説明

照明用導光板及び車両用表示装置

【課題】照明輝度のムラを生じさせることなく、被照明体の表示可能領域を拡大する。
【解決手段】被照明体の表示領域の裏面側に配置され、前記被照明体の裏面側に配置された光源6からの光を前記被照明体の表示領域E1に導光して該表示領域E1を照明する照明用導光板7において、前記被照明体の表示領域E1の裏面に沿って対向するように配置されて、光源6からの光を前記表示領域に導光する導光部71と、導光部71の端部から光源6に向かって曲がって延在され且つ光源6から入射した光を導光部71に向けて反射する反射面72aを有する延在部72と、延在部72の反射面72aからの光が導光可能な表示可能領域E2から逸脱した導光部71の延在部72寄りの前記被照明体との対向面に設けられて、延在部72の反射面72aから反射された反射光を前記対向面と対面する導光部71の反対面に向けて反射する第1反射部73と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照明体の表示領域の裏面側に配置され、前記被照明体の裏面側に配置された光源からの光を前記被照明体の表示領域に導光して該表示領域を照明する照明用導光板及び該照明用導光板を有する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両には、車両速度、エンジン回転、燃料残量、温度等の計測値を表示する複数種類の車両用表示装置を有するコンビネーションメータが搭載されている。このような車両用表示装置を照明する照明装置としては、文字板の裏面側に導光板を設けて、光源が発した光を文字板の指標等まで導光し、該光を指標から文字板の表面側に出射させて指標を発光させている。
【0003】
また、照明装置を液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトとして用いる場合、LCDは輝度が高いため、特許文献1等に示すように面発光効率の向上が図られてきた。特許文献1では、導光板のY方向に対して交差するX方向に延びた断面略V字状の第1の溝を導光板の下面に形成し、該第1の溝を光源から遠ざかるにつれて大きくなるように形成して、面発光効率の向上が図られている。このほかにも、導光板の下面に円錐、ディンプル等の反射体を配置して面発光効率の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−168026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両用表示装置の多様化に伴って様々な要求事項が発生しているが、そのような車両用表示装置に従来の照明装置をそのまま用いると、照明装置が照明する文字板の表示領域を拡大させたり、車両用表示装置の構造の複雑化を図ることが困難であった。この問題の詳細を以下に説明する。
【0006】
まず、図11において、車両用表示装置100は、文字板120と、指針130と、内機140と、基板150と、複数の光源160と、導光部材170と、ケース180と、を有して構成している。導光部材170は、ケース180内に収容された状態で、文字板120の裏側に配置されている。
【0007】
このような車両用表示装置100への要求事項(1)としては、指針130の回動中心から文字板120の表示領域E1の内径D1を小さくし、且つ、指針130と導光板17との間に警告表示部190を配置可能なスペースを確保するという要求がある。この要求事項(1)の場合、光源160から表示領域E1まで光を導光する導光部材170の導光領域E20は、例えば6mm程度という狭い範囲に限定されるという制約条件1が生じてしまう。
【0008】
また、要求事項(2)としては、基板150から導光板170の上面までの導光板高さHを変えずに、導光板170と基板150の間にLCD200等の表示デバイスを配置可能なスペースを確保するという要求がある。この要求事項(2)の場合、表示領域E1部分の厚みTを、例えば3mm以下等に薄くしなければならないという制約条件2が生じてしまう。
【0009】
次に、上述した要求事項(1)、(2)を解消して車両用表示装置100の設計を行う場合の一例を説明する。
【0010】
