説明

焼却装置

【課題】エネルギーコストを少なく抑えた上で、都市ゴミを完全燃焼させる。
【解決手段】都市ゴミFに対して焼却処理を施す焼却装置10であって、1次燃焼容器20と、これに隣設された2次燃焼容器30と、1次および2次燃焼容器20,30間に架設された連絡配管40とを備え、1次燃焼容器20は、開閉蓋23の近傍に設けられた1次空気孔231と、都市ゴミFの燃焼および熱分解に供する1次バーナー24とを有し、2次燃焼容器30は、スタック33の近傍に設けられ吸引した外気を排気方向へ向かうようにスタック33内に供給する押込みブロワー34と、連絡配管40の下流端に向けて火炎を吹き付け、都市ゴミFの熱分解で発生した可燃性ガスF1の燃焼に供する2次バーナー35とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃物に対して焼却処理を施す焼却装置に関するものであり、特に雑多な可燃物が混ざり合ったゴミや可燃性廃棄物の焼却に適した焼却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雑多な可燃物が混ざり合った燃焼対象物である都市ゴミは、ストーカー方式の焼却装置か、あるいは流動層方式の焼却装置によって焼却処理されるのが一般的である。ストーカー方式の焼却装置は、都市ゴミを火格子の上に順次投入していくとともに、火格子上に投入された都市ゴミに対しバーナーで着火し、火格子の下部から燃焼空気を導入することで焼却処理を継続させるようになされている。通常、バーナーは、初期の着火時に使用されるだけの場合が多く、都市ゴミ自身が本格的に燃焼し始めるとバーナーは火力が落とされるか消火されるのが一般的である。従来、多くの焼却装置は、このタイプのものが主流を占めていた。
【0003】
これに対し近年注目されている流動層方式の焼却装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、円筒状を呈した炉本体の底部に砂を装填してなる砂層が形成され、この砂層の底部から1次空気が導入されることにより砂層が流動され、これによって流動層が形成されるようになされている。かかる流動層がバーナーによって高温に加熱された状態で、砂層より上方位置から炉本体内に都市ゴミが投入されるとともに、2次空気が供給されるようになされている。都市ゴミの燃焼状態が安定するとバーナーは消火され、この状態で都市ゴミが連続的に炉本体内に投入されるようになっている。燃焼灰や金属、陶器等の不燃物は、砂層の中に埋没するが、篩い分け処理により分別されるようになっている。
【0004】
かかる流動層方式の焼却装置は、構造が簡単で設備コストが廉価であるにも拘わらず、あらゆる都市ゴミに対応することが可能であり、今後が期待されている。
【特許文献1】特開平7−91631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているような流動層方式の焼却装置にあっては、まず、炉本体に装填された砂層を流動させるために、当該砂層内に相当大量の1次空気をかなりの高圧で吹き込まなければならず、そのためのエネルギーコストが嵩むという問題点を有している。
【0006】
また、炉本体内の砂層の上に投入された都市ゴミは、その下面側が高温に加熱された砂層からの熱を得てまず熱分解し、一部が燃焼するとともに残部は燃焼しないで煙となって上昇するため(すなわち、都市ゴミが完全燃焼しないため)、炉本体の頂部から導出された燃焼排ガスは、燃焼に供されなかった例えば一酸化炭素(CO)等の有害なガスを含んだ状態になっており、これの二次処理で多くのコストが嵩むという問題点を有している。
【0007】
また、都市ゴミの燃焼廃熱を有効に利用するべく廃熱回収を行った場合、都市ゴミが完全燃焼されないことにより、熱効率が劣るという問題点も存在する。
【0008】
さらに、砂層を流動させて効果的に流動層を形成させるためには、相当大量の砂が必要となり、結局、焼却装置が大規模なものなるため、家庭用や小規模な工場用のものとしては適用することができず、汎用性が劣るという問題点も存在する。
【0009】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、焼却処理のためのエネルギーコストを少なく抑えた上で、可燃物を完全燃焼させることができ、しかも導出される燃焼排ガスを有効に無害なものにすることができるとともに、廃熱回収の熱効率を向上させることが可能であり、さらに家庭用などの小規模な使用にも適用することが可能な汎用性に富んだ焼却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、装填された可燃物に対して焼却処理を施す焼却装置であって、1次燃焼容器と、この1次燃焼容器に隣設された2次燃焼容器と、これら1次および2次燃焼容器間にそれぞれ貫通して架設された連絡配管とを備え、前記1次燃焼容器は、可燃物装填用の開口近傍に設けられた1次空気孔と、この1次空気孔の近傍に設けられ可燃物の燃焼および熱分解に供する1次バーナーとを有し、前記2次燃焼容器は、前記第1燃焼容器内で可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスの燃焼に供する2次バーナーと、この2次バーナーの近傍に設けられた2次空気孔とを有し、前記1次燃焼容器の底部から前記連絡配管を通して2次燃焼容器に向けて前記可燃性ガスを吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成によれば、可燃物を装填用の開口から満杯になるまで1次燃焼容器に装填してから吸引手段を駆動させることにより、1次空気としての外気が1次空気孔から1次燃焼容器内に吸引されて装填されている可燃物間の隙間を通過して下降流となり、連絡配管を通って2次燃焼容器内に導入された後、当該2次燃焼容器内から外部に排出され、これによって1次空気孔、1次燃焼容器内、連絡配管および2次燃焼容器に到る気流が形成された状態になる。
【0012】
この状態で1次および2次バーナーに点火し、1次燃焼容器の最上位に位置した可燃物を1次バーナーの火炎によって着火すると、可燃物は、1次空気孔から供給される1次空気によって燃焼し、発生した煙(可燃性ガス)が下降流に誘引されて可燃物間の隙間を下降した後、連絡配管を通って2次燃焼容器内に導入される。連絡配管の先端から2次燃焼容器内に導出される可燃性ガスは、2次バーナーの火炎および2次空気孔から導入された外気によって燃焼され、その後、2次燃焼容器から外部に排出される。
