熱交換器の取付構造
【課題】 ラジエータコアサポートに短時間で簡便に取付け可能な熱交換器の取付構造の提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポート4,4に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝6a(6b)を備えるブラケット部材5a,5bを設け、ラジエータ8のタンク8a(8b)に、側方へ突出した搭載ピンP1,P2(P3,P4)をそれぞれ設けると共に、各搭載ピンP1,P2(P3,P4)を対応するブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a,6bに挿入して懸架させることにより、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けた。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポート4,4に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝6a(6b)を備えるブラケット部材5a,5bを設け、ラジエータ8のタンク8a(8b)に、側方へ突出した搭載ピンP1,P2(P3,P4)をそれぞれ設けると共に、各搭載ピンP1,P2(P3,P4)を対応するブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a,6bに挿入して懸架させることにより、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のラジエータやコンデンサ等の熱交換器の左右上下端部には、上下方向に突出する搭載ピンが設けられると共に、左右下側の搭載ピンがマウントゴムを介してラジエータコアサポートロアに載置された状態で固定され、左右上側の搭載ピンがマウントゴム及びブラケット部材を介してラジエータコアサポートアッパに固定されるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−35407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、熱交換器をラジエータコアポートに取り付ける際に、特に左右上側の搭載ピンにそれぞれマウントゴム及びブラケットを装着して固定しなければならず、時間と手間が大変掛かるという問題点があった。
【0004】
また、熱交換器の搭載ピンが上下方向に突設されることによって、搭載ピンに上記マウントゴム及びブラケットを装着するための上下方向のスペースが必要になり、熱交換器のコアサイズや設置レイアウト等の設計自由度が狭くなるという問題点があった。
【0005】
なお、自動車の衝突時を考慮した場合、エンジンフードに近接して剛体を設置しないことが好ましいため、一般的に熱交換器は出来るだけ低い位置に搭載したいという要求がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラジエータコアサポートに短時間で簡便に取付け可能な熱交換器の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたため、熱交換器をラジエータコアサポートに短時間で簡便に取付けることができる。
加えて、搭載ピンを上下方向に設けなくても良いため、熱交換器のコアサイズや設置レイアウト等の設計自由度を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1を説明する。
なお、本実施例1では熱交換器をラジエータに適用した場合について説明する。
図1は本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体分解斜視図、図2は同斜視図、図3はラジエータコアサポートの拡大斜視図、図4はラジエータの拡大斜視図、図5〜図7はラジエータの取付けを説明する図、図8は搭載ピンとマウントゴムの固定を説明する斜視図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、本実施例1の熱交換器の取付構造は、ラジエータコアサポート1と、ブラケット部材5a,5bと、ラジエータ8(熱交換器に相当)と、マウントゴム10が備えられている。
【0012】
図3に示すように、ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ2と、該ラジエータコアサポートアッパ2と並行するラジエータコアサポートロア3と、該ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド4,4で構成され、全体が金属製である。
なお、ラジエータコアサポート1は金属製に限らず、全体を樹脂製、または部位に応じて金属製部分と樹脂製部分で構成しても良い。
【0013】
そして、両ラジエータコアサポートサイド4,4には、金属製板材を用いて形成されたブラケット部材5a,5bがラジエータコアサポートサイド4,4から車両前方側に張り出した状態でそれぞれ設けられている。
また、各ブラケット部材5a,5bは、車両前方側に開口され、所定の幅を有して袋状に形成されたホルダ溝6a,6bが上下に離間して2箇所形成されている。
さらに、各ホルダ溝6a,6bの最深部となるホルダ部7は対応する後述のラジエータ8の搭載ピンP1〜P4の形成位置に一致するように配置されている。
【0014】
図4に示すように、ラジエータ8は、タンク8a,8bと、該タンク8a,8bの間に配置されたコア部9が備えられている。
各タンク8a,8bは、樹脂製で一体的に形成される他、タンク8aには側方に突出した円柱状の搭載ピンP1,P2が上下に離間して設けられ、一方、タンク8bにも側方に突出した円柱状の搭載ピンP3,P4が上下に離間して設けられている。
また、タンク8aには、その内部に連通した状態で後方側に突出した入出力ポート8dが設けられ、一方、タンク8bには、その内部に連通した状態で後方側に突出した入出力ポート8cが形成されている。
【0015】
