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熱剥離型シート
説明

熱剥離型シート

【課題】 より耐熱性の高い熱剥離型シートを提供すること。
【解決手段】 イミド基を有する熱剥離型シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱剥離型シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等の製造・加工工程では、各種材料等の仮止めや、金属板等の表面保護等が行われおり、このような用途に用いられるシート部材は、使用目的を終えた後に被着体から容易に剥離除去できることが要求されている。
【0003】
従来、このようなシート部材として、加熱処理により剥離できる感熱性粘着剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、当該感熱性粘着剤が180℃までの温度で使用することが可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7202107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、熱剥離型シートに関して、より耐熱性の高いものが切望されている。本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より耐熱性の高い熱剥離型シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者等は、下記の構成を採用することにより、前記の課題を解決できることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る熱剥離型シートは、イミド基を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る熱剥離型シートによれば、イミド基を有するため、耐熱性に優れる。前記熱剥離型シートがイミド基を有するか否かは、FT−IR(fourier transform infrared spectroscopy)スペクトルにおいて、1400〜1500cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在するか否かにより確認できる。すなわち、1400〜1500cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在する場合、イミド基を有すると判断することができる。
【0009】
前記構成においては、エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位を有することが好ましい。エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位を有している場合、熱剥離型シートを高温(例えば、200℃以上)に加熱すると、剪断接着力を低下させることができる。この現象について、本発明者らは、高温に加熱されることにより、前記エーテル構造が熱剥離型シートを構成する樹脂から脱離し、この脱離により剪断接着力が低下している推察している。
前記熱剥離型シートがエーテル構造を有するジアミンを有するか否かは、FT−IR(fourier transform infrared spectroscopy)スペクトルにおいて、2700〜3000cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在するか否かにより確認できる。すなわち、2700〜3000cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在する場合、エーテル構造を有するジアミンを有すると判断することができる。
なお、前記エーテル構造が熱剥離型シートを構成する樹脂から脱離していることは、例えば、300℃での加熱を30分する前後におけるFT−IR(fourier transform infrared spectroscopy)スペクトルを比較し、2800〜3000cm−1のスペクトルが加熱前後で減少していることにより確認できる。
【0010】
前記構成において、前記エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位は、グリコール骨格、又は、アルキレングリコールを有するジアミンに由来するグリコール骨格を有することが好ましい。前記エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位が、グリコール骨格、又は、アルキレングリコールを有するジアミンに由来するグリコール骨格を有すると、高温(例えば、200℃以上)に加熱することにより、より良好な剥離性を示す。
前記熱剥離型シートがグリコール骨格を有するジアミンを有するか否かは、FT−IRスペクトルにおいて、2700〜3000cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在するか否かにより確認できる。すなわち、2700〜3000cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在する場合、グリコール骨格を有するジアミンを有すると判断することができる。
特に、前記熱剥離型シートがアルキレングリコールを有するジアミンに由来するグリコール骨格を有するジアミンを有するか否かは、FT−IRスペクトルにおいて2700〜3000cm−1に吸収ピークを持つスペクトルが存在するか否かにより確認できる。
【0011】
