照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置
【課題】発光ダイオードをそれぞれ光源とする複数台の照明器具を備える照明装置において、各照明器具間で発光ダイオードの輝度や色合いがばらつかず、コストが安く、施工作業が容易であり、点灯効率を高めることができる照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】照明装置は、発光ダイオードLEDをそれぞれ光源とする複数台の照明器具Bと、直流電圧を出力する1台の発光ダイオード駆動回路Aとを備える。各照明器具Bは、接続線CL1を介して直列に接続される。各照明器具Bの直列回路の両端は、一対の給電線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aの出力端に接続される。
【解決手段】照明装置は、発光ダイオードLEDをそれぞれ光源とする複数台の照明器具Bと、直流電圧を出力する1台の発光ダイオード駆動回路Aとを備える。各照明器具Bは、接続線CL1を介して直列に接続される。各照明器具Bの直列回路の両端は、一対の給電線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aの出力端に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明装置、その照明装置を車室内に用いる車室内用照明装置、その照明装置を車両に用いる車両用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオードを光源とする照明器具と、当該照明器具を駆動させる発光ダイオード駆動回路とを備える照明装置が提供されている。
【0003】
発光ダイオードは、白熱電球と比べ長寿命で応答性が速く構造上コンパクトに実装でき、用途に応じてカラーフィルタなしで各種の色を簡単に表現できる。
【0004】
また、発光ダイオードの輝度は、順電流(順方向電流)に強い相関があり、順電流を増加させると閾値電流までは単調増加で輝度が大きくなる。したがって、順電流を変化させることで簡単に調光を行うことができる。
【0005】
発光ダイオードにおいては、近年、白色発光ダイオードの量産化が盛んに行われており、その用途も多様化している。車両の分野でも、車室内の白色の照明として活用されたり、高輝度化によるヘッドライトや、デイタイムランニングランプに用いるための開発が行われている。白色発光ダイオードを光源として用いると、蛍光ランプなどを用いる場合に比べ照明器具が薄く立体的に実装でき、車のデザインなど形状に制限を与えない自由な設計が可能になる。
【0006】
発光ダイオードの発光色を白色にする方法としては、青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いるものがある。この方法で製造される白色発光ダイオードにおいては、順電流が変化すると、輝度とともに色合いが変わることがある。
【0007】
具体的には、順電流が低下すると黄色方向にシフトし、順電流が増加すると青色方向にシフトする傾向にある。
【0008】
したがって、白色発光ダイオードを光源とする照明器具を複数台有する照明装置においては、各照明器具にそれぞれ供給される電流が各照明器具間でばらつくと、各照明器具間において輝度や色合いのばらつきが生じることがある。
【0009】
複数台の照明器具を備える照明装置として、図20に示すように、車のヘッドライトに用いられる照明装置がある。照明器具Bは、2台であって、複数個の発光ダイオードLEDを直列に接続した発光ダイオードユニットUを光源として備える。2台の照明器具Bは、2台の発光ダイオード駆動回路Aに、2対(4本)の給電線PL1,PL2でそれぞれ接続されている。発光ダイオードLEDの光は、反射板Fにより配光が行われる。
【0010】
各発光ダイオード駆動回路Aは、電源である車が備えるバッテリに接続されている。各発光ダイオード駆動回路Aは直流電圧を出力するとともに、出力する直流電流の電流値の制御を行い、各照明器具Bを駆動(点灯)させる。
【0011】
図20に示す構成においては、各発光ダイオード駆動回路Aを構成する部品特性のばらつきや発光ダイオードユニットUを構成する発光ダイオードLEDの特性のばらつきなどにより、各照明器具Bにそれぞれ供給される供給直流電流が各照明器具B間でばらつくことがあり、上述したように、輝度や色合いがばらつくことがある。
【0012】
輝度や色合いのばらつきを低減させるためには、発光ダイオードLEDの選別を行ったり、発光ダイオード駆動回路Aに精度の良い部品を使用して発光ダイオード駆動回路Aによる電流制御の精度を向上させたりする必要がある。
【0013】
一方、図21に示すように、車室内の照明に使用される照明装置がある。基本的な構成は図20の構成と同様であるが、この照明器具Bは、各座席の照明や足元の照明に用いられるものであり、台数が多い。図21に示す照明装置は、各発光ダイオード駆動回路Aの動作を集中制御する制御ユニットHを備える。制御ユニットHにより、各発光ダイオード駆動回路Aがそれぞれ備えるスイッチングレギュレータRを制御して各照明器具Bに供給される直流電流の大きさを制御している。
【特許文献1】特開2006−73400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図20の構成では、発光ダイオードLEDの選別を行うと作業工数が増大し、精度のよい部品を使用すると歩留まりが悪くなり発光ダイオード駆動回路Aが高価になるという問題がある。
【0015】
また、図21の構成では、各照明器具Bに各発光ダイオード駆動回路Aをそれぞれ接続するから、照明器具Bの台数が多いと、その分、給電線PL1,PL2の本数が多くなって施工作業(結線作業)がし難くなるという問題がある。
【0016】
また、各照明器具Bと発光ダイオード駆動回路Aとの間の距離が大きくなると、給電線PL1,PL2が長くなり、結線作業がし難く、給電線PL1,PL2が煩雑になるという問題もある。
【0017】
さらに、照明器具Bの台数に応じた台数の発光ダイオード駆動回路Aが必要であり、照明器具の台数が多いとその分発光ダイオード駆動回路Aの台数も多くなってコストが増大するという問題もある。
【0018】
ところで、パイロットランプなどに用いられる発光ダイオードは数十mA程度の電流で使用されるが、照明の用途に使用される発光ダイオードにおいては、数百mAから数Aの領域の電流で使用される。したがって、発光ダイオードを光源とする照明装置においては、給電線で消費される電力(電力ロス)が大きくなるという問題がある。電力ロスを低減するために給電線を太くすることが考えられるが、給電線を太くすると給電線の重量が増大する。車に使用される照明装置においては、重量の増加は燃費に悪影響を及ぼすことになる。
【0019】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、発光ダイオードを備える複数個の照明器具を備える照明装置において、各照明器具を輝度や色合いがばらつくことなく点灯させることができ、また、コストを低減することができるとともに結線作業を容易にでき、さらに、給電線を含む配線での電力ロスを抑えて効率を高めることができる照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、発光ダイオードをそれぞれ有する複数個の照明器具と、直流電圧を出力する発光ダイオード駆動回路とを備え、複数個の照明器具は接続線を介して直列接続されて直列回路を構成し、照明器具の直列回路の両端と発光ダイオード駆動回路の出力端とは一対の給電線を介して接続されることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、複数台の照明器具は直列接続されるから、各照明器具には同一電流値の直流電流が供給され、各照明器具間で輝度の差異が生じないという利点がある。また、各照明器具には同一電流値の直流電流が供給されるから、光源として青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いた白色発光ダイオードを使用する場合においても、各照明器具間で色合いが変わることがない。
【0022】
また、1台の発光ダイオード駆動回路で複数台の照明器具を駆動(点灯)させるから、複数台の照明器具を複数台の発光ダイオード駆動回路でそれぞれ駆動(点灯)させる従来構成よりも発光ダイオード駆動回路の台数を少なくすることができ、コストを安くすることができるという利点がある。
【0023】
さらに、発光ダイオード駆動回路と照明器具の直列回路とは一対の給電線で接続され、各照明器具間は接続線で接続されるから、各照明器具の駆動に必要な配線(給電線および接続線)の数は、照明器具の台数に1を加えた値になる(電力線は2本、接続線は、照明器具の台数引く1本)。前記従来構成では、必要な配線(給電線)の数は、照明器具の台数に2を乗じた値になる。したがって、前記従来構成よりも配線の数が少なくなる。配線の数が少なくなるから、前記従来構成よりも配線作業が容易になるという利点がある。また、配線の数が少ないから、通常、前記従来構成よりも配線の長さ寸法の総和が小さくり、配線で消費される電力ロスが小さくなって、点灯効率を高めることができるという利点がある。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記発光ダイオード駆動回路と前記照明器具の直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子と、調光用スイッチング素子のオンデューティーを制御する調光用制御回路とを備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、調光信号が入力された調光用制御回路は、調光信号に応じて調光用スイッチング素子のオンデューティーを変えるから、調光信号により調光を行うことができるという利点がある。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記各照明器具にそれぞれ並列に接続される複数個の消灯用スイッチを備えることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、各消灯用スイッチをオンにすることで各照明器具をそれぞれ消灯させることができるから、各照明器具を個別に点灯、消灯させることができ、利便性が良いという利点がある。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、複数個の前記照明器具のうち少なくとも1つの照明器具を除く他の照明器具の個々に並列に接続される消灯用スイッチを備えることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、消灯用スイッチをオンにすることで消灯用スイッチが並列接続された照明器具を消灯させることができるから、消灯用スイッチが並列接続された照明器具を個別に点灯、消灯させることができ、利便性がよい。また、全ての消灯用スイッチがオンとなっても、消灯用スイッチが接続されていない照明器具により発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態になることがない。発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態になることがないから、発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態で発光ダイオード駆動回路に電源が投入されることがなく、発光ダイオード駆動回路の安全性を確保できるという利点がある。
【0030】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4に記載の発明において、前記消灯用スイッチはスイッチング素子であり、消灯用スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニットを備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、消灯スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニット備えるから、消灯用スイッチを照明器具の近傍に設置することができ、消灯用スイッチと照明器具とを接続する線を短くすることができる。したがって、消灯用スイッチと配線器具とを接続する線で消費される電力(電力ロス)が少なくなり、点灯効率を高めることができるという利点がある。
【0032】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、昇圧チョッパを備えることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は昇圧チョッパを備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧が低い場合であっても、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0034】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、降圧を行う電源回路部を備えることを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は降圧を行う電源回路部を備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧が高い場合であっても、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0036】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、昇降圧コンバータを備えることを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は昇降圧コンバータを備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧の大きさにかかわらず、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0038】
