説明

熱収縮性筒状フィルム

【課題】 簡単に分断できる熱収縮性筒状フィルムを提供することである。
【解決手段】 本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、熱収縮性フィルムを筒状に形成した筒状体2と、前記筒状体2の上縁2aから形成された左右一対の分断補助線3,3と、を有し、前記一対の分断補助線3,3及びその延長線の間の領域に、少なくとも2列の突起部41,42が設けられ、第1列突起部41が、前記領域における前記筒状体2の縁に沿って又はその縁の近傍に配置され、且つ、第2列突起部42が、前記第1列突起部41から縦方向に所定間隔を開けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器などに装着される熱収縮性筒状フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調味料、化粧品、医薬品、食品、飲料、機械部品などが収納された容器などの被着体に熱収縮性筒状フィルムを熱収縮装着することが広く行われている。
例えば、点眼薬容器のキャップ部を封緘・保護するため、前記キャップ部に熱収縮性筒状フィルムが装着されている。このような目的に用いられる熱収縮性筒状フィルムは、一般に、キャップシールと呼ばれている。
また、飲料入りボトル型容器に装飾を付与するため、前記ボトル型容器の胴部に熱収縮性筒状フィルムが装着されている。このような目的に用いられる熱収縮性筒状フィルムは、熱収縮性筒状ラベル、シュリンクフィルムなどとも呼ばれる。
【0003】
キャップシール目的で用いられる熱収縮性筒状フィルムは、容器の使用時に、キャップ部から除去され、一方、装飾目的で用いられる熱収縮性筒状フィルムは、容器の使用後、リサイクルのために容器から除去される。
そして、熱収縮性筒状フィルムを除去する際、熱収縮性筒状フィルムを容易に分断できるようにするため、上縁に摘み片が設けられた熱収縮性筒状フィルムや、縦方向に一対のミシン目線が形成された熱収縮性筒状フィルムが知られている。
摘み片が設けられた熱収縮性筒状フィルムにあっては、その摘み片を指で摘んで引き出すことにより、筒状フィルムを分断できる。
一対のミシン目線が形成された熱収縮性筒状フィルムにあっては、前記一対のミシン目間における上縁部を摘んで引き出すことにより、筒状フィルムを分断できる。
【0004】
しかしながら、熱収縮性筒状フィルムは、熱収縮によって被着体に密着するので、装着後の熱収縮性筒状フィルムは、その摘み片(又はミシン目間の上縁部)を摘みにくいという問題点がある。
【0005】
このような問題点に鑑みて、特許文献1には、筒状フィルムの内面であってその上端近傍に、ある程度の厚みを有する発泡性インキ層が設けられた、熱収縮性ラベルが開示されている。
かかる熱収縮性ラベルは、発泡性インキ層が存在するため、ラベルの端部を指先で引掛けることができると同文献に述べられているが、現実的には、かかる熱収縮性ラベルの端部に指先を引掛けることは非常に困難である。
【0006】
また、特許文献2及び3には、筒状ラベルの上端部に、左右一組の破断用細長孔群(又は細長孔)が形成され、その一組の破断用細長孔群で挟まれた領域に、滑り止め手段が設けられた熱収縮性筒状ラベルが開示されている。
かかる熱収縮性筒状ラベルは、破断用細長孔群で挟まれた領域を指腹で押しずらすことにより、破断用細長孔群が裂け、前記領域が捲れるので、これを摘んで引っ張ることにより、熱収縮性筒状ラベルを分断できると同文献に述べられている。
【0007】
しかしながら、特許文献2及び3の熱収縮性筒状ラベルは、滑り止め手段が設けられているものの、指腹で押しずらしても前記領域が簡単に捲れないという問題点がある。特に、特許文献2及び3の熱収縮性筒状ラベルがキャップシール目的で用いられ、その熱収縮性筒状ラベルがキャップ部の周壁面とキャップ部の上面の周縁部に密着して装着される場合、熱収縮性筒状ラベルの上方部がキャップ部の上面の周縁部に折れ曲がるので、指腹で押しずらしても前記領域が簡単に捲れない。
さらに、前記領域が捲れても、その領域は薄いフィルム片部であるため、子供や高齢者などにあっては、その領域を摘み難いという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−29470号公報
【特許文献2】特開2009−128752号公報
【特許文献3】特開2009−204866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡単に分断できる熱収縮性筒状フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱収縮性筒状フィルムは、熱収縮性フィルムを筒状に形成した筒状体と、前記筒状体の上縁又は下縁の少なくとも何れか一方の縁から形成された左右一対の分断補助線と、を有し、前記一対の分断補助線及びその延長線の間の領域に、少なくとも2列の突起部が設けられ、第1列突起部が、前記領域における前記筒状体の縁に沿って又はその縁の近傍に配置され、且つ、第2列突起部が、前記第1列突起部から縦方向に所定間隔を開けて配置されている。
【0011】
本発明の熱収縮性筒状フィルムは、指先を第1列突起部の上に当て、第1列突起部を押圧しながら指を下方に摺り動かすと(第1列突起部が筒状体の下縁に沿って又はその下縁の近傍に配置されている場合には、指を上方に摺り動かす)、指先に引掛かった第1列突起部が追従し、第1列突起部及びそれが付着しているフィルム部分が反転する。反転した第1列突起部(及びそれが付着しているフィルム部分)は、第2列突起部に当たり、そして、第2列突起部(及びそれが付着しているフィルム部分)は、第1列突起部を巻き込みながら反転する。このように指先を摺り動かすことによって、一対の分断補助線の間の領域におけるフィルム部分が、径大化しながら外側に捲れ上がる。この径大化した捲れ部分を指で摘み、下方に引き出すことにより、筒状体が裂けていき、熱収縮性筒状フィルムを分断できる。
【0012】
本発明の熱収縮性筒状フィルムは、突起部が設けられているので、それに指先が確実に引掛かり、指先を摺り動かす際に、指だけが滑ることを防止できる。
