説明

熱収縮性ポリエステル系フィルム及びその製造方法、熱収縮性ラベル

【課題】 飲料容器ラベルとしての加工適性を有し、自動販売機での商品詰りを防止できる滑り性を確保できる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供する。
【解決手段】 全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%以上であるポリエステル樹脂からなる層(B)を有し、かつ、一方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)、他方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)に隣接するシリコーン成分含有層を有することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくはラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルム、及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、包装品の、外観向上のための外装、内容物の直接衝撃を避けるための包装、ガラス瓶またはプラスチックボトルの保護と商品の表示を兼ねたラベル包装等を目的として、
熱収縮プラスチックフィルムが広範に使用されている。これらの目的で使用されるプラスチック素材としては、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器などの各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
しかし、ポリ塩化ビニル系フィルムは収縮特性には優れるが、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となるなどの問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器などの収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
【0003】
一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、ポリスチレン系樹脂は、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生するという問題がある。
これらの問題のないポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
【0004】
しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムも、その特性においてさらなる改良が求められていた。自動販売機で販売される飲料において、従来のポリエステル系フィルムをラベルとして用い自動販売機で販売する場合、ラベルの滑性が不足し、自動販売機での詰り、すなわち商品が通路を通過せず出口に到達しなかったり、商品の多重排出といった問題が発生していたため、フィルムの滑性を向上したいというユーザーサイドの要望である。この問題に対し、フィルム表面に滑り性の良好な層を積層するという方法がなされてきた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−196677号公報
【0005】
しかしながら、フィルムへの後加工によるものであり、コスト面で問題がある上、加工工程におけるロールなどと積層表面の擦れにより摩耗屑が発生し、生産性を落とすなどの問題が残されていた。
【0006】
これに対し、フィルム生産ライン上で滑り性良好な薄膜層を積層することが有効と考えられたが、その場合、ポリエステル系フィルムの組成によってはチューブ化加工において接着性が不足するという問題が出る場合が少なくなかった。熱収縮性ポリエステル系フィルムからラベルを製造する場合、溶剤を用いて接着することが多い。この接着のためには、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の溶剤をフィルムの片面に塗布、該塗布面にフィルムの他方の面を圧着した際に接着可能であることが好ましい。この接着強度が不足の場合、ラベルの熱収縮装着時、または飲料ボトル取扱い時にラベル接着部の剥離が発生する恐れがあるのである。
このことから、最外層に滑り性の良好な薄膜層を有し、かつ、溶剤での接着性が良好な熱収縮性ポリエステル系フィルムが求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性が良好であり、かつ、印刷やラベル加工など後工程での加工適性に優れており、飲料用ラベルとして使用した際に、外面となる側の滑性により飲料自動販売機における商品の詰りを防止することができる熱収縮性ポリエステル系フィルムを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決し得た本発明の滑性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムとは、エチレンテレフタレートを主構成成分とし、エチレンテレフタレート単位が70モル%以上、かつ、少なくともフィルムの一方の面同士の動摩擦係数がμd≦0.27、範囲R≦0.05であり、95℃において主収縮方向の温湯収縮率が50%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムである。好適な達成手段としては、例えば全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%以上であるポリエステル樹脂からなる層(B)を有し、かつ、一方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)、他方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)に隣接するシリコーン成分含有層を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
