説明

照明光学系および画像表示装置

【課題】 簡易に製作でき、スペックルノイズや空間光強度分布を改善して画像表示に適した照明光を出射できる照明光学系、および投写型映像表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 レーザアレイ光源2から入射した光をアレイ面内において平行光として出射するアレイ方向コリメート光学素子であるコリメートレンズ4と、レーザアレイ光源から入射した光をアレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向コリメート光学素子5と、入射した光を光軸Cに垂直な平面内においてマトリクス状に複数の光束に分割し、該分割した複数の光束をライトバルブ7の被照射面上で重なり合うよう照射するインテグレータ光学素子6と、を備え、アレイ方向コリメート光学素子4は、複数の発光点3から出射される発散性の光が重なりあって入射するようにレーザアレイ光源2から所定の間隔Lxをあけて配置されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザアレイ光源を用いた照明光学系および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学式画像表示装置の光源として、レーザを利用した例が多数報告されている。一般に、レーザから射出された光は、高い指向性を有するため光利用効率の向上が見込まれ、また、その単色性は画像表示装置において必要とされる広い色再現領域を実現することが可能なため、照明用光源として有用であると考えられている。
【0003】
しかしながら、レーザ光は高いコヒーレンスをもつため、被照射面においてスペックルノイズと呼ばれる光の干渉に起因する斑点模様が生じることが問題となる。これは、照明光学系内の素子、ライトバルブ、投写光学系の素子、あるいはスクリーン上に存在する微小な凹凸により、素子面内の異なる点を経由した各光束の位相が凹凸量に応じてずれ、互いに可干渉であるそれらの光束が被照射面上に干渉縞を形成することに起因する。これらの素子の面精度は有限であるので、コヒーレンスの高い光源を用いた場合には必ずスペックルノイズの影響が問題となる。
【0004】
このようなスペックルノイズに関しては、レーザエミッタからなる複数の発光点をアレイ状に配列し、各発光点からの光束を異なる光学距離を経由して重ねることで、スペックルノイズを低減する照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方で、レーザから射出される光の空間光強度分布はガウシアン形状、あるいは略ガウシアン形状を有するため光束中心の光強度が最も高く、中心から離れるにつれ光強度は指数関数的に低下する。各発光点から出射される光は、同様の空間強度分布を有するので、位相のずれた光束を重ねるだけでは改善しない。そのため、上述したような照明装置からの光を照明光に用いると、画像表示面中心位置における光強度に対して画像表示面端位置における光強度が非常に低くなり、画像表示面上の照度分布が均一であることを求められる画像表示装置においては好ましくない。
【0006】
そこで、レーザアレイ光源の各発光点にそれぞれ対応するマイクロレンズを有するフライアイレンズをレーザアレイ光源に近接配置し、フライアイレンズの各マイクロレンズから出射され、各発光点からの平行な光束を分割・重ね合わせることにより、空間光強度分布を矩形状に変換するフライアイインレグレータ光学系を有する照明装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−206004号公報(段落0014〜0016、図2)
【特許文献2】特開2003−131165号公報(段落0036、0041、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般的にアレイ状の半導体レーザ光源では、各発光点の間隔は数百μm程度と非常に小さく、各発光点に対応するマイクロレンズを有する微細なフライアイレンズを低コストかつ精度良く作製することは困難である。また、特許文献1の照明装置においても、各発光点からの光束をそれぞれ光学距離の異なる透明板を通すため、レーザアレイ光源の出射端に各発光点に対応するコリメートレンズセルを設ける必要があり、低コストかつ精度良く作製することは困難であった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、簡易に製作でき、スペックルノイズや空間光強度分布を改善して画像表示に適した照明光を出射できる照明光学系、および投写型映像表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる照明光学系は、複数の発光点がアレイ状に配列されるレーザアレイ光源と、前記レーザアレイ光源の光軸とアレイ方向とで定義される面をアレイ面とすると、前記レーザアレイ光源から入射した光を前記アレイ面内において平行光として出射するアレイ方向コリメート光学素子と、前記アレイ面に垂直な方向をアレイ垂直方向とし、前記アレイ垂直方向とで定義される面をアレイ垂直面とすると、前記レーザアレイ光源から入射した光を前記アレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向コリメート光学素子と、前記アレイ方向コリメート光学素子および前記アレイ垂直方向コリメート光学素子を経て入射した光を前記光軸に垂直な平面内においてマトリクス状に複数の光束に分割し、該分割した複数の光束を被照射面上で重なり合うよう照射するインテグレータ光学素子と、を備え、前記アレイ方向コリメート光学素子は、前記複数の発光点から出射される発散性の光が重なりあって入射するように前記レーザアレイ光源から所定の間隔をあけて配置されるものである。
