無線LAN防爆型中継器及び危険地区における通信システム
【課題】製油所や石油化学工場などにおける危険地区での無線LANによる無線通信に適用し、広範囲にわたる当該危険地区での長距離無線中継を可能とする無線LAN防爆型中継器、及びそのような無線LAN防爆型中継器を利用した危険地区における通信システムを提供する。
【解決手段】無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニット10を耐圧防爆構造とされた第一の筐体51内に収容し、第一の筐体51外に延長したアンテナケーブル41によって無線LAN双方向通信ユニット10に接続されたアンテナ本体40を、アンテナ本体40が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内に収容する。
【解決手段】無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニット10を耐圧防爆構造とされた第一の筐体51内に収容し、第一の筐体51外に延長したアンテナケーブル41によって無線LAN双方向通信ユニット10に接続されたアンテナ本体40を、アンテナ本体40が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内に収容する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険地区での無線LAN(Local
Area Network)による無線通信に適用し、長距離無線中継を可能とする無線LAN防爆型中継器、及びそのような無線LAN防爆型中継器を利用した通危険地区における通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製油所や石油化学工場などにあっては、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での業務管理及び製造設備の保守などを行うために、非危険地区に管理施設を設けるとともに、この管理施設と危険地区に設置されている各種設備との間で種々のデータを送受信して集中管理している。
【0003】
近年にあっては、このようなデータの送受信に、無線LANが注目されている。無線LANによれば、通信ケーブルの敷設が不要となり、コスト面で有利である。そのような状況下、本出願人は、特許文献1において、大量のデータを安全、かつ、効率よく通信することを可能とし、このような危険地区において利用するのに好適な無線LAN防爆型中継器を提案した。
【特許文献1】特開2006−197402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記中継器は、危険地区に設置された送受信機との間では、無線LANによる無線通信を行っているが、非危険地区に設置された無線LANサーバーとは、光ケーブルなどの通信ケーブルを介した有線LANで通信している。このため、上記中継器の設置場所は、無線LANによる無線通信を行う相手方となる送受信機との中継可能な距離を考慮して定められるところ、このときの中継距離が十分に確保できない場合には、相手方となる送受信機に上記中継器を近づけて設置する必要がある。そして、そのためには、通信ケーブルを延長して敷設しなければならず、無線LANの有利性が損なわれてしまう。
また、中継距離が十分に確保できない場合には、送受信機との間に、さらに中継器を介在させて、複数の中継器により全体としての中継距離を長くすることも可能である。ところが、このようにした場合には、中継する毎に伝送容量が減少してしまい、中継器が増えるほど伝送容量の減少が顕著となる。
【0005】
製油所や石油化学工場などにおける危険地区は、一般に、広範囲にわたっている。このため、中継距離が十分に確保できないと、特許文献1で提案した中継器だけでは、広範囲にわたる危険地区の全てを網羅するのは困難であることが指摘されており、より長い距離を中継できる無線LAN防爆型中継器が求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、製油所や石油化学工場などにおける危険地区での無線LANによる無線通信に適用し、広範囲にわたる当該危険地区での長距離無線中継を可能とする無線LAN防爆型中継器、及びそのような無線LAN防爆型中継器を利用した危険地区における通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線LAN防爆型中継器は、耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットを収容し、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体を収容した構成としてある。
【0008】
このような構成とした本発明の無線LAN防爆型中継器は、アンテナ本体の指向性に応じてアンテナ本体の設置位置を自由に定めることができ、長距離の無線中継が可能となる。そして、より長距離の無線中継を可能とするには、前記アンテナ本体が、指向型アンテナであるのが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る無線LAN防爆型中継器は、各種のネットワーク通信機器が接続できるように、前記双方向通信ユニットに接続したスイッチングハブを、前記双方向通信ユニットとともに前記第一の筐体内に収容した構成としてもよい。
【0010】
また、本発明に係る危険地区における通信システムは、耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続される無線LANサーバーと、危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続される耐圧防爆構造とされたネットワーク通信機器と、を具備する構成としてある。
【0011】
