説明

焼酎蒸留廃液の処理方法および処理物

【課題】焼酎蒸留廃液を容易に有用化できる処理方法および処理物を提供することを目的とする。
【解決手段】焼酎蒸留廃液に、生石灰を添加することを特徴とする焼酎蒸留廃液の処理方法であり、好ましくは、焼酎蒸留廃液100質量部に対して生石灰を30〜300質量部を添加することによって、焼酎蒸留廃液を粉末化し、かつ脱臭することができる焼酎蒸留廃液の処理方法および処理物。本発明の処理方法によって得られる処理物の主成分は水酸化カルシウム(消石灰)であるので、カルシウム化合物、特に消石灰、生石灰、または炭酸カルシウムの代替原材料として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼酎蒸留廃液の処理方法、およびその処理物に関し、詳しくは、焼酎蒸留廃液を有用化するための処理方法および有用化した焼酎蒸留廃液の処理物に関する。
【背景技術】
【0002】
焼酎の製造においては、焼酎蒸留粕や焼酎廃液等と呼ばれる焼酎蒸留廃液が発生し、一般に、この焼酎蒸留廃液量は生産量の2倍に達する。しかも、近年の焼酎ブームによって、その発生量は増加傾向にあり、有効な処理が切望されている。しかし、この焼酎蒸留廃液は、臭気が酷いうえに、含水分が高く(90%〜97%)、BODやSS等の濃度が一般の排水に比べて高く、微細な植物繊維を多量に含むために固液分離が困難な廃液である。
【0003】
この焼酎蒸留廃液を有用化する方法が従来から試みられており、例えば、焼酎蒸留廃液をそのまま又は堆肥化して肥料化する方法、或いはそのまま飼料化する方法、プラント処理によって濃縮・乾燥した上で飼料化する方法、焼却する方法、嫌気性処理法と活性汚泥法とを組み合わせて排水処理する方法等が知られている(例えば非特許文献1、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。
【0004】
しかし、焼酎蒸留廃液をそのまま飼料化または肥料化する方法は、悪臭が著しく、夏季に腐敗し易い問題があり、堆肥化して肥料にする場合も同様の問題がある。また飼料化や肥料化したものはその使用量に限界がある。一方、プラント処理による飼料化、焼却処理、嫌気性処理法と活性汚泥法とを組み合わせた排水処理などの方法は、大規模なプラントの建設や維持に費用を要し、中小の焼酎メーカーでは実施し難い。
【0005】
このため、現状では、乙類焼酎の生産が日本一の鹿児島県において、平成15年度(醸造年度:7月1日〜翌年6月30日)に発生した約33万tの焼酎蒸留廃液のうち、少なくとも10万tの焼酎蒸留廃液が海洋投入されている。今までは天然に由来する汚染されていない有機物等と見なされ、「廃棄物その他の物の海洋汚染防止に関する条約」(通称「ロンドン条約」)の例外品目として海洋投入が認められてきたが、規制強化により、近々海洋投入が極めて困難となる法的規制が予定されており、このため、従来の方法によらない焼酎蒸留廃液の処理方法が熱望されている。
【非特許文献1】鹿児島県工業技術センター報告書「焼酎蒸留粕の処理状況に関する研究開発や取り組みの現状について」、平成17年5月発表、1頁−4頁
【特許文献1】特開2005−131592号公報
【特許文献2】特開2000−157182号公報
【特許文献3】特開平11−57794号公報
【特許文献4】特開2001−310197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、焼酎蒸留廃液の処理について、従来の上記問題を解決したものであり、焼酎蒸留廃液を簡単かつ効果的に無機物化する処理方法、およびその処理物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す構成によって上記問題を解決した焼酎蒸留廃液の処理方法および焼酎蒸留廃液処理物に関する。
(1)焼酎蒸留廃液に生石灰を添加することを特徴とする焼酎蒸留廃液の処理方法。
(2)焼酎蒸留廃液100質量部に対し、生石灰を30〜300質量部添加する上記(1)に記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
(3)焼酎蒸留廃液に生石灰を添加して、該焼酎蒸留廃液を粉末化する上記(1)または上記(2)に記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
