説明

無線LAN接続システム

【課題】無線LAN対応の携帯電話端末をアクセスポイントを介して無線LANに接続する無線LAN接続システムにおいて、アクセスポイントへの登録と接続を簡単にする。
【解決手段】本システム50は無線LAN対応の携帯電話端末1と、携帯電話網のサービス提供会社の携帯電話管理サーバ20と、アクセスポイント40を管理する無線LANサーバ30とを備える。携帯電話端末1は携帯電話管理サーバ20に電話番号とアクセスポイントの登録用番号(SSID等)とを送り、これを基に携帯電話管理サーバ20でユーザ認証し、この認証を基に無線LANサーバ30でユーザ登録しパスワードを携帯電話端末1に送る。携帯電話端末1は受信したパスワードを自動的にアクセスポイント40に送信しアクセスポイント40に接続される。従って、ユーザが登録用番号を入力するだけで、携帯電話端末1は自動的にアクセスポイント40へ登録され、簡単にLAN接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANアクセスポイントを介して携帯電話端末をインターネット等のネットワークに接続する無線LAN接続システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers;電気電子学会)802.11bに準拠した無線LANが広く普及してきている。また、5GHz帯を使用するIEEE802.11aに準拠した無線LANも普及してきている。このような無線LANの普及に対応して、携帯電話端末も、公衆の無線LANのアクセスポイントを介してインターネット等のネットワークにアクセスできるようになってきている。
【0003】
通常、このような無線LAN対応の携帯電話端末を用いて、無料のアクセスポイントに接続する場合には、例えば、アクセスポイントの識別情報である登録用番号(SSID(Service Set Identifier))などを携帯電話端末側で入力することにより、アクセスすることが可能である。しかしながら、新規に有料のアクセスポイントを利用する場合には、ユーザは、前述の登録用番号の入力だけでは接続されず、まず、携帯電話端末をアクセスポイントにユーザ登録し、課金方法が決定され、ユーザID、パスワードが割り振られて初めてLAN接続設定が可能となる。このため、LANへの登録手続き及び接続設定が複雑であり、LAN利用までに時間と手間が掛かっていた。
【0004】
例えば、無線LANアクセスポイントが比較的近くにある空港ロビーや駅ターミナル、ホテルなどにおいて、ユーザが未登録の有料の無線LANアクセスポイントに携帯電話端末を接続しようとすると、上記のように登録手続き及び接続設定に手間と時間が掛かり、その場で直ぐに利用できないことがある。また、ユーザが無線LANアクセスポイントの設置されている店舗内で携帯電話端末からインターネット等を利用する際も、店員に無線LANアクセスポイントへの利用登録を依頼するなどの必要があり、手続きが面倒であった。
【0005】
ところで、無線LAN対応の携帯電話端末の無線LANアクセスポイントへの接続設定を行う無線LAN接続システムとして、種々のシステムが提案されている。例えば、携帯電話網を経由してダウンロードした無線LAN設定用のプログラムに基いて、携帯電話端末のLAN設定を行う無線LAN設定システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このシステムは、ユーザが携帯電話の接続認証の際、IPS事業者から回線加入時に予め与えられたアカウント名やパスワード等を認証情報として入力する必要があり、入力に手間が掛かる。
【0006】
また、情報端末により受信した、設定情報配信サーバからのアクセスポイントへの設定情報と、近傍に存在するアクセスポイントのスキャン結果情報とを基に、接続可能なアクセスポイントを抽出し、指定したアクセスポイントに接続する無線LAN設定システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。このシステムでは、携帯端末を店舗内等で無線LANに接続する際、店舗でネットワークの使用料金精算手続き後、その携帯端末を設定情報配信サーバであるPOSレジスタ等に向け、赤外線等を介してネットワーク接続情報を取得しLAN接続を行っている。このため、アクセスポイントに接続するには、先にネットワーク使用料金の精算処理が必要であり、また、携帯端末を設定情報配信サーバの近くに持っていかねばならないなど、接続に手間が掛かる。
