説明

無線通信装置

【課題】伝送品質等を低下させることなく、また無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる無線通信装置を提供すること。
【解決手段】無線通信装置100は、経路制御を行う経路制御部110と、他の端末とのリンク接続を確立するリンク制御部120と、経路制御部110とリンク制御部120との間で動作する制御プレーン130とを備え、制御プレーン130は、リンク接続を管理するリンク管理部131と、データパケットを送受信するパケット送受信部132と、リンクの品質及び使用可能な帯域を予測する品質帯域予測部133と、端末間のリンク接続を制御する接続制御部134と、QoS情報を管理するQoS管理部135とを備え、ブロードキャストとユニキャストとの間におけるアドレス変換を行うことによって、最適な端末間のリンク接続を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークを介して無線通信を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線ネットワークシステムは、例えば非特許文献1に示すようなOSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルで定義される階層構造の通信プロトコルに従って運用されるのが一般的である。無線ネットワークに接続された各端末は、それぞれ、無線通信を行う無線モジュールと、無線モジュール間のリンクの接続を制御するリンク制御部と、その上位階層の制御部(経路制御、再送制御、アプリケーション等)とを有している。上位階層からブロードキャストやマルチキャストの通信方式でデータパケットを受け取った無線モジュールは、ブロードキャストでデータパケットの伝送を試みる。例えばIEEE802.11の規格に準拠して動作するものでは、再送制御を行うことなく、ある端末が送信したデータパケットは電波の届く端末すべてが受信する。また、上位階層がユニキャストで送信する際は、無線モジュールでは、データパケットの宛先となっている端末のみがそのデータパケットを受信する。その他の端末は電波が届いていたとしてもそのデータパケットを廃棄する。
【非特許文献1】開放型システム相互接続の基本参照モデル(Open Systems Interconnection−Basic Reference Model)、JISX5003、日本規格協会、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えばブロードキャスト通信することは、無線モジュールにとっては主に電波の届く端末すべてに情報を伝達することであり、上位階層にとってはネットワーク接続された端末すべてに情報を伝達することであるので、無線モジュールと上位階層とでは、同じ通信方式でも意味が異なることがある。したがって、上位階層がブロードキャストによる送信を要求していても、無線モジュールではユニキャスト通信を行った方が、例えば電力効率や伝送品質の面で効率がよい場合がある。また、上位階層がユニキャストによる送信を要求していても、無線モジュールではブロードキャスト送信を行った方がトラフィック量の観点からは効率がよい場合がある。以下、無線アドホックネットワークに接続された端末を例に挙げて具体例を示す。
【0004】
(1)無線アドホックネットワークの経路制御における経路探索で、IEEE802.11に準拠した無線モジュールが無指向性のアンテナを有する端末で、かつ端末の移動が比較的激しいネットワークでは、経路探索のためのブロードキャスト送信は、無線モジュールにおいても無指向にブロードキャスト送信を行った方が好ましい。これに対し、同じIEEE802.11に準拠した無線モジュールを使う場合、位置が固定され、かつ指向性のアンテナを有する端末で構成されたネットワークでは、通信可能な相手端末は予め決まっているので、無線モジュール間のリンク接続ではユニキャスト送信を行った方が、再送制御が行われるため、伝送品質を保ちやすい。
【0005】
(2)無線アドホックネットワークにおいて、上位階層ではユニキャストでデータをある一端末からある一端末に伝送する場合、高品質に伝送するために複数の経路に分けて伝送することがある。このときは、上位階層の転送プロトコルではユニキャストで送るが、無線モジュールではブロードキャストで送った方が一度で送信が終わるため伝送効率の面でも、電力効率の面でも好ましい。
【0006】
(3)無線アドホックネットワークにおいてネットワークに接続された機器をブロードキャストで探索する場合は、既に確立された経路情報を利用して探索を行った方が効率がよい。また、既に経路が決まっている場合、無線モジュールではユニキャスト通信で行った方が伝送品質を保ちやすく電力的にも効率がよい。
【0007】
(4)無指向性のアンテナを有する複数の無線モジュールから構成される端末があり、そのうちの1つの無線モジュールはネットワーク上のすべての無線モジュールと共通の周波数を持ち、その他は端末毎に異なる周波数を持つ場合、無線アドホックネットワークにおいてネットワーク全体の端末探索のための上位階層でのブロードキャストは、同一周波数の無線モジュールによるブロードキャストによってネットワーク全体の経路表を作成し、さらに、上位階層でのユニキャスト伝送においては、電波干渉がないような無線モジュールを端末毎に設定して、パケット中継経路を構成した方が、スループットの高い伝送経路を確保することができる。
【0008】
(5)指向性の狭いアンテナを組み合わせて広角な指向性を持たせた無線モジュールや、指向性制御が可能なアンテナを有する無線モジュールは、ブロードキャストの範囲を特定できる。ブロードキャストの範囲を特定する制御も上位階層の要求にあわせて行った方が効率がよい。
【0009】