前記構成において、前記熱剥離型シートは、酸無水物と、エーテル構造を有するジアミンと、エーテル構造を有さないジアミンと、を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミド樹脂を構成材料とし、前記酸無水物と、前記エーテル構造を有するジアミンと、前記エーテル構造を有さないジアミンとを反応させる際の前記エーテル構造を有するジアミンと前記エーテル構造を有さないジアミンとの配合割合が、モル比で、100:0〜10:90の範囲内であることが好ましい。前記酸無水物と、前記エーテル構造を有するジアミンと、前記エーテル構造を有さないジアミンとを反応させる際の前記エーテル構造を有するジアミンと前記エーテル構造を有さないジアミンとの配合割合が、モル比で、100:0〜10:90の範囲内にあると、高温での熱剥離性により優れる。
【0012】
前記構成において、前記エーテル構造を有するジアミンの分子量は、200〜5000の範囲内であることが好ましい。前記エーテル構造を有するジアミンの分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値(重量平均分子量)をいう。
【0013】
また、本発明の支持体付き熱剥離型シートは、前記課題を解決するために、前記に記載の熱剥離型シートが、支持体上に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より耐熱性の高い熱剥離型シート、及び、当該熱剥離型シートが支持体上に設けられた熱剥離型シート付きの支持体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る熱剥離型シートは、イミド基を有する。前記熱剥離型シートの形成材料は、イミド基を有していれば、特に限定されないが、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。
【0016】
前記ポリイミド樹脂は、一般的に、その前駆体であるポリアミド酸をイミド化(脱水縮合)することにより得ることができる。ポリアミド酸をイミド化する方法としては、例えば、従来公知の加熱イミド化法、共沸脱水法、化学的イミド化法等を採用することができる。なかでも、加熱イミド化法が好ましい。加熱イミド化法を採用する場合、ポリイミド樹脂の酸化による劣化を防止するため、窒素雰囲気下や、真空中等の不活性雰囲気下にて加熱処理を行なうことが好ましい。
【0017】
前記ポリアミド酸は、適宜選択した溶媒中で、酸無水物とジアミン(エーテル構造を有するジアミンと、エーテル構造を有さないジアミンの両方を含む)とを実質的に等モル比となるように仕込み、反応させて得ることができる。
【0018】
前記ポリイミド樹脂としては、エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位を有することが好ましい。前記エーテル構造を有するジアミンは、エーテル構造を有し、且つ、アミン構造を有する端末を少なくとも2つ有する化合物である限り、特に限定されない。前記エーテル構造を有するジアミンのなかでも、グリコール骨格を有するジアミンであることが好ましい。前記ポリイミド樹脂が、エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位、特に、グリコール骨格を有するジアミンに由来する構成単位を有している場合、熱剥離型シートを高温(例えば、200℃以上)に加熱すると、剪断接着力を低下させることができる。
なお、前記エーテル構造、又は、前記グリコール骨格が熱剥離型シートを構成する樹脂から脱離していることは、例えば、300℃での加熱を30分する前後におけるFT−IR(fourier transform infrared spectroscopy)スペクトルを比較し、2800〜3000cm−1のスペクトルが加熱前後で減少していることにより確認できる。
【0019】
前記グリコール骨格を有するジアミンとしては、例えば、ポリプロピレングリコール構造を有し、且つ、アミノ基を両末端に1つずつ有するジアミン、ポリエチレングリコール構造を有し、且つ、アミノ基を両末端に1つずつ有するジアミン、ポリテトラメチレングリコール構造を有し、且つ、アミノ基を両末端に1つずつ有するジアミン等のアルキレングリコールを有するジアミンを挙げることができる。また、これらのグリコール構造の複数を有し、且つ、アミノ基を両末端に1つずつ有するジアミンを挙げることができる。
【0020】
前記エーテル構造を有するジアミンの分子量は、100〜5000の範囲内であることが好ましく、150〜4800であることがより好ましい。前記エーテル構造を有するジアミンの分子量が100〜5000の範囲内であると、200℃以下での接着力が高く、且つ、200℃以上の領温度域において、剥離性を奏する熱剥離型シートをえやすい。
【0021】
前記ポリイミド樹脂の形成には、エーテル構造を有するジアミン以外に、エーテル構造を有さないジアミンを併用することもできる。エーテル構造を有さないジアミンとしては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンを挙げることができる。エーテル構造を有さないジアミンを併用することにより、被着体との密着力をコントロールすることができる。エーテル構造を有するジアミンと、エーテル構造を有さないジアミンとの配合割合は、モル比で、100:0〜10:90の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは、100:0〜20:80であり、さらに好ましくは、99:1〜30:70である。前記エーテル構造を有するジアミンと前記エーテル構造を有さないジアミンとの配合割合が、モル比で、100:0〜10:90の範囲内にあると、高温での熱剥離性により優れる。
【0022】
