説明

熱処理装置及びトナーの製造方法

【課題】粉体粒子の熱処理において、粉体粒子の合一による粗大粒子の増加を抑制し、かつ過度に球形化された粒子の割合を抑制する。
【解決手段】原料供給手段5と原料を熱処理するための熱風供給手段2と熱処理された粉体粒子を排出するための排出部8とを有し、前記原料供給手段から供給される原料に向けて熱風が供給される熱処理装置において、
熱風供給方向の上流から下方に向かって、径方向に広がる第1のノズル6と第2のノズル7とを有し、前記第2のノズルは、前記第1のノズルの内側に配設され、
供給された熱風は、前記第1のノズルと前記第2のノズルとで形成される空間を通過し、かつ前記熱風供給手段出口部には、供給された熱風が装置内壁面に沿ってらせん状に回転するための気流調整手段5Aが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体粒子の熱処理装置及びトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーの現像性等を向上させるために、熱処理によるトナー粒子の表面改質が行われている。特許文献1には、粉体粒子を圧縮空気により熱風中に分散噴霧させ、表面改質と球形化を行う方法が記載されている。特許文献2には、粉体粒子にシリカ等の添加剤を加えた後、熱処理を施し、固着させることで遊離した添加剤を除く方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、熱を利用した表面改質の方法では、トナーに必要以上の熱が加わると、トナー同士が合一し、粗大な粒子が生じてしまうことがある。このように、粗大な粒子が含有されず、且つ微粉体の少ないシャープな粒度分布を有するトナーの表面改質粒子を効率良く、安定的に作り出すためには、トナーの製造装置、製造方法の面において、改良の余地がある。
【0004】
また、トナーが良好な現像性等を有するためには、トナーの平均円形度が0.960以上であることが好ましい。
【0005】
しかしながら、一般にトナーの平均円形度が高い場合、トナー中に過度に球形化されたトナー粒子が多くなり、これによって、クリーニング性が低下する傾向がある。過度に球形化されたトナー粒子は、クリーニングブレードをすり抜けやすくなってしまうためである。このすり抜けを防止する手段としては、クリーニングブレードの接触圧を上げることが挙げられるが、ドラムの回転トルク上昇やクリーニングブレードの磨耗などの弊害があるために限界がある。なお、近年の検討で、トナーの円形度分布において、円形度0.990以上の粒子の頻度が20%を超えると、クリーニング不良が発生し易くなることが判明している。
【0006】
特許文献1では、所謂粉砕トナーに熱処理を施して適度に球形化することが提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の手法を用いてトナー粒子を熱処理した場合、不均一に熱処理されるため、熱処理されたトナー粒子と未処理のトナー粒子が混在してしまう。一方、全ての粒子を均一に処理するために、熱処理を長時間行った場合、トナー中で、過度に球形化されたトナー粒子の割合が多くなってしまい、トナーのクリーニング性が低下してしまう。
【0007】
特許文献3には、熱処理を均一に行う手法として、装置内の気流の流れをある程度揃えて熱処理を行うことが記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、熱風の投入部の中に、トナーの投入部が設置されているため、狭い範囲で瞬間的な熱処理が行なわれる。この場合、トナーが十分に分散せず、トナーの合一による粗大粒子の増加が懸念される。また、処理量を上げた際には、熱風に対するトナー濃度が高まるために、トナーへの熱処理効率が急激に低下してしまう。そのため、熱処理されたトナーと未処理のトナーが混在してしまう。
【0009】
特許文献4には、特許文献3に記載の構成とは逆に、熱風の投入位置とトナーの投入位置とを逆転させた構成が記載されている。しかしながら、特許文献4に記載の構成においては、トナーを熱風に向け、かつ装置の中心部に向けて噴射しているので、熱処理されたトナーが固化する前に衝突し、合一粒子の増加が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−276016号公報
【特許文献2】特開平7−271090号公報
【特許文献3】特公平3−52858号公報
【特許文献4】特開2004−191569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の如き問題点を解決し、粉体粒子の処理量を増加させた場合でも、粒子の粗大化が抑制され、且つ微粉体の少ないシャープな粒度分布を有する粒子を得ることを可能にする、熱処理装置及びトナーの製造方法を提供することである。また、得られる粒子の円形度分布がシャープ(標準偏差が小さい)であり、且つ過度に球形化された粒子の割合を抑制することを可能にする、熱処理装置及びトナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、熱可塑性の結着樹脂を含有する粉体粒子を熱処理するための熱処理装置であって、該熱処理装置は、装置内に粉体粒子を供給するための原料供給手段と、供給された粉体粒子を熱処理するための熱風供給手段と、前記原料供給手段及び前記熱風供給手段よりも下流側に、熱処理された粉体粒子を排出するための排出部とを有し、前記熱風供給手段の外周面に近接あるいは水平方向に対して距離を隔てた位置に、前記熱風供給手段を囲むように環状に原料供給手段が設けられ、前記熱風供給手段の出口より、前記原料供給手段から供給される粉体粒子に向けて熱風が供給され、前記熱風供給手段は、熱風供給方向の上流側から下流側に向かって、径方向に広がる第1のノズルと第2のノズルとを有し、前記第2のノズルは、前記第1のノズルの内側に配設され、供給された熱風は、前記第1のノズルの内側と前記第2のノズルの外側とで形成される空間を通過し、前記熱風供給手段出口部には、供給された熱風を装置内壁面に沿ってらせん状に回転させるための気流調整手段が設けられていることを特徴とする熱処理装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粉体粒子の処理量を増加させた場合でも、粒子の粗大化が抑制され、且つ微粉体の少ないシャープな粒度分布を有する粒子を得ることを可能にする、熱処理装置及びトナーの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、得られる粒子の円形度分布がシャープ(標準偏差が小さい)であり、且つ過度に球形化された粒子の割合を抑制することを可能にする、熱処理装置及びトナーの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1で用いた熱処理装置の模式図である。
【図2】実施例2で用いた熱処理装置の模式図である。
【図3】実施例3で用いた熱処理装置のノズルの模式図である。
【図4】実施例4で用いた熱処理装置の模式図である。
【図5】熱処理による円形度分布の変化を表した図である。
【図6】平均円形度と円形度0.990以上の粒子の頻度との関係を示す図である。
【図7】比較例1で用いた熱処理装置の部分断面図である。
【図8】比較例2で用いた熱処理装置の部分断面図である。
