説明

無線ICデバイス

【課題】曲面に取り付けた場合に無線IC素子に応力が集中してダメージを受けるおそれを排除した無線ICデバイスを得る。
【解決手段】可撓性を有する誘電体素体20と、誘電体素体20の少なくとも一方主面に設けられた金属材からなる可撓性を有する放射体30と、放射体30に結合された無線IC素子50とを備えた無線ICデバイス。放射体30の一部分を折り曲げる又は湾曲させることによって、誘電体素体20と放射体30との間に空隙部28を形成し、該空隙部28に無線IC素子50が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICデバイス、特にRFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線ICデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の情報管理システムとして、誘導磁界を発生するリーダライタと、物品に付されたRFIDタグ(無線ICデバイスとも称する)とを電磁界を利用した非接触方式で通信し、所定の情報を伝達するRFIDシステムが実用化されている。このRFIDタグは、所定の情報を記憶し、所定の無線信号を処理する無線ICチップと、高周波信号の送受信を行うアンテナ(放射体)とを備え、管理対象となる種々の物品(あるいはその包装材)に貼着して使用される。
【0003】
この種のRFIDタグとして、特許文献1,2には、金属物品の表面に貼り付けても動作する金属対応タグが記載されている。この金属対応タグは、直方体形状の誘電体素体にアンテナとなる金属パターンを巻き付けたものである。ところで、この種のRFIDタグを貼り付ける対象となる物品の表面は、様々な形状を有している。例えば、ガスボンベの表面などの湾曲面にも貼着可能であることが要求される。前記金属対応タグにあっては、誘電体素体として例えばシリコンゴムのような可撓性を有する材料を用い、放射体として金属箔のような可撓性を有する材料を用いれば、湾曲面に貼着することが可能になる。但し、誘電体素体はある程度の厚みが必要であり、素体自体が可撓性を有していても、該素体が曲げられた場合には無線ICチップに応力が集中し、無線ICチップがダメージを受けるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−053833号公報
【特許文献2】特開2007−272264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、曲面に取り付けて誘電体素体が曲げられた場合であっても、無線IC素子に応力が集中してダメージを受けるおそれを排除した無線ICデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態である無線ICデバイスは、
可撓性を有する誘電体素体と、
前記誘電体素体の少なくとも一方主面に設けられた金属材からなる可撓性を有する放射体と、
前記放射体に結合された無線IC素子と、
を備え、
前記放射体の一部分を折り曲げる又は湾曲させることによって、前記誘電体素体と前記放射体との間に空隙部を形成し、
前記空隙部に前記無線IC素子が配置されていること、
を特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の形態である無線ICデバイスは、前記誘電体素体が金属体の表面に貼着されていること、を特徴とする。
【0008】
前記無線ICデバイスにおいては、無線ICデバイスを湾曲した物品(金属体)の表面に取り付け、誘電体素体が強制的に湾曲して応力が発生した場合であっても、無線IC素子は誘電体素体と放射体との間に形成されている空隙部に配置されているため、無線IC素子に作用する応力が緩和され、無線IC素子が損傷するおそれがなくなり、信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、曲面に取り付けた場合であっても、無線IC素子に応力が集中してダメージを受けるおそれを排除でき、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例である無線ICデバイスを示し、(A)は外観斜視図、(B)は断面図、(C)は平面図である。
【図2】前記無線ICデバイスを金属体の湾曲面に貼着した状態を示す断面図である。
【図3】第2実施例である無線ICデバイスを示す断面図である。
【図4】第3実施例である無線ICデバイスを示す断面図である。
【図5】第4実施例である無線ICデバイスを示し、(A)は外観斜視図、(B)は断面図である。
【図6】無線IC素子としての無線ICチップを示す斜視図である。
【図7】無線IC素子として給電回路基板上に前記無線ICチップを搭載した状態を示す斜視図である。
【図8】給電回路の一例を示す等価回路図である。