以上のように、無線モジュールとその上位階層とで通信方式を異なるものとした方が好ましい場合があるが、従来の端末では、上位階層がブロードキャストやマルチキャスト送信を行うと無線モジュールも単純にブロードキャスト送信を行ってしまう構成となっているので、伝送品質や伝送効率、電力効率、スループット等の面での性能の低下(以下単に「伝送品質等の低下」という。)を招いてしまい、最適な端末間のリンク接続を行うことができないという課題があった。
【0010】
また、従来、ユニキャスト通信を行う際にデータリンク層の情報のみで確立されたリンクを基に経路制御部が通信経路を生成する方法が知られている。しかしながら、この方法では、無線モジュールの構成によっては最適な経路を生成できない場合がある。例えば、無指向性の電波を送受する無線モジュールであれば、電波の届くすべての隣接端末とリンク接続することが可能であるが(図10(a)参照)、指向性の電波を送受する無線モジュールを持つ端末では、予め電波の方向調整を行っておかなければ通信用のリンクを接続することもできない(図10(b)参照)。また、どの端末とリンク接続するべきかは必要とする経路によって異なるため、端末間毎に任意に電波の指向方向を調整してリンク接続を確立したとしても、送信端末と受信端末との間に最適な経路を作り出すことはできない。
【0011】
以上のように、従来の端末では、伝送品質等の低下を招き、また無線モジュールの構成に依存するので、最適な端末間のリンク接続を行うことができないという課題があった。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、伝送品質等を低下させることなく、また無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の無線通信装置は、通信相手端末と通信する経路を経路制御により生成する経路制御手段と、ブロードキャスト、マルチキャスト及びユニキャストのいずれかの通信方式のアドレス情報を有するパケットに前記アドレス情報を変換するための変換識別子を付加する変換識別子付加手段と、前記変換識別子に応じて前記パケットのアドレス情報を変換するアドレス情報変換手段と、変換されたアドレス情報に基づいて前記通信相手端末とのリンクの接続制御を行うリンク制御手段と、前記リンクを介して前記通信相手端末と無線通信する無線モジュールとを備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の無線通信装置は、アドレス情報変換手段が、変換識別子に応じてパケットのアドレス情報を変換するので、無線モジュールにおいて例えばユニキャスト通信を行った方が伝送品質等の面で好ましい場合、上位階層によるブロードキャストの通信方式をユニキャストの通信方式に変換することができる。したがって、本発明の無線通信装置は、伝送品質等を低下させることなく、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0015】
また、この構成により、本発明の無線通信装置は、アドレス情報変換手段が、変換識別子に応じてパケットのアドレス情報を変換するので、無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0016】
また、本発明の無線通信装置は、前記無線モジュールは、前記通信相手端末から前記変換識別子が付加されたパケットを受信し、前記アドレス情報変換手段は、受信したパケットのアドレス情報を前記変換識別子に応じて前記通信方式のいずれかのアドレス情報に変換し、変換したアドレス情報を有するパケットを前記経路制御手段に出力する構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の無線通信装置は、無線モジュールが、通信相手端末においてアドレス情報が変換されたパケットを受信した後、アドレス情報変換手段が、変換識別子に応じてパケットのアドレス情報を変換して元に戻すので、無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0018】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記経路制御手段及び前記リンク制御手段は、それぞれ、OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層以上の階層及びデータリンク層に相当する機能を有するものであって、前記経路制御手段と前記リンク制御手段との間に前記リンク制御手段の動作を制御する制御プレーンを有し、前記制御プレーンは、前記アドレス情報変換手段を備えた構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の無線通信装置は、制御プレーンが、ネットワーク層以上の階層とデータリンク層との間において、ネットワーク層以上の階層による通信方式を最適な通信方式に変換することができるので、伝送品質等を低下させることなく、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0020】
さらに、本発明の無線通信装置は、複数の前記リンク制御手段を有し、前記制御プレーンは、複数の前記リンク制御手段の動作をそれぞれ制御する構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の無線通信装置は、複数のリンク制御手段が、複数の無線モジュールの動作を制御する場合でも、制御プレーンが、各無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0022】
さらに、本発明の無線通信装置は、複数の前記リンク制御手段と、複数の前記制御プレーンとを有し、複数の前記制御プレーンは、それぞれ、複数の前記リンク制御手段の動作をそれぞれ制御する構成を有している。
【0023】