請求項9の発明は、請求項8に記載の発明において、前記昇降圧コンバータは、電源側巻線と出力側巻線とを有するトランスと、電源側巻線に直列に接続される制御用スイッチング素子と、制御用スイッチング素子のオンオフを制御するスイッチ制御部とを備え、前記発光ダイオード駆動回路は、電源側巻線に電磁結合する検出用巻線を有しトランスの出力電圧を検出する第1検出部と、電源側巻線に直列に接続される電流検出用抵抗を有しトランスの入力電流を検出する第2検出部とを備え、第1検出部および第2検出部はスイッチ制御部に接続され、スイッチ制御部は、第1検出部で検出される電圧と第2検出部で検出される電流とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、第1検出部および第2検出部は、トランスの出力側から絶縁されているから、第1検出部および第2検出部が接続されるスイッチ制御部は、トランスの出力側から絶縁される。したがって、スイッチ制御部は、トランスの出力側から絶縁された状態で、トランスの入力電流と出力電圧とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することができるという利点がある。
【0040】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の発明において、前記各照明器具は、反射面を形成する導体部を有し発光ダイオードに近接して配設され発光ダイオードの光の配光を行う反射板をそれぞれ備え、導体部には、一端が接地されるとともに給電線に近接したグランド線が接続されることを特徴とする。
【0041】
この構成によれば、一端が接地されるグランド線と給電線とは平行であり、また、近接しているから、照明器具の直列回路に供給される直流電流に重畳する高周波ノイズが給電線において低減されるという利点がある。
【0042】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具が車室内に設置される車室内用照明装置であることを特徴とする。
【0043】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具と前記発光ダイオード駆動回路と前記給電線と前記接続線とが車両に設置される車両用照明装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、複数個の照明器具を備える照明装置において、各照明器具間で輝度や色合いがばらつかず、コストが低く、結線作業が容易であり、配線における電力ロスを少なくして効率を高めた照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(実施形態1)
本実施形態では、図1に示すように、車のヘッドライト(または、デイタイムランニングランプ)として用いられる同仕様の2台の照明器具Bと、各照明器具Bを駆動(点灯)させる1台の発光ダイオード駆動回路Aとを備える車両用照明装置を例示する。2台の照明器具Bは、接続線CL1を介して直列接続される。照明器具Bの直列回路の両端は、一対の給電線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aの出力端に接続される。
【0046】
本実施形態では、車両用照明装置を例示するが、これに限るものではなく、図4に示すように、車室内における各シートの照明、足元の照明、運転席の照明などに用いられる複数台の照明器具Bを備える車室内用照明装置であってもよい。複数台の照明器具Bは、接続線CL1を介して直列接続され、照明器具Bの直列回路は、一対の電源線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aに接続される。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の2台の照明器具Bは、複数個の発光ダイオードLEDを直列接続した発光ダイオードユニットUをそれぞれ備える。発光ダイオードユニットUは、一の発光ダイオードLEDのカソードに他の発光ダイオードLEDのアノードが接続される形で直列接続される。但し、発光ダイオードユニットUは、1個の発光ダイオードLEDのみからなる構成であってもよく、必要とされる輝度に応じて個数を変えることができる。
【0048】
一方の照明器具Bが備える発光ダイオードユニットU(図における上側の発光ダイオードユニットU)は、一端(端に位置する発光ダイオードLEDのアノード)が、発光ダイオード駆動回路Aの高圧側出力端に接続する給電線PL1に接続され、他端が接続線CL1に接続される。他方の照明器具Bが備える発光ダイオードユニットU(図における下側の発光ダイオードユニットU)は、一端(端に位置する発光ダイオードLEDのアノード)が接続線CL1に接続され、他端が、発光ダイオード駆動回路Aの低圧側出力端に接続する給電線PL2に接続される。
【0049】
なお、図5に示すように、発光ダイオードユニットUに、同様の構成の発光ダイオードユニットUを1個または複数個並列に接続することもできる。
【0050】
発光ダイオードLEDには、青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いた白色発光ダイオードを用いる。但し、他の色の発光ダイオードや他の構成の白色発光ダイオードを用いることもできる。
【0051】
各照明器具Bは、図1に示すように、底面に開口を備える椀状に形成され内側に発光ダイオードユニットUが配設される反射板Fをそれぞれ備える。反射板Fは、発光ダイオードLEDが内面に近接する程度の大きさに形成されるとともに、内面が反射面に形成される。発光ダイオードLEDの光は反射板Fの内面(反射面)で反射され、反射板Fの開口より放出される。反射板Fの開口の口軸方向が車の前方になるように反射板Fは配設される。
【0052】
発光ダイオード駆動回路Aは、電源Eに接続される。電源Eは車に積載されるバッテリであり、たとえば、約12Vの直流電圧を出力する。但し、図6に示すように、交流電源である電源E’を電源とすることもできる。その場合、整流部DBと平滑コンデンサC1とを備える直流変換回路Gを電源E’と発光ダイオード駆動回路Aとの間に設ける。整流部DBには、ダイオードブリッジなどが用いられる。
【0053】
発光ダイオード駆動回路Aは、図2に示すように、電源Eより入力される直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ10と、発光ダイオード駆動回路Aが出力する直流電圧(以下、出力直流電圧と呼ぶ。)を検出する電圧検出部11と、照明器具Bの直列回路に供給される供給直流電流ILを検出する電流検出部12とを備える。
【0054】
昇圧チョッパ10は、昇圧を行う昇圧部101と昇圧部101の昇圧動作を制御する制御部102とを備える。昇圧部101は、電源Eの高圧側に一端が接続されるインダクタL1と、インダクタL1の他端にアノードが接続されるダイオードD1と、ダイオードD1のカソードと電源Eの低圧側とに両端がそれぞれ接続される平滑コンデンサC2と、ダイオードD1のアノードと電源Eの低圧側との間に接続されるスイッチング素子Q1とを備える。スイッチング素子Q1には、MOSFETなどが用いられる。
【0055】
制御部102は、図3に示すように、第1基準電圧生成部1022と、第2基準電圧生成部1023と、オペアンプからなる差動増幅器1024と、2個のダイオードD2,D3と、2個のコンパレータCP1、CP2と、三角波を出力する発振器OSCと、スイッチング素子Q1を駆動するドライブ回路1021とを備える。
【0056】
第1基準電圧生成部1022は、分圧抵抗R4,R5の直列回路を備える。分圧抵抗R4,R5の直列回路は、一端(分圧抵抗R4側)に基準電圧Vrefが印加され、他端(分圧抵抗R5側)は接地され、接続端がコンパレータCP1の反転入力端子に接続される。
【0057】
第2基準電圧生成部1023は、分圧抵抗R6,R7の直列回路を備える。分圧抵抗R6,R7の直列回路は、一端(分圧抵抗R6側)は基準電圧Vrefが印加され、他端(分圧抵抗R7側)は接地され、接続端は差動増幅器1024の反転入力端子に接続される。すなわち、第2基準電圧生成部2023は、定電源Vrefと接地点との間の電圧を分圧して第2基準電圧を生成し、生成された第2基準電圧は差動増幅器1024の反転入力端子に入力される。また、差動増幅器1024の反転入力端子と出力端子との間には、抵抗R8が接続される。
【0058】
コンパレータCP1の出力端子はダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードはコンパレータCP2の反転入力端子に接続される。また、差動増幅器1024の出力端子はダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはコンパレータCP2の反転入力端子に接続される。
【0059】
コンパレータCP2の非反転入力端子は、三角波を出力する発振器OSCに接続され、出力端子はドライブ回路1021に接続される。ドライブ回路1021の出力端子はスイッチング素子Q1の制御端子(図示せず)に接続される。
【0060】
発光ダイオード駆動回路Aが備える電圧検出部11は、分圧抵抗R1,R2の直列回路を備える。分圧抵抗R1,R2の直列回路は、平滑コンデンサC2に並列に接続され、接続端がコンパレータCP1の非反転入力端子に接続される。すなわち、電圧検出部11は、出力直流電圧を検出し、電圧検出部11の検出値はコンパレータCP1の非反転入力端子に入力される。
【0061】
電流検出部12は、電流検出用抵抗R3を備える。電流検出用抵抗R3は、一端が平滑コンデンサC2の一端(電源Eの低圧側に接続される側)に接続され、他端は給電線PL2および差動増幅器1024の非反転入力端子に接続される。すなわち、電流検出部12は供給直流電流を検出し、電流検出部12の検出電圧は差動増幅器1024の非反転入力端子に入力される。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。差動増幅器1024は、反転入力端子に入力される第2基準電圧と、非反転入力端子に入力される電流検出部12の検出値との差を増幅して出力する。コンパレータCP2は、差動増幅器1024の出力電圧と発振器OSCが出力する三角波とを比較して矩形波を出力する。スイッチ用駆動回路は、矩形波の幅に応じたオンデューティーでスイッチング素子Q1をオンオフさせ、PWM制御を行う。
【0063】
電流検出部12の検出電圧が大きくなると矩形波の幅が小さくなってスイッチング素子Q1のオンデューティーが小さくなり、供給直流電圧が小さくなって電流検出部12の検出電圧が小さくなる。また、電流検出部12の検出電圧が小さくなると矩形波の幅が大きくなってスイッチング素子Q1のオンデューティーが大きくなり、供給直流電圧が大きくなって電流検出部12の検出電圧が大きくなる。
【0064】
したがって、供給直流電流ILは一定値に保たれる。すなわち、発光ダイオード駆動回路Aは、制御部102により定電流制御がなされる。
【0065】
供給直流電流ILは、第2基準電圧を生成する分圧抵抗R6,R7の抵抗値により発光ダイオードLEDの定格電流になるように設定される。
【0066】
なお、コンパレータCP2が出力する矩形波の周波数は発振器OSCが出力する三角波の周波数に一致し、ドライブ回路2011は、矩形波の周波数に一致する周波数でスイッチング素子Q1を駆動させる。すなわち、スイッチング素子Q1の駆動周波数は、三角波の周波数に一致する。本実施形態では、三角波の周波数は数百kHzに設定され、スイッチング素子Q1は数百kHzの駆動周波数で駆動する。
【0067】
また、本実施形態では、2台の照明器具Bには、15V〜25Vの直流電圧を印加することで発光ダイオードLEDに定格電流が流れる仕様のものが用いられている。発光ダイオード駆動回路Aは、電源Eの電圧(約12V)を30〜50Vに昇圧して出力し、各照明器具Bをそれぞれ点灯させる。
【0068】
本実施形態では、発光ダイオード駆動回路Aが昇圧チョッパ10を備えることで、電源Eの電圧が低くても(12V)、各発光ダイオードLEDを定格電圧で点灯させることができる電圧(30〜50V)の直流電圧を、照明器具Bの直列回路に供給することができる。
【0069】
次に、コンパレータCP1について説明する。コンパレータCP1は、反転入力端子に入力される第1基準電圧と、非反転入力端子に入力される出力直流電圧に応じた電圧とを比較して、ハイレベルまたはロウレベルの電圧を出力する。コンパレータCP1の出力電圧がロウレベルであるときはコンパレータCP2の出力電圧は差動増幅器1024の出力電圧に依存し、上述のように制御部102は定電流制御を行う。
【0070】
コンパレータCP1の出力電圧がハイレベルであるときは、コンパレータCP2はロウレベルの電圧を出力し、スイッチ用駆動回路1021はスイッチング素子Q1をOFFにする。結果、発光ダイオード駆動回路Aは出力を停止する。
【0071】