このような構成とした本発明の危険地区における通信システムによれば、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器によって、長距離無線中継を可能とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明は、危険地区での無線LANによる無線通信において、長距離無線中継を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0014】
[無線LAN防爆型中継器]
まず、本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態の概略を示す説明図である。
【0015】
図1に示す無線LAN防爆型中継器1は、第一の筐体51内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニット10、及び必要な電力を供給する電力供給部30を収容してある。
【0016】
第一の筐体51は、耐圧防爆構造とされた、容器本体と蓋体とからなる金属製の全閉容器とすることができる。
また、第一の筐体51には、耐圧防爆構造を維持して第一の筐体51の外側にケーブルを延長するためのケーブルジョイント511,512,513が設けられている。これらのケーブルジョイント511,512,513は、例えば、ゴム製の円筒部材からなるケーブルパッキンなどの封止手段が内装されており、ケーブルを挿通した状態で封止できるようになっている。
【0017】
第一の筐体51内に収容された双方向通信ユニット10には、ケーブルジョイント511から第一の筐体51の外側に延長されたアンテナケーブル41によって、アンテナ本体40が接続されている。
同様に、電力供給部30に接続された電源ケーブル31は、ケーブルジョイント513から第一の筐体51の外側に延長されている。
また、図示する例では、PoE(Power over Ethernet/「Ethernet」は登録商標)方式によって電力供給がなされるようにしており、双方向通信ユニット10と電源供給部30とがPoE給電ケーブル13で接続されている。そして、光ケーブルなどの通信ケーブル11は、電源供給部30に接続されて、ケーブルジョイント512から第一の筐体51の外側に延長されている。これにより、例えば、後述する図2に示すように、通信ケーブル11をスイッチングハブ102に接続することによって、無線LAN防爆型中継器1を無線LANサーバー101に接続することができるようになっている。
【0018】
無線LAN双方向通信ユニット10は、アンテナ本体40が送受信するLAN信号に基づいて、無線LANによる双方向通信を可能とするものであれば、その具体的な構成は特に制限されない。例えば、IEEE802.11などの通信規格に準拠して、後述する通信システム(図2等参照)において、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1b間における無線LANによる双方向通信や、無線LANサーバー101との間における有線LAN又は無線LANによる双方向通信、さらには、スイッチングハブ20に接続した無線LANアクセスポイント61を介して行う送受信機62との間の無線LANによる双方向通信、各種のネットワーク通信機器63との間の双方向通信などを実現できるものであればよい。
また、無線LAN双方向通信ユニット10は、光信号と電気信号とを相互に変換する光・電気変換器を備えることにより、光信号と電気信号のいずれによっても通信が可能となるようにすることもできる。
【0019】
一方、アンテナケーブル41によって無線LAN双方向通信ユニット10に接続されるアンテナ本体40は、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内に、その耐圧防爆構造が維持されるように収容されている。
図1に示す第二の筐体52には、第一の筐体51に設けたケーブルジョイント511,512,513と同様のケーブルジョイント523が設けられている。そして、第二の筐体52の耐圧防爆構造が維持されるように、ケーブルジョイント523により第二の筐体52内にアンテナケーブル41を引き込んで、アンテナ本体40にアンテナケーブル41を接続してある。
【0020】
第二の筐体52は、アンテナ本体40が送受信する電波信号(LAN信号)を透過する電波透過材料からなる電波透過部材521と、金属製の基台522とからなっている。電波透過部材521を形成する電波透過材料としては、電波信号の伝送損失を抑制できるものを適宜選択するが、例えば、耐熱強化ガラス、耐圧ガラス、硬質樹脂などが利用できる。
電波透過部材521は、アンテナ本体40の周囲を覆うように、一端が閉口する筒状の部材として形成することができる。そして、電波透過部材521の他端側の開口部からアンテナ本体40を挿通するとともに、アンテナ本体90の基部が固定された基台522で、電波透過部材521の開口部を閉塞することによって、第二の筐体52が耐圧防爆構造をなすようにしてある。
【0021】
アンテナ本体40には、指向性の高い指向型アンテナを用いるのが好ましい。
指向型アンテナとしては、例えば、8エレメント八木型が利用できる。
【0022】
以上のような無線LAN防爆型中継器1は、一定の距離を隔てて一対の無線LAN防爆型中継器1を設置することで、例えば、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での無線LANによる双方向通信を可能とする。
そして、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内にアンテナ本体40が単独で収容されており、アンテナ本体40の設置位置をアンテナ本体40の指向性に応じて自由に定めることができる。このため、特に、アンテナ本体40に指向型アンテナを用いることで、最大で1,000m程度の長距離の無線中継が可能となる。さらに、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することもできる。