【図9】比較例3で用いた熱処理装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の熱処理装置の概略を図を用いて説明する。図1は本発明の熱処理装置の一例を示した図である。なお、本明細書において、粗大粒子とは、トナーの重量平均粒径(D4)のおよそ2倍以上の粒子群を表し、微粒子とは、トナーの重量平均粒径(D4)のおよそ1/2倍以下の粒子群を表し、2.0μm以下の粒子とは、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)にて測定される粒径2.0μm以下の粒子群を表す。
【0016】
本発明の熱処理装置は、熱可塑性の結着樹脂を含有する粉体粒子を熱処理するためのものである。粉体粒子の例としては、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子が挙げられる。なお、本明細書において、粉体粒子として熱処理装置に供給されるトナー粒子のことを、被処理トナー粒子とも言う。
【0017】
原料供給手段(5)に供給された粉体粒子は、圧縮気体供給手段(不図示)により供給される圧縮気体により加速され、原料料供給手段(5)出口部に設けられた、調整部を通過して装置内に噴射される。調整部はルーバー構成となっており、粉体粒子が通過する際には、装置内壁面に沿ってらせん状に回転するようになっている。装置の軸中心部には熱風供給手段(2)が設けられており、原料供給手段(5)は熱風供給手段(2)の外周面に近接あるいは水平方向に対して距離を隔てた位置に、前記熱風供給手段を囲むように環状に設けられている。熱風は、熱風供給方向の上流側から下流側に向かって径方向に広がる第1のノズル(6)と第1ノズルの内側に配設された第2のノズル(7)とで形成される空間を通過して、装置内において径方向外側の原料に向けて噴射される。また、熱風供給手段出口部において、第1のノズル(6)の内側と第2のノズル(7)の外側との間に気流調整手段(2A)が設けられている。これによって、熱風が装置内壁面に沿ってらせん状に回転しながら流れるように構成されている。気流調整手段(2A)の構成としては、ルーバー、スリット、あるいは第2のノズルにリブ(7B)を設けるなど適宜選択可能であり、熱風を装置内壁面に沿ってらせん状に回転させる機能を有していれば特に限定されない。熱風の回転方向は粉体粒子の流れの回転方向と同一となるよう構成されている。さらに、第2のノズルの下端部に返し部(7A)が設けられており、熱風がより円周方向に広がり易いように構成されている。
【0018】
本発明の熱処理装置では、熱風が第1ノズル(6)の内側と第2ノズル(7)の外側とで形成される空間を通ることで、熱風供給手段出口部から装置内に噴射される際に、熱風が円周方向に拡散する。これによって、粉体粒子をより効率良く、且つより均一に近い状態で熱処理することが可能になる。
【0019】
装置内の温度管理、粉体粒子の表面状態をコントロールする目的で、1以上の冷風供給手段を設けることが好ましい。図1に示す熱処理装置においては、熱風供給手段(2)及び原料供給手段(5)の下流側に、熱処理された粉体粒子を冷却したり、装置内の温度上昇による粉体粒子の合一や融着を防止したりするための冷風供給手段(3、4)が設けられている。冷風供給手段(3、4)は、装置外周部から、略水平方向かつ装置内周面に沿うように冷風を供給する。
【0020】
更に、熱処理によって、装置内部に粉体粒子が融着することを防止するために、原料供給手段(5)の内周部、装置外周部、熱風供給手段(2)外周部、回収手段(8)外周部には、冷却ジャケットが設けられている。なお、冷却ジャケットには冷却液(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を導入することが好ましい。
【0021】
装置内に供給される熱風は、熱風供給手段(2)出口部における温度C(℃)が100≦C≦450であることが好ましい。温度Cが上記の範囲内であれば、粉体粒子の熱処理をほぼ均一に行うことが可能となり、さらに粉体粒子同士の合一を抑制することができる。
【0022】
粉体粒子を原料料供給手段(5)に定量供給するために、定量供給機FS型(粉研パウテックス社製)、ファイントロンFT(ホソカワミクロン社製)などの定量供給装置を用いても良い。
【0023】
冷却された粉体粒子は排出部(8)を通して排出された後、回収される。
【0024】
排出部(8)の下流側にはブロワー(不図示)が設けられ、ブロワーにより吸引搬送される。
【0025】
排出部は、装置最下部に少なくとも1箇所設けられ、装置内壁外周部に略水平になるように構成されることが好ましい。また、排出部の接続の向きは、装置上流部から排出部に至るまでの粉体粒子の流れの回転を維持する向きとすることが好ましい。
【0026】
本装置において、装置内に供給される圧縮気体、熱風及び冷風の流量の総量QINと、ブロワーにより吸引される風量QOUTの関係は、QIN≦QOUTの関係となるように調整されることが好ましい。QIN及びQOUTが上記の関係であれば、装置内の圧力が負圧となり、粉体粒子が装置内に滞留することを防止し、粒子の合一や装置内部への融着が抑制される。
【0027】
装置内の装置軸中心部において、円筒状のポール(不図示)を設けることも可能である。前記ポールを設ける場合には、熱処理された原料が融着することを防止するために、ポールにジャケットを設けることが好ましい。
【0028】
本発明の熱処理装置において、粉体粒子が球形化される過程を以下に説明する。
【0029】
熱風供給手段(2)から供給される熱風は、その出口部において、気流調整手段(2A)により装置内に、壁面に沿ってらせん状に回転しながら供給される。そして、原料供給手段(5)から供給された粉体粒子が、熱風供給手段(2)から供給された熱風に乗ることで、粉体粒子同士の衝突割合が緩和され、粉体粒子の合一が抑制される。また、粉体粒子が熱風供給手段(2)から供給される熱風に乗ることで、粒径の大きい粉体粒子は、流れの外周側で回転半径の大きい流路を通る。一方、粒径の小さい粉体粒子は、流れの内周側で回転半径の小さい流路を通ることになる。よって、粒径の大きい粉体粒子には、長い時間熱がかかり、逆に粒径の小さい粉体粒子には、短い時間熱がかかることになるため、粉体粒子の粒径に応じて適切な熱量をかけることが可能となる。
【0030】
また、熱処理装置が、さらに、原料供給手段(5)出口部に設けられた調整手段(5A)を有し、原料供給手段(5)において粉体粒子が圧縮気体によって輸送され、粉体粒子の流れ及び熱風の回転方向を同一方向とした場合の、粉体粒子が球形化される過程を以下に説明する。
【0031】
原料供給手段(5)に供給される粉体粒子は、圧縮気体により輸送されているため、ある程度速い流速を有している。そして、原料供給手段(5)出口部の調整手段(5A)により、粉体粒子は、勢いをつけたまま壁面に沿ってらせん状に回転するように装置内に分散しながら投入される。熱風供給手段(2)から供給される熱風は、その出口部において、気流調整手段(2A)により装置内にらせん状に回転しながら供給される。粉体粒子の流れ及び熱風の回転方向は同一方向となっていることから、装置内での乱流が抑制される。その状態で粉体粒子が、熱風供給手段(2)から供給される熱風に乗ることで、粉体粒子同士の衝突割合も緩和され、粉体粒子の合一が抑制される。また、粉体粒子は、原料供給手段より噴射される際に、粒径の違いにより、大きい粒子は流れの外周側へ、小さい粒子は流れの内周側へと分級される。その状態で粉体粒子が、熱風供給手段(2)から供給される熱風に乗ることで、粒径の大きい粉体粒子は、流れの外周側で回転半径の大きい流路を通り、粒径の小さい粉体粒子は、流れの内周側で回転半径の小さい流路を通ることとなる。よって、粒径の大きい粉体粒子には、長い時間熱がかかり、逆に粒径の小さい粉体粒子には、短い時間熱がかかることとなるため、粉体粒子の粒径に応じて適切な熱量をかけることが可能となる。
