説明

熱アシスト記録(ThermallyAssistedRecording;TAR)パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ

【課題】書き込み同期およびサーボフィールドの光検出を行う熱アシスト記録(TAR)パターンドメディアディスクドライブを提供する。
【解決手段】熱アシスト記録(TAR)ビットパターンメディア(BPM)磁気記録ディスクドライブは、書き込み同期のための同期フィールドの光検出と、読み込み/書き込みヘッド位置決め用サーボセクタの光検出を利用する。同期フィールドとサーボセクタは不連続の非データ用ブロックにパターン化される。近接場トランスデューサは、レーザ光をディスクに向かわせ、ディスク上に、パワー吸収プロファイルを発生させる。センサは、ディスクが回転するときの同期フィールドとサーボセクタ内の非データ用ブロックとギャップからの放射に応答して、出力信号を供給して、データアイランドに印加される書き込み磁場のタイミングを制御し、かつ、データトラックへの読み込み/書き込みヘッドの位置決めを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各データビットがディスク上の磁気的に絶縁されたアイランド内に保存される、パターンドメディアを使用する熱アシスト記録(TAR)型磁気記録ディスクドライブに関し、より詳しくは、このタイプのディスクドライブのサーボ制御と書き込み同期に関する。
【背景技術】
【0002】
データの高密度化のために、ビットパターンドメディア(Bit-Patterned Media ;BPM)とも呼ばれるパターンド磁気記録媒体を用いる磁気記録ハードディスクドライブが提案されてきた。パターンドメディアでは、ディスク上の磁性材料が、絶縁された小さなデータアイランドまたは同心円状のデータトラックに配置されたアイランドにパターン化されている。各アイランドは1つの磁気「ビット」を含み、隣接するアイランドから非磁性領域によって分離される。これは従来の連続媒体と異なる。連続媒体では、1つの「ビット」が、弱結合によって1つの磁気ドメインを形成する、複数の隣接する磁性粒子によって構成され、ビットが物理的に相互に近接している。パターンドメディアディスクは、磁化方向が記録層平面に平行、または記録層の平面内にある長手磁気記録媒体でも、また、磁化方向が記録層に垂直または記録層平面外にある垂直磁気記録媒体でもよい。パターン化されたアイランドに必要な磁気的絶縁を実現するには、アイランド間の領域の磁気モーメントを破壊するか、実質的に低減させて、これらの領域が基本的に非磁性となるようにしなければならない。あるいは、アイランド間の領域に磁性材料が実質的にまったくないように媒体を製作してもよい。
【0003】
1つのタイプのパターンドメディアにおいて、データアイランドは、隆起した、離間された柱状体であり、これがディスク基板表面の上方に延び、基板表面上の、柱状体の間には谷部または堀状部が画定される。このタイプのパターンドメディアは、プリエッチングされた柱状体と堀状部のパターンが、比較的低コストの大量生産工程、たとえばリソグラフィやナノインプリンティングで形成できるため、関心を集めている。その後、磁気記録層の材料がプリエッチングされた基板表面全体に堆積され、柱状体と堀状部の両方の端部を被覆する。堀状部は読み込み/書き込みヘッドより十分に深く、読み込みまたは書き込みに不利な影響を与えない。
【0004】
パターンドメディアディスクドライブには、従来の連続媒体ディスクドライブと同様に、読み込みおよび書き込み中に、読み込み/書き込みヘッドを所望のトラック上に位置決めし、トラック上に保持するためのサーボ制御システムも必要となる。これは一般に、ディスク周辺に角度離間された専用の非データ用サーボ領域またはセクタによって実現される。パターンドメディアディスクでは、非磁性空間によって分離される不連続のサーボアイランドまたはブロックを含む、非データ用サーボ領域が提案されている。サーボブロックは位置エラー信号(Position error signal ; PES)フィールドにパターン化され、このフィールドは、読み込みヘッドによって検出され、PESに変調されるサーボリードバック信号を発生して、読み込み/書き込みヘッドを所望のデータトラックに位置決めし、トラック上に保持する。
【0005】
非データ用サーボ領域に加え、書き込み同期のための非データ用同期フィールドも有するパターンドメディアディスクが提案されている。データビットが連続媒体に書き込まれる従来の磁気記録とは異なり、パターンドメディアディスクの不連続データアイランド間の磁化転移は、個々のデータアイランドの位置によって統制される所定の位置に限定される。それゆえ、書き込みヘッドの書き込み電流の反転を、個々のデータアイランドがヘッドの下を通過するのと同期させる必要がある。非データ用同期フィールドは、読み込みヘッドによって検出され、書き込みヘッドの同期に使用される。本願と同じ譲受人に譲渡された特許文献1には、非データ用書き込み同期フィールドを有するパターンドメディアディスクドライブが記載されている。
【0006】
熱アシスト記録(Thermally Assisted Recording ; TAR)とも呼ばれる、熱アシスト磁気記録(Heat-Assisted Magnetic Recording ; HAMR)が提案されている。TARシステムでは、近接場トランスデューサ(Near-field Transducer ; NFT)を備える光導波路が、レーザ等の放射光源からの熱を、ディスク上の磁気記録層の局所領域を加熱するように方向づける。放射光は磁気材料を局所的にそのキュリ温度付近またはそれ以上まで加熱して、飽和保磁力を書き込みヘッドによる書き込みが可能となる程度まで十分に下げる。TARシステムは、パターンドメディアディスクドライブ用に提案されており、この場合、各データアイランドが加熱されて、書き込みヘッドからの書き込み磁場がアイランドに印加されると、磁気材料の飽和保磁力が低下する。
【0007】
パターンドメディアTARディスクドライブにも、サーボ制御システムと書き込み同期が必要である。パターンドメディアTARディスクドライバ用に提案されたサーボ制御システムは、熱アシストを利用しないパターンドメディアディスクドライブ用のものと同じであり、それゆえ、ディスク周辺に角度離間され、読み込みヘッドによって検出される非データ用磁性サーボ領域を使用する。磁気サーボ方式には、書き込みクロックがサーボセクタごとにしか更新されず、それゆえ、システムが更新と更新の間に発生する磁化の乱れやドリフトの影響を受けやすいという問題がある。サーボセクタを相互に近接させてまとめると、記録空間がとられてしまう。非データ用サーボ領域の磁気リードバックに依存しない方式は、サーボ信号が書き込み工程中に発生される磁場によって破壊されないため、サーボリードバック中に書き込み工程を停止する必要がないという利点を有する。これによって、サーボ機能実装のためのストレージオーバーヘッド全体が削減される。
【0008】