照明器具B内や給電線PL1,PL2や接続線CL1において断線などが発生して供給直流電流ILが極端に低下すると、定電流制御により出力直流電圧が大きくなり過ぎて発光ダイオード駆動回路Aが故障する虞がある。本実施形態では、コンパレータCP1により、そのような場合に発光ダイオード駆動回路Aの動作が停止される。すなわち、コンパレータCP1は、過電圧防止用として用いられている。
【0072】
ところで、上述したように、第2基準電圧により供給直流電流ILの安定値が決まるから、第2基準電圧を変えると供給直流電流ILの安定値が変わり、結果、調光を行うことができる。たとえば、図7に示すように、分圧抵抗R6,R7の接続端に、可変抵抗R14、抵抗R15の直列回路の一端を接続する。可変抵抗R14、抵抗R15の直列回路の他端は接地される。
【0073】
可変抵抗R14の抵抗値を変えて第2基準電圧を小さくすると、差動増幅器1024の出力電圧が大きくなってコンパレータCP2が出力する矩形波の幅が小さくなる。矩形波の幅が小さくなるとスイッチング素子Q1のオン時間が短くなって供給直流電流ILが低下する。結果、発光ダイオードLEDの輝度が低下して調光がなされる。
【0074】
可変抵抗R14に、手動で抵抗値を変えることができるものを使用すると、可変抵抗R14を操作することにより調光を行うことができる。
【0075】
また、図8に示すように、一端が接地される抵抗R17の他端を差動増幅器1024の反転増幅端子に接続し、差動増幅器1024の反転入力端子に直接制御用の電圧を入力することでも、定電流制御や調光を行うことができる。
【0076】
上述のように、本実施形態では、1台の発光ダイオード駆動回路Aで2台の照明器具Bを点灯させることができるから、2台の照明器具Bを2台の発光ダイオード駆動回路Aでそれぞれ点灯させる従来構成よりも発光ダイオード駆動回路Aの台数が少なくなる。発光ダイオード駆動回路Aの台数が少なくてすむから、前記従来構成よりも製造コストが安くなる。照明器具Bの台数が多くなるほど、より大きく製造コストを下げることができる。
【0077】
また、2台の照明器具Bは直列に接続されるから、各照明器具Bにそれぞれ供給される直流電流の電流値は同じである。したがって、供給される直流電流の電流値によっては、2台の照明器具B間で輝度や色合いのばらつきは生じない。
【0078】
ところで、本実施形態では、発光ダイオードLEDに電力を供給する配線(給電線PL1,PL2および接続線CL1)の本数は、3本である。
【0079】
一方、前記従来構成における配線(給電線)の本数は、照明器具が2台の場合、4本である。したがって、前記従来構成よりも配線の本数が少なくなり、施工作業(結線作業)が容易でなる。照明器具Bの台数が増えるほど、配線の本数の差が大きくなり、より大きな効果を奏する。
【0080】
また、照明器具Bの台数が増えても、給電線PL1,PL2の本数は2本のみでよいから、発光ダイオード駆動回路Aと照明器具Bとの間の結線作業が従来構成よりも容易になる。
【0081】
さらに、配線の本数が少ないから、通常、前記従来構成よりも配線の総長が短くなる。配線の総長が短くなることにより、配線で消費される電力(電力ロス)が少なくなって前記従来構成よりも点灯効率を高めることができる。また、配線の総長が短くなることにより配線の重量が軽くなり、車の燃費が向上する。
【0082】
ところで、反射板Fは、金属などの導体で形成される。各反射板Fの外面(反射面に形成されていない外側の面)には、図9に示すように、一端が接地されるグランド線GLを接続することができる。グランド線GLは、発光ダイオード駆動回路Aの高圧側の出力端に接続される給電線PL1と一緒に束ねられる。グランド線GLは、給電線PL1に並行して近接するように束ねられる。
【0083】
上述のように、反射板Fは椀状に形成されるとともに発光ダイオードユニットUに近接して配設され、また、グランド線GLにより接地されるから、高周波ノイズは反射板Fにより吸収される。
【0084】
また、給電線PL1は一端が接地されるグランド線GLと一緒に束ねられるから、照明器具Bの直列回路に供給される直流電流に重畳する高周波ノイズを給電線PL1において低減することができる。
【0085】
なお、不導体で形成される母材の表面を前記導体で覆うことにより反射板Fを形成することもできる。
【0086】
また、給電線PL2が接地される場合は、グランド線GLを給電線PL2に接続してもよい。
【0087】
(実施形態2)
本実施形態に例示する照明装置は、図10に示すように、発光ダイオード駆動回路Aが、昇圧チョッパ10の代わりに、降圧を行う電源回路部であるフォワード型の降圧コンバータ20を備える点が実施形態1と異なる。
【0088】
降圧コンバータ20は、降圧部201と制御部202とを備える。降圧部201は、トランス2011と、スイッチング素子Q2と、2個のダイオードD4,D5と、インダクタL2と、平滑コンデンサC3とを備える。トランス2011は、一端が電源Eの高圧側に接続されコア2011cに巻き回される電源側巻線2011aと、コア2011cに巻き回される出力側巻線2011bとを備える。
【0089】
電源側巻線2011aの一端と電源Eの低圧側との間には、スイッチング素子Q2が接続される。スイッチング素子Q2には、MOSFETなどが用いられる。出力側巻線2011bの一端は電源Eの低圧側に接続され、他端はダイオードD4のアノードに接続される。ダイオードD4のカソードはダイオードD5のカソードに接続され、ダイオードD5のアノードは電源Eの低圧側に接続される。
【0090】
ダイオードD4のカソードは、インダクタL2の一端に接続され、インダクタL2の他端と電源Eの低圧側との間に平滑コンデンサC3が接続される。
【0091】
制御部202の構成は、制御回路102の構成と基本的には同じであるが、コンパレータCP1および第1基準電圧生成部1022(図3参照)を備えない点が異なる。
【0092】
スイッチング素子Q2がオンオフを行うと、降圧部201により、電源Eが出力する直流電圧が降圧されて照明器具Bに供給される。このとき、制御部202は、電流検出部12で検出される供給直流電流ILにより前述と同様に定電流制御を行う。
【0093】
本実施形態では、電源Eが出力する直流電圧が、各照明器具Bの点灯に必要な直流電圧(各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する電圧)より高い場合でも、発光ダイオード駆動回路Aが電源Eの出力する直流電圧を降圧することにより、定格電圧で各発光ダイオードLEDを点灯させることができる。
【0094】
本実施形態における他の構成は、実施形態1と同様である。
【0095】
(実施形態3)
本実施形態に例示する照明装置は、図11に示すように、降圧コンバータ20の代わりに、降圧を行う電源回路部として降圧チョッパ20’を備える点が実施形態2と異なる。
【0096】
降圧チョッパ20’は、降圧部203と制御部202’とを備える。降圧部203は、スイッチング素子Q3と、ダイオードD6と、インダクタL3と、平滑コンデンサC4とを備える。
【0097】
スイッチング素子Q3の一端は電源Eの高圧側に接続され、他端はインダクタL3の一端に接続される。インダクタL3の他端と電源Eの低圧側との間には、平滑コンデンサC4が接続される。また、ダイオードD6のカソードは、スイッチング素子Q3の一端(インダクタL3に接続する側の一端)に接続され、アノードは、電源Eの低圧側に接続される。
【0098】
スイッチング素子Q3がオンオフを行うと、降圧部203により、電源Eが出力する直流電圧が降圧されて照明器具Bに供給される。制御部202’の構成は、制御部202と同様であり、電流検出部12で検出される供給直流電流ILにより前述と同様に定電流制御を行う。
【0099】
本実施形態では、電源Eが出力する直流電圧が、各照明器具Bの点灯に必要な直流電圧(各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する電圧)より高い場合でも、発光ダイオード駆動回路Aにより電源Eの出力する直流電圧を降圧して照明器具Bの直列回路に供給することができる。
【0100】
本実施形態における他の構成は、実施形態2と同様である。
【0101】
(実施形態4)
本実施形態では、図12に示すように、車のシートの照明や足元の照明などに用いられる複数個の照明器具を備える車室内用照明装置を例示する。複数台の照明器具Bは、接続線CL2で直列に接続されて照明器具Bの直列回路を構成し、照明器具Bの直列回路は、一対の給電線PL1,PL2で発光ダイオード駆動回路Aに接続される。照明器具Bの基本構成は実施形態1の構成と同様であるが、車室内用であるため反射板Fを有さない点が異なる。
【0102】
発光ダイオード駆動回路Aの基本構成は、実施形態1の発光ダイオード駆動回路Aの構成と同じであるが、昇圧チョッパ10の代わりに、昇降圧コンバータであるフライバックコンバータ30を有する点が異なる。
【0103】
フライバックコンバータ30は、昇降圧部301と、制御部302とを備える。昇降圧部301は、フライバックトランス3011と、ダイオードD7と、平滑コンデンサC5と、スイッチング素子Q4とを備える。スイッチング素子Q4には、MOSFETなどが用いられる。
【0104】
フライバックトランス3011は、電源Eの高圧側に一端が接続されるとともにコア3011cに巻き回される電源側巻線3011aと、電源側巻線3011aに離間して電源側巻線3011aと逆向きにコア3011cに巻き回される出力側巻線3011bとを備える。出力側巻線3011bは、一端が電源Eの低圧側に接続される。
【0105】
電源側巻線3011aの他端は、スイッチング素子Q4の一端に接続され、スイッチング素子Q4の他端は、電源Eの低圧側に接続される。
【0106】
出力側巻線3011bの他端は、ダイオードD7のアノードに接続される。ダイオードD7のカソードは、平滑コンデンサC5の一端に接続され、平滑コンデンサC5の他端は、電源Eの低圧側に接続される。
【0107】
スイッチング素子Q4がオンになると、電源側巻線3011aに直流電流が流れて電源側巻線3011aに磁気エネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Q4がターンオフにすると、電源側巻線3011aに蓄えられていた磁気エネルギーに応じた大きさの直流電圧が出力される。電源側巻線3011aに蓄えられる磁気エネルギーはスイッチング素子Q4のオン時間によるから、スイッチング素子Q2のオンデューティーを変えることによりフライバックコンバータ30の出力電圧を変えることができる。すなわち、フライバックコンバータ30は、昇降圧を行うことができる。
【0108】
スイッチング素子Q4のオンオフの制御は、制御部302が行う。制御部302の構成は実施形態1の制御部102の構成と同様であり、制御部302は定電流制御を行う。
【0109】
本実施形態では、フライバックコンバータ30は電源Eが出力する直流電圧を昇降圧させるから、電源Eの電圧の大きさにかかわらず各発光ダイオードLEDを定格電圧で点灯させることができる。
【0110】
(実施形態5)
本実施形態に例示する照明装置は、図13に示すように、電圧検出部11(図12参照)の代わりに第1検出部31を備え、電流検出部12(図12参照)の代わりに第2検出部32を備える点が実施形態4と異なる。
【0111】
第1検出部31は、コア3011cに巻き回される検出用巻線311と、検出用巻線311の一端にアノードが接続されるダイオードD8と、ダイオードD8のカソードと検出用巻線311の他端とに両端がそれぞれ接続される平滑コンデンサC6とを備える。検出用巻線311の一端(平滑コンデンサC6の一端が接続された側の端)は接地される。
【0112】
第1検出部31の構成は、フライバックコンバータ30の出力側(出力側巻線3011b、ダイオードD4、平滑コンデンサC3での構成)の構成と同様であり、第1検出部31は、出力直流電圧に応じた電圧を出力する。平滑コンデンサC4の一端(ダイオードD5のカソードに接続された側)は、スイッチ制御部である制御部302に接続される。
【0113】
第2検出部32は、制御用スイッチング素子であるスイッチング素子Q4と電源Eの低圧側との間に接続される電流検出用抵抗R16を備える。すなわち、電流検出用抵抗R16は、電源側巻線3011aに直列に接続される。
【0114】
電流検出用抵抗R9の一端(スイッチング素子Q4に接続する側)は制御部302に接続される。すなわち、第1検出部31は、フライバックコンバータ30の入力電流を検出し、第1検出部31の検出した検出電圧は、制御部302に入力される。
【0115】
制御部302は、第2検出部32が検出する電流により前述と同様に定電流制御を行い、また、第1検出部31が検出する電圧により、前述と同様に、給電線PL1,PL2などに断線が発生した場合に発光ダイオード駆動回路Aの動作を停止させる。
【0116】
本実施形態では、上述のように、第1検出部31と第2検出部32とは、フライバックコンバータ30の出力側から絶縁されているから、制御部302もフライバックコンバータ30の出力側から絶縁されている。したがって、照明器具Bの台数が多く発光ダイオード駆動回路Aの出力電圧が高い場合においても、制御部302の安全性が確保される。
【0117】
(実施形態6)
本実施形態に例示する照明装置は、図14に示すように、発光ダイオード駆動回路Aと照明器具Bの直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子Q5と、調光用スイッチング素子Q5のオンオフを制御する調光用制御回路40とを備える点が、実施形態2の構成と異なる。調光用スイッチング素子Q5には、MOSFETなどが用いられる。
【0118】
