説明

照明装置及び検査装置

【課題】光を円筒状に照射することができる照明装置及びそれを用いた検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光源2からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板3と、拡散透過板3を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を均一に照射する照明装置及びそれを用いた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の表面に現れる欠陥を検査する方法として、従来は主に作業員による目視検査が行われてきた。しかしながら、目視検査では検査員によるバラツキが生じやすく、また小さな欠陥を見落とさないようにすることは困難である。そのため、より正確な検査を行うことができるような照明技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、環状照明を用いて円筒形状を有する検査対象物を均一に照明している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−232748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、円筒形状を有する検査対象物が光を透過する透明部材からなる場合、検査対象物の外側から照射された光は検査部位を透過してしまい、得られる画像は外周面の反対側の部分が重なって映ったものとなってしまう。
【0005】
この問題に対し、光源を透明部材からなる円筒形状の検査部位に挿入し、光を内側から透過させることが考えられるが、検査部位をむらなく均一に照射することは困難であった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑み、光を円筒状に照射することができる照明装置及びそれを用いた検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る照明装置は、光を出射する少なくとも1つの光源と、上記光源からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板と、上記拡散透過板を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材とを有することを特徴としている。
【0008】
ここで、上記円錐状の反射面は、光拡散機能を有する拡散反射面であることが望ましい。
【0009】
また、本発明に係る照明装置は、光を出射する少なくとも1つの光源と、上記光源からの光を中心軸から放射状に拡散しながら反射する円錐状の拡散反射面を有する拡散反射部材とを有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る検査装置は、光を透過する円筒形状を少なくとも一部に有する検査対象物を検査する検査装置であって、上記検査対象物の検査部位に挿入され該検査対象物の上記円筒形状部分の内部から外部に光を透過させる照明装置と、円錐台側面形状の反射面を内面側に有し、大径開口部及び小径開口部を有する円錐面状反射鏡と、上記円錐面状反射鏡内の検査位置に配置された検査対象物が上記円錐面状反射鏡に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る照明装置は、光を中心軸から放射状に反射する円錐状の面を有することにより、光源からの出射光を円筒状に照射することができる。
【0012】
また、円錐状の面は、光拡散機能を有する拡散反射面であることにより、照度の均一性を高めることができる。
【0013】
また、本発明に係る検査装置は、光を透過する円筒形状を有する検査対象物の検査部位に挿入され該検査対象物の円筒形状部分の内部から外部に光を透過させる照明装置と、円錐台側面形状の反射面を有する円錐面状反射鏡と、円錐面状反射鏡内の検査位置に配置された検査対象物が上記円錐面状反射鏡に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段とを有することにより、光を透過する円筒形状を有する検査対象物を正確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の具体例として示す照明装置は、周囲の全方向に光を照射する面状発光部分を有するものである。以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る照明装置1の構成を示す側面断面である。この照明装置1は、光源2と、光源2からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板3と、拡散透過板3を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材4とを有している。また、検査対象物7を吸引して搬送するための通気口5と、吸引した際の気密を保持するためのパッキング6とを有している。
【0015】
光源2は、例えばLED(Light Emitting Diode)などを用いて構成され、その光軸が照明装置1の中心軸と平行、且つ中心軸と同心円周上に等円周角となるように配置されている。例えば、図2に示すように6個のLEDは、通気口5を中心とする同心円周上に円周角60°の等間隔になるようにハウジング1a内に配置されている。なお、LEDには、検査対象物7の検査部位や検査内容に応じて様々な色のLEDを使用することが可能である。
