説明

焼結鉱の破砕装置およびそれを用いた焼結鉱の整粒方法

【課題】焼成された焼結鉱を破砕し分級して高炉原料として適正な粒度の焼結鉱に粒度調整するに際して、焼結鉱を効率良く破砕することができる破砕装置と、その破砕装置を用いた焼結鉱の整粒方法を提供する。
【解決手段】二次破砕機4は、水平方向に対向する二本のロール4a、4bを有してなるダブルロール式破砕機本体と、搬送コンベア19から投下される焼結鉱を二本のロール4a、4bの間隙へロール幅方向に分散して投入するための分散投入機構11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成された焼結鉱を破砕し分級することによって、高炉原料として適正な粒径の焼結鉱に粒度調整する際に用いられる破砕装置と、その破砕装置を用いた焼結鉱の整粒方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の焼結鉱の整粒方法を図7に示す。焼結機1にて、約5m×1mのパレットで焼成された焼結鉱が、一次破砕機2で、200mm程度の大きさに粗破砕される。粗破砕された焼結鉱は、冷却機3で冷却された後、100mm程度の篩目のスクリーンを有する第一段篩6で篩い分けられる。第一段篩6で篩上に篩い分けされた100mm超の塊状の焼結鉱は、二次破砕機5に供給され、50mm以下を目標に破砕される。二次破砕機5で破砕された焼結鉱は、第一段篩6の篩下と合流して、第二段篩7に供給される。そして、第二段篩(篩目15mm)7、第三段篩(篩目8mm)8、第四段篩(篩目5mm)9と順次スクリーンの篩目を小さくし、高炉原料として適正な粒度の焼結鉱が篩い分けられる。すなわち、第二段篩7で篩上に篩い分けされた15〜50mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給され、第二段篩7の篩下は第三段篩8に供給される。第三段篩8で篩上に篩い分けされた8〜15mmの粒度の焼結鉱は焼結機床敷鉱として焼結機1に供給され、第三段篩8の篩下は第四段篩9に供給される。第四段篩9で篩上に篩い分けされた5〜8mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給され、第四段篩9の篩下に篩い分けされた5mm以下の粒度の焼結鉱(粉化鉱)は再度焼結原料として焼結機1に返鉱される。
【0003】
そして、通常、一次破砕機2としては、一本のロールに鬼歯と呼ばれる爪状の破砕片が設けられてなるシングルスパイクロール式破砕機が使用され、二次破砕機5としては、水平方向に対向する二本のロールに歯が設けられてなるダブルロール式破砕機が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、第一段篩6〜第四段篩9の各篩には、振幅が数mmである振動篩が用いられている。
【特許文献1】特開平6−15189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、ダブルロール式の二次破砕機5においては、図8に斜視図を示すように、対向する2本のロール5a、5bの幅Wrが1.5m程度であるのに対して、第一段篩6で篩上に篩い分けられた焼結鉱を搬送する搬送コンベア19の幅Wcは0.5m程度と狭く、しかもそのコンベアベルトはV字形になっていることが多い。
【0006】
そのため、搬送コンベア19から2本のロール5a、5bの間隙に焼結鉱を投入する際に、ロール5a、5bの幅方向の一部分のみに投入することになり、ロール5a、5b幅の一部分のみを使用して焼結鉱を破砕するようになるので、破砕効率が上がらない。したがって、全体の整粒効率も上がらなくなる。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、焼成された焼結鉱を破砕し分級して高炉原料として適正な粒度の焼結鉱に粒度調整するに際して、焼結鉱を効率良く破砕することができる破砕装置と、その破砕装置を用いた焼結鉱の整粒方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0009】
[1]焼成された焼結鉱を所定の粒径範囲の焼結鉱に粒度調整する際に用いる破砕装置であって、焼結鉱を破砕装置本体に分散して投入するための分散投入機構を備えていることを特徴とする焼結鉱の破砕装置。
【0010】
[2]焼成された焼結鉱を破砕し分級することによって、所定の粒径範囲の焼結鉱に粒度調整するための焼結鉱の整粒方法において、粗破砕された焼結鉱を、前記[1]に記載の破砕装置を用いて二次破砕することを特徴とする焼結鉱の整粒方法。
【0011】
[3]二次破砕された焼結鉱を分級する際に、篩目寸法の異なる複数のスクリーンを有する分級装置を用いて分級することを特徴とする前記[2]に記載の焼結鉱の整粒方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、焼結鉱を破砕装置本体に分散して投入するための分散投入機構を備えているので、破砕装置本体の全体を使用して焼結鉱を効率良く破砕することができる。また、それによって、焼結鉱を効率良く整粒することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における処理フロー図、図2は、本発明の第1の実施形態おいて用いる破砕装置(二次破砕機)の説明図である。
