説明

無線通信装置

【課題】別体型の外部アンテナを用いる場合に、装置内部における内蔵アンテナと外部アンテナとの接続の切り替えを簡素な構造で実現する。
【解決手段】ケーシング11と、アンテナ回路12と、内蔵アンテナ13と、外部アンテナ14と、外部磁石32と、内部磁石42と、内部磁石42を揺動可能に保持する弾性部材41と、内蔵アンテナ13と電気的に接続する接点30とを備え、外部アンテナ14が取り付けられている場合には、内部磁石42が弾性部材41の付勢力に抗して変位し、弾性部材41と接点30とが非接触となり、アンテナ回路12と外部アンテナ14とが電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に外部アンテナとの接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線通信装置において、内蔵アンテナの性能不足を補うために、外部アンテナが利用されている。
【0003】
特許文献1には、無線通信装置において、本体の筺体に着脱可能な外部アンテナを備え、当該着脱構造に磁石を利用する構成が例示されている。
【0004】
特許文献2には、上記特許文献1と同様に、本体内部の給電点と外部アンテナとを磁石を利用して接続する構成が開示され、これにより防水性を向上させることができる点について言及されている。
【0005】
特許文献3には、本体に内蔵される内蔵アンテナと、前記本体と一体的に構成され伸縮可能な構造を有する外部アンテナとを備える無線通信装置が開示されている。当該無線通信装置においては、前記外部アンテナが収納されている時には、マッチング回路と前記内蔵アンテナとが接続し、前記外部アンテナが引き出された時には、前記マッチング回路と前記内蔵アンテナとの接続が切断され、前記マッチング回路と前記外部アンテナとが接続する。当該外部アンテナの収納/引き出し動作に伴う前記マッチング回路と前記両アンテナとの接続の切り替えには、前記外部アンテナの伸縮に伴い変位する磁石、当該磁石に近接に応じて開閉するリードスイッチ、前記本体内部において前記外部アンテナの動作を物理的に保持する機構等が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−150863号公報
【特許文献2】特開2008−219537号公報
【特許文献3】特開平1−200703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献3においては、前記外部アンテナの使用/不使用に応じて、前記マッチング回路と接続する前記両アンテナが適切に切り替えられる。しかしながら、前記外部アンテナが本体と一体的に構成され伸縮可能な構造を有するものであるため、前記本体内部において、前記外部アンテナの収納スペース、前記物理的保持機構、収納時における前記マッチング回路と前記外部アンテナとの絶縁構造等が必要となる。
【0008】
そこで、本発明は、別体型の外部アンテナを用いる場合に、装置内部における内蔵アンテナと外部アンテナとの接続の切り替えを、簡素な構造で実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ケーシングと、前記ケーシング内に設置され、無線通信に必要な処理を行うアンテナ回路と、前記ケーシング内に設置された内蔵アンテナと、前記ケーシングとは別体をなし、前記ケーシングの外面に設けられた取付部に着脱可能な外部アンテナと、前記外部アンテナの前記取付部に対峙する部分に設けられ、導電性を有する外部磁石と、前記ケーシング内に設置され、導電性を有する内部磁石と、前記ケーシング内において前記内部磁石を揺動可能に保持し、導電性を有する弾性部材と、前記ケーシング内において前記内蔵アンテナと電気的に接続する接点とを備え、前記外部アンテナが前記取付部に取り付けられていない場合には、前記弾性部材が前記接点に接触し、前記弾性部材を介して前記アンテナ回路と前記内蔵アンテナとが電気的に接続し、前記外部アンテナが前記取付部に取り付けられている場合には、前記外部磁石の磁力により前記内部磁石が前記弾性部材の付勢力に抗して変位し、前記弾性部材と前記接点とが非接触となり、前記外部磁石と前記内部磁石との間の容量結合を介して前記アンテナ回路と前記外部アンテナとが電気的に接続される無線通信装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、別体型の外部アンテナを用いる場合に、装置内部における内蔵アンテナと外部アンテナとの接続の切り替えを、極めて簡素且つ安価な構造で実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯電話の構成において外部アンテナが取り付けられていない状態を示している。
【図2】本発明の実施の形態1に係る携帯電話の構成において外部アンテナが取り付けられている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯電話1の構成において外部アンテナ14が取り付けられていない状態を示している。前記携帯電話1は、ケーシング11、アンテナ回路12、内蔵アンテナ13、前記外部アンテナ14、及び切替部15を備えている。
【0013】
前記ケーシング11は、樹脂等から構成され、内部に前記アンテナ回路12を含む各種電子部品を収納する。前記ケーシング11の外面の一部には、前記外部アンテナ14を取り付けるための取付部21が設けられている。また、本実施の形態に係るケーシング11には、防水性を向上させるための処理、例えば接合部分の気密加工等が施されていることが好ましい。
【0014】
前記アンテナ回路12は、前記内蔵アンテナ13又は前記外部アンテナ14を介して送受信される電波に対して各種処理を行う。
【0015】
前記内蔵アンテナ13は、前記ケーシング11の内部に固定され、通話、電子メール送受信、インターネット接続等の通信に利用される。前記内蔵アンテナ13の一端部は、前記切替部15の一部を構成する接点30と接続している。
【0016】
前記外部アンテナ14は、前記ケーシング11と別体をなし、前記内蔵アンテナ13による受信電界強度が小さい場合に、前記内蔵アンテナ13に代わって強い受信電界強度を得るために利用されるものである。本実施の形態に係る外部アンテナ14は、ロングワイヤ31及び外部磁石32を備えている。前記外部磁石32は、前記取付部21に対峙するように取り付けられる。