【0016】
拡散透過板3は、光を散光させ、光源2の点光源を面光源にする。この拡散透過板3は、例えば研磨剤によりガラス基板又は石英基板の片面を微細な凹凸を有する砂面とすることにより光拡散機能を待たせたもので、例えば、図3に示すようにリング状の形状を有している。このため、拡散透過板3は、リング状の発光面を有する面光源となる。また、拡散透過板3は、取り外し可能であって、照度が均一になるように光源2に合わせて拡散性や透過性を調節することができる。
【0017】
反射部材4は、図4に示すように、通気口5を軸とした内側に円錐状の反射面4aと、検査対象物7の開口端部と気密を保って接触する対向面4bとを有している。ここで、円錐状の反射面4aは、反射光の照度が均一になるように円錐の頂角を設定するとともに、光拡散機能を有していることが望ましい。また、反射部材4は、円錐状の反射面4aから外周表面4cまでの距離が光源2から離れるにつれて短くなっているため、光の照度が均一化して円筒状に照射される。
【0018】
また、反射部材4は、例えば円筒形状を有し光を透過する透明部材から構成されることが望ましい。透明部材には、透明度が高い、例えばメタクリル樹脂(PMMA:Poly Methyl Methacrylate)やエポキシ樹脂などが用いられる。ここで、円錐状の反射面4a及び対向面4bには、光を反射させるための白色の塗装が施され、円筒状の外周表面4cには、つや消しのためのサンドブラスト処理が施されている。これにより、反射部材4の天面4dから入射された光は、円錐状の反射面4aで円筒状の外周表面4c方向に反射し、円錐の中心軸から放射状に照射される。また、円筒状の外周表面4cにサンドブラスト処理を施すことにより、照度の均一性を高めるとともに、検査対象物7の内面で反射された光が再度外周表面4cで反射するのを防ぐことができる。したがって、照明装置1は、光を透過する検査対象物7の外周表面を鮮明に映し出すことができる。
【0019】
対向面4bには、検査対象物7の開口端部を密閉するためのパッキング6が設けられている。このパッキング6には、例えば耐摩耗性や機械的強度などに優れたシリコンゴム(SR:Silicone Rubber)などが用いられる。
【0020】
また、反射部材4は、検査対象物4の形状に合わせて設計されることが望ましい。例えば、検査対象物7の検査部位が円筒形状である場合、反射部材4は、検査対象物7の開口端部の口径より小さい直径の円筒状の外周表面4cを有し、また、検査部位の長さに応じた高さの円錐状の反射面4aを有することが好ましい。
【0021】
通気口5は、検査対象物7を吸引して固定させるためのものであって、照明装置1の中心軸に設けられている。検査対象物7は、反射部材4の対向面4bと検査対象物7の開口端部とが接触し、通気口5を用いて吸引されることにより固定される。このように固定される検査対象物7としては、いわゆるPET(Polyethylene Terephthalate)ボトルを挙げることができる。
【0022】
図1に戻って、照明装置1の光路について説明する。通気口5を中心とする同心円周上に等円周角となるように配置された光源2から出射された点光源の光は、拡散透過板3で散光されリング状の発光面を有する面光源の光となる。そして、拡散透過板3で散光された光は、反射部材4の天面4dを通過し、円錐状の反射面4aで反射され、円錐の中心軸から放射状に照射される。ここで、反射部材4の対向面4bには、光を反射させるための白色の塗装が施され、また、検査対象物7の開口端部を密閉するためのパッキング6が設けられている。したがって、円錐の中心軸と平行な光はほとんどなく、円錐状の反射面4aで放射状に反射された光が円筒状の外周表面4cを介して均一に照射される。
【0023】
また、照明装置1の吸引機能について説明する。照明装置1の中心軸に設けられた通気口5は、例えばパイプで形成され、そのパイプのタップは、吸引ポンプに接続されている。そして、検査対象物7の開口端部と反射部材4の対向面4bとをパッキング6を用いて気密に接触させて吸引することにより、検査対象物7は、照明装置1に固定される。
【0024】
このように、本発明に係る照明装置1は、光源2からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板3と、拡散透過板3を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面4aを有することにより、円筒状光源にほぼ近似させることができる。
【0025】
また、図1に示す照明装置1では、光源2からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板3を有する構成としたが、反射部材4の円錐状の反射面4aを光源2からの出射光を拡散しながら反射する円錐状の拡散反射面とし、拡散透過板3を有しない構成としてもよい。すなわち、光源2から出射された光は、円錐状の拡散反射面で拡散及び反射するため、図1に示す照明装置1と同様に360°全方向に光を均一に照射することができる。
【0026】
次に、本発明に係る照明装置1の適用例について図5〜図10を参照して説明する。図5は、本発明に係る照明装置1を適用させた検査装置50の構成を示すブロック図である。検査装置50は、照明装置1を用いて光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の内部から外部に光を透過させて欠陥不良の検査を行うものである。なお、検査対象物7として、いわゆるPETボトルの成形前の素材を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