【0011】
また、本発明にかかる画像表示装置は、上述した照明光学系と、前記照明光学系から入射した照明光を制御して画像を形成する光変調素子と、前記光変調素子からの画像光を拡大投写する投写光学系と、前記拡大投写された画像光を表示する画像表示部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によればアレイ方向コリメート光学素子を、レーザアレイ光源から所定の間隔をあけて配置するよう構成したので、発光点から出射される光の発散性を利用し、アレイ方向コリメート光学素子に各発光点からの光が重なりあって入射するとともにレーザアレイ光源全体のビーム径よりも広いビーム径の光束として出射できるので、インテグレータ光学系を簡易に製作でき、スペックルノイズや空間光強度分布を改善して画像表示に適した照明光を出射できる照明光学系、および投写型映像表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態.1
図1に本実施の形態1における照明光学系1の全体構成を、図2に照明光学系1のうちレーザアレイ光源である1次元アレイ半導体レーザ2部分の構成を概念的に示す。以後、図1内に示したx軸方向をアレイ方向とし、z方向を光軸C方向とし、xyz軸に基づき、アレイ方向の軸と光軸Cからなる面をxz平面(アレイ面)、アレイ面に垂直な軸(y軸)と光軸Cからなる面をyz平面(アレイ垂直面)と呼ぶ。
【0014】
図において、照明光学系1は、発散性を有する光を射出するレーザエミッタである複数の発光点3がアレイ状に配列されたレーザアレイ光源である1次元アレイ半導体レーザ2と、1次元アレイ半導体レーザ2の光軸Cとアレイ方向とで定義される面をアレイ面(図中xz平面)とすると、1次元アレイ半導体レーザ2から入射した光をアレイ面内において平行光として出射するアレイ方向コリメート光学素子であるコリメートレンズ4と、アレイ面に垂直な方向(y方向)をアレイ垂直方向とし、アレイ垂直方向と光軸Cとで定義される面をアレイ垂直面とすると、1次元アレイ半導体レーザ2から入射した光をアレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向コリメート光学素子5と、コリメートレンズ4およびアレイ垂直方向コリメート光学素子5を経て入射した光を光軸Cに垂直な平面内(xy平面)において縦横(xy平面内におけるアレイ方向に垂直な方向(以下アレイ垂直方向と称する。)とアレイ方向)のマトリクス状に複数光束に分割し、該分割した複数の光束をライトバルブ7の被照射面上で重なり合うよう照射するインテグレータ光学素子6と、を備えており、コリメートレンズ4は、複数の発光点3から出射される発散性の光が重なりあって入射するとともにアレイ方向において1次元アレイ半導体レーザ2の光源全体として、つまり出射端2aにおける各発光点3からのビームを合わせたビーム径Bよりも広いビーム径の光束として出射するよう1次元アレイ半導体レーザ2から所定の間隔Lxをあけて配置されている。
【0015】
さらに、アレイ垂直方向コリメート光学素子5は、アレイ垂直面内において発散方向の光束を平行光に変換するアレイ垂直方向コリメートレンズ5bと、1次元アレイ半導体レーザ2から入射した光をアレイ垂直方向で分割し、該分割した各光束をアレイ垂直方向コリメートレンズ5bに重畳するように照射するアレイ垂直方向ビーム整形光学素子5aと、を備えている。
【0016】
上記照明光学系1から射出された光は、照明された光を空間的に変調し画像信号を与える変調素子としての液晶パネルやDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)等のライトバルブ7を照明する。このライトバルブ7から射出された光を画像表示部に拡大投影する投写光学系(図示せず)と、投写光学系からの光が投写されるスクリーンなどの画像表示部(図示せず)とを更に備えることで画像投写装置などの画像表示装置(図示せず)を構成する。以下に、詳細を示す。
【0017】
レーザアレイ光源である1次元アレイ半導体レーザ2は、複数(20個(図2では簡略化して10個のみ表示))の発光点3が200μmの間隔dで一直線上に配置され、各発光点3から射出されるコヒーレント光は発散性を有し、yz面における発散角の半値半角αは30度、xz面における発散角の半値半角βは10度である。各発光点3のビーム径はアレイ垂直方向で0.01mm(図2におけるa)、アレイ方向で0.04mm(同b)であり、レーザアレイ光源2全体としての出射端2aでのビーム径Bは3.84mm(約4mm)となる。また、1次元アレイ半導体レーザ2内の各発光点3から射出されるレーザ光は個別に見れば非常にコヒーレンスが高い光であるが、1次元アレイ半導体レーザ2内の複数の発光点3は各々独立しており、各発光点3から射出されるレーザ光は異なる共振器から生成されるため位相が揃っておらず、互いにインコヒーレントな関係にある。
【0018】