コア部9は、タンク8a,8bに装着される一対のチューブプレート9a,9bと、両端部がそれぞれ対応するチューブプレート9a,9bに嵌挿固定された複数のチューブ9cと、隣り合うチューブ9c同士間に配置された複数の波状のフィン9dで構成されている。
また、チューブプレート5,6の両端部同士は一対のレインフォース9e,9fで連結補強されている。
その他、コア部9は上述した全ての構成部材がアルミ製であり、図示を省略する加熱炉で熱処理されることにより一体的にろう付け固定されている。
【0016】
そして、図2に示すように、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4が図8に示すマウントゴム10を介してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bのホルダ部7に懸架されることにより、ラジエータ8がラジエータコアサポート1に取り付けられている。
【0017】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付ける際には、先ず、図5(a)、図6に示すように、ラジエータ8をラジエータコアサポート1の車両前方側に配置した後、図5(b)、図7に示すように、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4にマウントゴム10を装着してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに挿入してホルダ部7に懸架させることにより、ラジエータ8を取り付ける。
【0018】
この際、図8に示すように、マウントゴム10はホルダ溝6a(6b)の幅と略同一の直径を有する第1環状部11と、この第1環状部11よりも大きい直径を有する第2環状部12を備えて段付きの円筒状に形成されており、ホルダ部7に懸架された際には、その内部に搭載ピンP1(P2〜P4)が圧入された状態で第2環状部12の上面12aがブラケット部材5a(5b)の内側に当接し、且つ、第1環状部11の側面11aがブラケット部材5a(5b)のホルダ部7に当接するため、搭載ピンP1(P2〜P4)がブラケット部材5a(5b)に直接接触することはなく、両者を安定した状態で固定することができる。
【0019】
また、補足ではあるが、ラジエータ8の取付時において、搭載ピンP1(P2〜P4)がブラケット部材5a(5b)に直接接触することはないため、該搭載ピンP1(P2〜P4)が折れる虞はない。
【0020】
従って、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4にマウントゴム10を装着してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに挿入してホルダ部7に懸架させるという簡便且つ短時間な作業でもってラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けることができる。
【0021】
また、ラジエータコアサポート1に取り付けられたラジエータ8は、車両に搭載された後、入出力ポート8cからタンク8aに流入した110℃前後の冷却水が、各チューブ9cを介してタンク9dに流入する間に車両走行風または図示を省略するファンの強制風と熱交換して80℃前後まで冷却された後、入出力ポート8dから排出され、熱交換器として機能する。
【0022】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の熱交換器の取付構造にあっては、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポート4,4に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝6a(6b)を備えるブラケット部材5a,5bを設け、ラジエータ8のタンク8a(8b)に、側方へ突出した搭載ピンP1,P2(P3,P4)をそれぞれ設けると共に、各搭載ピンP1,P2(P3,P4)を対応するブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a,6bに挿入して懸架させることにより、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けたため、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に短時間で簡便に取付けることができる。
【0023】
また、搭載ピンP1〜P4をマントゴム10を介してブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに固定したため、両者が接触して騒音が発生するのを防止できる。
【0024】
また、ブラケット部材5a,5bを板状でラジエータコアサポートサイド4,4から車両前後方向に張り出した状態で設けたため、エンジン側の熱気がラジエータ8の前方側へ吹き返すのを該ブラケット部材5a,5bで防止できる。
【実施例2】
【0025】
以下、実施例2を説明する。
なお、本実施例2の熱交換器の取付構造では、ホルダ溝に搭載ピンの移動を抑制するストッパ部材を設けたこと以外は実施例1と同様であるため、同一構成部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0026】
図9は本発明の実施例2におけるストッパ部材の構成及び作動を説明する図(図9(b)、(c)においてタンクは省略)である。
【0027】
図9(a)に示すように、本実施例2の熱交換器の取付構造では、ホルダ溝6a(6b)に連通して収容溝20が切欠加工されると共に、この収容溝20内にスプリング等の付勢手段21によりホルダ溝6a,6b内へ付勢されたストッパ部材22が収容されている。
【0028】
なお、付勢手段21の一方側は収容溝20内の最深部に固定され、他方側はストッパ部材22に固定されている。
【0029】
さらに、ストッパ部材22の先端部は、先端に行くにつれて低くなるように傾斜したテーパ部22aが形成されている。
【0030】
