう処理とRNCが行なう処理を区別するために、BTSが行なう処理を無線MAC処理と呼び、RNCが行なうMAC処理をMAC処理と呼ぶこととする。
【0006】
RNCは、ネットワークからUE方向へのデータ(下りデータ)に対して無線インタフェースプロトコル処理(PDCP処理,RLC処理,MAC処理等)を行なった後、そのデータの宛先のUEが接続しているBTSへ伝送する。このとき、RNCは、無線伝送データに対して有線伝送区間であるRNC−BTS間の伝送のためのフレーム化を行なうフレームプロトコルを適用し、複数のデータや付随情報をカプセル化したデータとする。また、RNCは、BTSが選択している無線伝送チャネルに合わせたデータ送信間隔(TTI:Transmission Time Interval)で、フレーム化された無線伝送データをBTSに送信する。
【0007】
BTSは、下りデータ(フレーム化された無線伝送データ)を受信すると、フレーム化された受信データから送信データを取り出す。そして、BTSは、無線伝送チャネルとしてHSPAチャネルが選択されている場合には、送信データに対して無線MAC処理を行ない、さらに、誤り訂正,インターリーブ,拡散等の処理を行なってUEに下りデータとして無線伝送する。UEは、BTSから下りデータを受信すると、上記のBTSおよびRNCが行なった処理の逆処理を行ない、下りユーザデータを復元してアプリケーションに渡す。
【0008】
UEからネットワーク方向へのデータ(上りデータ)については、UEが無線プロトコル処理,無線MAC処理,無線送信処理を行ない、BTSにデータを無線伝送する。BTSは、上りデータを受信すると、逆拡散,デインタリーブ,誤り訂正処理を行なう。そして、BTSは、上りデータの無線伝送にHSPAチャネルを使用している場合にはさらに無線MAC処理を行なって無線伝送データを復元してRNCに送信する。下りデータと同様に、BTSからRNCへ無線伝送データを送信する際にはフレームプロトコルが適用され、複数の無線伝送データ及び付随情報がカプセル化されたデータが無線伝送チャネルのTTIに合わせた送信間隔で送信される。RNCは、BTSからフレーム化された無線伝送データを受信すると送信データを取り出し、無線インタフェースプロトコル処理を行なってユーザデータを復元して宛先ユーザに転送する。
【0009】
一方、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、不感地の解消,付加サービスの提供を目的として、家庭用基地局(HNB)と呼ばれるBTS(Base Transceiver Station)に関する規格化が進められている。たとえば、HNBの機能構成,HNB収容RAN(Radio Access Network)アーキテクチャ,ネットワークサービス等の規格化が進められている。
【0010】
HNBは、セル半径が極めて小さく、セルあたりの同時接続UE(User Equipment)数も通常のBTSに比べて少ない。一方、HNBの無線伝送能力は屋外をカバーするBTSの伝送能力と同等であるため、有限の無線リソースを限られた空間,UEで独占使用することにより、UEあたりの無線伝送速度が向上する利点がある。しかし、HNB1台がカバーする領域が小さいため、設置されるHNBの数は従来のBTSに比べて膨大になることが予想され、RANまたはコアネットワーク(CN;Core Network)への負荷増大等の影響が懸念される。
【0011】
そこで、3GPPでは、HNBがRANまたはCNに与える影響を最小限とするためのRAN構成およびHNBへの機能配置について検討され、その結果が下記非特許文献4として規格化されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS25.201,“Physical layer−General description(Release 6)”,V6.2.0,2005−06
【非特許文献2】3GPP TS25.301,“Radio Interface Protocol Architecture(Release 6)”,V6.6.0,2008−03
【非特許文献3】3GPP TS25.401,“UTRAN overall description(Release 6)”,V6.9.0,2006−12
【非特許文献4】3GPP TS25.467,“UTRAN architecture for 3G Home Node B(HNB);Stage 2(Release 8)”,V8.2.0,2009−6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
HNBは、ユーザ宅内に設置され宅内UEと接続して使用するのが主な用途であるため、装置は小型,低消費電力,低価格であることが求められる。しかしながら、上記非特許文献4によれば、HNBは、従来の移動体通信システム(たとえば、上記非特許文献1〜非特許文献3で規定されているような)におけるBTSおよびRNCの両方の機能を有する必要がある。すなわち、HNBは、BTSとしての各処理に加え、RAN側の無線インタフェースプロトコル処理も行なう必要がある。そのため、上記非特許文献4に記載の規格では、HNBの装置の小型,低消費電力,低価格が困難である、という問題があった。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、BTSとしての各処理に加えRAN側の無線インタフェースプロトコル処理を実施する場合に、小型,低消費電力,低価格を実現することができる無線通信装置およびデータ処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、無線接続する端末から無線受信データを受信し、前記無線受信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施する無線伝送処理手段と、無線ネットワークコントローラとしての無線インタフェースプロトコル処理を実施する無線インタフェースプロトコル処理手段と、を備える無線通信装置であって、前記無線伝送処理手段は、E−DCHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第1の制限数以下とし、RACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第2の制限数以下とするよう制御し、前記無線伝送処理手段による処理後の前記無線受信データを格納するための受信データ格納手段と、前記無線インタフェースプロトコル処理手段が前記無線受信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である処理スロットごとに、UL DCHで受信した前記無線受信データであるUL DCHデータとRACHで受信した前記無線受信データであるRACHデータとのうちの1つ未満と、E−DCHで受信した前記無線受信データであるE−DCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1処理スロット内の前記UL DCHデータの処理量の上限値をUL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1処理スロット内の前記E−DCHデータの処理量の上限値を前記第1の制限数にE−DCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1処理スロット内の前記RACHデータの処理量の上限値を前記第2の制限数にRACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信された最小送信間隔データを各処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信された前記無線受信データをそのデータの送信されたチャネルの処理量の上限値ごとに分割し、分割したデータを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択する処理対象データ選択手段と、を備え、前記無線インタフェースプロトコル処理手段は、処理スロットごとに、前記処理対象データ選択手段がその処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを前記受信データ格納手段から読み出して処理する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ULトランスポートチャネル処理後のデータを蓄積するためのULトランスポートチャネル記憶手段と、を備え、無線インタフェースプロトコル処理の処理対象を、所定の処理単位時間ごとに、1UE分以下の最小TTIに対応するデータ量分のUL DCHまたは所定の制約数以下のUEのRACHデータと、所定の制約数以下のUEの最小TTIに対応するデータ量のE−DCHデータと、とし、最小TTI以外のデータは受信した場合はそのデータは複数回に分けて処理するようにしたので、BTSとしての各処理に加えRAN側の無線インタフェースプロトコル処理を実施する場合に、小型,低消費電力,低価格を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明にかかる無線通信装置の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、MAC処理の処理対象とする無線伝送データを示す図である。