【0023】
[危険地区における通信システム]
次に、本発明に係る危険地区における通信システムの実施形態について説明する。
【0024】
(第一実施形態)
図2は、本発明に係る危険地区における通信システムの第一実施形態の概略を示すブロック図である。
本実施形態の通信システムは、例えば、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での無線LANによる無線通信を行うためのものである。そして、非危険地区における計測室、事務室などの管理施設100に設置された無線LANサーバー101と、危険地区に設置されている送受信機62や各種のネットワーク通信機器63との間で、無線LANによって種々のデータを送受信できるようになっている。
【0025】
図2に示す例では、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bが、一定の距離を隔てて危険地区に設置されている。本実施形態の通信システムにあっては、この一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bによって、危険地区における通信が無線で中継され、その間の通信ケーブルの敷設を不要としている。
【0026】
ここで、無線LAN防爆型中継器1(1a,1b)の構成は、前述した通りであり、各無線LAN防爆型中継器1a,1bのアンテナ本体40が、互いの指向性に応じて、その設置位置を自由に定めることができるようになっている。このため、特に、アンテナ本体40に指向型アンテナを用いることで、最大で1,000m程度の長距離の無線中継が可能となる。
【0027】
また、図2に示す例では、光ケーブルなどの通信ケーブル11が、非危険地区から危険地区まで敷設されている。そして、この通信ケーブル11によって、危険地区に設置された一方の無線LAN防爆型中継器1aが、管理施設100に設置された無線LANサーバー101にスイッチングハブ102を介して接続されている。
【0028】
他方の無線LAN防爆型中継器1bには、耐圧防爆構造とされた各種のネットワーク通信機器を接続することができる。
図示する例では、無線LAN防爆型中継器1bに内蔵された無線LAN双方向通信ユニット10に、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60と、ネットワーク通信機器(無線LANアクセスポイント60以外のネットワーク通信機器)63とが接続されている。そして、無線LANアクセスポイント60は、送受信機62と無線で接続されている。
送受信機62としては、例えば、無線LANアダプタが取り付けられたコンピュータ、送受信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。ネットワーク通信機器63としては、例えば、ネットワーク機能を有し、ネットワークに直接接続可能とされたネットワークカメラなどが用いられる。
【0029】
これらの機器は、危険地区での使用に耐えられるように、耐圧防爆構造とするが、例えば、無線LANアクセスポイント60としては、本出願人が先に出願した特願2005−8297で提案した無線LAN防爆型中継器や、特願2006−142110で提案した無線LAN防爆型中継器などを利用することができる。また、スイッチングハブ20としては、例えば、本出願人が先に出願した特願2006−142110で提案した防爆型スイッチングハブを利用することができる。
なお、図示は省略するが、無線LANサーバー101側に接続された無線LAN防爆型中継器1aにも、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60や、ネットワーク通信機器63を接続することができる。
【0030】
このように、本実施形態の通信システムにあっては、非危険地区の無線LANサーバー101と、危険地区の送受信機62や各種のネットワーク通信機器63との間で種々のデータを送受信するにあたり、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bによって、長距離を無線で中継することができる。そして、本実施形態によれば、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することも可能となる。したがって、ネットワーク通信機器63としてネットワークカメラなどの画像撮影装置を接続した場合であっても、大容量の画像データを遠隔地から支障なく無線LANサーバー101まで伝送することができる。
【0031】
(第二実施形態)
図3は、本発明に係る危険地区における通信システムの第二実施形態の概略を示すブロック図である。
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは、無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101との間を、無線LANにより接続した点にある。すなわち、本実施形態では、管理施設100において、無線LANサーバー101に無線LANアダプタ61を接続するとともに、無線LAN防爆型中継器1aに内蔵された双方向通信ユニット10に、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60を接続している。このように、無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101との接続は、有線LAN又は無線LANのいずれによってもよい。
【0032】