すなわち、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%以上であるポリエステル樹脂混合物(B')および、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂混合物(A')を2台の押し出し機を用いて溶融、共押出しするにより、(A)が外層、(B)が内層となるよう積層し、2種3層とした未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸延伸ポリエステル系フィルムを得、少なくとも片面に、シリコーン成分を含有する塗布液を塗布した後、該塗布フィルムを更に二軸延伸、又は、一軸延伸することにより得られる、ポリエステル系熱収縮性フィルム及びその製造方法であり、透明性、加工適性に優れ、飲料容器のラベルとして用いたとき、自動販売機での詰りを防止できる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルムの外観を良好に維持した上、フィルム同士の摩擦を低く抑える機能を有している。更に蒸気や熱風による加熱収縮処理により飲料容器のラベルとして用いた場合に、容器同士の摩擦を低く抑えることができるため、自動販売機内での商品の詰りを防止することができる。また、ラベルとしての使用する際に溶剤接着性に優れ、実用価値の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、熱収縮性ポリエステル系フィルム表層に易滑層を有する。基層となる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、公知の多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとする単一の共重合ポリエステル、あるいは、2以上のポリエステルの混合物を用いて得られるものであり、10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上である。

熱収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
【0011】
フィルムの熱収縮率が50%未満であると、フィルムの熱収縮率が不足して、フィルムよりラベルを作成し容器に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。より好ましい熱収縮率は52%以上、さらに好ましくは55%以上である。また、熱収縮率が必要以上に高くなりすぎると、容器に被覆収縮させたときに、急激な収縮によりラベルの飛び上がり等の外観不良が発生する。熱収縮率は80%以下が好ましく、より好ましくは78%以下、さらに好ましくは76%以下である。
【0012】
熱収縮性ポリエステル系フィルムについて詳しく説明する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いられる原料組成物中のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。
【0013】
芳香族ジカルボン酸としてはイソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のベンゼンカルボン酸類;2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類;4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等のジカルボキシビフェニル類;1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体;1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体等が挙げられる。
【0014】
脂肪酸カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸、およびこれらの置換体、4,4’−ジカルボキシシクロヘキサンおよびその置換体等が挙げられる。
【0015】
原料組成物に含まれるポリエステルのジオール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールを始めとして、この他に脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールのいずれもが用いられ得る。
【0016】
脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等がある。脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等がある。芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォン等のビスゲノール系化合物のエチレンオキサイド付加物;キシリレングリコール等がある。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールもジオール成分として用いられ得る。
【0017】
上記原料組成物に含有されるポリエステルは、上記酸成分およびジオール成分とからなるものであるが、ポリエステルを調整するには、熱収縮性フィルムとしての特性を改良するために1種以上の酸成分またはジオール成分を組み合わせて用いることが好ましく、組み合わされるモノマー成分の種類および含有量は、所望のフィルム特性、経済性等に基づいて適宜決定する。
原料組成物には、1種もしくはそれ以上のポリエステルが含有される。2種以上のポリエステルを混合する場合には、共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの所望の組成の混合物とする。一般に共重合ポリエステルは融点が低いため、乾燥時の取扱いが難しい等の問題があるので、ホモポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキセンジエチレンテレフタレート)等)と共重合ポリエステルを混合して用いることが好ましい。
好適な実施様態としては、エチレンテレフタレートユニット、及びネオペンチルグリコールとテレフタル酸からなるユニット、1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸からなるユニット、ブチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレンイソフタレートのいずれか1種以上を含有するポリエステルで、より好適な実施様態としては、エチレンテレフタレートユニット、及びネオペンチルグリコールとテレフタル酸からなるユニット又は1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸からなるユニット、及びブチレンテレフタレートユニットまたはプロピレンテレフタレートユニットを含有するポリエステルとすることが挙げられる。
エチレンテレフタレートユニットを含有量を増加させたときのフイルム物性に与える影響としては、フィルムを強靭にし、破れ難くする効果が挙げられる。また、降伏点応力を増加させ、容器等へ装着した際、容器への密着性が得られる。しかし、増加させることにより、1、3―ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の溶剤の塗布、圧着による溶剤接着性を低下させる傾向がある。