アレイ方向コリメート光学素子であるコリメートレンズ4は、1次元アレイ半導体レーザ2からの光束をアレイ方向でコリメートするコリメートレンズである。サイズはアレイ方向50mm×アレイ垂直方向40mmで、1次元アレイ半導体レーザ2の出射端2aから光軸C方向に100mmの光学距離Lxの間隔をあけて配置されている。これにより、アレイ方向でのコリメートレンズ4に入射する各発光点3からの半値半角βで定義したビーム径は、レーザビームの発散性により、1次元アレイ半導体レーザ2の出射端2aでのビーム径b(0.04mm)の約900倍である36mmとなる。このビーム径は、発光点3の一端から他端までの距離よりも大きく、各発光点3からは同じ方向で光が出射されるので、コリメートレンズ4の入射面内において、ほぼ全ての発光点3からのビームが重なることになる。また、1次元アレイ半導体レーザ2の出射端2a全体、つまりレーザアレイ光源全体としてのビーム径B(約4mm)に対し、コリメートレンズ4に入射する光の径は10倍の40mm(36mm+4mm)となる。なお、コリメートレンズ4のアレイ方向の幅は50mmあり、実際には、各発光点3から半値半角βよりも外側の光線(光軸から約13度までの範囲)も利用している。そして、コリメートレンズ4からは各発光点3からの光が重畳され、アレイ方向において幅50mmの平行光が出射される。
【0019】
アレイ垂直方向コリメート光学素子5は、各発光点3から射出されるレーザ光をアレイ垂直方向において光軸Cに対して平行光とするとともに、アレイ垂直方向における光強度分布を均一化するものである。図3に示すようにアレイ垂直方向ビーム整形光学素子である3個の平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acが並列される1次元多段レンズ5aと、アレイ垂直方向コリメートレンズである平凸シリンドリカルレンズ5bからなる。図において、1次元多段レンズ5aは、出射端2aから20mmの光学距離Lyの間隔をおいた位置に3個の平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acがアレイ垂直面内においてアレイ垂直方向に曲率をもつように、具体的には発光点3を中心とする円弧を描くように並列配置されている。アレイ垂直方向におけるビーム(アレイ垂直方向の説明においては、各発光点3からの光束は重なって一つのものとみなせるので、説明を容易にするため、1個の発光点3からのビームとして説明する。)の幅は、ビームの拡散性により、半値半角αの範囲において23mmまで拡大された状態で入射する。本実施の形態1では、平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acの入射面の開口高さ(アレイ垂直方向)は9mmあり、拡大されたビームは半値半角αよりも外側の領域を含めてアレイ垂直方向で3分割される。そして、3分割された各光束は、アレイ方向50mm×アレイ垂直方向40mmの平凸シリンドリカルレンズ5bの入射面で重畳するよう、それぞれさらに拡大され、平凸シリンドリカルレンズ5bによって光軸Cに平行で幅(アレイ垂直方向)が約40mmの光束となってフライアイインテグレータ6に向けて出射される。
【0020】
インテグレータ光学系6は、50mm(アレイ方向)×40mm(アレイ垂直方向)の基板上に1.0mmの配列周期でレンズセルをマトリクス状(アレイ方向50個、アレイ垂直方向40個)に並べたフライアイレンズ対(6a、6b)と光軸Cに対して回転対称な球面レンズ6cとからなるフライアイインテグレータ6で構成した。
【0021】
つぎに、動作について説明する。
アレイ方向において、1次元アレイ半導体レーザ2の20個の発光点3から出射された光は、それぞれ光軸Cに平行な方向に直進する。そして、光学距離Lx(100mm)を進む間にその発散性によってビーム径が広がり、コリメートレンズ4の入射面の全面において、光軸Cを中心とする有効角13度の範囲の光が重なった状態で入射する。この段階において、20個の発光点3からのビームが重畳されることになり、スペックルノイズは1/4以下(詳細は後述する)に低下する。また、発光点3から出射されるビームは、中心部での光の強度が強く、周縁部にいくほど光の強度は弱くなる。しかし、本実施の形態では、各発光点3からのビームがそれぞれの配置位置にしたがって、少しずつ(配置間隔dに従って0.2mmずつ)ビームの中心位置をずらしながら重なることになり、空間光強度分布も改善される。つまり、アレイ状に配列された各発光点3からの光を出射端2aから光学距離Lxをあけた位置でコリメートすることにより、インコヒーレントな光の重畳によるスペックルノイズ低減効果に加え、光強度の強いビームの中心位置をずらして重畳することによりアレイ方向での空間光強度分布の改善効果も得ることができる。
【0022】
また、レーザ光が発散する性質を利用することにより、レンズ等の光学部材を用いることなく各発光点3からのビームを拡大させ、重畳させるようにしているので、各発光点3からのビームは等しい拡がり方をする。したがって、発光点3ごとにビームの傾きや広がり方が変化することがないので、容易にコリメートが可能となる。さらに、レンズ等の光学部材を用いることなく各発光点3からのビームを拡大させているので、出力の高いレーザを用いても発熱によるダメージを抑制することができる。
【0023】