書き込み同期に関しては、専用の同期フィールドではなく、実際のデータアイランドを使用する光学的方式が提案されている。たとえば、2008年9月11日の、本願と同じ譲受人に譲渡された特許文献2には、読み込みヘッドの代わりに放射光検出器を使って、データアイランドから反射された放射光を検出するパターンドメディアTARディスクドライブが記載されており、この放射光検出器の出力は、書き込みヘッドからの書き込みパルスのクロッキングを制御するために使用される。しかしながら、放射光吸収コントラストは、面密度と、データアイランドの熱安定性および書き込み特性を最大限にしようとするシステムにおいては、きわめて低い可能性となる。アイランド縁辺部の間に広いギャップのあるデータアイランドの場合、放射光の変動を検出する方式が最も有効であるが、これは高密度BPMには望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,675,703B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/209,089号(米国特許出願公開第2010/0061018A1号)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
求められているのは、非データ用領域からの磁気リードバックに依存せず、それでも十分な信号対雑音比を提供する、サーボ制御および書き込み同期機能を備えるパターンドメディアTARディスクドライブである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、書き込み同期のための同期フィールドの光検出と、読み込み/書き込みヘッドの位置決めのためのサーボセクタの光検出を利用する、TARパターンドメディア磁気記録ディスクドライブに関する。TARディスクは、非データ用同期フィールドと、パターン化されたデータトラックを略半径方向に横切って延びるサーボセクタを有するBPMディスクであり、非データ用同期フィールドとサーボセクタの各々は、トラック方向のギャップによって分離された不連続の非データ用ブロックにパターン化されている。読み込みおよび書き込みヘッドのためのキャリアはまた、レーザ放射光をディスクへと方向付ける近接場トランスデューサ(NFT)を備える光チャネルも支持する。NFTによってディスク上に発生するパワー吸収プロファイルは、その特徴として、トラック方向のスポットサイズが同期フィールドとサーボセクタの中の非データ用ブロック間のギャップのトラック方向の長さより小さい。センサは、ディスクが回転すると、同期フィールドとサーボセクタの中の非データ用ブロックとギャップからの放射光に応答して出力信号を供給する。同期フィールドからのセンサ出力信号は、書き込みヘッドによってデータアイランドに印加される書き込み磁場のタイミングを制御する。サーボセクタからのセンサ出力信号もまた、データトラック上の読み込み/書き込みヘッドの位置決めを制御する。
【0012】
本発明の性質と利点をさらに理解するために、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】先行技術において提案されている、熱アシストを利用せずに動作するパターンドメディアディスクドライブの上面図である。
【図2】先行技術において提案されているパターンドメディアディスクドライブに関連する電子回路のブロック図であり、パターンド磁気記録ディスクの断面図も示す。
【図3】先行技術において提案されている、複数のデータトラックにわたるパターン化された同期フィールドとパターン化されたサーボセクタを有するパターンドメディアディスクの一部を示す概略図である。
【図4A】本発明による熱アシスト記録(TAR)パターンドメディアディスクドライブに関連する電子回路のブロック図であり、パターンド磁気記録ディスクの非データ用領域の断面図も示す。
【図4B】本実施の形態で使用するディスクから見た近接場トランスデューサ(NFT)の、図である。
【図5】本実施の形態において、非データ用領域のブロックとギャップがNFTを通過するときに、NFTから反射される光パワーのグラフ(強度比)である。
【図6A】非データ用ブロックとギャップの間の光パワー吸収コントラストのコンピュータシミュレーションにおける、3つの非データ用ブロックを表す図である。
【図6B】非データ用ブロックとギャップの間の光パワー吸収コントラストのコンピュータシミュレーションにおける、トラック方向のブロック間隔が図6Aの図とは異なる、3つの非データ用ブロックを表す図である。
【図7】本実施の形態によるパターンドメディアディスクの一部の、非データ用同期フィールドと非データ用サーボセクタを示す図である。
【図8A】本実施の形態で使用するディスクから見た近接場トランスデューサ(NFT)の図であり、第一の頂点部、第二の頂点部および、第二の頂点部に隣接する導電体を示す。
【図8B】本実施の形態において放射光センサとして機能する単純な回路である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、先行技術において提案されている、熱アシストを使用しないパターンドメディアディスクドライブ100の上面図である。ドライブ100は筐体またはベース112を有し、筐体またはベース112はアクチュエータ130と、パターンド磁気記録ディスク10をその中心13の周囲で回転させるスピンドルモータ(図示せず)を支持する。アクチュエータ130は、剛性アーム134を有し、矢印124で示されているように枢軸132の周囲で回転する、ボイスコイルモータ(VCM)ロータリアクチュエータであってもよい。ヘッドサスペンションアセンブリは、一端がアクチュエータアーム134に取り付けられているサスペンション121と、サスペンション121の反対の端に取り付けられている、空気軸受スライダ122等のヘッドキャリアを含む。サスペンション121により、ヘッドキャリア122はディスク10の表面から非常に近い位置に保持される。スライダ122は、読み込み/書き込みまたは記録ヘッド109を支持する。記録ヘッド109は一般に、インダクティブ書き込みヘッドと磁気抵抗読み込みヘッドの複合体(読み込み/書き込みヘッドともいう)であり、スライダ122の後端または端面に配置される。図1には、1枚のディスクの表面とそれに関連付けられたスライダと書き込みヘッドだけが示されているが、一般には、スピンドルモータによって回転されるハブの上には複数のディスクが積み重ねられ、各ディスクの各面に別のスライダと書き込みヘッドが関連付けられる。
【0015】
パターンド磁気記録ディスク10は、ディスク基板11と、基板11の上の磁性材料からなる不連続のデータアイランド30を含む。データアイランド30は、データ保存のための不連続の磁気ビットの役割を果たす。不連続のデータアイランド30の各々は、非磁性領域または空間によって他のブロックから分離された磁化ブロックである。「非磁性」という用語は、データアイランド間のスペースが、誘電材料等の非強磁性材料または、印加される磁場がなければ実質的なリマネントモーメントを持たない材料で形成されているか、または溝または堀状部の磁気材料が、ブロックより十分に深く、読み込みまたは書き込みに不利な影響を与えないことを意味する。データアイランド間の非磁性スペースは、磁気記録層またはディスク基板上の磁性材料の欠如部分、たとえば、溝や谷部等であってもよい。