【0018】
本発明においては前述の構成成分を使用できるが、フィルム全体に対するエチレンテレフタレートユニット単位が70モル%以上であることが必要である。エチレンテレフタレート単位を70モル%以上とすることにより、前述のフィルムを強靭にして降伏点応力を増加させる効果が得られ、フィルムの加工安定性を高めることができる。エチレンテレフタレート単位は71モル%以上が好ましく、72モル%以上がより好ましい。エチレンテレフタレート単位の上限は特に制限されないが、溶剤接着性や適正な熱収縮率を確保する観点から80モル%以下であることが好ましい。エチレンテレフタレート単位は79モル%以下が好ましく、78モル%以下がより好ましい
【0019】
さらに本発明においてはフィルムの一方の面と他方の面が溶剤接着可能であることが好ましい。溶剤接着性は前述のフィルム組成と後述の層構成、製膜方法、コート層組成、コート方法等により確保できる。なお本発明において溶剤接着可能であるとは、実施例の評価方法において溶剤接着強度が3N/15mm以上であることを意味する。
【0020】
さらに本発明においては、温度30℃、相対湿度85%の環境下で、フィルムを2週間保存後、JIS K7127に準じ、保存後のフィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行なったときの伸度5%以下の試験片数に対する全試験片数(20個)に対する百分率が10%以下であることが好ましい。伸度5%以下の試験片数に対する全試験片数(20個)に対する百分率は5%以下がより好ましく、0%がさらに好ましい。上記特性範囲とすることで、フィルムを長期間保管後も加工時に破断等の不良を発生することのない、加工安定性を得ることができる。前述のフィルム組成と後述の層構成、製膜方法等により上記特性範囲とすることができる。
【0021】
さらに本発明においては、JIS K7127に準じ、フィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行ったときの引張り応力―歪み曲線における降伏点応力値が5.0MPa以上であることが好ましい。降伏点応力値を5.0MPa以上とすることにより、容器等へ装着した際、容器への密着性が得られる。降伏点応力値は5.5MPa以上がより好ましく、6.0MPa以上がさらに好ましい。
【0022】
さらに本発明においては、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層と、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層を有する積層構成であることが好ましい。より好適には、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が40モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層(B)を有し、かつ、一方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が40モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)、他方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)に隣接する後述の易滑層を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
【0023】
前記(B)層におけるエチレンテレフタレート単位はより好ましくは、74モル%以上、さらに好ましくは76モル%以上で、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位としてより好ましくは、50モル%以上、さらに好ましくは55モル%以上である。
【0024】
前記(A)層におけるエチレンテレフタレート単位はより好ましくは、71モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下で、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位としてより好ましくは、38モル%以下、さらに好ましくは36モル%以下である。
【0025】
フィルム上記構成とし、また後述の易滑層を有することによりフィルムを強靭にし、破れ難くし、降伏点応力を増加させ、かつ溶剤接着性を確保することができる。
【0026】
さらに好適には、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%以上であるポリエステル樹脂混合物(B')および、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレートが40重量%未満であるポリエステル樹脂混合物(A')を2台の押し出し機を用いて溶融、共押出しするにより、(A)が外層、(B)が内層となるよう積層し、2種3層とした未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸延伸ポリエステル系フィルムを得、少なくとも片面に、後述の易滑成分を含有する塗布液を塗布した後、該塗布フィルムを更に二軸延伸、又は一軸延伸することにより本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることができる。
【0027】
前記原料組成物中のポリエステルは、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法等を用いてポリエステルが調整される。調整は、回分式および連続式のいずれの方法で行なわれてもよい。
【0028】
原料組成物中には、上記ポリエステルの他に必要に応じて各種の公知の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の滑剤;帯電防止剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤(染料等)が挙げられる。
【0029】
上記原料組成物は、公知の方法(例えば、押し出し法、カレンダー法)によりフィルム状に成形される。フィルムの形状は、例えば平面状またはチューブ状であり、特に限定されない。延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、長間隙延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の公知の方法が採用できる。これらの方法のいずれにおいても、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸、およびこれらの組み合わせで延伸を行なえばよい。