一方、アレイ垂直方向においても、1次元アレイ半導体レーザ2の各発光点3から出射されたそれぞれの光は、それぞれ光軸Cに平行な方向に直進する。そして、光学距離Ly(20mm)を進む間にその発散性によってビーム径が広がり、1次元多段レンズ5aの平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acによって、アレイ垂直方向で幅9mm毎に3つの光束に分割され、後段の平凸シリンドリカルレンズ5bの入射面(50mm×40mm)内で重畳され、光軸Cに平行で幅(アレイ垂直方向)が約40mmの光束となってフライアイインテグレータ6に向けて出射される。
【0024】
このとき、発光点3から出射されるビームはアレイ垂直方向の場合でも、中心部での光の強度が強く、周縁部にいくほど光の強度は弱くなる。しかし、本実施の形態では、ひとつの発光点(とみなして説明)から広がった光束をアレイ垂直方向で複数の光束に分割し、分割した光束を重畳させることで空間光強度分布が均一化される。つまり、アレイ垂直方向コリメート光学素子5は、単にレーザアレイ光源から入射した光をアレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向でのコリメート機能だけではなく、アレイ垂直方向での空間光強度分布の均一化、つまり、ビーム整形機能をも有する。とくに、各平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acの開口がそれぞれ発光点3の中心を向くように、発光点3を中心とする円弧を描くように並列配置したので、発散性のあるビームの方向、発散角度を正確に変換でき、平凸シリンドリカルレンズ5bにて容易にコリメートできる。
【0025】
さらに、本実施の形態1では、アレイ垂直方向の半値半角αがアレイ方向の半値半角βよりも大きいことを利用し、コリメートレンズ4と出射端2a間の光学距離Lxの1/5の光学距離Lyに1次元多段レンズ5aを配置しても、アレイ垂直面内でのビーム径を十分に広げることができる。そのため、各平凹シリンドリカルレンズ5aa、5ab、5acを10mmピッチと容易に製作できる大きさに設定することができる。そして、コリメートレンズ4とアレイ垂直方向コリメート光学素子5とを空間的に尤度を持って設置することができ、しかも、アレイ垂直方向でビームを適切な配分で分割するための位置決めも容易に行うことができる。
【0026】
このようにして、1次元アレイ半導体レーザ2の各発光点3から出射された光はアレイ垂直方向コリメート光学素子5により、アレイ垂直方向において幅40mmに拡大され、光軸Cに平行で空間光強度分布がほぼ均一化された、つまり整形されたビームとしてインテグレータ光学系であるフライアイインテグレータ6に入射する。
【0027】
なお、上述したコリメートレンズ4から出射されるx方向でのビーム径は、半値半角βと光学距離Lxから式1に従って計算した値であり、この式で定義したビームの場合、ビーム径の縁部分でも中心部の光強度の1/2の光強度があり、ビーム径よりも外側の部分であっても照明光として利用可能である。
ビーム径=2×Lx×Tan(β)+b・・・(1)
【0028】
そこで、本実施の形態においては、発光点3からアレイ方向で光軸Cを中心とする13度、アレイ垂直方向で光軸Cを中心とする34度の範囲の光束を照明光として利用し、アレイ方向50mm、アレイ垂直方向40mmの平行光とした。
【0029】
なお、アレイ垂直方向の半値半角αが小さく、アレイ垂直方向においてほぼ平行光でビームが出射される場合でも、1次元多段レンズ5aの前段にビームを広げるための光学レンズ系を設置することで上述したようにアレイ垂直方向コリメート光学素子5を配置することが可能となる。また、ビームを広げるための光学レンズ系を設置しない場合でも、図4に示すように微細な平凹シリンドリカルレンズを有する1次元多段レンズ15aをアレイ垂直方向でビームを適切な配分で分割するために精密に位置決めできれば、平凸シリンドリカルレンズ15bと組み合わせることによって、アレイ垂直方向コリメート光学素子15を形成することができる。
【0030】
アレイ方向コリメート光学素子4およびアレイ垂直方向コリメート光学素子5を経た光は、図1に示すようにアレイ方向50mm、アレイ垂直方向40mmの平行な光束となって、インテグレータ光学系であるフライアイインテグレータ6に入射する。入射した光は、アレイ方向50×アレイ垂直方向40個とxy平面内にマトリクス状に配置されたフライアイレンズ6aの各マイクロレンズによって2次元方向に計2000の光束に分割される。分割された各光束は、それぞれ対応するフライアイレンズ6bのレンズセルに入射し、フライアイレンズ6bの各レンズセルに入射した光束は球面レンズ6cを経由することで、ライトバルブ7の被照射面の全面で重畳される。つまり、フライアイインテグレータ6は、入射した平行光を空間的に分割し、分割した光束を重ね合わせることにより、空間光強度分布を矩形状になるまで均一に変換してライトバルブ7に照射する。
【0031】
つまり、インテグレータ光学系は、光軸Cに対して平行となった光束を、光軸Cに垂直な平面内において2次元的に(空間的に)分割し、分割した光束を重ね合わせることにより、アレイ方向およびアレイ垂直方向、つまり光軸Cに垂直な断面内における空間光強度分布を矩形状に変換してライトバルブ7に照射する。
【0032】