【0016】
データアイランド30は、半径方向に離間された円形のトラックに配置され、トラックは環状の帯またはゾーン151、152、153にグループ分けされる。各トラック内で、データアイランド30は一般に、固定バイト長のデータセクタに配置される(たとえば、512バイトまたは4096バイトに、エラー訂正コーディング(ECC)とデータセクタヘッダのためのバイトが追加される)。データセクタの数は、各ゾーンで異なる。データトラックを環状ゾーンにグループ分けすることによって、帯状の書き込みが可能となり、データアイランドの角度離間と、それゆえデータレートが各ゾーンで異なる。図1は3つのゾーン151、152、153が示され、各ゾーンに関して、代表的な同心円状のデータトラック161、162、163の一部のみが示されている。図1には3つのゾーンしか描かれていないが、現代のディスクドライブは一般に約20のゾーンを有する。各ゾーンにおいて、略半径方向に向かう同期(sync)マーク、たとえばゾーン153の中の一般的なsyncマーク173を含む専用の非データ用領域もある。各syncマーク173は、円周方向に離間された複数のマークであってもよく、その間隔は各ゾーンで異なり、これらは読み込みヘッドによって検出されて、書き込みヘッドはその領域の中のデータアイランドの特定の間隔と同期されることが可能となる。ゾーン153の中のsyncマーク173の間のデータ領域164のような、連続するsyncマーク間のデータ領域には、複数の固定バイト長のデータセクタが含まれる。syncマークは、特定のデータセクタのセクタヘッダの中にあってもよい。データが書き込みまたは読み込みされることになる物理的な位置は、ヘッドの番号、トラック番号(複数のディスクがある場合は「シリンダ」番号とも呼ばれる)およびデータセクタ番号によって識別される。
【0017】
ディスク10がその中心13の周囲で、矢印20の方向に回転すると、アクチュエータ130の動きによって、ヘッドキャリア122の後端にある読み込み/書き込みヘッド109が、ディスク10の上の異なるデータトラックとゾーンに到達することができる。アクチュエータ130は、枢軸132の周囲で旋回するロータリアクチュエータであるため、読み込み/書き込みヘッド109のディスク10を横切る経路は、完全な半径ではなく弓状線135である。
【0018】
各データトラックはまた、ヘッド109を所望のデータトラックに移動させ、ヘッド109をデータトラック上に保持するために読み込みヘッドにより検出可能な位置決め情報を含む、円周方向または角度方向に離間された複数の専用の非データ用サーボ領域またはセクタ120を含む。各トラック内のサーボセクタは、他のトラック内のサーボセクタと円周方向に整合して、略半径方向にトラックを横切り、これは半径方向のサーボセクタ120によって表される。サーボセクタ120は、ヘッド109の弓状経路135と略同じ弓状の形状である。サーボセクタ120はディスク上の非データ用領域であり、通常はディスクの製造または形成中に一度磁化され、ディスクドライブの通常の動作中に消去されないことが意図されている。syncマーク(たとえばsyncマーク173)は、データセクタのためのセクタヘッドの中に位置付けられてもよく、あるいは、サーボセクタ120の中に位置付けられてもよい。
【0019】
図2は、ディスクドライブ100に関連付けられる電子回路のブロック図であり、不連続の磁化可能データアイランド1から9の形のパターンドメディアの磁気記録層を有する磁気記録ディスク10の断面図も示している。図2はまた、スライダの一部も示しており、これは磁気抵抗読み込み要素またはヘッド109bと書き込み要素またはヘッド109aを含む、読み込み/書き込みヘッド109を有する。読み込みヘッド109bと書き込みヘッド109aは、スライダ122の後端122aに形成される。アイランド1から9に示される矢印は、アイランドの中の磁気モーメントまたは磁化方向を示し、これは垂直または平面外磁気記録の場合を描いている。データの読み込みまたは書き込みは、書き込み極を有するインダクティブコイル書き込みヘッド109aによって行われ、書き込み極は、書き込みヘッドのコイルの中の電流の方向に応じて、2つの磁化方向の一方にアイランドを磁化する磁場を発生する。アイランド1から9の間には磁性材料がないため、書き込みパルスは、適当なアイランドを磁化するように正確にタイミングがとられなければならない。
【0020】
ディスクドライブの電子回路は、読み込み/書き込み(R/W)電子回路113、サーボ電子回路112、コントローラ電子回路115およびインタフェース電子回路114を含む。R/W電子回路113は、読み込みヘッド109bから信号を受信し、サーボセクタ120からのサーボ情報をサーボ電子回路112に送信し、データセクタからのデータ信号をコントローラ電子回路115に送信する。サーボ電子回路112は一般に、サーボ制御プロセッサを含み、これはサーボセクタ120からのサーボ情報を使って制御アルゴリズムを実行し、これによって制御信号を生成する。制御信号は、ロータリアクチュエータ130を駆動して、ヘッド109を位置決めする電流に変換される。インタフェース電子回路114は、インタフェース116を通じてホストシステム(図示せず)と通信し、データおよびコマンド情報を送信する。インタフェース電子回路114はまた、インタフェース118を通じてコントローラ電子回路115と通信する。インタフェース電子回路114は、ホストシステム、たとえばパーソナルコンピュータ(PC)から、インタフェース116を通じてデータセクタの読み込みまたは書き込みを行うためのリクエストを受信する。コントローラ電子回路115は、マイクロプロセッサと関連するメモリ115aを有する。コントローラ電子機器115は、インタフェース電子回路114からのリクエストデータセクタのリストを受け取り、これらをディスク表面(そのディスク表面に関連付けられるヘッド番号)、トラックおよびデータセクタを個々に識別する番号の集合に変換する。これらの番号は、サーボ電子回路112に送信され、ヘッド109を適当なデータセクタに位置決めすることが可能となる。
【0021】
図2はまた、PC等のホストシステムとディスクドライブ100の間のデータの伝送を概略的に示す。データセクタの中の、書き込まれたデータアイランドからの信号は、読み込みヘッド109bによって検出され、読み込み/書き込み電子回路113によって増幅、復号される。データは、コントローラ電子回路115に送信され、またインタフェース電子回路114からインタフェース116を介してホストに送信される。ディスク10に書き込まれるべきデータは、ホストからインタフェース電子回路114とコントローラ電子回路115に送信され、その後データキューとしてパターン発生器117に、その後、書き込みドライバ119へと送信される。書き込みドライバ119は、高周波数電流パルスを書き込みヘッド109aのコイルに発生させ、それによって書き込み磁場が発生して、データアイランド1から9を磁化する。書き込みクロック140は、異なるデータゾーンに対応する異なる周波数で動作でき、線144上でクロック信号を出力して、パターン発生器117と書き込みドライバ119のタイミングを制御する。syncマーク検出器141は、入力線142の上でR/W電子回路113からのリードバック信号を受信し、線143上で信号を出力して、書き込みクロック140のタイミングを制御する。syncマーク検出器141は、R/W電子回路113からのsyncマーク(たとえば、図1のsyncマーク173)を検出する。各ゾーンのsyncマークの間隔は異なるため、syncマーク検出器141により、書き込みクロック140は、異なるゾーンの各々の中のデータアイランドの間隔と同期できるようになる。