【0007】
また、接続パラメータサーバから受け取った接続パラメータを、アクセスポイントと無線端末とに自動設定する無線LAN接続システムが知られている(例えば、特許文献3参照)。また、無線端末により、アクセスポイントから取得したアクセスポイントIDと、設定情報配布サーバより取得した無線LANへ接続するための設定情報とをアクセスポイントに送って接続承認信号を受信して接続設定する無線LAN接続システムが知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献3及び特許文献4に示される無線LAN接続システムにおいては、ともに、有料の無線LANに接続する際、事前にユーザ認証し、ユーザID、パスワード等が与えられてから無線LANへの接続設定がされるので、ユーザ認証やユーザ登録、及び課金手続きなどに手間が掛る。
【0008】
また、ユーザ識別のための無線タグのIDをリーダ装置で読み取り、無線タグIDとリーダ装置IDとを携帯電話機からアクセス制御情報提供サーバに送り、上記各IDに基いてユーザを確認し、それら無線タグ及びリーダ装置の正当性が認識された場合にアクセス制御情報を、携帯電話機とアクセスポイントに送信する無線LAN接続システムが知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、このシステムにおいては、ユーザ識別するために、無線タグとリーダ装置を別途必要とするので、システムが複雑になると共に、無線タグにユーザ識別情報を予め記憶しておく必要があるなど、ユーザ認証及びユーザ登録、設定手続きに手間が掛かる。
【0009】
このように、上記各特許文献に示される無線LAN接続システムにおいては、いずれも携帯電話端末から無線LANアクセスポイントへの接続において、ユーザ認証やユーザ登録、及び課金設定等の手続きが簡単ではなく、未登録の有料のアクセスポイントへ接続する際、接続手続きに手間が掛り、直ぐに使用することが容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−157815号公報
【特許文献2】再表2005−121981号公報
【特許文献3】再表2006−101065号公報
【特許文献4】特開2005−65018号公報
【特許文献5】特開2008−21075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、無線LAN対応の携帯電話端末をアクセスポイントを介して無線LANに接続する無線LAN接続システムにおいて、携帯電話端末からアクセスポイントへのユーザ登録と接続設定を簡単に行え、利便性の高い、無線LAN接続システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、無線LAN通信機能を有する携帯電話端末と、この携帯電話端末の携帯電話網通信サービスを提供する会社の側に配された携帯電話管理サーバと、無線LANアクセスポイントの通信管理を行う無線LANサーバとを備え、前記無線LANアクセスポイントを介して前記携帯電話端末をインターネット等のネットワークに接続する無線LAN接続システムにおいて、前記携帯電話端末は、ユーザ所望の無線LANアクセスポイントの識別情報である接続先情報を選択又は入力して指定するための接続先情報指定手段と、前記接続先情報指定手段により指定された接続先情報と、該携帯電話端末の識別情報である電話識別情報を、携帯電話網を介して前記携帯電話管理サーバに送信する電話端末側電話網送信手段と、前記電話端末側電話網送信手段により前記携帯電話管理サーバに前記接続先情報と前記電話識別情報を送信した結果、前記携帯電話管理サーバから携帯電話網を介して送信された無線接続設定情報を受信する電話端末側電話網受信手段と、前記電話端末側電話網受信手段により受信した前記無線接続設定情報を、無線LANを介して、前記無線LANアクセスポイントに送信するための電話端末側無線送信手段とを備え、前記携帯電話管理サーバは、前記携帯電話端末から前記電話端末側電話網送信手段により送信された前記