前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、4,9−ジオキサ−1,12−ジアミノドデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(α、ω−ビスアミノプロピルテトラメチルジシロキサン)などが挙げられる。前記脂肪族ジアミンの分子量は、通常、50〜1,000,000であり、好ましくは100〜30,000である。
【0023】
芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。前記芳香族ジアミンの分子量は、通常、50〜1000であり、好ましくは100〜500である。前記脂肪族ジアミンの分子量、及び、前記芳香族ジアミンの分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値(重量平均分子量)をいう。
【0024】
前記酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記酸無水物と前記ジアミンを反応させる際の溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロペンタノン等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、複数を混合して用いてもよい。また、原材料や樹脂の溶解性を調整するために、トルエンや、キシレン等の非極性の溶媒を適宜、混合して用いてもよい。
【0026】
前記熱剥離型シートは、200℃に1分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm以上であることが好ましく、0.30kg/5×5mm以上であることがより好ましく、0.50kg/5×5mm以上であることがさらに好ましい。また、前記熱剥離型シートは、200℃を超え、500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度において3分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm未満であることが好ましく、0.10kg/5×5mm未満であることがより好ましく、0.05kg/5×5mm未満であることがさらに好ましい。200℃に1分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm以上であり、200℃を超え、500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度において3分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm未満であると、200℃の時点では、ある程度の接着性を有している一方、200℃より高い温度においては、200℃の時点よりも高い剥離性を発現する。その結果、より高い温度で剥離性を発現する熱剥離型シートとすることができる。熱剥離型シートの前記剪断接着力は、例えば、熱剥離型シートに含まれる官能基数によりコントロールすることができる。
また、前記熱剥離型シートのシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm未満(好ましくは、0.10kg/5×5mm未満、より好ましくは、0.05kg/5×5mm未満)となる温度は、200℃を超え、500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度であれば、特に限定されないが、好ましくは、220℃を超え、480℃以下であり、より好ましくは、240℃を超え、450℃以下である。
なお、前記熱剥離型シートは、200℃以下であっても、長時間保持すると、シリコンウエハに対する前記剪断接着力は、0.25kg/5×5mm未満となる場合がある。また、前記剥離層は、200℃より大きい温度に保持したとしても、短時間であれば、シリコンウエハに対する前記剪断接着力は、0.25kg/5×5mm未満とはならない場合がある。
すなわち、「200℃より大きく500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度において3分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm未満」は、高温での剥離性を評価する指標であり、「200℃より大きく500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度」にすると、直ちに、シリコンウエハに対する剪断接着力が0.25kg/5×5mm未満になることを意味するものではない。また、「200℃より大きく500℃以下の温度領域におけるいずれかの温度」にしなければ、剥離性を発現しないことを意味するものでもない。
【0027】
前記熱剥離型シートは、3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に5分浸漬した後の重量減少率が1重量%未満であることが好ましく、0.9重量%未満であることがより好ましく、0.8重量%未満であることがさらに好ましい。また、前記重量減少率は、小さいほど好ましいが、例えば、0重量%以上、0.001重量%以上である。3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に5分浸漬した後の重量減少率が1重量%未満であると、3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液への溶け出しが少ないため、耐溶剤性(特に、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に対する耐溶剤性)を高めることができる。熱剥離型シートの前記重量減少率は、例えば、用いるジアミンの組成(ジアミンの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に対する溶解性)により、コントロールすることができる。