この図5に示す検査装置50は、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に挿通され検査対象物7の内部から外部に光を透過させる照明装置1と、円錐台側面形状の反射面を内面側に有し、大径開口部及び小径開口部を有する円錐面状反射鏡51と、円錐面状反射鏡51で反射された光の進路を画像取り込み手段53に変更する光路変更反射鏡部材52と、円錐面状反射鏡51内の検査位置に配置された検査対象物7が円錐面状反射鏡51に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段53と、取り込まれた画像を処理する画像処理手段54と、画像を表示する画像表示装置55と、検査対象物7を円錐面状反射鏡51内の検査位置に搬送する搬送手段56とを有して構成されている。
【0028】
次に、検査装置50の各構成について説明する。本適用例では、検査部位をPETボトルのネジ山が形成されたキャップ機構の口部とし、このPETボトル口部の内部から外部に光を透過させるこことにより、口部において黒点として現れる不純物や汚れを検査するものである。このような検査方法によれば、光をPETボトル口部の外部から内部に透過させる方法よりも、ネジ山や刻印文字等の影が目立たずに検査を行うことができる。
【0029】
照明装置1は、図1〜図4を参照して説明したような構成を有し、PETボトル口部の内側から外側に均一に光を照射する。すなわち、この照明装置1は、光源2と、光源2からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板3と、上記拡散透過板を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材4と、検査対象物7を吸引して搬送するための通気口5と、吸引した際の気密を保持するためのパッキング6とを有して構成されている。
【0030】
円錐面状反射鏡51は、図6(a)に示すように頂角である円錐角が90°の円錐を底面に平行な平面で切り、頂点を含む部分を除いた立体の曲面を反射面51aとして有するものである。すなわち、円錐面状反射鏡51の反射面51aの角度は、底面に対し45°に設定されており、円錐面状反射鏡51の中心軸上に検査中心位置が存在する。また、円錐面状反射鏡51の中心軸と照明装置1の中心軸は、平行であって、同一直線上であることが好ましい。このような構造を有する円錐面状反射鏡51は、円錐の底面側から見ると、図6(b)に示すように大径開口部と小径開口部とからなるリング状の反射面51aを有し、このリング状の反射面51aにPETボトル口部を映し出す。
【0031】
光路変更反射鏡部材52は、図7(a)に示すように検査対象物7が挿通される貫通孔52aを有しており、その貫通孔52aは検査対象物7の挿通方向及び画像取り込み方向からドリル等で開けるようにして形成される。すなわち、45°に傾けて設置されている光路変更反射鏡部材52の貫通孔52aの側面52cは、検査対象物7の挿通方向及び画像取り込み方向から見えないようになっている。図7(b)は、光路変更反射鏡部材52の反射面52bとは反対側から見た図である。この図7(b)に模式的に表されている貫通孔52aの内側面52cには乱反射防止のためにつや消し黒色塗料などの処理が施されている。このような光路変更反射鏡部材52により、円錐面状反射鏡51に映し出されたリング状の検査部位の像が画像取り込み手段53に送られる。
【0032】
画像取り込み手段53は、CCD(Charge Coupled Device)カメラを有し、光路変更反射鏡部材52に映し出された検査部位の像を画像として取り込む。取り込まれた画像は、画像処理手段54に出力され、検査対象物7の欠陥不良が判断できるように画像処理される。
【0033】
画像処理手段54は、例えば、記憶・演算ができるパーソナルコンピュータなどで構成されている。画像取り込み手段53によって取り込まれる検査対象物7の外周表面の画像は、リング状であり、検査対象物7を側面から観察した場合の画像に比べて変形しているので、画像処理手段54は、画像処理を行い、検査対象物7の外周表面を展開した状態を示す画像に変換して画像表示装置55に表示させる。表示画像上で示される欠陥の面積は、実際の欠陥の面積と比例しており、目視でも欠陥の評価を行うことができる。また、画像処理手段54は、検査対象物7の挿通位置がずれている場合、それを補正する補正手段を有することが望ましい。
【0034】
図5に戻って、検査装置50における光路について説明する。検査対象物7であるPETボトルの口部に挿入された照明装置1は、その反射部材4から周囲の全方向に光を照射し、PETボトル口部の内部から外部に光を透過させる。PETボトル口部を透過した光は、円錐面状反射鏡51の反射面51aに到達し、PETボトル口部の像をリング状に映し出す。円錐面状反射鏡51の反射面51aは、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸に対して45°の角度を有しているので、反射面51aで反射された光は、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸と平行に光路変更反射鏡部材52の反射面52aに到達する。したがって、光路変更反射鏡部材52には、円錐面状反射鏡51に映し出されたリング状の像の鏡像が映し出される。画像取り込み手段53は、光路変更反射鏡部材52に映し出されたリング状の像を画像として取り込む。光路変更反射鏡部材52は、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸に対して45°の角度で設置されているため、画像取り込み手段53に入射する光軸は、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸に対して90°の角度となる。
