説明

熱可塑性加硫ゴム組成物の調製方法

【課題】新規な熱可塑性加硫ゴムの調製方法の提供。
【解決手段】(a)熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び微粒子状補強材を混合して、前記熱可塑性第1ポリマー及びそこに分散した前記微粒子状補強材とグラフト化した前記弾力性第2ポリマーを含んでなる第1混合物を調製する工程であって、前記微粒子状補強材がカップリング剤及び/又は架橋剤との反応により熱可塑性第1ポリマー及び弾力性第2ポリマーとのカップリングを可能とする充分な表層水分を有する工程と、(b)前記カップリング剤及び/又は前期架橋剤を前記第1混合物と混合し、前記熱可塑性第1ポリマー及び/又は前記微粒子状補強材とグラフト化した弾力性第2ポリマーをカップリングし、及び/又は前記弾力性第2ポリマーを架橋させる工程を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な熱可塑性加硫ゴム組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマー(TPE)は、従来の熱硬化性ゴムの機能特性を呈するが、それらは、繰り返し溶融でき、ゆえに通常の熱可塑性構成物品の処理に適している。大多数のTPEは、二相からなり、1つはゴム材(エラストマー、他のものに不溶性である)であり、もう1つは流動可能な熱可塑性材料。ゴム材は分散相として機能し、熱可塑性物質は連続相である。
【0003】
TPEではゴムを架橋するのに原則として必要ないにもかかわらず、架橋技術を使用することにより、より良好な化学抵抗、機械的性質及び相分離のより良好な管理を得るために有効であると判明した。各領域に相分離させるための架橋反応及び方法に用いるかかるTPE組成物は、熱可塑性加硫ゴム(TPV)と呼ばれている。それらの熱可塑性特性を維持するためには、ゴム相だけが架橋されることが重要である。TPV技術の広範囲で詳細な説明、並びにレビューは、例えば非特許文献1を参照。
【0004】
更にまた、TPVの機械的性能がゴム相の架橋度、あるいはゴム領域の粒径の逆比例によって改善されることが証明されている。そのため、動的架橋法(適合性を有するポリマーの配合物を充分混合し、混合過程の最中に混合物の架橋システムを導入することからなる)を用いて、ポリマーを均質にブレンドし、良好に分散した、光度に架橋したゴム相の調製が行われている。
【0005】
相分離の際に粒子が凝集する傾向があるため、熱力学的及び水力学的は理由から、架橋させながらポリマーの粘性を増加させることが好ましい。更に、架橋の際に転相プロセスが生じする場合、これにより特異的な機械的が付与されるため、繊維状ゴム領域の形成に有利である。しかしながら、TPVの熱可塑性特徴が取り除かれる意味でなく、1つには、ポリマーのより良好な粘着力及び適合性を提供するという意味において、熱可塑性相を生じさせうる架橋機構を選択することが好ましいことが解っている。
【0006】
架橋プロセス及び化学物質の選択は、処理要件(例えば加工温度の反応速度、エラストマーとの適合性、熱可塑性物質を有する副作用、効率(架橋剤の各分子と形成する架橋の数)、望ましくない反応の欠如、毒性及び危険性、色並びに匂いによって決定される。
【0007】
かかるTPVの1つの例は、特許文献1に記載されているEPDM/PPである。それはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)及びポリプロピレン(PP)をインターナルミキサに添加して充分混合し、過酸化物を添加してEPDMを架橋させる技術である。過剰な過酸化物及び/又は極端に高い加工温度及び/又は極端に反応性の高いポリマーは、PP相の分解及び/又は焦げを生じさせる。逆に、不十分な量の過酸化物及び/又はあまりに低い加工温度及び/又は反応性に乏しいEPDMでは架橋が不十分となる。
【0008】
熱可塑性相へのシラングラフトポリマーの使用に関して、特許文献2に開示されている。混合後、材料を成形し、大気中の水分と反応させる。すなわち、水硬化の後、より可塑性の高い材料を得ることが可能となる。しかしながら、得られた水硬化部材は、熱可塑性エラストマーをもはや含まず、再利用できない。この課題を克服するために、特許文献3では、EPR(エチレンプロピレンゴム)又はEPDMと、結晶質のエチレンプロピレン熱可塑性物質と、有機官能性シラン及びフリーラジカル発生剤を混合することを開示している。シランはフリーラジカル発生剤によって樹脂にグラフト重合し、水とシランとの反応によって架橋が生じる。
【0009】
上記の方法の改良は特許文献4において開示されており、そこではEPR又はEPDMが最初にグラフト重合させ、その後で熱可塑性PP、及び水を含有する架橋添加剤と混合させる。同様の方法が特許文献5において開示されている。そこでは、超低密度若しくは超超低密度ポリエチレン(VLDPE又はULDPE)を使用することにより原料経費を軽減し、混合温度を低下させる方法を開示している。また、乾燥化合物としてシラン及び根本的なラジカル発生剤と共にPP成分及びPE成分を同時に添加し、次のステージにおいて水及び縮合触媒を添加することが示唆されている。しかしながら、その沸点より顕著に高い温度で、押出機へ加水するのは困難な方法である。更に、必要とされる水量は少ないため、精巧なメーターで測ることが必要となり、それはその特許の目的に相反することとなる。
【0010】
