説明

熱交換器

【課題】大量に発生するドレイン水を有効活用することができ、また、熱交換効率の向上を図ることができる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換部110に供給された冷却水Wcと熱交換部100に流入させた空気Ahとを接触させて熱交換する交換器100において、熱交換部110に流入する直前の空気Ahに対して冷却水W(Wh)を噴霧して冷却するスプレー部130を備える。熱交換部110の下方に配置されて熱交換部110から流下した冷却水Whを回収する冷却水回収部と、冷却水回収部により回収された冷却水Whの一部又は全てをスプレー部130に送水する送水部126と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水と空気とを接触させて熱交換する交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン発電システム等に用いられるガスタービン装置は、空気を吸入して圧縮する空気圧縮機と、その圧縮空気と燃料を導入して燃焼させて高圧ガスを発生する燃焼機と、燃焼機で発生した高温高圧ガスで回転して空気圧縮機を回転駆動させるタービンを備えている。
ガスタービン装置の出力及び熱効率は、空気圧縮機に吸入する空気(吸気)の温度に大きく影響される。このため、空気圧縮機に吸入する空気を、予め熱交換器により冷却するようにしている。
【0003】
空気圧縮機に吸入する空気を冷却する熱交換器としては、空気と冷却水とを間接的に接触させる方式(特許文献1,2参照)、空気と冷却水とを直接的に接触させる方式(特許文献3、4参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−173162号公報
【特許文献2】特開平9−72586号公報
【特許文献3】特開2006−138263号公報
【特許文献4】特開2000−220473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した熱交換器では、空気が冷却水に接触して冷却されると、空気に含まれる水分が凝縮して大量のドレイン水が発生する。このため、このドレイン水の有効利用が要請されている。また、熱交換器の効率を高めて、ガスタービン装置の出力及び熱効率の更なる向上を図ることも要請されている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、大量に発生するドレイン水を有効活用することができ、また、熱交換効率の向上を図ることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る熱交換器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明は、熱交換部に供給された冷却水(Wc)と該熱交換部に流入させた空気(Ah)とを接触させて熱交換する交換器において、前記熱交換部に流入する直前の空気に対して冷却水を噴霧して冷却するスプレー部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記熱交換部は、充填材および該充填材の上部に冷却水(Wc)を供給する冷却水供給部を備え、前記充填材の表面を流下する冷却水と該充填材に流入させた空気とを直接接触させることを特徴とする。
【0008】
また、前記充填材の空気流入面に沿って異物侵入防止用ネットを配設したことを特徴とする。
【0009】
前記熱交換部の下方に配置されて前記熱交換部から流下した冷却水(Wh)を回収する冷却水回収部と、前記冷却水回収部により回収された冷却水の一部又は全てを前記スプレー部に送水する送水部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記熱交換部内に流入した空気(Ah)は、該熱交換部内を水平方向に流れることを特徴とする。
また、前記スプレー部は、前記熱交換部の側方に配設されることを特徴とする。
【0011】
また、前記熱交換部内に流入した空気(Ah)は、該熱交換部内を下方から上方に向けて流れることを特徴とする。
また、前記スプレー部は、前記熱交換部の下方且つ外方に配設されることを特徴とする。
【0012】
また、前記スプレー部は、前記熱交換部と前記冷却水回収部との間であって前記熱交換部よりも外方に配設されることを特徴とする。
【0013】
また、前記熱交換部により冷却された空気(Ac)は、ガスタービン装置に吸入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
熱交換器に流入する外気が直前にスプレー部によりプレクールされるので、熱交換率の向上を図ることができる。また、熱交換器は、冷却水と外気とを直接接触させるので、高い熱交換率を実現することができる。
また、熱交換器は、熱交換部において冷却水と外気とを直接接触させるため、外気に含まれる粉塵等を取り除く高性能なフィルタを必要とせず、これに代えて、比較的大きな異物を取り除くことができる安価な異物侵入防止用ネットのみを設ければ足り。これにより、異物侵入防止用ネットにより比較的大きな異物が取り除かれて、熱交換部に異物が侵入して熱交換率が低下してしまうことを防止できる。