無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101とを無線LANで接続する場合、非危険地区側に設置される無線LANアダプタ61は、耐圧防爆構造とする必要はない。非防爆型の種々の無線LANアダプタを利用できる。一方、危険地区側に設置される無線LANアクセスポイント60やスイッチングハブ20としては、例えば、前述した第一実施形態と同様に、本出願人が先に提案した無線LAN防爆型中継器や防爆型スイッチングハブなどを利用することができる。
【0033】
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは以上の点であり、他は共通の構成を備えているので、他の構成についての説明は省略する。
【0034】
(第三実施形態)
図4は、本発明に係る危険地区における通信システムの第三実施形態の概略を示すブロック図である。
図4に示す例では、二対の無線LAN防爆型中継器1a,1b,1c,1dが、それぞれ一定の距離を隔て危険地区に設置されている。すなわち、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1dの間に、さらに、各無線LAN防爆型中継器1a,1dと対になるように二つの無線LAN防爆型中継器1b,1cを設置した。
これにより、本実施形態の通信システムにあっては、無線LAN防爆型中継器1a,1b間、無線LAN防爆型中継器1c,1d間のそれぞれにおける通信が、無線で中継される。
【0035】
このように、本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは、危険地区に設置される一対の無線LAN防爆型中継器1a,1dの間に、さらに、複数の無線LAN防爆型中継器1b,1cを追加して、無線LAN防爆型中継器1を二対とした点にある。そして、本実施形態では、一方の対における無線LAN防爆型中継器1bと、他方の対における無線LAN防爆型中継器1cとが、前述したような防爆型のスイッチングハブ20を介して通信ケーブル11で接続され、その全体としての中継距離を延長している。
【0036】
ここで、一方の対における無線LAN防爆型中継器1bと、他方の対における無線LAN防爆型中継器1cとは、通信ケーブル11により有線で接続する代わりに、前述したような防爆型のスイッチングハブ20を介して、本出願人が先に出願した特願2005−8297などで提案した無線LAN防爆型中継器と、同特願2006−142110で提案した防爆型無線通信手段との組み合わせによって、無線で接続することもできる。
また、無線LAN防爆型中継器1は、要求される中継距離に応じて三対以上とすることもできる。さらに、本実施形態の通信システムを構築するにあたり、無線LAN防爆型中継器1b,1cの設置場所が、危険地区に隣接する非危険地区となることもある。この場合、無線LAN防爆型中継器1b,1cは、耐圧防爆構造としたままで設置してもよいが、第一及び第二の筐体51,52を省略して非防爆型としてもよい。
【0037】
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは以上の点であり、他は共通の構成を備えているので、他の構成についての説明は省略する。
【0038】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0039】
例えば、前述した実施形態において、無線LAN防爆型中継器1は、防爆型のスイッチングハブ20を介して各種のネットワーク通信機器と接続されるようにしたが、スイッチングハブ20は、双方向通信ユニット10とともに第一の筐体内51に収容された構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、製油所や石油化学工場などのプラントに限定されるものではなく、その他、食品業、鉄鋼業などを含む防爆機器を必要とする装置産業全般に対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】本発明に係る危険地区における通信システムの第一実施形態の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る危険地区における通信システムの第二実施形態の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る危険地区における通信システムの第三実施形態の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1(1a,1b) 無線LAN防爆型中継器
10 双方向通信ユニット
20 スイッチングハブ
40 アンテナ本体
41 アンテナケーブル
51 第一の筐体
52 第二の筐体
521 電波透過部材
522 基台
60 無線LANアクセスポイント
62 送受信機
63 ネットワーク通信機器
100 管理施設
101 無線LANサーバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険地区での無線LAN(Local
Area Network)による無線通信に適用し、長距離無線中継を可能とする無線LAN防爆型中継器、及びそのような無線LAN防爆型中継器を利用した通危険地区における通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製油所や石油化学工場などにあっては、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での業務管理及び製造設備の保守などを行うために、非危険地区に管理施設を設けるとともに、この管理施設と危険地区に設置されている各種設備との間で種々のデータを送受信して集中管理している。
【0003】
近年にあっては、このようなデータの送受信に、無線LANが注目されている。無線LANによれば、通信ケーブルの敷設が不要となり、コスト面で有利である。そのような状況下、本出願人は、特許文献1において、大量のデータを安全、かつ、効率よく通信することを可能とし、このような危険地区において利用するのに好適な無線LAN防爆型中継器を提案した。