Yamamotoらの特許文献6では、酸修飾したポリプロピレンとアミノ又はエポキシシランを反応させる技術を開示している。しかしかかる反応の目的はアルコキシ基を使用して充填材と結合させ、非グラフト重合カルボン酸無水物と反応させて低臭の不揮発性生成物を形成させることであり、それ自身の間でアルコキシ官能基を架橋させることではない。これらの組成物の意図は、無機質充填剤との結合であって熱可塑性加硫ゴムを形成することではなく、又は、充填材がない場合には、シランのアミノ又はエポキシ基と、フリーの揮発性のグラフト化していない酸又は無水物とを反応させることである。
【0011】
特許文献7は特に、ポリオレフィンの架橋において、ビニルシラン、アミノシラン及び不飽和カルボン酸無水物のプレブレンドを使用することを教示している。
【0012】
Schombourgらの特許文献8(本願明細書に援用する)には、につき10〜50重量%のゲル含有率で、400%の伸張率を有するシラン加硫熱可塑性エラストマーが開示されている。特許請求されている組成物は、ポリマー又はコポリマーの分散相反応生成物、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤(例えば過酸化物)及びアミノシラン、並びに第2ポリマーの連続相からなる。Schombourgらの方法は多段階式のバッチ工程である。
【0013】
TPVの製造方法の改良に対するニーズが今なお存在する。
【非特許文献1】S.Abdou−Sabet、R.C.Puydak及びC.P.Rader、Rubber Chemistry and Technology、第69巻、pp476−493(1996)
【特許文献1】米国特許第3130535号
【特許文献2】欧州特許第0324434号
【特許文献3】欧州特許第0409542号
【特許文献4】欧州特許第0510559号
【特許文献5】独国特許第4402943号
【特許文献6】米国特許第4146529号
【特許文献7】独国特許第19629429号
【特許文献8】米国特許第6448343号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、熱可塑性加硫ゴムの調製方法の提供に関する。当該方法は、以下の工程を含んでなる。すなわち、
(a)熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び微粒子状補強材を混合して、前記熱可塑性第1ポリマー及びそこに分散した前記微粒子状補強材とグラフト化した前記弾力性第2ポリマーを含んでなる第1混合物を調製する工程であって、前記微粒子状補強材がカップリング剤及び/又は架橋剤との反応により熱可塑性第1ポリマー及び弾力性第2ポリマーとのカップリングを可能とする充分な表層水分を有する工程と、
(b)前記カップリング剤及び/又は前期架橋剤を前記第1混合物と混合し、前記熱可塑性第1ポリマー及び/又は前記微粒子状補強材とグラフト化した弾力性第2ポリマーをカップリングし、及び/又は前記弾力性第2ポリマーを架橋させる工程を含んでなる。
【0015】
上記方法は優れた機械的性質を有する熱可塑性加硫ゴム生成物を効率的に提供し、またそれは、混合物の全体にわたって、予め処理された補強剤よりも良好に分散しているより安価な微粒子状補強材を使用することを特徴とする。上記工程は、連続的又はバッチ操作として効率的に実施できる。更に、ポリマー及びエラストマーの選択は、カップリング剤及び/又は架橋剤の添加の形式により非常に柔軟に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、カルボン酸無水物で修飾された、若しくは過酸化物でグラフト化されたエラストマーであって、シラン(好ましくはアミノシラン)、連続相熱可塑性物質、及び微粒子状補強材(未処理の粘土など)と反応したエラストマーの分散相をベースとするシリル化された熱可塑性加硫ゴム(TPV)組成物に関する。これらの組成物は、後述するように従来技術を凌ぐ範囲の機械的特性を示す。TPVコンポジット構造中の任意の部位に粘土を含有させることができ、例えばエラストマー中に分散、熱可塑性物質相中に分散、部分的に熱可塑性物質及びエラストマー中に分散、及び/又はその2つの高分子相間の隣接部位中に分散させることができる。
【0017】
更に詳しくは、一実施態様では、TPV組成物は以下を含んでなる混合である。(a)結晶質若しくは部分的に結晶質の熱可塑性第1ポリマーと、(b)弾力性第2ポリマー(ゴム相)と、(c)カルボン酸無水物(弾力性成分(b)中のコモノマーとして添加されるか、又はフリーラジカル発生剤(例えば過酸化物)又は弾力性成分(b)上の他の適当な手段とグラフト化している)と、(d)架橋剤及びカップリング剤としてのシラン(好ましくはアミノシラン)と、(e)未処理の微粒子状補強材。あるいは、もう1つの実施態様では、カップリング剤及び/又は架橋剤は、有機ジアミン(例えばヘキサメチレンジアミン)であってもよい。
【0018】
本発明の一実施態様では、当該組成物は組成物総重量に対して、熱可塑性第1ポリマーを約5重量%〜約40重量%、弾力性第2ポリマーを約60重量%〜約95重量%、カルボン酸無水物を約0.01重量%〜約1.0重量%、過酸化物を約0.005重量%〜約0.5重量%、シランを約0.25重量%〜約2.5重量%、並びに未処理の微粒子状補強材を約1重量%〜約60重量%含有する。
【0019】