接続先情報と前記電話識別情報とを受信する電話管理サーバ側電話網受信手段と、前記電話管理サーバ側電話網受信手段により受信した前記電話識別情報を含むユーザ情報と前記接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して、前記無線LANサーバに送信する電話管理サーバ側ネットワーク送信手段と、前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により前記無線LANサーバに前記ユーザ情報と前記接続先情報とを送信した結果、前記無線LANサーバから送信される無線接続設定情報を、インターネット等のネットワークを介して受信する電話管理サーバ側ネットワーク受信手段と、前記電話管理サーバ側ネットワーク受信手段により受信した無線接続設定情報を、携帯電話網を介して前記携帯電話端末に送信する電話管理サーバ側電話網送信手段とを備え、前記無線LANサーバは、前記携帯電話管理サーバから前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により送信された前記ユーザ情報と前記接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して受信する無線LANサーバ側ネットワーク受信手段と、前記無線LANサーバ側ネットワーク受信手段により受信した前記ユーザ情報と前記接続先情報とに基づいて、前記接続先情報に対応した無線LANアクセスポイントに接続可能なユーザとして、前記携帯電話端末の所有者を登録するユーザ登録手段と、前記ユーザ登録手段によるユーザ登録後に、インターネット等のネットワークを介して、前記携帯電話管理サーバに前記無線接続設定情報を送信する無線LANサーバ側ネットワーク送信手段とを備え、前記携帯電話端末が、前記携帯電話管理サーバを介して前記無線LANサーバから受信した前記無線接続設定情報を、前記電話端末側無線送信手段により前記無線LANアクセスポイントに送信することにより、該携帯電話端末の前記無線LANアクセスポイントへの接続設定を行うようにしたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の無線LAN接続システムにおいて、前記携帯電話管理サーバは、前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により、前記無線LANサーバに、前記携帯電話端末の所有者への課金方法の設定に必要な情報を送信し、前記無線LANサーバは、前記無線LANサーバ側ネットワーク受信手段により受信した、前記課金方法の設定に必用な情報に基づいて、前記携帯電話端末の所有者に対する課金方法の設定を行う課金方法設定手段をさらに備えたものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の無線LAN接続システムにおいて、前記無線接続設定情報は、パスワードのみ又はパスワードとユーザIDの両方であるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、携帯電話端末は、ユーザがアクセスポイントの接続先情報を入力すると、この接続先情報と電話識別情報を、携帯電話網を介して携帯電話管理サーバに送信し、携帯電話管理サーバは、この電話識別情報を含むユーザ情報と接続先情報を無線LANサーバに送る。そして、無線LANサーバは、携帯電話管理サーバから送られた接続先情報と電話識別情報を含むユーザ情報とに基づいて、携帯電話端末の所有者をユーザ登録し、携帯電話管理サーバを介して、無線接続設定情報を携帯電話端末に送信する。そして、携帯電話端末は、この無線接続設定情報を無線LANアクセスポイントに送信することにより、自動的に無線LANアクセスポイントへの接続設定を行う。従って、ユーザが有料の無線LANアクセスポイントを新規に利用するとき、アクセスポイントの接続先情報を入力するだけでユーザ登録されて自動的に接続設定されるので、簡単に無線LANに接続することが可能になり、利便性が向上する。
【0016】
請求項2の発明によれば、無線LAN管理者側での課金処理が簡単になり、利便性が高まる。また、無線LAN使用料の課金を携帯電話端末の電話使用料の課金に統一するのが容易になる。