【0022】
図3は、先行技術において提案されている、複数のデータトラックにわたるパターン化された非データ用syncフィールド173とパターン化された非データ用サーボセクタ120を有するパターンドメディアデディスク10の一部を示す概略図である。4つの完全なデータトラック308、309、310と半分のトラック311が示されており、それぞれ、各トラック中心線328、329、330、331を有する。読み込みヘッド109bは、データトラック308の中に位置決めされているように示され、ディスクが矢印20の方向に回転すると、syncフィールド173とサーボセクタ120の中の非データ用アイランドを検出する。
【0023】
syncフィールド173は、4つのsyncマークとして、非磁性空間によって分離された、磁化された非データ用アイランド173aから173dを有するように描かれている。syncマークは、半径方向にデータトラックを横切って延びるストライプであり、その結果、そのデータセクタでデータの読み込みまたは書き込みが行われる前に、フェーズロックループデータクロックをロックするのに適した単一周波数パターンが得られる。
【0024】
サーボセクタ120は、従来の連続媒体ディスクドライブのセクタサーボシステムにおいて一般的に使用されるタイプの従来のサーボパターンであり、明瞭を期すために、ごく単純化したパターンを示している。サーボパターンは、非データ用アイランドを含むサーボフィールドを含み、そのうちの3つが、サーボタイミングマーク(STM)フィールド302、トラックID(TID)フィールド304および位置エラー信号(PE)フィールド306が、アイランドのグループA〜Dからなる4つのPESフィールドの周知の方形パターンとして示されている。グループAからDのPESアイランドは、ヘッドの半径方向の位置のうちの一部分を決定するのに使用される。ヘッドがトラックの中央にあるとき、グループAのアイランドとグループBのアイランドからのリードバック信号の振幅は等しい。ヘッドが半分のトラックの位置にあるとき、グループCのアイランドとグループDのアイランドからの振幅は等しい。ヘッドがトラックから外れると、すべてのアイランドからの振幅は増加または減少する。PESアイランドの振幅はサーボ電子回路112の中で復号されて、ヘッドの位置変更に使用される。
【0025】
図3において、syncフィールド163、データセクタ164およびサーボセクタ120の中のアイランドはすべて、磁性材料からなる不連続のデータアイランドであり、同じ垂直方向、すなわち図3の用紙の中に入る、または用紙から出る、いずれかの方向に磁化される。アイランドは一般に、製造中に大型磁石によってDC磁化される。不連続のアイランドの各々は、190として示される非磁性空間によって他のアイランドから分離される磁化アイランドである。「非磁性」という用語は、アイランド間のスペース190が、誘電体等の非強磁性材料または、印加される磁場がなければ実質的なリマネントモーメントを持たない材料によって形成されるか、あるいは溝または堀状部の中の磁性材料がアイランドより十分に深く、読み込みまたは書き込みに不利な影響を与えないことを意味する。非磁性スペース190はまた、磁気記録層またはディスク基板内の溝または谷部のように、磁性材料が欠如している部分でもよい。非磁性空間190はまた、ディスクが略平坦になるまで溝または堀状部に高分子材料を充填すれば、非磁性高分子材料で構成されてもよい。
【0026】
本実施の形態は、不連続の非データ用ブロックを有する専用の書き込み同期領域とサーボ領域を使用するが、非データ用ブロックが読み込みヘッドではなく、非データ用ブロックとブロック間のスペースによって吸収される光パワーの量に応答する別の放射光センサによって検出される、パターンドメディアTARディスクドライブである。図3の非データ用アイランドとは異なり、本実施の形態において、非データ用ブロックは、これらがディスクドライブの磁気抵抗読み込みヘッドによって検出されることが意図されたものではないため、磁性材料で形成する必要がない。同期フィールドとサーボセクタ内の非データ用ブロックは、放射光センサからの信号を最適化するトラック方向の長さを有するギャップによって分離される。
【0027】
図4Aは、TARパターンドメディアディスクドライブに関連付けられた電子回路のブロック図であり、空気軸受スライダ422と磁気記録ディスク410の断面図も、同期フィールド473とサーボセクタ420の一部とともに示している。同期フィールド473は、syncマークとして機能し、ギャップ473e〜473gによって分離される、パターン化された非データ用ブロック473a〜473dを有する。図4Aに示されるように、ブロック473a〜473dは山領域、たとえば柱状部であり、ギャップ473e〜473gは谷領域、たとえば陥凹部である。ブロックは、金属または金属合金材料、たとえばデータアイランド上のものと同じ材料で形成されてもよく、ギャップは非金属材料で形成されてもよい。ギャップはまた、平坦化されたディスクのように、非磁性材料で充填されてもよい。ディスク410はまた、サーボセクタ420のような非データ用サーボセクタを含み、これらはsyncフィールド473のブロックとギャップのような非データ用ブロックとギャップを有するが、TIDマークとPESマークのようなサーボマークにパターン化されている。
【0028】
スライダ422はまた、読み込みヘッド109bと書き込みヘッド109aに加えて、光導波路またはチャネル200を支持する。光チャネル200は、スライダ422のディスクと対面する表面または空気軸受面(ABS)に近接場トランスデューサ(NFT)210を有する。放射光源250、たとえばダイオードレーザは、放射光を、ビームスプリッタ255を通って光導波路200へと方向付ける。ディスクが方向20に回転してスライダ422を通過すると、放射光はNFT210に当たり、集光された近接場放射光が生成される。NFT210から反射された放射光は、光導波路200から、ビームスプリッタ255を通って、放射光センサ260に戻される。反射される光パワーは、NFT210がブロックまたはブロック間のギャップのどちらと相互作用したかによって異なる。
【0029】