また、第1列突起部は、一対の分断補助線の間の領域における筒状体の縁に沿って又はその縁の近傍に配置されているので、第1列突起部に当てた指先を、少しの力で摺り動かすだけで、突起部を巻き込みながらフィルム部分を反転させることができる。さらに、突起部を巻き込みながら反転することにより、径大化した捲れ部分が生じるので、子供や高齢者でも、この捲れ部分を容易に摘むことができる。
【0013】
本発明の好ましい熱収縮性筒状フィルムは、前記第1列突起部及び第2列突起部のうち、少なくとも1列の突起部が、周方向に延びる1本の長状隆起、又は、周方向に多行に配置された複数の点状隆起の集合からなる。
【0014】
本発明の好ましい熱収縮性筒状フィルムは、前記第1列突起部の突出高さが、0.2mm〜2.0mmである。
【0015】
本発明の好ましい熱収縮性筒状フィルムは、前記一対の分断補助線が、前記筒状体の縁から形成された切込み線、又は、前記筒状体の縁から筒状体の中途部にまで形成されたミシン目線である。
【0016】
本発明の好ましい熱収縮性筒状フィルムは、前記一対の分断補助線の間の領域における前記筒状体の縁が、前記領域以外の筒状体の縁よりも縦方向に突設されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱収縮性筒状フィルムは、被着体に装着後、指で簡単に分断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1つの実施形態の熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図2】同熱収縮性筒状フィルムの背面図。
【図3】同熱収縮性筒状フィルムを筒状に開けた状態の斜視図。
【図4】図3のIV−IV線拡大断面図。
【図5】被着体に熱収縮性筒状フィルムが装着された1つの実施形態に係る包装体の正面図。
【図6】同包装体の右側面図。
【図7】同包装体の熱収縮性筒状フィルムを分断する手順1を表した参考右側面図。
【図8】同分断する手順2を表した参考右側面図。
【図9】被着体に熱収縮性筒状フィルムが装着された他の実施形態に係る包装体の右側面図。
【図10】同包装体の上面図。
【図11】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図12】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図13】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図14】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図15】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図16】他の実施形態に係る熱収縮性筒状フィルムの正面図。
【図17】被着体に図14の熱収縮性筒状フィルムが装着された他の実施形態に係る包装体の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、本明細書において、「横方向」は、熱収縮性フィルムの1つの方向であって、そのフィルムが筒状に形成された筒状体における周方向(すなわち、熱収縮性フィルムの主延伸方向)に相当する。「縦方向」は、前記フィルムの面内で前記横方向と略直交する方向であって、熱収縮性筒状フィルムが装着される被着体を水平面に任意に自立させた状態における当該被着体の軸方向に相当する。「上」は、便宜上、被着体を水平面上に自立させた状態で見て、水平面から離れる側を指し、「下」は、前記水平面に近づく側を指す。
また、本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0020】
[1つの実施形態]
図1は、熱収縮性筒状フィルムであって、その内面が接するように扁平状に畳んだ状態の正面図を示し、図2は、その扁平状に畳んだ状態の熱収縮性筒状フィルムの背面図を示す。
図1乃至図4に於いて、熱収縮性筒状フィルム1は、熱収縮性フィルムを筒状に形成した筒状体2と、筒状体2に形成された分断補助線3,3と、筒状体2の縁の近傍に突設された突起部4と、を有する。
【0021】
筒状体2は、少なくとも横方向に熱収縮可能な熱収縮性フィルムを筒状に形成したものからなる。
熱収縮性筒状フィルム1(筒状体2)は、被着体に装着する前に筒状に形成されていてもよいし、或いは、被着体に巻き付けると同時に筒状に形成されるものでもよい。
被着体に巻き付けると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状フィルム1は、熱収縮性フィルムの第1側端部を被着体の外面に仮貼付し、この熱収縮性フィルムを被着体の周囲に巻付けた後、前記第1側端部の外面にフィルムの第2側端部の内面を接着することにより、筒状に成形される。このような熱収縮性筒状フィルム1は、巻付けラベルなどとも呼ばれる。
【0022】
図示例の熱収縮性筒状フィルム1(筒状体2)は、被着体に装着する前に筒状に形成されたものである。
具体的には、熱収縮性フィルムは、平面視略矩形状に形成されたものが用いられる。この矩形状の熱収縮性フィルムの横方向両側に位置する、フィルムの縦方向に沿う第1側端部21を第2側端部22の上に重ね合わせ且つその重ね合わせた両側端部21,22を接着することにより、筒状体2が構成されている(図3参照)。
従って、熱収縮性フィルムの横方向が筒状体2の周方向となり、この筒状体2は、加熱によって縮径する。
【0023】
熱収縮性フィルムは、所定温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱されると収縮する性質を有するフィルムである。
熱収縮性フィルムは、少なくとも横方向に熱収縮性を有するフィルムであれば、その材質は特に限定されない。少なくとも横方向に熱収縮性を有するフィルムは、代表的には、横方向に主として延伸された合成樹脂製フィルムが挙げられる。合成樹脂製フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリアミド系フィルムなどが挙げられる。好ましくは、合成樹脂製フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は、ポリエチレンテレフタレートを含む若しくはポリエチレンテレフタレートフィルムを有する多層フィルムが用いられる。合成樹脂製フィルムには、熱収縮性を実質的に阻害しない範囲で、光バリア層、断熱層などの機能層が積層されていてもよい。