【図3】図3は、MAC処理の処理対象とする無線伝送データの別の一例を示す図である。
【図4】図4は、DL MACの処理対象データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる無線通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明にかかる無線通信装置の機能構成例を示す図である。本実施の形態の無線通信装置は、HNBとして用いられ、UEと無線通信を行なうとともに、「3GPP TS25.467,“UTRAN architecture for 3G Home Node B(HNB);Stage 2(Release 8)”」で規定されているようにBTSとしての無線伝送処理とRNCとしてのRAN側の無線インタフェースプロトコル処理(MAC処理,RLC処理,PDCP処理等)とを実施する。図1では、この無線伝送処理を行なう機能部と無線インタフェースプロトコル処理を行なう機能部とを示している。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の無線通信装置は、無線物理レイヤ部1と、RACH(Random Access CHannel)処理部2と、UL DCH(Dedicated CHannel)処理部3と、E−DCH(Enhanced Dedicated CHannel)処理部4と、HS−DSCH(High Speed Downlink Shared Channel)処理部5と、DL DCH処理部6と、PCH(Paging CHannel)/FACH(Forward Access CHannel)処理部7と、無線MAC処理部8と、UL MAC処理部(UL MAC)9と、UL RLC処理部(UL RLC)10と、UL PDCP処理部(UL PDCP)11と、DL MAC処理部(DL MAC)12と、DL RLC処理部(DL RLC)13と、DL PDCP処理部(DL PDCP)14と、UL TrCH(Transport CHannel)メモリ15と、DL TrCHメモリ16と、DL RLC SDU メモリ17と、を備える。
【0021】
また、RACH処理部2と、UL DCH処理部3と、E−DCH処理部4と、は、無線物理レイヤ部1から復調データを受信し、誤り訂正・無線伝送データの分離を行なうULトランスポートチャネル処理部を構成する。
【0022】
HS−DSCH処理部5と、DL DCH処理部6と、PCH/FACH処理部7と、は、無線伝送データに対して多重・誤り訂正符号化を行ない、無線物理レイヤ部1に変調データを送信するDLトランスポートチャネル処理部を構成する。
【0023】
UL MAC9と、UL RLC10と、UL PDCP11と、は、ULトランスポートチャネル処理部から受信した無線伝送データに対して無線インタフェースプロトコル処理を行ない、UEが送信したユーザデータを復元するUL無線インタフェースプロトコル処理部を構成する。
【0024】
DL MAC12と、DL RLC13と、DL PDCP14と、は、UEへ送信するユーザデータに対して無線インタフェースプロトコル処理を行ない無線伝送データとし、DL無線インタフェースプロトコル処理部を構成する。
【0025】
また、UL無線インタフェースプロトコル処理部とDL無線インタフェースプロトコル処理部は上述のようにRNCとしての処理を実施する処理部であり、無線物理レイヤ部1,無線MAC処理部8,ULトランスポートチャネル処理部,DLトランスポートチャネル処理部は、通常の基地局としての無線伝送処理を実施する処理部である。
【0026】
無線物理レイヤ部1は、UEとの間で無線送受信を行なう。無線MAC処理部8は、高速パケットアクセスチャネルで送受信を行なうUEおよびパケットデータのスケジューリングを行なう。UL TrCHメモリ15は、RACH処理部2、UL DCH処理部3およびE−DCH処理部4から出力される無線伝送データ(UEからの受信データ)を格納するためのメモリ(受信データ格納手段)であり、DL TrCHメモリ16は、DL MAC処理12から出力されるMAC処理後の無線伝送データ(UEへの送信データ)を蓄積するためのメモリ(送信データ格納手段)である。また、DL RLC SDUメモリ17は、DL PDCP14から出力されるデータを蓄積するためのメモリである。
【0027】
つぎに、本実施の形態の動作を説明する。まず、UEから無線伝送データを受信した際の処理であるUL受信処理を説明する。無線物理レイヤ部1は、UEから受信したデータを復調し、ULトランスポートチャネル処理部へ復調データを渡す。また、UEから復調したデータのうち高速下りパケットアクセスチャネルで送信された送達確認を無線MAC処理部8へ渡す。
【0028】
なお、ULトランスポートチャネル処理部の処理は、トランスポートチャネル種別毎に、TTI,無線伝送データのサイズ,多重方法が異なるため、本実施形態では、RACHトランスポートチャネル,DCHトランスポートチャネル,E−DCHトランスポートチャネルの3つの種別に対応してRACH処理部2,UL DCH処理部3,E−DCH処理部4の3種類の処理部を備えることとしている。そのため、無線物理レイヤ部1は、RACHトランスポートチャネルで受信したデータ,DCHトランスポートチャネルで受信したデータ,E−DCHトランスポートチャネルで受信したデータの復調データを、それぞれRACH処理部2,UL DCH処理部3,E−DCH処理部4へ出力する。
【0029】
RACH処理部2は、RACHトランスポートチャネルで受信した復調データに対して誤り訂正処理を実施した後に、情報データ部分(無線伝送データ)を抽出し、抽出した無線伝送データをUL TrCHメモリ15へ格納する。なお、UL TrCHメモリ15は、全UEが共通で用いる、RACH受信領域,UL DCH受信領域,E−DCH受信領域にあらかじめ領域分けされていることとし、RACH処理部2は、復元後の無線伝送データをUL TrCHメモリ15のRACH受信領域へ格納する。
【0030】
RACHは、複数のユーザが互いに衝突を回避しながらデータを送信するランダムアクセスによる共通チャネルである。RACHを無線伝送する無線物理チャネルはPRACH(Physical Random Access CHannel)と呼ばれ、TTI=10msまたは20msで1UE分のデータを伝送することができる。なお、UEとHNBは一般に複数のPRACHを使用することにより、複数UEが同時にデータを送信できるようにするが、本実施の形態の通信装置とUEとの間では1つのPRACHのみを使用することとする。
【0031】
UL DCH処理部3はDCHトランスポートチャネルで受信した復調データに対して誤り訂正処理を実施した後に、無線伝送データを抽出し、抽出した無線伝送データをUL TrCHメモリ15のUL DCH受信領域へ格納する。DCHはUEからHNB方向,HNBからUE方向にそれぞれ設定することが可能であり、本実施形態では前者をUL DCHと呼び、後者をDL DCHと呼ぶ。DCHはUEごとに設定する個別チャネルである。また、同一UEに複数のDCHを設定することができる。
【0032】
DCHを無線伝送する無線物理チャネルはDPCH(Dedicated Physical CHannel)と呼ばれ、UEごとに設定され、また同一UEに設定された複数のDCHを多重してTTI=10ms,20ms,40msのいずれかで伝送する。DPCHは、UE数分設定することになるが、本実施の形態の通信装置では、接続可能なUEの数の上限を定める。ここでは、たとえば4つと仮定し、DPCHは最大で4つ設定されることとする。