【0015】
また、熱交換器が、いわゆるクロスフロー型や、カウンターフロー型の場合に、スプレー部を最適な位置に設置することで、高い熱交換率が得られる。
また、スプレー部には、熱交換部から排出されるドレイン水が供給されるので、新たに冷却水を用意する必要がなく、しかもドレイン水を有効活用することができる。また、ランニングコストの上昇を抑えることもでき、更に熱効率上も好ましいものとなる。
【0016】
また、熱交換部により冷却された空気をガスタービン装置(空気圧縮機)に吸入されることで、ガスタービン装置の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る熱交換器の第一実施形態について図を参照して説明する。
図1は、ガスタービン発電システム1の概略構成を示す模式図である。
ガスタービン発電システム1は、吸気冷却方式を採用したガスタービン装置10、ガスタービン装置10に冷却空気Acを送気する熱交換装置20、ガスタービン装置10に連結駆動されて発電する発電機30、ガスタービン装置10から排出された排ガスが流入する廃熱ボイラ装置40等により構成される。
【0018】
ガスタービン装置10は、冷却空気Acを圧縮する空気圧縮機12、圧縮された空気と燃料とを混合・燃焼して高圧ガスを発生させる燃焼機14、燃焼機14から排出された高温ガスにより回転駆動されるガスタービン16等から構成される。空気圧縮機12とガスタービン16とは、同一の軸により連結されている。
これにより、空気圧縮機12に流入した冷却空気Acは、圧縮された後に燃焼機14に導入される。そして、燃焼機14内において、配管15から供給される燃料と圧縮空気とが混合されて燃焼し、高温の高圧ガスとなってガスタービン16に供給される。高圧ガスは、断熱に近い状態で膨張してガスタービン16を回転駆動する。
【0019】
そして、ガスタービン16の回転出力により、空気圧縮機12及び発電機30が回転駆動するようになっている。
例えば、ガスタービン16の出力の40%程度が発電機30により電力に変換され、残りの大部分は空気圧縮機12の駆動力として消費される。
【0020】
また、ガスタービン16から排出される高温の排ガスは廃熱ボイラ装置40に送気され、内部を流れる給水と熱交換して蒸気を発生させ、次いで排気筒42から外部に排出されるようになっている。
なお、廃熱ボイラ装置40において発生した蒸気の一部は、燃焼機14に導入されて燃焼機14の出力を増加させるようになっている。
【0021】
熱交換装置20は、外気Ahを取り込んで冷却水Wcと熱交換させる熱交換器100、熱交換器100を循環する冷却水W(Wh)を冷却する冷却装置22とから構成される。
冷却装置22は、氷を貯蔵する氷蓄熱槽24と、熱交換器100を循環する冷却水Wと氷蓄熱槽24から供給される冷却水W0とを熱交換(冷却)させる熱交換器26と、氷蓄熱槽24と熱交換器26との間で冷却水W0を循環させる冷却水循環部28と、を備えている。氷蓄熱槽24は、不図示の製氷装置を備え、夜間に氷を製造して貯蔵するようになっている。
そして、氷蓄熱槽24から冷却水循環部28を介して熱交換器26に冷却水W0が供給され、これにより、熱交換器100を循環する冷却水Wが、例えば、5℃程度に安定して冷却される(冷却水Wcが得られる)ようになっている。
【0022】
図2は、本発明の第一実施形態に係る熱交換器100の概略構成を示す模式図である。
熱交換器100は、略直方体形に形成された充填材(熱交換部)110と、充填材110の上端に冷却水Wcを供給する冷却水供給部122と、充填材110の下端から流れ落ちる冷却水Whを回収する冷却水回収部124と、冷却水回収部124にて回収した冷却水Whを冷却装置22の熱交換器26に送水して冷却して冷却水供給部122に冷却水Wcとして送水する冷却水循環部126等から構成される。
熱交換器100の一部(少なくとも充填材110)は、ガスタービン装置10の空気圧縮機12に向けて外気Ahを送気するダクト90の一端の開口部90aの近傍に配設される(図1参照)。
【0023】
充填材110は、例えば、合成樹脂等で形成された複数の薄板状部材を僅かな隙間を設けて水平方向に積み重ねたものや、多数の空隙が形成された薄板状部材を積み重ねたもの等が用いられる。また、板状部材に限らず、例えば、各種形状の多数のプラスチック成形体等を略直方体形に詰めたもの等が用いられる。つまり、薄板状部材等の充填物質のそれぞれは、十分な隙間を有して配置され、外気Ah(冷却空気Ac)が通過する際に圧力損失が小さく、且つ外気Ah(冷却空気Ac)との接触面積が大きくなるような形状となっている。
【0024】
冷却水供給部122は、充填材110の上端面110aに、冷却水Wcを散水するものであって、充填材110の上端面110aと同一形状の供給トレイ123を有している。この供給トレイ123は、充填材110の上端面110aのやや上方に配設されており、その底面に多数の貫通孔123aが形成される。
これにより、冷却水循環部126から供給トレイ123上に冷却水Wcが供給されると、充填材110の上端面110aに冷却水Wcが滴下(散水)するようになっている。