【0032】
従来提案されてきた熱処理装置においては、粉体粒子噴射口を熱風中に設け、圧縮空気によって熱風中に粉体粒子を分散させる構成であった。しかしながら、この構成では粉体粒子の粒径に応じた適正な熱量が加えることができないため、粉体粒子の粒径によっての円形度がばらつきがちになる。このことは、熱処理された粉体粒子において、未処理の粉体粒子の混在比率が多くなることを意味している。一方、未処理の粉体粒子の混在比率を下げるために、より多くの熱量をかけると、過度に球形化された粉体粒子の割合が上昇したり、粉体粒子の合一が起きたりする。
【0033】
図5に、従来の熱処理装置を用いた場合、及び本発明の熱処理装置を用いた場合の、粉体粒子の円形度分布を示す。図5において、本発明の熱処理装置で熱処理を行った粉体粒子の円形度分布が実線で表され、従来の熱処理装置で熱処理を行った粉体粒子の円形度分布が破線で表されている。また、熱処理前の粉体粒子(原料)の円形度分布も実線で表されている。従来の熱処理装置を用いて、熱処理後の粉体粒子の平均円形度が0.970になるように熱処理を行った場合、円形度0.990以上の粒子の存在頻度が非常に高くなっており、平均円形度の値と円形度分布におけるピークを示す円形度との差が大きい。
【0034】
一方、本発明の熱処理装置を用いて、熱処理後の粉体粒子の平均円形度が0.970になるように熱処理を行った場合、円形度0.990以上の粒子の存在頻度が比較的少なく、円形度分布におけるピーク円形度が平均円形度の値に対して乖離していない。また、熱処理後の粉体粒子の平均円形度を0.955とした場合でも、円形度分布において、低い円形度の粉体粒子(すなわち、未処理の粉体粒子)の割合が少なく、粉体粒子が均一に近い状態で熱処理されている。
【0035】
図6は、円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度が、平均円形度に対してどのように変化するのかを示している。
【0036】
従来の装置によって熱処理した場合と比較して、本発明の装置によって熱処理した場合は、いずれの平均円形度においても、円形度0.990以上の粒子の頻度が少ない。また、トナーの平均円形度を上げた時の円形度0.990以上の粒子の頻度の増加率も小さい。
【0037】
トナーを製造する手順の一例について説明する。まず、トナー原料である結着樹脂、着色剤、ワックス、及び任意の材料を混合する原料混合工程、トナー原料を溶融混練して着色樹脂組成物を得る溶融混練工程、着色樹脂組成物を冷却する冷却工程、着色樹脂組成物を粉砕する粉砕工程、によって粉体粒子を得る。そして、粉体粒子を上述した熱処理装置で処理する熱処理工程、さらに必要に応じて、熱処理後の粉体粒子を分級する分級工程や、トナー粒子に外添剤を混ぜる外添工程を経て、トナーを得る。
【0038】
以下、各工程を具体的に説明する。
【0039】
原料混合工程では、トナー原料として、結着樹脂、着色剤、ワックス等を所定量秤量して、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
【0040】
そして、上記のトナー原料を溶融混練することで、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、一軸又は二軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製二軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0041】
次いで、着色樹脂組成物の冷却物は、所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕を行い、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で微粉砕する。この様にして得られた粉体粒子を、上述した熱処理装置によって熱処理する。
【0042】
その後、必要に応じて、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機を用いて熱処理後の粉体粒子を分級し、分級品(トナー粒子)を得る。
【0043】
更に、トナー粒子に外添剤を添加しても良い。トナー粒子に外添剤を外添する方法としては、トナー粒子と公知の外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
【0044】
なお、先に粉体粒子の分級工程や外添工程を行い、その後、本発明の熱処理装置を用いた熱処理工程を行っても良い。
【0045】
本発明のトナーの製造方法によって得られるトナーの重量平均粒径(D4)は、4μm以上12μm以下である。重量平均粒径(D4)が4μm未満のトナーや重量平均粒径(D4)が12μmを超えるトナーを得ようとした場合、処理量と装置稼働条件のバランス取りが困難な場合がある。
【0046】
トナーに含有されるワックスの量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。トナーに含有されるワックスの量が上記範囲内であれば、従来の熱処理装置と比較した際の、本発明の熱処理装置の効果(トナーの粗大化や装置内融着等の抑制)が顕著に表れる。
【0047】
上記粉体粒子もしくはトナー粒子の各種物性の測定法について以下に説明する。
【0048】
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行う。
【0049】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0050】
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
【0051】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
【0052】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0053】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0054】
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、以下のようにして算出する。
【0055】
トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、(1)専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「<」にチェック、その下の粒径入力部に「4」を入力する。そして、(3)分析/個数統計値(算術平均)画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
【0056】
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、以下のようにして算出する。