【0017】
請求項3の発明によれば、無線LAN接続設定が極めて簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線LAN接続システムの構成図。
【図2】上記システムの携帯電話管理サーバの電気ブロック構成図。
【図3】上記システムの無線LANサーバの電気ブロック構成図。
【図4】上記システムの携帯電話端末の電気ブロック構成図。
【図5】上記システムの折畳み型携帯電話端末を開放した状態の平面図。
【図6】上記実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態の無線LAN接続システムについて、図面を参照して説明する。図1に示されるように、本実施形態の無線LAN接続システム50は、無線LAN通信機能を有する携帯電話端末1と、この携帯電話端末1の携帯電話網通信サービスを提供する会社の側に配された携帯電話管理サーバ20と、無線LANアクセスポイント(以下、アクセスポイントという)40の通信管理を行う無線LANサーバ30とを備え、アクセスポイント40を介して携帯電話端末1をインターネット等のネットワークに接続するものである。
【0020】
図2に示されるように、携帯電話管理サーバ20は、電話網受信部(電話管理サーバ側電話網受信手段)21、電話サーバNW送信部(電話管理サーバ側ネットワーク送信手段)22、電話サーバNW受信部(電話管理サーバ側ネットワーク受信手段)23、電話網送信部(電話管理サーバ側電話網送信手段)24、ユーザ認証部25、課金管理部26、及び制御部27を備えている。また、携帯電話管理サーバ20は、インターネットを介して無線LANサーバ30と接続されている。
【0021】
電話網受信部21は、携帯電話端末1からその端末電話送信部3(後述)により送信されたアクセスポイント40の接続先情報と、電話識別情報(ここでは、電話番号)とを受信する。電話サーバNW送信部22は、電話網受信部21により受信した電話番号を含むユーザ情報と接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して、無線LANサーバ30に送信する。電話サーバNW受信部23は、電話サーバNW送信部22により無線LANサーバ30にユーザ情報と接続先情報とを送信した結果、無線LANサーバ30から送信される無線接続設定情報(例えば、パスワード、ユーザIDなど)を、インターネット等のネットワークを介して受信する。
【0022】
電話網送信部24は、電話サーバNW受信部23で受信した無線接続設定情報を、携帯電話網を介して携帯電話端末1に送信する。ユーザ認証部25は、携帯電話端末の使用者を特定するためのユーザ認証を行う。ここでは、ユーザ認証部25は、携帯電話端末1から送られた電話番号含むユーザ情報から、既に携帯電話契約の際、取得されているユーザの個人情報等を基にしてユーザ認証を行うことができる。課金管理部26は、ユーザ認証部25によるユーザ認証に基づき、携帯電話契約のユーザを特定し、携帯電話使用料の課金管理を行う。制御部27は、上記各部及び携帯電話管理サーバ20全体を制御する。また、制御部27、ユーザ認証部25、及び課金管理部26は、共通のCPUとメモリを有し、メモリに記憶した各種制御ソフト、認証ソフト、課金管理ソフト等を基に、CPUでそれぞれの機能を制御する。
【0023】
図3に示されるように、無線LANサーバ30は、LANサーバ受信部(無線LANサーバ側ネットワーク受信手段)31、ユーザ登録部(ユーザ登録手段)32、LANサーバ送信部(無線LANサーバ側ネットワーク送信手段)33、課金設定部34、及び制御部35を備えている。
【0024】
LANサーバ受信部31は、携帯電話管理サーバ20から電話サーバNW送信部22により送信したユーザ情報とアクセスポイントの接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して受信する。ユーザ登録部32は、LANサーバ受信部31により受信したユーザ情報とアクセスポイントの接続先情報とに基づいて、その接続先情報に対応したアクセスポイント40に接続可能なユーザとして、携帯電話端末1の所有者を登録すると共に、携帯電話端末1による無線LAN接続を許可するための無線接続設定情報(例えば、パスワード、ユーザIDなど)を発行する。LANサーバ送信部33は、ユーザ登録部32によるユーザ登録後に、インターネット等のネットワークを介して、携帯電話管理サーバ20に無線接続設定情報を送信する。なお、LANサーバ受信部31及びLANサーバ送信部33は、アクセスポイント40とも受信及び送信可能であり、無線LANサーバ30とアクセスポイント40間で必要な情報を互に伝達することができる。