この構成により、本発明の無線通信装置は、複数のリンク制御手段が、サブネットにそれぞれ接続された複数の無線モジュールの動作を制御する場合でも、各制御プレーンが、各無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0024】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記制御プレーンは、前記経路制御手段が生成した経路に基づいてリンク接続の確立の指示を前記リンク制御手段に要求する接続制御部を備えた構成を有している。
【0025】
この構成により、本発明の無線通信装置は、リンク制御手段が、接続制御部の指示に基づいて無線モジュールによるリンク接続の確立を制御することができる。
【0026】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記制御プレーンは、前記無線モジュールの個数及び特徴を含む無線モジュール管理表と、リンク接続している通信相手端末と当該リンク接続に利用している無線モジュールとの対応を示す無線モジュール対応表とにより前記通信相手端末とのリンクを管理するリンク管理部を備えた構成を有している。
【0027】
この構成により、本発明の無線通信装置は、無線モジュール管理表及び無線モジュール対応表を参照してリンクを管理するので、無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記制御プレーンは、パケット送信のための必要帯域幅及びパケット送信の優先度を含む通信品質情報を管理する通信品質情報管理部を備えた構成を有している。
【0029】
この構成により、本発明の無線通信装置は、パケット送信のための必要帯域幅及びパケット送信の優先度を含む通信品質情報に基づいてリンク接続の確立を行うことができる。
【0030】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記制御プレーンは、前記リンク制御手段からの情報に基づいて、前記通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域を予測する品質帯域予測部を備えた構成を有している。
【0031】
この構成により、本発明の無線通信装置は、品質帯域予測部の予測結果に基づいてリンク接続の品質を維持することができる。
【0032】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記品質帯域予測部は、前記無線モジュール対応表に含まれるリンク接続と異なるリンク接続の要求があったとき、当該リンクの品質を予測して予測結果を前記経路制御手段及び前記接続制御部に通知する構成を有している。
【0033】
この構成により、本発明の無線通信装置は、無線モジュール対応表に含まれない新たなリンク接続の要求があった場合でも、品質帯域予測部の予測結果に基づいて品質のより高いリンク接続を確立することができる。
【0034】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記経路制御手段は、前記品質帯域予測部が予測した前記通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域に基づいて経路制御を行う構成を有している。
【0035】
この構成により、本発明の無線通信装置は、品質帯域予測部が取得した帯域幅、パケットロス率、電界強度等の値を経路制御手段の経路決定メトリックとして用いることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、伝送品質等を低下させることなく、また無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができるという効果を有する無線通信装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の無線通信装置を、無線アドホックネットワークを介して例えば映像ストリームのデータパケットを伝送するものに適用した例を挙げて説明する。
【0038】
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態における構成について説明する。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態における無線通信装置100は、経路制御を行う経路制御部110と、他の端末とのリンク接続を確立するリンク制御部120と、経路制御部110とリンク制御部120との間で動作する制御プレーン130とを備えている。なお、本実施の形態における無線通信装置100は、CPUやメモリ等のハードウェアと、このハードウェア上で実行されるプログラムとを備えて動作するようになっている。
【0040】
経路制御部110は、OSI参照モデルにおけるネットワーク層に関する制御を主に行うようになっており、公知の経路制御プロトコル、例えばAODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vector)プロトコルや映像伝送用プロトコルに従って動作するものである。
【0041】
また、経路制御部110は、ブロードキャストやユニキャスト等のデータパケットを制御プレーン130に出力するものであり、データパケットを出力する際に予め定められた変換識別子をデータパケットに付加するようになっている。この変換識別子は、例えばデータパケットのIPヘッダのオプション領域に付加され、後述するように通信方式間におけるアドレス情報を変換するためのものである。なお、ソケットのポート番号によって変換識別子を識別する構成としてもよい。
【0042】
また、経路制御部110は、所定の通信プロトコルによって経路を生成した後、宛先端末や次ホップのアドレス情報を含む無線アドホックネットワークの経路情報を経路表として所有するものである。なお、経路制御部110は、本発明の経路制御手段及び変換識別子付加手段に対応する。
【0043】
リンク制御部120は、OSI参照モデルにおけるデータリンク層に関する制御を行うようになっており、他の端末と無線通信する無線モジュール121を備え、主に他の端末とのリンク接続を確立するものである。なお、リンク制御部120は、本発明のリンク制御手段に対応する。