本発明の他の実施態様では、当該組成物は、組成物総重量に対して、熱可塑性第1ポリマーを約10重量%〜約30重量%、弾力性第2ポリマーを約70重量%〜約90重量%、カルボン酸無水物を約0.05重量%〜約0.5重量%、過酸化物を約0.025重量%〜約0.25重量%、シランを約0.5重量%〜約2.0重量%、並びに未処理の微粒子状補強材を約10重量%〜約50重量%含有する。
【0020】
本発明の更に別の実施態様では、当該組成物は、組成物総重量に対して、熱可塑性第1ポリマーを約15重量%〜約25重量%、弾力性第2ポリマーを約75重量%〜約85重量%、カルボン酸無水物を約0.1重量%〜約0.4重量%、過酸化物を約0.05重量%〜約0.2重量%、シランを約1.0重量%〜約2.0重量%、並びに、未処理の微粒子状補強材を約15重量%〜約40重量%含有する。
【0021】
好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、TPVを調製する従来の方法とは対照的に、単一の操作において実施される。グラフティング、架橋及びカップリングは、カップリング装置において連続的に実施される。しかしながら、当該方法は、必要に応じて合成システム(例えばバンブリー又はクルップミキサー)によるバッチでの使用にも適している。
【0022】
未処理若しくは部分的に処理された分散粒子の使用は、本発明の重要な特徴である。例えば、1つの又は複数の供給ポートを有するバレルタイプミキサー−押出機(例えば1つのスクリュー、2つのスクリュー、同方向回転、逆方向回転、噛合、非噛合、円筒状若しくは円錐状)を使用することにより、エラストマー、熱可塑性、カルボン酸無水物及び未処理の微粒子を、ミキサーの第1の供給ポートに、又は幾つかの供給ポートに一定の比率で投入してもよい。これらの成分がユニット中を移動し、十分に混合された後、シラン(又は他のタイプのカップリング剤又は架橋剤)を下流にて添加し、次いで組成物に混合する。すなわち、微粒子及びシラン間のカップリング反応が開始されるとき、未処理の微粒子は熱可塑性マトリックス重合体及びエラストマーの全体にわたって既に分散されている。個々の粒子が熱可塑性マトリックス重合体及びエラストマーと結合してその2つのリンカーとして機能するため、優れた機械的性質が付与される。本発明の他の実施態様には、分散粒子の、第1及び第2のポリマーのいずれか又は両方との結合も含まれる。シランはグラフト化樹脂の硬化をもたらし、得られる生成物の機械的性質及び化学抵抗性を改良する。
【0023】
マトリックス重合体において、適切な熱可塑性高分子(a)としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリエステル類(PET、PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)又はポリフェニレンオキシド(PPO)が挙げられる。
【0024】
かかるポリマーは、公知技術のいかなる方法によっても調製でき、例えばバルク相、凝集相、スラリー相、気相、溶媒相、界面重合(ラジカル、イオン、金属(例えばメタロセン、チーグラーナッタ)による反応開始)、重縮合、重付加又はこれらの方法の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
同じポリマーを二相で同一のものとしてもよく、そこでは酸無水物を過酸化物又は他のグラフティング方法と共に一部のポリマーに前添加され、その予め反応したポリマーがTPV内でゴム相として機能する。ゴム相は通常、樹脂及び加工条件の選択に応じて、TPVの分散相であるか、又は共連続相であってもよい。かかる前添加により、ポリマーのコモノマーとして酸無水物を存在させるか、又は酸無水物をポリマーと前反応させることが可能となりうる。これらの2つのケースのいずれの場合も、酸無水物はポリマー中に既に存在するため、別々に添加する必要はない。このプロセスは、単一の連続ミキサー、タンデムに連結した幾つかのミキサー、バッチミキサー、又は通常エラストマーと熱可塑性高分子との処理に使用する他のいかなる適切なミキサーにおいて実施できる。
【0026】
ゴム相又は分散若しくは共連続相において、適切なポリオレフィンゴム相成分(b)は、(過酸化物グラフティング又は他の適当な手段によって)反応してカルボン酸無水物含有ポリマー(以下に例示)を産生できるいかなるものでもよい。当該カルボン酸無水物含有ポリマーの例としては、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、ブチルゴム(BR)、天然ゴム(NR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、シリコーンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレンブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンメタクリル酸エステル(EMA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えばEXACT及びENGAGE、LLDPE(線形低密度ポリエチレン)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ニトリルゴム(NBR)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(例えばポリジエン中間ブロックを有するポリスチレン端部ブロック、通常はポリブタジエン又はポリイソプレン中間ブロックのいずれか)並びにそれらのグラフト化、反応又は官能化された変異物が挙げられる。ポリプロピレンは架橋の間分解する傾向を有するためこの相として適切でない。しかしながら、ポリプロピレンが酸無水物とポリプロピレンとのコポリマー又はグラフトマーである場合には使用可能である。好ましくは、上記ポリマーは少なくとも50%のエチレン(モノマー)含有率、より好ましくは少なくとも70%のエチレンモノマー含有率のエチレンポリマー又はコポリマーである。