【0025】
図4に示されるように、携帯電話端末1は、LAN接続先設定部(接続先情報指定手段)2、端末電話送信部(電話端末側電話網送信手段)3、端末電話受信部(電話端末側電話網受信手段)4、端末LAN送信部(電話端末側無線送信手段)5、端末LAN受信部(電話端末側無線受信手段)6、制御部7、記憶部8、入力部9、表示部10、カメラ部11、及び音声部12を備える。
【0026】
LAN接続先設定部2は、ユーザ所望のアクセスポイントの識別情報である接続先情報を入力できると共に、LAN接続を開始するための入力部9と、入力部9から入力される接続先情報を基に無線LANに携帯電話端末1を自動接続するための設定プログラムと、この設定プログラムを動作させるためのCPUとを備えている。この設定プログラムは、記憶部8に記憶されており、無線LAN設定開始時にLAN接続先設定部2にダウンロードされる。ここでは、入力部9は、携帯電話端末1を操作するための操作キーやタッチパネルなどの入力操作機能を備え、ユーザは入力部9のこれら入力操作機能を用いて、アクセスポイントの接続先情報を選択又は入力して、接続先情報の設定を行うことができる。この接続先情報としては、入手可能なアクセスポイントの識別番号である登録用番号(SSID)を用いることができる。
【0027】
また、LAN接続先設定部2は、無線LANサーバ30より無線LAN接続を許可するためのパスワード等の無線接続設定情報を取得したときは、設定プログラムの接続用アプリケーションプログラムにパスワードの入力設定を自動的に行って、そのパスワードを端末LAN送信部5からアクセスとポイント40に送信する。なお、LAN接続先設定部2は、無線LANサーバ30より上記パスワード等を取得したとき、そのパスワードを記憶部8に記憶し、必要なときに取り出せるようになっている。
【0028】
端末電話送信部3は、LAN接続先設定部2により指定された接続先情報と、携帯電話端末1の識別情報である電話番号(電話識別情報)とを、携帯電話網を介して携帯電話管理サーバ20に送信する。また、端末電話受信部4は、端末電話送信部3により携帯電話管理サーバ20に上記接続先情報と電話番号を送信した結果、携帯電話管理サーバ20から携帯電話網を介して送信された無線接続設定情報を受信する。
【0029】
端末LAN送信部5は、携帯電話管理サーバ20側から送られ、端末電話受信部4で受信されたパスワード等の無線接続設定情報を、無線LANを介して、アクセスポイント40に送信する。また、端末LAN受信部6は、無線接続されるアクセスポイント40からの送信電波を受信する。
【0030】
制御部7は、CPUを有し、携帯電話端末1内の前記各部及び携帯電話端末1全体の制御を、記憶部8に予め記憶された各種制御用プログラムを利用して実行する。また、制御部7は、アクセスポイントの接続先情報を得るために、例えば、入力部9でLAN接続設定が開始されると、近くのアクセスポイントが常時送信しているSSIDを含む電波を端末LAN受信部6でサーチして受信し、この受信電波よりSSIDを取り出し、表示部10に画面表示し、ユーザがこの表示画面からアクセスポイントを選択できるようにしてる。記憶部8は、ROM、SRAM及びフラッシュメモリ等の半導体メモリを適宜に組合わせて構成され、制御部7による制御用の制御プログラムや携帯電話機能ソフト、LAN接続先設定部2でアクセスポイント接続先を設定するための設定プログラム等を記憶する。
なお、制御部7とLAN接続先設定部2は、CPUを共用してもよい。
【0031】
カメラ部11は、アクセスポイント40の接続先情報(SSID等)のバーコード表示を画像認識で読取り、読込んだバーコードを元の接続先情報に復号することができる。音声部12は、通話音声処理や音声出力を行うと共に、制御部7からの音声メッセージの出力等を行う。
【0032】