ここで、レーザ光とスペックルノイズについて説明する。1次元アレイ半導体レーザ2から射出されるレーザ光は、波長幅が狭帯域であるため単色性に優れ、また高い指向性を有するため、画像表示装置への適用は大変好ましい。しかし一方で、単一の発光点から射出される光は非常にコヒーレンスが高く、画像表示装置への利用においてはスペックルの問題が懸念される。
【0033】
光が照射される被照射面の空間位置rにおいて、式(2)、(3)で示すように位置rの関数で表される位相差Δφa(r)の関係をもつ2つの光束、A、Aがコヒーレントな関係にあるとき、被照射面におけるそれら2つの光束が合成された光の強度Ico(r)は、被照射面の空間座標に関する式として式(4)のように表される。一方、この2つの光束がインコヒーレントな関係にあるとしたとき、合成された光の被照射面における光の強度Iincoは以下の式(5)で表される。
(r,t)=u・exp(iφa(r,t)) ・・・(2)
(r,t)=u・exp[i(φa(r,t)+Δφa(r))] ・・・(3)
co(r)∝|A+A=2u+2ucosΔφa(r) ・・・(4)
inco(r)∝|A+|A=2u ・・・(5)
【0034】
これらの式(4)、(5)をグラフで示したものを図5に示す。図5より明らかなように、インコヒーレントな関係にある2つの光束が重ね合わされた場合の光の強度Iincoは空間位置によらず、すなわち素子の凹凸により生じる位相ずれの量によらず一定であるのに対し、コヒーレントな関係にある2つの光束が重畳された場合の光の強度Icoは異なる空間位置においては位相ずれ量の違いにより明暗が現れる。この光源のコヒーレンスに起因して生じる明暗の縞をスペックルという。
【0035】
本発明においては、アレイレーザ光源である1次元アレイ半導体レーザ2内の各発光点3から射出されるレーザ光が、独立した共振器から生成されるため、互いにインコヒーレントな関係にあることを利用し、これら複数のレーザ光を空間的に重ね合わせることによりスペックルコントラストを下げ、スペックルノイズの影響を抑制している。これは、互いにインコヒーレントな複数の光を重ね合わせた場合、その全体の光強度は各光の光強度の単純な積算となるため、単一の光においてはそのコヒーレンスのためにスペックルに起因する不均一な空間光強度分布を有していても、互いにインコヒーレントでランダムな空間光強度分布を有する複数の光を空間的重ね合わせると全体の空間光強度分布は平均化され均一な分布となることによる。統計学において明らかなように、ランダムな分布の平均値の標準偏差はサンプル数の平方根に反比例するから、インコヒーレントな関係にあるn個の発光点から射出されるコヒーレント光を重ね合わせた場合のスペックルコントラストは、式(6)に示すように1個の発光点から射出されるコヒーレント光により生じるスペックルコントラストに対し、重ね合わせる光源数の平方根の逆数に比例し、重ね合わされるコヒーレント光の数が多くなるほどスペックルコントラストは小さくなる。
スペックルコントラスト=1/(n)1/2 ・・・(6)
【0036】
本発明においては上記のようなランダム分布の重ね合わせによる空間光強度分布均一化の効果を得るため、アレイ面内において発散角を有する1次元アレイ半導体レーザ2に対し、所定の光学距離Lxをあけて設置したコリメートレンズ4を設けることにより、各発光点3からのビームが自然に拡大し、互いにインコヒーレントな関係にある複数の光が重ね合わせられるようにした。本実施の形態1では、1次元アレイ半導体レーザ2の20個の発光点3からのビームが重なることによって、スペックルコントラストは式(6)によれば、1/4以下に低減する。
【0037】
さらに、このようにして重畳された光が、フライアイインテグレータ6により複数の光束に分割された後、光束ごとにライトバルブ7の被照射面を照明することになる。図1に示すようにフライアイレンズ6aによって分割された各光束は、それぞれ異なる光学距離を経由してライトバルブ7上に照射されることになる。つまり、出射端2aを単一の発光点とみなした場合でも、発光点から射出されるレーザ光のビーム径が拡大されることによって、フライアイインテグレータ6内のレンズセルを最大限利用できるようになる。異なるレンズセルを透過した光束はライトバルブ7の被照射部まで各々異なる光学距離を伝播し可干渉距離以上の光路差がつくことになるので、該光はコヒーレンスの低い光となる。とくに、所定の光学距離Lxをあけて設置したコリメートレンズ4を設けることにより、フライアイインテグレータ6の光軸Cに垂直な面の大きさが、1次元アレイ半導体レーザ2の出射端2a全体のサイズと比べて10倍まで拡大されており、レンズセルごとの光路差はより大きくなる。
【0038】
そのため、フライアイインテグレータ6に入射する光が単一の位相であったとしても、フライアイインテグレータ6によってライトバルブ7に重畳される各レンズセルからの光束は、それぞれ異なる位相でライトバルブ7に照射されることになる。つまり、ライトバルブ7の被照射面上においては複数の互いにインコヒーレントな2000の光が重なり合った状態となり、スペックルコントラストは式(6)によれば、さらに1/40以下に低減される。したがって、本発明における実施の形態1のように、各発光点3から射出される光の径を拡大した後、フライアイインテグレータ6に入射する構成は、スペックル低減に有効である。
【0039】