【0057】
例えば、トナー中の粒径10.0μm以上の粒子の体積%は、前記のMultisizer3の測定を行った後、(1)専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「>」にチェック、その下の粒径入力部に「10」を入力する。そして、(3)分析/体積統計値(算術平均)画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の粒径10.0μm以上の粒子の体積%である。
【0058】
<トナー粒子の平均円形度の測定>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
【0059】
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加える。そして、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
【0060】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0061】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0062】
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【0063】
<GPCによる分子量(メインピーク)の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0064】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.5質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を100μm注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせが好ましい。
【0065】
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure ChemicalCo.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の、分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【実施例】
【0066】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
〔ポリエステル樹脂1の製造〕
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
・テレフタル酸 17.5質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
76.3質量部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.2質量部
【0068】
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しつつ生成する水を除去しながら8時間反応させた。その後、無水トリメリット酸1.5質量部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させポリエステル樹脂1を合成した。
【0069】
GPCで求めたポリエステル樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)が82000、数平均分子量(Mn)が3400、ピーク分子量(Mp)が8200、ガラス転移温度(Tg)が63℃、軟化点(1/2法)が110℃であった。
【0070】
(粉体粒子の製造)
・ポリエステル樹脂1 100質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
上記処方の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた樹脂粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて粉砕し、粉体粒子を得た。
【0071】
更に得られた粉体粒子を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級した。その際、分級後の粉体粒子において、重量平均粒径(D4)が6.2μm以上6.8μm以下、粒径4.0μm以下の粉体粒子が20個数%以上35個数%以下、粒径10.0μm以上の粉体粒子が1.0体積%以下となるように装置条件を調整した。
【0072】
得られた粉体粒子は重量平均粒径(D4)が6.2μm、粒径4.0μm以下の粉体粒子が26.7個数%であり、粒径10.0μm以上の粉体粒子が0.2体積%であった。更に、FPIA3000にて円形度を測定した結果、平均円形度が0.940であった。この粉体粒子を、以下、粉体粒子Aとする。
【0073】
〔実施例1〕
図1に示した熱処理装置を用いて粉体粒子の熱処理を行った。
【0074】
本実施例で用いられた装置では、熱風供給手段及び第1ノズルを一体的に形成した。熱風供給手段の出口部において、第1ノズル及び第2ノズルの間にルーバーを設け、これによって、装置内壁面に沿って熱風がらせん状に回転しながら流れるようにした。更に、装置断面における、第1ノズルの稜線のなす角度(装置上流側から下流側にかけてノズルが広がる角度)を40°、第2ノズルの稜線のなす角度を60°とし、第2ノズルの下端部には返し部を設けた。返し部の稜線のなす角度は140°とした。
【0075】
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0076】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=160℃、熱風風量(Q1)=10.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.4m3/min、ブロワー風量(Q4)=21.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0077】
これら運転条件については表1にまとめた。
【0078】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.1個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が1.9体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は14.2%であった。
【0079】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.4μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.8個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が4.2体積%であった。また、平均円形度は0.964であった。
