説明

熱可塑性加硫物の微孔質発泡体

本明細書において説明される発明は微孔質TPE発泡成分を含む発泡異形材、及びこれらから製造された製品に関する。前記TPEは熱可塑性加硫物である。前記発泡熱可塑性エラストマー性異形材は発泡可能な熱可塑性エラストマー組成物を含み、該組成物はb)120℃より高いTmを有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂の存在下でa)架橋可能な炭化水素ゴムを有する発泡可能な熱可塑性エラストマー組成物を含む。前記組成物は更に、a)架橋剤と前記架橋可能な炭化水素ゴムを部分的又は完全に加硫させた反応生成物を25乃至30重量%(前記反応生成物は分散相として存在する);b)連続相としての熱可塑性樹脂を7乃至12重量%;c)1)3乃至7重量%のプロピレンと他の1又は2つのエチレン及びC4乃至C10αオレフィンとのコポリマー(前記コポリマーは20℃より高く120℃未満のTmを有する)及び2)5乃至15重量%のスチレン及びイソプレン由来の水素化されたトリブロックスチレンコポリマーを含むエラストマー性熱可塑性改質剤を8乃至22重量%、並びに任意でd)固形充填剤を3乃至12重量%、及び/又はe)非芳香族炭化水素オイルを35乃至45重量%含む。ここにおいて、前記重量%は組成物の総重量を基準にしており、前記組成物は前記組成物の動的加硫を含む工程により調製される。前記発泡された熱可塑性エラストマープロファイルは滑らかな表面、改善された低い水吸収性、改善された圧縮歪み、及び改善された圧縮付加撓みを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性エラストマー(TPE)物質から製造された一般的な発泡体に関する。より具体的には、本発明は前記TPEが熱可塑性加硫物であることを特徴とする、微孔質TPE発泡組成物、及びこれらより製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
動的加硫された熱可塑性エラストマー(熱可塑性加硫物)は熱可塑性及び弾性性質を有している。そのような熱可塑性加硫物は熱可塑性ポリマー、加硫可能なゴム、及び硬化剤を混合及びせん断することにより調製される。前記加硫可能なゴムは硬化され、熱可塑性ポリマーの連続相内に親和性のよい(intimately)均一に分散された粒子相として存在する。エラストマー相の加硫に関する初期の研究はUS3,037,954に記載されている。該文献は静的加硫だけでなく、加硫可能なエラストマーが樹脂性の熱可塑性ポリマー中に分散されこれらのブレンドを連続的に混合及びせん断して該エラストマーを硬化(架橋)することを特徴とする動的加硫を開示している。US4,130,535は動的加硫により調製された、熱可塑性オレフィン樹脂及びオレフィンポリマーゴムを含む熱可塑性エラストマー組成物を開示している。前記ゴム成分は従来のゴム溶剤中に不溶となる程度に加硫されていることを特徴とする。
【0003】
熱可塑性組成物から製造された微孔質発泡体はよく知られている。例えば、US6,231,942は微孔質ポリプロピレン押出し成形物の製法及びこれより製造された製品を開示する。製造されたポリマー性微孔質発泡体は主に均一なポリマー性ポリプロピレン、又は単一モードのポリプロピレンが含まれている。
【0004】
同様に、熱可塑性エラストマーは微孔質発泡体へも成形することができる。US6,303,666B1は、良好な外観、柔軟性、及び耐熱性を有する発泡オレフィン性熱可塑性エラストマー製品の製法を開示する。この方法はガス溶解工程、特定の溶融熱可塑性エラストマーから選択された溶融熱可塑性エラストマーに、該溶融熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.1乃至30重量部の二酸化炭素を添加する工程、及び前記溶融熱可塑性エラストマー組成物が前記に酸化炭素に十分に溶解されたところで溶融熱可塑性エラストマー組成物を発泡させる工程、並びに冷却工程及び前記溶融オレフィン性熱可塑性エラストマー組成物の温度を下げる工程を含む。好適なエラストマーの1つのクラスは(a)エチレン及び3乃至20の炭素数を有するαオレフィンから成るエチレンαオレフィンコポリマー、又はエチレン、3乃至20の炭素原子を有するαオレフィン及び非共役ジエンからなるエチレン−αオレフィン−非−共役ジエンコポリマーである架橋オレフィンコポリマー、及び(b)3乃至20の炭素原子を有するαオレフィンの含量が50乃至100モル%のホモポリマー又はコポリマーである分解可能なオレフィンプラスチックからなる混合物の架橋剤の存在下で動的熱処理により得られた架橋された生成物である。
【0005】
US6,613,811は微孔質熱可塑性ポリマー構造物を開示する。この製品は100μm未満の平均細孔サイズ及び30%未満乃至5%未満の範囲の圧縮歪み、及び少なくとも50%のリバウンド値を有する。この製品は、熱可塑性エラストマーポリオレフィン、好ましくはメタロセン触媒を用いて製造されたポリエチレンから製造される。
【0006】
US6,713,520B2は15乃至95重量部のゴム及び5乃至85重量部の熱可塑性成分を含む熱可塑性エラストマー加硫発泡組成物を開示する。前記含量はゴム及び熱可塑性成分の総重量に基づいており、前記熱可塑性成分はその総重量に基づいて65乃至90重量%の従来の熱可塑性樹脂及び10乃至35重量%のランダムプロピレンコポリマーを含む。
【0007】
WO2004/016679A2は、ポリオレフィン熱可塑性樹脂、少なくとも部分的に架橋されたオレフィンエラストマー、水素付加されたスチレンブロックコポリマー、及び任意の添加剤を含む柔軟な熱可塑性加硫発泡体を開示する。前記柔軟な発泡体は滑らかな表面、低い水吸収性、改善された圧縮歪み、及び改善された圧縮付加撓みを有する。
【0008】
US20040115418A1は熱可塑性エラストマー(TPE)発泡体物質のほかに水分吸収の低い発泡体、及びこの製法を開示する。幾つかの態様において、前記TPE発泡体は低い水吸収率を示す。微孔質発泡体が含まれる。好ましくは、前記TPE物質はポリオレフィン熱可塑性加硫物(TPV)を含む。