【0027】
第3の変形例では、ゴム相及び熱可塑性相のポリマーが同じポリマーであってもよいが、酸無水物はポリマー全体に添加される。かかる場合、シラン添加の際にポリマーの一部がゴム相を形成し、一方他の部分は反応しない(無水物及びシランの量が比較的少ない場合)。ゴム相と熱可塑性相間の相分離の適当な度合いが、当該工程の間に形成されることが重要である。このプロセスは、単一の連続ミキサー、幾つかのミキサー(タンデム)、バッチミキサー又は通常エラストマーと熱可塑性高分子の処理に使用する他のいかなる適切なミキサーにおいても実施できる。
【0028】
2つの異なるポリマーの場合、酸無水物との反応性が高いポリマーは、酸無水物によってグラフト化し、TPVのゴム相として機能する。しかしながら、必要に応じて、当該工程を柔軟に変更し、工程中への添加物の選択的な添加によって微調整してもよい。
【0029】
ゴム相(又は分散若しくは共連続相)として形成されるポリマーは処理可能でなければならず、また酸無水物とのグラフティングが可能である必要があるか、又はその製造の間に酸無水物によって修飾される必要がある。
【0030】
熱可塑性相の融点は、アミノシランの分解温度、並びに酸無水物(酸無水物がポリマーのコモノマーでない場合)の分解温度未満でなければならない。
【0031】
ポリマーは、単ピーク性、二ピーク性又は多モード性の分子量分布を有してもよい。ポリマーの溶融流動は、熱可塑性物質及びゴムの形成において公知のものであってもよい。
【0032】
ゴム相となるポリマーとグラフト化又は反応できるカルボン酸無水物を、いかなる機構においても使用できる。このグラフティングを達成するために、ポリマー中、より好ましくは酸無水物において不飽和の部分を存在させることが好ましい。カルボン酸無水物の不飽和は、それによりポリマーとの反応が可能である限りにおいて、環構造の内部又は外部に存在してもよい。酸無水物はハライドを含有してもよい。異なるカルボン酸無水物の混合物を用いてもよい。本発明の使用に適する典型的な不飽和カルボン酸の無水物を以下に列挙するが、それらに限定されない:イソブテニルコハク酸無水物、(+/−)−2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、エンド−ビシクロ[2.2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、臭化マレイン酸無水物、及びジクロロマレイン酸無水物。
【0033】
これらの酸無水物は、ゴム相中でポリマーのコモノマーとして存在してもよく、又はゴム相となるポリマーにグラフト重合してもよい。
【0034】
酸無水物は、存在するポリマーの総量に対して約0.01重量%〜約1.0重量%の量で使用できる。フリーラジカル発生剤(好ましくは過酸化物)は、通常カルボン酸無水物の重量%の約半分で含有されるが、必要に応じて他のパーセンテージでしてもよい。
【0035】
カップリング剤及び/又は架橋剤は、例えばシラン又は有機ジアミン(例えばヘキサメチレンジアミン)であってもよい。一実施態様では、本発明に使用するシランは、好ましくは、少なくとも1つの加水分解基(例えば、アルコキシ、アセトキシ又はハロ、好ましくはアルコキシル基)を有するアミノシランである。一実施態様では、架橋縮合反応を受けうるかかる加水分解基を少なくとも2つ存在し、それにより得られる合成物がかかる架橋を受けることができる。異なるアミノシランの混合物を用いてもよい。別の実施態様では、シランは、ビニルシラン、ビニルアミノシラン又はその混合物であってもよい。
【0036】
アミンは、酸無水物との充分な反応速度を有しなければならない。通常、第三級アミンは酸無水物と適切に反応せず、使用しないのが好ましい。アミノ基は、分岐基によってケイ素原子と架橋し、得られる組成物の黄変を減少させうる。
【0037】
シランは、式YNHBSi(OR)(X)3−aで表すことができる。式中、a=1〜3、好ましくは3であり、Yは水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、アルカリル、アルキルシリル、アルキルアミン、C(=O)OR又はC(=O)NRであり、Rはアシル、アルキル、アリール又はアルカリル基であり、XはR又はハロ基であってもよい。Bは二価の架橋基(好ましくはアルキレン基)であり、分岐状(例えばネオヘキシレン)又は環状であってもよい。Bはヘテロ原子橋(例えばエーテル結合)を含んでもよい。好ましくは、Bはプロピレン基である。好ましくは、Rはメチル又はエチル基である。メトキシ基含有シラン誘導体は、エトキシ基より良好な架橋性能を確実に付与できる。好ましくは、Yは、アミノアルキル、水素又はアルキル基である。より好ましくは、Yは水素又は第一級アミノアルキル基(例えばアミノエチル基)である。好ましくは、XはCl又はメチル基(より好ましくはメチル基)である。