【特許文献1】特開2006−197402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記中継器は、危険地区に設置された送受信機との間では、無線LANによる無線通信を行っているが、非危険地区に設置された無線LANサーバーとは、光ケーブルなどの通信ケーブルを介した有線LANで通信している。このため、上記中継器の設置場所は、無線LANによる無線通信を行う相手方となる送受信機との中継可能な距離を考慮して定められるところ、このときの中継距離が十分に確保できない場合には、相手方となる送受信機に上記中継器を近づけて設置する必要がある。そして、そのためには、通信ケーブルを延長して敷設しなければならず、無線LANの有利性が損なわれてしまう。
また、中継距離が十分に確保できない場合には、送受信機との間に、さらに中継器を介在させて、複数の中継器により全体としての中継距離を長くすることも可能である。ところが、このようにした場合には、中継する毎に伝送容量が減少してしまい、中継器が増えるほど伝送容量の減少が顕著となる。
【0005】
製油所や石油化学工場などにおける危険地区は、一般に、広範囲にわたっている。このため、中継距離が十分に確保できないと、特許文献1で提案した中継器だけでは、広範囲にわたる危険地区の全てを網羅するのは困難であることが指摘されており、より長い距離を中継できる無線LAN防爆型中継器が求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、製油所や石油化学工場などにおける危険地区での無線LANによる無線通信に適用し、広範囲にわたる当該危険地区での長距離無線中継を可能とする無線LAN防爆型中継器、及びそのような無線LAN防爆型中継器を利用した危険地区における通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線LAN防爆型中継器は、耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットを収容し、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体を収容した構成としてある。
【0008】
このような構成とした本発明の無線LAN防爆型中継器は、アンテナ本体の指向性に応じてアンテナ本体の設置位置を自由に定めることができ、長距離の無線中継が可能となる。そして、より長距離の無線中継を可能とするには、前記アンテナ本体が、指向型アンテナであるのが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る無線LAN防爆型中継器は、各種のネットワーク通信機器が接続できるように、前記双方向通信ユニットに接続したスイッチングハブを、前記双方向通信ユニットとともに前記第一の筐体内に収容した構成としてもよい。
【0010】
また、本発明に係る危険地区における通信システムは、耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続される無線LANサーバーと、危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続される耐圧防爆構造とされたネットワーク通信機器と、を具備する構成としてある。
【0011】
このような構成とした本発明の危険地区における通信システムによれば、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器によって、長距離無線中継を可能とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明は、危険地区での無線LANによる無線通信において、長距離無線中継を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0014】
[無線LAN防爆型中継器]
まず、本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態の概略を示す説明図である。
【0015】
図1に示す無線LAN防爆型中継器1は、第一の筐体51内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニット10、及び必要な電力を供給する電力供給部30を収容してある。
【0016】
第一の筐体51は、耐圧防爆構造とされた、容器本体と蓋体とからなる金属製の全閉容器とすることができる。
また、第一の筐体51には、耐圧防爆構造を維持して第一の筐体51の外側にケーブルを延長するためのケーブルジョイント511,512,513が設けられている。これらのケーブルジョイント511,512,513は、例えば、ゴム製の円筒部材からなるケーブルパッキンなどの封止手段が内装されており、ケーブルを挿通した状態で封止できるようになっている。
【0017】
第一の筐体51内に収容された双方向通信ユニット10には、ケーブルジョイント511から第一の筐体51の外側に延長されたアンテナケーブル41によって、アンテナ本体40が接続されている。
同様に、電力供給部30に接続された電源ケーブル31は、ケーブルジョイント513から第一の筐体51の外側に延長されている。
また、図示する例では、PoE(Power over Ethernet/「Ethernet」は登録商標)方式によって電力供給がなされるようにしており、双方向通信ユニット10と電源供給部30とがPoE給電ケーブル13で接続されている。そして、光ケーブルなどの通信ケーブル11は、電源供給部30に接続されて、ケーブルジョイント512から第一の筐体51の外側に延長されている。これにより、例えば、後述する図2に示すように、通信ケーブル11をスイッチングハブ102に接続することによって、無線LAN防爆型中継器1を無線LANサーバー101に接続することができるようになっている。