【図9】前記給電回路基板の積層構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る無線ICデバイスの実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分は同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
(第1実施例、図1及び図2参照)
第1実施例である無線ICデバイス1Aは、UHF帯の通信に用いられるものであり、図1に示すように、直方体形状をなす誘電体素体20と、金属パターンからなる放射体30と、無線IC素子50とで構成されている。
【0013】
誘電体素体20は、フッ素系樹脂材、ウレタン系樹脂材などの誘電体(絶縁性、磁性体であってもよい)からなり、可撓性を有している。なお、誘電体素体20は、それ自体が可撓性を有する材料にて形成されているが、表面に短辺方向に延在する図示しないスリットが形成されていることにより、より大きな可撓性を備えていてもよい。
【0014】
放射体30は、可撓性を有する銅箔やアルミ箔などの金属材からなり、誘電体素体20の上面(一方主面)から両端面を経て下面(他方主面)にわたって設けられている。この放射体30は可撓性樹脂フィルム35(両面テープであってもよい)上に設けられている。このフィルム35は放射体30及び無線IC素子50を内側にして誘電体素体20の表面に貼着されている。
【0015】
放射体30と樹脂フィルム35とは、誘電体素体20の表面に貼着された状態において、短辺方向に延在するa,bで示す部分で折り曲げることによって、誘電体素体20と放射体30との間に断面で三角形状をなす空隙部28が形成されている。また、放射体30の両端部と誘電体素体20の両端部との間にも空隙部29が形成されている。なお、本実施例では、放射体30及び無線IC素子50を内側にしてフィルム35が誘電体素体20の上面及び下面で貼着されている。但し、フィルム35は誘電体素体20の上面又は下面のいずれか一方のみで貼着されていてもよい。
【0016】
前記放射体30は、前記空隙部28において誘電体素体20の短辺方向に対向する給電部30a,30bに分割されており、また、誘電体素体20の下面においてギャップ31によって分離されている。無線IC素子50は給電部30a,30bに実装されている。無線IC素子50は、RF信号を処理するもので、その詳細は図6〜図9を参照して以下に説明する。無線IC素子50と給電部30a,30bとの結合は電磁界結合あるいは半田バンプなどによる電気的な直接結合(DC接続)である。
【0017】
ところで、本第1実施例において、無線IC素子50は前記空隙部28に配置されている。即ち、給電部30a,30bが誘電体素体20の一方主面から持ち上げられた傾斜面に配置され、この給電部30a,30bに無線IC素子50が結合されている。空隙部28はa部分を中心位置として図1の左右に対称形状をなしている。無線IC素子50はこの中心位置aよりも誘電体素体20の長辺方向に沿って若干オフセットされた位置に配置されている。
【0018】
ところで、無線ICデバイス1Aは物品の平面部分に貼着されるのであれば支障を生じないのであるが、図2に示すように、ガスボンベなどの金属体70の曲面部分に貼着される場合がある。このように、無線ICデバイス1Aの下面を曲面に貼着すると、無線ICデバイス1Aは誘電体素体20や放射体30が可撓性を有するため、長辺方向に沿って湾曲する。
【0019】
前記湾曲が生じると、比較的剛性を有する誘電体素体20や放射体30に矢印cで示す曲げ応力が発生し、仮に、空隙部28が存在せずに無線IC素子50が誘電体素体20に密着していると、無線IC素子50に応力が集中し、無線IC素子50がダメージを受けるおそれがある。しかし、本第1実施例において、無線IC素子50は空隙部28に配置されているため、誘電体素体20の湾曲によって空隙部28が若干潰れた状態になるが、無線IC素子50に作用する応力は大きく軽減され、無線IC素子50が損傷するおそれが排除される。また、誘電体素体20の両端部に形成した空隙部29によって、誘電体素体20の湾曲が助長されるとともに、無線IC素子50に生じる応力も緩和される。
【0020】
特に、本第1実施例においては、無線IC素子50が中心位置aよりも誘電体素体20の長辺方向に沿って若干オフセットされた位置に配置されているため、無線IC素子50への応力の集中を効果的に緩和することができる。また、金属パターンからなる放射体30が可撓性を有する樹脂フィルム35上に接着されており、樹脂フィルム35が放射体30及び無線IC素子50を内側にして誘電体素体20の表面に貼着されているため、樹脂フィルム35によって放射体30及び無線IC素子50が外界から保護されることになる。さらに、樹脂フィルム35で誘電体素体20を巻き込むように取り付けるので、容易かつ効率的に無線ICデバイス1Aを製造することができる。