典型的なシランは、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(ゼネラルエレクトリック社から入手可能なSILQUEST(登録商標)A−1110)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1100)、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1120)、HNCHCHNHCHCHNH(CHSi(OCH(SILQUEST(登録商標)A−1130)、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−2120)である。他の適切なアミノシランを以下に列挙する。3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシランン、(アミノエチルアミノメチル)−フェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロフェニルトリメトキシシラン、ビス[(3−トリメトキシシリル)−プロピル]エチレンジアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(SILQUEST(登録商標)A−1170)、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)Y−9669)。
【0038】
アミノシランが潜在的なアミノシラン(すなわちウレイドシラン又はカルバメートシラン)である場合、ブレンド温度は、それぞれのブロック基がアミンから外れ、150〜230ECでアミンを酸無水物官能と反応させるのに充分でなければならない。かかる潜在的なアミノシランの例は、tert−ブチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸エステル、ウレイドプロピルトリエトキシシラン及びウレイドプロピルトリメトキシシランである。使用できる他のカルバメートシランは、米国特許第5220047号において開示され、その開示内容は本願明細書に援用される。好ましくは、デブロッキングの付加的な複雑さを回避するために、アミノシランはかかる潜在的なアミノシランでない。
【0039】
アミノシランは、両方のポリマーの重量に対して250〜25,000ppmで存在する必要がある。酸無水物に対するモル当量比率は、約0.1〜10、より好ましくは約0.9〜1.1、最も好ましくは約1:1の比率である。
【0040】
多孔性微粒子の担体又は高表面積担体上にシランを結合させてもよい。当該担体は、例えば多孔性ポリオレフィン又は他のポリマー(シリカ、酸化チタン(IV)、カーボンブラック又は珪藻土)であってもよく、それにより混合工程の間、ポリマーへの添加が容易になる。シランを、適合性を有するワックスと混合し、連続法におけるペレット又は微粒子の自由な流れ、及び/又はバッチ工程における固体成分の簡便な添加を可能にしてもよい。適合性を有するプロセスオイルをシランと混合させてもよい。これは、すでに油を含む製剤において特に有用であり、及び/又は油を加工助剤、可塑剤、低吸油量製剤及び/又は柔軟剤として使用することにより便益を得ることが可能となる。典型的な材料としては、ACCURELポリオレフィン(Akzo Nobel社製)、STAMYPORポリオレフィン(DSM社製)及びVALTECポリオレフィン(Montell社製)、SPHERILENEポリオレフィン(Montell社製)、AEROSILシリカ(デグッサ社製)、MICRO−CEL E(マンヴィル社製)及びENSACO 350Gカーボンブラック(MMM Carbon社製)が挙げられる。ホワイトオイル(すなわちパラフィンオイル、パラフィンワックス)は、シランの有用な担体であるが、シラン及びコンポジット製剤と適合性を有する他のいかなる油又はワックスも使用できる。
【0041】
補強材は未処理であるべきであり、すなわち補強剤の粒子上の天然の表層水分を実質的に除去するいかなる方法でも処理されてはならない。あるいは、最小限処理(本願明細書に記載の目的と適合する程度の処理)された補強剤を使用してもよく、それにより、本願明細書に記載の工程中の連続添加及び反応において便益をえることができる。従来の周知の方法で使用する微粒子は、通常シランによって前処理されるか、又は焼成されるか、又はかかる粒子上から表層水分を除去する様々な典型的方法で前処理される。未処理の(又は部分的に処理された)粒子は、ブレンディング工程の間のシランとの反応による、マトリックス及び弾性重合体との結合を容易にするのに充分な表層水分を有する。更に、未処理の微粒子状補強材の使用は、添加された処理の必要を除去し、より低コストな材料の使用を提供する。本発明の使用に適している分散粒子を以下に列挙するが、それらに限定されない:未処理の粘土(アルミノケイ酸塩)、タルク、Mg(OH)、炭酸カルシウム、ガラス、アルミニウム、銅、金属鉄及び合金、ニッケル、亜鉛、鉛、雲母、無機酸化物(例えばMgO、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア)などのうちの1つ以上。
【0042】