【0080】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0081】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=155℃、熱風風量(Q1)=7.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.4m3/min、ブロワー風量(Q4)=18.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0082】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.2μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.3個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が0.4体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は10.6%であった。
【0083】
夫々の熱処理条件で得られた熱処理粉体粒子について、以下に示す基準にて評価を行った。
【0084】
(評価基準1)
フィード量を40kg/hr、平均円形度を0.970に設定したときの、熱処理粉体粒子の円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度について評価した。
A:円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度が20%未満である。
B:円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度が20%以上である。
【0085】
(評価基準2)
下記式で表される、処理量を増加させた際の粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合(体積%)について評価した。
【0086】
「粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合(体積%)」=「フィード量を40kg/hr、平均円形度を0.970に設定したときの、熱処理粉体粒子における粒径10.0μm以上の粒子の割合(体積%)」−「フィード量を15kg/hr、平均円形度を0.970に設定したときの、熱処理粉体粒子における粒径10.0μm以上の粒子の割合(体積%)」
A:粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合が0(体積%)以上3.0(体積%)未満である。
B:粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合が3.0(体積%)以上5.0(体積%)未満である。
C:粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合が5.0(体積%)以上10.0(体積%)未満である。
D:粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合が10.0(体積%)以上15.0(体積%)未満である。
E:粒径10.0μm以上の粉体粒子の増加割合が15.0(体積%)以上である。
【0087】
(評価基準3)
平均円形度を0.955に設定したときの、熱処理粉体粒子の円形度分布において、粉体粒子Aの平均円形度である円形度0.940以下の粒子の割合をHaとした。
【0088】
実施例1のHaを求め、後述する比較例1乃至3のHaと比較し、下記式で表されるZについて評価した。なお、比較例1乃至3のそれぞれに対してZを求めた。
Z=実施例のHa/比較例のHa
A:Z<1.0
B:Z≧1.0
【0089】
(評価基準4)
装置内融着の有無について評価した。
A:装置内融着が発生しなかった。
B:装置内融着が発生した。
【0090】
上記評価の結果、実施例1では、フィード量を増加させた場合であっても粒径10.0μm以上の粒子の増加が抑えられていた。また、平均円形度を0.970に設定して熱処理を行った場合でも、円形度0.990以上の粒子の頻度が抑制されていた。これらの結果を表2にまとめた。
【0091】
〔実施例2〕
図2に示した装置を用いて粉体粒子Aの熱処理を行った。本実施例で用いられた装置は、実施例1で用いられた装置から原料供給手段の調整部を除いた構成とした。
【0092】
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0093】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=160℃、熱風風量(Q1)=10.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.5m3/min、ブロワー風量(Q4)=21.5m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0094】
これら運転条件については表1にまとめた。
【0095】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.2個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が1.8体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は15.8%であった。
【0096】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.4μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.9個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が3.9体積%であった。また、平均円形度は0.965であった。
【0097】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0098】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=155℃、熱風風量(Q1)=7.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.5m3/min、ブロワー風量(Q4)=18.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0099】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.2μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.3個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が0.5体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は11.2%であった。
【0100】
〔実施例3〕
本実施例で用いられた装置は、第2ノズルとして図3に示す形状(ノズル端部にリブが設けられており、返し部を有さない)のものを用いた。それ以外は実施例1で用いられた装置と同じ構成とした。
【0101】