【0009】
これらに加えて、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム等のゴムの発泡異形材は加硫された形態で、自動車製品におけるウェザーシール、例えば、ウィンドシール、ドアシール、及びとランクシール等の各種開口部においてロードノイズ、ゴミ、グリッド及び水分の取り込みを減らす目的で用いられる。このEPDMゴム発泡体の弾性性質はそれらが自動車の開口部に閉じ込められたときに圧縮された発泡体が、ノイズ、ゴミ、及び水分を進入させないようにするために必要な形状を確実に得ることができるので、効果的に自動車の開口部においてギャップ及び角を埋めることができる。しかしながら、EPDMゴム発泡異形材の構築及びEPDMの加硫は注意深く難しい操作を必要とする。一方、TPV組成物は、予備架橋されたゴム相、例えば、EPDMを有する熱可塑性物質であり、熱可塑性成形と同様に複雑な形状に成形することが可能であり、より長い機械強度が保持でき、ノイズ、ゴミのほかに水分の取り込みに対する耐性を提供する。しかしながら、既知の発泡組成物はEPDMゴム発泡組成物が有する水分取り込みレベルを提供することができなかった。
【発明の概要】
【0010】
本発明は滑らかな外観、改善された低い水分吸収、改善された圧縮歪み、及び圧縮負荷撓みを有する発泡熱可塑性エラストマー押出し成形異形材に関する。この発泡された熱可塑性エラストマー異形材は(b)120℃より高いTmを有する熱可塑性ポリオレフィンレジンの存在下で(a)架橋可能な炭化水素ゴムを処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物から形成される。前記組成物は
a)25乃至30重量%の、分散相として存在する、架橋剤と前記架橋可能な炭化水素ゴムを部分的又は完全に加硫して生成された反応生成物、
b)7乃至12重量%の、連続相として存在する、前記熱可塑性ポリオレフィン樹脂、及び
c)8乃至22重量%の、
1)3乃至7重量%の、20℃より高く120℃より低いTmを有する、プロピレンと1つ以上のC4乃至C10アルファオレフィンとのコポリマーと、
2)3乃至15重量%の、スチレン、イソプレン、及び/又はブタジエン由来の水素化された直鎖又は分岐トリブロックスチレンコポリマーとを含むエラストマー性熱可塑性改質剤を含み、前記重量%は組成物の総重量に基づいており、前記組成物は動的加硫を含む工程により製造される。
【0011】
前記熱可塑性エラストマー組成物は更に、d)3乃至12重量%の固形充填剤、及び/又はe)35乃至45重量%の非芳香族炭化水素オイルを含み、前記重量%は組成物の総重量に基づいており、前記組成物は動的加硫を含む工程により製造される。
【0012】
本発明の発泡異形材は、該組成物を、好ましくは超臨界Nを用いた超臨界発泡工程及びその後異形材に押出し成形された形状を付与することができる圧力放出ダイを通じた押出し成形工程により調製される。好適な異形材は乗り物用ウェザーシール、特に自動車工業において従来はEPDMゴムを用いていた製品について用いる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の発泡体を製造するために用いる熱可塑性加硫物(TPV)は、少なくとも1つの硬化ゴム、少なくとも1つの従来の熱可塑性樹脂、少なくとも1つのランダムポリプロピレンコポリマー、及び少なくとも1つの熱可塑性エラストマースチレンブロックコポリマーを含む。超臨界発泡法を用いてこれらの熱可塑性加硫物を発泡する。
【0014】
架橋又は硬化することができる任意ゴム又はそれらの混合物をゴム成分として用いることができる。ゴムという語は1つ以上のゴムの混合物をも含む。通常、有用なゴムはポリマーの主鎖の中にある程度の不飽和を含む。これらのゴムの幾つかの非限定的な例はエラストマー性エチレンコポリマー、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンコポリマーゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、臭素化及び塩素化イソブチレンイソプレンコポリマーゴム等のハロゲン化ゴム、ブタジエンスチレンビニルピリジンゴム、ウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、エピクロロヒドリンターポリマーゴム、及びポリクロロプレンを含む。好適なゴムは、エチレンプロピレンゴム(EPR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のエラストマー性エチレンコポリマー、並びにブチルゴム、特にハロゲン化ブチルゴム(ハロブチルゴム)である。
【0015】
エラストマー性エチレンコポリマーの語は、エチレン、少なくとも1つのαオレフィンモノマー、及び任意で少なくとも1つのジエンモノマーを重合してなるゴム性コポリマーを意味する。前記αオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、又はこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。好適なαオレフィンはプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、又はこれらの組合せである。ジエンモノマーは5−エチリデンン−2ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,6−オクタジエン、5−メチル1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等、又はこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。好適なジエンモノマーは5−エチリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネンである。前記コポリマーがエチレン、αオレフィン、及びジエンモノマーから製造される場合、前記コポリマーはターポリマーと言い、複数のαオレフィン又はジエンを用いる場合にはテトラポリマーと言う。