組成物は様々な任意の添加物を含有してもよい。カルボン酸無水物をフリーラジカル機構によってポリマーとグラフト化させる場合、フリーラジカル発生剤が必要となるが、酸無水物が他の機構を介してグラフト化するか、又はポリマーのコモノマーである場合、必要ではない。適切なフリーラジカル触媒は、水可溶性又は油溶解性の過酸化物から選択でき、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、有機ペルオキソ基を含む様々な触媒(例えばジアルキル過酸化物、例えばジイソプロピル過酸化物、ジラウリル過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、アルキル過酸化水素(例えばt−ブチル過酸化水素、t−アミル過酸化水素、クミル過酸化水素、ジアシルペルオキシド(例えば過酸化アセチル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド)、エチル過酸化ベンゾアートなどのペルオキシエステル及びアゾ化合物(例えば2−アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられる。
【0043】
フリーラジカル発生剤は、酸無水物のモル量に対して1/100〜1/1で存在してもよい。
【0044】
標準的な添加物(例えば安定化剤(UV、光又はエージング)、抗酸化剤、金属活性低下剤、加工助剤、ワックス、充填材及び着色剤)をTPVに添加してもよい。更に、発泡剤をポリマーに添加してもよく、それらを押出した際にポリマーがフォームを形成する。かかる発泡剤の例は、揮発性炭化水素、ヒドロフルオロカーボン類及びクロロフルオロカーボン類である。アゾカルボンアミド又は重炭酸ナトリウムなどの周知の発泡剤は高い温度で分解してガス状の生成物を産生する。これらはすべて化学発泡プロセスである。ポリマーメルトへ液体又はガス状の起泡剤を注入することによってフォームを生じさせてもよい。例えばブタン、CO、窒素、水、ヘリウムなどである。かかる発泡剤の量は、ポリマーに対して約0.1〜約5.0重量%でなければならない。
【0045】
本発明の処理は、連続工程で、単一ステップの操作で実施できる。あるいは、当該処理をバッチ工程で実施してもよい。本願明細書に記載されている目的に適するいかなるミキサーを使用してもよい。好ましいミキサーは、バレルに対して下流の位置にあるミキサーと、注入ポートの筒に対して上流の位置にある少なくとも1つの供給ポートを有するスクリュータイプミキサーである。付加的な供給ポートを有するミキサーを使用することにより、バレルに沿って数地点で成分を有効に導入することができ、工程の最適化につながる。ミキサーは、押出機(1つのスクリュー、一対のスクリューなど)、BUSS KO−KNEADERミキサー又は単純な内蔵タイプミキサーであってもよい。混合条件はポリマー及び架橋度に依存する。
【0046】
上記のような熱可塑性マトリックス重合体、エラストマー、酸無水物、未処理の微粒子状補強材及び任意の他の成分は、上流位置でミキサーに入れられるか又は幾つかのポートに分けて部分的に添加してもよいが、シランがその過程の後半で添加されることが必要である。連続ミキサーにおける混合、カップリング及びグラフティングはミキサーの上流の第1部分で起こる。シラン又は他の結合又は架橋剤は下流の注入ポートから添加される。補強剤粒子と、熱可塑性及びエラストマーポリマーの両方との結合、並びにエラストマーの架橋は、下流の第2の供給ポートとミキサーの放出口との間の、ミキサーの下流の第2部分で起こる。場合によっては、合成する材料が加工された後で硬化はしばらくの間続く。
【0047】
得られる生成物は、微粒子状補強材の優れた分散、及びマトリックス−微粒子−エラストマーによるカップリングを有するため、優れた機械的性質を有する熱可塑性加硫ゴムである
【0048】
以下の実施例は、本発明を例示する。比較例は、比較のみを目的として提供されるものであり、本発明を例示するものではない。
【実施例】
【0049】
以下の材料を、実施例及び比較例において用いた。
・Royalene(登録商標)694:EPDMゴム。エチレン、プロピレン及び非共役ジエンのターポリマーで、75phrの伸長度を有し、透明、非着色パラフィン系オイル。
・Uniroyal Chemical社製。Royalene(登録商標)4697:EPDMゴム。エチレン、プロピレン及び非共役ジエンのターポリマーで、100phrの伸長度を有し、白色、水素処理されたパラフィン系オイル。Uniroyal Chemical社製。
・Profax(商標)6523:一般用プロピレンホモポリマー。Basell Service社製。
・Engelhard(登録商標)クレイ:Translink(登録商標)商標で市販されている、か焼及び表層処理されたアルミノケイ酸塩、Engelhard社製。
・バージェス(登録商標)クレイ:未処理のアルミノケイ酸塩。
・Naugard(登録商標)10:ゴム用の抗酸化剤。
・Silcross(登録商標)11:Silquest(登録商標)A−1100アミノシランとホワイトオイルの混合物、ゼネラルエレクトリック社製。
【0050】
単一の回転スクリュー、BUSS社製の往復ニーダーを、2つの注入ポートに設置した。シラン以外のすべての成分を、上流の注入ポートからミキサーに供給した。シランを下流の注入ポートから供給した。得られる生成物を、標準化された試験方法に従い、機械的特性に関して試験した。比重をASTM D792に従って測定し、引張強さ及び伸長度をASTM D638に従って測定し、破壊計数をASTM D790に従って測定した。結果を以下の表1に示す。例A、B及びCは比較例であって、本発明を例示しない。例Aは補強剤を使用しない。例B及びCは粘土を使用する。例1、2及び3は本発明を例示する。