【0028】
前記熱剥離型シートは、シリコンウエハに貼り合わせた後に剥離した際の、シリコンウエハ面上の0.2μm以上のパーティクルの増加量が、シリコンウエハに貼り合わせる前に対して、10000個/6インチウェハ未満であることが好ましく、9000個/6インチウェハ未満であることがより好ましく、8000個/6インチウェハ未満であることさらに好ましい。前記パーティクルの増加量は、特に好ましくは、シリコンウエハに貼り合わせる前に対して、1000個/6インチウェハ未満、900個/6インチウェハ未満、800個/6インチウェハ未満である。シリコンウエハに貼り合わせた後に剥離した際の、シリコンウエハ面上の0.2μm以上のパーティクルの増加量が、シリコンウエハに貼り合わせる前に対して、10000個/6インチウェハ未満であると、剥離後の糊残りを抑制することができる。
【0029】
前記熱剥離型シートは、50℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に60秒間浸漬し、150℃で30分間乾燥した後の重量減少率が1.0重量%以上であることが好ましく、1.1重量%以上であることがより好ましく、1.2重量%以上であることがさらに好ましい。また、前記重量減少率は、大きいほど好ましいが、例えば、50重量%以下、40重量%以下である。50℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に60秒間浸漬し、150℃で30分間乾燥した後の重量減少率が1.0重量%以上であると、熱剥離型シートがN−メチル−2−ピロリドンに溶け出し、充分に重量減少しているといえる。その結果、熱剥離型シートをN−メチル−2−ピロリドンにより容易に剥離することができる。熱剥離型シートの前記重量減少率は、例えば、原材料のNMPに対する溶解性によりコントロールすることができる。すなわち、原材料として、NMPに対する溶解性の高いものを選択するほど、当該原材料を用いて得られた熱剥離型シートは、NMPに対する溶解性は高くなる。
【0030】
(熱剥離型シートの製造)
本実施形態に係る熱剥離型シートは、例えば、次の通りにして作製される。先ず、前記ポリアミック酸を含む溶液を作製する。次に、前記溶液を基材上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させる。前記基材としては、SUS304、6−4アロイ、アルミ箔、銅箔、Ni箔などの金属箔や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等が使用可能である。また、塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度50〜150℃、乾燥時間3〜30分間の範囲内で行われる。これにより、本実施形態に係る熱剥離型シートが得られる。
【0031】
前記熱剥離型シートは、前記基材から剥離して使用することができる。また、熱剥離型シートは、支持体に転写して支持体付き熱剥離型シートとしてもよい。また、前記熱剥離型シートは、ポリアミック酸を含む溶液を直接、支持体に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させて作製してもよい。支持体付き熱剥離型シートとして使用した場合、熱剥離型シート単体での使用よりも剛性が強まるため、被着体の補強の点で好ましい。
【0032】
前記支持体としては、特に限定されないが、シリコンウェハ、SiCウェハ、GaAsウェハ等の化合物ウェハ、ガラスウェハ、SUS、6−4Alloy,Ni箔、Al箔等の金属箔等が挙げられる。平面視で、丸い形状を採用する場合は、シリコンウェハ又はガラスウェハが好ましい。また、平面視で矩形の場合は、SUS板、又は、ガラス板が好ましい。
【0033】
前記支持体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。前記支持体の厚みは、通常100μm〜20mm程度である。
【0034】
前記熱剥離型シートの用途は、特に限定されないが、例えば、半導体装置の製造工程において使用することができる。より具体的には、例えば、半導体チップを一括樹脂封止する工程や、シリコンチップを貫通する導通スルーホール(TSV)を形成する工程において使用することができる。また、樹脂封止に際して、リードフレームの裏側に貼り付け、樹脂漏れを防止する用途に使用することができる。また、ガラス部材(例えば、レンズ)の加工、カラーフィルター、タッチパネル、パワーモジュールの製造の際にも使用することができる。
【0035】
また、前記熱剥離型シートの用途としては、半導体チップが配線回路基板上に実装された構造を有する半導体装置を製造する用途(例えば、特開2010−141126号公報を参照)としても用いることができる。すなわち、下記半導体装置の製造方法における熱剥離型シートとして用いることができる。
半導体チップが配線回路基板上に実装された構造を有する半導体装置の製造方法であって、
熱剥離型シートを有する支持体を準備する工程と、
前記支持体の前記熱剥離型シート上に、配線回路基板を形成する工程と、
前記配線回路基板に半導体チップを実装する工程と、
前記実装の後、前記熱剥離型シートにおける前記支持体とは反対側の面を界面として、前記支持体を前記熱剥離型シートとともに剥離する工程とを有する半導体装置の製造方法。
【0036】
また、前記熱剥離型シートの用途としては、シリコン貫通電極(through−silicon via)を有する半導体ウェハを作成する際に、当該半導体ウェハを固定する用途としても用いることができる。すなわち、下記半導体装置の製造方法における熱剥離型シートとして用いることができる。