【0021】
また、図1(C)に示すように、無線IC素子50が平面視で長辺と短辺を有する直方体形状をなす場合には、無線IC素子50をその短辺が誘電体素体20の長辺方向に一致するように放射体30に結合させると、誘電体素体20の湾曲時に無線IC素子50に作用する応力をより緩和することができる。
【0022】
ここで、無線ICデバイス1Aの通信作用について概略的に説明すると、無線IC素子50から所定の高周波信号が給電部30a,30bを介して放射体30の上面部分に伝達され、下面部分との電位差により、上面部分がパッチアンテナとして動作する。このように、給電部30a,30bから供給される信号の特性(例えば、広帯域な周波数特性)をそのまま放射体30から外部に伝えることができる。放射体30が外部からの高周波を受信した場合も、同様に、給電部30a,30bから無線IC素子50に電力が供給される。
【0023】
放射体30単体からの電磁界放射は弱く短い距離でしか通信できない。無線ICデバイス1Aを金属体70に貼着すると、放射体30の下面部分が金属体70と容量結合し、金属体70からその表面方向に強い電磁界が放射され、離れた位置にあるリーダライタとの通信が可能になる。なお、放射体30と金属体70との間に形成される容量は無限大であってもよい。換言すれば、放射体30の下面部分は金属体70と直接電気的に導通してもよい。
【0024】
(第2実施例、図3参照)
第2実施例である無線ICデバイス1Bは、図3に示すように、誘電体素体20の上面であって無線IC素子50と対向する位置に、無線IC素子50よりも大きい凹部21を形成したものである。誘電体素体20が図2に示したように湾曲した場合、無線IC素子50は凹部21に入り込み、応力の集中がより緩和される。それゆえ、必ずしも、誘電体素体20の両端部に空隙部29(図1(B)参照)を形成しなくてもよい。
【0025】
本第2実施例の他の構成は前記第1実施例と同様であり、その作用効果も第1実施例で説明したとおりである。
【0026】
(第3実施例、図4参照)
第3実施例である無線ICデバイス1Cは、図4に示すように、放射体30のギャップ31を平面視で無線IC素子50とは重ならないように配置したものである。これにて、無線IC素子50が放射体30の下面部分にて覆われるので、シールド効果が発生する。本第3実施例の他の構成は前記第1実施例と同様であり、その作用効果も第1実施例で説明したとおりである。
【0027】
(第4実施例、図5参照)
第4実施例である無線ICデバイス1Dは、図5に示すように、無線ICデバイス本体を可撓性を有する保護ケース40に収容したものである。保護ケース40はエラストマ樹脂などからなる平板状の基台部41と箱形状部42とからなり、無線ICデバイス本体を収容した後、箱形状部42の周囲に形成したフランジ部43を基台部41に熱溶着することにより封止される。この無線ICデバイス1Dにあっては、基台部41の下面に設けた接着剤層45よって物品の表面に貼着される。
【0028】
この種の無線ICデバイスはガスボンベなどに貼着されると、ガスボンベどうしの接触やトラックへの積み込み、運び出しなどの際荷台に接触するなど、様々な場面で衝撃が加わる。本第4実施例のように、ケース40で保護されることにより、耐環境性や耐衝撃性が向上する。なお、ケース40の天面42aと誘電体素体20の上面(樹脂フィルム35や放射体30を含めて)との間には、少なくとも空隙部28の高さのギャップ44が設けられていることが好ましい。
【0029】
(無線IC素子、図6〜図9参照)
以下に、無線IC素子50について説明する。無線IC素子50は、図6に示すように、高周波信号を処理する無線ICチップ51であってもよく、あるいは、図7に示すように、無線ICチップ51と所定の共振周波数を有する共振回路を含んだ給電回路基板65とで構成されていてもよい。
【0030】
図6に示す無線ICチップ51は、シリコン半導体集積回路チップとして構成されており、クロック回路、ロジック回路、メモリ回路などを含み、必要な情報がメモリされている。無線ICチップ51は、その裏面に入出力用端子電極52,52及び実装用端子電極53,53が設けられている。入出力用端子電極52,52は前記各実施例で示した給電部30a,30bと金属バンプなどを介して電気的に接続される。なお、金属バンプの材料としては、Au、はんだなどを用いることができる。
【0031】
図7に示すように、無線ICチップ51と給電回路基板65とで無線IC素子50を構成する場合、給電回路基板65には種々の給電回路(共振回路/整合回路を含む)を設けることができる。例えば、図8に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに逆相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1、L2を含む給電回路66であってもよい。給電回路66は、所定の共振周波数を有するとともに、無線ICチップ51のインピーダンスと放射体30とのインピーダンスマッチングを図っている。なお、無線ICチップ51と給電回路66とは、電気的に接続(DC接続)されていてもよいし、電磁界を介して結合されていてもよい。