【0035】
このように、検査対象物7であるPETボトル口部に周囲の全方向に光を照射する照明装置1を挿入し、PETボトル口部の内部から外部に光を透過させてPETボトル口部の外周表面を円錐面状反射鏡51に映すことにより、外部から光を照射する場合では検査部位の反対側の像が重なって映っていたPETボトル口部の外周表面を鮮明に撮像することができる。また、外部から光を照射する場合ではネジ山や刻印文字等が目立ち、欠陥不良である黒点を見つけるのは非常に困難であったが、検査部位に近接して内部から光を照射することにより、ネジ山等が目立たなくなり欠陥不良の検査を精度よく行うことができる。従来の検査方法ではPETボトルのネジ山などの凹凸がある外面側から光を照射していたために、凹凸による光の乱反射や屈折などにより影が生じていたが、本適用例の検査方法によれば、照明装置1からの照度が均一な光を凹凸のない内面側から透過させているので、外面側の凹凸により生じる影を防ぐことができる。
【0036】
次に、検査対象物7であるPETボトルの成形前の素材を搬送する搬送手段56について図8を参照して説明する。検査装置50の照明装置1には、PETボトルの成形前の素材を吸引して搬送するための通気口5が設けられており、照明装置1に吸引されたPETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の小径開口部から挿通することにより、欠陥不良の検査が行われる。搬送手段56は、PETボトルの成形前の素材を連続的に検査するため、複数の照明装置1を制御することが望ましい。
【0037】
先ず、搬送手段56は、検査装置50の筐体の外側でPETボトルの成形前の素材を照明装置1で吸引させ、PETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の中心軸に搬送する(ステップS1)。そして、搬送されたPETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の中心軸に沿ってPETボトルの検査部位が円錐面状反射鏡51の検査位置となるように挿通する(ステップS2)。画像取り込み手段53は、円錐面状反射鏡51の検査位置に挿通されたPETボトルの検査部位の画像を取り込む。画像が取り込まれ検査が終了すると、搬送手段56は、照明装置1に吸引されたPETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の中心軸に沿って検査装置50の筐体から引き上げ(ステップS3)、円錐面状反射鏡51の中心軸から移動させる。そして、搬送手段56は、また新たなPETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の中心軸に搬送し(ステップS1)、ステップS2からステップS4の工程を繰り返し行う。
【0038】
このように、照明装置1にPETボトルの成形前の素材を吸引させて固定し、搬送することにより、連続して検査を行うことができる。また、ステップS3において、PETボトルの成形前の素材を円錐面状反射鏡51の中心軸に沿って検査装置50の筐体から引き上げることとしたが、ここでPETボトルの成形前の素材の吸引を止め、光路変更反射鏡部材52の貫通孔52aにPETボトルの成形前の素材を落下させて検査を終了するようにしてもよい。なお、円錐面状反射鏡51にPETボトルの成形前の素材を固定させて搬送するようにしてもよい。この場合、搬送されてきたPETボトル口部に照明装置1を挿入すればよい。
【0039】
図9及び図10は、本発明に係る照明装置1を適用させた検査装置の他の構成を示すものである。なお、図9及び図10に示す検査装置の他の構成は、上記図5〜図8とともに説明した検査装置50の具体例と同様であるため、同等の部分に同じ指示符号を付して説明を省略する。
【0040】
図9に示す検査装置90は、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に挿入され検査対象物7の内部から外部に光を透過させる照明装置1と、円錐台側面形状の反射面を内面側に有し、大径開口部及び小径開口部を有する円錐面状反射鏡51と、円錐面状反射鏡51で反射された光の進路を画像取り込み手段53に変更する光路変更反射鏡部材52と、円錐面状反射鏡51内の検査位置に配置された検査対象物7が円錐面状反射鏡51に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段53と、取り込まれた画像を処理する画像処理手段54と、画像を表示する画像表示装置55と、検査対象物7を円錐面状反射鏡51内の検査位置に搬送する搬送手段56とを有して構成されている。
【0041】