【0024】
また、前記熱収縮性フィルムは、縦方向に熱収縮しない、又は、縦方向に若干熱収縮若しくは若干熱伸張するものでもよい。
前記熱収縮性フィルムの横方向における熱収縮率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。なお、前記熱収縮性フィルムが縦方向に若干熱収縮若しくは若干熱伸張する場合、その縦方向の熱収縮率は、−3%〜15%である。なお、前記熱収縮率のマイナスの値は、熱伸張を意味する。
前記熱収縮率は、フィルムの横方向(又は縦方向)の長さを測定し、このフィルムを90℃温水中に10秒間浸漬した後にそのフィルムの横方向(又は縦方向)の長さを測定し、熱収縮率(%)=[{浸漬前の横方向(又は縦方向)の長さ−浸漬後の横方向(又は縦方向)の長さ}/浸漬前の横方向(又は縦方向)の長さ]×100に代入して求められる。
【0025】
熱収縮性フィルムは、無色透明若しくは有色透明又は不透明の何れでもよい。必要に応じて、熱収縮性フィルムの内面又は外面に、商品名などのデザイン表示を印刷してもよい。熱収縮性フィルムの内面にデザイン表示を印刷してその表示の傷付きを防止しつつデザイン表示の視認性を確保できることから、無色透明又は有色透明のフィルムを用いることが好ましい。
熱収縮性フィルムの厚みも特に限定されず、通常、20μm〜100μmである。
【0026】
筒状体2の径や縦方向長さは、被着体の大きさに応じて適宜設定される。図示例の熱収縮性筒状フィルム1は、例えば、病院などで使用されている点眼薬容器に装着可能な径及び縦方向長さを有する。
【0027】
前記筒状体2には、左右一対の分断補助線3,3が形成されている。一対の分断補助線3,3は、対向しておらず、比較的近くに形成されている。つまり、筒状体2を上方から見て、左右の分断補助線3,3と筒状体2の中心を結んで成す中心角が180度とならないように、一対の分断補助線3,3は配置されている。
この分断補助線3,3は、筒状体2の上縁2aから筒状体2の面内の縦方向に形成されている。
【0028】
本実施形態においては、左右一対の分断補助線3,3は、筒状体2の上縁2aから筒状体2の面内中途部にまで形成された切込み線31,31からなる。切込み線31は、熱収縮性フィルムを完全に切断する線(熱収縮性フィルムの内外面に貫通する切断線)である。
一対の切込み線31,31は、筒状体2の縁から離れるに従って互いに離反する又は互いに近づくような、斜め方向に延びていてもよいが、図示例では、筒状体2の縦方向と平行に延びている。各切込み線31,31の縦方向長さは、特に限定されず、筒状体2の径や筒状体2の縦方向長さに応じて適宜設定されるが、通常、2mm〜20mmであり、好ましくは、3mm〜10mmである。
【0029】
一対の切込み線31,31の間隔(一対の切込み線31,31間の周方向長さ)は、特に限定されないが、一対の切込み線31,31の間隔が余りに短いと、本発明の分断方法に従って熱収縮性筒状フィルム1を分断できないおそれがある。かかる観点から、前記一対の切込み線31,31の間隔は、3mm以上が好ましく、さらに、5mm以上がより好ましい。
なお、前記一対の切込み線31,31の間隔は、概念上、長短の2種類存在するが、短い方を指す。
【0030】
また、前記一対の切込み線31,31の間隔の好ましい上限は、筒状体2の径に応じて適宜設定できる。径が大きい筒状体2は、曲率が大きいので、一対の切込み線31,31の間隔が比較的長くても、本発明の分断方法に従って熱収縮性筒状フィルム1を分断できる。他方、径が小さい筒状体2は、曲率が小さいので、一対の切込み線31,31の間隔が比較的長いと、本発明の分断方法に従って熱収縮性筒状フィルム1を分断できないおそれがある。このため、前記一対の切込み線31,31の間隔は、筒状体2の周長の1/4倍以下が好ましく、同周長の1/6倍以下がより好ましい。具体的数値を例示すれば、前記一対の切込み線31,31の間隔は、20mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましい。
ただし、一対の切込み線31,31の間隔が縦方向において同じでない場合(一対の切込み線31,31が互いに平行に形成されていない場合)、前記一対の切込み線31,31の間隔とは、最も短い部分の長さを意味する。
【0031】
前記切込み線31,31は、例えば、ロールカッターのような切断刃やレーザー照射などの切断手段を用いて形成できる。
【0032】
さらに、筒状体2の面内には、周方向に延びる横ミシン目線5が形成されている。この横ミシン目線5は、筒状体2の縦方向略中央部において、筒状体2の周囲全体に形成されている。もっとも、横ミシン目線5は、筒状体2の縦方向略中央部に設けられる場合に限定されず、前記略中央部よりも筒状体2の上方寄り又は下方寄りに設けられていてもよい。
【0033】
横ミシン目線5が形成された本実施形態の熱収縮性筒状フィルム1は、通常、容器の胴部とキャップ部との境界部分又はその近傍部分に横ミシン目線5が一致するように、熱収縮装着される。従って、横ミシン目線5の形成位置は、容器の種類や形状に応じて適宜設計される。もっとも、本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、筒状体2に横ミシン目線5が形成されている場合であっても、横ミシン目線5が容器の胴部とキャップ部の境界部分又はその近傍部分に一致するように装着される使用法に限定されない。
【0034】
加えて、筒状体2の面内には、横ミシン目線5に繋がった補助ミシン目線6が形成されている。
本実施形態では、補助ミシン目線6は、右側の切込み線31の下端部から下斜め方向に延びて形成されている。この補助ミシン目線6の第1端は、右側の切込み線31の下端部に連設され、補助ミシン目線6の第2端は、横ミシン目線5に交差状に連設されている。