【0013】
そして、1次燃焼容器内における可燃物の上部の燃焼および2次燃焼容器内における可燃性ガスの燃焼が安定した状態で、1次バーナーおよび2次バーナーの双方を消火する。そうすると、以後可燃物は、特に1次バーナーの力を借りることなく1次空気孔から導入された1次空気によって自燃するとともに、連絡配管の先端から2次燃焼容器内に導入された可燃性ガスは、特に2次バーナーの力を借りることなく2次空気孔から導入された2次空気によって自燃し、これらの燃焼状態は、1次燃焼容器内の可燃物が燃焼し尽くすまで継続される。
【0014】
このように、焼却装置を可燃物が装填される1次燃焼容器と、この1次燃焼容器に連絡配管を介して接続された2次燃焼容器と、1次燃焼容器の底部から連絡配管を通して2次燃焼容器に向けて可燃性ガスを吸引する吸引手段とを備えて構成しているため、吸引手段を駆動させた状態で1次および2次バーナーを点火することにより、まず、1次燃焼容器に装填された可燃物の最上位のものが1次バーナーによって着火されて燃焼することで発生した可燃性ガスは、吸引手段の駆動により形成された1次燃焼容器内から2次燃焼容器へ向かう気流に同伴し、2次燃焼容器内で燃焼する。これらの燃焼状態が安定したのち1次および2次バーナーの双方を消火しても、可燃物およびこれより得られた可燃性ガスの燃焼は継続され、これによって可燃物の焼却処理が進行される。
【0015】
なお、可燃物の安定した状態での燃焼が継続されるのは、当該可燃物が、立設された線香が燃えるように上部から下部に向かって燃焼していくため、1次燃焼容器内の可燃物の全体的な立体形状が大幅に変化することがなく、準静的に高さレベルが低くなっていくだけであり形崩れすることがないためである。従って、可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスを安定した状態で得ることができるため、この可燃性ガスの2次的な燃焼処理も、流量的に大幅な変動がないことにより円滑、かつ、確実に行われる。
【0016】
これに対し可燃物が下部から燃焼していくと、燃焼によって消失した部分に向けて未だ燃焼していない上部の可燃物が落下し、燃焼の進行に伴ってこの落下が繰り返され、これにる可燃物の形崩れで燃焼状態が不安定になり、定常的な可燃性ガスの発生が得られなくなるため、可燃性ガスを安定的に燃焼させることもできなくなるのである。
【0017】
そして、1次および2次バーナーは、可燃物が着火して安定的に燃焼するまでの極めて短い時間点火されるだけであっても、その後の可燃物および当該可燃物から発生した可燃性ガスの自燃で焼却処理が進行するため、従来のようにバーナーを常時点火状態にしておかなければならなかったものに比べてエネルギーコストが大幅に削減される。
【0018】
また、可燃物から発生した可燃性ガスは、2次燃焼容器内における2次空気により完全に燃焼処理されるため、不完全燃焼により生じた有害ガスが大気中に放散されるような不都合の発生が抑制される。
【0019】
さらに、焼却装置を家庭用の暖房装置として使用するなど小規模な使用にも適用することが可能であり汎用性に富んでいる。特に家庭用として使用するような場合、連絡配管の中央部を境にして2次燃焼容器を屋内に配設する一方、1次燃焼容器を屋外に据え付けることにより屋内の空間を広くすることができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記吸引手段は、前記2次燃焼容器の上面から外方に向けて延設されたスタックと、前記スタックの近傍に設けられ吸引した外気を排気方向へ向かうようにスタック内に供給する押込みブロワーとを備えて構成され、前記2次バーナーは、前記連絡配管の下流端に向けて火炎を吹き付けるように設置位置が設定されていることを特徴とするものである。
【0021】
かかる構成によれば、可燃物を装填用の開口から満杯になるまで1次燃焼容器に装填し、開閉蓋を閉止してから押込みブロワーを駆動すると、押込みブロワーの先端から吹き出した気流がスタック内を上昇し、これによるエジェクター効果で2次燃焼容器内に上昇気流が形成されるため、この上昇気流に誘引されて外気が1次空気として1次空気孔から1次燃焼容器内に吸引されて装填されている可燃物間の隙間を通過して下降流となり、連絡配管を通って2次燃焼容器内に導入された後、当該2次燃焼容器内を上昇してスタックから外部に排出され、これによって1次空気孔、1次燃焼容器内、連絡配管、2次燃焼容器内およびスタックに到る気流が形成された状態になる。
【0022】
この状態で2次バーナーに点火してその火炎で2次燃焼容器内の連絡配管の下流端を高温になるまで加熱し、引き続き1次バーナーに点火する。そうすると、1次燃焼容器の最上位に位置した可燃物が1次バーナーの火炎によって着火され、1次空気孔から供給される1次空気によって燃焼が継続され、発生した煙(可燃性ガス)が下降流に誘引されて可燃物間の隙間を下降した後、連絡配管を通って2次燃焼容器内に導入される。このとき、連絡配管の先端から導出される可燃性ガスは、2次バーナーの火炎および2次バーナーによって高温に加熱された連絡配管の先端に接触することによって着火されて燃焼し、この燃焼は、2次空気孔からの外気の導入によって継続される。燃焼後の燃焼排ガスは、スタックを介して外部に排出される。
【0023】
そして、1次燃焼容器内における可燃物の上部の燃焼および2次燃焼容器内における連絡配管先端での可燃性ガスの燃焼が安定した状態で、1次バーナーおよび2次バーナーの双方を消火する。そうすると、以後可燃物は、特に1次バーナーの力を借りることなく1次空気孔から導入された1次空気によって自燃するとともに、連絡配管の先端から2次燃焼容器内に導入された可燃性ガスは、特に2次バーナーの力を借りることなく2次空気孔から導入された2次空気によって自燃し、これらの燃焼状態は、1次燃焼容器内の可燃物が燃焼し尽くすまで継続される。
【0024】
このように、吸引手段を、2次燃焼容器の上面から外方に向けて延設されたスタックと、このスタックの近傍に設けられ吸引した外気を排気方向へ向かうようにスタック内に供給する押込みブロワーとを備えて構成し、2次バーナーの設置位置を、連絡配管の下流端に向けて火炎を吹き付けるように設定することにより、吸引手段の構成を簡単なものにした上で、1次燃焼容器内で発生した可燃性ガスは、2次燃焼容器内で確実に燃焼する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記可燃物は、不要物として廃棄されたゴミであることを特徴とするものである。かかる構成によれば、本発明に係る焼却装置が不要物であるゴミの処理に貢献する。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記1次燃焼容器内の下部には、可燃物の熱分解により発生し未燃の可燃物を貫流して下降した可燃性ガスを集気したのち前記連絡配管へ導く集気部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