ここで、円錐面状反射鏡51と光路変更反射鏡部材52との距離を検査対象物7の長さよりも長くとる。すなわち、図5に示す検査装置50は、円錐面状反射鏡51と光路変更反射鏡部材52との距離が検査対象物7の長さよりも短かったために、光路変更反射鏡部材52に検査対象物7を挿通する貫通孔52aを必要としていたが、図9に示す検査装置90は、円錐面状反射鏡51と光路変更反射鏡部材91との距離を十分とっているため、光路変更反射鏡部材91に貫通孔52aを必要としない。また、図5に示す検査装置50において、画像取り込み手段53が光路変更反射鏡部材52に映し出されたリング状の像を取り込む際に、検査対象物7自身がリング状の像の撮像を妨げていたが、図9に示す検査装置90では、検査対象物7は撮像の妨げとならず、画像取り込み手段53は、リング状の検査対象物7の外周表面を一部も欠くことなく撮像することができる。
【0042】
図10に示す検査装置100は、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に挿入され検査対象物7の内部から外部に光を透過させる照明装置1と、円錐台側面形状の反射面を内面側に有し、大径開口部及び小径開口部を有する円錐面状反射鏡51と、円錐面状反射鏡51内の検査位置に配置された検査対象物7が円錐面状反射鏡51に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段53と、取り込まれた画像を処理する画像処理手段54と、画像を表示する画像表示装置55と、検査対象物7を円錐面状反射鏡51内の検査位置に搬送する搬送手段56とを有して構成されている。
【0043】
すなわち、図10に示す検査装置100は、光路変更反射鏡部材52、91を有しておらず、円錐面状反射鏡51に映し出された像をそのまま画像取り込み手段53で取り込むように構成されている。
【0044】
この検査装置100における光路について説明する。検査対象物7であるPETボトルの口部に挿入された照明装置1は、その反射部材23から周囲の全方向に光を照射し、PETボトルの成形前の素材の内部から外部に光を透過させる。PETボトル口部を透過した光は、円錐面状反射鏡51の反射面51aに到達し、PETボトル口部の像をリング状に映し出す。円錐面状反射鏡51の反射面51aは、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸に対して45°の角度を有しているので、反射面51aで反射された光は、PETボトルの成形前の素材が挿通される軸と平行に画像取り込み手段53に到達する。画像取り込み手段53は、円錐面状反射鏡51に映し出されたリング状の像を画像として取り込む。
【0045】
以上、説明したような検査装置50、90、100によれば、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に照明装置1を挿入し、検査対象物7の内部から外部に光を透過させ、円錐面状反射鏡51内の検査位置に配置された検査対象物7の像を円錐面状反射鏡51に映し出すことにより、検査対象物7の外周表面の鮮明な画像を得ることができる。
【0046】
また、上記適用例では、円錐面状反射鏡51を用いて検査対象物7の外周表面を画像取り込み手段53で撮像することとしたが、1ライン(1次元)のイメージセンサであるラインスキャンカメラを使用し、検査対象物7を動かすことにより画像を作り上げるようにしてもよい。
【0047】
このラインスキャンカメラを用いた検査装置110は、図11に示すように、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に挿入され検査対象物7の内部から外部に光を透過させる照明装置1と、線視野として画像を取り込む画像取り込み手段111と、取り込まれた画像を処理する画像処理手段54と、画像を表示する画像表示装置55と、照明装置1を回転させる回転駆動手段112とを有して構成されている。
【0048】
画像取り込み手段111は、ラインスキャンカメラを有し、検査対象物7をCCD列と直角方向に移動させることによって、検査対象物7の外周表面を画像として取り込むことができる。
【0049】
回転駆動手段112は、ラインスキャンカメラのCCD列と直角方向に照明装置1を回転させる。すなわち、照明装置1に吸引された検査対象物7は、照明装置1とともに回転するため、ラインスキャンカメラにより外周表面が撮像される。
【0050】
このように、光を透過する円筒形状を有する検査対象物7の検査部位に照明装置1を挿入し、検査対象物7をラインスキャンカメラのCCD列と直角方向に回転し、検査対象物7の内部から外部に透過した光をラインスキャンカメラで捉えることにより、検査対象物7の外周表面の画像を得ることができる。
【0051】
なお、このラインスキャンカメラを用いた適用例において、照明装置1は、撮像位置である画像取り込み手段111側のみを照射するようにしてもよい。すなわち、光源2は、画像取り込み手段111側のみ光を出射させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る照明装置の構成を示す側面断面図である。
【図2】光源の一例を示す模式図である。
【図3】拡散透過板の一例を示す模式図である。
【図4】反射部材の一例を示す模式図である。
【図5】本発明を適用した検査装置の構成を示すブロック図である。
【図6】円錐面状反射鏡を説明するための図である。
【図7】光路変更反射鏡部材を説明するための図である。
【図8】搬送手段の動作を説明するための図である。