調光用制御回路7は、外部から調光信号を受け、調光信号に指示された調光レベルに応じて、図15に示すように、調光用スイッチング素子Q5のオンオフを制御する矩形波の信号を出力する。矩形波の幅に応じて調光用スイッチング素子Q5のオンデューティーは変化し、照明器具Bの直列回路に供給される電流の時間平均値が変化して調光が行われる。
【0119】
具体的に説明すると、矩形波の幅がt1のときに発光ダイオードLEDが定格電流で点灯しているとすると、矩形波の幅をt1からt2に小さくすることで供給直流電流ILの時間平均値を小さくし、発光ダイオードLEDの輝度を低下させる。
【0120】
矩形波の周波数f(f=1/T、Tは矩形波の周期)は、ちらつきや騒音を抑えるため、百Hz〜数kHzに設定される。
【0121】
したがって、図14に示すように、スイッチング素子Q2(図10参照)の駆動周波数(数百kHz)の方が調光用スイッチング素子Q5の駆動周波数より大きく、調光用スイッチング素子Q5がオフの間にもスイッチング素子Q2はオンオフを行う。
【0122】
調光用スイッチング素子Q5がオフの間、スイッチング素子Q2はオンオフを行って定電流制御をしようとし、スイッチング素子Q2がターンオンした際に、平滑コンデンサC3の放電電流により一時的に供給直流電流ILが大きくなる場合は、平滑コンデンサC3の容量を小さくすることで大きな供給直流電流ILが流れる時間を短くして、発光ダイオード駆動回路Aの負担を軽減する。
【0123】
本実施形態の他の構成は、実施形態2の構成と同様である。なお、実施形態1や実施形態3〜5に、調光用スイッチング素子Q5と調光用制御回路40とを付加する構成とすることもできる。
【0124】
(実施形態7)
本実施形態に例示する照明装置は、車室内に設置される照明装置で、図16に示すように、照明器具Bの台数(図示例では4台)と同数(図示例では4個)の消灯用スイッチSWを備える点が実施形態6の構成と異なる。
【0125】
消灯用スイッチSWには、押しボタンスイッチなどが用いられる。各消灯用スイッチSWは、スイッチ用接続線CL2を用いて各照明器具Bにそれぞれ並列に接続される。消灯用スイッチSWをオンにすると、消灯用スイッチSWに並列に接続された照明器具Bには電流が供給されず、消灯する。すなわち、各消灯用スイッチSWは、各照明器具Bの点灯、消灯をそれぞれ切り替えることができる。運転者や同乗者は、消灯用スイッチSWを操作することにより各照明器具Bを個別に点灯、消灯させることができる。
【0126】
本実施形態の他の構成は、実施形態6の構成と同様である。なお、実施形態1〜実施形態5の構成に消灯用スイッチSWを付加することもできる。
【0127】
(実施形態8)
本実施形態に例示する照明装置は、図17に示すように、消灯用スイッチSWが接続されない照明器具B(図における一番下の照明器具B)が存在する点が、実施形態7の構成と異なる。また、電源Eの高圧側と発光ダイオード駆動回路Aとの間には、電源スイッチ3が接続されている。
【0128】
消灯用スイッチSWが接続されない照明器具Bが存在するから、全ての消灯用スイッチSWがオンであっても、発光ダイオード駆動回路Aの出力側は短絡状態(2次短絡状態)になることはない。したがって、発光ダイオード駆動回路Aは、電源スイッチ3がターンオンして電力が投入される際において、2次短絡状態であることがなく、発光ダイオード駆動回路Aの安全性が確保される。
【0129】
ところで、発光ダイオード駆動回路Aの出力する電力量が大きいと発光ダイオード駆動回路Aの負担が大きく、発光ダイオード駆動回路Aが故障する虞がある。
【0130】
そこで、本実施形態では、発光ダイオード駆動回路Aの出力電力量を規制するため、出力直流電圧Vの大きさに応じて供給直流電流ILの大きさを変える機能が付与されている。
【0131】
具体的には、発光ダイオード駆動回路Aは、出力直流電圧Vが大きくなると出力電流を制限する電流制限回路(図示せず)を備える。図18(a)に示すように、出力直流電圧Vが、各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する通常状態V1(供給直流電流はI1)から発光ダイオード駆動回路Aの負担が大きくなる電圧V2になると、電流制限回路により供給直流電流ILが制限される。
【0132】
また、出力直流電圧Vの大きさに比例して第2基準電圧を小さくする電圧調整回路(図示せず)を発光ダイオード駆動回路Aに設け、図18(b)に示すように、出力直流電圧Vの増加に伴って供給直流電流ILが徐々に小さくするようにすることもできる。
【0133】
なお、図18(a),(b)において、出力直流電圧がVmax(>V2)になると、前述のようにコンパレータCP1(図3参照)により発光ダイオード駆動回路Aの動作を停止させる。
【0134】
上述のような、発光ダイオード駆動回路Aの負担を軽減する機能を、実施形態1〜7に付加することができる。
【0135】
本実施形態の他の構成は、実施形態7の構成と同様である。
【0136】
(実施形態9)
本実施形態に例示する照明装置は、図19に示すように、消灯用スイッチSWの代わりに、複数個(図示例では3個)の消灯用スイッチ部50と遠隔操作ユニット60とを備える点が実施形態6と異なる。
【0137】
各消灯用スイッチ部50は、消灯用スイッチであるスイッチング素子Q6と、スイッチング素子Q6に接続される分圧抵抗R9,10の直列回路と、スイッチング素子Q7と、スイッチング素子Q7に接続される分圧抵抗R11,R12の直列回路とをそれぞれ備える。
【0138】
本実施形態では、スイッチング素子Q6にはPNP型のバイポーラトランジスタが用いられる。スイッチング素子Q6は、各照明器具Bにそれぞれ並列に接続される。具体的には、エミッタは、発光ダイオードユニットUの一端(端に位置する発光ダイオードLEDの一端であって、カソードが他の発光ダイオードLEDに接続されている側の発光ダイオードLEDのアノード)に接続され、コレクタが発光ダイオードユニットUの他端に接続される。
【0139】
分圧抵抗R9,R10の直列回路は、一端(分圧抵抗R9側)がスイッチング素子Q6のエミッタに接続され、接続端がスイッチング素子Q6のベースに接続される。
【0140】
スイッチング素子Q7には、NPN型のバイポーラトランジスタが用いられる。スイッチング素子Q7は、コレクタが分圧抵抗R9,10の直列回路の一端(分圧抵抗R9側)に接続され、エミッタが給電線PL2に接続される。
【0141】
分圧抵抗R9,R10の抵抗値は、スイッチング素子Q7がオンになると、スイッチング素子Q6もオンになるような値に設定される。
【0142】
分圧抵抗R11,12の直列回路は、一端(分圧抵抗R12側)がスイッチング素子Q7のエミッタに接続され、接続端がスイッチング素子Q7のベースに接続される。
【0143】
遠隔操作ユニット60は、運転席などに設置される。遠隔操作ユニット60は、消灯用スイッチ部50の個数(図示例では3個)に応じた個数(図示例では3個)の操作スイッチ61と、操作スイッチ61の一端と電源Vccとに両端がそれぞれ接続される複数個(図示例では3個)の抵抗R13とを備える。各操作スイッチ61の他端は、信号線SLを介して分圧抵抗R11,12の直列回路の一端(抵抗R11側)にそれぞれ接続される。
【0144】
操作スイッチ61には押しボタンスイッチなどが用いられ、運転者などにより操作される。操作スイッチ61がオンになると、電源Vccと給電線PL2との間の電圧は分圧抵抗R11,12で分圧されてスイッチング素子Q7のベースに入力され、スイッチング素子Q7がターンオンする。
【0145】
スイッチング素子Q7がオンになると、上述したようにスイッチング素子Q6もオンになり、スイッチング素子Q6が接続された照明器具Bは消灯する。したがって、各操作スイッチ61をそれぞれ操作することにより、各照明器具Bをそれぞれ点灯、消灯させることができる。
【0146】
なお、スイッチング素子Q7を用いずに、遠隔操作ユニット60が直接スイッチング素子Q6のオンオフを制御するように構成することもできる。
【0147】
また、消灯スイッチ部50を、オンオフを保持できるラッチリレーで構成することもできる。
【0148】
本実施形態では、消灯用スイッチであるスイッチング素子Q6を遠隔操作ユニット60で操作することができるから、スイッチング素子Q6を照明器具Bの近くに設置することができ、結果、スイッチ用接続線CL2を短くすることができる。すなわち、スイッチ用接続線CL2を延長して消灯用スイッチを運転席の近くに設置して消灯用スイッチを運転者が直接操作する構成に比べ、スイッチ用接続線CL2が短くなる。
【0149】
したがって、スイッチ用接続線CL2で消費される電力(電力ロス)が少なく、点灯効率を高めることができる。
【0150】
なお、ヘッドランプなどの車両用照明装置と、シートの照明など車室内用照明装置とを1台の車にそれぞれ設置する場合においては、各照明装置がそれぞれ備える各照明器具Bを1台の発光ダイオード駆動回路Aで駆動させる構成とすることができる。また、各照明装置の発光ダイオード駆動回路Aを同一の基板上にそれぞれ形成する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】実施形態1の回路図である。
【図2】同上の発光ダイオード駆動回路の回路図である。
【図3】同上の制御部の回路図である。
【図4】同上の別形態の回路図である。
【図5】同上の別形態の回路図の一部である。
【図6】同上の別形態の回路図である。
【図7】同上の別形態の回路図である。
【図8】同上の別形態の回路図である。
【図9】同上の別形態の回路図である。
【図10】実施形態2の回路図である。
【図11】実施形態3の回路図である。
【図12】実施形態4の回路図である。
【図13】実施形態5の回路図である。
【図14】実施形態6の回路図である。
【図15】同上の調光用スイッチング素子の出力波形である。
【図16】実施形態7の回路図である。
【図17】実施形態8の回路図である。
【図18】同上の発光ダイオード駆動回路が出力する直流電圧と、照明器具の直列回路に供給される直流電流の時間平均値との関係を表す図である。
【図19】実施形態9の回路図である。
【図20】従来例の回路図である。
【図21】他の従来例の回路図である。
【符号の説明】
【0152】
10 昇圧チョッパ
20 降圧コンバータ(電源回路部)
20’ 降圧チョッパ(電源回路部)
30 フライバックコンバータ
40 調光用制御回路
50 消灯用スイッチ部
60 遠隔制御ユニット
202 制御部(スイッチ用制御部)
302 制御部(スイッチ用制御部)
311 検出用巻線
3011a 電源側巻線
3011b 出力側巻線
A 発光ダイオード駆動回路
B 照明器具
F 反射板
Q4 スイッチング素子(制御用スイッチング素子)
Q5 調光用スイッチング素子
Q6 スイッチング素子(消灯用スイッチ)
SW 消灯用スイッチ
LED 発光ダイオード
PL1,PL2 給電線
CL1 接続線
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明装置、その照明装置を車室内に用いる車室内用照明装置、その照明装置を車両に用いる車両用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオードを光源とする照明器具と、当該照明器具を駆動させる発光ダイオード駆動回路とを備える照明装置が提供されている。
【0003】
発光ダイオードは、白熱電球と比べ長寿命で応答性が速く構造上コンパクトに実装でき、用途に応じてカラーフィルタなしで各種の色を簡単に表現できる。
【0004】
また、発光ダイオードの輝度は、順電流(順方向電流)に強い相関があり、順電流を増加させると閾値電流までは単調増加で輝度が大きくなる。したがって、順電流を変化させることで簡単に調光を行うことができる。
【0005】
発光ダイオードにおいては、近年、白色発光ダイオードの量産化が盛んに行われており、その用途も多様化している。車両の分野でも、車室内の白色の照明として活用されたり、高輝度化によるヘッドライトや、デイタイムランニングランプに用いるための開発が行われている。白色発光ダイオードを光源として用いると、蛍光ランプなどを用いる場合に比べ照明器具が薄く立体的に実装でき、車のデザインなど形状に制限を与えない自由な設計が可能になる。
【0006】
発光ダイオードの発光色を白色にする方法としては、青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いるものがある。この方法で製造される白色発光ダイオードにおいては、順電流が変化すると、輝度とともに色合いが変わることがある。
【0007】
具体的には、順電流が低下すると黄色方向にシフトし、順電流が増加すると青色方向にシフトする傾向にある。
【0008】
したがって、白色発光ダイオードを光源とする照明器具を複数台有する照明装置においては、各照明器具にそれぞれ供給される電流が各照明器具間でばらつくと、各照明器具間において輝度や色合いのばらつきが生じることがある。
【0009】
複数台の照明器具を備える照明装置として、図20に示すように、車のヘッドライトに用いられる照明装置がある。照明器具Bは、2台であって、複数個の発光ダイオードLEDを直列に接続した発光ダイオードユニットUを光源として備える。2台の照明器具Bは、2台の発光ダイオード駆動回路Aに、2対(4本)の給電線PL1,PL2でそれぞれ接続されている。発光ダイオードLEDの光は、反射板Fにより配光が行われる。
【0010】
各発光ダイオード駆動回路Aは、電源である車が備えるバッテリに接続されている。各発光ダイオード駆動回路Aは直流電圧を出力するとともに、出力する直流電流の電流値の制御を行い、各照明器具Bを駆動(点灯)させる。
【0011】