【0051】
表1:組成物(重量%)
【表1】

【0052】
上記の結果から明らかなように、本発明のうちの実施例1,2及び3は、比較例A、B又はCのいずれよりも高い引張強さ(それぞれ1207、1141及び1271)を有していた。破壊係数及び硬度は、実施例1、2及び3では比較実施例Aより高かった。
【0053】
以上で多くの詳細な説明を行ったが、それらは単に好ましい実施態様を例示するのみであり、本発明がこれらの詳細にのみ限定されるものと解釈されるべきではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義される発明の範囲及び技術的思想の範囲内で他の実施態様を想起するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性加硫ゴムの調製方法であって、
(a)熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤及び微粒子状補強材を混合して、前記熱可塑性第1ポリマー及びそこに分散した前記微粒子状補強材とグラフト化した前記弾力性第2ポリマーを含んでなる第1混合物を調製する工程であって、前記微粒子状補強材がカップリング剤及び/又は架橋剤との反応により熱可塑性第1ポリマー及び弾力性第2ポリマーとのカップリングを可能とする充分な表層水分を有する工程と、
(b)前記カップリング剤及び/又は前期架橋剤を前記第1混合物と混合し、前記熱可塑性第1ポリマー及び/又は前記微粒子状補強材とグラフト化した弾力性第2ポリマーをカップリングし、及び/又は前記弾力性第2ポリマーを架橋させる工程を含んでなる方法。
【請求項2】
前記熱可塑性第1ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及びそれらの混合物によるホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記弾力性第2ポリマーが、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンジエンターポリマー、ブチルゴム、天然ゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル、エチレンブチルアクリレート、メタクリル酸エチレン、エチレンエチルアクリレート、エチレン−α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、並びにそのグラフト化、反応又は官能化された変異物からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸無水物が、イソブテニルコハク酸無水物、(+/−)−2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、エンド−ビシクロ[2.2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、臭化マレイン酸無水物、及びジクロロマレイン酸無水物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング剤が式YNHBSi(OR)(X)3−aで表されるシランであり、式中、a=1〜3であり、Yが水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、アルカリル、アルキルシリル、アルキルアミン、C(=O)OR又はC(=O)NRであり、Rがアシル、アルキル、アリール又はアルカリル基であり、XがR又はハロゲンであり、Rがメチル又はエチル基であり、Bが二価の直鎖状、分岐状若しくは環状炭化水素架橋基であるか、又はBがヘテロ原子橋を含んでもよい、請求項1記載の方法。
【請求項6】
Rがメチル基であり、Yがアミノアルキル、水素又はアルキル基であり、XがCl又はメチル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング剤が、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3、3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、HNCHCHNHCHCHNH(CHSi(OCH、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)−フェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロフェニルトリメトキシシラン、ビス[(3−トリメトキシシリル)−プロピル]エチレンジアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(SILQUEST(登録商標)A−1170)、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、tert−ブチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバミン酸エステル、ウレイドプロピルトリエトキシシラン及びウレイドプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるシランである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記シランが、多孔性微粒子の担体又は高表面積担体上に結合されるか、又はポリマーと前処理される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記多孔性微粒子の担体又は前記高表面積担体が、シリカ、酸化チタン(IV)、カーボンブラック、珪藻土及びポリオレフィンから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記シランがプロセスオイル又はワックス担体と結合される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