(4)焼酎蒸留廃液に生石灰を添加して、該焼酎蒸留廃液を脱臭する上記(1)〜上記(3)の何れかに記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
(5)上記(1)〜上記(4)の何れかに記載する処理方法によって生じた焼酎蒸留廃液の処理物。
【発明の効果】
【0008】
焼酎蒸留廃液は含水率が90%以上の高含水物であるが、これに生石灰を添加すると、その水和反応の発熱によって水分が蒸発し、また生石灰が消石灰に変化するときに多量の水分を吸収するので脱水が進み、生石灰の添加量に応じてスラリー状からペースト状になり、生石灰の添加量が増えると粉末状になる。また同時に脱臭されるので、非常に取り扱いやすくなる。しかも、消石灰を主体とし、重金属等を含まないので、容易に再利用することができる。
【0009】
本発明の処理方法は、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加すればよく、大規模なプラントを必要としないので、中小の焼酎メーカーでも容易に実施することができる。また、本発明の処理方法によって得られる処理物の主成分は水酸化カルシウム(消石灰)であるので、カルシウム化合物、特に消石灰、生石灰、または炭酸カルシウムの代替原材料として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施例と共に具体的に説明する。
本発明の処理方法は、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加することを特徴とする焼酎蒸留廃液の処理方法である。なお、以下の説明において、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加したものを処理物と云う。
【0011】
本発明に用いる焼酎蒸留廃液の種類は限定されない。芋焼酎蒸留廃液、麦焼酎蒸留廃液、米焼酎蒸留廃液、そば焼酎蒸留廃液、黒糖焼酎蒸留廃液、泡盛焼酎蒸留廃液などの各種原料を用いる蒸留廃液について本発明を適用することができる。
【0012】
本発明に用いる生石灰は、硬焼生石灰、軟焼生石灰などが挙げられ、酸化カルシウムを主成分とするものであれ生石灰として用いることができる。バッチ式で焼酎蒸留廃液に生石灰を添加する場合、生石灰に硬焼生石灰を用いると、水和反応が比較的緩やかに起こり、処理物の急激な温度上昇が起こり難いので、一バッチ当たりの処理量を多くすることができる。一方、生石灰に中焼生石灰または軟焼生石灰を用いると、水和反応が比較的速やかに起こり、処理時間を短くすることができるので好ましい。
【0013】
処理装置の種類・大きさ・数並びに処理速度(単位時間当たりの処理量)に応じて、生石灰の焼成度、粒度および生石灰の添加量などを適宜選択すれば良い。また、生石灰の焼成度、粒度および生石灰の添加量などに応じて、処理装置の種類・大きさ・数並びに処理速度を適宜選択しても良い。
【0014】
生石灰の添加量は、焼酎蒸留廃液100質量部に対し、生石灰30〜300質量部が好ましい。30質量部未満では焼酎蒸留廃液の水分量が多いために、得られるスラリー濃度が薄く、水分を除去するには更に乾燥工程や設備が必要となる。一方、生石灰添加量が300質量部を超えると、生石灰の一部が水和反応せずに残り、保管時に保管状況によっては周りから供給される水分によって発熱し、保管容器が熱によって破損する虞がある。
【0015】
生石灰の添加量は、好ましくは、焼酎蒸留廃液100質量部に対し、生石灰50〜200質量部である。生石灰を50質量部以上加えることによって、処理物を粉末化することができるので、処理物の取り扱いが容易となる。また、生石灰の添加量が200質量部以下であれば、未反応の生石灰が少ないか又は無いので、保管時に保管状況によっては周りから供給される水分によって発熱し保管容器が熱によって破損する虞が少ないか又は全くない。より好ましい生石灰の添加量は、焼酎蒸留廃液100質量部に対し、生石灰50〜150質量部である。生石灰の添加量が150質量部以下であれば、処理物が適度な付着水分を有するので処理時,輸送時,使用時等において粉塵が発生し難いと伴に、処理設備をより小さくでき、処理物や原材料の保管スペースをより少なくすることができる。
【0016】