なお、供給トレイ123に供給されて充填材110の上端面110aに散水される冷却水Wcの温度は、上述したように、例えば、5℃程度である。
【0025】
このように、充填材110の上端面110aに冷却水Wcが散水(供給)されると、冷却水Wcは、充填材110を形成する各充填物質の表面を水膜状に流下し、充填材110の下端面110bから流れ落ちる。
一方、充填材110の側面のうち、ダクト90の開口部90aに面する流入面110cからは外気Ahが流入し、各充填物質の隙間を通過する際に、充填物質の表面を流下する冷却水Wcと直接接触して冷却される。そして、外気Ahは、流入面110cに背向する吹出面110dから冷却空気Acとして吹き出して、ダクト90を介してガスタービン装置10の空気圧縮機12に向けて送気される。
このように、熱交換器100は、外気Ahが充填材110内を水平方向に流れ、冷却水Wcが鉛直方向(上方から下方に向けて)に流れる、いわゆるクロスフロー型となっている。
なお、充填材110に流入する外気Ahの温度は、夏期の場合には、例えば、30〜35℃程度であり、充填材110を通過することで、例えば、10℃程度の温度に冷却(冷却空気Ac)される。
【0026】
冷却水回収部124は、充填材110の下端面110bから流れ落ちる冷却水Wh(ドレイン水)を回収するものであって、充填材110の下端面110bと同一形状の回収トレイ125を有している。この回収トレイ125は、充填材110の下端面110bのやや下方に配設され、その底面には冷却水循環部126の配管127の一端が接続される。
充填材110の下端面110bから流れ落ちる冷却水Whには、充填材110に流入した外気Ahに含まれる水分も含まれる。つまり、外気Ahに含まれる水分が冷却されることにより凝縮して、冷却水Wと共に充填材110の下端面110bから流れ落ちる。
このため、充填材110の上端面110aに供給される冷却水Wcに比べて、下端面110bから排出される冷却水Whの方が大量となる。したがって、回収トレイ125は、大量の冷却水Whを収容できるように、供給トレイ123に比べて深く形成されている。
なお、回収トレイ125に収容される冷却水Wh(ドレイン水)の温度は、例えば、10〜15℃程度となる。
【0027】
冷却水循環部126は、回収トレイ125に溜まった冷却水Wh(例えば、10〜15℃程度)の一部を、配管127を介して冷却装置22の熱交換器26に送水して、熱交換器26において冷却(例えば、5℃程度)した後に、冷却水Wcとして供給トレイ123に送水する。配管127の各所には、冷却水W(Wh,Wcを送水するためのポンプ128や制御弁129等が連結される。
また、回収トレイ125に溜まった冷却水Whの一部は、後述するスプレー部130にも送水されるようになっている。
【0028】
また、熱交換器100は、充填材110に流入する外気Ahを充填材110に流入する前に予め冷却する(プレクール)するスプレー部130を備える。
スプレー部130は、充填材110に流入する外気Ahに対して冷却水Whを噴霧し、噴霧した冷却水Whが蒸発する際の気化熱で外気Ahを冷却するものであって、充填材110の流入面110cよりも開口部90a側に流入面110cに沿って配設された複数の噴霧用配管132を有している。この噴霧用配管132には、微細かつ多数の貫通孔132aが形成されており、この貫通孔132aから冷却水Whが霧状に噴き出すようになっている。
これにより、充填材110に流入する外気Ahは、複数の噴霧用配管132同士の間を通り抜ける際に噴霧用配管132から噴出する霧状の冷却水Whに触れて冷却された後に、充填材110の流入面110cに達する。
【0029】
スプレー部130には、回収トレイ125に溜まった冷却水Whの一部が供給される。この冷却水Whの温度は、例えば、10〜15℃程度であり、充填材110に流入する外気Ah(例えば、30〜35℃程度)の温度を、例えば、2,3℃程度低下させる。
【0030】
また、図1に示すように、スプレー部130よりも更に開口部90a側には、外気Ahに混じった異物が充填材110内に侵入してしまわないように、異物侵入防止用ネット140が配設される。異物侵入防止用ネット140としては、例えば、10mm角の開口(目開き)を有する金属製メッシュ部材等が好適に用いられる。
異物としては、例えば、昆虫等が想定される。このような大きな異物が充填材110に侵入して、充填材110の隙間を閉塞することで熱交換率が低下してしまうことを防止している。
なお、外気Ahには、昆虫等の大きな異物の他に、粉塵等の微細な異物も混じっている。粉塵のような微細な異物は、充填材110内においてろ過される。すなわち、5μm以上の異物の殆どは、充填材110内において冷却水W(Wc,Wh)に直接接触することで、冷却水Wと共に下端面110bから排出される。
このため、充填材110の流入面110c側に、微細な塵埃等を取り除くフィルタ(HEPAフィルタ等)を設ける必要がなくなっている。そして、これに代えて、大型の異物のみを取り除くことが可能、かつ、安価な異物侵入防止用ネット140を配設している。
【0031】
以上のような構成により、第一実施形態に係る熱交換器100は、充填材110に流入する外気Ahが直前にスプレー部130によりプレクールされるので、熱交換率の向上が図られる。