図20に示す構成においては、各発光ダイオード駆動回路Aを構成する部品特性のばらつきや発光ダイオードユニットUを構成する発光ダイオードLEDの特性のばらつきなどにより、各照明器具Bにそれぞれ供給される供給直流電流が各照明器具B間でばらつくことがあり、上述したように、輝度や色合いがばらつくことがある。
【0012】
輝度や色合いのばらつきを低減させるためには、発光ダイオードLEDの選別を行ったり、発光ダイオード駆動回路Aに精度の良い部品を使用して発光ダイオード駆動回路Aによる電流制御の精度を向上させたりする必要がある。
【0013】
一方、図21に示すように、車室内の照明に使用される照明装置がある。基本的な構成は図20の構成と同様であるが、この照明器具Bは、各座席の照明や足元の照明に用いられるものであり、台数が多い。図21に示す照明装置は、各発光ダイオード駆動回路Aの動作を集中制御する制御ユニットHを備える。制御ユニットHにより、各発光ダイオード駆動回路Aがそれぞれ備えるスイッチングレギュレータRを制御して各照明器具Bに供給される直流電流の大きさを制御している。
【特許文献1】特開2006−73400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図20の構成では、発光ダイオードLEDの選別を行うと作業工数が増大し、精度のよい部品を使用すると歩留まりが悪くなり発光ダイオード駆動回路Aが高価になるという問題がある。
【0015】
また、図21の構成では、各照明器具Bに各発光ダイオード駆動回路Aをそれぞれ接続するから、照明器具Bの台数が多いと、その分、給電線PL1,PL2の本数が多くなって施工作業(結線作業)がし難くなるという問題がある。
【0016】
また、各照明器具Bと発光ダイオード駆動回路Aとの間の距離が大きくなると、給電線PL1,PL2が長くなり、結線作業がし難く、給電線PL1,PL2が煩雑になるという問題もある。
【0017】
さらに、照明器具Bの台数に応じた台数の発光ダイオード駆動回路Aが必要であり、照明器具の台数が多いとその分発光ダイオード駆動回路Aの台数も多くなってコストが増大するという問題もある。
【0018】
ところで、パイロットランプなどに用いられる発光ダイオードは数十mA程度の電流で使用されるが、照明の用途に使用される発光ダイオードにおいては、数百mAから数Aの領域の電流で使用される。したがって、発光ダイオードを光源とする照明装置においては、給電線で消費される電力(電力ロス)が大きくなるという問題がある。電力ロスを低減するために給電線を太くすることが考えられるが、給電線を太くすると給電線の重量が増大する。車に使用される照明装置においては、重量の増加は燃費に悪影響を及ぼすことになる。
【0019】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、発光ダイオードを備える複数個の照明器具を備える照明装置において、各照明器具を輝度や色合いがばらつくことなく点灯させることができ、また、コストを低減することができるとともに結線作業を容易にでき、さらに、給電線を含む配線での電力ロスを抑えて効率を高めることができる照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、発光ダイオードをそれぞれ有する複数個の照明器具と、直流電圧を出力する発光ダイオード駆動回路とを備え、複数個の照明器具は接続線を介して直列接続されて直列回路を構成し、照明器具の直列回路の両端と発光ダイオード駆動回路の出力端とは一対の給電線を介して接続されることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、複数台の照明器具は直列接続されるから、各照明器具には同一電流値の直流電流が供給され、各照明器具間で輝度の差異が生じないという利点がある。また、各照明器具には同一電流値の直流電流が供給されるから、光源として青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いた白色発光ダイオードを使用する場合においても、各照明器具間で色合いが変わることがない。
【0022】
また、1台の発光ダイオード駆動回路で複数台の照明器具を駆動(点灯)させるから、複数台の照明器具を複数台の発光ダイオード駆動回路でそれぞれ駆動(点灯)させる従来構成よりも発光ダイオード駆動回路の台数を少なくすることができ、コストを安くすることができるという利点がある。
【0023】
さらに、発光ダイオード駆動回路と照明器具の直列回路とは一対の給電線で接続され、各照明器具間は接続線で接続されるから、各照明器具の駆動に必要な配線(給電線および接続線)の数は、照明器具の台数に1を加えた値になる(電力線は2本、接続線は、照明器具の台数引く1本)。前記従来構成では、必要な配線(給電線)の数は、照明器具の台数に2を乗じた値になる。したがって、前記従来構成よりも配線の数が少なくなる。配線の数が少なくなるから、前記従来構成よりも配線作業が容易になるという利点がある。また、配線の数が少ないから、通常、前記従来構成よりも配線の長さ寸法の総和が小さくり、配線で消費される電力ロスが小さくなって、点灯効率を高めることができるという利点がある。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記発光ダイオード駆動回路と前記照明器具の直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子と、調光用スイッチング素子のオンデューティーを制御する調光用制御回路とを備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、調光信号が入力された調光用制御回路は、調光信号に応じて調光用スイッチング素子のオンデューティーを変えるから、調光信号により調光を行うことができるという利点がある。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記各照明器具にそれぞれ並列に接続される複数個の消灯用スイッチを備えることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、各消灯用スイッチをオンにすることで各照明器具をそれぞれ消灯させることができるから、各照明器具を個別に点灯、消灯させることができ、利便性が良いという利点がある。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、複数個の前記照明器具のうち少なくとも1つの照明器具を除く他の照明器具の個々に並列に接続される消灯用スイッチを備えることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、消灯用スイッチをオンにすることで消灯用スイッチが並列接続された照明器具を消灯させることができるから、消灯用スイッチが並列接続された照明器具を個別に点灯、消灯させることができ、利便性がよい。また、全ての消灯用スイッチがオンとなっても、消灯用スイッチが接続されていない照明器具により発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態になることがない。発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態になることがないから、発光ダイオード駆動回路が2次短絡状態で発光ダイオード駆動回路に電源が投入されることがなく、発光ダイオード駆動回路の安全性を確保できるという利点がある。
【0030】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4に記載の発明において、前記消灯用スイッチはスイッチング素子であり、消灯用スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニットを備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、消灯スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニット備えるから、消灯用スイッチを照明器具の近傍に設置することができ、消灯用スイッチと照明器具とを接続する線を短くすることができる。したがって、消灯用スイッチと配線器具とを接続する線で消費される電力(電力ロス)が少なくなり、点灯効率を高めることができるという利点がある。
【0032】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、昇圧チョッパを備えることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は昇圧チョッパを備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧が低い場合であっても、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0034】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、降圧を行う電源回路部を備えることを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は降圧を行う電源回路部を備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧が高い場合であっても、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0036】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記発光ダイオード駆動回路は、昇降圧コンバータを備えることを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、発光ダイオード駆動回路は昇降圧コンバータを備えるから、発光ダイオード駆動回路に入力される電圧の大きさにかかわらず、各発光ダイオードを定格電圧で点灯させることができるという利点がある。
【0038】
請求項9の発明は、請求項8に記載の発明において、前記昇降圧コンバータは、電源側巻線と出力側巻線とを有するトランスと、電源側巻線に直列に接続される制御用スイッチング素子と、制御用スイッチング素子のオンオフを制御するスイッチ制御部とを備え、前記発光ダイオード駆動回路は、電源側巻線に電磁結合する検出用巻線を有しトランスの出力電圧を検出する第1検出部と、電源側巻線に直列に接続される電流検出用抵抗を有しトランスの入力電流を検出する第2検出部とを備え、第1検出部および第2検出部はスイッチ制御部に接続され、スイッチ制御部は、第1検出部で検出される電圧と第2検出部で検出される電流とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、第1検出部および第2検出部は、トランスの出力側から絶縁されているから、第1検出部および第2検出部が接続されるスイッチ制御部は、トランスの出力側から絶縁される。したがって、スイッチ制御部は、トランスの出力側から絶縁された状態で、トランスの入力電流と出力電圧とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することができるという利点がある。
【0040】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の発明において、前記各照明器具は、反射面を形成する導体部を有し発光ダイオードに近接して配設され発光ダイオードの光の配光を行う反射板をそれぞれ備え、導体部には、一端が接地されるとともに給電線に近接したグランド線が接続されることを特徴とする。
【0041】
この構成によれば、一端が接地されるグランド線と給電線とは平行であり、また、近接しているから、照明器具の直列回路に供給される直流電流に重畳する高周波ノイズが給電線において低減されるという利点がある。
【0042】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具が車室内に設置される車室内用照明装置であることを特徴とする。
【0043】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具と前記発光ダイオード駆動回路と前記給電線と前記接続線とが車両に設置される車両用照明装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、複数個の照明器具を備える照明装置において、各照明器具間で輝度や色合いがばらつかず、コストが低く、結線作業が容易であり、配線における電力ロスを少なくして効率を高めた照明装置、車室内用照明装置、車両用照明装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(実施形態1)
本実施形態では、図1に示すように、車のヘッドライト(または、デイタイムランニングランプ)として用いられる同仕様の2台の照明器具Bと、各照明器具Bを駆動(点灯)させる1台の発光ダイオード駆動回路Aとを備える車両用照明装置を例示する。2台の照明器具Bは、接続線CL1を介して直列接続される。照明器具Bの直列回路の両端は、一対の給電線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aの出力端に接続される。
【0046】