【0018】
無線LAN双方向通信ユニット10は、アンテナ本体40が送受信するLAN信号に基づいて、無線LANによる双方向通信を可能とするものであれば、その具体的な構成は特に制限されない。例えば、IEEE802.11などの通信規格に準拠して、後述する通信システム(図2等参照)において、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1b間における無線LANによる双方向通信や、無線LANサーバー101との間における有線LAN又は無線LANによる双方向通信、さらには、スイッチングハブ20に接続した無線LANアクセスポイント61を介して行う送受信機62との間の無線LANによる双方向通信、各種のネットワーク通信機器63との間の双方向通信などを実現できるものであればよい。
また、無線LAN双方向通信ユニット10は、光信号と電気信号とを相互に変換する光・電気変換器を備えることにより、光信号と電気信号のいずれによっても通信が可能となるようにすることもできる。
【0019】
一方、アンテナケーブル41によって無線LAN双方向通信ユニット10に接続されるアンテナ本体40は、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内に、その耐圧防爆構造が維持されるように収容されている。
図1に示す第二の筐体52には、第一の筐体51に設けたケーブルジョイント511,512,513と同様のケーブルジョイント523が設けられている。そして、第二の筐体52の耐圧防爆構造が維持されるように、ケーブルジョイント523により第二の筐体52内にアンテナケーブル41を引き込んで、アンテナ本体40にアンテナケーブル41を接続してある。
【0020】
第二の筐体52は、アンテナ本体40が送受信する電波信号(LAN信号)を透過する電波透過材料からなる電波透過部材521と、金属製の基台522とからなっている。電波透過部材521を形成する電波透過材料としては、電波信号の伝送損失を抑制できるものを適宜選択するが、例えば、耐熱強化ガラス、耐圧ガラス、硬質樹脂などが利用できる。
電波透過部材521は、アンテナ本体40の周囲を覆うように、一端が閉口する筒状の部材として形成することができる。そして、電波透過部材521の他端側の開口部からアンテナ本体40を挿通するとともに、アンテナ本体90の基部が固定された基台522で、電波透過部材521の開口部を閉塞することによって、第二の筐体52が耐圧防爆構造をなすようにしてある。
【0021】
アンテナ本体40には、指向性の高い指向型アンテナを用いるのが好ましい。
指向型アンテナとしては、例えば、8エレメント八木型が利用できる。
【0022】
以上のような無線LAN防爆型中継器1は、一定の距離を隔てて一対の無線LAN防爆型中継器1を設置することで、例えば、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での無線LANによる双方向通信を可能とする。
そして、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内にアンテナ本体40が単独で収容されており、アンテナ本体40の設置位置をアンテナ本体40の指向性に応じて自由に定めることができる。このため、特に、アンテナ本体40に指向型アンテナを用いることで、最大で1,000m程度の長距離の無線中継が可能となる。さらに、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することもできる。
【0023】
[危険地区における通信システム]
次に、本発明に係る危険地区における通信システムの実施形態について説明する。
【0024】
(第一実施形態)
図2は、本発明に係る危険地区における通信システムの第一実施形態の概略を示すブロック図である。
本実施形態の通信システムは、例えば、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での無線LANによる無線通信を行うためのものである。そして、非危険地区における計測室、事務室などの管理施設100に設置された無線LANサーバー101と、危険地区に設置されている送受信機62や各種のネットワーク通信機器63との間で、無線LANによって種々のデータを送受信できるようになっている。
【0025】
図2に示す例では、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bが、一定の距離を隔てて危険地区に設置されている。本実施形態の通信システムにあっては、この一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bによって、危険地区における通信が無線で中継され、その間の通信ケーブルの敷設を不要としている。
【0026】
ここで、無線LAN防爆型中継器1(1a,1b)の構成は、前述した通りであり、各無線LAN防爆型中継器1a,1bのアンテナ本体40が、互いの指向性に応じて、その設置位置を自由に定めることができるようになっている。このため、特に、アンテナ本体40に指向型アンテナを用いることで、最大で1,000m程度の長距離の無線中継が可能となる。
【0027】
また、図2に示す例では、光ケーブルなどの通信ケーブル11が、非危険地区から危険地区まで敷設されている。そして、この通信ケーブル11によって、危険地区に設置された一方の無線LAN防爆型中継器1aが、管理施設100に設置された無線LANサーバー101にスイッチングハブ102を介して接続されている。
【0028】
他方の無線LAN防爆型中継器1bには、耐圧防爆構造とされた各種のネットワーク通信機器を接続することができる。