【0016】
エラストマー性エチレンコポリマーはVistalon(商標)(エクソンモービルケミカルカンパニー;テキサス、ヒューストン)、Keltan(商標)(DSMコポリマーズ;Baton Rouge,La)、Nordel(商標)IP(DuPont Dow Elastomers;Wilmington、Del)、ElastoFlo(商標)(Union Cardide;Danbury,Conn.)、及びBuna(商標)(Bayer Corp;Germany)の商標で販売されている。
【0017】
1つの態様において、前記エラストマー性コポリマーはエチレン、少なくとも1つのαオレフィンモノマー、及び5−ビニル−2−ノルボルネンのターポリマーである。このターポリマーはUS5,656,693に記載されているように過酸化硬化剤を用いる場合に好適である。このターポリマーは、WO98/38226に記載されているように、シリコン含有硬化剤が、プラチナ含有触媒の存在下で用いる場合にも好適である。好適なターポリマーはターポリマーの総モルに基づき40乃至90モルパーセントのエチレン由来のポリマー単位及び0.2乃至5モルパーセントのビニルノルボルネン由来のポリマー単位を含み、残りの部分はαオレフィンモノマーから誘導された単位であることが好ましい。
【0018】
本明細書で用いる「ブチルゴム」の語はイソブチレン及びイソプレンのゴム性アモルファスコポリマーあるいはイソブチレン、イソプレン、及びジビニル芳香族モノマーのアモルファスターポリマーを意味する。これらのコポリマー及びターポリマーは好ましくは0.5乃至10重量%、より好ましくは1乃至4重量%イソプレンを含んでいる。ブチルゴムの語は、0.1乃至10重量%、又は好ましくは0.5乃至30重量%の塩素又は臭素でハロゲン化されたコポリマー又はターポリマーも含む。ブチルゴムは本発明の実施に充分であるが、本発明の実施に即したブチルゴムは、0.6乃至3.0パーセントの不飽和を含むハロゲンを含まないブチルゴムが好ましい。2.5以下の多分散性を有するブチルゴムが特に好ましい。ブチルゴムはUS2,356,128及びUS2,944,576に記載されているフリーデルクラフツ触媒の存在下で低い温度における重合により商業的に調製される。ブチルゴムはRubber World Blue Bookに記載されているような数多くの供給元より入手可能である。例えば、ブチルゴムはPolysar Butyl(商標)(バイエル;Germany)又はExxon Butyl(商標)(Exxon Chemical Co.)として販売されている。本発明のオレフィンゴムの好適な範囲内の他の好適なコポリマーはC4−7イソオレフィン及びパラアルキルスチレンのコポリマー、及び好ましくはこれらのハロゲン化誘導体である。コポリマー中の、主にパラアルキルスチレン中のハロゲンの量は0.1乃至10重量%である。好適な例はイソブチレン及びパラメチルスチレンの臭素化コポリマーである。US5,162,445を参照のこと。
【0019】
典型的な従来の熱可塑性樹脂は、結晶可能ポリマー、ポリイミド、ポリエステル(ナイロン)、及びフッ素含有熱可塑性物質を含む。熱可塑性樹脂はスチレンエチレンコポリマー等のスチレンを含むポリオレフィンのコポリマーを含む。好適な熱可塑性樹脂はエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−へキセン、及びこれらの混合物等のαオレフィンの重合により形成される結晶可能なポリオレフィンである。エチレン及びプロピレンのコポリマー、あるいはエチレン又はプロピレンと1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロピレン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−へキセン等の他のαオレフィン又はこれらの混合物とのコポリマーも意図する。これらのホモポリマー及びコポリマーは、“フィリップ触媒反応(Phillips catalyzed reaction)”、従来のチグラーナッタタイプ重合、及びメタロセン−アルモキサン及びメタロセン−イオン活性剤触媒反応その他のメタロセン触媒反応を含むがこれらに限定されない既知の重合方法を用いて合成される。
【0020】
従来のポリオレフィン熱可塑性樹脂は好ましくは、200,000乃至600,000の重量平均分子量、及び80,000乃至200,000の数平均分子量を有する。より好ましくは、これらの樹脂は300,000乃至500,000の重量平均分子量、及び90,000及び150,000の数平均分子量を有する。
【0021】
有用な従来の熱可塑性樹脂は、150乃至175℃、好ましくは155℃乃至170℃、より好ましくは160℃乃至170℃の示差走査熱量計(DSC)により測定される融点(Tm)を有する。これらの樹脂のガラス転移温度は−5乃至10℃好ましくは−3乃至5℃である。DSCにより測定される10℃/分におけるこれらの樹脂の結晶化温度(Tc)は95乃至135℃、及び好ましくは100乃至200℃である。これらの溶融流量速度は、10dg/分、好ましくは2dg/分未満、更により好ましくは1.0dg/分未満のASTM D−1238で測定される溶融流量を有する。本発明の熱可塑性樹脂は相性のよい熱可塑性物質のブレンドのほかに、ブレンドのTmが120℃より高くなるような任意の割合で、0.8 MFRと5−15MFRとのプロピレンホモポリマー又はコポリマーの組合せも包含する。更に、例えば、全熱可塑性物質相の10重量%未満のを750乃至1500MIの非常に高いメルトインデックスを有するポリプロピレンホモポリマーとすることができる。
【0022】