また、補助ミシン目線6は、弧状に延びていてもよいし、或いは、直線状に延びていてもよい。また、補助ミシン目線6は、斜め方向に限られず、筒状体2の縦方向と平行に延びていてもよい(図示せず)。
【0035】
ここで、本明細書において、ミシン目線(横ミシン目線5などの各種のミシン目線)は、ミシン針の縫い跡の如く、フィルム(筒状体2)の内外面に貫通する貫通孔部が一方向に断続的に形成された線を意味する。かかるミシン目線は、隣接する貫通孔部の間に、非貫通部(貫通処理のなされていない部分)が存在する。1つの貫通孔部の平面視形状は、細長い直線状、針穴状(円形孔又は楕円形孔)などが挙げられる。前記ミシン目線の貫通孔部の長さは、例えば、0.5mm〜5.0mmであり、ミシン目線の非貫通部の長さは、例えば、0.5mm〜2.0mmである。
ミシン目線は、例えば、ミシン刃やレーザー照射などの切断手段を用いて形成できる。
【0036】
一対の分断補助線3,3である、一対の切込み線31,31及びその延長線の間の領域(前記一対の切込み線31,31及びその延長線の間隔と同じ幅の、フィルム部分)には、少なくとも2列の突起部4が突設されている。
突起部4は、筒状体2の外面から突出した部分であり、その外面よりも筒状体2の径外方向に隆起している。
本実施形態では、突起部4は、縦方向に3列設けられており、各列の突起部4は、一対の切込み線31,31の間の領域において縦方向に所定間隔を開けて配置されている。
以下、多列の突起部をそれぞれ区別するために、上側の突起部から順に、第1列、第2列などの接頭語を付す。また、これら多列の突起部に共通する事項を説明するときには、単に突起部と記す。
【0037】
第1列突起部41は、一対の分断補助線3,3の間の領域における筒状体2の上縁2aの近傍に配置されている。
なお、前記第1列突起部41が筒状体2の上縁2aの近傍に配置される場合としては、例えば、第1列突起部41の縁と筒状体2の上縁2aとの縦方向長さ(その縦方向長さが周方向において同じでない場合には、そのうちの最小長さ)が、0を越え3mm以下である。
【0038】
第2列突起部42は、一対の分断補助線3,3の間の領域に設けられ、第1列突起部41から縦方向に所定間隔を開けて第1列突起部41の下方に配置されている。
第3列突起部43は、一対の分断補助線3,3の間の領域に設けられ、第2列突起部42から縦方向に所定間隔を開けて第2列突起部42の下方に配置されている。
なお、第1列突起部41は、一対の分断補助線3,3の間の領域における筒状体2の上縁2aに沿って配置されていてもよい(図示せず)。突起部4が筒状体2の上縁2aに沿っているとは、突起部4の上端が筒状体2の上縁2aに一致していることを意味する。
【0039】
第1列突起部41の突出高さA1は、特に限定されないが、余りに低いと、分断時に指先が引掛からない虞があり、一方、余りに高いと、包装体を搬送中にその突起部が異物に引っ掛かる蓋然性がある。かかる観点から、第1列突起部41の突出高さA1は、0.2mm〜2.0mmが好ましく、さらに、0.5mm〜1.5mmがより好ましい。
【0040】
第2列突起部42の突出高さA2も、特に限定されないが、余りに低いと、分断時に第1列突起部41と協働して、比較的径大化した捲れ部分を形成できない虞があり、一方、余りに高いと、包装体を搬送中にその突起部が異物に引っ掛かる蓋然性がある。かかる観点から、第2列突起部42の突出高さA2は、0.2mm〜2.0mmが好ましく、さらに、0.5mm〜1.5mmがより好ましい。
【0041】
第3列突起部43(4列以上の突起部が設けられる場合には、その4列目以降の突起部も含めた、第1列及び第2列突起部41,42以外の突起部)の突出高さも、特に限定されないが、余りに低いと、分断時に第1列及び第2列突起部41,42と協働して、さらに径大化した捲れ部分を形成できない虞があり、一方、余りに高いと、包装体を搬送中にその突起部が異物に引っ掛かる蓋然性がある。かかる観点から、第3列突起部43などの突出高さは、0.2mm〜2.0mmが好ましく、さらに、0.5mm〜1.5mmがより好ましい。
各突起部の突出高さは、フィルムの外面から突起部の突出頂部までの長さを指す。
【0042】
各列の突起部4の縦方向間隔H12,H23(第1列突起部41と第2列突起部42の縦方向間隔H12及び第2列突起部42と第3列突起部43の縦方向間隔H23)は、略同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。好ましくは、各列の突起部4の間隔H12,H23は、略同じである。
なお、各列の突起部4の縦方向間隔H12,H23は、上側にある突起部4の下端(上下の隆起基部のうちの下側の基部)と下側にある突起部4の上端(上下の隆起基部のうちの上側の基部)との間の縦方向長さを指す。
【0043】
第1列突起部41と第2列突起部42の縦方向間隔H12は、特に限定されない。もっとも、その間隔H12が余りに長いと、後述する本発明の分断方法によって第1列突起部41を反転させたときに、第1列突起部41が第2列突起部42に当たらないおそれがあり、一方、その間隔H12が余りに短いと、実質的に第1列突起部41と第2列突起部42が一体的に繋がってしまい、複数列の突起部4を設けた意義が減殺される。かかる観点から、第1列突起部41と第2列突起部42の縦方向間隔H12は、第1列突起部41の突出高さA1の1/3倍〜1.5倍が好ましく、さらに、前記突出高さA1の1/2倍〜1倍がより好ましい。第1列突起部41と第2列突起部42の縦方向間隔H12が、第1列突起部41の突出高さA1×1/3倍〜第1列突起部41の突出高さA1×1.5倍であれば、後述する本発明の分断方法によって第1列突起部41を反転させたときに、第1列突起部41が第2列突起部42に確実に当接し得る。
【0044】
第2列突起部42と第3列突起部43の縦方向間隔H23も、特に限定されない。もっとも、その間隔H23が余りに長いと、後述する本発明の分断方法によって第1列突起部41を巻き込んで反転した第2列突起部42が、続いて第3列突起部43に当たらないおそれがあり、一方、その間隔H23が余りに短いと、実質的に第2列突起部42と第3列突起部43が一体的に繋がってしまう。かかる観点から、第2列突起部42と第3列突起部43の縦方向間隔H23は、第2列突起部42の突出高さA2の1/3倍〜3倍が好ましく、さらに、前記突出高さA2の1/2倍〜2倍がより好ましい。第1列突起部41を巻き込んだ反転した第2列突起部42を含む部分は、径大化しているので、第2列突起部42と第3列突起部43の縦方向間隔H23は、第1列突起部41と第2列突起部42の縦方向間隔H12よりも長くてもよい。