【0032】
給電回路66は、無線ICチップ51から発信された所定の周波数を有する高周波信号を前記アンテナに伝達し、かつ、受信した高周波信号をアンテナを介して無線ICチップ51に供給する。給電回路66が所定の共振周波数を有するので、インピーダンスマッチングが図りやすくなり、放射体30の整合回路部分の電気長を短くすることができる。
【0033】
次に、給電回路基板65の構成について説明する。図6及び図7に示すように、無線ICチップ51の入出力用端子電極52は、給電回路基板65上に形成した給電端子電極142a、142bに、実装用端子電極53は、実装端子電極143a、143bに金属バンプなどを介して接続される。
【0034】
給電回路基板65は、図9に示すように、誘電体あるいは磁性体からなるセラミックシート141a〜141hを積層、圧着、焼成したものである。但し、給電回路基板65を構成する絶縁層はセラミックシートに限定されるものではなく、例えば、液晶ポリマなどのような熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のような樹脂シートであってもよい。最上層のシート141aには、給電端子電極142a,142b、実装端子電極143a,143b、ビアホール導体144a,144b,145a,145bが形成されている。ビアホール導体144a,145aは給電端子電極142aによって接続されている。ビアホール導体144b,145bは給電端子電極142bによって接続されている。2層目〜8層目のシート141b〜141hには、それぞれ、インダクタンス素子L1,L2を構成する配線電極146a,146bが形成され、必要に応じてビアホール導体147a,147b,148a,148bが形成されている。
【0035】
以上のシート141a〜141hを積層することにより、配線電極146aがビアホール導体147aにて螺旋状に接続されたインダクタンス素子L1が形成され、配線電極146bがビアホール導体147bにて螺旋状に接続されたインダクタンス素子L2が形成される。また、配線電極146a,146bの線間にキャパシタンスが形成される。
【0036】
シート141b上の配線電極146aの端部146a−1はビアホール導体145aを介して給電端子電極142aに接続され、シート141h上の配線電極146aの端部146a−2はビアホール導体148a,145bを介して給電端子電極142bに接続される。シート141b上の配線電極146bの端部146b−1はビアホール導体144bを介して給電端子電極142bに接続され、シート141h上の配線電極146bの端部146b−2はビアホール導体148b,144aを介して給電端子電極142aに接続される。
【0037】
以上の給電回路66において、インダクタンス素子L1,L2はそれぞれ逆方向に巻かれているため、インダクタンス素子L1,L2で発生する磁界が相殺される。磁界が相殺されるため、所望のインダクタンス値を得るためには配線電極146a,146bをある程度長くする必要がある。これにてQ値が低くなるので共振特性の急峻性がなくなり、共振周波数付近で広帯域化することになる。
【0038】
インダクタンス素子L1,L2は、給電回路基板65を平面透視したときに、左右の異なる位置に形成されている。また、インダクタンス素子L1,L2で発生する磁界はそれぞれ逆向きになる。これにて、給電回路66をアンテナに結合させたとき、アンテナには逆向きの電流が励起され、近接する金属板に電流を発生させることができ、その電流による電位差で該金属板を放射素子(アンテナ)として動作させることができる。
【0039】
給電回路基板65に共振/整合回路を内蔵することにより、外部の物品の影響による特性変動を抑えることができ、通信品質の劣化を防ぐことができる。また、無線IC素子50を構成する無線ICチップ51を給電回路基板65の厚み方向の中央側に向けて配置すれば、無線ICチップ51の破壊を防ぐことができ、無線IC素子50としての機械的強度を向上させることができる。
【0040】
(他の実施例)
なお、本発明に係る無線ICデバイスは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0041】
特に、誘電体素体は必ずしも直方体形状である必要はなく、またその材料に関しては、ゴムやエラストマ、エポキシなどの熱硬化性樹脂やポリイミドなどの熱可塑性樹脂であってもよい、あるいは、表面に凹部を形成することにより必要な可撓性を有するのであれば、LTCCなどのセラミックであってもよく、多層に形成されてもよい。