また、スプレー部130には、充填材110から排出されるドレイン水としての冷却水Whが供給されるので、新たに冷却水を用意する必要がなく、しかもドレイン水としての冷却水Whを有効活用することができるので、ランニングコストの上昇も殆どないという利点がある。また、充填材110から排出される冷却水Wはh、外気Ahよりも低温かつ充填材110に供給される冷却水Wcよりも高温であるため、熱効率上も好ましいものとなっている。
【0032】
また、熱交換器100は、冷却水Wcと外気Ahとを直接接触させるため、外気Ahに含まれる粉塵等を取り除くための高性能なフィルタを必要とせず、これに代えて、比較的大きな異物を取り除くことができる安価な異物侵入防止用ネット140のみを設ければ足りる。そして、異物侵入防止用ネット140により比較的大きな異物が取り除くことができるので、充填材110が異物により閉塞されて熱交換率が低下してしまうことが防止できる。
【0033】
以下、本発明に係る熱交換器の第二実施形態について図を参照して説明する。なお、第一実施形態に係る熱交換器100と同一の構成部材等については、同一の符号を付してその説明を簡略又は省略する。
図3は、本発明の第二実施形態に係る熱交換器200の概略構成を示す模式図である。
第二実施形態に係る熱交換器200は、外気Ahが充填材110内を下方から上方に向けて流れ、冷却水W(Wc,Wh)が上方から下方に向けて流れる、いわゆるカウンターフロー型である。すなわち、外気Ahは、充填材110の下端面110bから流入し、上端面110aから吹き出すようになっている。
【0034】
冷却水供給部222は、充填材110の上端面110aに、冷却水Wcを散水するものであって、充填材110の上端面110aに沿って配設された複数の散水用配管223を有している。この散水用配管223は、充填材110の上端面110aのやや上方に配設されており、その底面に多数の貫通孔223aが形成される。
これにより、冷却水循環部126から散水用配管223に冷却水Wcが供給されると、充填材110の上端面110aに冷却水Wcが滴下(散水)する。また、充填材110の上端面110aから吹き出す冷却空気Acは、複数の散水用配管223同士の間を通り抜けて上方に送気されるようになっている。
【0035】
冷却水回収部224は、上述した冷却水回収部124と同一構造であるが、回収トレイ125の設置位置が冷却水回収部124の場合よりも下方側となっている。つまり、熱交換器200では、外気Ahが充填材110の下端面110bから流入できるように、充填材110と回収トレイ125と設置間隔が大きくなっている。これにより、外気Ahは、充填材110と回収トレイ125との間から水平方向に流れて、充填材110の下方に圧力損失を生じることなく達する。
【0036】
スプレー部230は、上述したスプレー部130と同一構造であるが、その設置位置が異なっている。具体的には、スプレー部230は、充填材110と回収トレイ125と間に形成された空間に、充填材110及び回収トレイ125の外形に沿った枠形に形成されて配設される。
これにより、充填材110と回収トレイ125との間の空間に向けて水平方向に流入する外気Ahに対して、冷却水Whを噴霧するようになっている。そして、外気Ahは、スプレー部230によりプレクールされた後に、充填材110の下端面110bから充填材110内に流入する。
【0037】
異物侵入防止用ネット240は、異物侵入防止用ネット140と同様に、例えば、10mm角の開口(目開き)を有する金属製メッシュ部材等である。そして、スプレー部230を覆うように、スプレー部230よりも外方に枠形に形成されて配設される。これにより、例えば、昆虫等の大きな異物が充填材110や回収トレイ125に入り込むことが防止される。
【0038】
以上のような構成により、第二実施形態に係る熱交換器200は、第一実施形態に係る熱交換器100と同等の効果を奏することができる。特に、熱交換器200は、カウンターフロー型であるため、クロスフロー型の熱交換器100に比べて熱交換効率が高く、スプレー部230により外気Ahがプレクールされることで、更に高い熱交換率を実現することができる。
また、スプレー部230には、充填材110から排出されるドレイン水としての冷却水Whが供給されるので、ドレイン水の有効活用を図ることができる。
また、熱交換器200は、冷却水Wと外気Ahとを直接接触させるため、外気Ahに含まれる粉塵等を取り除く高性能なフィルタを必要とせず、安価な異物侵入防止用ネット240のみを設ければ足りる。
【0039】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、充填材110から排出されるドレイン水(冷却水Wh)の一部をスプレー部130,230で利用する場合について説明したが、更に他の設備等においてこのドレイン水を有効利用することが望ましい。
例えば、ガスタービン発電システム1における他の設備等の冷却水としてドレイン水(冷却水Wh)を用いることができる。これらの装置が熱交換器を有する場合には、この熱交換器の循環水の冷却等にドレイン水(冷却水Wh)を用いてもよい。または、冷却塔の循環水等にドレイン水(冷却水Wh)を用いてもよい。