【0045】
各列の突起部4は、周方向に延びる1本の長状隆起から構成されている。
具体的には、各列の突起部4は、周方向に細長く延び且つ筒状体2の径外方向に隆起した1本の長状隆起からなる。
各列の突起部4の四隅は、図1に示すように、弧状に形成されており、各列の突起部4の突出頂部は、図4に示すように、弧状に形成されている。もっとも、各列の突起部4の四隅は、弧状に限られず、例えば、角張っていてもよい。また、各列の突起部4は、四隅がなく、各列の突起部4の左右は、周方向に向かって次第に幅狭とされていてもよい。
【0046】
各列の突起部4の左右側縁は、一対の切込み線31,31にそれぞれ接していてもよいが、図示例では、各列の突起部4の左右側縁は、一対の切込み線31,31の近傍に配置されている。
各列の突起部4の周方向長さは、略同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。好ましくは、各列の突起部4の周方向長さは、略同じである。
【0047】
各列の突起部4の周方向長さの理論上の最大値は、一対の切込み線31,31の間隔に相当する。各列の突起部4の周方向長さの最小値は、特に限定されないが、第1列突起部41の周方向長さが余りに短いと、これに指が引掛かり難くなる。かかる観点から、第1列突起部41の周方向長さは、5mm以上であることが好ましい。また、第1列突起部41以外の突起部4(本実施形態では第2列突起部42及び第3列突起部43)は、後述する本発明の分断方法によって第1列突起部41を反転させたときに順次当たるように設計されていることが好ましいことから、第2列突起部42及び第3列突起部43の各周方向長さは、第1列突起部41の周方向長さと略同じ又は第1列突起部41のそれよりも長いことが好ましい。
【0048】
突起部4は、指で押しても変形しない程度の比較的硬い部分であることが好ましい。突起部4がスポンジの如く変形し易いと、突起部4に指が引っ掛からないおそれがある。
突起部4は、筒状体2の外面に隆起材料を付着させることにより形成できる。
前記隆起材料は、特に限定されず、公知のものを使用できる。比較的簡便に突起部4を形成できることから、前記隆起材料として、ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。
【0049】
ホットメルト接着剤は、常温で固体であり、加熱溶融によって筒状体2(熱収縮性フィルム)に付着させることができる接着剤である。ホットメルト接着剤は、例えば、公知のホットメルトガン又は溶融押出装置などを用いて、筒状体2の外面にスポット的に付着させることができる。
【0050】
前記ホットメルト接着剤は、特に限定されない。例えば、オレフィン系ポリマー;ウレタン系ポリマー;エステル系ポリマー;シリコーン系ポリマー;エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体などのエチレン系共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのスチレン系ポリマー;エチレン−αオレフィンなどのオレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;などのベースポリマーを主成分として、これらを1種単独で又は2種以上含有するホットメルト接着剤が挙げられる。また、これらホットメルト接着剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。中でも、熱可塑性炭化水素樹脂などのオレフィン系ポリマー及びウレタンプレポリマーなどのウレタン系ポリマーの少なくとも何れか一方をベースポリマーとして含むホットメルト接着剤が好ましい。
【0051】
前記オレフィン系ポリマーのホットメルト接着剤の軟化点は、特に限定されないが、通常70℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃である。また、その粘度は、特に限定されないが、160℃での粘度が、通常100〜4,000mPa・s、好ましくは150〜3,000mPa・sである。
前記ウレタン系ポリマーのホットメルト接着剤の粘度は、特に限定されないが、120℃での粘度が、通常500〜12,000mPa・s、好ましくは700〜10,000mPa・sである。
【0052】
ホットメルト接着剤を付着させる前に、筒状体2(熱収縮性筒状フィルム1)の外面(少なくとも突起部形成予定部分)に付着性向上処理を施しておいてもよい。
前記付着性向上処理は、その処理面に付着させたホットメルト接着剤が筒状体2の外面に直接付着させた場合よりも強く付着できるようなものであれば、特に限定されない。
具体的には、付着性向上処理としては、筒状体2の外面にオーバーコート剤を塗布する処理、筒状体2の外面を粗面化する処理、筒状体2の表面を構成するポリマーに極性基を付与する処理などが挙げられる。これらの処理は、1種単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
これらの中では、ホットメルト接着剤がより強固に付着することから、オーバーコート剤を塗布する処理又は粗面化する処理が好ましく、さらに、溶融したホットメルト接着剤を付着させたときに筒状体2の熱収縮を抑制できることから、オーバーコート剤を塗布する処理がより好ましい。少なくともホットメルト接着剤を付着する部分に対応してオーバーコート剤層を設けることにより、溶融したホットメルト接着剤の熱が筒状体2に伝わることを抑制できる。
オーバーコート剤層の厚みは、特に限定されないが、前記のような熱遮断を十分に奏するために、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。
【0054】