上記のように、スペックルの低減には光束を重畳することが有効であり、本実施の形態1では、コリメートレンズ4を1次元アレイ半導体レーザ2から離して設置することにより、インテグレータ光学素子に入射する前に全ての発光点3からの光が重畳するように構成している。ただし、インテグレータ光学素子でスペックル低減効果を発揮するためであれば、少なくとも隣接する発光点3の光が重なり合うようにコリメートレンズ4に入射するように間隔Lxを設定すればよい。その場合、インテグレータ光学素子6の入射面において入射光がアレイ方向で途切れることがないので、連続した光を分割して重畳することにより、効率よくスペックルノイズを低減することができる。また、少なくとも式1で表されるビーム径が、アレイ光源としてのビーム径Bよりも大きくなるように間隔Lxを設定すれば、全ての発光点3からの光を重畳でき、アレイ方向コリメート光学系でのスペックル低減効果を最大にできる。しかし、本実施の形態では、さらに間隔をあけることにより、光束の幅を大きくし、後段に設置するインテグレータ光学系のフライアイレンズ対6a、6bを容易に製作できるようにし、インテグレータ光学系において効果的に光束を分割・重畳できるようにした。
【0040】
つぎに、空間光強度分布について説明する。
1次元アレイレーザ光源2の各発光点3から射出されるレーザ光はガウシアン形状の空間光強度分布を有しており、光束中心の光強度が最も高く、中心から離れるにつれ光強度は指数関数的に低下する。この様な分布をフライアイインテグレータ6により十分に均一化するためには、ガウシアン分布を有するレーザ光をフライアイレンズ6a、6b内をできるだけ多数のレンズセルにより分割し、分割された光束ごとにライトバルブ7の被照射部に投射することによって空間光強度分布を均一化する必要がある。1次元アレイ半導体レーザ2のように発光点3が高密度で並んでいる場合、各発光点3から射出される光に対してそれぞれ対応するレンズセルを備えるためには微小なレンズセルを複数並列させる必要がある。例えば本実施の形態において用いた1次元アレイ半導体レーザ2は、ほぼ点光源とみなせる大きさ(b=0.04mm)で、アレイ方向での広がり角として半値半角10度の光を射出する発光点が200μmの間隔で配置されており、このような光源内の各発光点から射出される光に対して複数のレンズセルを配置できるフライアイレンズを作製することは技術的に容易ではない。
【0041】
しかしながら本発明においては、各発光点3から射出されるレーザビームは光源自身の性質であるビームの拡散性を利用して、拡大された状態でフライアイレンズ6aに入射する。そのため、本実施の形態1において用いているようなmm単位の大きさのレンズセル径とレンズセル配置のピッチを有するフライアイレンズ対6a、6bを設けた場合においても各発光点3から射出されるレーザ光は、フライアイレンズ対6a、6bに設けられた各レンズセルを最大限に利用することで、多数の光束に分割され、重畳されるのでライトバルブ7の被照射面上における空間光強度分布は矩形とみなせるほど均一となる。さらに、レーザ光が拡大された状態でレンズ等の光学部材に入射されるので、入射光のエネルギー密度が低くなり、光学部材での発熱量が抑制され、レーザの大出力化が容易となる。
【0042】
一方で、アレイ垂直方向においても光強度分布はガウシアン形状の空間光強度分布を有しており、同様の空間光強度を有するアレイ方向の各発光点3の光を単に重畳しても空間光強度分布の改善は困難である。しかし、アレイ垂直方向コリメート光学素子5により、ビームをアレイ垂直方向に分割し、重畳することにより、光強度分布を矩形に近づけることができると同時に、ビーム径が拡大される。ビーム径が拡大されることにより、アレイ方向と同様にmm単位の大きさのレンズセル径とレンズセル配置のピッチを有するフライアイレンズをもちいてもレンズセルを最大限に利用することで、多数の光束に分割し、重畳することで、ライトバルブ7の被照射面上における空間光強度分布を矩形とみなせるほど均一化できる。
【0043】
また、互いにコヒーレントな関係にある2光束により生じる光強度分布は式(4)に示した通りであるが、式(4)より明らかなように振動成分(式(4)内右辺第2項部)には光強度(光振幅の2乗)が掛かかるため、光強度が大きい光束内で生じるスペックルコントラストは大きく、逆に光強度が小さい光束内で生じるスペックルコントラストは小さくなる。フライアイインテグレータ6に入射される光は空間位置の違いにより異なるレンズセルを透過し可干渉距離以上の光路差がつき互いにインコヒーレントな複数の光束に分割された後、光束ごとに被照射部全面を重畳するように照明するため、スペックルコントラストを低下させることができる。しかし、フライアイインテグレータ6にガウシアン形状の空間光強度分布を有したまま光が入射した場合、光強度の大きい中心部レンズセルを透過した光と光強度の小さい周辺部のレンズセルを透過した光の足し合わせとなるため、光強度の大きい光により生じるコントラストの高いスペックルの影響が残ってしまう。
【0044】
そのため、1次元アレイ半導体レーザ2において、ガウシアン形状の空間光強度分布を有したままアレイ垂直方向に広がった光をフライアイインテグレータ6に投入した場合、アレイ垂直方向での分割・重畳によるスペックルノイズ低減効果は低下する。しかし、本実施の形態1においては、フライアイインテグレータ6に入射する光の空間光強度分布をアレイ垂直方向ビーム整形光学系5によって略均一化しているので、アレイ垂直方向での分割・重畳は重畳数に応じたスペックル低減効果が得られる。つまり、式(6)におけるセル数としてアレイ方向のレンズセル数(n=50、スペックル低減1/7)だけでなく、アレイ垂直方向のレンズセル数(40)も算入した総セル数(n=2000、スペックル低減1/40)によるスペックル低減効果が期待できる。