かかる構成によれば、1次燃焼容器内での可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスは、未燃の可燃物を貫流して下降したのち集気部材によって集気され、効果的に連絡配管へ導かれる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記2次燃焼容器内には、初期のみ前記2次バーナーによって加熱され、その後前記可燃性ガスの自燃によって加熱される熱保持部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0029】
かかる構成によれば、焼却装置による可燃物の焼却処理の初期に、2次燃焼容器に導入された可燃性ガスは、2次バーナーの火炎および2次バーナーによって加熱された熱保持部材からの熱を得て着火され、2次燃焼容器内で燃焼する。その後、熱保持部材は、可燃性ガスの自燃で加熱されるため、以後は2次バーナーを消火しても、新たに2次燃焼容器に導入された可燃性ガスは、可燃性ガスの自燃で加熱された熱保持部材との接触で安定した状態で着火されて燃焼が継続される。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記2次燃焼容器内には、前記熱保持部材の上方位置に可燃性ガス中に含まれる液状可燃物の燃焼を促進する燃焼促進部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0031】
かかる構成によれば、2次燃焼容器内に導入された可燃性ガス中にたとえ液状可燃物が含まれており、この液状可燃物が未燃状態であったとしても、当該液状可燃物は、熱保持部材の上方位置に設けられた燃焼促進部材との接触によって燃焼が促進されるため、可燃性ガスの完全燃焼に貢献する。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記2次燃焼容器内には、可燃性ガスの燃焼により得られた燃焼排ガスとの熱交換で廃熱を回収する廃熱回収手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0033】
かかる構成によれば、廃熱回収手段は、可燃性ガスの燃焼により得られた燃焼排ガスとの熱交換で廃熱を回収するため、廃熱の有効利用に貢献する。
【発明の効果】
【0034】
請求項1記載の発明によれば、1次燃焼容器内に装填された可燃物は、1次バーナーによってその上部に着火され、吸引手段の駆動で1次燃焼容器内に吸引される1次空気により、当該可燃物が、立設された線香が燃えるように上部から下部に向かって燃焼していくため、1次燃焼容器内の可燃物の全体的な立体形状が大幅に変化することがなく、準静的に高さレベルが低くなっていくだけで形崩れすることがないため、可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスを安定した状態で得ることができ、これによって可燃性ガスの2次的な燃焼処理を、流量的に大幅な変動がない状態で円滑、かつ、確実に行うことができる。
【0035】
また、可燃物から発生した可燃性ガスは、2次燃焼容器内における2次空気により完全に燃焼処理されるため、不完全燃焼により生じた有害ガスが大気中に放散されるような不都合の発生を確実に防止することができる。
【0036】
さらに、家庭用の暖房装置として使用するなど小規模な使用にも適用することが可能であり焼却装置を汎用性に富んだものにすることができる。
【0037】
請求項2記載の発明によれば、吸引手段の構成をスタックと押込みブロワーとからなる簡単な構造のものにした上で、1次燃焼容器内で発生した可燃性ガスを2次燃焼容器内で確実に燃焼させることができる。
【0038】
請求項3記載の発明によれば、可燃物は、不要物として廃棄されたゴミであるため、不要物であるゴミの処理に貢献することができる。
【0039】
請求項4記載の発明によれば、1次燃焼容器内での可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスは、未燃の可燃物を貫流して下降したのち集気部材によって集気されるため、可燃性ガスを効果的に連絡配管へ導くことができる。
【0040】
請求項5記載の発明によれば、焼却装置による可燃物の焼却処理の初期に、2次燃焼容器に導入された可燃性ガスは、2次バーナーの火炎および2次バーナーによって加熱された熱保持部材からの熱を得て着火され、2次燃焼容器内で燃焼することができる。その後、熱保持部材は、可燃性ガスの自燃で加熱されるため、以後は2次バーナーを消火しても、新たに2次燃焼容器に導入された可燃性ガスは、可燃性ガスの自燃で加熱された熱保持部材との接触で安定した状態で着火されて燃焼を継続することができる。
【0041】
請求項6記載の発明によれば、2次燃焼容器内に導入された可燃性ガス中にたとえ液状可燃物が含まれており、この液状可燃物が未燃状態であったとしても、当該液状可燃物は、熱保持部材の上方位置に設けられた燃焼促進部材との接触によって燃焼が促進されるため、可燃性ガスの完全燃焼に貢献することができる。
【0042】
請求項7記載の発明によれば、廃熱回収手段は、可燃性ガスの燃焼により得られた燃焼排ガスとの熱交換で廃熱を回収するため、廃熱の有効利用に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1は、本発明に係る焼却装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は、そのX−X線断面図である。これらの図に示すように、焼却装置10は、装填された都市ゴミ(可燃物)Fに対して1次燃焼処理を施す1次燃焼容器20と、この1次燃焼容器20で都市ゴミFに1次燃焼処理を施すことによって発生した可燃性ガスF1に対して2次燃焼処理を施す2次燃焼容器30と、これら1次燃焼容器20および2次燃焼容器30間に架設されて1次燃焼容器20で発生した可燃性ガスF1を2次燃焼容器30へ送り込む連絡配管40とを備えた基本構成を有している。
【0044】