本明細書において、「近接場」トランスデューサとは「近接場光学装置」を指し、この中で、光はサブ波長の特徴を有する素子へ、その素子から、その素子の中または近くを通過し、光は第一の素子からサブ波長の距離に配置された第二の素子に結合される。NFTは一般に、第一の頂点または頂点部として形成される表面特徴部に電荷移行運動を集中させるような方法で成形された低損失金属(たとえば、Au、Ag、AlまたはCu)を使用する。振動する頂点部の電荷により、強力な近接場パターンが生成する。時々、金属構造は、表面プラズモンまたは局所的プラズモンと呼ばれる共鳴電荷移行を発生させて、さらに強度を高めることができる。振動する頂点部の電荷による電磁界はその後、近接場での光出力を発生させ、これがディスク上のデータアイランドと非データ用ブロックに方向付けられる。NFT210は、放射光源250からの放射光の波長より小さい特徴を有し、NFT210と、ブロックとギャップの間の間隔は、放射光源250からの放射光の波長より小さい。
【0030】
図4Bは、ディスクから見たNFT210の図であり、NFT210を、第一の頂点部212を有するE字形アンテナとして描いている。E字形と頂上部の形状は、電子ビームリソグラフィまたは光リソグラフィによって形成されてもよい。NFT210の金属膜の、基板面に垂直な高さは、約75から125nmの間である。トラックに直交する方向のNFT210の内角間の距離は、約250から400nmであってもよい。頂点部212の、トラックと直交する方向の幅は約10から40nm、トラック方向の長さは約20から50nmである。レーザの波長は、これらのE字形アンテナの寸法に適合するように、750nmから1000nmの範囲であってもよい。偏光がE字形アンテナの第一の頂点部212と一致している場合、頂点部212の端部に強力な近接場パターンが発生する。E字形アンテナを、局所的プラズモン周波数が入射光の波長と適合するような寸法に調整することにより、第一の頂点部212に共鳴電荷移行を発生させることができる。NFT210は、入力光パワーを、ディスクの表面上の、第一の頂点部212付近の非常に小さいスポットに集光する。一例において、第一の頂点部212幅が24nmの金のNFTと、非データ用ブロックが高さ20nm、直径24nmのコバルトアイランドであるディスクの場合、光導波路の光パワーの10%超が1つのコバルトアイランド内で散逸する。
【0031】
放射光センサ260からの出力信号は、NFTブロックか連結されたシステムとNFTギャップが連結されたシステムからの反射光の強度の差を表す。図5は、ブロックとギャップがNFT210を通過するときに、NFT210から反射された光パワー(強度比)のグラフであり、時間に関する放射光センサ260への入力を表す。図5の略図には、ブロックが柱状でその最上部がNFTから8nm離れ、ギャップが陥凹部でNFTから40nm離れている場合のコンピュータモデルのシミュレーションの結果を含めている。放射光センサ260は、好ましくは光ダイオードであり、それゆえ、ディスクが回転し、非データ用ブロックとギャップがNFT210を通過するときの、反射された光パワーの中のこの変動を表す出力信号を供給する。
【0032】
データアイランドへのデータ書き込み中、レーザ250は、NFT210からの放射光がデータアイランドを加熱して、書き込みヘッド109aからの磁場によるデータアイランド内の磁化反転が促進されるようにする書き込みパワー設定に設定される。また、書き込み中、同期フィールドがNFT210を通過すると、センサ260はNFT210から反射された放射光を検出し、それゆえ、同期ブロック473aから473dとギャップ473eから473gを検出する。センサ260の出力はsyncマーク検出器141に送信され、書き込みクロック140のタイミングを制御する。また、書き込み中、サーボフィールド420がNFT210を通過すると、センサ260はNFT210から反射された放射光を検出し、それゆえ、サーボブロックとギャップ、たとえば、TIDサーボマークとPESサーボマークを検出する。センサ260の出力はまた、サーボ電子回路112に送信され、これがディスクドライブアクチュエータ130を制御して、書き込み中、トラック上に書き込みヘッド109aを保持する。
【0033】
読み込みヘッド109bによるデータアイランドからのデータ読み込み中、サーボフィールド420がNFT210を通過すると、センサ260はNFT210から反射された放射光を検出し、それゆえ、サーボブロックとギャップ、たとえば、TIDサーボマークとPESサーボマークを検出する。また、レーザ250は少なくとも2つのパワー設定値を有し、読み込み中は書き込み中の書き込みパワーより小さい、低いパワー設定値を選択できる。レーザの低いほうのパワーは、データアイランド内の磁性材料の温度をそのキュリ温度付近まで上昇させないように、十分に低い。センサ260の出力は、サーボ電子回路112に送信され、これがディスクドライブアクチュエータ130を制御して、読み込み中、トラック上に読み込みヘッド109bを保持する。一般に、スライダ上の読み込みヘッド109bと書き込みヘッド109aの間には、物理的なラジアルオフセットがあるため、スライダの弓状経路135(図1)による歪みのために、センサ260は、書き込みヘッド109aと整合し、読み込みヘッド109aによって読み取られているトラックとは異なるトラック上のサーボマークを検出する。読み込み/書き込みオフセットの量はトラック数に関係し、ディスクドライブ電子回路の中のルックアップテーブルから判断され、これは当業界で周知のとおりである。
【0034】
本実施の形態において、トラック方向の非データ用ブロック間のギャップは、NFTによって生成されるパワー吸収スポットのトラック方向の長さより大きいトラック方向の長さを有する。図6Aは、非データ用ブロックとギャップ間の光パワー吸収コントラストのコンピュータシミュレーションにおける3つの非データ用ブロックを表す。このシミュレーションでは、各ブロックは金属磁性材料で形成される。シミュレーションではCoが使用されたが、Co/Pd多層体、FePt合金またはCoCrPt合金等の磁性材料も同様の結果を示す。ブロック間のギャップは、空気または、SiO等の誘電材料で形成される。NFTと磁性媒体との分離は8nmであったが、10nm未満の空間であれば同様の結果が得られる。各ブロックは24nm×24nmの正方形で、隣接するブロックとは中心から中心の距離で42nmだけトラック方向に離間されている。ブロック間のギャップは、トラック方向の長さが18nmである。NFTにより頂点部に発生する振動電荷密度は、特徴的なパワー吸収プロファイルまたはスポットの半径が24nmとなるような程度であり、これは点線の円217によって示される。パワー吸収スポットは、連続金属磁性媒体のうち、NFTがその媒体の表面から約5から10nm以内に近づけられると、電磁放射光が吸収される領域である。パワー吸収スポットの大きさと形状は、NFTの具体的な形状によって決定される。Eアンテナ(図4B)の場合、パワー吸収スポットは、頂点部212のトラックと直交する方向の幅と略同じ直径の円である。シミュレーションは、平均光パワー吸収より大きな光吸収コントラストが1.5%であることを示している。図6Bは、非データ用ブロックとギャップの間の光パワー吸収コントラストと同様のコンピュータシミュレーションを示しているが、トラック方向の間隔が図6Aと異なる。このシミュレーションでは、ブロック間のギャップは、トラック方向の長さが60nmであり、これはトラック方向のスポットサイズ24nmより大きい。シミュレーションは、平均光パワー吸収より大きな光吸収コントラストが4.6%に増えたことを示している。