本実施形態では、車両用照明装置を例示するが、これに限るものではなく、図4に示すように、車室内における各シートの照明、足元の照明、運転席の照明などに用いられる複数台の照明器具Bを備える車室内用照明装置であってもよい。複数台の照明器具Bは、接続線CL1を介して直列接続され、照明器具Bの直列回路は、一対の電源線PL1,PL2を介して発光ダイオード駆動回路Aに接続される。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の2台の照明器具Bは、複数個の発光ダイオードLEDを直列接続した発光ダイオードユニットUをそれぞれ備える。発光ダイオードユニットUは、一の発光ダイオードLEDのカソードに他の発光ダイオードLEDのアノードが接続される形で直列接続される。但し、発光ダイオードユニットUは、1個の発光ダイオードLEDのみからなる構成であってもよく、必要とされる輝度に応じて個数を変えることができる。
【0048】
一方の照明器具Bが備える発光ダイオードユニットU(図における上側の発光ダイオードユニットU)は、一端(端に位置する発光ダイオードLEDのアノード)が、発光ダイオード駆動回路Aの高圧側出力端に接続する給電線PL1に接続され、他端が接続線CL1に接続される。他方の照明器具Bが備える発光ダイオードユニットU(図における下側の発光ダイオードユニットU)は、一端(端に位置する発光ダイオードLEDのアノード)が接続線CL1に接続され、他端が、発光ダイオード駆動回路Aの低圧側出力端に接続する給電線PL2に接続される。
【0049】
なお、図5に示すように、発光ダイオードユニットUに、同様の構成の発光ダイオードユニットUを1個または複数個並列に接続することもできる。
【0050】
発光ダイオードLEDには、青色発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いた白色発光ダイオードを用いる。但し、他の色の発光ダイオードや他の構成の白色発光ダイオードを用いることもできる。
【0051】
各照明器具Bは、図1に示すように、底面に開口を備える椀状に形成され内側に発光ダイオードユニットUが配設される反射板Fをそれぞれ備える。反射板Fは、発光ダイオードLEDが内面に近接する程度の大きさに形成されるとともに、内面が反射面に形成される。発光ダイオードLEDの光は反射板Fの内面(反射面)で反射され、反射板Fの開口より放出される。反射板Fの開口の口軸方向が車の前方になるように反射板Fは配設される。
【0052】
発光ダイオード駆動回路Aは、電源Eに接続される。電源Eは車に積載されるバッテリであり、たとえば、約12Vの直流電圧を出力する。但し、図6に示すように、交流電源である電源E’を電源とすることもできる。その場合、整流部DBと平滑コンデンサC1とを備える直流変換回路Gを電源E’と発光ダイオード駆動回路Aとの間に設ける。整流部DBには、ダイオードブリッジなどが用いられる。
【0053】
発光ダイオード駆動回路Aは、図2に示すように、電源Eより入力される直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ10と、発光ダイオード駆動回路Aが出力する直流電圧(以下、出力直流電圧と呼ぶ。)を検出する電圧検出部11と、照明器具Bの直列回路に供給される供給直流電流ILを検出する電流検出部12とを備える。
【0054】
昇圧チョッパ10は、昇圧を行う昇圧部101と昇圧部101の昇圧動作を制御する制御部102とを備える。昇圧部101は、電源Eの高圧側に一端が接続されるインダクタL1と、インダクタL1の他端にアノードが接続されるダイオードD1と、ダイオードD1のカソードと電源Eの低圧側とに両端がそれぞれ接続される平滑コンデンサC2と、ダイオードD1のアノードと電源Eの低圧側との間に接続されるスイッチング素子Q1とを備える。スイッチング素子Q1には、MOSFETなどが用いられる。
【0055】
制御部102は、図3に示すように、第1基準電圧生成部1022と、第2基準電圧生成部1023と、オペアンプからなる差動増幅器1024と、2個のダイオードD2,D3と、2個のコンパレータCP1、CP2と、三角波を出力する発振器OSCと、スイッチング素子Q1を駆動するドライブ回路1021とを備える。
【0056】
第1基準電圧生成部1022は、分圧抵抗R4,R5の直列回路を備える。分圧抵抗R4,R5の直列回路は、一端(分圧抵抗R4側)に基準電圧Vrefが印加され、他端(分圧抵抗R5側)は接地され、接続端がコンパレータCP1の反転入力端子に接続される。
【0057】
第2基準電圧生成部1023は、分圧抵抗R6,R7の直列回路を備える。分圧抵抗R6,R7の直列回路は、一端(分圧抵抗R6側)は基準電圧Vrefが印加され、他端(分圧抵抗R7側)は接地され、接続端は差動増幅器1024の反転入力端子に接続される。すなわち、第2基準電圧生成部2023は、定電源Vrefと接地点との間の電圧を分圧して第2基準電圧を生成し、生成された第2基準電圧は差動増幅器1024の反転入力端子に入力される。また、差動増幅器1024の反転入力端子と出力端子との間には、抵抗R8が接続される。
【0058】
コンパレータCP1の出力端子はダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードはコンパレータCP2の反転入力端子に接続される。また、差動増幅器1024の出力端子はダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはコンパレータCP2の反転入力端子に接続される。
【0059】
コンパレータCP2の非反転入力端子は、三角波を出力する発振器OSCに接続され、出力端子はドライブ回路1021に接続される。ドライブ回路1021の出力端子はスイッチング素子Q1の制御端子(図示せず)に接続される。
【0060】
発光ダイオード駆動回路Aが備える電圧検出部11は、分圧抵抗R1,R2の直列回路を備える。分圧抵抗R1,R2の直列回路は、平滑コンデンサC2に並列に接続され、接続端がコンパレータCP1の非反転入力端子に接続される。すなわち、電圧検出部11は、出力直流電圧を検出し、電圧検出部11の検出値はコンパレータCP1の非反転入力端子に入力される。
【0061】
電流検出部12は、電流検出用抵抗R3を備える。電流検出用抵抗R3は、一端が平滑コンデンサC2の一端(電源Eの低圧側に接続される側)に接続され、他端は給電線PL2および差動増幅器1024の非反転入力端子に接続される。すなわち、電流検出部12は供給直流電流を検出し、電流検出部12の検出電圧は差動増幅器1024の非反転入力端子に入力される。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。差動増幅器1024は、反転入力端子に入力される第2基準電圧と、非反転入力端子に入力される電流検出部12の検出値との差を増幅して出力する。コンパレータCP2は、差動増幅器1024の出力電圧と発振器OSCが出力する三角波とを比較して矩形波を出力する。スイッチ用駆動回路は、矩形波の幅に応じたオンデューティーでスイッチング素子Q1をオンオフさせ、PWM制御を行う。
【0063】
電流検出部12の検出電圧が大きくなると矩形波の幅が小さくなってスイッチング素子Q1のオンデューティーが小さくなり、供給直流電圧が小さくなって電流検出部12の検出電圧が小さくなる。また、電流検出部12の検出電圧が小さくなると矩形波の幅が大きくなってスイッチング素子Q1のオンデューティーが大きくなり、供給直流電圧が大きくなって電流検出部12の検出電圧が大きくなる。
【0064】
したがって、供給直流電流ILは一定値に保たれる。すなわち、発光ダイオード駆動回路Aは、制御部102により定電流制御がなされる。
【0065】
供給直流電流ILは、第2基準電圧を生成する分圧抵抗R6,R7の抵抗値により発光ダイオードLEDの定格電流になるように設定される。
【0066】
なお、コンパレータCP2が出力する矩形波の周波数は発振器OSCが出力する三角波の周波数に一致し、ドライブ回路2011は、矩形波の周波数に一致する周波数でスイッチング素子Q1を駆動させる。すなわち、スイッチング素子Q1の駆動周波数は、三角波の周波数に一致する。本実施形態では、三角波の周波数は数百kHzに設定され、スイッチング素子Q1は数百kHzの駆動周波数で駆動する。
【0067】
また、本実施形態では、2台の照明器具Bには、15V〜25Vの直流電圧を印加することで発光ダイオードLEDに定格電流が流れる仕様のものが用いられている。発光ダイオード駆動回路Aは、電源Eの電圧(約12V)を30〜50Vに昇圧して出力し、各照明器具Bをそれぞれ点灯させる。
【0068】
本実施形態では、発光ダイオード駆動回路Aが昇圧チョッパ10を備えることで、電源Eの電圧が低くても(12V)、各発光ダイオードLEDを定格電圧で点灯させることができる電圧(30〜50V)の直流電圧を、照明器具Bの直列回路に供給することができる。
【0069】
次に、コンパレータCP1について説明する。コンパレータCP1は、反転入力端子に入力される第1基準電圧と、非反転入力端子に入力される出力直流電圧に応じた電圧とを比較して、ハイレベルまたはロウレベルの電圧を出力する。コンパレータCP1の出力電圧がロウレベルであるときはコンパレータCP2の出力電圧は差動増幅器1024の出力電圧に依存し、上述のように制御部102は定電流制御を行う。
【0070】
コンパレータCP1の出力電圧がハイレベルであるときは、コンパレータCP2はロウレベルの電圧を出力し、スイッチ用駆動回路1021はスイッチング素子Q1をOFFにする。結果、発光ダイオード駆動回路Aは出力を停止する。
【0071】
照明器具B内や給電線PL1,PL2や接続線CL1において断線などが発生して供給直流電流ILが極端に低下すると、定電流制御により出力直流電圧が大きくなり過ぎて発光ダイオード駆動回路Aが故障する虞がある。本実施形態では、コンパレータCP1により、そのような場合に発光ダイオード駆動回路Aの動作が停止される。すなわち、コンパレータCP1は、過電圧防止用として用いられている。
【0072】
ところで、上述したように、第2基準電圧により供給直流電流ILの安定値が決まるから、第2基準電圧を変えると供給直流電流ILの安定値が変わり、結果、調光を行うことができる。たとえば、図7に示すように、分圧抵抗R6,R7の接続端に、可変抵抗R14、抵抗R15の直列回路の一端を接続する。可変抵抗R14、抵抗R15の直列回路の他端は接地される。
【0073】
可変抵抗R14の抵抗値を変えて第2基準電圧を小さくすると、差動増幅器1024の出力電圧が大きくなってコンパレータCP2が出力する矩形波の幅が小さくなる。矩形波の幅が小さくなるとスイッチング素子Q1のオン時間が短くなって供給直流電流ILが低下する。結果、発光ダイオードLEDの輝度が低下して調光がなされる。
【0074】
可変抵抗R14に、手動で抵抗値を変えることができるものを使用すると、可変抵抗R14を操作することにより調光を行うことができる。
【0075】
また、図8に示すように、一端が接地される抵抗R17の他端を差動増幅器1024の反転増幅端子に接続し、差動増幅器1024の反転入力端子に直接制御用の電圧を入力することでも、定電流制御や調光を行うことができる。
【0076】
上述のように、本実施形態では、1台の発光ダイオード駆動回路Aで2台の照明器具Bを点灯させることができるから、2台の照明器具Bを2台の発光ダイオード駆動回路Aでそれぞれ点灯させる従来構成よりも発光ダイオード駆動回路Aの台数が少なくなる。発光ダイオード駆動回路Aの台数が少なくてすむから、前記従来構成よりも製造コストが安くなる。照明器具Bの台数が多くなるほど、より大きく製造コストを下げることができる。
【0077】
また、2台の照明器具Bは直列に接続されるから、各照明器具Bにそれぞれ供給される直流電流の電流値は同じである。したがって、供給される直流電流の電流値によっては、2台の照明器具B間で輝度や色合いのばらつきは生じない。
【0078】
ところで、本実施形態では、発光ダイオードLEDに電力を供給する配線(給電線PL1,PL2および接続線CL1)の本数は、3本である。
【0079】
一方、前記従来構成における配線(給電線)の本数は、照明器具が2台の場合、4本である。したがって、前記従来構成よりも配線の本数が少なくなり、施工作業(結線作業)が容易でなる。照明器具Bの台数が増えるほど、配線の本数の差が大きくなり、より大きな効果を奏する。
【0080】
また、照明器具Bの台数が増えても、給電線PL1,PL2の本数は2本のみでよいから、発光ダイオード駆動回路Aと照明器具Bとの間の結線作業が従来構成よりも容易になる。
【0081】
さらに、配線の本数が少ないから、通常、前記従来構成よりも配線の総長が短くなる。配線の総長が短くなることにより、配線で消費される電力(電力ロス)が少なくなって前記従来構成よりも点灯効率を高めることができる。また、配線の総長が短くなることにより配線の重量が軽くなり、車の燃費が向上する。
【0082】
ところで、反射板Fは、金属などの導体で形成される。各反射板Fの外面(反射面に形成されていない外側の面)には、図9に示すように、一端が接地されるグランド線GLを接続することができる。グランド線GLは、発光ダイオード駆動回路Aの高圧側の出力端に接続される給電線PL1と一緒に束ねられる。グランド線GLは、給電線PL1に並行して近接するように束ねられる。
【0083】
上述のように、反射板Fは椀状に形成されるとともに発光ダイオードユニットUに近接して配設され、また、グランド線GLにより接地されるから、高周波ノイズは反射板Fにより吸収される。
【0084】
また、給電線PL1は一端が接地されるグランド線GLと一緒に束ねられるから、照明器具Bの直列回路に供給される直流電流に重畳する高周波ノイズを給電線PL1において低減することができる。
【0085】
なお、不導体で形成される母材の表面を前記導体で覆うことにより反射板Fを形成することもできる。
【0086】
また、給電線PL2が接地される場合は、グランド線GLを給電線PL2に接続してもよい。