前記1次燃焼容器20は、本実施形態においては、ステンレススチール等の鋼材製の有底の円筒体からなる1次容器本体21と、この1次容器本体21の上面開口にその略半分を覆うように設けられた半円状の天板22と、この天板22の直線状の縁部に蝶板211を介して開閉可能に装着された半円状の開閉蓋23と、1次容器本体21の上部位置に装着された1次バーナー24とを備えて構成されている。
【0045】
また、1次容器本体21の下部周壁の適所には、燃焼灰F2を取り出すための灰取り出し口212が開口されているとともに、この灰取り出し口212を開閉可能に閉止する底蓋213が設けられている。なお、燃焼灰F2は、燃焼の進行により1次燃焼容器20内の都市ゴミFが消滅した後に1次容器本体21の底板上に堆積するものであり、1次燃焼容器20内に都市ゴミFが存在している間は着火層F0の上部に存在するのであるが、図1では説明の都合上1次燃焼容器20内に都市ゴミFが存在しているにも拘わらず、底板25の上に燃焼灰F2を示している。
【0046】
前記開閉蓋23の略中央位置には、1次空気孔231が穿設されているとともに、この1次空気孔231の近傍に立設された垂直軸233回りに回動可能に軸支された開度調節板232が設けられ、この開度調節板232を垂直軸233回りに正逆回動操作することによって1次空気孔231の開度が調節されるようになっている。
【0047】
そして、かかる1次燃焼容器20内には、開閉蓋23を開放して都市ゴミFをその上部が天板22に略届くまで満杯状態に装填したのち開閉蓋23を閉止し、開度調節板232によって1次空気孔231の開度を調節してから1次バーナー24を点火し、都市ゴミFの上部を着火するようにしている。
【0048】
前記1次バーナー24は、本実施形態においては、天板22の円弧縁部の略中央部下部位置で1次容器本体21の周壁を貫通して径方向に延びるように設けられている。かかる1次バーナー24は、焼却装置10の近傍に設けられた燃料貯槽80に貯留されている液体燃料Lが燃料ポンプ81の駆動で送り込まれるとともに、外気が燃焼空気Aとして取り入れられ、図略の点火装置の所定の動作で点火されるようになされている。このような1次バーナー24のバーナー口は扁平に形成され、当該バーナー口から噴射された火炎が扇状に広がって都市ゴミFの頂部を万遍なく覆い得るようになっている。
【0049】
そして、2次燃焼容器30に設けられた後述する押込みブロワー34の駆動で1次空気A1が定常流となって1次空気孔231から1次燃焼容器20内に導入され、都市ゴミFを下方に向けて貫流することにより、都市ゴミFの燃焼が進行して着火層F0が順次下降していくことになる。
【0050】
前記連絡配管40は、1次燃焼容器20内で都市ゴミFの燃焼により発生した可燃性ガスF1(可燃成分を含有するガスのことを可燃性ガスF1としており、従って、可燃性ガスF1の中には、各種の炭化水素ガスや一酸化炭素のような可燃成分はもちろんのこと、二酸化炭素のような不燃成分も含まれている。)を集めて2次燃焼容器30へ送り込むためのものであり、1次および2次燃焼容器20,30の上下方向の中央部より若干下方位置間に貫通架設されている。
【0051】
かかる連絡配管40は、1次および2次燃焼容器20,30間で水平方向に真っ直ぐに延びた直管部41と、この直管部41の上流端が下方に向けて折り曲げられた状態の上流側ベンド部42と、前記直管部41の下流端が下方に向けて折り曲げられた状態の下流側ベンド部43とからなっている。前記上流側ベンド部42は、筒心を共有した状態で1次容器本体21の筒心位置に位置設定されているとともに、下流側ベンド部43は、筒心を共有した状態で2次燃焼容器30の筒心位置に位置設定されている。
【0052】
そして、このような連絡配管40の上流側ベンド部42には、1次燃焼容器20内で着火層F0から下降してきた可燃性ガスF1を効率的に集気するために、円錐形状を呈した集気円錐体(集気部材)44が設けられている。
【0053】
図3は、上流側ベンド部42および集気円錐体44を示す一部切欠き斜視図である。図3に示すように、上流側ベンド部42は、その下端面が1次燃焼容器20の底板25から若干離間するように位置設定されている。かかる上流側ベンド部42は、下端の開口が閉止板421によって閉止されているとともに、上流側ベンド部42の周面および閉止板421には、均等に多数の小孔422が穿設され、1次容器本体21内を流下した可燃性ガスF1は、これらの小孔422を通って連絡配管40内に導入されるようになっている。上流側ベンド部42に多数の小孔422を設けることにより、未だ燃焼に供されていない状態の都市ゴミFが連絡配管40内に入り込むことが防止されるようになっている。
【0054】
前記集気円錐体44は、1次容器本体21内に装填された都市ゴミFによって上流側ベンド部42の小孔422が目詰まりさせられるのを防止するためのものであり、中心部の孔が上流側ベンド部42に密着して外嵌された状態で溶接止め等によって上流側ベンド部42に固定されている。かかる集気円錐体44は、下部の最大外径寸法が上流側ベンド部42の少なくとも2倍程度になるように径設定され、これによって上流側ベンド部42の外周面と集気円錐体44の周縁との間には、都市ゴミFの侵入を抑制する空間が形成されて、これによって小孔422の閉塞が防止されるため、1次容器本体21内を流下した可燃性ガスF1は、小孔422を通って連絡配管40内に円滑に流入することになる。
【0055】
なお、本実施形態においては、これら連絡配管40および集気円錐体44は、いずれもステンレススチール等の鋼材によって形成されている。
【0056】
ついで図2に戻り、前記2次燃焼容器30は、ステンレススチール等の鋼材製の有底の円筒体からなる2次容器本体31と、この2次容器本体31の上面開口を覆う円形の天板32と、この天板32の中央部から立設されたスタック33と、2次容器本体31の周壁上部に装着され下部から前記スタック33内に向けて外気を送り込む押込みブロワー34と、2次容器本体31の周壁下部に装着され火炎を2次容器本体31内に向けて放射する2次バーナー35とを備えた基本構成を有している。
【0057】
前記押込みブロワー34は、内部に駆動モータの駆動で軸心回りに回転するファンを備えたブロワー本体341と、このブロワー本体341から延設された送風管342とを備えて構成されている。前記送風管342は、側面視でL字状に形成され、2次容器本体31の周壁を貫通し2次容器本体31の筒心へ向かって水平に延びる水平部342aと、この水平部342aの先端からスタック33内で上方に向かって延設された垂直に延びる垂直部342bとからなっている。