本発明の処理方法を実施する装置は、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加できるものであれば良く、形式、大きさなどは限定されない。例えば、連続的に焼酎蒸留廃液に生石灰を所定量添加できる装置を用いても良いし、バッチ式で焼酎蒸留廃液に生石灰を所定量添加できる装置を用いても良い。連続的に焼酎蒸留廃液に生石灰を所定量添加できる装置としては、例えば、連続式コンクリートミキサ、生石灰用ベルトコンベアに所定量の焼酎蒸留廃液を噴霧添加するための噴霧装置を備えた装置、生石灰用輸送管に所定量の焼酎蒸留廃液を噴霧添加するための噴霧装置を備えた装置などが挙げられる。また、バッチ式で焼酎蒸留廃液に生石灰を所定量添加できる装置としては、パン型コンクリートミキサ、パグミル型コンクリートミキサ、重力式コンクリートミキサ、ヘンシェル式ミキサ、リボンミキサ、噴射式ミキサ、トラックアジテータなどが挙げられる。
【0017】
なお、上記実施装置においては、生石灰と焼酎蒸留廃液とが均一に混合されるように、コンクリートミキサなどの混合手段を有する装置が好ましい。また、本発明の実施装置は、ミキサ、計量器、焼酎蒸留廃液供給用ポンプ、生石灰用ホッパ、および制御盤などをトラック等の車体に載せた移動式の装置としても良い。
【0018】
本発明の処理方法によれば、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加することによって、焼酎蒸留廃液に95質量%程度含まれる水分と生石灰が発熱しながら水和反応し、水酸化カルシウム(消石灰)を生じる。このときの発熱によって焼酎蒸留廃液中の水分が蒸発し、また消石灰に水分が取り込まれるので更らに水分が減少する。処理物の状態は生石灰の添加量に応じてスラリー状からペースト状になり、生石灰の添加量が増えると粉末状になる。
【0019】
本発明の処理物は、焼酎蒸留廃液に生石灰を添加したものであり、消石灰を主体とした強アルカリ性の物質であるので、腐敗し難く、長期保存し易い。また、この処理物は脱臭されており、原料である焼酎蒸留廃液の臭気が大幅に除去されているので取り扱い易い。特に、該処理物を粉末状にすることによって取扱性がさらに向上し、また臭気も消石灰と同程度になるので消石灰と同様に取り扱うことができ、より好ましい。
【0020】
さらに、本発明の処理物は、主成分が水酸化カルシウムであるので、カルシウム化合物、特に消石灰、生石灰または炭酸カルシウム(石灰石)の代替原材料として用いることができる。因みに、水酸化カルシウムが酸化カルシウムになる温度は約450℃であり、炭酸カルシウムが酸化カルシウムになる温度約900℃に比べてかなり低いので、本発明の処理物を炭酸カルシウムの代替原材料として用いると、燃料費が少なく、かつ発生するCO2量も少なくできるので好ましい。
【0021】
従来の焼酎蒸留廃液の処理方法は、主にこれを飼料や肥料などの有機資源材料として利用する方法であり、あるいは焼却処分する方法である。飼料や肥料として利用するには、栄養成分や肥料成分を保持するための処理方法に限られ、悪臭を充分に除去できないなどの問題があるが、本発明の処理方法は焼酎蒸留廃液を無機材料化する方法であり、従って、本発明によって得られる処理物は、消石灰を主体とするので、例えば、セメント、膨張材や急結剤等のセメント・コンクリート用混和材料、静的破砕剤、固化材、肥料、飼料、脱硫剤等の原材料として用いることができる。
【実施例】
【0022】
〔実施例1〕
直径約15cmの蒸発皿に焼酎蒸留廃液を50ml入れ、攪拌しながら生石灰を所定量添加し、更に3分間スパチュラで混合した。焼酎蒸留廃液は芋焼酎製造時に発生したもの(水分97質量%、褐色濁液、独特な臭気あり)を用い、生石灰は、軟焼生石灰(粒度:ブレーン比表面積4000cm2/g)を用いた。焼酎蒸留廃液に対する生石灰の添加量を変えて試験を行った。生石灰の添加量に応じた処理物の最高温度、処理時の粉塵の発生状況、処理物の性状を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
何れの試験水準も、生石灰投入開始から数秒で水蒸気が発生した。投入開始から1〜2分間は激しく水蒸気が発生し、以後は数分にわたり水蒸気が発生し続けたことを目視により確認した。
【0025】