熱剥離型シートを用いて半導体ウェハを台座に固定する工程と、
前記台座に固定された半導体ウエハに対して特定の処理を行なう工程と、
前記処理後の前記半導体ウェハから台座を分離する工程と
を含む半導体装置の製造方法。
前記特定の処理は、シリコン貫通電極形成用の有底孔が形成された半導体ウエハの前記有底孔が形成されていない側の面を研削する工程を含むことが好ましい。
また、前記特定の処理は、シリコン貫通電極が形成された半導体ウエハを研削する工程を含むことも好ましい。
【実施例】
【0037】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0038】
(実施例1)
窒素気流下の雰囲気において、127.69gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中に、ポリエーテルジアミン(ハインツマン製、D−4000、分子量:4023.5)13.41g、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(DDE、分子量:200.2)8.51g、及び、ピロメリット酸二無水物(PMDA、分子量:218.1)10.00gを70℃で混合して反応させ、ポリアミド酸溶液Aを得た。室温(23℃)にまで冷却した後、ポリアミド酸溶液Aをスピンコーターで8インチシリコンウエハーのミラー面上に塗布し、90℃で20分乾燥後し、ポリアミド酸付き支持体Aを得た。ポリアミド酸付き支持体Aを、窒素雰囲気下、300℃で2時間熱処理して、厚み30μmのポリイミド皮膜(熱剥離型シート)を形成し、熱剥離型シート付き支持体Aを得た。
【0039】
(実施例2)
窒素気流下の雰囲気において、135.00gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中に、ポリエーテルジアミン(ハインツマン製、D−2000、分子量:1990.8)16.20g、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(DDE、分子量:200.2)7.55g、及び、ピロメリット酸二無水物(PMDA、分子量:218.1)10.00gを70℃で混合して反応させ、ポリアミド酸溶液Bを得た。室温(23℃)にまで冷却した後、ポリアミド酸溶液BをSUS箔(厚み50μm)の上に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、90℃で20分乾燥後し、ポリアミド酸付き支持体Bを得た。ポリアミド酸付き支持体Bを、窒素雰囲気下、300℃で2時間熱処理して、厚み30μmのポリイミド皮膜(熱剥離型シート)を形成し、熱剥離型シート付き支持体Bを得た。
【0040】
(実施例3)
窒素気流下の雰囲気において、107.17gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中に、ポリエーテルジアミン(ハインツマン製、D−400、分子量:422.6)14.47g、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(DDE、分子量:200.2)2.33g、及び、ピロメリット酸二無水物(PMDA、分子量:218.1)10.00gを70℃で混合し反応させ、ポリアミド酸溶液Cを得た。室温(23℃)にまで冷却した後、ポリアミド酸溶液Cをニッケル箔(厚み100μm)の上に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、90℃で20分乾燥後し、ポリアミド酸付き支持体Cを得た。ポリアミド酸付き支持体Cを、窒素雰囲気下、300℃で2時間熱処理して、厚み50μmのポリイミド皮膜(熱剥離型シート)を形成し、熱剥離型シート付き支持体Cを得た。
【0041】
(イミド基の存在の確認)
実施例に係る熱剥離型シートのイミド基の存在をFT−IRによりイミド基由来の吸収ピークの存在を分析して確認した。その結果、実施例の熱剥離型シートには、イミド基由来の吸収ピークが確認できた。
【0042】
(加熱によるエーテル構造部分の脱離の確認)
実施例に係る熱剥離型シートの加熱によるエーテル構造部分の脱離の確認をFT−IRにより行なった。具体的には、300℃での加熱を30分する前後におけるFT−IR(fourier transform infrared spectroscopy)スペクトルを比較し、2800〜3000cm−1のスペクトルが加熱前後で減少している場合に、エーテル構造部分の脱離があったと判断し、減少していない場合に、エーテル構造部分の脱離がなかったと判断した。その結果、実施例の熱剥離型シートでは、加熱によるエーテル構造部分の脱離が確認できた。
【0043】
(シリコンウエハに対する剪断接着力の測定)
支持体(シリコンウエハー、SUS箔、又は、ガラスウエハー)上に形成した熱剥離型シート上に、5mm角(厚さ500μm)のシリコンウェハチップをのせ、60℃、10mm/sの条件にてラミネートした後、せん断試験機(Dage社製、Dage4000)を用いて、熱剥離型シートとシリコンウェハチップとのせん断接着力を測定した。せん断試験の条件は、以下の2通りとした。結果を表1に示す。
<せん断試験の条件1>
ステージ温度:200℃
ステージに保持してからせん断接着力測定開始までの時間:1分
測定速度:500μm/s
測定ギャップ:100μm
<せん断試験の条件2>
ステージ温度:260℃
ステージに保持してからせん断接着力測定開始までの時間:3分
測定速度:500μm/s
測定ギャップ:100μm
【0044】