特に好適な熱可塑性樹脂は、直鎖の高結晶度のアイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンである。このポリプロピレンは一般的に0.85乃至0.91g/ccの比重を有しており、高いアイソタクチシティーを有するポリプロピレンは、0.90乃至0.91g/ccの密度を有する。1.0dg/分未満の分画溶融流量速度(fractional melt flow rate)を有する高い、及び非常に高い分子量のポリプロピレンも特に好ましい。他の好適な態様は連続反応器、連続反応器の中の複数の触媒により製造された幅広い分子量を有するプロピレンホモポリマー又はコポリマー、又は1つ以上のブレンド、又は異なる分子量のポリマーのブレンドも熱可塑性樹脂として用いることができる。好適な分子量分布は7乃至15である。
【0023】
前記ランダムプロピレンコポリマーはプロピレンと少なくとも他の1つのコモノマーとのコポリマーである。前記コモノマーは前記ポリマー中に統計的に分布している。これらのランダムプロピレンコポリマーは当業者に知られており、WO00/69964及びWO00/69963に記載されている。更にこれらのコポリマーを用いて調製された熱可塑性加硫物はUS6,288,171 B2に記載されている。
【0024】
有用なコモノマーはエチレンと4乃至20、好ましくは4乃至8の炭素原子を有するα−オレフィンを含む。例示的なα−オレフィンは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、及びこれらの混合物を含む。
【0025】
本発明に用いるランダムプロピレンコポリマーは前記コモノマー由来のポリマー単位を7乃至22重量%で含み、及び残りの部分をプロピレンモノマー由来の単位として含む。好ましくは、前記ランダムプロピレンコポリマーは、9乃至20重量%、更に好ましくは11乃至8重量%のコモノマー由来のポリマー単位を含み、残りの部分をプロピレンモノマー由来単位として含む。
【0026】
前記ランダムプロピレンコモノマーは5,000乃至1,000,000、好ましくは100,000乃至900,000、及びより好ましくは150,000乃至800,000の重量平均分子量(Mw)を有する。本明細書における前記重量平均分子量は、ポリスチレン及び低分子量のポリエチレンスタンダードを用いたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により決定されるMwを意味する。前記ランダムプロピレンコポリマーは好ましくは、1.5乃至5.0、より好ましくは1.7乃至4.5、更に好ましくは1.9乃至3.2の狭い分子量分布を有する。
【0027】
ランダムプロピレンコポリマーはアモルファスポリマー乃至準結晶性ポリマーを含む高結晶性ポリマーの範囲で変化することができる。それらの融点はゴムの分解温度よりも通常低い。前記ランダムプロピレンコポリマーは示差走査熱量計(DSC)で測定して単一の融点を有していることが好ましい。好ましくは、前記融点(Tm)は20℃乃至100℃、より好ましくは30℃乃至90℃、更に好ましくは40℃乃至85℃である。それらのガラス転移温度(Tg)は好ましくは−5乃至―40℃であり、より好ましくは−10℃乃至−35℃であり、更に好ましくは−15℃乃至30℃である。前記結晶化温度(Tc)は、好ましくは10乃至60℃、より好ましくは15℃乃至55℃、更に好ましくは20℃乃至50℃である。
【0028】
前記ランダムコポリマーは狭い組成分布を有していることが好ましい。前記コポリマーの組成分布はヘキサン又はヘプタン等の溶媒における熱分画により決定することができる。通常、約75重量%、及び好ましくは85重量%のポリマーが1つ又は2つ隣接する溶媒分画として単離され、残りの部分は直近の又は連続する分画に単離される。これらの分画のそれぞれは、前記ランダムプロピレンコポリマー成分のエチレ含量の平均重量パーセントの20重量%(相対的に)以内の差を有する成分(エチレン含量の重量パーセント)を有している。前記ランダムプロピレンコポリマーが上記で説明した分画に適合する場合に、それは狭い組成分布を有すると定義される。
【0029】
90パーセントに近い所与のポリマーの分画されたサンプルに基づいて、本発明の熱可塑性ポリマーの組成分布は4パーセントより多く異なることはなく、好ましくは3パーセント以内、より好ましくは2パーセント以内、及び最も好ましくは1パーセントも違わない。他言すれば、ポリマーサンプルの分画が解析された場合、各分画のエチレンの量は4パーセントの範囲内にとどまり、又は好ましい分画としてのサンプルの90パーセントに近い範囲内において4パーセント以上変化しない。
【0030】
ポリマーサンプルのエチレン組成分布はWO00/22014及びWO00/22015に記載の分析方法により決定することができる。
【0031】
前記ランダムプロピレンコポリマーは好ましくはアイソタクチックな結晶可能アルファオレフィン配列、例えば、好ましくはプロピレン配列を含む。結晶化度は、アニールされたポリマーの融解熱を用いて測定した場合(DSC)、約2乃至65パーセント及び好ましくは5乃至40パーセントのホモアイソタクチックなプロピレンであることが好ましい。
【0032】
前記ランダムプロピレンコポリマーは5乃至35、好ましくは10乃至33、より好ましくは25乃至32のムーニー粘度(ML(1+4)@125)を有する。
【0033】
本発明に有用な前記SBC熱可塑性エラストマーは、直鎖又は分岐鎖のスチレン/共役ジエン/スチレンのトリブロックコポリマー又はこれらの混合物である。前記共役ジエンは任意で完全に又は部分的に水素化されていてもよい。一般的に、このポリブロックコポリマーは前記ブロックコポリマーの重量に基づいて、10乃至50重量%、より好ましくは25乃至35重量%のスチレン及び90乃至50重量%、より好ましくは75乃至35重量%の共役ジエンを含む。最も好ましいものは、28乃至35重量%のスチレン及び68乃至72時の共役ジエンを含むブロックコポリマーである。前記共役ジエンはブタジエン、イソプレン、又はこれらの混合物から選択される。スチレン/共役ジエン/スチレンタイプのトリブロックコポリマーはSBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS,及びSEEPブロックコポリマーであり、分岐又は星状分岐のものを含む。