上記2軸延伸では縦横方向の延伸は同時に行なわれてもよく、どちらか一方を先に行ってもよい。延伸倍率は1.0倍から7.0倍の範囲で任意に設定され、所定の一方向の倍率を3.5倍以上とすることが好ましい。
延伸工程においては、フィルムを構成する重合体が有するガラス転移温度(Tg)以上でかつ例えばTg+80℃以下の温度で予熱を行なうことが好ましい。延伸時のヒートセットでは、例えば、延伸を行なった後に、30〜150℃の加熱ゾーンを約1〜30秒通すことが推奨される。また、フィルムの延伸後、ヒートセットを行なう前もしくは行なった後に、所定の度合で延伸を行なってもよい。さらに上記延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフィルムにストレスをかけながら冷却する工程、あるいは、該処理に引き続いて緊張状態を解除した後も冷却工程を付加してもよい。得られるフィルムの厚みは6〜250μmの範囲が好ましい。
【0030】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、易滑層を熱収縮性ポリエステルフィルム表面に積層することにより得ることができる。上記易滑層中にシリコーン成分を含有することが好ましい実施様態である。
【0031】
本発明の熱収縮性フィルムは、上記易滑層同士の動摩擦係数μd≦0.27かつ範囲R≦0.05である。動摩擦係数μdが0.27を超えるもの、あるいは範囲Rが0.05を超えるものは、フィルムを飲料容器のラベルとして用いた際に容器外面のラベル同士の滑性が悪化して、自動販売機内での商品の詰まり等の悪さが発生する。該動摩擦係数および範囲Rは、後述の組成物・コート層厚み・製造方法等を採用することにより達成できる。動摩擦係数μd≦0.24、範囲R≦0.04がより好ましい実施様態である。
【0032】
シリコーン成分とは、オルガノシロキサン類をいい、油、ゴム、樹脂などの性状をもつものがあり、それぞれシリコーン油、シリコーンゴム、シリコーン樹脂と呼ばれる。撥水作用、潤滑作用、離型作用などを有するため、フィルム表層として積層した際、表面の摩擦を低下させるのに有効である。更に、飲料容器ラベルとして使用する際には蒸気や熱風を熱源として利用して収縮、装着することが多く、耐水性の低い易滑層であると蒸気を使用した収縮処理で滑り性が著しく低下してしまうが、シリコーンの撥水性の効果により、蒸気での処理後も良好な滑り性を保つことができる。
なかでも特にシリコーン樹脂が推奨される。シリコーン樹脂とはオルガノポリシロキサンが3次元的な網状構造をもつものをさし、ポリエステル系フィルム表面に易滑層として積層した後ロールとして巻き取った際、接触したフィルム裏面への転写が起こり難い。また、飲料ラベルとして使用する場合、印刷加工が施されるが、その際の印刷性の低下が少ない。更に、有機基としてメチル基を有するものは耐熱性に優れ、ホット飲料容器のラベルとしての使用にも適することから特に推奨される。シリコーン樹脂の中でも、特にポリジメチルシロキサン系の化合物が好ましい。
【0033】
シリコーン成分の含有量としては易滑層固形分中の含有量として10〜80重量%が好ましく、特に好ましくは40〜70%である。含有量が10重量%未満では滑り性の改善効果が小さく、80重量%を超えると、塗布層成分の転写が起こりやすくなる。
【0034】
また、シリコーン成分とその他の滑剤とを併用しても良く、併用する滑剤としてはパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンアクリル系ワックス、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ヒマシ油、ステアリン酸ステアリル、シロキサン、高級アルコール系高分子、ステアリルアルコール、ステアリアン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛 等を添加することが好ましい。中でも、低分子量ポリエチレンワックスの添加は層表面を平滑にすることによるスティック防止効果から滑性の向上が期待できる。
また、シリカ、チタニア、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、スチレンージビニルベンゼン系、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ベンゾグアナミン等の有機粒子、あるいはこれらの表面処理品等を添加することにより更に滑り性を向上させることができるが、表面凹凸の生成などによりフィルムの透明性が低下する傾向にあるため、透明性の要求に応じて添加量を適宜調整することが推奨される。
【0035】
本発明においては溶融押出された未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸延伸ポリエステル系フィルムの少なくとも片面にシリコーンを含む塗布液を塗布した後、該塗布フィルムを更に二軸延伸、又は、一軸延伸することが推奨される。
【0036】
さらに、易滑層成分中にはバインダーの働きをもつ樹脂成分を含むことが推奨される。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。また、本発明におけるバインダーとして使用する樹脂は耐水性が必要であるため、本質的に水不溶性である必要がある。
特に、疎水性共重合ポリエステル樹脂を幹ポリマーとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂を有機溶媒中でラジカル重合性単量体をグラフト重合し、水添加、有機溶媒留去することにより得られるグラフト重合反応物は、密着性、耐水性に優れる上、水分散樹脂の形態であり、作業環境面、塗布性の点からも好ましいことから推奨される。好ましい幹ポリマーのポリエステル樹脂構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、等の脂肪族ジカルボン酸成分等から選択される成分に加えて、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等の重合性不飽和2重結合を有する成分を0.5〜10モル%程度含有することが好ましく、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等から選択される成分を含有することが好ましい。また、グラフト部位は重合性不飽和単量体から構成されるが、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等から選択される成分に加えてスチレン、α―メチルスチレン等のスチレン系化合物を含有することが好ましい。
【0037】
また、易滑層積層の後にフィルムを延伸すると表層を強靭にすることに効果があり、また薄層化が可能である。
【0038】
