説明

照明装置および撮像装置

【課題】 色むらを抑制で構造も簡単な可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】 電源供給部材を固定したベース基板(50)と、そのベース基板(50)に実装されるLED(11)と、そのLED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第一集光レンズ(20)と、その第一集光レンズ(20)に対して前記LED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第二集光レンズ(40)とを備え、前記の第一集光レンズ(40)は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)を用いた照明装置およびその照明装置を用いた撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱灯や蛍光灯に比べ省電力でランニングコストが安い、また、蛍光灯のように水銀などの有害物質を使用していないなどの観点から、照明用途としてLEDに対する期待が大きい。
しかし、LEDを照明装置に用いる場合、高照度の実現は可能であるものの、照射面に色むらが発生するという問題があった。
【0003】
上記の問題に対し、特許文献1では、色むらを低減させるための技術が開示されている。
すなわち、LEDからの放射光全てがレンズ部の所定部分に集中的に集光されてから外部に放射されるために、レンズ部内で十分に混色させることができるので、色むらの発生を防止できるという技術である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−16808号公報
【0005】
一方、色むらの発生を防止する技術としては、特許文献2に示すように、光拡散シートを用いることが一般的である。
【0006】
【特許文献2】特開2004−45471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、照明装置としての照射光の色は、単一のLEDのみで実現できるものが好ましい。構造がシンプルでコストも抑えられるからである。
しかし、特許文献1に記載された技術は複数のLEDを使用することを前提としており、単一のLEDのみで構成する照明装置の色むらの発生を抑える技術としては向いておらず、単一のLEDにて構成しようという照明装置には採用できない。
【0008】
また、特許文献2に記載された技術は、LEDの照射むらを消しつつ、照度を落とさないための技術としては、光拡散シートを用いる技術では不十分な面もあった。
【0009】
以上から明らかなように、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能な照明器具およびそれを用いた撮像装置は実現していなかった。
本発明が解決しようとする課題は、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能な照明器具およびそれを用いた撮像装置を提供することにある。
【0010】
ここで、請求項1から請求項3に記載の発明の目的は、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能なLED照明装置を提供することである。
また、請求項4に記載の発明の目的は、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能な照明装置を用いた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、LEDから発せられた光束を二枚の集光レンズによって集光させて照射させる照明装置に係る。
すなわち、電源供給部材を固定したベース基板(50)と、 そのベース基板(50)に実装されるLED(11)と、 そのLED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第一集光レンズ(20)と、 その第一集光レンズ(20)に対して前記LED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第二集光レンズ(40)とを備え、 前記の第一集光レンズ(40)は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とする。
【0012】
(用語説明)
「LED」は、青色発光ダイオードに限らない。例えば、RGBをワンパッケージ化した複合LEDも含む。
「光拡散剤」としては、既知のものが採用される。0.01重量%以下とすると、十分に混色出来ないので不合理である。また、1.0重量%以上とすると、照度が落ちてしまうので不合理である。
【0013】
(作用)
上記のような構造により、照度を落とさずに、照射むらを消すことができる。
また、第一集光レンズ(20)に光拡散作用を担わせたので、従来技術では必要であった光拡散シートを省略することができる。このため、照明装置の構造、組み立て工程などが単純化される。
なおここで、「光拡散シート」とは、平行光が入射した場合に所定角度(例えば60度)へ拡散するという性能を有する。材質は、例えばポリカーボネートである。
【0014】
(請求項2)
請求項2に記載の発明もまた、LEDから発せられた光束を二枚の集光レンズによって集光させて照射させる照明装置に係る。
すなわち、電源供給部材を固定したベース基板(50)と、 そのベース基板(50)に実装されるLED(11)と、 そのLED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第一集光レンズ(20)と、 その第一集光レンズ(20)に対して前記LED(11)とは反対側に配置した非球面形状の第二集光レンズ(40)とを備え、 前記の第二集光レンズ(40)は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とする。
【0015】
上記のような構造によっても、照度を落とさずに、照射むらを消すことができる。