また、ガスタービン発電システム1に付設されるビル等に備えられる冷房装置にドレイン水(冷却水Wh)を用いてもよい。
また、これらに限らず、各種工業用水として、ドレイン水(冷却水Wh)を用いることもできる。
【0041】
上述した実施形態では、スプレー部130,230は、充填材110から排出されるドレイン水(冷却水Wh)の一部を利用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、冷却水供給部122にて使用される冷却水Whの一部を用いるようにしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、熱交換装置20の熱交換器100,200を循環する冷却水W(Wh)が、氷蓄熱槽24により間接的に冷却される場合について説明したが、これに限らない。冷却水W(Wh)が氷蓄熱槽24により直接冷却されてもよいし、また、氷蓄熱槽24を用いない場合であってもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、熱交換器100,200により冷却された冷却空気Acをガスタービン装置10の空気圧縮機12に流入させる場合について説明したが、これに限らない。熱交換器100,200は、各種冷却装置の一部として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ガスタービン発電システム1の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る熱交換器の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る熱交換器の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ガスタービン発電システム
10…ガスタービン装置
20…熱交換装置
90…ダクト
100,200…熱交換器
110…充填材(熱交換部)
110a…上端面
110b…下端面
110c…流入面(空気流入面)
110d…吹出面
122,222…冷却水供給部
124,224…冷却水回収部
126…冷却水循環部(送水部)
130,230…スプレー部
140,240…異物侵入防止用ネット
Ah…外気(空気)
Ac…冷却空気(空気)
W(Wc、Wh)…冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換部に供給された冷却水と該熱交換部に流入させた空気とを接触させて熱交換する交換器において、
前記熱交換部に流入する直前の空気に対して冷却水を噴霧して冷却するスプレー部を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換部は、充填材および該充填材の上部に冷却水を供給する冷却水供給部を備え、
前記充填材の表面を流下する冷却水と該充填材に流入させた空気とを直接接触させることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記充填材の空気流入面に沿って異物侵入防止用ネットを配設したことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換部の下方に配置されて前記熱交換部から流下した冷却水を回収する冷却水回収部と、
前記冷却水回収部により回収された冷却水の一部又は全てを前記スプレー部に送水する送水部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換部内に流入した空気は、該熱交換部内を水平方向に流れることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記スプレー部は、前記熱交換部の側方に配設されることを特徴とする請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換部内に流入した空気は、該熱交換部内を下方から上方に向けて流れることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記スプレー部は、前記熱交換部の下方且つ外方に配設されることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記スプレー部は、前記熱交換部と前記冷却水回収部との間であって前記熱交換部よりも外方に配設されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記熱交換部により冷却された空気は、ガスタービン装置に吸入されることを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−215650(P2008−215650A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50180(P2007−50180)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(502271896)東京都市サービス株式会社 (5)
【出願人】(504027657)株式会社イーズ (12)