【0015】
図1に示すように、この実施形態においては、焼結機1にて、約5m×1mのパレットで焼成された焼結鉱が、一次破砕機2で、200mm程度の大きさに粗破砕される。粗破砕された焼結鉱は、冷却機3で冷却された後、100mm程度の篩目のスクリーンを有する第一段篩6で篩い分けられる。第一段篩6で篩上に篩い分けされた100mm超の塊状の焼結鉱は、二次破砕機4に供給され、50mm以下を目標に破砕される。二次破砕機4で破砕された焼結鉱は、第一段篩6の篩下と合流して、第二段篩7に供給される。そして、第二段篩(篩目15mm)7、第三段篩(篩目8mm)8、第四段篩(篩目5mm)9と順次スクリーンの篩目を小さくし、高炉原料として適正な粒度の焼結鉱が篩い分けられる。すなわち、第二段篩7で篩上に篩い分けされた15〜50mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給され、第二段篩7の篩下は第三段篩8に供給される。第三段篩8で篩上に篩い分けされた8〜15mmの粒度の焼結鉱は焼結機床敷鉱として焼結機1に供給され、第三段篩8の篩下は第四段篩9に供給される。第四段篩9で篩上に篩い分けされた5〜8mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給され、第四段篩9の篩下に篩い分けされた5mm以下の粒度の焼結鉱(粉化鉱)は再度焼結原料として焼結機1に返鉱される。
【0016】
そして、この実施形態において用いられる二次破砕機4は、図2に斜視図を示すように、水平方向に対向する二本のロール4a、4bを有してなるダブルロール式破砕機構(破砕機本体)と、搬送コンベア19から投下される焼結鉱を二本のロール4a、4bの間隙(ロール間隙)へロール幅方向に分散して投入するために、搬送コンベア19とロール4a、4bとの中間の高さ位置に配置された分散投入機構11とを備えている。
【0017】
その分散投入機構11は、例えば、図2、図3に示すように、緩衝板11aと分散板11bからなっている。緩衝板11aは、搬送コンベア19からの焼結鉱の投下線上に位置し、板幅方向はロール幅方向に平行で、かつ水平面に対して所定の角度θ1で傾斜している。また、分散板11bは、上端が緩衝板11aの下端に繋がり、下端がロール間隙の上方に位置し、板幅方向はロール幅方向に平行で、かつ水平面に対して所定の角度θ2(ただし、θ1>θ2)で傾斜している。そして、緩衝板11aと分散板11bの板幅Wpは、ロール幅Wrとほぼ同じである。
【0018】
このような分散投入機構11においては、まず、搬送コンベア19から投下された焼結鉱が緩衝板11aに受け止められて、コンベア搬送方向の速度成分を無くすとともに、ロール間隙への落下速度を下げる。そして、緩衝板11a上を滑り落ちた焼結鉱は、分散板11b上を板幅方向(ロール幅方向)に分散しながら滑り落ちていき、分散板11bに案内されるようにして、その下端からロール間隙へロール幅方向全体に分散して投入される。
【0019】
このようにして、この実施形態においては、分散投入機構11を備えた二次破砕機4によって二次破砕を行っているので、焼結鉱がロール幅方向に分散しながらロール間隙に適切に案内されて投入されるようになり、二次破砕機4のロール幅全体を使用して焼結鉱を効率良く破砕することができる。また、それによって、焼結鉱を効率良く整粒することが可能となる。
【0020】
なお、分散投入機構11としては、図4(a)に示すように、分散板11b上に分岐楔11cを設けたり、図4(b)に示すように、分散板11b上に分岐楔11d、11eを設けたりして、流路分散構造にしてもよい。
【0021】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態における処理フロー図、図6は、本発明の第2の実施形態おいて用いる揺動式分級機の説明図である。
【0022】
図5に示すように、この実施形態においては、焼結機1にて、約5m×1mのパレットで焼成された焼結鉱が、一次破砕機2で、200mm程度の大きさに粗破砕される。粗破砕された焼結鉱は、冷却機3で冷却された後、二次破砕機4に供給され、50mm以下を目標に破砕される。二次破砕機4で破砕された焼結鉱は、揺動式分級機20に供給される。揺動式分級機20には、第1スクリーン(篩目5mm)21、第2スクリーン(篩目8mm)22、第3スクリーン(篩目15mm)と篩目の異なる3種類の傾斜スクリーンがその順番に配置されており、それによって高炉原料として適正な粒度の焼結鉱が篩い分けられる。すなわち、第1スクリーン21の篩下に篩い分けされた5mm以下の粒度の焼結鉱(粉化鉱)は再度焼結原料として焼結機1に返鉱され、第2スクリーン22の篩下に篩い分けされた5〜8mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給され、第3スクリーン23の篩下に篩い分けされた8〜15mmの粒度の焼結鉱は焼結機床敷鉱として焼結機1に供給され、第3スクリーン23の篩上に篩い分けされた15〜50mmの粒度の焼結鉱は成品として高炉10に供給される。