【図9】本発明を適用した検査装置の他の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用した検査装置の他の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明を適用した検査装置の他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 照明装置、 2 光源、 3 拡散透過板、 4 反射部材、 5 通気口、 6 パッキング、 7 検査対象物、 50 検査装置、 51 円錐面状反射鏡、 52 光路変更反射鏡部材、 53 画像取り込み手段、 54 画像処理手段、 55 画像表示装置、 56 搬送手段、 90 検査装置、 91 光路変更反射鏡部材、 100 検査装置、 110 検査装置、 111 画像取り込み手段、 112 回転駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する少なくとも1つの光源と、
上記光源からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板と、
上記拡散透過板を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材と
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記円錐状の反射面は、光拡散機能を有する拡散反射面であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
上記光源は、中心軸の周りに円周形状に複数のLEDが配置されて成ることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
上記反射部材は、内側に円錐状の内面を有する円筒状の透明材料から成り、
上記円錐状の内面には、光拡散機能及び/又は光反射機能を有する白色塗料が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項5】
上記中心軸に検査対象物を吸引するための通気口を有することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
上記反射部材は、検査対象物の開口端部と気密を保って接触する対向面を有することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項7】
光を出射する少なくとも1つの光源と、
上記光源からの光を中心軸から放射状に拡散しながら反射する円錐状の拡散反射面を有する拡散反射部材と
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
光を透過する円筒形状を少なくとも一部に有する検査対象物を検査する検査装置であって、
上記検査対象物の検査部位に挿入され該検査対象物の上記円筒状部分の内部から外部に光を透過させる照明装置と、
円錐台側面形状の反射面を内面側に有し、大径開口部及び小径開口部を有する円錐面状反射鏡と、
上記円錐面状反射鏡内の検査位置に配置された検査対象物が上記円錐面状反射鏡に映し出された像を画像として取り込む画像取り込み手段と
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項9】
上記照明装置は、
光を出射する少なくとも1つの光源と、
上記光源からの出射光を拡散しながら透過させる拡散透過板と、
上記拡散透過板を介して拡散された光を中心軸から放射状に反射する円錐状の反射面を有する反射部材と
を有することを特徴とする請求項8記載の検査装置。
【請求項10】
上記円錐状の反射面は、光拡散機能を有する拡散反射面であることを特徴とする請求項9記載の検査装置。
【請求項11】
上記照明装置は、上記検査対象物を吸引するための通気口を有することを特徴とする請求項9記載の検査装置。
【請求項12】
上記照明装置は、上記検査対象物の開口端部と気密を保って接触する対向面を有することを特徴とする請求項9記載の検査装置。
【請求項13】
上記照明装置にて上記検査対象物を吸引させ、上記円錐面状反射鏡内の検査位置に搬送する搬送手段を有することを特徴とする請求項11記載の検査装置。
【請求項14】
上記画像取り込み手段は、上記円錐面状反射鏡の大径開口部側の外部位置に配置されることを特徴とする請求項8記載の検査装置。
【請求項15】
上記円錐面状反射鏡の反射面となる円錐面は、円錐の中心軸に直交する平面に対して45°の傾きを有し、上記円錐面状反射鏡の中心軸上を検査位置とすることを特徴とする請求項8記載の検査装置。
【請求項16】
上記円錐面状反射鏡で反射された光の進路を上記画像取り込み手段に変更する光路変更反射鏡部材を有することを特徴とする請求項8記載の検査装置。
【請求項17】
上記光路変更反射鏡部材の中心部には、上記検査対象物を挿通するための貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項16記載の検査装置。
【請求項18】
上記貫通孔の側面は、入射光及び反射光に対して平行であって、つや消し黒色塗料が塗布されていることを特徴とする請求項17記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−3322(P2006−3322A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182927(P2004−182927)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(302006658)株式会社シーライブ (5)
【Fターム(参考)】