【0033】
E−DCH処理部4は、E−DCHトランスポートチャネルで受信した復調データに対して誤り訂正処理を実施した後に、無線伝送データおよびスケジューリング情報を抽出する。そして、抽出した無線伝送データをUL TrCHメモリ15のE−DCH受信領域へ格納し、また、スケジューリング情報を無線MAC処理部8へ通知する。
【0034】
E−DCHは、DCHと同様にUEごとに設定される個別チャネルである。また、同一UEに複数のMAC−dフローを設定可能である。しかし、本実施の形態では、後述するように無線MAC処理部8が同時に1UEのみE−DCHデータを送信できるように制御する。したがって、E−DCH処理部4はUEの識別子とともに高々1UEのE−DCHデータを格納できるE−DCH受信領域をUL TrCHメモリ15内に設ければよい。
【0035】
E−DCHを無線伝送する無線物理チャネルは、E−DPCH(Enhanced Dedicated Physical CHannel)と呼ばれ、UEごとに設定され、1つのE−DCHデータをTTI=2msまたは10msで伝送する。E−DPCHは、UE数分設定するため、本実施の形態では、DPCHの説明で述べたように、接続可能なUEの数の上限(ここでは4とする)を定めるため、E−DPCHは最大で4つ設定される。
【0036】
E−DCHでは、大容量のパケットデータを高速に伝送するためにデータ伝送中は大きな送信電力となり、UE間の干渉が増えて逆にデータ伝送速度が低下するという問題が発生する。そのため、HNBは、各UEが使用可能な送信電力の上限および送信タイミングを制御し、UE間干渉を抑制する。
【0037】
この送信電力・送信タイミング制御の方法の1つとして、あるUEの送信電力をゼロとし、空いた送信電力を他のUEに割り当て、送信電力をゼロとするUEを順次切り替えていく「Time and Rate Scheduling」方式がある。この方式は、「3GPP TR25.896,“Feasibility study for enhanced uplink for UTRA FDD”,2004−4」に記載されている。この方式によれば、E−DCHデータを同時に送信可能なUEの数を1つとすることができる。本実施の形態の通信装置では、無線MAC処理部8が「Time and Rate Scheduling」方式によりUE送信電力の範囲および送信タイミングを決定し、無線物理レイヤ部1経由でUEに通知することとする。
【0038】
UL MAC9は、UL TrCメモリ15からRACH処理部2、UL DCH処理部3およびE−DCH処理部4が格納した無線伝送データを読み出し、無線伝送データに対してMAC処理を実施し、処理後のデータをUL RLC10に出力する。MAC処理の詳細は、「3GPP TS25.321,”Medium Access Control (MAC) protocol specification”,2009−6」を参照されたい。
【0039】
UL MAC9が処理する無線伝送データは、前述のとおり無線物理チャネルの特性によりチャネルごとにデータ到来間隔が異なるが、本実施の形態では、トランスポートチャネルごとのトランスポートチャネル処理後にUL TrCHメモリ15に格納することで、MAC処理を以下のように逐次的に実施することができる。
【0040】
UL MAC9が実施するMAC処理の処理対象とする無線伝送データの順を以下に説明する。図2は、MAC処理の処理対象とする無線伝送データを示す図である。UL MAC9は、2msごとにUL TrCHメモリ15から処理対象の無線伝送データを選択し、その無線伝送データ処理に対してMAC処理を行なう。2msを1スロットとし、10msの無線フレーム周期内の5スロットを、先頭から順に第1処理スロット〜第5処理スロットとする。
【0041】
各処理スロットでは、高々1UE分のDCHデータ(DCHトランスポートチャネルで送信された無線伝送データ)またはRACHデータ(RACHトランスポートチャネルで送信された無線伝送データ)と、高々1UE分のE−DCHデータ(E−DCHトランスポートチャネルで送信された無線伝送データ)を処理する。たとえば、本実施の形態の通信装置に4つのUEが接続し、接続している4つのUE(第1〜第4のUEとする)がDCHトランスポートチャネルを確立しているとし、TTIは4つのUEとも10msであるとする。
【0042】
この場合に、第1の処理スロットでは第1のUEのDCHデータを、第2の処理スロットでは第2のUEのDCHデータを、第3の処理スロットでは第3のUEのDCHデータを、第4の処理スロットでは第4のUEのDCHデータを処理することとする。また、第5の処理スロットはRACHの処理をするスロットとし、第5の処理スロットまでに受信した未処理のRACHデータが残っている場合には第5の処理スロットでその未処理のRACHデータを処理する。また、これらの第1〜第5の処理スロットの間にいずれかのUEからE−DCHデータを受信した場合、データを受信した処理スロットで受信したE−DCHデータを処理する。E−DCHデータを受信した第1〜第4の処理スロットでは、DCHデータの処理とE−DCHデータの処理とを行なうことになる。
【0043】
一方、前述のように、TTIは、UL DCHでは10,20,40msの3つ、RACHでは10ms,20msの2つ、E−DCHでは2ms,10msの2つ、を用いることができる。同一トランスポートチャネルではTTIが大きくなると一度に受信するデータ多くなる。たとえば、UL DCHでは、TTI=20msで送信されるデータはTTI=10msで送信されるデータの倍のサイズとなる。そこで、本実施の形態では、処理を平滑化するために、UL MAC9は、UL TrCHメモリ15から処理対象の無線伝送データを読み出す際、DCHおよびRACHではTTI=10ms時相当のデータのみを、E−DCHではTTI=2ms時相当のデータのみを、受信した処理スロットで処理する。そして、未処理のTTIのデータは、受信した処理スロットだけでなく、他の処理スロットでも処理するようにする。
【0044】
たとえば、図2では、第1〜第3のUEがDCHを確立し、第1および第3のUEからはTTI=10msのDCHデータが、第2のUEからはTTI=20msのDCHデータが送信され、また、第4のUEからはTTI=10msでE−DCHデータが送信される例を示している。
【0045】
第1の処理スロットである処理スロット21では、第1のUEのDCHデータ#0と第1のUEのE−DCHデータ#0を処理する。第2のスロットである処理スロット22では、第2のUEのDCHデータ#1と第1のUEのE−DCHデータ#0を処理する。第3のスロットである処理スロット23では、第3のUEのDCHデータ#2を処理する。また、第3のスロットである処理スロット28では、第3のUEのDCHデータ#2と第4のUEのE−DCHデータ#3を処理する。このとき、第2のUEのDCHデータ#1のサイズはTTI=10msの場合の倍のサイズであるため、2つの処理スロットを用いて処理することとし、DCHデータ#1のうちの半分を処理スロット22で処理し、残りの半分を次の無線フレーム周期の第2の処理スロットである処理スロット27で処理する。
【0046】
また、処理スロット23,処理スロット26,処理スロット27では、E−DCHデータを受信していないため、それぞれ第3のUEのDCHデータ#2,第1のUEのDCHデータ#0,第2のUEのDCHデータ#1(残り半分)のみを処理する。また、処理スロット24,処理スロット29では、第4のUEがDCHを確立していないため、E−DCHの処理のみを行なう。
【0047】
また、第4のUEのE−DCHは、TTIが10msであり、データサイズがTTIが2msの場合のデータのサイズより大きい。したがって、ここでは、TTIが10msのデータサイズを2回に分けて処理する例を示している。したがって、処理スロット28では、第4のUEから受信したE−DCH#3の半分の量を処理し、処理スロット29では、第4のUEから受信したE−DCH#3の残り半分を処理する。
【0048】
また、第5の処理スロットである処理スロット25,処理スロット30では、その時点までに未処理のRACHデータがUL TrCHメモリ15にある場合に、RACHデータを処理する。図2の例では、処理スロット25では、E−DCH#1を受信しているため、RACHデータの処理とR−DCH#1の処理との両方を行なう。
【0049】