光源160の出射光を、効率良く文字板120の表示領域E1の全てに導くため、導光板170内に入射した光が導光途中で導光板170の外部に漏れない、即ち全反射条件を満たすように、表示領域E1に導光されるような形状で導光板170を形成する必要がある。詳細には、図12に示すように、光源160から垂直方向に出射する基準光L0を基準に、例えば±30度範囲の光L+から光L−までの出射光Lが導光板170の外部に漏れないように、導光板170を設計する。
【0011】
例えば、図13に示すように、導光板170は、文字板120の表示領域E1に対応して文字板120に沿って配置される導光部171と、該導光部171から光源160に向かって曲がって延在された延在部172と、を有する形状に形成される。そして、導光板170が屈折率1.49のアクリルで形成されている場合、臨界角(全反射が起きる最も小さな入射角)は約42.2度であるため、全反射条件は光L+、L−の延在部172の反射面(側壁)173に対する入射角が、42.2度よりも大きな角度とする必要があり、該全反射条件を満たす延在部172の形状(例えば傾斜角度等)を設計することになる。なお、延在部172の形状は、図13に示す傾斜面や曲面としてもよい。
【0012】
また、上述したように導光板170を設計した場合、図13に示すように、光源160からの出射光のうち、延在部172で反射した光L−が表示領域E1の光源160から離れた位置P1に、そして、延在部172で反射した光L+が表示領域E1の光源160に近い位置P2にそれぞれ向かう。このとき、導光板170の上面174の全反射条件、若しくは、延在部172の反射面173の全反射条件より、図14に示すように、導光板170の下面175への反射位置は実際の表示可能領域E2に限定されてしまう。即ち、実際の表示可能領域E2は表示領域E1から反射不可能領域E3を差し引いた領域となってしまう。なお、反射不可能領域E3は、延在部172の反射面173で反射した光を導光できない導光部171の下面175の延在部172寄りの領域となっている。
【0013】
このように延在部172を介して導光部171から離れた光源160からの光を導光部171に導光する場合、導光板170の下面175の反射不可能領域E3が発生することから、該反射不可能領域E3ではその他の表示可能領域E2よりも大幅に輝度が低下してしまうため、文字板120の表示領域E1は表示可能領域E2に制限されてしまうという問題が生じていた。これは、上述した制約条件1,2の条件が小さくなるほど、その傾向が強くなって利用できる表示領域E1が狭くなり、文字板120の意匠設計の自由度が減少してしまう。よって、このような導光板170を用いた場合、実際の表示領域E1は表示可能領域E2となってしまうため、該表示領域E1を拡大するには、表示可能領域E2を拡大する必要があり、導光板170を大型化しなければならなかった。
【0014】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、照明輝度のムラを生じさせることなく、被照明体の表示可能領域を拡大することができる照明用導光板及び車両用表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の照明用導光板は、被照明体の表示領域の裏面側に配置され、前記被照明体の裏面側に配置された光源からの光を前記被照明体の表示領域に導光して該表示領域を照明する照明用導光板において、前記被照明体の表示領域の裏面に沿って対向するように配置されて、前記光源からの光を前記表示領域に導光する導光部と、前記導光部の端部から前記光源に向かって曲がって延在され且つ前記光源から入射した光を前記導光部に向けて反射する反射面を有する延在部と、前記延在部の反射面からの光が導光可能な表示可能領域から逸脱した前記導光部の前記延在部寄りの前記被照明体との対向面に設けられて、前記延在部の反射面から反射された反射光を前記対向面と対面する前記導光部の反対面に向けて反射する第1反射部と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記請求項1に記載した本発明の照明用導光板によれば、延在部は光源からの光を反射部面で導光部に向けて反射して、導光部はその光を表示可能領域に導光する。このとき、表示領域のうち表示可能領域から外れた導光部の対向面に向かった反射面からの光は、第1反射部によって導光部の反対面に向けて反射されるため、導光部の延在部寄りにも延在部からの光を導光することができる。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の照明用導光板において、前記導光部の反対面に設けられて、前記第1反射部からの光を前記第1反射部に向けて反射する第2反射部を有することを特徴とする。