図示する例では、無線LAN防爆型中継器1bに内蔵された無線LAN双方向通信ユニット10に、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60と、ネットワーク通信機器(無線LANアクセスポイント60以外のネットワーク通信機器)63とが接続されている。そして、無線LANアクセスポイント60は、送受信機62と無線で接続されている。
送受信機62としては、例えば、無線LANアダプタが取り付けられたコンピュータ、送受信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。ネットワーク通信機器63としては、例えば、ネットワーク機能を有し、ネットワークに直接接続可能とされたネットワークカメラなどが用いられる。
【0029】
これらの機器は、危険地区での使用に耐えられるように、耐圧防爆構造とするが、例えば、無線LANアクセスポイント60としては、本出願人が先に出願した特願2005−8297で提案した無線LAN防爆型中継器や、特願2006−142110で提案した無線LAN防爆型中継器などを利用することができる。また、スイッチングハブ20としては、例えば、本出願人が先に出願した特願2006−142110で提案した防爆型スイッチングハブを利用することができる。
なお、図示は省略するが、無線LANサーバー101側に接続された無線LAN防爆型中継器1aにも、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60や、ネットワーク通信機器63を接続することができる。
【0030】
このように、本実施形態の通信システムにあっては、非危険地区の無線LANサーバー101と、危険地区の送受信機62や各種のネットワーク通信機器63との間で種々のデータを送受信するにあたり、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bによって、長距離を無線で中継することができる。そして、本実施形態によれば、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することも可能となる。したがって、ネットワーク通信機器63としてネットワークカメラなどの画像撮影装置を接続した場合であっても、大容量の画像データを遠隔地から支障なく無線LANサーバー101まで伝送することができる。
【0031】
(第二実施形態)
図3は、本発明に係る危険地区における通信システムの第二実施形態の概略を示すブロック図である。
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは、無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101との間を、無線LANにより接続した点にある。すなわち、本実施形態では、管理施設100において、無線LANサーバー101に無線LANアダプタ61を接続するとともに、無線LAN防爆型中継器1aに内蔵された双方向通信ユニット10に、スイッチングハブ20を介して無線LANアクセスポイント60を接続している。このように、無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101との接続は、有線LAN又は無線LANのいずれによってもよい。
【0032】
無線LAN防爆型中継器1aと無線LANサーバー101とを無線LANで接続する場合、非危険地区側に設置される無線LANアダプタ61は、耐圧防爆構造とする必要はない。非防爆型の種々の無線LANアダプタを利用できる。一方、危険地区側に設置される無線LANアクセスポイント60やスイッチングハブ20としては、例えば、前述した第一実施形態と同様に、本出願人が先に提案した無線LAN防爆型中継器や防爆型スイッチングハブなどを利用することができる。
【0033】
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは以上の点であり、他は共通の構成を備えているので、他の構成についての説明は省略する。
【0034】
(第三実施形態)
図4は、本発明に係る危険地区における通信システムの第三実施形態の概略を示すブロック図である。
図4に示す例では、二対の無線LAN防爆型中継器1a,1b,1c,1dが、それぞれ一定の距離を隔て危険地区に設置されている。すなわち、一対の無線LAN防爆型中継器1a,1dの間に、さらに、各無線LAN防爆型中継器1a,1dと対になるように二つの無線LAN防爆型中継器1b,1cを設置した。
これにより、本実施形態の通信システムにあっては、無線LAN防爆型中継器1a,1b間、無線LAN防爆型中継器1c,1d間のそれぞれにおける通信が、無線で中継される。
【0035】
このように、本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは、危険地区に設置される一対の無線LAN防爆型中継器1a,1dの間に、さらに、複数の無線LAN防爆型中継器1b,1cを追加して、無線LAN防爆型中継器1を二対とした点にある。そして、本実施形態では、一方の対における無線LAN防爆型中継器1bと、他方の対における無線LAN防爆型中継器1cとが、前述したような防爆型のスイッチングハブ20を介して通信ケーブル11で接続され、その全体としての中継距離を延長している。
【0036】
ここで、一方の対における無線LAN防爆型中継器1bと、他方の対における無線LAN防爆型中継器1cとは、通信ケーブル11により有線で接続する代わりに、前述したような防爆型のスイッチングハブ20を介して、本出願人が先に出願した特願2005−8297などで提案した無線LAN防爆型中継器と、同特願2006−142110で提案した防爆型無線通信手段との組み合わせによって、無線で接続することもできる。