【0034】
本発明の接着組成物に好適なこれらのブロックコポリマーは本分野において知られており、CA 2,193,264、WO96/20248、WO96/23823、WO98/12240、及びWO99/46330に記載されている。これらは一般的にブチルリチウムにより開始される連続的な芳香族の重合により調整されるが、livingS−B/Sジブロックのカップリング又は二官能性の開始法も知られている。THERMOPLASTIC ELASTOMERS (2nd Ed.), Ch. 3, G. Holden, N. Legge, et al (Hanser Publishers, 1996)を参照のこと。
【0035】
好ましくは、前記SBC成分はビニル芳香族モノマー(S)の剛ブロック及びジエン/ビニル芳香族モノマー(B/S)の星状、非剛ミッドブロックを含む柔軟なブロックコポリマー成分である。これらのブロックコポリマーは少なくともS――B/S――Sブロック構造を含む。ブロックSのガラス転移温度は約25℃であり、ブロックB/Sは一般的に25℃以下である。前記B/Sブロックは75乃至30重量%パーセントのビニル芳香族モノマー及び25乃至70重量%のジエンモノマーからなる。特に好適なフレキシブルB/Sブロックは60乃至40重量%のビニル芳香族モノマー含量及び40乃至60重量%のジエンモノマーを含む。全部ロックコポリマーの組成物に対して、ジエン含量は40重量%未満、好ましくは35重量%であり、非剛B/Sブロック部分の量は少なくとも50重量%、好ましくは70重量%である。前記ブロックコポリマー成分は低い弾性率及び降伏強さ、並びに高い伸びを有している。
【0036】
好適なビニル芳香族モノマーはスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン、ビニルトルエン及びこれらのモノマーの混合物を含む。好適なモノマーはスチレンである。好適なジエンモノマーは1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレン(piperylene)、フェニルブタジエン、及びこれらのモノマーの混合物を含む。前記好適なモノマーは1,3−ブタジエンである。共役事案モノマーも充分に又は部分的に水素化されていてもよい。このタイプの柔軟なブロックコポリマーは、例えば、Styroflex(商標)2G66(ABSF A.G.)より販売である。
【0037】
前記ブロックコポリマー成分の本発明の組成物中における含量は熱可塑性エラストマー成分、添加剤及びSBC成分を含む組成物の全重量に基づき、3乃至25重量%である。SBCの好ましい量は3乃至15重量%の範囲であり、5乃至10重量%が最も好ましい。
【0038】
ランダムプロピレン及びSBC熱可塑性エラストマーの使用に加え、前記熱可塑性相は追加的に前記熱可塑性相のポリマー性改質剤を含んでいてもよい。前記ポリマー性改質剤は、具体的には、組成物生物全体の性質に有利に働くものであると、当分野では理解されている。例えば、主成分の熱可塑性相の樹脂と適合性のある長鎖分岐熱可塑性樹脂、例えば、プロピレン又は高密度ポリエチレンは引張強度、伸長(extentional)粘度、及び他の性質を高めることができる。LCB−プラスチックとして本明細書において参照される長鎖分岐熱可塑性樹脂は、高い分子量を有する高度に分岐したポリマーとして説明できる。LBCプラスチックの語はLCBプラスチック又は2つ以上のLCBプラスチックの混合物を含む。前記LCBプラスチックは(i)αオレフィンポリマー又はコポリマー、又は(ii)αオレフィン及びα−ωジエンのコポリマーである。前記αオレフィンポリマーはプロピレン及びエチレン由来単位としてのαオレフィン単位の組合せを含む。同様に、α−ωジエンの組合せも用いられる。αオレフィン及びα−ωジエンコポリマーのコポリマーはジエン修飾ポリオレフィンポリマーと言う。代替的にLCBプラスチックは直鎖結晶性ポリオレフィンを電離放射線で処理することにより調製できる。この方法はUS4,916,198に記載されている。更に、LCBプラスチックはαオレフィンと不溶性の配位触媒システムで処理して調整することができる。この方法はUS5,504,171に記載されている。分岐ポリマー及びそれらの使用に関しては特に、US6,433,090B1を参照のこと。本発明の組成物中の修飾されたLCBプラスチック成分は熱可塑性樹脂成分、ゴム成分、添加剤及びLCBプラスチク成分の総重量に基づいて、通常、1乃至10重量パーセントの範囲で含まれる。このクラスの市販のLCB製品はProfax(商標)SD613(Montell)及びWB 130HMS(商標)(Boreslis)を含む。
【0039】
前記ポリマー改質剤は、特に、アクリル修飾されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)成分を含む。前記成分は一般的に、ポリテトラフルオロエチレンポリマー及び5乃至30炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーのブレンドであると言われている。2つ以上のアルキル(メタ)アクリレートポリマー又は1つ以上の5乃至30炭素原子のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのブレンドも用いることができる。特に、本発明のプロセスに適したブレンドは三菱レーヨン社より入手可能なMetablen(商標)である。本発明の組成物中における修飾されたポリテトラフルオロエチレン成分の量は熱可塑性樹脂成分、ゴム成分、添加剤及び修飾されたポリテトラフルオロエチレン成分の総重量に基づいて通常0.1乃至4重量%の範囲である。好適な量は0.5乃至2重量%の範囲であり、1乃至2重量%が最も好ましい。更に詳細には、EP1398352A1に記載のアクリル修飾されたPTEF及び熱可塑性樹脂のおけるその利点を参照のこと。特に、US6,787,607B2に記載のTPV発泡体組成物におけるそのようなポリマーの使用を参照のこと。
【0040】