【0045】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる照明光学系1によれば、複数の発光点3がアレイ状に配列されるレーザアレイ光源である1次元アレイ半導体レーザ2と、レーザアレイ光源2の光軸C(z方向)とアレイ方向(x方向)とで定義される面をアレイ面(xz面)とすると、レーザアレイ光源2から入射した光をアレイ面内において平行光として出射するアレイ方向コリメート光学素子であるコリメートレンズ4と、アレイ面に垂直な方向をアレイ垂直方向(y方向)とし、アレイ垂直方向と光軸Cとで定義される面をアレイ垂直面とすると、レーザアレイ光源から入射した光をアレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向コリメート光学素子5と、アレイ方向コリメート光学素子4およびアレイ垂直方向コリメート光学素子5を経て入射した光を光軸Cに垂直な平面内においてマトリクス状に複数の光束に分割し、該分割した複数の光束をライトバルブ7の被照射面上で重なり合うよう照射するインテグレータ光学素子であるフライアイインテグレータ6と、を備え、アレイ方向コリメート光学素子4は、複数の発光点3から出射される発散性の光が重なりあって入射するようにレーザアレイ光源2から所定の間隔Lxをあけて配置されるように構成したので、発光点3から出射される光の発散性を利用し、アレイ方向コリメート光学素子4に各発光点3からの光が重なりあって入射するとともにレーザアレイ光源2全体のビーム径Bよりも広いビーム径の光束として出射できるので、インテグレータ光学系を簡易に製作でき、スペックルノイズや空間光強度分布を改善して画像表示に適した照明光を出射することができる。
【0046】
とくに、アレイ垂直方向コリメート光学素子5は、入射光をアレイ垂直面内において平行光に変換して出射するアレイ垂直方向コリメートレンズ5bと、レーザアレイ光源2から入射した光をアレイ垂直方向で分割し、該分割した各光束をアレイ垂直方向コリメートレンズ5bに重畳するように照射するアレイ垂直方向ビーム整形光学素子5aと、を備えるように構成したので、レーザアレイ光源2から入射した光をアレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向でのコリメート作用に加え、アレイ垂直方向での空間光強度分布を均一化する作用も奏することができる。そのため、インテグレータ光学素子において、アレイ垂直方向でのレンズセルもスペックル低減に有効に活用することができる。
【0047】
さらに、アレイ垂直方向ビーム整形光学素子5aは、複数のシリンドリカルレンズがアレイ垂直面内において発光点3を中心とする円弧上に並列される1次元多段レンズで構成したので、発散性のあるビームを効率的に分割・重畳し、アレイ垂直方向でのコリメートが容易にできる。
【0048】
また、インテグレータ光学素子6は、複数のレンズセルが光軸Cに垂直な平面内にマトリクス状に配列されるフライアイレンズ対6a、6bと光軸Cに対して回転対称なレンズ6bとからなるフライアイインテグレータ6で構成したので、容易にフライアイレンズ対が製作できるとともに、入射した光束を確実に分割・重畳し、効率的に空間光強度分布を均一化できるとともに、各分割光束に光路差ができて位相がずれ、効率的にスペックルノイズを低減することができる。
【0049】
また、本発明の実施の形態1にかかる画像表示装置は、上述した照明光学系1と、照明光学系1から入射した照明光を制御して画像を形成する光変調素子であるライトバルブ7と、光変調素子7からの画像光を拡大投写する投写光学系と、拡大投写された画像光を表示する画像表示部と、を備えるように構成したので、空間光強度の偏りやコヒーレンス性を有するレーザ光源を用いても、簡易に製作できる照明光学系1により、スペックルノイズや空間光強度分布を改善した画像表示が可能となる。
【0050】
なお、本実施の形態1においては、複数の発光点3がアレイ状に配列されるレーザアレイ光源の例として発光点が1次元に配列される1次元アレイ半導体レーザを挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばビームがアレイ状に射出される固体レーザや面発光レーザ等を用いてもよい。また、1次元レーザアレイをアレイ垂直方向に積層した2次元レーザアレイを用いてもよい。
【0051】
なお、本発明に必要な間隔Lxは本実施の形態1に示したものに限られるものではなく、インテグレータ光学素子6を容易に形成できるよう、コリメートレンズ4に入射するビーム径がじゅうぶんに拡大されるための間隔(光学距離)であれば、他の光学距離を有すように間隔を設定してよい。また、インテグレータ光学素子6としては、光源の仕様、被照射面の大きさ、焦点距離等の条件により異なる構成のものを採用してもよい。
【0052】