【0018】
上記請求項2に記載した本発明の照明用導光板によれば、導光部の第1反射部からの光を第2反射部によって第1反射部に反射することができるため、導光部の対向面だけで第1反射部に反射させるよりも、多くの光を第1反射部から導光部の外部に出射させることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の照明用導光板において、前記第1反射部は、前記導光部の導光方向と所望の間隔で交わるように設けられて、前記延在部の反射面から反射された反射光を前記反対面に向けて反射する複数の第1の溝を有し、前記第2反射部は、前記第1の溝からの光を隣り合う前記複数の第1の溝の間に向けて反射する第2の溝を有することを特徴とする。
【0020】
上記請求項3に記載した本発明の照明用導光板によれば、第1の溝で反射した延在部からの光は導光部の反対面に設けられた第2の反射部に反射され、第2の反射部はこの反射光を隣り合う複数の第1の溝に向けて反射することができるため、より一層多くの光を第1反射部から導光部の外部に出射させることができる。
【0021】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の車両用表示装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の照明用導光板と、該照明用導光板によって照明される被照明体と、前記照明用導光板の延在部と対向するように前記被照明対の裏面側に設けられた光源と、を有することを特徴とする。
【0022】
上記請求項4に記載した本発明の車両用表示装置によれば、光源の光は照明用導光板に入射すると、照明用導光板の延在部の反射目によって導光部に反射され、導光部の表示可能領域を導光された光が被照明体に向けて出射されることで、表示可能領域に対応した被照明体の部分が照明される。そして、照明用導光板の延在部から第1反射部に向かった光は、導光部の反対面に反射されることで、導光部の表示可能領域から逸脱した延在部寄りの導光部部分が照明される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、導光部の表示領域のうち表示可能領域から外れた導光部の対向面に向かった反射面からの光を、第1反射部が導光部の反対面に向けて反射するようにしたことから、導光部の延在部寄りにも延在部からの光を導光することができるため、表示可能領域よりも広い領域を導光部の表示領域として照明することができる。よって、導光部の光源寄りの輝度を向上して、光源寄りから表示領域の全てをムラなく照明することができるため、表示領域を拡大することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、導光部の対向面の第1反射部から反射された光を第2反射部で第1反射部に向けて略垂直方向に反射するようにしたことから、対向面で反射した光を第1反射部から導光部の外部に出射することができるため、導光部の延在部寄りをより一層高輝度で照明することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、第1の溝からの光を第2の溝によって隣り合う複数の第1の溝の間に反射するようにしたことから、より一層多くの光を第1反射部から導光部の外部に出射させることができるため、導光部の延在部寄りをより一層高輝度で照明することができる。また、複数の第1の溝の間には、平面を形成できることから、該平面で表示可能領域に延在部からの光を反射させることができるため、表示可能領域に導光する光の光量を十分に確保することができる。
【0026】
以上説明したように請求項4に記載した本発明によれば、照明用導光板が導光部の延在部寄りの対向面に延在部からの光を導光すると、第1反射部が導光部の反対面又は第2反射面に向けて反射するようにしたことから、被照明体は導光部の表示可能領域と延在部寄りの部分から照明されるので、導光部の光源寄りの輝度を向上して、光源寄りから表示領域の全てをムラなく照明することができるため、表示可能領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る車両用表示装置の正面図である。