【0044】
制御プレーン130は、リンク接続に関する管理を行うリンク管理部131と、データパケットを送受信するパケット送受信部132と、リンクの品質及び使用可能な帯域を予測する品質帯域予測部133と、端末間のリンク接続を制御する接続制御部134と、QoS(Quality of Service)情報を管理するQoS管理部135とを備え、ブロードキャストとユニキャストとの間におけるアドレス変換と、リンク制御部120が有する無線モジュール121の接続制御を行うようになっている。また、制御プレーン130は、主に所定の経路制御プロトコルに従ってネットワーク内のリンク接続の確立のために動作するものである。
【0045】
なお、図1においては、1つの制御プレーン130に1つのリンク制御部120が接続された構成を示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2(a)に示すように、1つの制御プレーン130に3つのリンク制御部120a〜120cを接続した構成とすることもできる。この構成の場合、リンク制御部120a〜120cは、それぞれ、無線モジュール121a〜121cを含む。また、互いに異なるサブネットワークに対して経路制御を行う場合は、例えば図2(b)に示すように、サブネットワーク毎にそれぞれ制御プレーン130a〜130cを備える構成とすることができる。
【0046】
リンク管理部131は、アドレス変換表、無線モジュール対応表及び無線モジュール管理表を備え、リンクの品質及び使用可能な帯域の情報を管理するようになっている。ここで、アドレス変換表は、図3(a)に示すように、ブロードキャストとユニキャストとの間においてアドレス変換するためのものである。また、無線モジュール対応表は、図3(b)に示すように、リンク接続している相手端末及び通信方式と、その相手端末に接続している無線モジュールとの対応を示すものである。また、無線モジュール管理表は、無線モジュールの個数や、無線モジュールの特徴を登録して管理するためのものである。無線モジュールの特徴としては、例えば、指向性アンテナの有無、指向方向の変更可否、使用周波数、変調方式、通信電力、バッテリ残量等の情報がある。
【0047】
パケット送受信部132は、リンク管理部131が有するアドレス変換表を参照し、経路制御部110が出力したデータパケットの変換識別子に応じてアドレス変換を行うようになっている。例えば、図3(a)において、上位階層である経路制御部110の出力するデータパケットがブロードキャストによるものであって変換識別子=1の場合、パケット送受信部132は、そのデータパケットのアドレスをユニキャストアドレスに変換するようになっている。
【0048】
なお、図3(a)には示していないが、マルチキャストによるデータパケットもブロードキャストと同様にアドレスが変換される。また、経路制御部110が出力したデータパケットに変換識別子が付加されていない場合は、パケット送受信部132は、入力したデータパケットをそのままリンク制御部120に出力する。この場合、無線通信装置100は、一般的なネットワークプロトコルのスタックとして動作する。
【0049】
また、パケット送受信部132は、複数のリンク制御部120がそれぞれ無線モジュールを備えている場合、経路制御部110から送られてくるデータパケットを、リンク管理部131の無線モジュール対応表に従って、該当する無線モジュールを備えたリンク制御部120に出力するとともに、リンク制御部120から送られてくるデータパケットを経路制御部110に渡すようになっている。なお、リンク管理部131及びパケット送受信部132は、本発明のアドレス情報変換手段に対応する。
【0050】
品質帯域予測部133は、リンク管理部131で管理しているリンクの品質と、使用可能な帯域とをリンク制御部120からの情報に基づいて、要求されるリンク接続にふさわしい無線モジュールを決定するようになっている。また、品質帯域予測部133は、リンク管理部131が有する無線モジュール対応表に含まれないリンクの接続要求があった場合、そのリンクの品質を予測し、予測結果をリンク管理部131、経路制御部110及び接続制御部134に通知するようになっている。
【0051】
接続制御部134は、リンク制御部120に対して端末間のリンク接続の確立を指示するようになっている。具体的には、接続制御部134は、品質帯域予測部133の予測結果、例えば帯域幅、パケットロス率、電界強度等の情報を参照し、無線通信周波数の設定、変調方式の設定、指向性アンテナの方向調整の指示等をリンク制御部120に対して行うものである。
【0052】
QoS管理部135は、データパケット送信のために必要な帯域幅やデータパケット送信の優先度等の情報を示すQoS情報を予め格納しており、QoS情報を管理するようになっている。このQoS情報は、リンク管理部131及びパケット送受信部132によって適宜参照されるようになっている。なお、QoS管理部135は、本発明の通信品質情報管理部に対応する。
【0053】
次に、本実施の形態における無線通信装置100の動作について説明する。動作の説明に当たり、複数の無線通信装置100が無線アドホックネットワークを構成し、各無線通信装置100は、図4に示すような構成になっているものとする。すなわち、無線通信装置100は、3つのリンク制御部120a〜120cを有し、リンク制御部120aは、無指向性伝送を行う無線モジュール121aを備え、リンク制御部120b及び120cは、それぞれ、指向性伝送を行う無線モジュール121b及び121cを備えている。
【0054】
