説明

照明装置

【課題】超高輝度発光ダイオードを用いて十分な照度が得られるようにした照明装置を提供する。
【解決手段】高輝度発光ダイオード23から発光された光Laを集束レンズ24により平行光Lbに変換して、拡散される光Laを一方向へ集束させることで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らすことができる。この平行光Lbを自動車の塗装面などの被検査表面25に照射すると、被検査表面25における傷26が光の陰影となって現われるので、平行光Lbを探傷検査に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度発光ダイオードを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4に示されるように、自動車整備または塗装工場などにおいて、塗装表面などの被照射面Aの傷Bの有無を確認する場合には、電球、蛍光灯などの3波長の調整された光源Cが用いられている。
【0003】
しかし、光量を確保するためには、光源Cにある程度の大きさを確保することが必要であり、光源Cが大きくなると、被照射面Aに対して多角度から光線を照射することになり、また、それは乱反射が発生しやすい状況を作り、図4中の点線で示された部分に陰影が存在しにくいため、凹凸や傷Bの視認に難があり、微小な傷Bなどが確認しづらい。
【0004】
また、同じように鋳物やダイキャストなどの微小な凹凸の表面を持つ構造物に付着したオイルなどの滲みも、そのような光源C下では確認することが困難である。
【0005】
一方、被照射面Aで反射した光線をCCDカメラなどで検出して画像処理することにより塗装面の状態を検出する方法および装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−270323号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超高輝度発光ダイオードは、直進性の光を有するため、物の凹凸が分かりやすく、直視した場合は非常に明るいが、物を照らす使い方では、十分な照度が得られず、不向きである。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、超高輝度発光ダイオードを用いて十分な照度が得られるようにした照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、高輝度発光ダイオードと、この高輝度発光ダイオードから発光された光を平行光に変換する集束レンズとを具備した照明装置であり、そして、超高輝度発光ダイオードから任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、拡散される光を一方向へ集束させることで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らす照明装置を提供する。
【0009】
請求項2記載の発明は、リール装置本体部と、このリール装置本体部内に回転自在に設けられた巻取リール部と、この巻取リール部に巻き取られるケーブルと、このケーブルの先端部に設けられた照明器具と、この照明器具に設けられた高輝度発光ダイオードと、この高輝度発光ダイオードから発せられた光を平行光に変換する集束レンズとを具備した照明装置であり、そして、リール装置本体部内から、巻取リール部に巻き取られているケーブルを必要に応じて引き出しながら、このケーブルの先端部に設けられた照明器具を希望する位置に移動させ、この照明器具に設けられた超高輝度発光ダイオードから任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、拡散される光を一方向へ集束させることで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らすようにする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の照明装置において、高輝度発光ダイオードから集束レンズを経て照射された平行光により、被検査表面における傷を光の陰影により検査するものであり、そして、高輝度の光源から任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、無影灯とは逆に微小な隆起や傷でも影を発生させ、その陰影の認識を容易にすることで、傷の有無を検査する作業を容易にする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、超高輝度発光ダイオードから任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、拡散される光を一方向へ集束させることで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らすことができる照明装置を提供できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、リール装置本体部内から、巻取リール部に巻き取られているケーブルを必要に応じて引き出しながら、このケーブルの先端部に設けられた照明器具を希望する位置に移動させ、この照明器具に設けられた超高輝度発光ダイオードから任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、拡散される光を一方向へ集束させることで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らすことができ、作業能率を向上できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、高輝度の光源から任意の角度を持って発せられる光を集束レンズにより平行光に変換して、無影灯とは逆に微小な隆起や傷でも影を発生させ、その陰影の認識を容易にすることで、傷の有無を検査する作業を容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、図1乃至図3に示される一実施の形態を参照して詳細に説明する。
【0015】
図2は、自動車整備または塗装工場における天井、壁、またはそれらに固定されるレールなどに設置して機械表面または塗装表面などの照明に用いられる照明装置を備えた電線リール装置を示し、11はリール装置本体部であり、このリール装置本体部11の上部には、この装置を天井などに取付けるための取付部12が設けられ、また、このリール装置本体部11の内部には巻取リール部13が回転自在に設けられ、ぜんまいばね(図示せず)などにより巻取り方向に付勢され、ケーブル引き戻し操作により係脱自在の係止機構(図示せず)により回転係止されている。
【0016】
このリール装置本体部11内の巻取リール部13にはケーブル14が巻き取られている。このケーブル14の先端部には照明器具15が設けられている。
【0017】