【図2】図1の車両用表示装置の断面を示す断面図である。
【図3】図1中の照明用導光板と光源との関係を説明するための図である。
【図4】図3中の部分Aを拡大した拡大図である。
【図5】照明用導光板と光源と基板との関係を示す斜視図である。
【図6】照明用導光板における第1反射部と反射体との関係を説明するための図である。
【図7】反射体を円錐状に形成する場合の一例を示す部分拡大斜視図であり、(a)は凸状、(b)は凹状をそれぞれ示している。
【図8】反射体を三角錐状に形成する場合の一例を示す部分拡大斜視図であり、(a)は凸状、(b)は凹状をそれぞれ示している。
【図9】反射体を四角錐状に形成する場合の一例を示す部分拡大斜視図であり、(a)は凸状、(b)は凹状をそれぞれ示している。
【図10】照明用導光板の他の実施形態を示す図である。
【図11】従来の導光板の問題点を説明するための断面図である。
【図12】図11中の光源の出射光の一例を示す図である。
【図13】車両用表示装置に対する要求事項に対応した導光板の設計例を説明するための図である。
【図14】被照明体に対応する導光板の表示領域と表示可能領域との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る照明用導光板及び車両用表示装置を公知である速度計に適用した場合の実施形態の一例を、図1〜図10の図面を参照して以下に説明する。なお、車両用表示装置としては、車両のコンビネーションメータを構成する回転計、燃料計、温度計、等の各種計器やカーナビゲーション装置、タクシーメータ、等の車載器にも適用することができる。
【0029】
まず、図1及び図2において、車両用表示装置1は、被照明体である文字板2と、指針3と、内機4と、基板5と、複数の光源6と、照明用導光板(以下、導光板ともいう)7と、ケース8と、を有して構成している。そして、車両用表示装置1は、文字板2の周りを見返し11で隠匿した状態で、文字板2と指針3とを計器装置1のハウジング12内に収容し、それらを表硝子13によって覆っている。
【0030】
文字板2は、例えば、ポリカーボネイト等の透光性の合成樹脂で略円形平板状に形成されている。文字板2上には、図1に示すように、速度計に対応した「0〜180」の数字、と「km/h」の文字等、を有する指標21が付されている。指標21は、文字板2の表面に透過性部材の印刷等によって付されている。即ち、本実施形態では、文字板2及びその指標21が透過性である場合について説明する。そして、運転者から視認される面を文字板2の表面2aとし、その裏側を文字板2の裏面2bとする。
【0031】
指針3は、文字板2の表面2a側に配置されている。指針3は、周知であるように、文字板2の指標21を指示する指示部と、該指示部に連なり内機4の出力軸41(図2参照)の先端部に固着される基部と、からなる指針本体31と、前記基部31bを覆う不透明な樹脂材料からなる指針キャップ32と、を有している。そして、指針本体31は、前記基部が出力軸41に固着されることで、出力軸41を中心に回動される。指針本体31は、透明なアクリル樹脂で形成されており、その内部を指針用光源からの光を導光することで、前記指示部を発光させている。
【0032】
内機4は、車両状態(速度)の変化に応じて指針3を回動させる回動手段であり、公知であるステッパモータ、クロスコイルムーブメント等が用いられる。内機4は、車両の速度の計測量に応じた指示位置に指針3を回動させて位置付けるように、出力軸41を回動させる。そして、内機4は、図示しない制御部によって制御されて指針3を前記計測量に応じた指示位置に回動させることで、文字板2の指標21と指針3の指示部とを協働して前記計測量を示している。
【0033】
基板5は、公知であるプリント基板であり、内機4と複数の光源6と前記制御部が実装されている。基板5は、内機4,光源6等を前記制御部と電気的に接続する回路パターンを有している。
【0034】
複数の光源6は、例えばLED、バルブ等が用いられ、本実施形態ではLEDを用いる場合について説明する。光源6は、前記制御部によって点灯、消灯が制御される。光源6は、図5に示すように、導光板7の入射面と対向する円弧状に所望の間隔で、指針3の回動中心の周りに配置されている。
【0035】
導光板7は、図3に示すように、文字板2の表示領域E1の裏面2b側に配置され、文字板2の裏面2b側に配置された光源6からの光を文字板2の表示領域E1に導光して該表示領域E1を照明する。即ち、導光板7は、アクリル等の導光性部材によって、文字板2の表示領域E1と略同一の形状で形成されている。