図5に示すように、携帯電話端末1は、例えば、表示部10にタッチパネル機能を設けたものとし、その表示画面上に選択メニューを表示し、メニュー表示からLAN接続設定を行うようにしてもよい。ここでは、ユーザがタッチパネルで無線LAN接続設定を選択したとき、制御部7は、端末LAN受信部6で受信された各種アクセスポイントからの信号に含まれるSSIDを表示部10の表示画面に表示するように制御する。このとき、ユーザは、この表示画面上の各アクセスポイントのSSIDから、いずれかを選択し、LAN接続するためのアクセスポイントの接続先情報を設定することができる。
【0033】
また、この接続先情報は、予め公表されている公衆無線LANアクセスポイントに接続するための登録用番号(SSID)としてもよい。また、入力部9として、携帯電話端末1が有する操作キーを用いて、アクセスポイントの登録用番号を直接入力してもよい。また、操作キーの中に無線LAN設定ボタンを設け、これを操作して無線LAN設定開始を指示してもよい。また、LAN接続先設定部2は、カメラ部11で読取ったアクセスポイント接続先を示すバーコードから接続先情報を取得して自動入力することもできる。
【0034】
ここで、本無線LAN接続システム50によるLAN接続設定の動作について、図6を参照して説明する。ユーザが入力部9により無線LAN設定を選択すると(S1)、制御部7は記憶部8に記憶されている無線LANの設定用プログラムをLAN接続先設定部2にダウンロードし、LAN接続用アプリケーションを起動させる(S2)。制御部7は、端末LAN受信部6で受信された各種アクセスポイントの接続先情報(登録用番号など)を、表示部10の表示画面に表示し、ユーザがその表示画面から所望のアクセプトポイントの接続先情報を選択(または既知の登録用番号等の接続先情報を入力部9より直接入力)して設定すると(S3)、LAN接続先設定部2は、この接続先情報と携帯電話端末1の電話番号とを端末電話送信部3から携帯電話網を介して、携帯電話管理サーバ20に送信する(S4)。
【0035】
次いで、携帯電話管理サーバ20は、電話網受信部21で受信した、携帯電話端末1から送信されたユーザの電話番号を含むユーザ情報(例えば、携帯電話契約時の個人情報等)を基に、ユーザ認証部25でユーザ認証を行い、利用者確認を完了すると(S5でYes)、この認証されたユーザ情報と、アクセスポイント40の接続先情報と、携帯電話端末1の所有者への課金方法の設定に必要な情報とを、電話サーバNW送信部22から無線LANサーバ30に送付する(S6)。
【0036】
続いて、無線LANサーバ30は、携帯電話管理サーバ20からの上記各情報に基き、ユーザ登録部32でユーザ登録を行うと共に、課金設定部34で課金方法を設定し、例えば、無線LAN使用料金をユーザの電話使用料金に統一するように設定する(S7)。また、無線LANサーバ30は携帯電話管理サーバ20を介して、携帯電話端末1に、上記接続先情報のアクセスポイント40への接続を許可するためのパスワード(無線接続設定情報)を送付する(S8)。
【0037】
携帯電話端末1は、無線LANサーバ30から送付された上記接続許可のパスワードを取得すると、LAN接続先設定部2によりこのパスワードを接続用アプリケーションプログラムに自動設定する(S9)。ここで、制御部7は、携帯電話端末1を携帯電話通信から無線LAN通信に切替え、そのパスワードを端末LAN送信部5からアクセスポイント40へ送信する。このとき、携帯電話端末1のアクセスポイント40への接続設定が行われ、無線LAN利用が開始される(S10)。同時に、携帯電話管理サーバ20及び無線LANサーバ30は課金動作を開始し(S11)、無線LAN接続が終了したとき(S12でYes)、課金が停止され(S13)、終了する。
【0038】