【0058】
そして、ブロワー本体341に設けられた図略の駆動モータが駆動されることによる図略のファンの軸心回りの回転によって外気が送風管342の水平部342aおよび垂直部342bを介してスタック33内に押込み送風され、特に垂直部342bの上端から放出される上昇気流A3によってスタック33内が大気圧より負圧になるいわゆるエジェクター効果が現出し、これによって2次燃焼容器30内の気体がスタック33を通って外部に排出される。そして、1次燃焼容器20と2次燃焼容器30との間には、1次空気孔231から1次燃焼容器20内を下降し、連絡配管40内を通って2次燃焼容器30内に到る気流が形成されることになる。
【0059】
前記2次バーナー35には、前記燃料貯槽80内に貯留されている液体燃料Lが燃料ポンプ82の駆動で供給され、かつ、燃焼空気Aが供給された状態で図略の点火装置の点火動作で2次バーナー35が点火されるようになっている。かかる2次バーナー35は、前記1次バーナー24と同様にバーナー口が扁平に形成され、当該バーナー口から噴射された火炎が扇状に広がり、これによって連絡配管40の下流側ベンド部43から導出された可燃性ガスF1にもれなく接触し得るようになっている。
【0060】
前記2次バーナー35の周りには、2次バーナー35の軸心を中心とした同心円上に、2次容器本体31の周壁が穿設されることによって周方向に等ピッチで形成された複数の2次空気孔311が設けられ、連絡配管40を介して2次燃焼容器30内に導入された可燃性ガスF1は、これらの2次空気孔311から供給される2次空気A2を得て燃焼されるようになっている。
【0061】
そして、本実施形態においては、連絡配管40の下流側ベンド部43の下端開口から導出された可燃性ガスF1が確実に燃焼するように、下流側ベンド部43の下部に円盤状の熱保持部材50が設けられているとともに、この熱保持部材50の上方位置に燃焼促進部材60が設けられている。
【0062】
図4は、熱保持部材50および燃焼促進部材60の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。図4に示すように、熱保持部材50は、連絡配管40の下流側ベンド部43に同心で外嵌固定されたステンレススチール等の鋼材製の円盤部材51と、この円盤部材51に装着された同一材料製の複数の熱保持パイプ52と、前記下流側ベンド部43に装着された中央部貫流パイプ53とを備えて構成されている。
【0063】
前記円盤部材51は、外径寸法が2次容器本体31の内径寸法より若干小さめに設定された円形の上板511と、下部でこの上板511と対向配置された同一形状の下板512と、これら上下の板511,512の周縁部間に架設された周壁板513とからなっている。かかる円盤部材51は、下板512の下面が前記2次バーナー35の火炎に曝されるように設置位置が設定されている。
【0064】
前記熱保持パイプ52は、長さ寸法が円盤部材51の厚み寸法と同一に設定され、複数本が円盤部材51の上下の板511,512に貫通されて固定されている。本実施形態においては、かかる熱保持パイプ52は、下流側ベンド部43の筒心を中心とした同心円に沿って2列で円盤部材51に装着されている。
【0065】
前記中央部貫流パイプ53は、連絡配管40の下流側ベンド部43に同心で当該下流側ベンド部43の上部の管壁を貫通して設けられている。
【0066】
かかる熱保持部材50によれば、2次バーナー35からの火炎で円盤部材51が赤熱される程度の高温になるまで加熱され、かつ、押込みブロワー34が駆動された状態で1次燃焼容器20からの可燃性ガスF1が下流側ベンド部43の下面開口から2次燃焼容器30内に排出されると、この可燃性ガスF1は、円盤部材51の周壁板513に沿って上昇したり、中央部貫流パイプ53内および複数の熱保持パイプ52内を流通して上昇したりするため、このとき赤熱状態の円盤部材51からの熱を得て着火されて燃焼する。そして、可燃性ガスF1の燃焼状態が安定すると2次バーナー35が消火され、以後は、可燃性ガスF1が自燃する。円盤部材51は、可燃性ガスF1の自燃によって加熱されて赤熱状態が維持されるため、連絡配管40から順次送り込まれる可燃性ガスF1は良好に安定した状態で燃焼を継続する。
【0067】
前記燃焼促進部材60は、前記可燃性ガスF1の完全燃焼を期すべく設けられたものである。かかる燃焼促進部材60は、前記熱保持部材50の上方位置で連絡配管40の下流側ベンド部43に同心で固定された円形を呈するステンレススチール等の金属材料製の網部材61と、この網部材61に支持された複数個の多孔質体62とによって構成されている。
【0068】
前記網部材61は、連絡配管40の下流側ベンド部43に外嵌されて固定される内輪611と、前記円盤部材51より若干大きい径寸法を有する外輪612と、これら内輪611および外輪612間で縦横に張り巡らされた針金613とからなっている。縦横の針金613によって網目614が形成されている。
【0069】
前記多孔質体62は、セラミック製のものが用いられている。具体的には、酸化珪素(SiO2)が主成分である珪藻土を主原料とし、これに所定量のアルミナ(Al23)や粘結剤等の副原料を添加して混合し、球形に成形して製造したものが適用されている。通常SiO2やAl23は、本来的に液体燃料を熱分解して気体燃料に改質するときの触媒機能を有しているが、さらに改質性能を上昇させるために少量の希土類元素を担持させる場合もある。
【0070】
そして、球形に成形された多孔質体62には、表面積を大きくするために、適宜の数の貫通孔621が穿孔されている。なお、本発明においては、珪藻土を主原料として製造した多孔質体62を適用しているが、本発明はこのような多孔質体62に限定されるものではなく、粘土を成形して乾燥後に焼き固めた素焼きの球体や、いわゆるセラミック製品として市販されている多孔質の材料も適用可能である。
【0071】
かかる多孔質体62が円盤部材51の上方位置に配設されることにより、たとえ燃焼しない状態の可燃性ガスF1に含まれる液状可燃物が加熱状態の多孔質体62と接触することにより速やかに熱分解し、これによって形成された気体燃料が燃焼するため、可燃性ガスF1はより確実に完全燃焼することになる。得られた燃焼排ガスF3は、押込みブロワー34の駆動による吸引力でスタック33を通って外部に排出される。
【0072】