さらに、各試験水準の処理物について、付着水分量と構成鉱物を調べた。この分析結果を表2に示す。付着水分は、混練終了直後の処理物を105℃の恒温槽内に24時間入れ、その前後の質量変化を混練終了直後の処理物の質量で除し、パーセント表示で表したものである。また、構成鉱物は、付着水分を105℃の恒温槽内で除去したものを粉末X線回折装置によって分析した。強熱減量(ig.loss)は、1000℃における値である。また、他の化学成分は、強熱減量を測定した後の処理物を蛍光X線分析により求めた値である。
【0026】
表2に示すように、試験水準No.1〜No.6の何れの処理物も、水酸化カルシウムのピークのみ確認できた。化学成分の測定結果を併せて考慮すると、試験水準No.1〜No.6の処理物の主成分は水酸化カルシウムであることが確認された。試験水準No.7〜No.9の処理物について同様に構成鉱物を分析すると、水酸化カルシウムのピークの他に、酸化カルシウムのピークも確認でき、未反応の生石灰が処理物中に残っていることが確認された。
【0027】
表2の結果から、生石灰の添加量は焼酎蒸留廃液100質量部に対して30〜300質量部が適当であり、50〜200質量部が好ましいことが分かる。生石灰を30〜150質量部添加した処理物は生石灰の全量が消石灰に変化し、30質量部添加したものは24時間後に粉末状になり、50質量部添加したものは混練直後に粉末状の処理物が得られ、処理時の粉塵の発生も少ない。一方、生石灰を200質量部以上添加すると、未反応の生石灰が残り、処理時の粉塵が激しく、300質量部を超えると、処理物の最高温度がかなり高くなる。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例1の処理物の脱臭効果を調べた。試験方法は、試験水準No.1、No.4、No.5、No.7の処理物について、10人のモニター(A〜J)による官能(臭気)試験を行なった。評価基準は焼酎蒸留廃液の臭気を10とし、消石灰(特級品)の臭気を0とする10段階評価で判定した。試験結果を表3に示す。表3に示すとおり、本発明の処理物は何れも悪臭が大幅に低減されており、試験水準No.7は消石灰に近い臭気まで脱臭されている。
【0030】
【表3】

【0031】
[実施例2]
100リットルのパン型モルタル用ミキサに焼酎蒸留廃液を入れ、攪拌しながら生石灰を所定量添加し、更に15分間混合した。処理物の温度が50℃程度に下がったところで、当該処理物をフレキシブルコンテナに移し保管した。焼酎蒸留廃液は芋焼酎製造時に発生したもの(水分97質量%,褐色濁液,独特な臭気あり)を用い、生石灰は軟焼生石灰(粒度:目開き3mmの篩通過品)を用いた。焼酎蒸留廃液に対する生石灰の添加量を変えて試験を行った。生石灰の添加量に応じた処理時の粉塵の発生状況、処理物の性状を表4に示す。
【0032】
No.10〜No.13の何れの試験水準も、生石灰投入開始から数秒で水蒸気が発生した。投入開始から1〜2分間は激しく水蒸気が発生し、以後は10数分にわたり水蒸気が発生し続けた。処理時における処理物の最高温度は、何れの水準も103℃程度であった。
【0033】
さらに、各試験水準の処理物について、付着水分量と構成鉱物を調べた。この分析結果を表4に示す。付着水分は、混練終了直後の処理物を105℃の恒温槽内に24時間入れ、その前後の質量変化を混練終了直後の処理物の質量で除し、パーセント表示で表したものである。また、構成鉱物は、付着水分を105℃の恒温槽内で除去したものを粉末X線回折装置によって分析した。
【0034】
表4に示すように、試験水準No.10〜No.13の何れの処理物も、水酸化カルシウムのピークのみ確認できた。各試験水準の処理物の1000℃に加熱後における化学成分の測定の結果、強熱減量ベースのCaO含有率が何れも96.6質量%〜96.8質量%であったことを併せて考慮すると、この処理物の主成分は水酸化カルシウムであることが確認された。また、処理前の焼酎蒸留廃液に比べて、処理物の臭気はかなり抑えられて取り扱い易くなっており、2週間フレキシブルコンテナで保管した後の処理物の臭気は、市販の消石灰の臭気と略同程度であった。
【0035】
【表4】

【0036】
[実施例3]
試験水準No.13の処理物を用い、表5の配合で混合粉砕した粉砕物を1450℃の電気炉で60分加熱後急冷し、その焼結物に二水石膏を添加し、ボールミルでブレーン比表面積3300cm2/gに粉砕することによって普通ポルトランドセメントを作製した。処理物以外には、珪石,バン土頁岩,酸化鉄,二水石膏を用いた。
【0037】