【0087】
(実施形態2)
本実施形態に例示する照明装置は、図10に示すように、発光ダイオード駆動回路Aが、昇圧チョッパ10の代わりに、降圧を行う電源回路部であるフォワード型の降圧コンバータ20を備える点が実施形態1と異なる。
【0088】
降圧コンバータ20は、降圧部201と制御部202とを備える。降圧部201は、トランス2011と、スイッチング素子Q2と、2個のダイオードD4,D5と、インダクタL2と、平滑コンデンサC3とを備える。トランス2011は、一端が電源Eの高圧側に接続されコア2011cに巻き回される電源側巻線2011aと、コア2011cに巻き回される出力側巻線2011bとを備える。
【0089】
電源側巻線2011aの一端と電源Eの低圧側との間には、スイッチング素子Q2が接続される。スイッチング素子Q2には、MOSFETなどが用いられる。出力側巻線2011bの一端は電源Eの低圧側に接続され、他端はダイオードD4のアノードに接続される。ダイオードD4のカソードはダイオードD5のカソードに接続され、ダイオードD5のアノードは電源Eの低圧側に接続される。
【0090】
ダイオードD4のカソードは、インダクタL2の一端に接続され、インダクタL2の他端と電源Eの低圧側との間に平滑コンデンサC3が接続される。
【0091】
制御部202の構成は、制御回路102の構成と基本的には同じであるが、コンパレータCP1および第1基準電圧生成部1022(図3参照)を備えない点が異なる。
【0092】
スイッチング素子Q2がオンオフを行うと、降圧部201により、電源Eが出力する直流電圧が降圧されて照明器具Bに供給される。このとき、制御部202は、電流検出部12で検出される供給直流電流ILにより前述と同様に定電流制御を行う。
【0093】
本実施形態では、電源Eが出力する直流電圧が、各照明器具Bの点灯に必要な直流電圧(各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する電圧)より高い場合でも、発光ダイオード駆動回路Aが電源Eの出力する直流電圧を降圧することにより、定格電圧で各発光ダイオードLEDを点灯させることができる。
【0094】
本実施形態における他の構成は、実施形態1と同様である。
【0095】
(実施形態3)
本実施形態に例示する照明装置は、図11に示すように、降圧コンバータ20の代わりに、降圧を行う電源回路部として降圧チョッパ20’を備える点が実施形態2と異なる。
【0096】
降圧チョッパ20’は、降圧部203と制御部202’とを備える。降圧部203は、スイッチング素子Q3と、ダイオードD6と、インダクタL3と、平滑コンデンサC4とを備える。
【0097】
スイッチング素子Q3の一端は電源Eの高圧側に接続され、他端はインダクタL3の一端に接続される。インダクタL3の他端と電源Eの低圧側との間には、平滑コンデンサC4が接続される。また、ダイオードD6のカソードは、スイッチング素子Q3の一端(インダクタL3に接続する側の一端)に接続され、アノードは、電源Eの低圧側に接続される。
【0098】
スイッチング素子Q3がオンオフを行うと、降圧部203により、電源Eが出力する直流電圧が降圧されて照明器具Bに供給される。制御部202’の構成は、制御部202と同様であり、電流検出部12で検出される供給直流電流ILにより前述と同様に定電流制御を行う。
【0099】
本実施形態では、電源Eが出力する直流電圧が、各照明器具Bの点灯に必要な直流電圧(各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する電圧)より高い場合でも、発光ダイオード駆動回路Aにより電源Eの出力する直流電圧を降圧して照明器具Bの直列回路に供給することができる。
【0100】
本実施形態における他の構成は、実施形態2と同様である。
【0101】
(実施形態4)
本実施形態では、図12に示すように、車のシートの照明や足元の照明などに用いられる複数個の照明器具を備える車室内用照明装置を例示する。複数台の照明器具Bは、接続線CL2で直列に接続されて照明器具Bの直列回路を構成し、照明器具Bの直列回路は、一対の給電線PL1,PL2で発光ダイオード駆動回路Aに接続される。照明器具Bの基本構成は実施形態1の構成と同様であるが、車室内用であるため反射板Fを有さない点が異なる。
【0102】
発光ダイオード駆動回路Aの基本構成は、実施形態1の発光ダイオード駆動回路Aの構成と同じであるが、昇圧チョッパ10の代わりに、昇降圧コンバータであるフライバックコンバータ30を有する点が異なる。
【0103】
フライバックコンバータ30は、昇降圧部301と、制御部302とを備える。昇降圧部301は、フライバックトランス3011と、ダイオードD7と、平滑コンデンサC5と、スイッチング素子Q4とを備える。スイッチング素子Q4には、MOSFETなどが用いられる。
【0104】
フライバックトランス3011は、電源Eの高圧側に一端が接続されるとともにコア3011cに巻き回される電源側巻線3011aと、電源側巻線3011aに離間して電源側巻線3011aと逆向きにコア3011cに巻き回される出力側巻線3011bとを備える。出力側巻線3011bは、一端が電源Eの低圧側に接続される。
【0105】
電源側巻線3011aの他端は、スイッチング素子Q4の一端に接続され、スイッチング素子Q4の他端は、電源Eの低圧側に接続される。
【0106】
出力側巻線3011bの他端は、ダイオードD7のアノードに接続される。ダイオードD7のカソードは、平滑コンデンサC5の一端に接続され、平滑コンデンサC5の他端は、電源Eの低圧側に接続される。
【0107】
スイッチング素子Q4がオンになると、電源側巻線3011aに直流電流が流れて電源側巻線3011aに磁気エネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Q4がターンオフにすると、電源側巻線3011aに蓄えられていた磁気エネルギーに応じた大きさの直流電圧が出力される。電源側巻線3011aに蓄えられる磁気エネルギーはスイッチング素子Q4のオン時間によるから、スイッチング素子Q2のオンデューティーを変えることによりフライバックコンバータ30の出力電圧を変えることができる。すなわち、フライバックコンバータ30は、昇降圧を行うことができる。
【0108】
スイッチング素子Q4のオンオフの制御は、制御部302が行う。制御部302の構成は実施形態1の制御部102の構成と同様であり、制御部302は定電流制御を行う。
【0109】
本実施形態では、フライバックコンバータ30は電源Eが出力する直流電圧を昇降圧させるから、電源Eの電圧の大きさにかかわらず各発光ダイオードLEDを定格電圧で点灯させることができる。
【0110】
(実施形態5)
本実施形態に例示する照明装置は、図13に示すように、電圧検出部11(図12参照)の代わりに第1検出部31を備え、電流検出部12(図12参照)の代わりに第2検出部32を備える点が実施形態4と異なる。
【0111】
第1検出部31は、コア3011cに巻き回される検出用巻線311と、検出用巻線311の一端にアノードが接続されるダイオードD8と、ダイオードD8のカソードと検出用巻線311の他端とに両端がそれぞれ接続される平滑コンデンサC6とを備える。検出用巻線311の一端(平滑コンデンサC6の一端が接続された側の端)は接地される。
【0112】
第1検出部31の構成は、フライバックコンバータ30の出力側(出力側巻線3011b、ダイオードD4、平滑コンデンサC3での構成)の構成と同様であり、第1検出部31は、出力直流電圧に応じた電圧を出力する。平滑コンデンサC4の一端(ダイオードD5のカソードに接続された側)は、スイッチ制御部である制御部302に接続される。
【0113】
第2検出部32は、制御用スイッチング素子であるスイッチング素子Q4と電源Eの低圧側との間に接続される電流検出用抵抗R16を備える。すなわち、電流検出用抵抗R16は、電源側巻線3011aに直列に接続される。
【0114】
電流検出用抵抗R9の一端(スイッチング素子Q4に接続する側)は制御部302に接続される。すなわち、第1検出部31は、フライバックコンバータ30の入力電流を検出し、第1検出部31の検出した検出電圧は、制御部302に入力される。
【0115】
制御部302は、第2検出部32が検出する電流により前述と同様に定電流制御を行い、また、第1検出部31が検出する電圧により、前述と同様に、給電線PL1,PL2などに断線が発生した場合に発光ダイオード駆動回路Aの動作を停止させる。
【0116】
本実施形態では、上述のように、第1検出部31と第2検出部32とは、フライバックコンバータ30の出力側から絶縁されているから、制御部302もフライバックコンバータ30の出力側から絶縁されている。したがって、照明器具Bの台数が多く発光ダイオード駆動回路Aの出力電圧が高い場合においても、制御部302の安全性が確保される。
【0117】
(実施形態6)
本実施形態に例示する照明装置は、図14に示すように、発光ダイオード駆動回路Aと照明器具Bの直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子Q5と、調光用スイッチング素子Q5のオンオフを制御する調光用制御回路40とを備える点が、実施形態2の構成と異なる。調光用スイッチング素子Q5には、MOSFETなどが用いられる。
【0118】
調光用制御回路7は、外部から調光信号を受け、調光信号に指示された調光レベルに応じて、図15に示すように、調光用スイッチング素子Q5のオンオフを制御する矩形波の信号を出力する。矩形波の幅に応じて調光用スイッチング素子Q5のオンデューティーは変化し、照明器具Bの直列回路に供給される電流の時間平均値が変化して調光が行われる。
【0119】
具体的に説明すると、矩形波の幅がt1のときに発光ダイオードLEDが定格電流で点灯しているとすると、矩形波の幅をt1からt2に小さくすることで供給直流電流ILの時間平均値を小さくし、発光ダイオードLEDの輝度を低下させる。
【0120】
矩形波の周波数f(f=1/T、Tは矩形波の周期)は、ちらつきや騒音を抑えるため、百Hz〜数kHzに設定される。
【0121】
したがって、図14に示すように、スイッチング素子Q2(図10参照)の駆動周波数(数百kHz)の方が調光用スイッチング素子Q5の駆動周波数より大きく、調光用スイッチング素子Q5がオフの間にもスイッチング素子Q2はオンオフを行う。
【0122】
調光用スイッチング素子Q5がオフの間、スイッチング素子Q2はオンオフを行って定電流制御をしようとし、スイッチング素子Q2がターンオンした際に、平滑コンデンサC3の放電電流により一時的に供給直流電流ILが大きくなる場合は、平滑コンデンサC3の容量を小さくすることで大きな供給直流電流ILが流れる時間を短くして、発光ダイオード駆動回路Aの負担を軽減する。
【0123】
本実施形態の他の構成は、実施形態2の構成と同様である。なお、実施形態1や実施形態3〜5に、調光用スイッチング素子Q5と調光用制御回路40とを付加する構成とすることもできる。
【0124】
(実施形態7)
本実施形態に例示する照明装置は、車室内に設置される照明装置で、図16に示すように、照明器具Bの台数(図示例では4台)と同数(図示例では4個)の消灯用スイッチSWを備える点が実施形態6の構成と異なる。
【0125】
消灯用スイッチSWには、押しボタンスイッチなどが用いられる。各消灯用スイッチSWは、スイッチ用接続線CL2を用いて各照明器具Bにそれぞれ並列に接続される。消灯用スイッチSWをオンにすると、消灯用スイッチSWに並列に接続された照明器具Bには電流が供給されず、消灯する。すなわち、各消灯用スイッチSWは、各照明器具Bの点灯、消灯をそれぞれ切り替えることができる。運転者や同乗者は、消灯用スイッチSWを操作することにより各照明器具Bを個別に点灯、消灯させることができる。
【0126】
本実施形態の他の構成は、実施形態6の構成と同様である。なお、実施形態1〜実施形態5の構成に消灯用スイッチSWを付加することもできる。
【0127】
(実施形態8)
本実施形態に例示する照明装置は、図17に示すように、消灯用スイッチSWが接続されない照明器具B(図における一番下の照明器具B)が存在する点が、実施形態7の構成と異なる。また、電源Eの高圧側と発光ダイオード駆動回路Aとの間には、電源スイッチ3が接続されている。
【0128】
消灯用スイッチSWが接続されない照明器具Bが存在するから、全ての消灯用スイッチSWがオンであっても、発光ダイオード駆動回路Aの出力側は短絡状態(2次短絡状態)になることはない。したがって、発光ダイオード駆動回路Aは、電源スイッチ3がターンオンして電力が投入される際において、2次短絡状態であることがなく、発光ダイオード駆動回路Aの安全性が確保される。
【0129】
ところで、発光ダイオード駆動回路Aの出力する電力量が大きいと発光ダイオード駆動回路Aの負担が大きく、発光ダイオード駆動回路Aが故障する虞がある。
【0130】
そこで、本実施形態では、発光ダイオード駆動回路Aの出力電力量を規制するため、出力直流電圧Vの大きさに応じて供給直流電流ILの大きさを変える機能が付与されている。
【0131】
具体的には、発光ダイオード駆動回路Aは、出力直流電圧Vが大きくなると出力電流を制限する電流制限回路(図示せず)を備える。図18(a)に示すように、出力直流電圧Vが、各発光ダイオードLEDに定格電圧を印加する通常状態V1(供給直流電流はI1)から発光ダイオード駆動回路Aの負担が大きくなる電圧V2になると、電流制限回路により供給直流電流ILが制限される。
【0132】
また、出力直流電圧Vの大きさに比例して第2基準電圧を小さくする電圧調整回路(図示せず)を発光ダイオード駆動回路Aに設け、図18(b)に示すように、出力直流電圧Vの増加に伴って供給直流電流ILが徐々に小さくするようにすることもできる。