易滑層の形成方法としては、易滑樹脂を溶融押し出しすることで表層に積層する方法や、フィルム製膜工程中の易滑塗布液の塗布(インラインコート)、フィルム製膜後の易滑塗布液の塗布(オフラインコート)等があるが、コスト面、また、塗布後延伸熱処理されるため塗布層とフィルムの密着性が良好となる、更に層が強靭となる、薄層化が可能になり透明性向上するといった効果が期待されることからインラインコートでの製造が好ましく、例としてリバースロール方式、エアナイフ方式、ファウンテン方式などが挙げられる。
【0039】
インラインコートでの塗布工程については、ポリエステル系原料組成物を溶融押し出し法等によりフィルム状に成形した後、または、フィルム状に成形したものを1軸に延伸後、前述の易滑塗布液をフィルム表面に平滑かつ均一な厚みに塗布することが好ましい。この後、更に、二軸もしくは一軸方向に加熱延伸することにより、塗布層自体もフィルムに追従して延伸されるため、フィルムへの密着性、強靭さの向上効果が得られるため、推奨される。
【0040】
本願発明の実施形態としては、滑剤としてシリコーン樹脂、バインダーとして疎水性共重合ポリエステル系樹脂を使用し、インラインコート法により、熱収縮性ポリエステル系フィルムの表層に易滑層を形成することが特に推奨される。
塗布層は、延伸、乾燥後にフィルム上に存在する量としては0.001〜0.5g/m2が好ましく、より好ましくは0.002〜0.2g/m2である。0.001g/m2以下では、摩擦抵抗が大きくなり、0.5g/m2を超えると、フィルムの透明性の低下が発生し、また、溶剤接着性も悪化させる。
【実施例】
【0041】
次に本発明の内容および効果を実施例によって説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定されるものではない。尚、本明細書中における特性値の測定方法は以下の通りである。
【0042】
(熱収縮率)
延伸したフィルムを10cm×10cmの正方形に、その一辺がフィルム流れ方向と平行になるように切り出し、これを95℃に加熱した水槽に10秒間浸漬した。10秒経過後、直ちに別途用意した25℃の水槽に20秒間浸漬した後、フィルムの主収縮方向の長さを測定し、加熱収縮率を求めた。なお、最も収縮した方向を主収縮方向とした。

収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
【0043】
(摩擦係数)
フィルム面同士の動摩擦係数μd、変動幅RをJIS K−7125に準拠し、23℃・65%RH環境下で測定した。
【0044】
(降伏点応力)
TENSILON/UTM−IIIL(TOYO MEASURING INSTRUMENTS CO.LTD)を用いて、フィルムの主延伸方向(主収縮方向)と直角方向において、雰囲気温度23℃、チャック間を100mmとして、幅15mmのフィルム試験片を引張速度200mm/分で引張り試験を行い、引張応力−ゆがみ曲線を作成した。降伏点応力(単位:MPa)引張応力−ゆがみ曲線の初めの極大店部分を用いた。
【0045】
(耐破れ性)
温度30℃、相対湿度85%の環境下で、フィルムを2週間保存する。JISK 7127に準じ、保存後のフィルムの最大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行う。試験片数は20とした。試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で行った。伸度5%以下で破断した試験片数を数え、全試験片数(20個)に対する百分率を求め、耐破れ性(%)とした。
【0046】
(溶剤接着強度)
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを綿棒で塗布量(5±0.3)g/m2、塗布幅5±1mmで塗布して2枚を張り合わせることでシールを施した。シール部をフィルムの主延伸方向(主収縮方向)に直角方向にそれぞれ15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50」にセットし、90°剥離試験で引張速度200mm/分で測定した。
【0047】
(フィルム1)
(1)ポリエステル系樹脂及び未延伸フィルム
ポリエチレンテレフタレート20重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル70重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(A)と、ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(B)を、それぞれ別の2台の押し出し機に供給、280℃で溶融押し出しし、マルチマニホールドダイ方式により(A)が外層、(B)が内層となるよう、厚み1:2:1の割合で積層、2種3層として押し出しし、チルロールで急冷固化させて未延伸積層フィルムを得た。
【0048】
(2)塗布液の調合
ジメチルシリコーン樹脂(SE4005 日新化学研究所製)の固形分を塗布液中の全固形分中70重量%、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(AGN709 東洋紡績製)の固形分を固形分中20重量%、アセチレングリコール誘導体(サーフィノール485 信越化学工業製)の固形分を固形分10重量%含む、IPA−水溶液を塗布液とした。
【0049】
(3)コートフイルムの製造
(1)で得た未延伸フィルムに(2)で調合した塗布液をファウンテン方式で塗布し、フィルム温度が70℃になるまで加熱した後、テンターで横方向に4.0倍延伸後、80℃で熱固定し、コート量0.01g/m2、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
この延伸フィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
【0050】
(フィルム2)
ポリエステル組成物(A)(B)いずれも、ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したものとした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
【0051】
(フィルム3)
ポリエステル組成物(A)(B)いずれも、ポリエチレンテレフタレート20重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル70重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したものとした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験おこなった結果を表1に示す。
【0052】
(フィルム4)