まず、制御プレーン130のリンク管理部131は、リンク制御部120a〜120cがそれぞれ有する無線モジュールの特徴を把握するため、リンク制御部120a〜120cに特徴の問い合わせをする。その結果、リンク管理部131は、無指向性伝送を行う無線モジュール121aと、指向性伝送を行う無線モジュール121b及び121cとがあることがわかり、無線モジュール121a〜121cの特徴を無線モジュール管理表に記述する。無線モジュール121a〜121cの特徴を把握することにより、ブロードキャスト送信の際には無指向性伝送を行う無線モジュール121aを使用し、ユニキャスト送信の際には指向性伝送を行う121b若しくは121c又は無指向性伝送を行う無線モジュール121aを使用すればよいことがわかる。
【0055】
次いで、経路制御部110は、ブロードキャストパケットを送信することによって経路生成を開始する。経路生成は、既存技術であるAODVやOLSR(Optimized Link State Routing)等のプロトコルを用いることができる。この時点では、経路制御部110には経路表がないため、ブロードキャストパケットですべての端末を探索しなければならない。そのため、経路制御部110は、図3(a)に示すアドレス変換表における変換識別子として"0"を選択し、この変換識別子をブロードキャストパケットに付加して制御プレーン130に出力する。
【0056】
制御プレーン130のパケット送受信部132は、ブロードキャストパケットを受け取るとリンク管理部131のアドレス変換表を参照し、無線モジュールにおいてもブロードキャスト送信しなくてはならないことがわかる。そこで、パケット送受信部132は、リンク管理部131の無線モジュール管理表を参照し、無指向性伝送が可能な無線モジュール121aを有するリンク制御部120aにブロードキャストパケットを出力する。
【0057】
続いて、リンク制御部120aでは、無線モジュール121aがブロードキャストパケットを無指向性伝送する。
【0058】
無指向性伝送されたブロードキャストパケットを受信した端末においては、ブロードキャストパケットは、無指向性伝送する無線モジュール121aで受信され、リンク制御部120aから制御プレーン130のパケット送受信部132に渡され、さらに経路制御部110に到着する。
【0059】
以上の一連の動作により、各端末内の経路制御部110に経路表が作成される。制御プレーン130は、経路制御部110によって経路表が作成されたとき、又は経路制御部110からデータパケットを受け取ったとき、リンク管理部131の無線モジュール対応表を更新する。
【0060】
以下、図5を用いて具体的に説明する。図5に示すように、無線通信装置100を備えた端末A〜Dが配置されている場合、端末Aから端末Cにデータパケットを伝送するとし、前述した一連の動作により作成された経路表に基づき端末Aから端末Cまでの経路として端末A→B→Cが形成されたとする。このとき、端末Bの経路表には端末A及びCが登録される。端末Bのリンク管理部131は、経路制御部110の経路表が更新されたこと、リンク管理部131の無線モジュール対応表に端末A及びCに関する登録がまだないことから、品質帯域予測部133に対し、端末A及びCへの高品質なリンク接続を依頼する。
【0061】
次いで、端末Bの品質帯域予測部133は、リンク制御部120が有するすべての無線モジュールに問い合わせ、端末A及びBとのリンクには、それぞれどの無線モジュールを使用すればよいかを決定する。この決定を行うための判断材料としては、リンクの接続の可否、帯域幅等の情報が挙げられる。
【0062】
引き続き、実際の接続処理は接続制御部134が行う。例えば、端末Bと端末Cとの間のリンクに無線モジュール121bを使用することを端末Bの品質帯域予測部133が決定した場合、端末Bの接続制御部134は、無線モジュール121bに対して制御命令の信号を出力する。端末Bの無線モジュール121bは指向性伝送を行うものであるため、端末Bのリンク制御部120bは、例えば電波の到来方向を推定してからリンク接続を実現する。リンクが接続されたら、端末Bのリンク管理部131の無線モジュール対応表に、使用している無線モジュールとリンク先端末とを登録する。端末Bの品質帯域予測部133は、例えば帯域幅、パケットロス率、電界強度等の情報によってリンク状態を常に監視し、端末Bの接続制御部134は、必要に応じて無線モジュールの制御を行うことにより、リンク接続の品質を保つ。端末Bの品質帯域予測部133で得られた値、すなわち帯域幅、パケットロス率、電界強度等の値は、端末Bの経路制御部110の経路決定メトリックとして用いることができる。
【0063】
端末Bの経路制御部110で経路表が作成された後において、ネットワーク上に存在するファイルや機器等の探索を行うためにブロードキャストする場合、端末Bの経路制御部110は、ブロードキャストパケットの変換識別子を"1"(図3(a)参照)として制御プレーン130に渡す。端末Bの制御プレーン130のパケット送受信部132は、無線モジュール121b及び121cに端末A宛のユニキャストパケット、端末C宛のユニキャストパケットをコピーして渡す。
【0064】
次いで、端末A及びCにおいて、無線モジュールではユニキャスト伝送によって、端末Bからデータパケットを受信する。また、端末A及びCの制御プレーン130において、データパケットのアドレスがユニキャストで変換識別子が"1"であることからブロードキャストアドレスに戻され(図3(a)参照)、端末A及びCの経路制御部110に渡される。
【0065】
なお、前述のものとは異なる端末の構成例として、図6に示すように、無指向性伝送を行う無線モジュール122a〜122cを備えたものが挙げられる。この構成によれば、例えば図7に示すように、無線モジュール122aをブロードキャスト用の周波数、無線モジュール122b及び122cをユニキャスト用にホップ毎に周波数変換を行う無線モジュールとして制御することが可能となる。この場合も、図4に示した構成のものと同様に経路制御を行うことができる。
【0066】
次に、経路制御部110でユニキャスト、無線モジュール121でブロードキャスト送信を行う例を挙げる。図8に示すように、端末Aと端末Fとが無線通信を行うものとする。このとき、エラー耐性を強くするため、複数経路を確保して通信を行うのが好ましい。図8においては、端末A⇔B⇔C⇔Fと、端末A⇔D⇔E⇔Fとの2経路を確保した例が示されている。端末Aの経路制御部110は端末F宛にデータパケットをユニキャスト送信する。