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0102】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=170℃、熱風風量(Q1)=10.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.4m3/min、ブロワー風量(Q4)=21.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0103】
これら運転条件については表1にまとめた。
【0104】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.2個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が1.6体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は16.4%であった。
【0105】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.5μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.3個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が4.8体積%であった。また、平均円形度は0.965であった。
【0106】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0107】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=155℃、熱風風量(Q1)=8.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=2.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.4m3/min、ブロワー風量(Q4)=19.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0108】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.8個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が0.6体積%であった。更に円形度分布における0.940以下粒子の頻度は11.8%であった。
【0109】
〔実施例4〕
図4に示した装置を用いて粉体粒子の熱処理を行った。本実施例の装置は、排出部が装置下方へ向けられており、それ以外は実施例1で用いられた装置と同じ構成とした。
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0110】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=170℃、熱風風量(Q1)=10.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.6m3/min、ブロワー風量(Q4)=22.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0111】
これら運転条件については表1にまとめた。
【0112】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.9個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が2.2体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は16.1%であった。
【0113】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.5μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.4個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が5.3体積%であった。また、平均円形度は0.963であった。
【0114】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0115】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=155℃、熱風風量(Q1)=8.5m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=4.0m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.4m3/min、ブロワー風量(Q4)=20.0m3/minであり、運転時間は1時間とした。
【0116】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.5個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が0.8体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は12.1%であった。
【0117】
実施例2、3、4についても、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0118】
〔比較例1〕
本比較例では、図7に示した装置を用いて粉体粒子の熱処理を行った。図7に示す装置においては、原料供給手段(図中21)は熱風供給手段(図中22)に挿入され、熱風供給手段外周部には外気取り入れ部(図中23)が設けられている。また、原料供給手段(21)の出口部には、分散板(24)が設けられており、原料供給手段から出てきた粉体粒子が分散板によって分散される。なお、図7に示す装置においては、熱風が装置内を回転するための気流調整手段は設けられていない。
【0119】
上記構成の装置を用いて、熱処理後のトナー粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0120】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=300℃、熱風流量=10.0m3/min、冷風=10.0m3/min、インジェクション流量=3.0m3/min、運転時間は1時間とした。
【0121】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.4μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.2個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が2.3体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は36.3%であった。
【0122】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が7.1μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が24.1個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が16.2体積%であった。また、平均円形度は0.962であった。