作製したセメント100質量部に対し、珪砂300質量部および水12.5質量部をホバート社製ミキサ(型式:N−50)に入れて4分間混合し、規格(JIS R 5201 「セメントの物理試験方法」)に準じてモルタルを作製した。このモルタルの材齢3日,7日,28日の圧縮強さを測定した。その結果、圧縮強さは、それぞれ27.8N/mm2,43.5N/mm2,59.4N/mm2であり、通常のセメントを用いた場合と同程度であった。
【0038】
【表5】

【0039】
[実施例4]
試験水準No.13の処理物を用い、表6の配合で混合粉砕した粉砕物を1450℃の電気炉で60分加熱後急冷し、ボールミルでブレーン比表面積2300cm2/gに粉砕することによってセメント混和材料を作製した。処理物以外には珪石,バン土頁岩,酸化鉄,無水石膏を用いた。
【0040】
作製したセメント混和材料7質量部、普通ポルトランドセメント93質量部、およびISO標準砂300質量部をビニール袋により乾式で混合し、セメント組成物を作製した。このセメント組成物100質量部に対し水12.5質量部を添加し、混練し、モルタルを作製した。作製したモルタルを規格(JIS A 6202「コンクリート用膨張材」附属書2)に従って、材齢7日の膨張率を測定した。その結果、作製したモルタルの膨張率が0.108%であったので、作製したセメント混和材料は、コンクリート用膨張材として好適であることが確認された。
【0041】
【表6】

【0042】
[実施例5]
試験水準No.13の処理物を用い、表7の配合で混合粉砕した粉砕物を焼点温度1450℃のロータリーキルンで焼成し冷却した後、焼結塊をボールミルでブレーン比表面積2300cm2/gに粉砕することによってセメント混和材料を作製した。処理物以外には生石灰,珪石,バン土頁岩,酸化鉄,無水石膏を用いた。
【0043】
作製したセメント混和材料7質量部、普通ポルトランドセメント93質量部、およびISO標準砂300質量部をビニール袋により乾式で混合し、セメント組成物を作製した。このセメント組成物100質量部に対し水12.5質量部を添加し、混練し、モルタルを作製した。作製したモルタルを規格(JIS A 6202「コンクリート用膨張材」附属書2)に従って、材齢7日の膨張率を測定した。その結果、作製したモルタルの膨張率が0.125%であったので、作製したセメント混和材料は、コンクリート用膨張材として好適であることが確認された。
【0044】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の処理方法によれば、焼酎蒸留廃液を無機材料化することによって、廃棄物として処分されてきた焼酎蒸留廃液を従来より容易に処理することができる。また、本発明の処理方法によって製造された処理物は、消石灰を主体とするので、セメント,膨張材や急結剤等のセメント・コンクリート用混和材料、静的破砕剤、固化材、肥料、飼料、脱硫剤等の原材料として好適に用いることができ、広範な分野に用いることができるので、従来よりも多量の焼酎蒸留廃液を有用化することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎蒸留廃液に生石灰を添加することを特徴とする焼酎蒸留廃液の処理方法。
【請求項2】
焼酎蒸留廃液100質量部に対し、生石灰を30〜300質量部添加する請求項1に記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
【請求項3】
焼酎蒸留廃液に生石灰を添加して、該焼酎蒸留廃液を粉末化する請求項1または請求項2に記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
【請求項4】
焼酎蒸留廃液に生石灰を添加して、該焼酎蒸留廃液を脱臭する請求項1〜請求項3の何れかに記載する焼酎蒸留廃液の処理方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載する処理方法によって生じた焼酎蒸留廃液の処理物。

【公開番号】特開2008−86883(P2008−86883A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269301(P2006−269301)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】