【0042】
また、前記各実施例において、放射体は樹脂フィルム上に設けられている例を示したが、放射体は誘電体素体に対して両面テープなどを用いて全面的にあるいは部分的に接着されていてもよい。さらに、空隙部は放射体及び樹脂フィルムを折り曲げることにより形成した例を示したが、それ以外に放射体及び樹脂フィルムを外方に湾曲させて空隙部を形成してもよい。
【0043】
また、放射体におけるRF信号の伝搬や放射体と無線IC素子との信号の受渡しは前記実施例で説明した形態に限定することはなく、種々の伝搬形態、受渡し形態を採用でき、放射体の形状やサイズも任意である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、無線ICデバイスに有用であり、特に、曲面に取り付けた場合に無線IC素子に応力が集中してダメージを受けるおそれを排除できる点で優れている。
【符号の説明】
【0045】
1A〜1D…無線ICデバイス
20…誘電体素体
28…空隙部
30…放射体
35…樹脂フィルム
40…保護ケース
50…無線IC素子
65…給電回路基板
70…金属体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する誘電体素体と、
前記誘電体素体の少なくとも一方主面に設けられた金属材からなる可撓性を有する放射体と、
前記放射体に結合された無線IC素子と、
を備え、
前記放射体の一部分を折り曲げる又は湾曲させることによって、前記誘電体素体と前記放射体との間に空隙部を形成し、
前記空隙部に前記無線IC素子が配置されていること、
を特徴とする無線ICデバイス。
【請求項2】
前記無線IC素子は、前記空隙部の折り曲げ位置又は湾曲部分の中心位置よりもオフセットされた位置に配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の無線ICデバイス。
【請求項3】
前記誘電体素体は平面視で長辺と短辺を有する直方体形状をなし、
前記無線IC素子は、前記誘電体素体の長辺方向に沿ってオフセットされた位置に配置されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線ICデバイス。
【請求項4】
前記誘電体素体は平面視で長辺と短辺を有する直方体形状をなし、
前記無線IC素子は、平面視で長辺と短辺を有する直方体形状をなし、該短辺を前記誘電体素体の長辺方向に一致させて前記放射体に結合されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項5】
前記放射体は可撓性を有するフィルム上に設けられており、
前記フィルムは前記放射体及び前記無線IC素子を内側にして前記誘電体素体の表面に取り付けられていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項6】
前記放射体は、前記誘電体素体の一方主面から両端面を経て他方主面にわたって連続して配置されており、かつ、一方主面及び/又は他方主面に接着されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項7】
前記無線IC素子は所定の無線信号を処理する無線ICチップであること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項8】
前記無線IC素子は、所定の無線信号を処理する無線ICチップと、所定の共振周波数を有する給電回路を含む給電回路基板とからなること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項9】
前記誘電体素体、前記放射体及び前記無線IC素子が、可撓性を有する保護ケースに収容されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項10】
可撓性を有する誘電体素体と、
前記誘電体素体の少なくとも一方主面に設けられた金属材からなる可撓性を有する放射体と、
前記放射体に結合された無線IC素子と、
を備え、
前記放射体の一部分を折り曲げる又は湾曲させることによって、前記誘電体素体と前記放射体との間に空隙部を形成し、
前記空隙部に前記無線IC素子が配置されており、
前記誘電体素子が金属体の表面に貼着されていること、
を特徴とする無線ICデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−137894(P2012−137894A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288993(P2010−288993)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】