従って、図9(a)に示すように、マウントゴム10が装着された搭載ピンP1(P2〜P4)を一点鎖線で示す移動軌跡でブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a(6b)に挿入する際、図9(b)に示すように、マウントゴム10がストッパ部材22を押圧して矢印方向に移動させ、詳細にはマウントゴム10の第1環状部11の側面11aがストッパ部材22のテーパ部22aに当接して該ストッパ部材22を付勢手段21の付勢力に反して矢印方向に移動させ、これによって、マウントゴム10が装着された搭載ピンP1(P2〜P4)のホルダ部7への移動を許容した後、図9(c)に示すように、ストッパ部材22が元の位置に戻ることにより、該ストッパ部材22がマウントゴム10の第1環状部11の側面11aに当接して、搭載ピンP1(P2〜P4)の移動を抑制できる。
【0031】
従って、本実施例2の熱交換器の取付構造にあっては、ブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに搭載ピンP1(P2〜P4)の移動を抑制するストッパ部材22を設けることによって、ホルダ部7にマウントゴム10を介して搭載ピンP1(P2〜P4)を確実に保持させることができ、これによって、例えば、ラジエータコアサポート1を車両組立工場への搬送時や車両搭載時におけるラジエータ8の脱落を確実に防止できる。
【0032】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、熱交換器はラジエータに限らず、その他にコンデンサ、ラジエータとコンデンサが一体的に形成された一体型熱交換器、インタークーラ等の一般的な全ての熱交換器に適用できる。
【0033】
また、搭載ピンの材質、形状、形成数、形成位置については適宜設定でき、これらの変更に伴うブラケット部材のホルダ溝及びホルダ部の形状、形成数、形成位置などの設計変更も本発明の範疇となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体斜視図である。
【図3】ラジエータコアサポートの拡大斜視図である。
【図4】ラジエータの拡大斜視図である。
【図5】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図6】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図7】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図8】搭載ピンとマウントゴムの固定を説明する斜視図である。
【図9】本発明の実施例2におけるストッパ部材の構成及び作動を説明する図(図9(b)、(c)においてタンクは省略)である。
【符号の説明】
【0035】
P1、P2、P3、P4 搭載ピン
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
3 ラジエータコアサポートロア
4 ラジエータコアサポートサイド
5a、5b ブラケット部材
6a、6b ホルダ溝
7 ホルダ部
8 ラジエータ
8a、8b タンク
8c、8d 入出力ポート
9 コア部
9a、9b チューブプレート
9c チューブ
9d フィン
9e、9f レインフォース
10 マウントゴム
11 第1環状部
11a 側面
12 第2環状部
12a 上面
20 収容溝
21 付勢手段
22 ストッパ部材
22a テーパ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のラジエータやコンデンサ等の熱交換器の左右上下端部には、上下方向に突出する搭載ピンが設けられると共に、左右下側の搭載ピンがマウントゴムを介してラジエータコアサポートロアに載置された状態で固定され、左右上側の搭載ピンがマウントゴム及びブラケット部材を介してラジエータコアサポートアッパに固定されるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−35407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、熱交換器をラジエータコアポートに取り付ける際に、特に左右上側の搭載ピンにそれぞれマウントゴム及びブラケットを装着して固定しなければならず、時間と手間が大変掛かるという問題点があった。
【0004】
また、熱交換器の搭載ピンが上下方向に突設されることによって、搭載ピンに上記マウントゴム及びブラケットを装着するための上下方向のスペースが必要になり、熱交換器のコアサイズや設置レイアウト等の設計自由度が狭くなるという問題点があった。
【0005】
なお、自動車の衝突時を考慮した場合、エンジンフードに近接して剛体を設置しないことが好ましいため、一般的に熱交換器は出来るだけ低い位置に搭載したいという要求がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラジエータコアサポートに短時間で簡便に取付け可能な熱交換器の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたため、熱交換器をラジエータコアサポートに短時間で簡便に取付けることができる。
加えて、搭載ピンを上下方向に設けなくても良いため、熱交換器のコアサイズや設置レイアウト等の設計自由度を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1を説明する。
なお、本実施例1では熱交換器をラジエータに適用した場合について説明する。
図1は本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体分解斜視図、図2は同斜視図、図3はラジエータコアサポートの拡大斜視図、図4はラジエータの拡大斜視図、図5〜図7はラジエータの取付けを説明する図、図8は搭載ピンとマウントゴムの固定を説明する斜視図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、本実施例1の熱交換器の取付構造は、ラジエータコアサポート1と、ブラケット部材5a,5bと、ラジエータ8(熱交換器に相当)と、マウントゴム10が備えられている。