【0035】
図7は、本実施の形態によるパターンドメディアディスクの一部の図である。トラック408から411のような代表的なトラックが、syncフィールド473とサーボフィールド420の間にあるデータアイランドとともに示されている。サーボフィールド420は、グレイコードTIDフィールド404とPESフィールド406の一部とともに描かれている。PESフィールド406内のPESブロックは、周知の「ヌル」サーボパターンとしてパターン化されているが、他のタイプのPESパターン、たとえば、図3の先行技術の図に示されたアイランドグループAからDからなる4つのPESフィールドの周知の方形パターン等にパターン化することも可能である。非データ用フィールド473、404および406の中の非データ用ブロックの各々は、隣接する非データ用ブロックからギャップGだけ離れている。放射光吸収コントラストを最適化するための重要な設計パラメータは、ギャップGを、トラック方向の長さがパワー吸収スポットのトラック方向の大きさより大きくなるように選択することである。好ましくは、半径方向に隣接する非データ用ブロック間のトラックに直交する方向の間隔もまた、パワー吸収スポットのトラックに直交する大きさより大きく、これは、たとえばサーボブロック408aと410aによって示されている。非データ用ブロックは、データアイランドと同時にパターン化されるため、非データ用ブロックは、好ましくは、データアイランドと同じ材料、すなわち、垂直磁気記録媒体に使用または提案される周知の強磁性金属または金属合金のいずれかで形成される。同様に、非データ用ブロック周辺の領域490は、一般に、データアイランドの周辺の領域490と同じ材料で形成される非磁性スペースである。ディスク周辺のデータフィールドが組み込まれた同期フィールド473とサーボフィールド420は、データフィールドへのデータ書き込み中に、同時に検出可能である。
【0036】
図8Aは、放射光センサ260'の異なる実施形態で使用するためのNFT210'をディスクから見た図である。NFT210'は、図4Bに示されるNFT210と同様であるが、第二の頂点部213を有し、これは第一の頂点部212と実質的に同じ形状である。第二の頂点部213は、導電体214の付近に位置付けられる。導電体214は導電性の「ナノワイヤ」であり、その抵抗は温度によって変化する。偏光がEアンテナの第一の頂点部212と整合している、頂点部212の端部には強力な近接場パターンが発生する。E型アンテナの寸法を、局所的プラズモン周波数が入射光の波長と適合するように調整することによって、第一の頂点部212に共鳴電荷移行を発生させることができる。NFT210'は、入力光パワーを、ディスク表面上の、第一の頂点部212の付近の非常に小さいスポットに集光する。
【0037】
第二の頂点部213は、NFT210'の一部を形成し、電荷密度振動の極大点に位置付けられる。第二の頂点部213はさらに、金のNFT210'の電荷を集中させて、第一の頂点部212のパターンと同様の強力な近接場パターンを生成する。第二の頂点部213が原因となるディスクの温度上昇は、第一の頂点部212によって起こされるピーク温度上昇のわずか約15%にすぎない。導電性ナノワイヤ(導電体214)が第二の頂点部213の付近に位置付けられ、第二の頂点部213によって発生される光近接場によって加熱される。ナノワイヤの加熱の程度は、NFT210'の電荷密度振動の振幅によって影響を受ける。レーザ光源からの入力パワーが一定であると、NFT210'の中の電荷密度振動の振幅は、ディスクのうち、第一の頂点部212に直接隣接する部分である非データ用ブロックまたはギャップのいずれかによって最も影響を受ける。電荷密度振動の振幅(および、それゆえナノワイヤの加熱)は、ディスクに供給される光パワー全体を変化させるどの領域によっても影響を受ける。たとえば、1つのコバルトの非データ用ブロックが第一の頂点部212の近くに位置付けられると、入射光パワーの約10%がブロック内で散逸し、これは、電荷密度振動が、第二の頂点部213より小さく、その結果、ナノワイヤの加熱の程度が減少することを意味する。ブロックが第一の頂点部212を通過し、ギャップが第一の頂点部212の付近に位置付けられると、電荷密度振動が増大し、これによって第二の頂点部213からナノワイヤに伝送される光パワーが増大し、それゆえ、ナノワイヤの温度が上昇する。
【0038】
図8Bは放射光センサ260'を示す単純な回路であり、これを使って、ナノワイヤ(導電体214)が、電荷密度振動の振幅が第二の頂点部213の中で変化するときに加熱(および冷却)によって起こされる温度変化に応答して、可変抵抗として機能する様子を説明する。電流発生源Iは、導電体214に一定電流を供給し、温度変化によって抵抗が変化し、これがセンサ260'の電圧の変化として検出される。センサ260'の電圧出力は、図4Aに関して説明した方法で、syncマーク検出器141とサーボ電子回路112に入力される。ブロックはギャップより、第一の頂点部212に近く、それゆえ、第一の頂点部212からの光パワーをより多く散逸させ、これによって、第二の頂点部213によって導電体214に供給される光パワーが減少する。それにより、導電体214の加熱程度が減り、およびそれゆえ抵抗が低下し、その結果、電圧が低下する。ギャップを非金属材料で充填して、ディスクが金属のブロックと略平坦になるようにすることができる。すると、センサ260'の電圧低下は、第一の頂点部212の付近に金属領域が存在することを表す。
【0039】
ナノワイヤ214は、温度変化(dT)による抵抗変化(dR)を示す導電性材料のいずれであってもよい。ナノワイヤからの信号対雑音比(SNR)を最大限にするために、材料のdR/dTを大きく、その一方で抵抗を約1kオームより小さくして、RCの時間定数とショットノイズを低減させるべきである。好ましくは、ナノワイヤは、金属または金属合金で形成される。しかしながら、ナノワイヤは、サーミスタ材料、半導体またはサーモカップル接合を形成する2つの材料であってもよく、またトンネリング接合であってもよい。室温から100℃まで加熱される単純な金属ナノワイヤの場合、金属ブロックの通過によって温度は約20℃低下し、その結果、抵抗は約10%低下する。
【0040】
本発明を、好ましい実施形態に関して特に図と文章で説明したが、当業者であれば、本発明の本質と範囲から逸脱することなく、形態や詳細をさまざまに変化させてもよいと理解されるであろう。したがって、開示された発明は、単に例示にすぎず、その範囲は付属の特許請求の範囲に明記されているようにのみ限定されると考えるものとする。
【符号の説明】
【0041】
10 磁気記録ディスク
11 ディスク基板
13 中心
30 不連続データアイランド
100 ドライブ