未延伸冷却フィルムに塗布液を塗布しなかった他はフィルム1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験おこなった結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
フィルム1、3を用い、各サンプルの一方の面に1,3−ジオキソランを塗布して他方の面を圧着する方法で、円方向が主収縮方向になるように、高さ180mm、円周220mmの筒状ラベルを作成した。
上記ラベルをFuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間15秒、第1ゾーン温度70℃、第2ゾーン温度75℃、第3ゾーン温度82℃で、500mlのPETボトル飲料に熱収縮、装着した。フィルム1ではラベルは筒状を保って装着されたが、フィルム3では接着部分が剥がれ、筒状を保てなかった。
【0055】
フィルム1、4よりフィルムラベルを作成し、500mlPETボトル飲料に易滑面が外面となる様に熱収縮・装着した後、自動販売機に投入、排出させたときフィルム1では400個の内、詰りの発生はなく、フィルム7では400個の内、9件の詰りが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルムの外観を良好に維持した上、フィルム同士の摩擦を低く抑える機能を有している。更に加熱収縮処理により飲料容器のラベルとして用いた場合に、容器同士の摩擦を低く抑えることができるため、自動販売機内での商品の詰りを防止することができる。また、ラベル加工などの加工適性に優れ、ラベルとしての使用する際に好適な優れた溶剤接着性を有しており飲料容器ラベル用途に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンテレフタレートを主構成成分とし、エチレンテレフタレート単位が70モル%以上、かつ、少なくともフィルムの一方の面同士の動摩擦係数がμd≦0.27、範囲R≦0.05であり、95℃において主収縮方向の温湯収縮率が50%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項2】
フィルムの一方の面と他方の面が溶剤接着可能であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項3】
温度30℃、相対湿度85%の環境下で、フィルムを2週間保存後、JIS K7127に準じ、保存後のフィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行なったときの伸度5%以下の試験片数に対する全試験片数(20個)に対する百分率が10%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項4】
JIS K7127に準じ、フィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行ったときの引張り応力―歪み曲線における降伏点応力値が5.0MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項5】
全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層を有し、かつ、少なくともフィルムの一方の面同士の動摩擦係数がμd≦0.27、範囲R≦0.05であり、95℃において主収縮方向の温湯収縮率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項6】
全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が40モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層を有することを特徴とする請求項5に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項7】
全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層を有する請求項5又は6に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項8】
全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が40モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層を有することを特徴とする請求項7に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項9】
少なくともフィルム片側最外層中にシリコーン成分を含有し、該シリコーン成分含有層量が0.001〜0.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項10】
全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)が、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層(B)の両外層側に位置することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項11】
一方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層(A)を有し、他方の最外層に、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が40モル%以上であるポリエステル樹脂からなる層(A)に隣接するシリコーン成分含有層を有することを特徴とする請求項1〜10に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを溶剤接着してなる熱収縮性ラベル。
【請求項13】
溶融押出された未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸延伸ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に、シリコーン成分を含有する塗布液を塗布した後、該塗布フィルムを更に二軸延伸、又は、一軸延伸することを特徴とする請求項1〜11に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2006−181897(P2006−181897A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378726(P2004−378726)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】