ゴム成分を硬化するためにゴムを硬化又は架橋することが可能な任意の硬化剤を使用する。これらの硬化剤の幾つかの非限定的な例は、フェノール樹脂、過酸化物、マレイミド、及びシリコン含有硬化剤を含む。用いるゴムにより、好ましい硬化剤が異なる。例えば、ビニルノルボルネン由来単位を含むエラストマー性のコポリマーを用いる場合には、必要とされる過酸化物の量が熱可塑性加硫物の熱可塑性相の加工性に有害な影響を与えないことから、過酸化物を硬化剤とすることが好ましい。他の態様においては、特定レベルの硬化が熱可塑性加硫物の熱可塑性成分を分解することから、これを用いない方が好ましい。従って、本発明の幾つかの熱可塑性加硫物は過酸化物を用いずに、又は少なくとも熱可塑性加硫物の加工性に有害な影響を与える量の過酸化物は用いずに硬化される。前記量は実質的に過酸化物が存在しないという意味に用いる。過酸化物を用いない場合には、フェノール樹脂又はシリコン含有硬化剤が好ましい。
【0041】
ゴムポリマーを架橋することができる任意のフェノール樹脂を本発明に用いることができる。US2,972,600及びUS3,287,440参照のこと。好適なフェノール樹脂硬化剤はレゾール樹脂と言われ、アルカリ培地中のアルキル置換フェノール又は未置換フェノールを、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドをもちいて濃縮し、又は二官能性フェノールジアルコールを濃縮して製造される。アルキル置換されたフェノールのアルキル置換基は通常1乃至10炭素原子を含む。1乃至10炭素原子を含むアルキル基を有するパラ配置のジメチロールフェノール又はフェノール樹脂が好ましい。1つの態様において、オクチルフェノール及びノニルフェノールホルムアルデヒド樹脂のブレンドを用いる。前記ブレンドは25乃至40重量%のオクチルフェノール及び75乃至60重量%のノニルフェノール(任意で、30乃至35重量%のオクチルフェノール及び70乃至65重量%のノニルフェノールでもよい。)を含む。1つの態様において、前記ブレンドは33重量%のオクチルフェノールホルムアルデヒド及び67重量%のノニルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含み、各オクチルフェノール及びノニルフェノールはメチロール基を含む。前記ブレンドは30%の固形分でパラフィンに可溶である。これらのフェノール硬化剤は通常、熱硬化性樹脂であり、フェノール樹脂硬化剤又はフェノール樹脂と言われている。これらのフェノール樹脂は、観念的に、触媒システムと同様に用いられる。例えば、非ハロゲン化フェノール硬化剤樹脂は、好ましくはハロゲン供与体と共に用いられ、任意で、ハロゲン化ハライドスカベンジャーと共に用いられる。フェノール硬化剤樹脂がハロゲン化されている場合、ハロゲン供与体は必要とされないが、ZnO等のハロゲンハライドスカベンジャーを使用することが好ましい。熱可塑性加硫物のフェノール樹脂硬化剤の詳細については、US4,311,628に記載されている。
【0042】
過酸化物硬化剤を用いる場合には、通常、有機過酸化物から選択された硬化剤を用いる。有機過酸化物の例は、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,αビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルフェノキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルフェノキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、−ブチル−4,4ビス(tert−ブチルフェノキシ)バレエート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルフェノキシ)−ヘキサン−3、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。ジアリルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシジカルボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、及びこれらの混合物も用いられる。過酸化物硬化剤及び熱可塑性加硫物の調製での使用については、US5,656,693を参照のこと。
【0043】
有用なシリコン含有硬化剤は通常、少なくとも2つのSiH基を有する水素化シリコン化合物を含む。これらの化合物は水素化シリコン触媒の存在下で、不飽和ポリマーの炭素−炭素二重結合と反応する。本発明の実施に有用な水素化シリコン化合物は、メチルハイドロゲンポリシロキサン、メチルハイドロゲンジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチルポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0044】
上で述べたように、エラストマー性ポリマーの水素添加硬化は、好ましくは触媒の存在下で行われる。これらの触媒は、過酸化触媒、及び第VIII族の遷移金属を含む触媒を含むがこれらに限定されない。前記金属は、パラジウム、ロジウム、及びプラチナのほかに、これらの金属の複合体も含むがこれらに限定されない。プラチナ触媒が好ましい。熱可塑性加硫物を硬化するための水素化法の使用についての更なる議論はUS5,936,028に記載されている。シリコン含有硬化剤を用いる場合、用いるエラストマーコポリマーは好ましくは5−ビニル−2−ノルボルネンをジエン成分として含むことが好ましい。
【0045】