109 記録ヘッド
109a 書き込みヘッド
109b 読み込みヘッド
112 サーボ電子回路
113 R/W電子回路
114 インタフェース電子回路
115 コントローラ電子回路
115a メモリ
116 インタフェース
117 パターン発生器
118 インタフェース
119 書き込みドライバ
120 非データ用サーボ領域
122 キャリア
130 アクチュエータ
132 枢軸
134 アーム
135 弓状経路
140 書き込みクロック
141 同期マーク検出器
142 線
143 線
151 環状の帯
152 環状の帯
153 環状の帯
161 同心円状データトラック
162 同心円状データトラック
163 同心円状データトラック
164 データ領域
173 syncマーク
190 スペース
200 光導波路
210 近接場トランスデューサ
212 第一の頂点部
213 第二の頂点部
214 導電体
250 放射光源
255 ビームスプリッタ
260 放射光センサ
302 STMフィールド
304 TIDフィールド
306 PEフィールド
308 データトラック
309 データトラック
310 データトラック
311 データトラック
328 トラック中心線
329 トラック中心線
330 トラック中心線
331 トラック中心線
408 トラック
409 トラック
410 トラック
411 トラック
410 ディスク
420 サーボセクタ
422 スライダ
473a〜d 非データ用ブロック
473e〜g ギャップ
490 非データ用ブロック周辺の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が非磁性空間によって分離され、不連続の磁化可能なデータアイランドにパターン化される、同心円状の複数のデータトラックと、前記複数のデータトラックにおいて、略半径方向に横切るように延び、ギャップにより各々がトラック方向に不連続のブロックとなるよう角度離間されてパターン化される、複数の非データ用領域とを有する回転可能な磁気記録ディスクと、
前記データアイランドに磁場を印加するための書き込みヘッドと、
レーザ光源と、
光源からの放射光を前記磁気記録ディスク方向に方向づけ、前記データアイランドを加熱するための光チャネルおよび近接場トランスデューサと、
前記書き込みヘッドと前記近接場トランスデューサを支持するキャリアであって、前記磁気記録ディスクから、レーザ光の波長より小さい距離だけ離れた位置に保持されるディスク対向面を有するキャリアと、
前記磁気記録ディスクが回転すると、前記非データ用領域の非データ用ブロックと前記ギャップからの放射光を感知する放射光センサと、
を備え、
前記近接場トランスデューサは、前記磁気記録ディスク上に、前記非データ用ブロック間の前記ギャップのトラック方向の長さより小さい、トラック方向のスポットサイズのパワー吸収プロファイルを発生させるものである熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項2】
前記非データ用領域が同期フィールドであり、前記同期フィールド内のブロックが、前記書き込みヘッドによる前記データアイランドへのデータ書き込みを同期させるために、前記放射光センサによって検出可能な同期マークである、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項3】
前記非データ用領域はサーボセクタであり、当該サーボセクタ内のブロックが、前記データトラックを番号で識別するために、前記放射光センサによって検出可能なトラック識別マークである、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項4】
前記非データ用領域はサーボセクタであり、当該サーボセクタ内のブロックが、前記書き込みヘッドを前記データトラック内に位置付けるために、前記放射光センサによって検出可能な位置エラー信号マークである、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項5】
前記サーボセクタ内のPESマークは、ヌルサーボパターンディスクにパターン化される、請求項4に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項6】
前記放射光センサに応答し、前記書き込みヘッドに連結されて、前記書き込みヘッドによって前記データアイランドに磁場が印加されるタイミングを制御する書き込みクロックをさらに備える、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項7】
前記放射光センサに応答し、前記書き込みヘッドの前記データトラックへの位置決めを制御するサーボ電子回路をさらに備える、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項8】
前記非データ用ブロックは、金属または金属合金材料を含み、当該ブロック間の前記ギャップは非金属材料を含む、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項9】
前記磁気記録ディスクは、山部領域と谷部領域を持つ表面形状を有し、前記非データ用ブロックは頂部であり、当該ブロック間の前記ギャップは谷部である、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項10】
前記磁化可能データアイランドは、前記磁気記録ディスク平面に略垂直に磁化可能である、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項11】
前記放射光センサは、前記近接場トランスデューサから反射され、前記光チャネルを通過した放射光に応答する、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項12】
前記放射光センサは光検出器を含む、請求項11に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項13】
前記近接場トランスデューサは、前記ディスク対向面に、前記磁気記録ディスクが回転すると前記データアイランドを加熱する第一の頂点部と、当該第一の頂点部から離間された第二の頂点部を有し、前記放射光センサは、前記キャリアの上の第二の頂点部付近の導電体を含み、導電体は前記第二の頂点部によって加熱され、温度変化に応答して電気抵抗の変化を呈し、電気回路が導電体に連結されて、当該放射光センサの電気抵抗の変化を表す出力信号を供給する、請求項1に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項14】
各々が非磁性空間によって分離される不連続の磁化可能なデータアイランドにパターン化される、同心円状の複数のデータトラックと、前記複数のデータトラックにおいて、略半径方向に横切るように延び、ギャップにより各々がトラック方向に分離され、不連続の非データ用ブロックとなるよう角度離間されてパターン化される、複数の非データ用同期フィールドと、を有する回転可能な磁気記録ディスクと、