本実施形態の無線LAN接続システム50によれば、携帯電話端末1は、ユーザがアクセスポイント40の接続先情報を入力すると、この接続先情報と電話番号を、携帯電話網を介して携帯電話管理サーバ20に送信し、携帯電話管理サーバ20は、この電話番号を含むユーザ情報と接続先情報を無線LANサーバ30に送る。そして、無線LANサーバ30は、携帯電話管理サーバ20から送られた接続先情報と電話番号を含むユーザ情報とに基づいて、携帯電話端末1の所有者をユーザ登録し、携帯電話管理サーバ20を介して、無線接続設定情報を携帯電話端末1に送信する。そして、携帯電話端末1は、この無線接続設定情報を無線LANのアクセスポイント40に送信することにより、自動的にアクセスポイント40への接続設定を行う。従って、ユーザが有料のアクセスポイントを新規に利用するとき、アクセスポイントの接続先情報(登録用番号など)を入力するだけでユーザ登録されて自動的に接続設定されるので、無線LAN接続に詳しくなくても簡単に無線LANに接続することが可能になり、利便性が向上する。また、このように無線LANの利用手続きが簡単になり、事前登録無しでも、その場で手軽にLAN接続でき、ユーザの空き時間に、また、使用したいときなどに直ぐに利用開始できることから、サービス性が高まり、無線LAN事業者は新規ユーザを獲得する可能性が広がる。
【0039】
また、ユーザ認証を、通常、高いセキュリティ機能を有してキャリア回線を管理する携帯電話管理サーバ20側で行うので、無線LANサーバ30におけるユーザ認証処理を簡単にでき、または省くことができ、無線LANサーバ30でのユーザ登録処理が容易となる。
【0040】
また、無線LAN使用料の課金を携帯電話端末の電話使用料の課金に統一できるので、ユーザは携帯電話使用料と無線LAN使用料を別々に支払う必要がなくなると共に、無線LAN管理者側での課金処理が簡単になり、利便性が高まる。
【0041】
また、無線接続設定情報をパスワードのみとすることにより、無線LAN接続の設定プログラムが極めて簡単なる。また、無線接続設定情報をパスワード及びユーザIDの2つとすることにより、無線LAN接続設定におけるセキュリティを高くすることができる。
【0042】
また、携帯電話端末1と携帯電話管理サーバ20間で送受されるユーザ識別情報(電話番号)と、携帯電話管理サーバ20と無線LANサーバ30間で送受されるユーザ識別情報とを同じとすることにより、情報交換を簡単にすることができる。また、上記各通信間で1人のユーザに対し互に異なるユーザ識別情報を用いることにより、ユーザの個人情報のセキュリティを高めることができる。また、携帯電話端末1と携帯電話管理サーバ20間、また、携帯電話管理サーバ20と無線LANサーバ30間の各通信信号をそれぞれ暗号化して送受してもよい。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、携帯電話端末が携帯電話網と無線LANの2つのネットワークに接続する場合の例を示したが、これに限らず、例えば、どれか一つの通信回線がセキュリティの高いユーザ認証や課金システムが確立している通信ネットワークであればよい。また、LAN接続を許可する無線接続設定情報は、パスワードとユーザIDの2つ以外の情報であってもよく、また、3つ以上であってもよい。また、電話識別情報は電話番号以外であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯電話端末
2 LAN接続先設定部(接続先情報指定手段)
3 端末電話送信部(電話端末側電話網送信手段)
4 端末電話受信部(電話端末側電話網受信手段)
5 端末LAN送信部(電話端末側無線送信手段)
6 端末LAN受信部
9 入力部(接続先情報指定手段)
20 携帯電話管理サーバ
21 電話網受信部(電話管理サーバ側電話網受信手段)
22 電話サーバNW送信部(電話管理サーバ側ネットワーク送信手段)
23 電話サーバNW受信部(電話管理サーバ側ネットワーク受信手段)
24 電話網送信部(電話管理サーバ側電話網送信手段)
30 無線LAN管理サーバ
31 LANサーバ受信部(無線LANサーバ側ネットワーク受信手段)
32 ユーザ登録手段
33 LANサーバ送信部(無線LANサーバ側ネットワーク送信手段)
34 課金設定部(課金方法設定手段)
40 アクセスポイント(無線LANアクセスポイント)
50 無線LAN接続システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN通信機能を有する携帯電話端末と、この携帯電話端末の携帯電話網通信サービスを提供する会社の側に配された携帯電話管理サーバと、無線LANアクセスポイントの通信管理を行う無線LANサーバとを備え、前記無線LANアクセスポイントを介して前記携帯電話端末をインターネット等のネットワークに接続する無線LAN接続システムにおいて、