可塑剤、エキステンダー油、合成プロセスオイル、又はこれらの組合せも熱可塑性加硫物に用いられる。前記エキステンダー油は芳香族、ナフタレン、及び特に、ミネラルオイル由来のパラフィン系エキステンダーオイルを含むがこれらに限定されない。好適な合成プロセスオイルはポリ直鎖αオレフィンである。従って、石油由来のゴムプロセス油に加えて、石油分画から分離された不飽和モノマーを重合したオリゴマー又は低分子量のポリマーオイルが用いられる。本発明の組成物は有機エステル、アルキルエーテル又はこれらの組合せ等の可塑剤を含み、それらはUS5,290,886及びUS5,397,823に記載されている。特定の低乃至中程度の分子量の有機エステル及びアルキルエーテルエステルを本発明の発明の組成物に添加すると、劇的にポリオレフィン及びゴム成分及び組成物全体のTgを低くし、低温における性質、特に柔軟性及び伸縮性を改善する。これらの有機エステル及びアルキルエーテルエステルは通常、10,000未満の分子量を有する。このように改善された効果は低いTgのエステルを組成物のポリオレフィン及びゴム成分の両方に分配することによって達成されると考えられている。特に好適なエステルは平均分子量が2000以下、好ましくは600以下の単量体及びオリゴマー性物質を含む。最も好ましいとされるエステルは脂肪酸エステル単体又はジエステル脂肪酸のいずれか、あるいは代替的に脂肪酸エステルのオリゴマー、又はアルキルエーテルエステルである。
【0046】
熱可塑性樹脂、ゴム、硬化剤及び任意でエキステンダー油に加えて、本発明の組成物は、強化剤、及び非強化充填剤、抗酸化剤、安定剤、ゴム処理オイル、潤滑剤、抗ブロック剤、静電気防止剤、ワックス、発泡剤、顔料、フレーム強化剤、及びゴム又はプラスチック加工の分野で知られている他の添加剤を含む。これらの添加剤は全組成物に対して50重量%まで用いることができる。用いることができる充填剤及び増量剤は炭酸カルシウム、クレイ、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック等一般的な無機化合物を含む。
【0047】
好ましくは、本発明の発明の組成物はゴム組成物を製造するのに充分量のゴムを含んでいる。当業者はゴム組成物は100パーセントより大きい極限伸びを有し、元の長さの200パーセントに引き伸ばした直後に10分以内で元の長さの150パーセント未満の長さになることができ、10分間もとの長さの200パーセントに維持できる物質を意味するということを理解している。
【0048】
従って、本発明の熱可塑性加硫物が少なくとも25重量%のゴムを含む。最も好ましくは、前記熱可塑性加硫物はゴム及び熱可塑性成分の総重量に基づいて15乃至95重量%、好ましくは45乃至90重量%、より好ましくは60乃至88重量%のゴムを含む。
【0049】
本発明に用いられる熱可塑性加硫物は従来の熱可塑性樹脂及びランダムプロピレンコポリマーを含む熱可塑性成分を含む。好ましくは前記熱可塑性加硫物はゴム及び熱可塑性成分を合わせた重量部に基づいて、5乃至85重量%、より好ましくは10乃至55重量%、更に好ましくは12乃至40重量%の熱可塑性成分を含む。
【0050】
前記熱可塑性成分は65乃至90重量%、好ましくは70乃至85重量%、更に好ましくは75重量%乃至80重量%の従来の熱可塑性樹脂を含む。従って、前記熱可塑性成分は10乃至35重量%、好ましくは15乃至30重量%、更に好ましくは20乃至25重量%のランダムプロピレンコポリマーも含む。このようなランダムプロピレンコポリマーに対する従来の熱可塑性樹脂の相対的な量が得られた発泡体の性質及び有用性を変化させるという驚くべき事実が見出された。例えば、ランダムプロピレンコポリマーに対する従来の熱可塑性樹脂の量が多すぎると、得られた発泡体は、高い剛性及び高い硬度を有することとなり、このような性質が高い圧縮負荷撓みとなる。一方、従来の熱可塑性樹脂に対するランダムプロピレンコポリマーの割合が高すぎると、得られた発泡体は、高温の性能が劣り(例えば、圧縮歪みの増加)、高い溶融粘度を有するので加工性が悪くなり、発泡性及び表面の外観が悪くなる。
【0051】
当業者はゴムの加硫を行うのに必要な、硬化剤の量及びタイプ並びに加硫条件を理解している。硬化剤の量、温度、及び硬化時間を変えて所望の架橋ゴムを得ることができる。熱可塑性ポリマーを少なくとも部分的に加硫するのに充分な量の架橋剤を用いる。好ましくは前記ポリマーは完全に架橋されている。
【0052】
フェノール樹脂硬化剤を用いる場合、架橋に要する硬化剤の量中にゴム100重量部当たり1乃至20重量部、より好ましくは3乃至16重量部、更に好ましくは4乃至12重量部のフェノール樹脂である。
【0053】
過酸化硬化剤が用いられる場合、架橋に要する硬化剤の量中に好ましくはゴム100重量部当たり、1×10−4モル乃至2×10−2モル、より好ましくは2×10−4モル乃至2×10−3モル、更に好ましくは7×10−4モル乃至0.5×10−3モルの過酸化物を含む。
【0054】
シリコン含有硬化剤が用いられる場合、用いる硬化剤の量は好ましくは炭素−炭素二重結合当たり0.1乃至10モル当量、及び好ましくは0.5乃至5モル当量のSiHを含む。
【0055】
一般的にゴム100重量部当たり5乃至300重量部、好ましくは30乃至250重量部、及びより好ましくは70乃至200重量部のエキステンダー油又は可塑剤が添加される。エキステンダー油又は可塑剤は所望の製品に依存して添加され、上限は特定のオイル及びブレンド成分適合性に依存してきめられる。この上限はエキステンダーオイル又は可塑剤の過剰な染み出しが生じる時点により決定される。
【0056】
カーボンブラックはゴム及び熱可塑性物質の合計100重量部に対して5乃至250、より好ましくは5乃至100重量部の量で添加される。カーボンブラックの量は用いるカーボンブラックのタイプ及びエキステンダー油の量に少なくとも部分的に依存している。エキステンダーオイルの量は少なくともゴムのタイプに依存している。高い粘度のゴムはより高いオイル膨張を示す。
【0057】