また、無線LAN防爆型中継器1は、要求される中継距離に応じて三対以上とすることもできる。さらに、本実施形態の通信システムを構築するにあたり、無線LAN防爆型中継器1b,1cの設置場所が、危険地区に隣接する非危険地区となることもある。この場合、無線LAN防爆型中継器1b,1cは、耐圧防爆構造としたままで設置してもよいが、第一及び第二の筐体51,52を省略して非防爆型としてもよい。
【0037】
本実施形態が、前述した第一実施形態と異なるのは以上の点であり、他は共通の構成を備えているので、他の構成についての説明は省略する。
【0038】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0039】
例えば、前述した実施形態において、無線LAN防爆型中継器1は、防爆型のスイッチングハブ20を介して各種のネットワーク通信機器と接続されるようにしたが、スイッチングハブ20は、双方向通信ユニット10とともに第一の筐体内51に収容された構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、製油所や石油化学工場などのプラントに限定されるものではなく、その他、食品業、鉄鋼業などを含む防爆機器を必要とする装置産業全般に対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】本発明に係る危険地区における通信システムの第一実施形態の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る危険地区における通信システムの第二実施形態の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る危険地区における通信システムの第三実施形態の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1(1a,1b) 無線LAN防爆型中継器
10 双方向通信ユニット
20 スイッチングハブ
40 アンテナ本体
41 アンテナケーブル
51 第一の筐体
52 第二の筐体
521 電波透過部材
522 基台
60 無線LANアクセスポイント
62 送受信機
63 ネットワーク通信機器
100 管理施設
101 無線LANサーバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットを収容し、
前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、
前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体を収容したことを特徴とする無線LAN防爆型中継器。
【請求項2】
前記アンテナ本体が、指向型アンテナである請求項1に記載の無線LAN防爆型中継器。
【請求項3】
前記双方向通信ユニットに接続したスイッチングハブを、前記双方向通信ユニットとともに前記第一の筐体内に収容した請求項1〜2のいずれか1項に記載の無線LAN防爆型中継器。
【請求項4】
耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、
非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続される無線LANサーバーと、
危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続される耐圧防爆構造とされたネットワーク通信機器と、
を具備することを特徴とする危険地区における通信システム。
【請求項1】
耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットを収容し、
前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、
前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体を収容したことを特徴とする無線LAN防爆型中継器。
【請求項2】
前記アンテナ本体が、指向型アンテナである請求項1に記載の無線LAN防爆型中継器。
【請求項3】
前記双方向通信ユニットに接続したスイッチングハブを、前記双方向通信ユニットとともに前記第一の筐体内に収容した請求項1〜2のいずれか1項に記載の無線LAN防爆型中継器。
【請求項4】
耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、
非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続される無線LANサーバーと、
危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続される耐圧防爆構造とされたネットワーク通信機器と、
を具備することを特徴とする危険地区における通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2009−38545(P2009−38545A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200394(P2007−200394)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)刊行物名 精製プロセス効率化・製油所操業支援システム合同技術小委員会報告書 発行所 財団法人石油産業活性化センター技術企画部 発行日 平成19年3月
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)刊行物名 精製プロセス効率化・製油所操業支援システム合同技術小委員会報告書 発行所 財団法人石油産業活性化センター技術企画部 発行日 平成19年3月
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】
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