【0067】
まず、端末Aの経路制御部110は、端末B宛にデータパケットを転送する。このとき、経路制御部110は、無線伝送なので端末Dにもデータパケットが届くため、図3(a)における変換識別子を"1"として制御プレーン130に渡す。この際、端末Dのアドレスを例えばIPヘッダのオプション部に記述しておく。
【0068】
制御プレーン130は、変換識別子からユニキャストアドレスをブロードキャストアドレスに変換する。端末Fも同様の動作を行う。ブロードキャストパケットを受け取る端末B、C、D及びEは、変換識別子が"1"であることからユニキャストパケットに戻して各端末の経路制御部110に渡すことができる。また、図8に示した場合は、端末B、C、D及びEがデータパケットを送信する際は、複数の宛先に送る必要がない場合は、ユニキャストアドレスの変換識別子は"0"として通常どおりのユニキャスト通信を行う。したがって、余分なデータパケットを各端末に送ることなく、複数の経路によるデータパケットの転送が可能となる。
【0069】
以上のように、本実施の形態における無線通信装置100によれば、リンク管理部131は、アドレス変換表を備え、パケット送受信部132は、アドレス変換表に基づいてアドレス変換する構成としたので、無線モジュール121においてユニキャスト通信を行った方が伝送品質等の面で好ましい場合に経路制御部110によるブロードキャストの通信方式をユニキャストの通信方式に変換することができるので、伝送品質等を低下させることなく、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0070】
また、この構成により、本発明の無線通信装置は、アドレス情報変換手段が、変換識別子に応じてパケットのアドレス情報を変換するので、無線モジュールの構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、無線モジュール121は、通信相手端末から変換識別子が付加されたパケットを受信し、パケット送受信部132が、受信したパケットのアドレス情報を変換識別子に応じてアドレス変換する構成としたので、無線モジュール121が、通信相手端末においてアドレス情報が変換されたパケットを受信した後、アドレス情報変換手段が、変換識別子に応じてパケットのアドレス情報を変換して元に戻すことができる。したがって、本実施の形態における無線通信装置100は、無線モジュール121の構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュール121の構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0072】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、制御プレーン130は、ネットワーク層以上の階層とデータリンク層との間に設けられる構成としたので、ネットワーク層以上の階層による通信方式をデータリンク層における最適な通信方式に変換することができ、伝送品質等を低下させることなく、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。ここで、通信方式とは、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストのことをいう。
【0073】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、1つの制御プレーン130と、複数のリンク制御部120とを備えることができる構成としたので、複数のリンク制御部120が複数の無線モジュールの動作を制御する場合でも、制御プレーン130が、各無線モジュール121の構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュール121の構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、複数の制御プレーン130と、複数のリンク制御部120とを備えることができる構成としたので、複数のリンク制御部120がサブネットにそれぞれ接続された複数の無線モジュール121の動作を制御する場合でも、各制御プレーン130が、各無線モジュール121の構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュール121の構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0075】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、制御プレーン130が、経路制御部110が生成した経路に基づいてリンク接続の確立の指示をリンク制御部120に要求する接続制御部134を備えた構成としたので、リンク制御部120が、接続制御部134の指示に基づいて無線モジュール121によるリンク接続の確立を制御することができる。
【0076】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、制御プレーン130は、無線モジュール121の個数及び特徴を含む無線モジュール管理表と、リンク接続している通信相手端末と当該リンク接続に利用している無線モジュール121との対応を示す無線モジュール対応表とにより通信相手端末とのリンクを管理するリンク管理部131を備えた構成としたので、無線モジュール管理表及び無線モジュール対応表を参照してリンクを管理することができ、無線モジュール121の構成に適応させた通信方式によってデータパケットを送受することができることとなり、無線モジュール121の構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【0077】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、制御プレーン130は、パケット送信のための必要帯域幅及びパケット送信の優先度を含むQoS情報を管理するQoS管理部を備えた構成としたので、QoS情報に基づいてリンク接続の確立を行うことができる。