また、本実施形態においては、2次燃焼容器30に燃焼排ガスF3から廃熱を回収する廃熱回収手段70が設けられている。この廃熱回収手段70は、上水道等の所定の給水源701から引き出された給水配管71と、この給水配管71の下流端に接続され2次燃焼容器30内における燃焼促進部材60のさらに上方位置に配設された熱交換部材としてのスパイラル管72と、このスパイラル管72の下流端に接続された導出配管73とを備えて構成されている。前記給水配管71には給水バルブ711が設けられ、この給水バルブ711を開閉操作することにより、スパイラル管72へ水を供給したり、供給を遮断したりするようになっている。
【0073】
かかる廃熱回収手段70によれば、焼却装置10が稼働された状態で給水バルブ711を開放して給水源701からの水を、給水配管71を介してスパイラル管72に供給することにより、水がスパイラル管72内を流通する間に燃焼排ガスF3からの熱を得て加熱され、熱水または加熱蒸気となる。この熱水または加熱蒸気は、導出配管73を通って外部に導出される。水を熱水として導出するか、加熱蒸気として導出するかについては、給水源701から供給される水量を調節したり、スパイラル管72の伝熱構造を工夫したりする設計事項である。
【0074】
そして、導出配管73から熱水を導出する場合には、廃熱回収手段70を温水器として利用し、得られた熱水を例えば風呂の湯として利用したりすることができる。また、導出配管73からの加熱蒸気を導出する場合には、当該加熱蒸気を暖房用の熱源や、発電用のタービンを駆動させる駆動源とすることができる。
【0075】
以下、本発明の焼却装置10の作用について図1および図2を基に、必要に応じて図3および図4を参照しながら説明する。焼却装置10によって都市ゴミFに焼却処理を施すに際しては、まず、開閉蓋23を図1および図2に二点鎖線で示すように開放し、1次容器本体21の上面開口から1次燃焼容器20内に都市ゴミFを満杯になるまで投入する。引き続き開閉蓋23を閉止し、開度調節板232を調節して1次空気孔231の開度を調節する。1次空気孔231の開度は、最初略全開とし、都市ゴミFの燃焼の状況に応じて適宜調節するのが好ましい。
【0076】
ついで、押込みブロワー34を駆動し、ブロワー本体341が取り入れた外気を、送風管342を介してスタック33内へ吹き込む。そうすると、エジェクター効果によってスタック33内には上昇気流A3が発生する。この上昇気流A3によって1次燃焼容器20、連絡配管40および2次燃焼容器30内には、1次空気孔231を通り、1次容器本体21内で下方に向けて都市ゴミFを貫流し、連絡配管40内を通って2次容器本体31内に到り、2次容器本体31内をスタック33へ向かう気流が形成された状態になる。
【0077】
この状態で2次バーナー35が点火される。この点火によって2次バーナー35からは扇状に広がった火炎が熱保持部材50に向けて放出され、これによって熱保持部材50が赤熱状態になるまで加熱される。
【0078】
これに続いて1次バーナー24が点火される。この点火によって1次バーナー24からは扇状に広がった火炎が都市ゴミFの頂部に向けて放出され、これによって都市ゴミFの頂部が着火され燃焼を開始する。都市ゴミFの頂部の燃焼状態は、1次空気孔231から吸引される1次空気によって安定した状態になる。そして、都市ゴミFの燃焼状態が安定し、都市ゴミFの頂部に着火層F0の形成されたことが確認された後、1次バーナー24は消火される。1次バーナー24が消火されても1次空気孔231を介して強制吸引される1次空気により都市ゴミFの燃焼は継続され、これによって着火層F0が維持される。
【0079】
そして、都市ゴミFの頂部の着火層F0で可燃成分が熱分解することにより発生した可燃性ガスF1は、下部の未燃の都市ゴミFの層内を貫流して下降し、集気円錐体44の下部周縁から集気円錐体44内に引き入れられ、上流側ベンド部42の小孔422を通って連絡配管40内へ吸引され、その直管部41を通って下流側ベンド部43の下端開口から2次容器本体31内へ導出される。
【0080】
そして、2次容器本体31内へ導出された可燃性ガスF1は、2次バーナー35からの火炎によって着火され、2次空気孔311から導入された2次空気によって燃焼が継続され、その燃焼炎は、熱保持部材50の円盤部材51の外面および熱保持パイプ52内を伝って上昇しつつ燃焼排ガスF3となる。この燃焼排ガスF3は、上部の燃焼促進部材60を貫流し、このとき網部材61に支持された多数の多孔質体62に接触するため、たとえ燃焼排ガスF3内に未燃の液状可燃物が残留していても、多孔質体62の触媒作用によって当該液状可燃物が速やかに熱分解して燃焼に供される。
【0081】
ついで、2次容器本体31内を上昇する燃焼排ガスF3は、燃焼促進部材60の上部に設けられたスパイラル管72内の水と熱交換されて廃熱が回収された後、スタック33を通って外部へ放出される。また、スパイラル管72内で燃焼排ガスF3との熱交換により加熱されて得られた熱水や加熱蒸気は、暖房用や発電用のタービン駆動用の熱源として有効利用を図ることができる。
【0082】
なお、2次バーナー35については、2次燃焼容器30内での可燃性ガスF1の燃焼が安定した状態で消火される。2次バーナー35が消火されても、熱保持部材50は可燃性ガスF1の自燃で赤熱状態になっているため、新たに送り込まれた可燃性ガスF1は、この赤熱状態の熱保持部材50から熱を得ることで着火され、これによって可燃性ガスF1の燃焼は継続される。
【0083】
以上詳述したように、本発明にかかる焼却装置10は、装填された都市ゴミFに対して焼却処理を施すものであり、縦置きされた有底の1次燃焼容器20と、この1次燃焼容器20に縦置きで隣設された有底の2次燃焼容器30と、これら1次および2次燃焼容器20,30間にそれぞれ貫通して架設された連絡配管40とを備えた基本構成を有するものである。
【0084】
そして、1次燃焼容器20は、都市ゴミFを1次燃焼容器20内に装填するための当該1次燃焼容器20の上面開口に開閉可能に装着された開閉蓋23と、この開閉蓋23の近傍に設けられた1次空気孔231と、この1次空気孔231の近傍に設けられ都市ゴミFの燃焼および熱分解に供する1次バーナー24とを有している。
【0085】
また、2次燃焼容器30は、上面開口を閉止する天板32から外方に向けて延設されたスタック33と、スタック33の近傍に設けられ吸引した外気を排気方向へ向かうようにスタック33内に供給する押込みブロワー34と、連絡配管40の下流端に向けて火炎を吹き付け、都市ゴミFの熱分解で発生した可燃性ガスF1の燃焼に供する2次バーナー35と、この2次バーナー35の近傍に設けられた2次空気孔311とを有している。
【0086】