図3は、MAC処理の処理対象とする無線伝送データの別の一例を示す図である。図3では、第2のUEのDCHのTTIが40msであり、また、RACHのTTIが20msである場合を示している。第2のUEから送信された40msのTTIで送信されたデータを約1/4ずつに分割し、4回の無線フレーム周期にわたって第2のUEの処理スロットである第2の処理スロットで約1/4ずつに分割されたそれぞれのデータを処理している。また、RACHの処理スロットである第5の処理スロットでは、2回の無線フレーム周期にわたっておよそ半分ずつに分割されたデータを処理する。
【0050】
このように、10msの無線フレーム周期をE−DCHの最小TTIである2msを単位とするスロットに分割し、UEごとにDCHを処理するスロットを定めておき、また、RACHを処理するスロットを定めておく。そして、DCHデータは各UEに対応する処理スロットとで処理し、E−DCHデータは受信した処理スロットで処理する。また、TTIの最小値以外のTTIで送信されたデータは、複数に分割し複数の処理スロットを用いて処理する。
【0051】
つぎに、UL RLC10は、UL MAC9から出力されるMAC処理後の無線伝送データに対してRLC(Radio Link Control)処理を実施する。RLC処理の詳細は、「3GPP TS25.322,”Radio Link Control(RLC) protocol specification”,2009−6」を参照されたい。
【0052】
本実施の形態のUL RLC10は、UL MAC9の処理スロットの長さと同じ2msごとにRLC処理を行なう。UL RLC10は、2msごとに、UL MAC9が出力する、高々1UEの最小TTIに対応するデータの処理(最小TTIで送信されるデータサイズのデータに対する処理)またはRACHデータに対する処理と、高々1UEの最小TTIに対応するデータの処理と、を実施し処理結果をUL PDCP11に出力する。
【0053】
UL PDCP11は、UL RLC10から出力されるRLC処理後の無線伝送データに対してPDCP処理を実施する。PDCP処理の詳細は、「3GPP TS25.323,”Packet Data Convergence Protocol(PDCP) specification”,2009−6」を参照されたい。
【0054】
UL PDCP11も、UL MAC9,UL RLC10と同様に2msごとにPDCP処理を実施する。UL PDCP11は、2msごとに、UL RLC10が出力する、高々1UEの最小TTIに対応する処理(最小TTIで送信されるデータサイズのデータに対する処理)またはRACHデータに対するデータの処理と、高々1UEの最小TTIに対応するデータの処理と、を実施する。なお、PDCPはすべての無線伝送データに適用されるわけではなく、適用されない無線伝送データに対してはUL PDCP11の処理は実施しない。
【0055】
UL PDCP11は、PDCP処理後のデータは、後RRCシグナリングメッセージ,ユーザデータ,放送データに加工され、図示しない後段の各部に配送される。たとえば、HNBではRRCシグナリングメッセージを自装置内で処理するため、自装置内のRRC処理部(図示せず)に配送される。また、たとえば、ユーザデータがローカルエリアネットワーク上の他機器宛てのIP(Internet Protocol)パケットの場合は、そのIPパケットをローカルネットワークに送出する。
【0056】
つぎに、UEに対して無線伝送データを送信する際の処理であるDL送信処理を説明する。本実施の形態のDLトランスポートチャネル処理部は、前述のようにHS−DSCH処理部5,DL DCH処理部6,PCH/FACH処理部7で構成される。トランスポートチャネル種別毎にTTI,無線伝送データのサイズ・多重方法が異なるため、ULトランスポート処理部と同様にDLトランスポートチャネル処理部もトランスポートチャネルごとに処理部を設けている。なお、本実施の形態の無線通信装置は一般のHNBと同様に、定期的にセル報知情報を送信するBCH(Broadcast CHannel)トランスポートチャネル処理部を備えるが、BCHについては無線インタフェースプロトコル処理が不要であるため、BCHの処理については説明を省略する。
【0057】
無線物理レイヤ部1はDLトランスポートチャネル処理部から受信する無線伝送データの他,送信電力,E−DCH HARQ送達確認,HS−DSCHにおけるユーザスケジューリング情報等の制御情報を無線伝送する。DLトランスポートチャネル処理部が受信する無線伝送データ以外の制御情報は、無線MAC処理部8が生成・処理し無線物理レイヤ部1へ渡す。
【0058】
HS−DSCH処理部5は、HS−DSCHトランスポートチャネルで送信する無線伝送データを、DL TrCHメモリ16から読み出し、読み出したデータに対して多重・誤り訂正符号化処理を実施し、処理後のデータを無線物理レイヤ部1に出力する。なお、DL TrCHメモリ16に格納されるデータについては後述する。HS−DSCH処理部5が出力するデータは複数のUEのデータを多重したデータとなる。また、同一UEに対して送信するデータとして、UEの無線リソース制御を行なうRRC(Radio Resource Control)プロトコルメッセージ,パケット等のユーザデータ,など種別の異なるデータが多重されることもある。さらに、HS−DSCHを無線伝送する無線物理チャネルであるHS−PDSCH(High Speed Physical Downlink Shared CHannel)では、HARQが適用されるため、データを再送することもある。
【0059】
この際、データを再送するか新規に送信するか、また、新規に送信する場合どのUEのどのデータを多重して送信するか(送信データのスケジューリング)は無線MAC処理部8が決定する。無線MAC処理部8は、無線物理レイヤ部1から受信したHS−DSCHの送達確認情報に基づいて再送の必要性を判断し、再送が必要な場合にはHS−DSCH処理部5に対して再送を指示する。また、無線MAC処理部8は、新規データを送信可能な場合、新規に送信するUEおよびUE毎のデータ量を決定する。新規にデータ送信する際のUEおよびUE毎のデータ量を決定する方法は様々なものが提案されているが、たとえば、本実施の形態では実装が容易なランドロビンスケジューリング(RRS:Round Robin Scheduling)を採用する。RRSは、HS−DSCHチャネルを設定しているUEに送信機会を等しく与える方法であり、送信機会を与えるUEを一定期間毎に切り替えていく。
【0060】
なお、HS−DSCHは、TTI=2msであり、一般にHNBは複数個のチャネルを設定して多重データを同時に複数個送信できるようにするが、PRACHと同様に本実施の形態では1つのみを設定することとする。また、HS−DSCHデータを同時に送信可能なUEの数もE−DCHと同様に1つとする。
【0061】
DL DCH処理部6は、DL DCHで送信するデータをDL TrCHメモリ16から読み出し、読み出したデータに対して誤り訂正処理等DCHデータに施す処理を実施し、処理後のデータを無線物理レイヤ部1に出力する。
【0062】
PCH/FACH処理部7は、PCH,FACHのトランスポートチャネルで送信する無線伝送データをDL TrCHメモリ16から読み出し、読み出したデータに対して多重・誤り訂正符号化して無線物理レイヤ部1に出力する。PCHはUEの呼び出しを行なうチャネルであり、このチャネルで送信されるデータは呼び出されたUEの識別子を含む。FACHはHNBが周期的に送信しているセル報知情報に変更があった場合のセル報知情報や複数UEが契約している放送チャネルや、個別UEへのシグナリングメッセージ/ユーザデータなどを送信するチャネルである。
【0063】
PCH/FACHデータを伝送する無線物理チャネルはS−CCPCH(Secondary Common Control Physical Channel)と呼ばれ、TTIは10ms,20ms,40msの3つが設定可能である。また、S−CCPCHでは、UE個別のシグナリングメッセージまたはユーザデータは、一度に1UEのみに伝送可能である。S−CCPCHでは、RACHと同様に複数設定して、複数のUEに同時にデータを送信できるようにすることもできる。本実施の形態では,説明の簡略化のためS−CCPCHは複数設定せず1つのS−CCPCHを使用するとする。
【0064】