【0078】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、制御プレーン130は、リンク制御部120からの情報に基づいて、通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域を予測する品質帯域予測部133を備えた構成としたので、品質帯域予測部133の予測結果に基づいてリンク接続の品質を維持することができる。
【0079】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、品質帯域予測部133は、無線モジュール対応表に含まれないリンク接続の要求があったとき、当該リンクの品質を予測して予測結果を経路制御部110及び接続制御部134に通知する構成としたので、無線モジュール対応表に含まれないリンク接続の要求があった場合でも、品質帯域予測部133の予測結果に基づいて品質のより高いリンク接続を確立することができる。
【0080】
また、本実施の形態における無線通信装置100によれば、経路制御部110は、品質帯域予測部133が予測した通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域に基づいて経路制御を行う構成としたので、品質帯域予測部133が取得した帯域幅、パケットロス率、電界強度等の値を経路制御部110の経路決定メトリックとして用いることができる。
【0081】
なお、前述の実施の形態において、無線モジュール121の特徴として指向性伝送や無指向性伝送を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これ以外の無線モジュール121の特徴に基づいて無線通信するものでもよい。
【0082】
また、本実施の形態における無線通信装置100をコンピュータで実現し、前述した無線通信装置100の動作をプログラミングすることにより、伝送品質等を低下させることなく、また無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができる無線通信用のプログラムを制作することができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
図9に示すように、本発明の第2の実施の形態における無線通信装置200は、第1の実施の形態における無線通信装置100(図1参照)の制御プレーンを変更したものである。すなわち、無線通信装置200は、経路制御を行う経路制御部210と、他の端末とのリンク接続を確立するリンク制御部220と、経路制御部210とリンク制御部220との間で動作する制御プレーン230とを備えている。なお、第1の実施の形態における無線通信装置100と重複する説明は省略する。
【0084】
リンク制御部220は、他の端末と無線通信する無線モジュール221を備え、主に他の端末とのリンク接続を確立するようになっている。
【0085】
制御プレーン230は、リンク接続に関する管理を行うリンク管理部231と、データパケットを送受信するパケット送受信部232とを備え、リンク管理部231は、アドレス変換表を有している。
【0086】
パケット送受信部232は、アドレス変換表に基づいて、経路制御部210の出力するデータパケットを変換識別子に応じてアドレス変換し、リンク制御部220に渡すようになっている。また、パケット送受信部232は、アドレス変換表に基づいて、無線モジュール221が受信したデータパケットをアドレス変換し、経路制御部210に渡すようになっている。
【0087】
したがって、本実施の形態における無線通信装置200は、無線モジュールとその上位階層とで通信方式を異なるものとした方が好ましい場合に、変換識別子に応じてアドレス変換することによって、伝送品質等の低下を防止することができるので、最適な端末間のリンク接続を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明に係る無線通信装置は、伝送品質等を低下させることなく、また無線モジュールの構成に関わらず、最適な端末間のリンク接続を行うことができるという効果を有し、無線ネットワークを介して無線通信を行う無線通信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態におけるブロック図
【図2】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、制御プレーン及びリンク制御部の構成例を示すブロック図 (a)本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、1つの制御プレーンが複数のリンク制御部を制御する場合のブロック図 (b)本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、複数の制御プレーンが複数のリンク制御部を制御する場合のブロック図
【図3】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、リンク管理部が備えるアドレス変換表及び無線モジュール対応表を示す図
【図4】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、3つのリンク制御部が、1つの無指向性伝送の無線モジュールと、2つの指向性伝送の無線モジュールとを備えた場合のブロック図
【図5】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態における動作の説明図