前記携帯電話端末は、
ユーザ所望の無線LANアクセスポイントの識別情報である接続先情報を選択又は入力して指定するための接続先情報指定手段と、
前記接続先情報指定手段により指定された接続先情報と、該携帯電話端末の識別情報である電話識別情報を、携帯電話網を介して前記携帯電話管理サーバに送信する電話端末側電話網送信手段と、
前記電話端末側電話網送信手段により前記携帯電話管理サーバに前記接続先情報と前記電話識別情報を送信した結果、前記携帯電話管理サーバから携帯電話網を介して送信された無線接続設定情報を受信する電話端末側電話網受信手段と、
前記電話端末側電話網受信手段により受信した前記無線接続設定情報を、無線LANを介して、前記無線LANアクセスポイントに送信するための電話端末側無線送信手段とを備え、
前記携帯電話管理サーバは、
前記携帯電話端末から前記電話端末側電話網送信手段により送信された前記接続先情報と前記電話識別情報とを受信する電話管理サーバ側電話網受信手段と、
前記電話管理サーバ側電話網受信手段により受信した前記電話識別情報を含むユーザ情報と前記接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して、前記無線LANサーバに送信する電話管理サーバ側ネットワーク送信手段と、
前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により前記無線LANサーバに前記ユーザ情報と前記接続先情報とを送信した結果、前記無線LANサーバから送信される無線接続設定情報を、インターネット等のネットワークを介して受信する電話管理サーバ側ネットワーク受信手段と、
前記電話管理サーバ側ネットワーク受信手段により受信した無線接続設定情報を、携帯電話網を介して前記携帯電話端末に送信する電話管理サーバ側電話網送信手段とを備え、
前記無線LANサーバは、
前記携帯電話管理サーバから前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により送信された前記ユーザ情報と前記接続先情報とを、インターネット等のネットワークを介して受信する無線LANサーバ側ネットワーク受信手段と、
前記無線LANサーバ側ネットワーク受信手段により受信した前記ユーザ情報と前記接続先情報とに基づいて、前記接続先情報に対応した無線LANアクセスポイントに接続可能なユーザとして、前記携帯電話端末の所有者を登録するユーザ登録手段と、
前記ユーザ登録手段によるユーザ登録後に、インターネット等のネットワークを介して、前記携帯電話管理サーバに前記無線接続設定情報を送信する無線LANサーバ側ネットワーク送信手段とを備え、
前記携帯電話端末が、前記携帯電話管理サーバを介して前記無線LANサーバから受信した前記無線接続設定情報を、前記電話端末側無線送信手段により前記無線LANアクセスポイントに送信することにより、該携帯電話端末の前記無線LANアクセスポイントへの接続設定を行うようにしたことを特徴とする無線LAN接続システム。
【請求項2】
前記携帯電話管理サーバは、前記電話管理サーバ側ネットワーク送信手段により、前記無線LANサーバに、前記携帯電話端末の所有者への課金方法の設定に必用な情報を送信し、
前記無線LANサーバは、前記無線LANサーバ側ネットワーク受信手段により受信した、前記課金方法の設定に必用な情報に基づいて、前記携帯電話端末の所有者に対する課金方法の設定を行う課金方法設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線LAN接続システム。
【請求項3】
前記無線接続設定情報は、パスワードのみ又はパスワードとユーザIDの両方であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線LAN接続システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−244599(P2012−244599A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116152(P2011−116152)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】