つぎに、DL無線インタフェースプロトコル処理部の処理を説明する。DL PDCP14は、図示しないアプリケーション処理部等からDLユーザデータやDLシグナリングメッセージなどの送信データを受け取り、送信データに対してPDCP処理を実施して、DL RLC SDUメモリ17に格納する。DL RLC SDUメモリ17は、ユーザアプリケーションのパケットデータ,RRCシグナリングメッセージなどのようなデータフローごとに領域を分割するなど、データフローごとに格納データを取り出せるような構成とする。DL PDCP14は、UL PDCP11のように2msで処理を行なうのではなく、送信データを受け取るとその都度PDCP処理を実施し、処理後のデータをDL RLC SDUメモリ17に格納する。なお、PDCPはすべての無線伝送データに適用されるわけではなく、適用されない無線伝送データに対してはDL PDCP14の処理は実施しない。
【0065】
DL MAC12は、無線MAC処理部8が行なった送信データのスケジューリング結果に基づいて、MAC処理対象データおよびデータ量を決定し、決定結果に基づいてDL RLC13に対して入力データを要求する。なお、この際のMAC処理対象データの選択方法は後述する。
【0066】
DL RLC13は、DL MAC12からの要求に基づいて、要求に対応するデータまたはUEについて、RLCにおける制御PDU(Protocol Data Unit)の送信要否,ARQ再送要否,および新規データ(データPDU)の送信可否を判定し、判定結果が送信可の場合、要求されたデータ量を満足する制御PDU,再送データPDU,新規データPDUを生成する。
【0067】
具体的には、DL RLC13は、たとえば、DL MAC12から要求されたデータまたはUEについて、新規データPDU生成の場合には、DL RLC SDUメモリ17に格納されている要求されたデータまたはUEに対応するデータフローの領域からデータを読み出し、読み出したデータをRLCデータPDUに加工する(但し、RLC透過モードの場合にはデータの加工は行なわない)。また、DL RLC13は、新規データPDU生成時に、生成したRLCデータPDUを自身の内部メモリに保持しておく。そして、再送データを送信する場合には、保持しているRLCデータPDUをDL MAC12へ渡す。また、UEから送達確認を受信した、再送回数超過等によりRLC状態がリセットされた、等の再送が不要となった場合に、DL RLC13は、保持しているRLCデータPDUを破棄する。これらのRLCの処理の詳細については、前述の3GPP TS25.322の文献を参照されたい。
【0068】
DL MAC12は、以下のように処理対象データ(データ量を含む)を決定する。まず、UL MAC9と同様に、10msの無線フレーム周期を基準とし、2msの処理スロットを定義する。そして各処理スロットでは、高々1UE分のDCHまたはPCH(Paging Channel)/FACH(Forward Access Channel)データと、高々1UE分のHS−DSCH(High Speed Downlink Shared Channel)データと、を処理対象とする。
【0069】
図4は、DL MAC12の処理対象データの一例を示す図である。図4では、たとえば、4つのUE(第1〜第4UE)が本実施の形態の無線通信装置に接続しているとする。そして、無線通信装置との間で、第1のUEはDL DCHおよびHS−DSCHを、第2,第3のUEはDL DCHを、第4のUEはHS−DSCHを確立していたとする。
【0070】
図4に示す例では、第1の処理スロットである処理スロット41および処理スロット46では、第1のUEのDL DCHデータであるDCH#0を処理対象とし、また、第2の処理スロットである処理スロット42および処理スロット47では、第2のUEのDL DCHデータであるDCH#1を処理対象とし、第3の処理スロットである処理スロット43および処理スロット48では、第3のUEのDL DCHデータであるDCH#2を処理対象とする。
【0071】
また、第5の処理スロットである処理スロット45および処理スロット50では、その処理スロットまでにPCHまたはFACHを受信し、未処理のPCHまたはFACHデータが残っている場合にはそのPCHまたはFACHデータを処理対象とする。また、第1のUEのHD−DSCHデータであるHS−DSC#0と、第4のUEのHD−DSCHデータであるHS−DSC#3と、を処理スロットごとに交互に処理対象とすることにより、両UEに対してデータ送信機会が等しく与えられるようにする。
【0072】
DL DCHは10ms,20ms,40ms,80msの4つ、PCH/FACHは10ms,20ms,40msの3つのTTIをそれぞれ設定可能である。同一トランスポートチャネルではTTIが大きくなると一度に送信するデータ量も多くなる。そこで、UL MAC9と同様に、DL MAC12は、単一処理スロットでMAC処理の処理対象とする各種トランスポートチャネルのデータ量を最小TTIに対応するデータ量分すなわちTTI=10msのデータ量とし、それ以外のTTIで送信するデータについては複数の処理スロットで処理するようにする。
【0073】
たとえば、図4では第2のUEのDL DCHのTTIが20msである場合を示しており、処理スロット42で半分の量のDCH#1データを処理し、処理スロット47で残り半分の量のDCH#1データを処理している。また、ここでは、第1の処理スロットで第1のUEのDCHデータを処理し、第2の処理スロットで第2のUEのDCHデータを処理し、第3の処理スロットで第3のUEのDCHデータを処理することとしている。DL DCH,PCH/FACHの他のTTI(最小TTI以外)で送信されたデータについても、ULの場合と同様に、複数の処理スロットを用いて処理を実施する。
【0074】
DL MAC12は、上記のように選択した処理対象UEに対して、DL RLC13に要求するデータ量を次のように決定する。無線MAC処理部8は、各UEに対応するDL TrCHメモリ16内のHS−DSCHデータ滞留量および無線品質を考慮してMAC送信レートを算出し、算出した送信レートをDL MAC12へUEと対応付けて通知する。また、DL MAC12は、DL RLC SDUメモリ17にデータが滞留し、データが増加または廃棄されている場合にはMAC送信レートをあげるよう無線MAC処理部8に通知するフロー制御を行なう。DL MAC12は通知された送信レートに基づいてその処理スロットごとに処理するデータ量を求める。
【0075】
DL MAC12は、このようにして無線MAC処理部8から通知されたUEに対応するデータ量を求め、そのデータ量をDL RLC13へ入力データとして要求する。また、DL MAC12は、DL RCL13から入力されたデータに対してMAC処理を実施し、処理後のデータをDL TrCHメモリ16へ格納する。最小TTI以外のトランスポートチャネルでは、10msごとに無線伝送データの一部が蓄積されていくことになり、TTI分の時間が経過するとそのTTIで1回に送信すべき全データ(全無線伝送データ)が揃うことになる。なお、DLトランスポート処理部の各部は、DL TrCHメモリ16から各チャネルに対応するデータを読み出すため、たとえばデータの種別ごとに格納するなど、各チャネルのデータをチャネルごとに読み出せるようにしておく。また、DLトランスポート処理部の各部は、TTIごとにDL TrCHメモリ16から対応するチャネルのデータを読み出して、上記の処理を実施する。
【0076】
なお、本実施の形態では、ULについてはUL MAC9が処理対象データを選択するようにしたが、これに限らず、ULの処理対象データを選択する処理対象データ選択手段を別途設け、処理対象データ選択手段が処理対象データを選択し、UL MAC9はその結果に基づいてMAC処理を実施するようにしてもよい。また、同様に、本実施の形態では、DLについてはDL MAC12が無線MAC処理部8のスケジューリング結果を用いて処理対象データを選択するようにしたが、DL処理対象データ選択手段を別途設け、DL処理対象データ選択手段が無線MAC処理部8およびDL MAC12が行なう処理対象データの処理を実施するようにしてもよい。
【0077】
なお、本実施の形態では、無線フレーム周期を10msとし、処理スロットを2msとしているが、無線フレーム周期および処理スロットは、これに限らず、処理を平滑化し、チャネルごとのTTIに応じて適切な値を設定すれば、これ以外の値としてもよい。ただし、無線フレーム周期内で、接続しているUEに対してそれぞれ処理スロットを割り当てられるようにしておく。