また、アレイ垂直方向コリメート光学素子5の構成としては、同様の作用を達成できるものであれば他の構成を採用してもよい。具体的には、3個の平凹シリンドリカルレンズが並列される1次元多段レンズ5aの代わりに、例えば3個の平凸シリンドリカルレンズ、さらに多数の平凸シリンドリカルレンズが並列されるマルチレンズや、多数の平凹シリンドリカルレンズが並列されるマルチレンズ、あるいはグラディエントインデックスマイクロレンズ、あるいはホログラフィック素子等を採用してもよい。また、平凸シリンドリカルレンズ5bの代わりに、例えば全光のxz、yz両平面方向の広がり角に対して設計される球面レンズを用いる構成や、前記マルチレンズによる光の広がり角を吸収することが可能な集光光学系を設けることにより素子を用いない構成を採用してもよい。
【0053】
また、本発明においては照明光学系1を画像表示装置に適用する場合について説明したが、スペックルノイズ、空間光強度分布を改善した照明光を利用できる機器としては、露光装置やレーザ加工装置等への適用も可能である。とくに、レーザ光をレーザ光源の性質を利用して拡大させた状態で光学部材に入射するように構成したので、レーザ加工装置等に適用した場合、レーザ出力を大出力化することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる照明光学系を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる照明光学系の部分である1次元アレイ半導体レーザの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる照明光学系の部分であるアレイ垂直方向ビーム整形光学素子の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1の別形態にかかる照明光学系の部分であるアレイ垂直方向ビーム整形光学素子の構成を示す図である。
【図5】スペックルノイズを説明するため、2光束が重畳された場合の空間位置に対する光強度分布を示す図である
【符号の説明】
【0055】
1 照明光学系、 2 1次元アレイ半導体レーザ(レーザアレイ光源)、 2a 出射端、 3 発光点、 4 コリメートレンズ(アレイ方向コリメート光学素子)、
5,15 アレイ垂直方向コリメート光学素子、 5a,15a 1次元多段レンズ((アレイ垂直方向ビーム整形光学素子)、 5b,15b 平凸シリンドリカルレンズ(アレイ垂直方向コリメートレンズ)、
6 フライアイインテグレータ(インテグレータ光学素子)、 6a、6b フライアイレンズ(対)、 6c 球面レンズ、
7 ライトバルブ、 Lx、Ly 間隔(光学距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光点がアレイ状に配列されるレーザアレイ光源と、
前記レーザアレイ光源の光軸とアレイ方向とで定義される面をアレイ面とすると、前記レーザアレイ光源から入射した光を前記アレイ面内において平行光として出射するアレイ方向コリメート光学素子と、
前記アレイ面に垂直な方向をアレイ垂直方向とし、前記アレイ垂直方向と前記光軸とで定義される面をアレイ垂直面とすると、前記レーザアレイ光源から入射した光を前記アレイ垂直面内において平行光として出射するアレイ垂直方向コリメート光学素子と、
前記アレイ方向コリメート光学素子および前記アレイ垂直方向コリメート光学素子を経て入射した光を前記光軸に垂直な平面内においてマトリクス状に複数の光束に分割し、該分割した複数の光束を被照射面上で重なり合うように照射するインテグレータ光学素子と、を備え、
前記アレイ方向コリメート光学素子は、前記複数の発光点から出射される発散性の光が重なりあって入射するように前記レーザアレイ光源から所定の間隔をあけて配置される照明光学系。
【請求項2】
前記アレイ垂直方向コリメート光学素子は、
入射光を前記アレイ垂直面内において平行光に変換して出射するアレイ垂直方向コリメートレンズと、
前記レーザアレイ光源から入射した光を前記アレイ垂直方向で分割し、該分割した各光束を前記アレイ垂直方向コリメートレンズに重畳するように照射するアレイ垂直方向ビーム整形光学素子と、
を備えてなる請求項1に記載の照明光学系。
【請求項3】
前記アレイ垂直方向ビーム整形光学素子は、複数のシリンドリカルレンズが前記アレイ垂直面内において前記発光点を中心とする円弧上に並列される1次元多段レンズであることを特徴とする請求項2に記載の照明光学系。
【請求項4】
前記インテグレータ光学素子は、複数のレンズセルが前記光軸に垂直な平面内にマトリクス状に配列されるフライアイレンズ対と前記光軸に対して回転対称なレンズとからなるフライアイインテグレータであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の照明光学系。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の照明光学系と、
前記照明光学系から入射した照明光を制御して画像を形成する光変調素子と、
前記光変調素子からの画像光を拡大投写する投写光学系と、
前記拡大投写された画像光を表示する画像表示部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192789(P2009−192789A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33010(P2008−33010)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】