【0036】
導光板7は、図2乃至図5に示すように、導光部71と、延在部72と、第1反射部73と、第2反射部74と、を有して構成している。
【0037】
導光部71は、図2に示すように、文字板2の表示領域E1に対応した文字板2の裏面2bに沿って対向するように配置されて、光源6からの光を表示領域E1に導光する。導光部71は、図5に示すように、文字板2の表示領域E1に対応した略蹄状の平板となっている。導光部71は、文字板2の指標21に向かうにつれて厚さを薄くしてもよいし、均一の厚さとしてもよい。また、表示可能領域E2に対応した導光部71の反対面(下面)71bには、従来技術と同様に、例えば円錐、ディンプル等の反射体71cが形成されており、導光部71の面発光効率の向上を図っている。
【0038】
延在部72は、導光部71の端部から光源6に向かって曲がって延在され且つ光源6から入射した光を導光部71に向けて反射する反射面72aを有している。延在部72は、導光部71から延在する傾斜部分として導光部71と一体に形成されている。反射面72aは、光源6から延在部72内に入射した光が外部に漏れない全反射条件を満たす傾斜角度となる延在部72の側壁となっている。なお、全反射条件は、反射面72aに対する光の入射角が導光板7の臨界角よりも大きな角度である。また、本実施形態では、延在部72の反射面72aが平面とした場合について説明するが、これに代えて、曲面とすることもできる。
【0039】
第1反射部73は、図3に示すように、延在部72の反射面72aから光源6の光を反射できない反射不可能領域E3に対応し且つ導光部71の延在部72寄りの文字板2の裏面2bとの対向面71aに設けられいる。そして、第1反射部73は、延在部72の反射面72aから反射された反射光を対向面71aと対面する導光部71の反対面(下面)71bに向けて反射する。
【0040】
第1反射部73は、図3、4に示すように、複数の第1の溝73aと、隣り合う複数の第1の溝73aの間に形成された平面73bと、を有している。そして、複数の第1の溝73aは、導光部71の導光方向X(図6参照)と直行するように所望の間隔で設けられて、延在部72の反射面72aから反射された反射光を反対面71bの延在部72寄りに向けて反射する。なお、導光方向Xとは、指針3の回動中心から文字板2の指標21に放射状に延びて、光源6からの光の進行方向である。また、本実施形態では、導光方向Xと第1の溝73aが直交する場合について説明するが、これに代えて、導光方向Xと第1の溝73aが単に交わるように第1の溝73aを形成してもよい。
【0041】
第1の溝73aは、図3に示すように、導光方向Xの断面がV字状の溝となっている。第1の溝73aは、延在部72の反射面72aからの光を、導光部71の反対面71bに形成された第2反射部74に反射する角度の傾斜面73cを有している。即ち、第1の溝73aの傾斜面73cは、上述した図12に示すように、光源6の出射光Lの光L+から光L−までの所望の出射範囲と延在部72の反射面72aの反射角度等に対応して設計されている。
【0042】
本実施形態の第1の溝73aは、図5に示すように、延在部72に沿って連続する略蹄状に形成した場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、第1の溝73aを離散した複数の溝としたり、照明する部分にのみ第1の溝73aを設ける、等の種々異なる実施形態とすることができる。また、本実施形態では、複数の第1の溝73aの角度、大きさ等が同一の場合について説明するが、これに代えて、反射光に強弱を持たせて輝度ムラを低減させるために、第1の溝73aの角度、大きさ等を延在部72から遠ざかるにつれて変化させる等の実施形態とすることもできる。
【0043】
平面73bは、図4に示すように、延在部72の反射面72aから光源6の光を導光部71の表示可能領域E2に導光する領域となっている。よって、平面73bは、表示可能領域E2に十分な光を延在部72から反射できるだけの十分な面積を確保するのが好ましい。なお、平面73bに換えて、例えば傾斜部、凸部、凹部、等とすることもできる。
【0044】