リール装置本体部11の側面には、シールドを兼ねた電装箱16が一体に取付けられ、図3に示されるように、この電装箱16の内部には電源回路部17が設けられ、この電源回路部17にケーブル14の基端部が接続されている。
【0018】
この電源回路部17には、外部のAC100Vの商用電源18が接続され、この商用電源18をDC24Vに変換してケーブル14に出力する。図2に商用電源18とともに示された配線は、接地配線19である。
【0019】
照明器具15内には、図3に示されるようにリール装置本体部11側の電源回路部17にケーブル14を介して接続された発振回路部21と、この発振回路部21から供給された駆動電流により駆動される発光・照射手段22とが一体的に設けられている。
【0020】
この発光・照射手段22は、図1に示されるように直進性の光を有する高輝度発光ダイオード23と、この高輝度発光ダイオード23から発光された光を平行光に変換する集束レンズ24とを組合せたものであり、高輝度発光ダイオード23を用いることにより、蛍光灯のように100Vを使用しなくても十分な照度が得られ、また、集束レンズ24を用いることにより、塗装面にある傷の有無を確認する作業に使用可能な作業灯とする。
【0021】
この発光・照射手段22は、光源が分散しないように、ごく一部に複数の高輝度発光ダイオード23を集約させ、さらに高輝度を確保するため、発振回路部21によって直流電源をパルス発生させた駆動電流を使用する。
【0022】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0023】
リール装置本体部11内から、巻取リール部13に巻き取られているケーブル14を必要に応じて引き出しながら、このケーブル14の先端部に設けられた照明器具15を希望する位置に移動させ、この照明器具15に設けられた発光・照射手段22の高輝度発光ダイオード23から、図1に示されるように任意の角度を持って発せられる光Laを、集束レンズ24により平行光Lbに変換して、この平行光Lbを作業面に照射すると、所定の作業領域を蛍光灯と同等の十分な照度の光で照らすことができ、作業能率を向上できる。
【0024】
このとき、照明器具15の光源を、単一の高輝度発光ダイオード23または局所的に集中配置された複数の高輝度発光ダイオード23により小さくすると、一定の角度を持って発せられた光Laを容易に集束レンズ24により平行光Lbに変換することができ、光を拡散させずに一方向へ集束させて作業面に照射することで、所定の作業領域を十分な照度の光で照らすことができるとともに、高輝度発光ダイオード23を検査用の照明に用いることが可能となり、無影灯とは逆に、被検査表面25における微小な凹凸や傷26でも陰影を確実に発生させることができるので、作業者は、その陰影を容易に認識でき、傷26などの欠陥の有無を検査する作業性を向上できる。
【0025】
すなわち、直流電源をパルス発生させた駆動電流により高輝度発光ダイオード23を駆動して、規定された波長および角度で直進性を有する光Laを発光させ、この高輝度発光ダイオード23から発光された光Laの光軸を集束レンズ24により平行に変換して、その直進性を有する平行光Lbを自動車の塗装面などの被検査表面25に照射することで、その被検査表面25に凹凸や傷26がある場合は、図1中の点線で示された部分に光の陰影として確実に現われるので、この陰影の有無により被検査表面25における凹凸や傷26の視認が容易になる。
【実施例】
【0026】
次に、高輝度発光ダイオードの照度実験をしたので、その結果などを説明する。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
結果
表1より、電流20mAと100mAとでは、相違が生じている。まず、高輝度発光ダイオードを2個使用した場合の照度は、約2〜3倍、高輝度発光ダイオードを4個使用した場合の照度は、約3〜4倍となった。
【0030】
また、周波数による照度の違いはあまり見られない。しかし、若干ではあるが1000Hzでは暗くなっている。周波数によるちらつきは、光源を直接見た場合、50Hzで違和感を感じる程度で100Hz以上では感じられない。照らした場合は、50Hzでも感じられない。
【0031】
表2より、1Wタイプの高輝度発光ダイオードは1個で、100mA流した高輝度発光ダイオードの2個に相当する。集束レンズの有無では、照度が約20〜22倍になった。
【0032】
考察
以上の結果より、パルス制御により20mAを100mAにする効果はあると考える。しかし、50Hzの場合、ライトによる目の疲れが、無意識のうちにたまる可能性がある。また、レンズを使用することにより照度が格段に上がる。よって高輝度発光ダイオードの個数は10個前後で足りるのではないかと思われる。
【0033】
なお、参考までに、各仕様による照度の相違は、次の表3のようになる。
【0034】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る照明装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】同上照明装置を備えた電線リール装置の斜視図である。
【図3】同上照明装置の電気回路図である。
【図4】従来の照明装置を用いて傷を探す場合の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
11 リール装置本体部
13 巻取リール部
14 ケーブル
15 照明器具
23 高輝度発光ダイオード
24 集束レンズ
25 被検査表面
26 傷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高輝度発光ダイオードと、
この高輝度発光ダイオードから発光された光を平行光に変換する集束レンズと
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
リール装置本体部と、
このリール装置本体部内に回転自在に設けられた巻取リール部と、
この巻取リール部に巻き取られるケーブルと、
このケーブルの先端部に設けられた照明器具と、
この照明器具に設けられた高輝度発光ダイオードと、
この高輝度発光ダイオードから発せられた光を平行光に変換する集束レンズと
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
高輝度発光ダイオードから集束レンズを経て照射された平行光により、被検査表面における傷を光の陰影により検査する
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−58032(P2006−58032A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237496(P2004−237496)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000179395)株式会社ヤマダコーポレーション (18)
【Fターム(参考)】