未処理の微粒子状補強材が、未処理の粘土、タルク、マグネシウム(OH)、炭酸カルシウム、ガラス、アルミニウム、銅、鉄合金、合金、ニッケル、亜鉛、鉛、雲母、MgO、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア又はそれらの組み合わせを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
UV安定剤、抗酸化剤、金属活性低下剤、加工助剤、ワックス、充填材、着色剤及び発泡剤からなる群から選択される1つ以上の成分を混合することを更に含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記フリーラジカル発生剤が、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ジイソプロピル過酸化物、ジラウリル過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル過酸化水素、t−アミル過酸化水素、クミル過酸化水素、過酸化アセチル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド)、エチル過酸化ベンゾアート及び2−アゾビス(イソブチロニトリル)からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ブレンディング工程(a)が第1混合領域において実施され、微粒子状補強材を含んでなる前記第1混合物が第2混合領域に供給され、混合工程(b)が実施され、それらが連続的に実施される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法によって得られる熱可塑性加硫ゴム。
【請求項16】
熱可塑性加硫ゴムを調製するためのブレンディング用の組成物であって、混合された熱可塑性第1ポリマー、弾力性第2ポリマー、カルボン酸無水物、フリーラジカル発生剤、並びにカップリング剤と接触したときに熱可塑性第1ポリマー及び/又は弾力性第2ポリマーとのカップリングのために充分な表層水分を有する微粒子状補強材を含んでなる組成物。
【請求項17】
前記熱可塑性第1ポリマーがポリプロピレンであり、前記弾力性第2ポリマーがEPDMゴム又はSEBSゴムである、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記補強材が未処理の粘土である、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
有機ジアミン及びアミノシランからなる群から選択されるカップリング剤を更に含有することを特徴とする、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
前記カルボン酸無水物が、イソブテニルコハク酸無水物、(+/−)−2−オクテン−1−イルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、エンド−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、臭化マレイン酸無水物、及びジクロロマレイン酸無水物からなる群から選択され、前記フリーラジカル発生剤が過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ジイソプロピル過酸化物、ジラウリル過酸化物、ジ−t−ブチル過酸化物、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル過酸化水素、t−アミル過酸化水素、クミル過酸化水素、過酸化アセチル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド)、エチル過酸化ベンゾアート及び2−アゾビス(イソブチロニトリル)からなる群から選択される、請求項16記載の組成物。

【公表番号】特表2008−537971(P2008−537971A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506501(P2008−506501)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/012175
【国際公開番号】WO2006/113110
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507267193)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (23)
【Fターム(参考)】