前記データアイランドに磁場を印加するための書き込みヘッドと、
レーザ光源と、
光源から前記磁気記録ディスクに放射光を方向づけ、前記データアイランドを加熱するための光チャネルおよび近接場トランスデューサと、
前記書き込みヘッドと前記近接場トランスデューサを支持するキャリアであって、前記磁気記録ディスクから、レーザ光の波長より小さい距離だけ離れた位置に保持されるディスク対向面を有するキャリアと、
前記磁気記録ディスクが回転すると、前記非データ用同期フィールド内の非データ用ブロックと前記ギャップからの放射光に応答して出力信号を供給する放射光センサと、
前記放射光センサの出力信号に応答し、前記書き込みヘッドに連結され、当該書き込みヘッドによる前記データアイランドへの磁場の印加のタイミングを制御する書き込みクロックと、を備え、
前記近接場トランスデューサは、前記磁気記録ディスク上に、非データ用ブロック間の前記ギャップのトラック方向の長さより小さい、トラック方向のスポットサイズのパワー吸収プロファイルを発生させるものである熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項15】
前記非データ用ブロックは、金属または金属合金材料を含み、当該ブロック間の前記ギャップは非金属材料を含む、請求項14に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項16】
前記磁気記録ディスクは、頂部領域と谷部領域を持つ表面形状を有し、前記非データ用ブロックは頂部であり、前記非データ用ブロック間の前記ギャップは谷部である、請求項14に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項17】
前記放射光センサは、前記近接場トランスデューサから反射され、前記光チャネルを通過した放射光に応答する、請求項14に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項18】
前記近接場トランスデューサは、前記ディスク対向面に、前記磁気記録ディスクが回転すると前記データアイランドを加熱する第一の頂点部と、前記第一の頂点部から離間された第二の頂点部を有し、
前記放射光センサは、前記キャリアの上の前記第二の頂点部付近の導電体を含み、前記導電体は前記第二の頂点部によって加熱され、温度変化に応答して電気抵抗の変化を呈し、
前記導電体には、さらに前記放射光センサの電気抵抗の変化を表す出力信号を供給する電気回路が連結されている、請求項14に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項19】
各々が非磁性空間によって分離され、不連続の磁化可能なデータアイランドにパターン化される、同心円状の複数のデータトラックと、前記複数のデータトラックにおいて、略半径方向に横切るように延び、ギャップにより各々がトラック方向に角度離間され、不連続の非データ用サーボブロックにパターン化された複数の非データ用サーボセクタとを有する回転可能な磁気記録ディスクと、
前記データアイランドに磁場を印加するための書き込みヘッドと、
レーザと、
前記レーザからの放射光を前記磁気記録ディスク方向に方向づけ、前記データアイランドを加熱するための光チャネル、および前記磁気記録ディスク上に、前記非データ用サーボブロック間の前記ギャップのトラック方向の長さより小さい、トラック方向のスポットサイズを有する、パワー吸収プロファイルを発生させる近接場トランスデューサと、
前記書き込みヘッドと前記近接場トランスデューサを支持し、前記磁気記録ディスクから、レーザ光の波長より小さい距離だけ離れた位置に保持されるディスク対向面を有するキャリアと、
前記磁気記録ディスクが回転すると、前記非データ用サーボブロックと前記サーボセクタ内のギャップからの放射光に応答して出力信号を供給する放射光センサと、
前記放射光センサの出力信号に応答し、前記書き込みヘッドの前記データトラック上への位置決めを制御するサーボ電子回路と、
を備える熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項20】
前記レーザは、前記書き込みヘッドからの磁場があると、前記データアイランドを加熱する書き込みパワー出力と、前記書き込みパワー出力より小さい低パワー出力を供給でき、前記キャリア上に、前記データアイランドからのデータを読み込む読み込みヘッドをさらに備え、前記レーザは読み込み中、前記低パワー出力である、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項21】
前記非データ用サーボブロックは、前記データトラックを番号で識別するための、前記放射光センサによって検出可能なトラック識別(TID)マークである、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項22】
前記非データ用サーボブロックは、前記書き込みヘッドを前記データトラック内に位置決めするために、前記放射光センサによって検出可能な位置エラー信号(PES)マークである、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項23】
前記非データ用サーボブロックは金属または金属合金材料を含み、前記非データ用サーボブロック間の前記ギャップは非金属材料を含む、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項24】
前記磁気記録ディスクは、頂部領域と谷部領域を持つ表面形状を有し、前記非データ用サーボブロックは頂部であり、前記非データ用サーボブロック間の前記ギャップは谷部である、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項25】
前記放射光センサは、前記近接場トランスデューサから反射され、前記光チャネルを通過した放射光に応答する、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。
【請求項26】
前記近接場トランスデューサは、前記ディスク対向面に、前記磁気記録ディスクが回転すると前記データアイランドを加熱する第一の頂点部と、第一の頂点部から離間された第二の頂点部を有し、
前記放射光センサは、前記キャリアの上の前記第二の頂点部付近の導電体を含み、
前記導電体は前記第二の頂点部によって加熱され、温度変化に応答して電気抵抗の変化を呈し、
前記導電体に連結され、センサの電気抵抗の変化を表す出力信号を供給する電気回路を更に有する、請求項19に記載の熱アシスト記録パターンドメディア磁気記録ディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−79402(P2012−79402A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216366(P2011−216366)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】