【0023】
ここで、この実施形態において用いている二次破砕機4は、前述の第1の実施形態において用いた二次破砕機4と同様であり、図2に斜視図を示したように、水平方向に対向する二本のロール4a、4bを有してなるダブルロール式破砕機構(破砕機本体)と、搬送コンベア19から投下される焼結鉱を二本のロール4a、4bの間隙(ロール間隙)へロール幅方向に分散して投入するために、搬送コンベア19とロール4a、4bとの中間の高さ位置に配置された分散投入機構11とを備えている。
【0024】
そして、前述したように、この実施形態において用いられる揺動式分級機20は、図6に示すように、チャンバー25の内部に傾斜して上方から直列に配置された第1スクリーン(篩目5mm)21と第2スクリーン(篩目8mm)22と第3スクリーン(篩目15mm)と篩目の異なる3種類のスクリーンを備えている。そして、各スクリーン21〜23は、クランク機構や遊星歯車等の偏心駆動機構17によって、それぞれのスクリーン上の焼結鉱に対して傾斜下方への送りをかけるように上下方向及び傾斜方向において往復運動するような揺動運動を行う。これによって、既存の振動篩に比べて、振幅を大きくして、焼結鉱に反発力を与えて分級することができ、篩目の異なる3種類のスクリーンによって一度に成品と床敷鉱と粉化鉱に分級できることから、良好な分級効率を得ることができる。
【0025】
なお、この揺動式分級機20においても、揺動式分級機20から搬送コンベア29で搬送されてきた焼結鉱がスクリーンの幅方向に分散して投入されるように、搬送コンベア29と第1スクリーン21の間に分散投入機構27を備えている。
【0026】
このようにして、この実施形態においては、分散投入機構11を備えた二次破砕機4によって二次破砕を行っているので、焼結鉱がロール幅方向に分散しながらロール間隙に適切に案内されて投入されるようになり、二次破砕機4のロール幅全体を使用して焼結鉱を効率良く破砕することができるとともに、揺動式分級機20によって分級を行っているので、一度に成品と床敷鉱と粉化鉱に分級できるようになり、効率良く分級することができる。したがって、焼結鉱を効率良く整粒することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態における処理フロー図である。
【図2】本発明の第1の実施形態おいて用いる二次破砕機の説明図である。
【図3】本発明の実施形態おいて用いる分散投入機構の説明図である。
【図4】本発明の実施形態おいて用いる他の分散投入機構の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における処理フロー図である。
【図6】本発明の第2の実施形態おいて用いる揺動式分級機の説明図である。
【図7】従来技術における処理フロー図である。
【図8】従来技術における二次破砕機の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 焼結機
2 一次破砕機
3 冷却機
4 二次破砕機
4a、4b 二次破砕機のロール
5 二次破砕機
5a、5b 二次破砕機のロール
6 第一段篩
7 第二段篩
8 第三段篩
9 第四段篩
10 高炉
11 分散投入機構
11a 緩衝板
11b 分散板
11c、11d、11e 分岐楔
16 搬送コンベア
20 揺動式分級機
21 第1スクリーン
22 第2スクリーン
23 第3スクリーン
24 偏心駆動機構
25 ケース
27 分散投入板
29 搬送コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成された焼結鉱を所定の粒径範囲の焼結鉱に粒度調整する際に用いる破砕装置であって、焼結鉱を破砕装置本体に分散して投入するための分散投入機構を備えていることを特徴とする焼結鉱の破砕装置。
【請求項2】
焼成された焼結鉱を破砕し分級することによって、所定の粒径範囲の焼結鉱に粒度調整するための焼結鉱の整粒方法において、粗破砕された焼結鉱を、請求項1に記載の破砕装置を用いて二次破砕することを特徴とする焼結鉱の整粒方法。
【請求項3】
二次破砕された焼結鉱を分級する際に、篩目寸法の異なる複数のスクリーンを有する分級装置を用いて分級することを特徴とする請求項2に記載の焼結鉱の整粒方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−247016(P2007−247016A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74274(P2006−74274)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】