焼却装置10をこのように構成することにより、開閉蓋23を開放して都市ゴミFを頂部の開口から満杯になるまで1次燃焼容器20内に装填し、開閉蓋23を閉止してから押込みブロワー34を駆動すると、押込みブロワー34の先端から吹き出した外気がスタック33内を上昇し、これによるエジェクター効果で2次燃焼容器30内に上昇気流A3が形成されるため、この上昇気流A3に誘引されて外気が1次空気として1次空気孔231から1次燃焼容器20内に吸引されて装填されている都市ゴミF間の隙間を通過し、連絡配管40を通って2次燃焼容器30内に導入された後、当該2次燃焼容器30内を上昇してスタック33から外部に排出され、これによって1次空気孔231、1次燃焼容器20内、連絡配管40、2次燃焼容器30内およびスタック33に到る気流が形成された状態になる。
【0087】
この状態で2次バーナー35に点火してその火炎で2次燃焼容器30内の連絡配管40の先端側を高温になるまで加熱し、引き続き1次バーナー24に点火する。そうすると、1次燃焼容器20の最上位に位置した都市ゴミFが1次バーナー24の火炎によって着火され、1次空気孔231から供給される1次空気によって燃焼が継続され、発生した可燃性ガスF1が気流に誘引されて都市ゴミF間の隙間を下降した後、連絡配管40を通って2次燃焼容器30内に導入される。このとき、連絡配管40の先端から導出される可燃性ガスF1は、2次バーナー35の火炎および2次バーナー35によって高温に加熱された連絡配管40の先端に接触することによって着火されて燃焼し、この燃焼は、2次空気孔311からの外気の導入によって継続される。燃焼後の燃焼排ガスF3は、スタック33を介して外部に排出される。
【0088】
そして、1次燃焼容器20内における都市ゴミFの上部の燃焼および2次燃焼容器30内における連絡配管40先端での可燃性ガスF1の燃焼が安定した状態で、1次バーナー24および2次バーナー35の双方を消火する。そうすると、以後都市ゴミFは、特に1次バーナー24の力を借りることなく1次空気孔231から導入された1次空気によって自燃するとともに、連絡配管40の先端から2次燃焼容器30内に導入された可燃性ガスF1は、特に2次バーナー35の力を借りることなく2次空気孔311から導入された2次空気によって自燃し、これらの燃焼状態は、1次燃焼容器20内の都市ゴミFが燃焼し尽くすまで継続される。
【0089】
このように、焼却装置10を都市ゴミFが装填される1次燃焼容器20と、この1次燃焼容器20に連絡配管40を介して接続された、スタック33に外気を押し込む押込みブロワー34を有する2次燃焼容器30とを備えて構成しているため、押込みブロワー34を駆動させた状態で2次燃焼容器30内の連絡配管40の先端を2次バーナー35によって高温に加熱してから1次燃焼容器20に装填された都市ゴミFの最上位を1次バーナー24によって着火することにより、都市ゴミFの最上位が燃焼することで発生した可燃性ガスF1は、1次燃焼容器20内から2次燃焼容器30へ向かう気流に同伴し、2次燃焼容器30内で燃焼する。これらの燃焼状態が安定したのち1次および2次バーナー35の双方を消火しても、都市ゴミFおよびこれより得られた可燃性ガスF1の燃焼は継続され、これによって都市ゴミFの焼却処理が実行される。
【0090】
なお、都市ゴミFの安定した状態での燃焼が継続されるのは、当該都市ゴミFが、立設された線香が燃えるように上部から下部に向かって燃焼していくため、1次燃焼容器20内の都市ゴミFの立体形状的な状態が大幅に変化することがなく、準静的に高さレベルが低くなっていくだけであるためであり形崩れすることがないためである。従って、都市ゴミFの熱分解による可燃性ガスF1を定量的に安定した状態で得ることができるため、この可燃性ガスF1の2次的な燃焼処理が円滑、かつ、確実に行われるのである。
【0091】
これに対し都市ゴミFが下部から燃焼していくと、燃焼によって消失した部分に向けて未だ燃焼していない上部の都市ゴミFが落下し、燃焼の進行に伴ってこの落下が繰り返され、これにる都市ゴミFの形崩れで燃焼状態が不安定になり、定常的な可燃性ガスF1の発生が得られなくなるため、可燃性ガスF1を安定的に燃焼させることができなくなるのである。
【0092】
そして、1次および2次バーナー24,35は、都市ゴミFが着火して安定的に燃焼するまでの極めて短い時間点火されるだけで後は都市ゴミFおよび当該都市ゴミFから発生した可燃性ガスF1の自燃で焼却処理が進行するため、従来のようにバーナーを常時点火状態にしておかなければならなかったものに比べてエネルギーコストを大幅に削減することができる。
【0093】
また、都市ゴミFから発生した可燃性ガスF1は、2次燃焼容器30内における2次空気により完全に燃焼処理されるため、不完全燃焼により生じる一酸化炭素(CO)等の有害ガスが大気中に放散されるような不都合の発生を有効に抑制することができる。
【0094】
さらに、2次燃焼容器30内における2次燃焼処理で発生した熱を所定の熱交換手段を用いて熱回収することにより効率的な廃熱回収を達成することができる。
【0095】
加えて、家庭用の暖房装置として使用するなど小規模な使用にも適用することが可能であり焼却装置10を汎用性に富んだものにすることができる。
【0096】
また、1次燃焼容器20内の下部には、都市ゴミFの熱分解により発生し未燃の都市ゴミFを貫流して下降した可燃性ガスF1を集気したのち連絡配管40へ導く集気円錐体44が設けられているため、1次燃焼容器20内での都市ゴミFの熱分解により発生した可燃性ガスF1は、未燃の都市ゴミFを貫流して下降したのち集気円錐体44によって集気されるため、可燃性ガスF1を効果的に連絡配管40へ導くことができる。
【0097】
また、2次燃焼容器30内には、初期のみ2次バーナー35によって加熱され、その後可燃性ガスF1の自燃によって加熱される熱保持部材50が設けられているため、焼却装置10による都市ゴミFの焼却処理の初期に、2次燃焼容器30に導入された可燃性ガスF1は、2次バーナー35の火炎および2次バーナー35によって加熱された熱保持部材50からの熱を得て着火され、2次燃焼容器30内で燃焼することができる。その後、熱保持部材50は、可燃性ガスF1の自燃で加熱されるため、以後は2次バーナー35を消火しても、新たに2次燃焼容器30に導入された可燃性ガスF1は、可燃性ガスF1の自燃で加熱された熱保持部材50との接触で安定した状態で着火されて燃焼を継続することができる。
【0098】