前記オーバーコート剤としては、溶剤と樹脂成分を含む溶剤揮発型塗工剤、所定の条件で硬化する硬化型樹脂を含む硬化型塗工剤などが挙げられる。熱が加わっても比較的変形し難い層を形成できることから、オーバーコート層は、硬化型樹脂を含む硬化型塗工剤で形成されていることが好ましい。
塗工剤の塗工方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、凸版輪転印刷法などの各種印刷法が簡便である。
【0055】
本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、容器などの被着体に装着して使用される。
容器は、特に限定されず、調味料、化粧品、医薬品、食品、飲料、機械部品などの任意の物品が収納された容器が挙げられる。
容器は、例えば、物品を収納可能で且つ物品の取り出し口となる開口部を有する胴部と、前記胴部の開口部を閉塞するキャップ部と、を有する。キャップ部は、胴部の開口部を開閉可能に取り付けられている。
【0056】
熱収縮性筒状フィルム1を、図1及び図2の扁平状から図3の筒状に開き、容器の胴部及びキャップ部の一部を覆うように外嵌した後、所定温度(例えば、70℃〜100℃)で約5〜10秒程度加熱する。加熱によって熱収縮性筒状フィルム1が収縮し、図5及び図6に示すような、容器7の胴部71の外面とキャップ部の周壁面に熱収縮性筒状フィルム1が密着装着された包装体10を得ることができる。
この熱収縮性筒状フィルム1は、容器7の胴部71とキャップ部72を被覆する、装飾目的とキャップシール目的が兼用されたものである。
図示例の包装体10においては、熱収縮性筒状フィルム1の上縁2aが容器7のキャップ部72の周壁面721に位置し、横ミシン目線5が容器7の胴部71とキャップ部72の境界近傍部分に位置している。
【0057】
なお、縦方向長さが短いキャップ部72を有する容器7又は縦方向長さの短い熱収縮性筒状フィルム1を用いた場合には、図9及び図10に示すように、熱収縮性筒状フィルム1の上方部がキャップ部72の上面側に折れ曲がるように、熱収縮性筒状フィルム1を容器7に装着することもできる。
【0058】
この場合に得られる包装体は、熱収縮性筒状フィルム1が、胴部71の外面とキャップ部72の周壁面721及び上面722の周縁部に密着装着されており、さらに、熱収縮性筒状フィルム1の上方部が、キャップ部72の上面722の周縁部に折れ曲がっている。好ましくは、キャップ部72の上面722の周縁部に折れ曲がった熱収縮性筒状フィルム1の折れ曲がり部(上方部)に、第1列突起部41が存在し、且つ、キャップ部72の周壁面721に、第2列突起部42が存在している。つまり、キャップ部72の周壁面721と上面722の境界部分(この境界部分は、周壁面721の上縁、或いは、上面722の縁である)に、第1列突起部41と第2列突起部42の間が対応するように、熱収縮性筒状フィルム1がキャップ部72に装着されている。このように装着することにより、熱収縮装着時に、熱収縮性筒状フィルム1の上方部が、キャップ部72の上面722へ良好に折れ曲がるようになる。
【0059】
また、熱収縮性筒状フィルム1の加熱温度及び加熱時間では、ホットメルト接着剤からなる突起部4は、溶融しない。また、突起部4は熱収縮しないので、熱収縮性筒状フィルム1の加熱時に突起部4そのものは、実質的に変形しない。ただし、突起部4を付着させた部分に対応するフィルム部分や突起部4の左右側のフィルム部分は熱収縮し得るので、このフィルム部分の熱収縮に追従して突起部4は若干歪む場合もある。
【0060】
得られた包装体10の使用時には、消費者が、熱収縮性筒状フィルム1を分断し、これを除去する。
装着された本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、下記のような本発明の分断方法に従って、指先で簡単に分断できる。
【0061】
具体的には、図7に示すように、指先を第1列突起部41の上に当て、第1列突起部41を押圧しながら指をキャップ部72の周壁面721に沿って下方に摺り動かす。すると、指先に引掛かった第1列突起部41が追従し、第1列突起部41がフィルム部分を伴って反転する(図8参照)。第1列突起部41の左右側には、一対の切込み線31,31が形成されているので、第1列突起部41(及びそれが付着しているフィルム部分)は、簡単に反転する。
【0062】
反転した第1列突起部41は、図8に示すように、第2列突起部42の上に当たる。第2列突起部42に当った第1列突起部41(及びそれが付着しているフィルム部分)は、外側にずれ、そして、第2列突起部42(及びそれが付着しているフィルム部分)は、第1列突起部41を巻き込みながら反転する。擦り取るように指を動かすことにより、一対の切込み線31,31の間の領域におけるフィルム部分が、雪だるま式に径大化しながら熱収縮性筒状フィルム1の外側に捲れ上がる。事後、前記径大化した捲れ部分(ロール状に巻き取られた部分)を指で摘み、下方に引き出すことにより、補助ミシン目線6から横ミシン目線5へと筒状体2が裂けていき、横ミシン目線5よりも上方の領域を容器7から除去できる。
【0063】
なお、図9及び図10に示す折れ曲がり部を有する包装体10についても、図5及び図6に示す包装体10と同様にして、指先を第1列突起部41の上に当て擦り動かすことにより、一対の切込み線31,31の間の領域におけるフィルム部分を捲り、径大化した捲れ部分を下方に引き出すことにより、一対の切込み線31,31の間の領域及びその領域の延長帯状部分(一対の切込み線31,31の延長線の間の領域)を分断できる。
【0064】
本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、第1列突起部4が設けられているので、それに指先が確実に引掛かり、指先を摺り動かす際に、指だけが滑ることを防止できる。
本発明の熱収縮性筒状フィルム1によれば、熱収縮性筒状フィルム1の第1列突起部41の外面を指で押圧しながら擦り取るようにすることによって、捲れ部分を径大化でき、この部分を摘んで引き出すことにより、簡単に分断できる。
【0065】
この第1列突起部41は、一対の切込み線31,31の間の領域における筒状体2の縁に沿って又はその縁の近傍に配置されているので、第1列突起部41に当てた指先を少しの力で摺り動かすだけで、フィルム部分を反転させることができる。