【0078】
また、本実施の形態では、無線フレーム周期内の同じ位置の処理スロットを同一UEのDCHの処理スロットとするようにしたが、各処理スロットの処理量を最小TTIに対応するデータ量以内に平滑化するよう割り当てる方法であれば、これに限らず他の方法を用いてもよい。たとえば、20msのTTIでDCHが送信された場合に、そのデータを半分のデータ量を処理した後、次の無線フレームの周期の同一位置の処理スロットで処理する代わりに、DCHを確立していないUEがある場合などには、そのUEに対応する処理スロットで処理を行なってもよい。すなわち、1処理スロットの処理量が、DCHの最小TTIに対応するデータ量に対する処理量と、E−DCH(またはHS−DSCH)の最小TTIに対応するデータ量に対する処理量と、の合計以下となるよう平滑化して処理対象データを選択するようにすれば、これに限らずどのような選択方法でもよい。
【0079】
なお、本実施の形態では、無線通信装置に同時接続可能なUE数,PRACH数,S−CCPCH数,HD−PDSCH数を1とする制約を設けたが、これらの数が2以上であった場合も、本発明の原理は同様に適用できる。たとえば、TTIが2msであるHS−DSCHに対応するHS−DSCH数が4である場合には、各処理スロットが、それぞれHS−DSCHデータについて、HS−DSCH数が1である場合の4倍のデータを処理対象とすればよい。したがって、処理能力から逆算して、同時接続可能なUE数,PRACH数,S−CCPCH数,HD−PDSCH数の最大値を求めておき、その最大値以下となるようUE数,PRACH数,S−CCPCH数,HD−PDSCH数を制約してもよい。また、TTIが10msより大きいRACH,PCH/FACH,DCHについては、各トランスポートチャネルの最小TTI中に全ての無線インタフェースプロトコル処理が完了し、かつ各処理スロットでの処理データ量ができるだけ同じになるように処理スロットを割り当てればよい。
【0080】
また、本実施の形態では、無線MAC処理部8がRRSに基づいてHS−DSCHの送信データを決定しているが、無線MAC処理部8が、RRS以外の高度なスケジューリングを行なう場合には、無線MAC処理部8がDL MAC12に次に送信対象とするUEと送信データ量を通知するようにしても良いし、または無線MAC処理部8が、DL MAC12の処理対象とするUEの頻度をDL MAC12へ通知するようにしても良い。
【0081】
また、同時接続可能なUE数を多くする代わりに接続UE数が増加すると共にE−DCHの最大レートが下がるようなシステムの場合には、E−DCHについてもHS−DSCHと同様に無線MAC処理部8とUL MAC9との間でフロー制御を行ない、無線MAC処理部8が各UEに割り当てる送信電力を調整して、UEが送信するデータ量を少なくするようにしても良い。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、ULトランスポートチャネル処理部とUL MAC9の間にUL TrCHメモリ15を備え、UL TrCHメモリ15にULトランスポートチャネル処理部から出力されるチャネルごとの無線伝送データを蓄積し、UL MAC9が、2msごとに、高々所定の1UEの最小TTIに対応するデータ量分のUL DCHまたはRACHデータと、高々所定の制約数のUE(上記の例では制約数は1)の最小TTIに対応するデータ量のE−DCHデータと、を処理するようにした。そのため、UL MAC9以降の無線インタフェースプロトコル処理対象のデータを平滑化することができ、BTSとしての各処理に加えRAN側の無線インタフェースプロトコル処理を実施する場合に、瞬時的に発生する最大同時受信データ量を考慮した従来の装置構成より低価格・低スペックのデバイスを適用することができる。また、このように無線インタフェースプロトコル処理部を時分割使用することにより回路規模削減が可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、DLトランスポートチャネル処理部とDL MAC12の間にDL TrCHメモリ16を設け、DL MAC12が処理後のデータをDL TrCHメモリ16に格納し、DL MAC12およびDL RLC13は、2msごとに、高々1UEの最小TTIに対応するデータ量分のDL DCHまたはPCH/FACHデータと、高々1UEの最小TTIに対応するデータ量のHS−DSCHデータと、を処理し、最小TTI以外のデータは複数回に分けて処理をするようにした。そのため、DL MAC12およびDL RLC13のデータを平滑化することができ、BTSとしての各処理に加えRAN側の無線インタフェースプロトコル処理を実施する場合に、瞬時的に発生する最大同時受信データ量を考慮した従来の装置構成より低価格・低スペックのデバイスを適用することができる。また、このように無線インタフェースプロトコル処理部を時分割使用することにより回路規模削減が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかる無線通信装置およびデータ処理方法は、家庭用基地局として機能する無線通信装置に有用であり、特に、小型,低消費電力,低価格を要求される家庭用基地局に適している。
【符号の説明】
【0085】
1 無線物理レイヤ部
2 RACH処理部
3 UL DCH処理部
4 E−DCH処理部
5 HS−DSCH処理部
6 DL DCH処理部
7 PCH/FACH処理部
8 無線MAC処理部
9 UL MAC
10 UL RLC
11 UL PDCP
12 DL MAC
13 DL RLC
14 DL PDCP
15 UL TrCHメモリ
16 DL TrCHメモリ
17 DL RLC SDUメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続する端末から無線受信データを受信し、前記無線受信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施する無線伝送処理手段と、無線ネットワークコントローラとしての無線インタフェースプロトコル処理を実施する無線インタフェースプロトコル処理手段と、を備える無線通信装置であって、
前記無線伝送処理手段は、E−DCHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第1の制限数以下とし、RACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第2の制限数以下とするよう制御し、
前記無線伝送処理手段による処理後の前記無線受信データを格納するための受信データ格納手段と、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が前記無線受信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である処理スロットごとに、UL DCHで受信した前記無線受信データであるUL DCHデータとRACHで受信した前記無線受信データであるRACHデータとのうちの1つ未満と、E−DCHで受信した前記無線受信データであるE−DCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1処理スロット内の前記UL DCHデータの処理量の上限値をUL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1処理スロット内の前記E−DCHデータの処理量の上限値を前記第1の制限数にE−DCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1処理スロット内の前記RACHデータの処理量の上限値を前記第2の制限数にRACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信された最小送信間隔データを各処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信された前記無線受信データをそのデータの送信されたチャネルの処理量の上限値ごとに分割し、分割したデータを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択する処理対象データ選択手段と、