さらに、2次燃焼容器30内には、熱保持部材50の上方位置に可燃性ガスF1中に含まれる液状可燃物の燃焼を促進する燃焼促進部材60が設けられているため、2次燃焼容器30内に導入された可燃性ガスF1中にたとえ液状可燃物が含まれており、この液状可燃物が未燃状態であったとしても、当該液状可燃物は、熱保持部材50の上方位置に設けられた燃焼促進部材60との接触によって燃焼が促進されるため、可燃性ガスF1の完全燃焼に貢献することができる。
【0099】
加えて、2次燃焼容器30内には、可燃性ガスF1の燃焼により得られた燃焼排ガスF3との熱交換で廃熱を回収する廃熱回収手段70が設けられているため、廃熱の有効利用に貢献することができる。
【0100】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0101】
(1)上記の実施形態においては、可燃物として都市ゴミFを例に挙げて説明したが、本発明は、可燃物が都市ゴミFであることに限定されるものではなく、例えば、可燃物を暖房装置として利用する場合には、燃料用の木材や石炭、コークス等であってもよく、燃焼させることができる有形物であればどのようなものでもよい。
【0102】
(2)上記の実施形態においては、1次バーナー24および2次バーナー35に燃料貯槽80からの液体燃料が供給されるようにしているが、液体燃料に代えて都市ガス等の気体燃料や、液化天然ガスや液化石油ガス等の液化ガスを採用してもよい。
【0103】
(3)上記の実施形態においては、可燃物として都市ゴミFが採用されているが、本発明は、可燃物が都市ゴミFであることに限定されるものではなく、一般家庭で日常的に発生するいわゆる家庭ゴミであってもよいし、取り壊された建築物や構造物から回収された廃材等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る焼却装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】図1に示す焼却装置のX−X線断面図である。
【図3】上流側ベンド部および集気円錐体を示す一部切欠き斜視図である。
【図4】熱保持部材および燃焼促進部材の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0105】
10 焼却装置 20 1次燃焼容器
21 1次容器本体 211 蝶板
212 灰取り出し口 213 底蓋
22 天板 23 開閉蓋
231 1次空気孔 232 開度調節板
233 垂直軸 24 1次バーナー
25 底板 30 2次燃焼容器
31 2次容器本体 311 2次空気孔
32 天板 33 スタック
34 押込みブロワー 341 ブロワー本体
342 送風管 342a 水平部
342b 垂直部 35 2次バーナー
40 連絡配管 41 直管部
42 上流側ベンド部 421 閉止板
422 小孔 43 下流側ベンド部
44 集気円錐体(集気部材)
50 熱保持部材 51 円盤部材
511 上板 512 下板
513 周壁板 52 熱保持パイプ
53 中央部貫流パイプ 60 燃焼促進部材
61 網部材 611 内輪
612 外輪 613 針金
614 網目 62 多孔質体
621 貫通孔 70 廃熱回収手段
701 給水源 71 給水配管
711 給水バルブ 72 スパイラル管
73 導出配管 80 燃料貯槽
81,82 燃料ポンプ A 燃焼空気
A1 1次空気 A2 2次空気
A3 上昇気流 F 都市ゴミ(可燃物)
F0 着火層 F1 可燃性ガス
F2 燃焼灰 F3 燃焼排ガス
L 液体燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填された可燃物に対して焼却処理を施す焼却装置であって、
1次燃焼容器と、この1次燃焼容器に隣設された2次燃焼容器と、これら1次および2次燃焼容器間にそれぞれ貫通して架設された連絡配管とを備え、
前記1次燃焼容器は、可燃物装填用の開口近傍に設けられた1次空気孔と、この1次空気孔の近傍に設けられ可燃物の燃焼および熱分解に供する1次バーナーとを有し、
前記2次燃焼容器は、前記第1燃焼容器内で可燃物の熱分解により発生した可燃性ガスの燃焼に供する2次バーナーと、この2次バーナーの近傍に設けられた2次空気孔とを有し、
前記1次燃焼容器の底部から前記連絡配管を通して2次燃焼容器に向けて前記可燃性ガスを吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする焼却装置。
【請求項2】
前記吸引手段は、前記2次燃焼容器の上面から外方に向けて延設されたスタックと、前記スタックの近傍に設けられ吸引した外気を排気方向へ向かうようにスタック内に供給する押込みブロワーとを備えて構成され、前記2次バーナーは、前記連絡配管の下流端に向けて火炎を吹き付けるように設置位置が設定されていることを特徴とする請求項1記載の焼却装置。
【請求項3】
前記可燃物は、不要物として廃棄された都市ゴミであることを特徴とする請求項1または2記載の焼却装置。
【請求項4】
前記1次燃焼容器内の下部には、可燃物の熱分解により発生し未燃の可燃物を貫流して下降した可燃性ガスを集気したのち前記連絡配管へ導く集気部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の焼却装置。
【請求項5】
前記2次燃焼容器内には、初期のみ前記2次バーナーによって加熱され、その後前記可燃性ガスの自燃によって加熱される熱保持部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の焼却装置。
【請求項6】
前記2次燃焼容器内には、前記熱保持部材の上方位置に可燃性ガス中に含まれる液状可燃物の燃焼を促進する燃焼促進部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の焼却装置。
【請求項7】
前記2次燃焼容器内には、可燃性ガスの燃焼により得られた燃焼排ガスとの熱交換で廃熱を回収する廃熱回収手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の焼却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−147176(P2007−147176A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343104(P2005−343104)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(393007101)
【出願人】(505440723)
【Fターム(参考)】