さらに、反転した第1列突起部41が第2列突起部42に当たり、第2列突起部42が第1列突起部41を巻き込みながら反転することにより、径大化した捲れ部分が生じるので、子供や高齢者でも、この捲れ部分を容易に摘むことができる。
【0066】
また、第1列突起部41がそれが付着しているフィルム部分を巻き込みながら反転すると、筒状体2の上縁が内側に巻き込まれる。筒状体2の上縁は熱収縮によって硬くなっているが、径大化した捲れ部分においては筒状体2の上縁が内側に巻き込まれているので、この捲れ部分を摘む際に、指先が硬くなった筒状体2の上縁に触れ難い。このため、違和感なく捲れ部分を摘み、熱収縮性筒状フィルム1を分断できる。
【0067】
[他の実施形態]
次に、本発明の熱収縮性筒状フィルムの様々な他の実施形態を説明する。ただし、下記他の実施形態の説明に於いて、主として上記実施形態と異なる構成及び効果について説明し、上記実施形態及び既に説明した他の実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(それを説明したものとして)用語及び符号を援用する。
なお、図11乃至図16及び図18は、何れも熱収縮性筒状フィルムを扁平状に畳んだ状態で表している。
【0068】
上記実施形態において、各列の突起部4は、周方向に延びる1本の長状隆起から構成されているが、図11及び図12に示すように、周方向に多行に配置された複数の点状隆起の集合から構成されていてもよい。すなわち、図11及び図12の熱収縮性筒状フィルム1の第1列突起部41は、周方向に間隔をあけて並んだ(多行に配置された)、複数(図示例の場合、3つ)の点状隆起41a,41b,41cの集合からなり、第2列突起部42は、周方向に間隔をあけて並んだ(多行に配置された)、複数(図示例の場合、3つ)の点状隆起42a,42b,42cの集合からなり、第3列突起部43は、周方向に間隔をあけて並んだ(多行に配置された)、複数(図示例の場合、3つ)の点状隆起43a,43b,43cの集合からなる。各列の突起部4を構成する複数の点状隆起41a,…の間隔(周方向間隔)は、適宜設定できる。また、各点状隆起41a,…の形状は、図11に示すように、やや周方向に長くてもよく、図12に示すように、やや縦方向に長くてもよく、或いは、図示しないが、円形状でもよい。
【0069】
各列の突起部4を構成する各点状隆起41a,…は、縦方向にも並んでいることが好ましい。つまり、第1列の点状隆起41a,41b,41cの縦方向延長線上に、第2列の点状隆起42a,42b,42cが配置され、且つ、第2列の点状隆起42a,42b,42cの縦方向延長線上に、第3列の点状隆起43a,43b,43cが配置されていることが好ましい。
【0070】
かかる他の実施形態の熱収縮性筒状フィルム1も、上記実施形態の熱収縮性筒状フィルム1と同様に、指で反転させた第1列突起部41(及びそのフィルム部分)が第2列突起部42に当たり、本発明の分断方法に従って容易に分断できる。
特に、各列の突起部4を構成する各点状隆起41a,…が縦方向にも並んでいる場合には、反転させた第1列突起部41の各点状隆起41,41b,41cが第2列突起部42の全て点状隆起42a,42b,42cに対応して当たるので好ましい。
【0071】
さらに、各列の突起部4が、長状隆起と点状隆起の集合とが組み合わされて構成されていてもよい(図示せず)。
また、図13に示すように、各列の突起部4が、長状隆起及び点状隆起の集合の何れか一方から構成されていてもよい。図13に示す熱収縮性筒状フィルム1は、第1列突起部41及び第3列突起部43が長状隆起から構成され、第2列突起部42が点状隆起の集合から構成されている。
図13に示す熱収縮性筒状フィルム1は、一対の切込み線31,31が、筒状体2の上縁2aから離れるに従って互いに近づいていくように、弧状(又は傾斜直線状でもよい)に形成されている。
【0072】
上記実施形態において、補助ミシン目線6は、筒状体2に1本だけ設けられているが、1本に限られず、例えば、図11に示すように、補助ミシン目線6,6が2本設けられていてもよいし、特に図示しないが、3本以上設けられていてもよい。
この場合、これら複数の補助ミシン目線6は、互いに略平行に形成されていてもよいし、非平行でもよい。また、複数の補助ミシン目線6は、図11のように、縦方向と略平行に形成されていてもよいし、特に図示しないが、斜め方向に直線状又は弧状に延びて形成されていてもよい。
さらに、2本の補助ミシン目線6,6は、一対の切込み線31,31の下端部から筒状体2の下縁2bにまで形成されていてもよい(図示せず)。
【0073】
上記実施形態において、筒状体2には横ミシン目線5が形成されているが、例えば、図12に示すように、横ミシン目線5が形成されていない熱収縮性筒状フィルム1であってもよい。
【0074】
上記実施形態において、一対の分断補助線3,3として切込み線31,31を例示しているが、一対の分断補助線3,3として、ミシン目線を用いることも可能である。
例えば、図14に示す熱収縮性筒状フィルム1は、筒状体2の上縁2aから下縁2bにまで、一対の分断補助線3,3として一対のミシン目線32,32が形成されている。このミシン目線32,32は、筒状体2の斜め方向に延びていてもよいが、通常、縦方向と略平行に形成される。また、前記一対のミシン目線32,32は、互いに平行でなくてもよいが、通常、互いに略平行に形成される。
【0075】
また、分断補助線3,3としてミシン目線32,32を採用する場合、そのミシン目線32,32は、筒状体2の上縁2aから下縁2bにまで形成されていることが好ましいが、例えば、図15に示すように、一対のミシン目線32,32が、筒状体2の上縁2aから筒状体2の中途部にまで形成されていてもよい。少なくとも筒状体2の中途部まで一対の分断補助線3,3が形成されている熱収縮性筒状フィルム1であれば、本発明の分断方法に従って簡単に分断できる。この場合、中途部は、筒状体2の縦方向中央部を越えている位置であること(ミシン目線が筒状体2の縦方向長さの1/2倍よりも長く形成されていること)が好ましい。
【0076】