【0012】
図3に示すように、ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ2と、該ラジエータコアサポートアッパ2と並行するラジエータコアサポートロア3と、該ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド4,4で構成され、全体が金属製である。
なお、ラジエータコアサポート1は金属製に限らず、全体を樹脂製、または部位に応じて金属製部分と樹脂製部分で構成しても良い。
【0013】
そして、両ラジエータコアサポートサイド4,4には、金属製板材を用いて形成されたブラケット部材5a,5bがラジエータコアサポートサイド4,4から車両前方側に張り出した状態でそれぞれ設けられている。
また、各ブラケット部材5a,5bは、車両前方側に開口され、所定の幅を有して袋状に形成されたホルダ溝6a,6bが上下に離間して2箇所形成されている。
さらに、各ホルダ溝6a,6bの最深部となるホルダ部7は対応する後述のラジエータ8の搭載ピンP1〜P4の形成位置に一致するように配置されている。
【0014】
図4に示すように、ラジエータ8は、タンク8a,8bと、該タンク8a,8bの間に配置されたコア部9が備えられている。
各タンク8a,8bは、樹脂製で一体的に形成される他、タンク8aには側方に突出した円柱状の搭載ピンP1,P2が上下に離間して設けられ、一方、タンク8bにも側方に突出した円柱状の搭載ピンP3,P4が上下に離間して設けられている。
また、タンク8aには、その内部に連通した状態で後方側に突出した入出力ポート8dが設けられ、一方、タンク8bには、その内部に連通した状態で後方側に突出した入出力ポート8cが形成されている。
【0015】
コア部9は、タンク8a,8bに装着される一対のチューブプレート9a,9bと、両端部がそれぞれ対応するチューブプレート9a,9bに嵌挿固定された複数のチューブ9cと、隣り合うチューブ9c同士間に配置された複数の波状のフィン9dで構成されている。
また、チューブプレート5,6の両端部同士は一対のレインフォース9e,9fで連結補強されている。
その他、コア部9は上述した全ての構成部材がアルミ製であり、図示を省略する加熱炉で熱処理されることにより一体的にろう付け固定されている。
【0016】
そして、図2に示すように、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4が図8に示すマウントゴム10を介してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bのホルダ部7に懸架されることにより、ラジエータ8がラジエータコアサポート1に取り付けられている。
【0017】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付ける際には、先ず、図5(a)、図6に示すように、ラジエータ8をラジエータコアサポート1の車両前方側に配置した後、図5(b)、図7に示すように、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4にマウントゴム10を装着してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに挿入してホルダ部7に懸架させることにより、ラジエータ8を取り付ける。
【0018】
この際、図8に示すように、マウントゴム10はホルダ溝6a(6b)の幅と略同一の直径を有する第1環状部11と、この第1環状部11よりも大きい直径を有する第2環状部12を備えて段付きの円筒状に形成されており、ホルダ部7に懸架された際には、その内部に搭載ピンP1(P2〜P4)が圧入された状態で第2環状部12の上面12aがブラケット部材5a(5b)の内側に当接し、且つ、第1環状部11の側面11aがブラケット部材5a(5b)のホルダ部7に当接するため、搭載ピンP1(P2〜P4)がブラケット部材5a(5b)に直接接触することはなく、両者を安定した状態で固定することができる。
【0019】
また、補足ではあるが、ラジエータ8の取付時において、搭載ピンP1(P2〜P4)がブラケット部材5a(5b)に直接接触することはないため、該搭載ピンP1(P2〜P4)が折れる虞はない。
【0020】
従って、ラジエータ8の搭載ピンP1〜P4にマウントゴム10を装着してそれぞれ対応するブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに挿入してホルダ部7に懸架させるという簡便且つ短時間な作業でもってラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けることができる。
【0021】
また、ラジエータコアサポート1に取り付けられたラジエータ8は、車両に搭載された後、入出力ポート8cからタンク8aに流入した110℃前後の冷却水が、各チューブ9cを介してタンク9dに流入する間に車両走行風または図示を省略するファンの強制風と熱交換して80℃前後まで冷却された後、入出力ポート8dから排出され、熱交換器として機能する。
【0022】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の熱交換器の取付構造にあっては、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポート4,4に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝6a(6b)を備えるブラケット部材5a,5bを設け、ラジエータ8のタンク8a(8b)に、側方へ突出した搭載ピンP1,P2(P3,P4)をそれぞれ設けると共に、各搭載ピンP1,P2(P3,P4)を対応するブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a,6bに挿入して懸架させることにより、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に取り付けたため、ラジエータ8をラジエータコアサポート1に短時間で簡便に取付けることができる。