第2反射部74は、導光部71の反対面71bの延在部72寄りに設けられて、第1反射部73からの光を第1反射部73に向けて反射する。第2反射部74は、第1反射部73の第1の溝73aと相対するように、導光部71の反対面71bの延在部72寄りの反射不可能領域E3に形成された複数の反射体74aを有している。
【0045】
反射体74aは、導光方向Xの断面形状が略二等辺三角形で、頂点が略直角形のV字状に形成されている。反射体74aは、図3,4に示すように、出射光Lのうち、第1の溝73aで反射された反射光L10を第1反射部73の平面73bに向けて反射する。即ち、反射体74aは、略垂直方向、即ち視認者の視認方向に反射光L10を反射している。
【0046】
本実施形態では、反射光L10を1つ目の反射体74aがその隣の反射体74aに反射し、該隣の反射体74aが平面73bに向けて反射するように複数の反射体74aを形成しているが、これに代えて、反射光L10を1つの反射体74aが平面73bに直接反射する実施形態としてもよい。
【0047】
また、反射体74aは、図7乃至図9に示すような形状とすることもできる。図7乃至図9は、導光部71の反対面71b側を基板5から見たときの部分拡大斜視図である。そして、図7(a)は円錐凸状の複数の反射体74bを反射面71bに形成した実施形態の一例である。図7(b)は円錐凹状の複数の反射体74bを反射面71bに形成した実施形態の一例である。図8(a)は三角錐凸状の複数の反射体74cを反射面71bに形成した実施形態の一例である。図8(b)は三角錐凹状の複数の反射体74cを反射面71bに形成した実施形態の一例である。図9(a)は四角錐凸状の複数の反射体74dを反射面71bに形成した実施形態の一例である。図9(b)は四角錐凹状の複数の反射体74dを反射面71bに形成した実施形態の一例である。これらの実施形態のように反射体74b〜dを形成しても、平面73bに向けて反射することができる。
【0048】
ケース8は、文字板2の裏面側を覆い、且つ、導光板7から出射された光を文字板2に向けて反射する。ケース8は、文字板2と同形の皿状に形成されており、その内面は導光板7から出射された光を文字板2に向けて反射するように形成されている。ケース8は、導光板7を所望の取り付け位置に位置付けた状態で導光部材7を保持する。
【0049】
次に、上述した車両用表示装置1の本発明に係る導光板7の動作(作用)の一例を、図面を参照して以下に説明する。
【0050】
まず、車両用表示装置1の光源6が点灯されると、光源6が出射した出射光Lは導光板7の延在部72の端部から入射されて、延在部72内を導光される。該出射光Lは、延在部72の外部に向かうと、反射面72aで導光部71に向かって全反射されて、その一部の光は文字板2の表示可能領域E2に向かい、また、他の光は反射不可能領域E3に対応した導光部71の対向面(上面)71a、即ち、第1反射部73に向かう。
【0051】
そして、第1反射部73の第1の溝73aに向かった光は、第1の溝71aの傾斜面73cで導光部71の対向面(上面)71aに対向した反対面(下面)71b、即ち、第2反射部74に向かって反射される。第2反射部74に向かった光は、第2の溝74aで隣の第2の溝74aに向かって反射され、隣の第2の溝74aで第1反射部73の平面73bに向かって反射され、平面73bから導光部71の外部の文字板2に向かって出射される。
【0052】
一方、第1反射部73の平面73bに向かった光は、図4に示すように、平面73bで表示可能領域E2に対応した導光部71の反対面71bに反射されて、導光部71内を導光方向Xに向かって導光される。そして、導光部71内を導光される光は、導光部71の対向面71aから外部の文字板2に向かって出射される。文字板2は、導光板7の導光部71から出射された光によって背後から照明される。即ち、文字板2は、導光板7からの光を視認者に向けて透過することで、導光板7の導光部71に対応した表示領域E1が発光しているように視認者から視認される。
【0053】
以上説明した車両用表示装置1によれば、照明用導光板7が導光部71の延在部72寄りにも延在部72の反射面72aからの光を導光すると、第1反射部73が導光部71の反対面71bに向けて反射するようにしたことから、文字板2は導光部71の表示可能領域E2と延在部72寄りの部分である反射不可能領域E3から照明されるので、導光部71の光源6寄りの輝度を向上して、光源6寄りから表示領域E1の全てをムラなく照明することができるため、表示可能領域E2を拡大することができる。
【0054】