また、第二集光レンズ(40)に光拡散作用を担わせたので、従来技術では必要であった光拡散シートを省略することができる。このため、照明装置の構造、組み立て工程などが単純化される。
【0016】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載のLED照明装置を限定したものであり、
前記第一集光レンズ(20)および前記第二集光レンズ(40)のいずれか一方のうち、光拡散剤を含有しない集光レンズに着色を施したことを特徴とする。
集光レンズへの着色方法としては、合成樹脂に染料を混入させるなどの従来技術が採用される。
【0017】
LED(11)が発光する色とは別の光が要望される場合がある。このような場合、光拡散剤を含有しない集光レンズに着色することで、その要望に応えることができる。
【0018】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載のLED照明装置を採用した撮像装置に係る。
【0019】
「撮像装置」としては、例えば、デジタルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などが挙げられる。
本請求項に係る撮像装置は、色むらが少ない照明装置を補助光として使えるので、撮影する画像の品質向上に貢献する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1から請求項3に記載の発明によれば、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能なLED照明装置を提供することができた。
また、請求項4に記載の発明によれば、所望される照射光の色を単一のLEDのみで実現でき、照度を落とさずに色むらが抑制可能な照明装置を用いた撮像装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1および図2である。図1は、第一の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。図2は、第二の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。
【0022】
(全体構成)
図1に示すように、照明装置10は、LED11(光源)からの入射光束を、形状の異なる複数の集光レンズ20、40によって集光させて、配光の異なる出射光束として被照射体(図中では上方に位置する)に照射する照明装置である。
【0023】
照明装置10は、LED11を発光させるためのコネクタ(=電源供給部材、図示を省略)が載置されたベース基板50と、そのベース基板50に固定された円筒状のレンズホルダー70と、そのレンズホルダー70における前記LED11寄りに位置して固定される第一集光レンズ20と、その第一集光レンズ20における反LED11側に位置して固定される第二集光レンズ40とを備えている。
【0024】
前記の第一集光レンズ20および第二集光レンズ40の間には、前記レンズホルダー70の内径寸法を外形寸法とする円筒形の内スリーブ80を介在させている。また、前記第二集光レンズ40における反第一集光レンズ20側には、前記レンズホルダー70の内径寸法を外形寸法とするリング状の外スリーブ90を固定している。
【0025】
前記の第一集光レンズ20は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させている。
【0026】
一方、第二集光レンズ40には、着色を施す。着色方法としては、合成樹脂に所望の着色が可能となる染料を用いる。着色する理由は、前記LED11が発光する色とは別の光が要望される場合があるからである。
このような場合、光拡散剤を含有しない集光レンズに着色することで、その要望に応えることができる。なお、白色の場合には、着色しない。
【0027】
上記のような実施形態により、照度を落とさずに、照射むらを消すことができた。
また、第一集光レンズ20に光拡散作用を担わせたので、従来技術では必要であった光拡散シートを省略することができる。このため、照明装置の構造、組み立て工程などが単純化される。
【0028】
(バリエーション)
前記の第一集光レンズ20の代わりに第二集光レンズ40の材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させることもできる。その場合でも、照度を落とさずに、照射むらを消すことができる。
なお、その場合に前記LED11が発光する色とは別の光が要望されるのであれば、第一集光レンズ20に着色する。
【0029】
(ベース基板)
前記のベース基板50の材質としては、メタル等の金属製材質によって形成されている。このため、LED11によって内部に蓄熱された熱が、効率よく外部に放熱されるような放熱促進効果が図られる材質となっている。
【0030】
(LED)
LED11は、1WハイパワーLEDを採用する。そのLED11は縦2.8mm、横3.4mm、高さ1.15mmの直方体状の外形をなしている。また、第一集光レンズ20側に向かって、ほぼ同一の配光角度(例えば、指向特性(半値全角)標準値120°程度)の光束を発する。設置箇所は、ベース基板50の上面51の中央部に配設されている。
なお、本実施形態におけるLED11は、白色LEDを採用しており、図示しない青色LEDチップと黄色の蛍光体で白色光を実現可能なLEDとして形成されている。このため、照射される光は、白色光となっている。
【0031】
(レンズホルダー・内スリーブ・外スリーブ)
円筒状に形成されたレンズホルダー70の内部に、リング状の内スリーブ80および外スリーブ90によって各集光レンズ20,40が保持されている。
レンズホルダー70、内スリーブ80および外スリーブ90は、それぞれアルミニウム等の金属製材質によって形成されている。このため、LED11によって内部に蓄熱された熱が、効率よく外部に放熱されるような放熱促進効果が図られる材質となっている。
【0032】
(集光レンズ)
第一集光レンズ20は、LED11側の面をフラットとし、反LED11側の面を凸型に形成している。この凸型面は、非球面形状であり、LEDからの光束を有効的に集光する。