【0133】
なお、図18(a),(b)において、出力直流電圧がVmax(>V2)になると、前述のようにコンパレータCP1(図3参照)により発光ダイオード駆動回路Aの動作を停止させる。
【0134】
上述のような、発光ダイオード駆動回路Aの負担を軽減する機能を、実施形態1〜7に付加することができる。
【0135】
本実施形態の他の構成は、実施形態7の構成と同様である。
【0136】
(実施形態9)
本実施形態に例示する照明装置は、図19に示すように、消灯用スイッチSWの代わりに、複数個(図示例では3個)の消灯用スイッチ部50と遠隔操作ユニット60とを備える点が実施形態6と異なる。
【0137】
各消灯用スイッチ部50は、消灯用スイッチであるスイッチング素子Q6と、スイッチング素子Q6に接続される分圧抵抗R9,10の直列回路と、スイッチング素子Q7と、スイッチング素子Q7に接続される分圧抵抗R11,R12の直列回路とをそれぞれ備える。
【0138】
本実施形態では、スイッチング素子Q6にはPNP型のバイポーラトランジスタが用いられる。スイッチング素子Q6は、各照明器具Bにそれぞれ並列に接続される。具体的には、エミッタは、発光ダイオードユニットUの一端(端に位置する発光ダイオードLEDの一端であって、カソードが他の発光ダイオードLEDに接続されている側の発光ダイオードLEDのアノード)に接続され、コレクタが発光ダイオードユニットUの他端に接続される。
【0139】
分圧抵抗R9,R10の直列回路は、一端(分圧抵抗R9側)がスイッチング素子Q6のエミッタに接続され、接続端がスイッチング素子Q6のベースに接続される。
【0140】
スイッチング素子Q7には、NPN型のバイポーラトランジスタが用いられる。スイッチング素子Q7は、コレクタが分圧抵抗R9,10の直列回路の一端(分圧抵抗R9側)に接続され、エミッタが給電線PL2に接続される。
【0141】
分圧抵抗R9,R10の抵抗値は、スイッチング素子Q7がオンになると、スイッチング素子Q6もオンになるような値に設定される。
【0142】
分圧抵抗R11,12の直列回路は、一端(分圧抵抗R12側)がスイッチング素子Q7のエミッタに接続され、接続端がスイッチング素子Q7のベースに接続される。
【0143】
遠隔操作ユニット60は、運転席などに設置される。遠隔操作ユニット60は、消灯用スイッチ部50の個数(図示例では3個)に応じた個数(図示例では3個)の操作スイッチ61と、操作スイッチ61の一端と電源Vccとに両端がそれぞれ接続される複数個(図示例では3個)の抵抗R13とを備える。各操作スイッチ61の他端は、信号線SLを介して分圧抵抗R11,12の直列回路の一端(抵抗R11側)にそれぞれ接続される。
【0144】
操作スイッチ61には押しボタンスイッチなどが用いられ、運転者などにより操作される。操作スイッチ61がオンになると、電源Vccと給電線PL2との間の電圧は分圧抵抗R11,12で分圧されてスイッチング素子Q7のベースに入力され、スイッチング素子Q7がターンオンする。
【0145】
スイッチング素子Q7がオンになると、上述したようにスイッチング素子Q6もオンになり、スイッチング素子Q6が接続された照明器具Bは消灯する。したがって、各操作スイッチ61をそれぞれ操作することにより、各照明器具Bをそれぞれ点灯、消灯させることができる。
【0146】
なお、スイッチング素子Q7を用いずに、遠隔操作ユニット60が直接スイッチング素子Q6のオンオフを制御するように構成することもできる。
【0147】
また、消灯スイッチ部50を、オンオフを保持できるラッチリレーで構成することもできる。
【0148】
本実施形態では、消灯用スイッチであるスイッチング素子Q6を遠隔操作ユニット60で操作することができるから、スイッチング素子Q6を照明器具Bの近くに設置することができ、結果、スイッチ用接続線CL2を短くすることができる。すなわち、スイッチ用接続線CL2を延長して消灯用スイッチを運転席の近くに設置して消灯用スイッチを運転者が直接操作する構成に比べ、スイッチ用接続線CL2が短くなる。
【0149】
したがって、スイッチ用接続線CL2で消費される電力(電力ロス)が少なく、点灯効率を高めることができる。
【0150】
なお、ヘッドランプなどの車両用照明装置と、シートの照明など車室内用照明装置とを1台の車にそれぞれ設置する場合においては、各照明装置がそれぞれ備える各照明器具Bを1台の発光ダイオード駆動回路Aで駆動させる構成とすることができる。また、各照明装置の発光ダイオード駆動回路Aを同一の基板上にそれぞれ形成する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】実施形態1の回路図である。
【図2】同上の発光ダイオード駆動回路の回路図である。
【図3】同上の制御部の回路図である。
【図4】同上の別形態の回路図である。
【図5】同上の別形態の回路図の一部である。
【図6】同上の別形態の回路図である。
【図7】同上の別形態の回路図である。
【図8】同上の別形態の回路図である。
【図9】同上の別形態の回路図である。
【図10】実施形態2の回路図である。
【図11】実施形態3の回路図である。
【図12】実施形態4の回路図である。
【図13】実施形態5の回路図である。
【図14】実施形態6の回路図である。
【図15】同上の調光用スイッチング素子の出力波形である。
【図16】実施形態7の回路図である。
【図17】実施形態8の回路図である。
【図18】同上の発光ダイオード駆動回路が出力する直流電圧と、照明器具の直列回路に供給される直流電流の時間平均値との関係を表す図である。
【図19】実施形態9の回路図である。
【図20】従来例の回路図である。
【図21】他の従来例の回路図である。
【符号の説明】
【0152】
10 昇圧チョッパ
20 降圧コンバータ(電源回路部)
20’ 降圧チョッパ(電源回路部)
30 フライバックコンバータ
40 調光用制御回路
50 消灯用スイッチ部
60 遠隔制御ユニット
202 制御部(スイッチ用制御部)
302 制御部(スイッチ用制御部)
311 検出用巻線
3011a 電源側巻線
3011b 出力側巻線
A 発光ダイオード駆動回路
B 照明器具
F 反射板
Q4 スイッチング素子(制御用スイッチング素子)
Q5 調光用スイッチング素子
Q6 スイッチング素子(消灯用スイッチ)
SW 消灯用スイッチ
LED 発光ダイオード
PL1,PL2 給電線
CL1 接続線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードをそれぞれ有する複数個の照明器具と、直流電圧を出力する発光ダイオード駆動回路とを備え、複数個の照明器具は接続線を介して直列接続されて直列回路を構成し、照明器具の直列回路の両端と発光ダイオード駆動回路の出力端とは一対の給電線を介して接続されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光ダイオード駆動回路と前記照明器具の直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子と、調光用スイッチング素子のオンデューティーを制御する調光用制御回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記各照明器具にそれぞれ並列に接続される複数個の消灯用スイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
複数個の前記照明器具のうち少なくとも1つの照明器具を除く他の照明器具の個々に並列に接続される消灯用スイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記消灯用スイッチはスイッチング素子であり、消灯用スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニットを備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記発光ダイオード駆動回路は、昇圧チョッパを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光ダイオード駆動回路は降圧を行う電源回路部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記発光ダイオード駆動回路は、昇降圧コンバータを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記昇降圧コンバータは、電源側巻線と出力側巻線とを有するトランスと、電源側巻線に直列に接続される制御用スイッチング素子と、制御用スイッチング素子のオンオフを制御するスイッチ制御部とを備え、前記発光ダイオード駆動回路は、電源側巻線に電磁結合する検出用巻線を有しトランスの出力電圧を検出する第1検出部と、電源側巻線に直列に接続される電流検出用抵抗を有しトランスの入力電流を検出する第2検出部とを備え、第1検出部および第2検出部はスイッチ制御部に接続され、スイッチ制御部は、第1検出部で検出される電圧と第2検出部で検出される電流とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記各照明器具は、反射面を形成する導体部を有し発光ダイオードに近接して配設され発光ダイオードの光の配光を行う反射板をそれぞれ備え、導体部には、一端が接地されるとともに給電線に近接したグランド線が接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具が車室内に設置されることを特徴とする車室内用照明装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具と前記発光ダイオード駆動回路と前記給電線と前記接続線とが車両に設置されることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項1】
発光ダイオードをそれぞれ有する複数個の照明器具と、直流電圧を出力する発光ダイオード駆動回路とを備え、複数個の照明器具は接続線を介して直列接続されて直列回路を構成し、照明器具の直列回路の両端と発光ダイオード駆動回路の出力端とは一対の給電線を介して接続されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光ダイオード駆動回路と前記照明器具の直列回路との間に設けられる調光用スイッチング素子と、調光用スイッチング素子のオンデューティーを制御する調光用制御回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記各照明器具にそれぞれ並列に接続される複数個の消灯用スイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
複数個の前記照明器具のうち少なくとも1つの照明器具を除く他の照明器具の個々に並列に接続される消灯用スイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記消灯用スイッチはスイッチング素子であり、消灯用スイッチのオンオフを指示する遠隔操作ユニットを備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記発光ダイオード駆動回路は、昇圧チョッパを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光ダイオード駆動回路は降圧を行う電源回路部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記発光ダイオード駆動回路は、昇降圧コンバータを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記昇降圧コンバータは、電源側巻線と出力側巻線とを有するトランスと、電源側巻線に直列に接続される制御用スイッチング素子と、制御用スイッチング素子のオンオフを制御するスイッチ制御部とを備え、前記発光ダイオード駆動回路は、電源側巻線に電磁結合する検出用巻線を有しトランスの出力電圧を検出する第1検出部と、電源側巻線に直列に接続される電流検出用抵抗を有しトランスの入力電流を検出する第2検出部とを備え、第1検出部および第2検出部はスイッチ制御部に接続され、スイッチ制御部は、第1検出部で検出される電圧と第2検出部で検出される電流とに応じてスイッチング素子のオンオフを制御することを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記各照明器具は、反射面を形成する導体部を有し発光ダイオードに近接して配設され発光ダイオードの光の配光を行う反射板をそれぞれ備え、導体部には、一端が接地されるとともに給電線に近接したグランド線が接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具が車室内に設置されることを特徴とする車室内用照明装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の照明装置であって、前記照明器具と前記発光ダイオード駆動回路と前記給電線と前記接続線とが車両に設置されることを特徴とする車両用照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−55841(P2010−55841A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217427(P2008−217427)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]