【0017】
前記切替部15は、板ばね41及び内部磁石42を備えている。前記板ばね41の一端は固定点43に固定され、その他端には前記内部磁石42が固定されている。前記板ばね41は、前記固定点43を起点として前記内部磁石42側の端部を図中上下方向に撓むと、図1に示す状態に戻ろうとする弾性力を発生する。前記固定点43は、前記アンテナ回路12と接続する導線44と接続する。前記板ばね41、前記内部磁石42、及び固定点43は、全て導電性を有し、導線44を介して前記アンテナ回路12と電気的に接続している。図1に示す状態、即ち前記外部アンテナ14が前記取付部21に取り付けられていない状態においては、前記板ばね41又は前記内部磁石42は前記接点30に接触している。従って、この状態においては、前記アンテナ回路12は前記内蔵アンテナ13を介して通信処理を行う。
【0018】
図2は、前記携帯電話1の構成において前記外部アンテナ14が取り付けられた状態を示している。前記外部アンテナ14が前記取付部21に取り付けられると、前記外部磁石32の磁力により、前記内部磁石42が図中上方に引き付けられ、前記板ばね41の弾性力に抗して上方に変位し、前記ケーシング11の内壁に接する。この時、前記内部磁石42及び前記板ばね41は、前記接点30から離間する。これにより、前記アンテナ回路12と前記内蔵アンテナ13との間の電気的接続は切断する。一方、前記外部磁石32と前記内部磁石42とが容量結合した状態となり、前記アンテナ回路12と前記外部アンテナ14とが電気的に接続した状態となる。これにより、前記アンテナ回路12は前記外部アンテナ14を介して通信処理を行う。
【0019】
その後、前記外部アンテナ14を前記取付部21から取り外すと、前記板ばね41の弾性力により前記内部磁石42又は前記板ばね41は前記接点30に接触する。これにより、前記アンテナ回路12は再び前記内蔵アンテナ13による通信処理を行う。
【0020】
上記構成によれば、極めて簡素且つ安価な構成により、前記ケーシング11内に収納スペース等を設ける必要のない前記外部アンテナ14を用いることができると共に、前記内蔵アンテナ13と前記外部アンテナ14とを適切に切り替える機構(前記切替部15)を備えることができる。このような切替部15を用いることにより、リードスイッチ等を不要にすることができる。また、前記外部アンテナ14は非接触接続(容量結合)をするため、前記取付部21に気密処理を施すことが容易となる。従って、装置に防水性を付与する場合に特に好適となる。
【0021】
尚、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、無線通信装置として携帯電話1を例示したが、本願発明は無線通信機能を備える各種機器に適用可能なものである。
【符号の説明】
【0022】
1 携帯電話
11 ケーシング
12 アンテナ回路
13 内蔵アンテナ
14 外部アンテナ
15 切替部
21 取付部
30 接点
32 外部磁石
41 板ばね
42 内部磁石
43 固定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設置され、無線通信に必要な処理を行うアンテナ回路と、
前記ケーシング内に設置された内蔵アンテナと、
前記ケーシングとは別体をなし、前記ケーシングの外面に設けられた取付部に着脱可能な外部アンテナと、
前記外部アンテナの前記取付部に対峙する部分に設けられ、導電性を有する外部磁石と、
前記ケーシング内に設置され、導電性を有する内部磁石と、
前記ケーシング内において前記内部磁石を揺動可能に保持し、導電性を有する弾性部材と、
前記ケーシング内において前記内蔵アンテナと電気的に接続する接点と、
を備え、
前記外部アンテナが前記取付部に取り付けられていない場合には、前記弾性部材が前記接点に接触し、前記弾性部材を介して前記アンテナ回路と前記内蔵アンテナとが電気的に接続し、
前記外部アンテナが前記取付部に取り付けられている場合には、前記外部磁石の磁力により前記内部磁石が前記弾性部材の付勢力に抗して変位し、前記弾性部材と前記接点とが非接触となり、前記外部磁石と前記内部磁石との間の容量結合を介して前記アンテナ回路と前記外部アンテナとが電気的に接続される、
無線通信装置。
【請求項2】
前記外部アンテナは、前記内部アンテナと同様の用途に用いられる、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記アンテナ回路と接続する固定点と、前記接点に接触する解放点とを有し、
前記内部磁石は、前記解放点に固定される、
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記外部磁石及び前記内部磁石は、互いに引き付け合う磁極向きとなるように配置され、
前記外部アンテナが前記取付部に取り付けられた時に、前記内部磁石が前記ケーシング11の前記取付部の内壁面に接触するように変位する、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、板ばねである、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記外部アンテナは、ロングワイヤ型である、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記外部アンテナは、ロッド型である、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項8】
防水機能を備える、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項9】
携帯電話である、
請求項1〜8のいずれか1つに記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−109782(P2012−109782A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256812(P2010−256812)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】