また、導光部71の対向面71aの第1反射部73から反射された光を第2反射部74で第1反射部73に向けて略垂直方向に反射するようにしたことから、対向面71aで反射した光を第1反射部73から導光部71の外部に出射することができるため、導光部71の延在部72寄りをより一層高輝度で照明することができる。
【0055】
さらに、第1反射部73の第1の溝73aからの光を第2反射部74の第2の溝74aによって隣り合う複数の第1の溝73aの間の平面73bに反射するようにしたことから、より一層多くの光を第1反射部73から導光部71の外部に出射させることができるため、導光部71の延在部72寄りをより一層高輝度で照明することができる。また、複数の第1の溝73aの間には、平面部73bを形成できることから、該平面部73bで表示可能領域E2に延在部72からの光を反射させることができるため、表示可能領域E2に導光する光の光量を十分に確保することができる。
【0056】
次に、上述した実施形態では、本発明の照明用導光板7を車両用表示装置1に適用する場合について説明したが、本発明を他の表示装置に適用する場合の一例を以下に説明する。例えば、照明用導光板7を液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトに適用することもできる。
【0057】
図10に示すように、LCD(図示せず)と光源6とが離れた車両用表示装置に適用する場合、照明用導光板7は、前記LCDの形状やその照明対象領域の形状等に対応した方形状に導光部71‘を形成することで対応できる。そして、該導光部71‘の照明対象となる被照明体が前記LCDであり、導光部71‘と対向するように前記LCDが配置される。そして、導光部71‘に導光された光源6からの光を前記LCDに向けて出射することで、前記LCDを背面側から照明する。
【0058】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両用表示装置
2 文字板
3 指針
4 内機
5 基板
6 光源
7 照明用導光板(導光板)
71 導光部
72 延在部
72a 反射面
73 第1反射部
73a 第1の溝
74 第2反射部
74a 第2の溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明体の表示領域の裏面側に配置され、前記被照明体の裏面側に配置された光源からの光を前記被照明体の表示領域に導光して該表示領域を照明する照明用導光板において、
前記被照明体の表示領域の裏面に沿って対向するように配置されて、前記光源からの光を前記表示領域に導光する導光部と、
前記導光部の端部から前記光源に向かって曲がって延在され且つ前記光源から入射した光を前記導光部に向けて反射する反射面を有する延在部と、
前記延在部の反射面からの光が導光可能な表示可能領域から逸脱した前記導光部の前記延在部寄りの前記被照明体との対向面に設けられて、前記延在部の反射面から反射された反射光を前記対向面と対面する前記導光部の反対面に向けて反射する第1反射部と、
を有することを特徴とする照明用導光板。
【請求項2】
前記導光部の反対面に設けられて、前記第1反射部からの光を前記第1反射部に向けて反射する第2反射部を有することを特徴とする請求項1に記載の照明用導光板。
【請求項3】
前記第1反射部は、前記導光部の導光方向と所望の間隔で交わるように設けられて、前記延在部の反射面から反射された反射光を前記反対面に向けて反射する複数の第1の溝を有し、
前記第2反射部は、前記第1の溝からの光を隣り合う前記複数の第1の溝の間に向けて反射する第2の溝を有することを特徴とする請求項2に記載の照明用導光板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の照明用導光板と、該照明用導光板によって照明される被照明体と、前記照明用導光板の延在部と対向するように前記被照明対の裏面側に設けられた光源と、を有することを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−221182(P2011−221182A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88841(P2010−88841)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】