を備え、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段は、処理スロットごとに、前記処理対象データ選択手段がその処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを前記受信データ格納手段から読み出して処理する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線伝送処理手段は、E−DCHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を前記第1の制限数以下とするよう制御を「Time and Rate Scheduling」方式を用いて実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
無線接続する前記端末の数を所定の接続端末数以下とし、
前記接続端末数に1を加えた数の処理スロットを無線フレーム周期とし、
前記処理対象データ選択手段は、無線フレーム周期ごとにそのフレーム内の処理スロットを1つずつ前記端末に割り当て、処理スロットの処理対象データとしてその処理スロットが割り当てられている端末のUL DCHデータを選択し、前記端末に割り当てられていない処理スロットの処理対象としてRACHデータを選択する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記処理スロットを、E−DCHの最小送信間隔とする、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
無線接続する端末に無線送信データを送信し、前記無線送信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施する無線伝送処理手段と、無線ネットワークコントローラとしての無線インタフェースプロトコル処理を実施する無線インタフェースプロトコル処理手段と、を備える無線通信装置であって、
前記無線伝送処理手段は、HS−DSCHを用いて同時にデータを受信する前記端末の数を所定の第1の制限数以下とし、PCHまたはFACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第2の制限数以下とするよう前記端末に無線送信データを送信し、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段による処理後の無線送信データを格納するための送信データ格納手段と、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が無線送信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である処理スロットごとに、DL DCHで送信する無線送信データであるDL DCHデータとPCHまたはFACHで送信する無線送信データであるPCHFACHデータとのうちの1つ未満と、HS−DSCHで送信する無線送信データであるHS−DSCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1処理スロット内の前記DL DCHデータの処理量の上限値をDL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1処理スロット内の前記HS−DSCHデータの処理量の上限値を前記第1の制限数にHS−DSCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1処理スロット内の前記PCHFACHデータの処理量の上限値を前記第2の制限数にPCHおよびFACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの処理量の上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信する最小送信間隔送信データを各処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信する無線送信データをそのデータを送信するチャネルに対応する処理量の上限値ごとに分割して送信分割データとし、前記送信分割データを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択する送信処理対象データ選択手段と、
を備え、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段は、送信処理スロットごとに、前記送信処理対象データ選択手段がその処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを処理し、処理後の前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを前記送信データ格納手段へ格納し、
前記無線伝送処理手段は、前記送信データ格納手段から前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを読み出し、前記最小送信間隔送信データに対して無線伝送処理を実施し、また、同一無線送信データから分割された全ての前記送信分割データを結合することにより分割前の無線送信データに対応する前記無線インタフェースプロトコル処理後のデータとし、その結合したデータに対して無線伝送処理を実施する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
無線接続する前記端末の数を所定の接続端末数以下とし、
前記接続端末数に1を加えた数の送信処理スロットを無線フレーム周期とし、
前記送信処理対象データ選択手段は、無線フレーム周期ごとにそのフレーム内の送信処理スロットを1つずつ前記端末に割り当て、送信処理スロットの処理対象データとしてその送信処理スロットが割り当てられている端末のDL DCHデータを選択し、前記端末に割り当てられていない送信処理スロットの処理対象としてPCHFACHデータを選択する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記送信処理スロットを、HS−DSCHの最小送信間隔とする、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
無線接続する端末に無線送信データを送信し、
前記無線伝送処理手段は、前記無線送信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施し、また、HS−DSCHを用いて同時にデータを受信する前記端末の数を所定の第3の制限数以下とし、PCHまたはFACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第4の制限数以下とするよう前記端末に無線送信データを送信し、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段による処理後の無線送信データを格納するための送信データ格納手段と、
前記無線インタフェースプロトコル処理が無線送信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である送信処理スロットごとに、DL DCHで送信する無線送信データであるUL DCHデータとPCHまたはFACHで送信する無線送信データであるPCHFACHデータとのうちの1つ未満と、HS−DSCHで送信する無線送信データであるHS−DSCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1送信処理スロット内の前記DL DCHデータの処理量の上限値をDL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1送信処理スロット内の前記HS−DSCHデータの処理量の上限値を前記第3の制限数にHS−DSCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1送信処理スロット内の前記PCHFACHデータの処理量の上限値を前記第4の制限数にPCHおよびFACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各送信処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの処理量の上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信する最小送信間隔送信データを各送信処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信する無線送信データをそのデータを送信するチャネルに対応する処理量の上限値ごとに分割して送信分割データとし、前記送信分割データを、各送信処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう送信処理スロットの処理対象として選択する送信処理対象データ選択手段と、