第二集光レンズ40は、第一集光レンズ20側の面も、反第一集光レンズ20側の面も凸型に形成している。第一集光レンズ20側の凸面も、反第一集光レンズ20側の凸面も非球面形状であり、LEDからの光束を有効的に集光する。
このように形成された集光レンズ20,40により、第二集光レンズ40から出射される光束の出射角度が調節されるので、被照射体に丸い綺麗な照射が実現される。
【0033】
(第二の実施形態)
続いて、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、第一の実施形態と異なり、第一集光レンズ20Aおよび第二集光レンズ40Aの製造において光拡散剤を混入せず、光拡散シート30を採用している。本実施形態における光拡散シート30は、LED11Aからの入射光束が平行光で入射された場合に、約60°で拡散して出射するものを使用している。また、光拡散シートの高さ約0.25mm、直径φ8.4mm、円周26.39mm、とした。
LED11Aから前記の光拡散シート30までの距離は、0.95mmである。また、光拡散シート30上面から内側レンズ20A底部までの距離は、0.68mmである。また、第一集光レンズ20Aの天頂部から第二集光レンズ40Aの底部までの距離は、0.1mmである。
【0034】
(集光レンズ)
第一集光レンズ20Aおよび第二集光レンズ40Aの材質としては、例えば、アクリル等の透光樹脂や、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)等の透光性を有する耐熱樹脂などを用いることができる。
第一集光レンズ20Aおよび第二集光レンズ40Aのいずれかまたは双方には、所望される光の色を出すために、着色剤を含有している。いずれのレンズにも光拡散剤を含有していないので、着色が自由に行える。
【0035】
(効果)
本実施形態によれば、被照射体に照射された光のスポットおよびそのエッジが非常に「くっきり」したスポット光となる。また、拡散シート30によって均一な配光制御が可能となるので、色むらおよび照度むらを低減させることになる。
したがって、各集光レンズ20A、40Aから光束が拡散される際に発生する色むら問題と、その色むら問題を解決した際に生じる機器の大型化問題とを同時に解決することができる。このため、携帯電話やデジタルカメラなどの撮影用補助灯としての照明装置を装着する際でも、小型化に対する要望に応えることができる。
【0036】
なお、上述した各部品サイズおよび各部品間の設置距離は、あくまで一例であり、上記に限定されることはない。
また、本実施形態におけるLED11及びLED11Aは、1WハイパワーLEDを採用した例を示しているが、これに限定されることはない。例えば、3W、5Wまたはそれ以上としても良く、消費電力が他のワット数になっても応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本願発明は、紫外線を含まないので、紫外光を嫌うような被照明品(例えば、博物館や美術館の展示品)、病院などにおける照明として最適である。また、色むらや照度むらが極めて少ないので、美術品や商品を綺麗に照らすことにも適している。
また、照明面と非照明面との境目(エッジ)が明確な照明を可能としているので、周囲への散光が問題となるような読書灯にも適している。
また、小型軽量であるため、カメラ付きの携帯電話、デジタルカメラなどの撮影用の補助灯にも用いることができる技術である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第一の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。
【図2】第二の実施形態に係る照明装置を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 照明装置 10A 照明装置
11 LED 11A LED
20 第一集光レンズ 20A 第一集光レンズ
30 光拡散シート
40 第二集光レンズ 40A 第二集光レンズ
50 ベース基板 50A ベース基盤
51 上面
60 LEDホルダー
70 レンズホルダー 70A レンズホルダー
80 内スリーブ 80A 内スリーブ
90 外スリーブ 90A 外スリーブ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDから発せられた光束を二枚の集光レンズによって集光させて照射させる照明装置であって、
電源供給部材を固定したベース基板と、
そのベース基板に実装されるLEDと、
そのLEDとは反対側に配置した非球面形状の第一集光レンズと、
その第一集光レンズに対して前記LEDとは反対側に配置した非球面形状の第二集光レンズとを備え、
前記の第一集光レンズは、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
LEDから発せられた光束を二枚の集光レンズによって集光させて照射させる照明装置であって、
電源供給部材を固定したベース基板と、
そのベース基板に実装されるLEDと、
そのLEDとは反対側に配置した非球面形状の第一集光レンズと、
その第一集光レンズに対して前記LEDとは反対側に配置した非球面形状の第二集光レンズとを備え、
前記の第二集光レンズは、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項3】
前記第一集光レンズおよび前記第二集光レンズのいずれか一方のうち、光拡散剤を含有しない集光レンズに着色したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項4】
請求項1、または請求項2、または請求項3のLED照明装置を照明装置として用いた撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−34321(P2008−34321A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209235(P2006−209235)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)
【Fターム(参考)】