【0123】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0124】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=250℃、熱風流量=10.0m3/min、冷風=10.0m3/min、インジェクション流量=3.0m3/min、運転時間は1時間とした。
【0125】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.3個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が1.1体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は15.6%であった。
【0126】
更に、熱処理終了後に装置内を観察したところ、粉体粒子供給ノズル下部に設けた、分散板に粉体粒子の融着が認められた。このことは、比較的短時間のサイクルで装置のメンテナンスを要することを示唆しており、生産安定性の面で懸念がある。
【0127】
粒径10.0μm以上の粒子が増大する理由としては、以下の様に考えられる。図7に示す装置においては、原料供給手段(粉体粒子供給ノズル)が熱風の中に挿入されており、ノズル出口部に熱がこもる。そのため、ノズル出口部において粉体粒子が合一し、粗大粒子が増える。特にワックスを多く含有しているトナーの熱処理を行う場合、熱処理によるワックスの染み出しが多くなり、トナーの合一化が発生し易くなる。
【0128】
また、本比較例を実施例と比べると、供給する熱風流量や冷風流量、インジェクション流量が多く、熱風温度も高く、製造エネルギーの面からも好ましくない。
【0129】
更に、平均円形度を0.970に設定した際の熱処理粉体粒子における円形度分布において、円形度0.990以上の粒子の頻度が実施例と比べて高い。これは、熱風温度が実施例の構成の装置に比べて高く、粉体粒子を球形化する際の効率が悪いことに由来している。また、平均円形度を0.955に設定した際の熱処理粉体粒子の円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度が、実施例と比較して多いのも、球形化の際の効率が悪いことに由来する。
【0130】
〔比較例2〕
本比較例では、図8に示した装置を用いて粉体粒子の熱処理を行った。なお、図8(B)は、図8(A)のA−A’における断面を表す。図8に示す装置においては、装置の軸中心部に熱風供給手段(図中31)、その外周部に原料供給手段(図中32)が設けられており、原料は熱風に向けて噴射される。また、その下流側に冷風供給手段である外気取り入れ口(図中33)があり、熱処理後の粉体粒子が装置内で、壁面に沿ってらせん状に回転するように構成されている。更に、下流には装置内の搬送路、冷却用の冷風供給手段がある(不図示)。
【0131】
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0132】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=230℃、熱風流量=10.0m3/min、上部冷風=4.0m3/min、下部冷風=8.0m3/minインジェクション流量=1.8m3/min、運転時間は1時間とした。
【0133】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.5μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が24.9個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が3.2体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は31.4%であった。
【0134】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が7.1μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が23.6個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が14.5体積%であった。また、平均円形度は0.962であった。
【0135】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0136】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=200℃、熱風流量=9.0m3/min、上部冷風=4.0m3/min、下部冷風=8.0m3/min、インジェクション流量=1.7m3/min、運転時間は1時間とした。
【0137】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.8個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が1.3体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は14.5%であった。
【0138】
粒径10.0μm以上の粒子が増大する理由としては、以下の様に考えられる。図8に示す装置においては、原料供給手段(粉体粒子供給ノズル)が熱風に向けられているため、熱風中に噴射された粉体粒子が衝突し、合一しやすい。特にワックスを多く含有しているトナーの熱処理を行う場合、熱処理によるワックスの染み出しが多くなり、トナーの合一化が発生し易くなる。
【0139】
更に、平均円形度を0.970に設定した際の熱処理粉体粒子の円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度が、実施例と比べて高い。これは、熱風温度が実施例の構成の装置に比べて高く、粉体粒子を球形化する際の効率が悪いことに由来している。また、旋回の流れに乗るのが熱処理をされた後になるので、熱処理中の粉体粒子の分級効果も期待できない。
【0140】
また、平均円形度0.955に設定した際の熱処理粉体粒子の円形度分布における0.940以下の粒子の頻度が、実施例と比較して多いのも、球形化の際の効率が悪いことに由来する。
【0141】
〔比較例3〕
本比較例では、図9に示した装置を用いて粉体粒子の熱処理を行った。図9に示す装置においては、原料供給手段(図中41)内で原料を回転させながら熱風中に原料が投入される。また、熱風供給手段(42)には気流調整部(図中43)が設けられている。
【0142】
上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.970となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0143】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=250℃、熱風流量=10.0m3/min、冷風=10.0m3/min、インジェクション流量=2.5m3/min、運転時間は1時間とした。
【0144】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.4μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が25.9個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が2.2体積%であった。更に円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度は29.8%であった。