分断補助線3,3としてミシン目線が形成されている熱収縮性筒状フィルム1も、上記実施形態と同様に、一対のミシン目線(分断補助線3,3)及びその延長線の間の領域における筒状体2の縁に沿って又はその縁の近傍に、突起部4が設けられる。
【0077】
さらに、分断補助線3,3として、図16に示すように、上記一対の切込み線31,31と縦方向に延びる一対のミシン目線32,32を併用してもよい。
なお、図14の熱収縮性筒状フィルム1は、第1列乃至第5列突起部41,42,43,44,45の5列の突起部4が形成されており、図16においては、第1列乃至第4列突起部41,42,43,44の4列の突起部4が形成されている。
【0078】
分断補助線3,3としてミシン目線32,32が形成されている熱収縮性筒状フィルム1は、図17に示すように、例えば、ボトル型容器8のような被着体に装着される。
特に、筒状体2の上縁2aから下縁2bにまで一対のミシン目線32,32が形成されている熱収縮性筒状フィルム1は、そのミシン目線32,32に沿って熱収縮性筒状フィルム1を上縁2aから下縁2bにまで確実に分断できるので好ましい。
【0079】
上記様々な実施形態において、突起部4を3列乃至5列で形成する場合を例示したが、突起部4は、2列又は6列以上でもよい。
【0080】
また、突起部4が複数列設けられている場合、上記実施形態では、各列の突起部4の全てが、一対の分断補助線3,3の間の領域に設けられているが、これに限定されず、少なくとも第1列突起部41が、一対の分断補助線3,3の間の領域に設けられていればよい。例えば、第1列突起部41が、一対の分断補助線3,3の間の領域に設けられ、且つ、第2列突起部42以降が、その分断補助線3,3の延長線(分断補助線の端部から縦方向に引いた仮想の延長線)の間の領域に設けられていてもよい。
この場合、各列の突起部4の間の縦方向領域に分断補助線3,3の下端部が位置していること(換言すると、切込み線31,31の下端部を結んだ仮想直線上に、突起部4が配置されていないこと)が好ましい。
【0081】
さらに、上記実施形態において、突起部4は、筒状体2の上縁2aの近傍に又は上縁2aに沿って設けられているが、これに限られず、筒状体2の下縁2bの近傍に又は下縁2bに沿って設けられていてもよいし、或いは、筒状体2の上縁2a及び下縁2bの双方の近傍に又は上縁2a及び下縁2bの双方に沿ってそれぞれ設けられていてもよい(図示せず)。
突起部4は、筒状体2の縁(上縁2a又は下縁2bの少なくとも何れか一方の縁)の側に設けられていればよい。なお、突起部4が筒状体2の下縁2b側に設けられる場合には、筒状体2の下縁2b側に、一対の分断補助線3,3が形成される。
【0082】
また、上記実施形態でも説明したように、本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、被着体に装着する前に筒状に形成されているものでもよいし、或いは、被着体に巻き付けると同時に筒状に形成されるものでもよい。
本発明の熱収縮性筒状フィルム1が、被着体に装着すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状フィルム1である場合、被着体に装着して筒状に形成された後、加熱することによって熱収縮し、被着体に密着装着される。
【0083】
また、上記実施形態において、熱収縮性筒状フィルム1を装着する容器として、円筒状のキャップ部を有する容器を例示したが、略半球のキャップ部を有する容器に装着してもよい。
その他、容器の形状は特に限定されず、全体として略円筒状の容器、略四角筒状や略六角筒状などの略多角筒状の容器7などの様々な形状の容器に、本発明の熱収縮性筒状フィルム1を装着してもよい。もちろん、本発明の熱収縮性筒状フィルム1は、容器に装着する場合に限られず、様々な被着体(例えば、包装箱、物品そのもの)に装着可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の熱収縮性筒状フィルムは、容器のキャップ部を封緘するキャップシール、容器にデザインを付与するための包装材などとして利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…熱収縮性筒状フィルム、2…筒状体、3…分断補助線、31…切込み線、32…ミシン目線、4…突起部、41…第1列突起部、42…第2列突起部、43…第3列突起部、41a…点状隆起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムを筒状に形成した筒状体と、前記筒状体の上縁又は下縁の少なくとも何れか一方の縁から形成された左右一対の分断補助線と、を有し、
前記一対の分断補助線及びその延長線の間の領域に、少なくとも2列の突起部が設けられ、
第1列突起部が、前記領域における前記筒状体の縁に沿って又はその縁の近傍に配置され、且つ、第2列突起部が、前記第1列突起部から縦方向に所定間隔を開けて配置されている、熱収縮性筒状フィルム。
【請求項2】
前記第1列突起部及び第2列突起部のうち、少なくとも1列の突起部が、周方向に延びる1本の長状隆起、又は、周方向に多行に配置された複数の点状隆起の集合からなる、請求項1に記載の熱収縮性筒状フィルム。
【請求項3】
前記第1列突起部の突出高さが、0.2mm〜2.0mmである、請求項1または2に記載の熱収縮性筒状フィルム。
【請求項4】
前記一対の分断補助線が、前記筒状体の縁から形成された切込み線、又は、前記筒状体の縁から筒状体の少なくとも中途部にまで形成されたミシン目線である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状フィルム。
【請求項5】
前記一対の分断補助線の間の領域における前記筒状体の縁が、前記領域以外の筒状体の縁よりも縦方向に突設されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−49433(P2013−49433A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186822(P2011−186822)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】