【図6】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、3つのリンク制御部が、それぞれ、無指向性伝送の無線モジュールを備えた場合のブロック図
【図7】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、図6に示した構成における動作の説明図
【図8】本発明に係る無線通信装置の第1の実施の形態において、経路制御部でユニキャスト、無線モジュールでブロードキャスト送信を行う場合の動作の説明図
【図9】本発明に係る無線通信装置の第2の実施の形態におけるブロック図
【図10】従来の無線通信装置の説明図 (a)電波の届くすべての隣接端末とリンク接続した状態を示す図 (b)指向性の電波を送受する無線モジュールを持つ端末において、予め電波の方向調整を行っていない場合の状態を示す図
【符号の説明】
【0090】
100 無線通信装置
110 経路制御部(経路制御手段、変換識別子付加手段)
120(120a〜120c) リンク制御部(リンク制御手段)
121(121a〜121c)、122a〜122c 無線モジュール
130 制御プレーン
131 リンク管理部(アドレス情報変換手段)
132 パケット送受信部(アドレス情報変換手段)
133 品質帯域予測部
134 接続制御部
135 QoS管理部(通信品質情報管理部)
200 無線通信装置
210 経路制御部
220 リンク制御部
221 無線モジュール
230 制御プレーン
231 リンク管理部
232 パケット送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手端末と通信する経路を経路制御により生成する経路制御手段と、ブロードキャスト、マルチキャスト及びユニキャストのいずれかの通信方式のアドレス情報を有するパケットに前記アドレス情報を変換するための変換識別子を付加する変換識別子付加手段と、前記変換識別子に応じて前記パケットのアドレス情報を変換するアドレス情報変換手段と、変換されたアドレス情報に基づいて前記通信相手端末とのリンクの接続制御を行うリンク制御手段と、前記リンクを介して前記通信相手端末と無線通信する無線モジュールとを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線モジュールは、前記通信相手端末から前記変換識別子が付加されたパケットを受信し、前記アドレス情報変換手段は、受信したパケットのアドレス情報を前記変換識別子に応じて前記通信方式のいずれかのアドレス情報に変換し、変換したアドレス情報を有するパケットを前記経路制御手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記経路制御手段及び前記リンク制御手段は、それぞれ、OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層以上の階層及びデータリンク層に相当する機能を有するものであって、前記経路制御手段と前記リンク制御手段との間に前記リンク制御手段の動作を制御する制御プレーンを有し、前記制御プレーンは、前記アドレス情報変換手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
複数の前記リンク制御手段を有し、前記制御プレーンは、複数の前記リンク制御手段の動作をそれぞれ制御することを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
複数の前記リンク制御手段と、複数の前記制御プレーンとを有し、複数の前記制御プレーンは、それぞれ、複数の前記リンク制御手段の動作をそれぞれ制御することを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御プレーンは、前記経路制御手段が生成した経路に基づいてリンク接続の確立の指示を前記リンク制御手段に要求する接続制御部を備えたことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御プレーンは、前記無線モジュールの個数及び特徴を含む無線モジュール管理表と、リンク接続している通信相手端末と当該リンク接続に利用している無線モジュールとの対応を示す無線モジュール対応表とにより前記通信相手端末とのリンクを管理するリンク管理部を備えたことを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御プレーンは、パケット送信のための必要帯域幅及びパケット送信の優先度を含む通信品質情報を管理する通信品質情報管理部を備えたことを特徴とする請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記制御プレーンは、前記リンク制御手段からの情報に基づいて、前記通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域を予測する品質帯域予測部を備えたことを特徴とする請求項3から請求項8までのいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記品質帯域予測部は、前記無線モジュール対応表に含まれるリンク接続と異なるリンク接続の要求があったとき、当該リンクの品質を予測して予測結果を前記経路制御手段及び前記接続制御部に通知することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記経路制御手段は、前記品質帯域予測部が予測した前記通信相手端末とのリンクの品質及び使用可能な帯域に基づいて経路制御を行うことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−17202(P2009−17202A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176324(P2007−176324)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】