(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液へ浸漬した際の重量減少率の測定)
まず、実施例に係る熱剥離型シート付き支持体から、支持体を剥離した。次に、剥離した熱剥離型シートを100mm角に切り出し、その重量を測定した。次に、23℃の3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)に5分浸漬した。水洗を十分に行った後、150℃で30分間、乾燥を行った。その後、重量を測定し、浸漬後の重量とした。
重量減少率は、下記式により求めた。結果を表1に示す。
(重量減少率(重量%))=[1−((浸漬後の重量)/(浸漬前の重量))]×100
【0045】
(N−メチル−2−ピロリドンに浸漬した際の重量減少率の測定)
まず、実施例に係る熱剥離型シート付き支持体から、支持体を剥離した。次に、剥離した熱剥離型シートを100mm角に切り出し、その重量を測定した。次に、50℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に60秒浸漬した。水洗を十分に行った後、150℃で30分間、乾燥を行った。その後、重量を測定し、浸漬後の重量とした。
重量減少率は、下記式により求めた。結果を表1に示す。
(重量減少率(重量%))=[((浸漬後の重量)/(浸漬前の重量))−1]×100
【0046】
(糊残り評価)
まず、実施例に係る熱剥離型シート付き支持体から、支持体を剥離した。次に、直径6インチサイズに実施例の熱剥離型シートを加工し、直径8インチのウェハに、60℃、10mm/sの条件にてラミネートした。その後、1分間放置し、剥離した。パーティクルカウンター(SFS6200、KLA製)を用い、直径8インチウェハの面上の0.2μm以上のパーティクル数を測定した。また、ラミネート前と比較して、剥離後のパーティクル増加量が1000個/6インチウェハ未満である場合を○、1000個/6インチウェハ以上である場合を×として評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(剥離温度)
実施例に係る熱剥離型シートについて、30mm角の大きさとし、その熱剥離型シートの上に、10mm角(厚さ:2mm)のガラスをラミネータを用いて貼りつけた。このサンプルを用いて、山陽精工製の高温度観察装置、(製品名:SK−5000)にて、昇温速度:4℃/分、測定温度:20〜350℃の条件で加温し、ガラスが熱剥離型シートから剥離する温度を確認した。結果を表1に示す。
【0048】
(ガス目視温度)
実施例に係る熱剥離型シートについて、30mm角の大きさとし、その熱剥離型シートの上に、10mm角(厚さ:2mm)のガラスをラミネータを用いて貼りつけた。このサンプルを用いて、山陽精工製の高温度観察装置、(製品名:SK−5000)にて、昇温速度:4℃/分、測定温度:20〜350℃の条件で加温し、白煙が発生する温度を確認した。結果を表1に示す。
【0049】
(表面硬度)
実施例に係る熱剥離型シートについて、島津製作所製の硬度計(製品名:DUH−210)を用い、荷重0.5mNにて負荷-除荷試験を行い、表面硬度の測定を行なった。結果を表1に示す。
【0050】
(ダイナミック硬さ)
実施例に係る熱剥離型シートについて、島津製作所製の硬度計(製品名:DUH−210)、圧子(商品名:Triangular115、株式会社島津製作所製)を用い、荷重0.5mNにて負荷-除荷試験を行い、ダイナミック硬さの測定を行なった。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
(結果)
実施例に係る熱剥離型シートは、200℃に1分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力が高く、かつ、260℃に3分間保持した後の当該温度におけるシリコンウエハに対する剪断接着力は200℃に1分間保持した後の場合に比較して大きく低くなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミド基を有することを特徴とする熱剥離型シート。
【請求項2】
エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の熱剥離型シート。
【請求項3】
前記エーテル構造を有するジアミンに由来する構成単位は、グリコール骨格、又は、アルキレングリコールを有するジアミンに由来するグリコール骨格を有することを特徴とする請求項2記載の熱剥離型シート。
【請求項4】
前記熱剥離型シートは、酸無水物と、エーテル構造を有するジアミンと、エーテル構造を有さないジアミンと、を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミド樹脂を構成材料とし、
前記酸無水物と、前記エーテル構造を有するジアミンと、前記エーテル構造を有さないジアミンとを反応させる際の前記エーテル構造を有するジアミンと前記エーテル構造を有さないジアミンとの配合割合が、モル比で、100:0〜10:90の範囲内であることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱剥離型シート。
【請求項5】
前記エーテル構造を有するジアミンの分子量は、200〜5000の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の熱剥離型シート。

【公開番号】特開2013−100467(P2013−100467A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208218(P2012−208218)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】