【0145】
次に、フィード量(F)を40kg/hrに変更し、その他の運転条件は変更せずに熱処理を行った。このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.9μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が24.6個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が9.4体積%であった。また、平均円形度は0.963であった。
【0146】
次に、上記構成の装置を用いて、熱処理後の粉体粒子Aの平均円形度が0.955となるように粉体粒子Aを熱処理した。
【0147】
このときの運転条件は、フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度=220℃、熱風流量=10.0m3/min、冷風=10.0m3/min、インジェクション流量=2.5m3/min、運転時間は1時間とした。
【0148】
このとき得られた熱処理粉体粒子は、重量平均粒径が6.3μmであり、粒度分布における粒径4.0μm以下の粒子の割合が26.0個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子の割合が0.8体積%であった。更に円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度は13.2%であった。
【0149】
粒径10.0μm以上の粒子が増大する理由としては、以下の様に考えられる。図9に示す装置においては、原料供給手段(粉体粒子供給ノズル)が熱風の中に挿入されており、ノズル出口部に熱がこもる。そのため、ノズル出口部において粉体粒子が合一し、粗大粒子が増える。特にワックスを多く含有しているトナーの熱処理を行う場合、熱処理によるワックスの染み出しが多くなり、トナーの合一化が発生し易くなる。
【0150】
更に、原料供給手段内で原料を含む流れを回転させているが、装置内において原料が分散する効果が実際には乏しい。そのため、熱風の風量や温度を上げないと、粉体粒子の全てを球形化することが困難になる。
【0151】
また、熱風供給手段の出口部の向きが、軸中心部に向かっていることから、原料の広がりを阻害し、回転半径も小さいままとなってしまう。そのため、らせん状の回転流れによる分散の効果も薄れてしまう。
【0152】
また、本比較例を実施例と比べると、供給する熱風流量や冷風流量、インジェクション流量が多く、熱風温度も高く、製造エネルギーの面からも好ましくない。
【0153】
更に、平均円形度を0.970に設定した際の熱処理粉体粒子の円形度分布における円形度0.990以上の粒子の頻度が、実施例と比べて高い。これは、熱風温度が実施例の構成の装置に比べて高く、粉体粒子を球形化する際の効率が悪いことに由来している。
【0154】
また、平均円形度を0.955に設定した際の熱処理粉体粒子の円形度分布における円形度0.940以下の粒子の頻度が、実施例と比較して多いのも、球形化の際の効率が悪いことに由来する。
【0155】
比較例1、2、3について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
【表3】

【0159】
上記の実施例によって得られた粉体粒子(トナー粒子)は、更に必要に応じて公知の外添剤を添加することによって、製品トナーとして供される。
【符号の説明】
【0160】
1:熱処理装置本体、2:熱風供給手段、2A:気流調整部、3:冷風供給手段1、4:冷風供給手段2、5:原料供給手段、5A:調整部、6:第1ノズル、7:第2ノズル、7A:返し部、7B:リブ、8:排出部、21:原料供給手段、22:熱風供給手段、23:外気取り入れ部、24:分散板、31:熱風供給手段、32:原料供給手段、33:外気取り入れ口、41:原料供給手段、42:熱風供給手段、43:気流調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の結着樹脂を含有する粉体粒子を熱処理するための熱処理装置であって、
該熱処理装置は、
装置内に粉体粒子を供給するための原料供給手段と、
供給された粉体粒子を熱処理するための熱風供給手段と、
前記原料供給手段及び前記熱風供給手段よりも下流側に、熱処理された粉体粒子を排出するための排出部とを有し、
前記熱風供給手段の外周面に近接あるいは水平方向に対して距離を隔てた位置に、前記熱風供給手段を囲むように環状に原料供給手段が設けられ、
前記熱風供給手段の出口より、前記原料供給手段から供給される粉体粒子に向けて熱風が供給され、
前記熱風供給手段は、熱風供給方向の上流側から下流側に向かって、径方向に広がる第1のノズルと第2のノズルとを有し、
前記第2のノズルは、前記第1のノズルの内側に配設され、
供給された熱風は、前記第1のノズルの内側と前記第2のノズルの外側とで形成される空間を通過し、
前記熱風供給手段出口部には、供給された熱風を装置内壁面に沿ってらせん状に回転させるための気流調整手段が設けられていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記第2のノズルの下方に、径方向に広がる返し部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記原料供給手段の出口部において、供給する粉体粒子の流れを、熱風と同一方向に回転させるための調整部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記熱風供給手段及び原料供給手段の下流側で且つ前記排出部の上流側に、1以上の冷風供給手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記冷風供給手段は、装置外周部から装置内周面に沿うように供給され、且つ冷風の供給方向は前記熱風の回転方向と同一方向であることを特徴とする請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記排出部は、装置内壁外周部より略水平方向で、且つ熱処理された粉体粒子の回転の流れが維持されるように設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
熱可塑性の結着樹脂と着色剤とを含有する粉体粒子の熱処理を行う工程を経て、トナーを得るトナーの製造方法であって、
該トナーは、重量平均粒径が4μm以上12μm以下であり、
該熱処理工程において、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱処理装置が用いられることを特徴とするトナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−187573(P2012−187573A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34710(P2012−34710)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】