【0023】
また、搭載ピンP1〜P4をマントゴム10を介してブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに固定したため、両者が接触して騒音が発生するのを防止できる。
【0024】
また、ブラケット部材5a,5bを板状でラジエータコアサポートサイド4,4から車両前後方向に張り出した状態で設けたため、エンジン側の熱気がラジエータ8の前方側へ吹き返すのを該ブラケット部材5a,5bで防止できる。
【実施例2】
【0025】
以下、実施例2を説明する。
なお、本実施例2の熱交換器の取付構造では、ホルダ溝に搭載ピンの移動を抑制するストッパ部材を設けたこと以外は実施例1と同様であるため、同一構成部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0026】
図9は本発明の実施例2におけるストッパ部材の構成及び作動を説明する図(図9(b)、(c)においてタンクは省略)である。
【0027】
図9(a)に示すように、本実施例2の熱交換器の取付構造では、ホルダ溝6a(6b)に連通して収容溝20が切欠加工されると共に、この収容溝20内にスプリング等の付勢手段21によりホルダ溝6a,6b内へ付勢されたストッパ部材22が収容されている。
【0028】
なお、付勢手段21の一方側は収容溝20内の最深部に固定され、他方側はストッパ部材22に固定されている。
【0029】
さらに、ストッパ部材22の先端部は、先端に行くにつれて低くなるように傾斜したテーパ部22aが形成されている。
【0030】
従って、図9(a)に示すように、マウントゴム10が装着された搭載ピンP1(P2〜P4)を一点鎖線で示す移動軌跡でブラケット部材5a(5b)のホルダ溝6a(6b)に挿入する際、図9(b)に示すように、マウントゴム10がストッパ部材22を押圧して矢印方向に移動させ、詳細にはマウントゴム10の第1環状部11の側面11aがストッパ部材22のテーパ部22aに当接して該ストッパ部材22を付勢手段21の付勢力に反して矢印方向に移動させ、これによって、マウントゴム10が装着された搭載ピンP1(P2〜P4)のホルダ部7への移動を許容した後、図9(c)に示すように、ストッパ部材22が元の位置に戻ることにより、該ストッパ部材22がマウントゴム10の第1環状部11の側面11aに当接して、搭載ピンP1(P2〜P4)の移動を抑制できる。
【0031】
従って、本実施例2の熱交換器の取付構造にあっては、ブラケット部材5a,5bのホルダ溝6a,6bに搭載ピンP1(P2〜P4)の移動を抑制するストッパ部材22を設けることによって、ホルダ部7にマウントゴム10を介して搭載ピンP1(P2〜P4)を確実に保持させることができ、これによって、例えば、ラジエータコアサポート1を車両組立工場への搬送時や車両搭載時におけるラジエータ8の脱落を確実に防止できる。
【0032】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、熱交換器はラジエータに限らず、その他にコンデンサ、ラジエータとコンデンサが一体的に形成された一体型熱交換器、インタークーラ等の一般的な全ての熱交換器に適用できる。
【0033】
また、搭載ピンの材質、形状、形成数、形成位置については適宜設定でき、これらの変更に伴うブラケット部材のホルダ溝及びホルダ部の形状、形成数、形成位置などの設計変更も本発明の範疇となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の熱交換器の取付構造を示す全体斜視図である。
【図3】ラジエータコアサポートの拡大斜視図である。
【図4】ラジエータの拡大斜視図である。
【図5】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図6】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図7】ラジエータの取付けを説明する図である。
【図8】搭載ピンとマウントゴムの固定を説明する斜視図である。
【図9】本発明の実施例2におけるストッパ部材の構成及び作動を説明する図(図9(b)、(c)においてタンクは省略)である。
【符号の説明】
【0035】
P1、P2、P3、P4 搭載ピン
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
3 ラジエータコアサポートロア
4 ラジエータコアサポートサイド
5a、5b ブラケット部材
6a、6b ホルダ溝
7 ホルダ部
8 ラジエータ
8a、8b タンク
8c、8d 入出力ポート
9 コア部
9a、9b チューブプレート
9c チューブ
9d フィン
9e、9f レインフォース
10 マウントゴム
11 第1環状部
11a 側面
12 第2環状部
12a 上面
20 収容溝
21 付勢手段
22 ストッパ部材
22a テーパ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、
熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたことを特徴とする熱交換器の取付構造。
【請求項1】
ラジエータコアサポートの左右両側に、車両前後方向に開口された袋状のホルダ溝を備えるブラケット部材を設け、
熱交換器の左右両側に、側方へ突出した搭載ピンをそれぞれ設けると共に、各搭載ピンを対応するブラケット部材のホルダ溝に挿入して懸架させることにより、熱交換器をラジエータコアサポートに取り付けたことを特徴とする熱交換器の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−347206(P2006−347206A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172249(P2005−172249)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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