を備え、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段は、送信処理スロットごとに、前記送信処理対象データ選択手段がその送信処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを処理し、処理後の前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを前記送信データ格納手段へ格納し、
前記無線伝送処理手段は、前記送信データ格納手段から前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを読み出し、前記最小送信間隔送信データに対して無線伝送処理を実施し、また、同一無線送信データを分割した全ての前記送信分割データを結合することにより分割前の無線送信データに対応する前記無線インタフェースプロトコル処理後のデータとし、その結合したデータに対して無線伝送処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項9】
無線接続する端末から無線受信データを受信し、前記無線受信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施する無線伝送処理手段と、無線ネットワークコントローラとしての無線インタフェースプロトコル処理を実施する無線インタフェースプロトコル処理手段と、を備える無線通信装置におけるデータ処理方法であって、
E−DCHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第1の制限数以下とし、RACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第2の制限数以下とするよう制御する端末制御ステップと、
前記無線伝送処理手段による処理後の前記無線受信データを格納する受信データ格納ステップと、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が前記無線受信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である処理スロットごとに、UL DCHで受信した前記無線受信データであるUL DCHデータとRACHで受信した前記無線受信データであるRACHデータとのうちの1つ未満と、E−DCHで受信した前記無線受信データであるE−DCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1処理スロット内の前記UL DCHデータの処理量の上限値をUL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1処理スロット内の前記E−DCHデータの処理量の上限値を前記第1の制限数にE−DCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1処理スロット内の前記RACHデータの処理量の上限値を前記第2の制限数にRACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信された最小送信間隔データを各処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信された前記無線受信データをそのデータの送信されたチャネルの処理量の上限値ごとに分割し、分割したデータを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択する処理対象データ選択ステップと、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が、処理スロットごとに、前記処理対象データ選択手段がその処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを前記受信データ格納手段から読み出して処理する無線インタフェース処理ステップと、
を含むことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項10】
無線接続する端末から無線受信データを受信し、前記無線受信データに対して基地局としての所定の無線伝送処理を実施する無線伝送処理手段と、無線ネットワークコントローラとしての無線インタフェースプロトコル処理を実施する無線インタフェースプロトコル処理手段と、を備える無線通信装置におけるデータ処理方法であって、
前記無線伝送処理手段が、HS−DSCHを用いて同時にデータを受信する前記端末の数を所定の第1の制限数以下とし、PCHまたはFACHを用いて同時にデータを送信する前記端末の数を所定の第2の制限数以下とするよう前記端末に無線送信データを送信する送信ステップと、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段による処理後の無線送信データを格納するための送信データ格納ステップと、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が無線送信データを処理する際の処理対象を、所定の処理単位時間である処理スロットごとに、DL DCHで送信する無線送信データであるDL DCHデータとPCHまたはFACHで送信する無線送信データであるPCHFACHデータとのうちの1つ未満と、HS−DSCHで送信する無線送信データであるHS−DSCHデータと、のうちの2つ未満とし、また、1処理スロット内の前記DL DCHデータの処理量の上限値をDL DCHの最小送信間隔に対応するデータ量とし、1処理スロット内の前記HS−DSCHデータの処理量の上限値を前記第1の制限数にHS−DSCHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、1処理スロット内の前記PCHFACHデータの処理量の上限値を前記第2の制限数にPCHおよびFACHの最小送信間隔に対応するデータ量を乗じた量とし、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がチャネルごとの処理量の上限値を超えないよう、各チャネルの最小送信間隔で送信する最小送信間隔送信データを各処理スロットの処理対象データとして選択し、また、最小送信間隔以外の送信間隔で送信する無線送信データをそのデータを送信するチャネルに対応する処理量の上限値ごとに分割して送信分割データとし、前記送信分割データを、各処理スロットでのチャネルごとの処理量がそのチャネルの処理量の上限値を超えないよう処理スロットの処理対象として選択する送信処理対象データ選択ステップと、
前記無線インタフェースプロトコル処理手段が、送信処理スロットごとに、前記送信処理対象データ選択手段がその処理スロットの処理対象として選択した処理対象データを処理し、処理後の前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを前記送信データ格納手段へ格納する無線インタフェースプロトコル処理ステップと、
前記無線伝送処理手段が、前記送信データ格納ステップで格納された前記最小送信間隔送信データおよび前記送信分割データを読み出し、前記最小送信間隔送信データに対して無線伝送処理を実施し、また、同一無線送信データを分割した全ての前記送信分割データを結合することにより分割前の無線送信データに対応する前記無線インタフェースプロトコル処理後のデータとし、その結合したデータに対して無線伝送処理を実施する無線伝送ステップと、
ことを含むことを特徴とするデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−61466(P2011−61466A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208552(P2009−208552)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】