熱可塑性エラストマーは、当分野で良く知られている技術である、ブレンディング及び動的加硫により調製される。有利なことに、前記熱可塑性エラストマーは1工程法で調整することができる。前記1工程法はゴム、従来の熱可塑性樹脂、及びランダムプロピレンコポリマーをブレンドし、前記ゴムの動的加硫がブレンド工程内で行われる方法である。S. Abdous−Sabet, R.C.Puydak, and C.P.Rader, “Dynamically Vulcanized Thermoplastic Elastomers”,69(3) RUBBER CHEMISTRY AND THECNOLOGY (Jully−August 1996)及びここに引用されている特許を参照のこと。代替的に、ランダムプロピレンコポリマーを含まない熱可塑性エラストマー又はランダムプロピレンコポリマーのみを1工程で先に調製し、前記ランダムプロピレンコポリマーを溶融状態の前記熱可塑性エラストマーに添加することもできる。すなわち、ランダムプロピレンコポリマーは熱可塑性エラストマーに配合することができる。同様にSBCを第一配合(compounding)時に添加でき、又は第二工程、第二パス、又は第二反応器に添加することもできる。SBCはランダムプロピレンコポリマーにも添加することができる。
【0058】
動的加硫の語はゴムをポリオレフィン成分の融点以上の温度における高剪断条件下で加硫して、熱可塑性エラストマー組成物中に含まれるゴムを加硫又は硬化する工程を意味する。従って、前記ゴムは同時に架橋され、ポリオレフィン基質中に、他の形態もとりうるけれども、通常小さい分子として分散される。動的加硫は、ロールミル、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、連続ミキサー、混合押出成形等の従来の技術において、高い温度で熱可塑性エラストマー成分を混合することにより行われる。2軸押出成形キシレンは本発明のプロセスに有用である。
【0059】
加硫された又は硬化されたゴムは少なくとも部分的に硬化されたエラストマー性ポリマーを意味する。硬化の程度はゲル、又は反対に、抽出物として沸騰キシレン又はシクロヘキセンを用いて熱可塑性エラストマーから抽出されたゴムを決定することにより行う。この方法はUS4,311,628に記載されている。この方法に基づき測定すると、本発明の硬化されたゴムはゴムの35パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、より好ましくは10パーセント未満、及び更に好ましくは5パーセント未満のゴムしか抽出されない。代替的に、硬化の程度は架橋密度でも現すことができる。好ましくは、前記架橋密度はゴム1ミリリットル当たり40乃至160モルである。これらは当業者に良く知られており、US5,100,947及びUS5,157,081に記載されている。
【0060】
ゴム成分は部分的に又は完全に加硫されているにも関わらず、本発明の発明の組成物は押出成形、射出成形、及び圧縮成形等の従来の加工技術により処理、又は再処理することができる。本発明の熱可塑性エラストマーの中のゴムは、加硫された又は硬化されたゴムの微細に分割され且つ良く分散した粒子の形態であるが、共連続形態又は相分散形態もとり得る。
【0061】
本発明の熱可塑性加硫物はUS2004/0115418A1に記載の方法により発泡させることができる。この方法は押出成形するときにTPV発泡物質に超臨界ガスを注入して行う。押出成形器の出口において、超臨界ガスの泡が膨張して押出成形ダイの出口の形状に従ってTPV組成物を発泡させる。以下の実施例は本発明のプロセスを更に説明する。
【0062】
本発明の微孔質TPV発泡異形材は、計器パネルのスキン、ドアスキン、計器パネルスキン及びドアスキンの発泡性基材、ドアトリム、支柱、コンソールボックス、ステアリングホイール、シフトレバー、空気ボックス、ダッシュパネル、交換式シートクッション、差動式ギアガーニッシュ、カールトップガーニッシュ、天井材、気密用充填スポンジ、トランクルームライニング、エンジンルームライニング、バンパー、フェンダー、フードの表面層、サイドシールド、及びクッション等の自動車部品及び製品、ハンドルラダーグリップ、ヘルメットライニング、シート及びレーシングスーツの表面層等の自動二輪部品及び製品、マウス、キーボード、及びOA機器のハウジング等のオフィスオートメーション装置のための部品及び製品、マウスパッド、デスクマット、ヘッドフォン、電子計算機、電話機、PHS(パーソナルハンディーフォンシステム)のハウジング、他の携帯電話等、システムポケットブック、ウォレット、ノートブック、ドキュメントホルダー、バッグ、トイレットシート、鉛筆、ボールペン、万年筆、カーペット、キッチンナイフの取っ手、はさみ又はトリマーのグリップ等の各種製品、ワイヤーのカバー、コネクター、キャップ、及びプラグ等の電子部品、カットオフボード、シーリングスポンジ、及びノイズバリアボード等の建築資材、ゴルフクラブのグリップ、野球用バットのグリップ、テニスラケットのグリップ、スキンダイビングのフィン、及びスイミングゴーグル等のスポーツ用品、ガスケット、耐水性シート、ガーデンハウス、ドライブベルト、及び工業用パッキング等の各種工業用品に用いられる。
【0063】
本発明を以下の実施例により説明する。しかしながら、本発明をこれらの実施例に限定することは意図しない。
【0064】
本発明の実施例において以下の評価方法を採用した。
【0065】
密度はエタノールを媒体として用いるMettler Toledo AG104デンシトメーターを用いて、g/ccで測定した。
【0066】
破断点引張強度、引張歪み、引張弾性率、破断伸びはASTM D 142 (IOS 37,タイプ2)1により測定した。
【0067】
ショア硬度はASTM D2240に従い測定した。
【0068】
比重(SG)はASTM D 792に従い測定した。
【0069】
表面(Ra)(外観)−表面加工性はFederal Products Corporation,Providence,Rl.Iの表面解析システムを用いて、サンプリング長の平均ラインより測定される、粗さの不規則性の平均値を算出して評価した。
【0070】
圧縮歪み−サンプルをサンプルホルダー内で初期の長さの50%に圧縮し、70℃で22時間維持した。このサンプルをホルダーから除去し室温で30分放置して回復させた。圧縮歪みは、CS(%)=(初期H−最終H)/(初期H−H0)として決定され、H0はサンプルホルダーのギャップ(初期Hの60%)である。
【0071】
圧縮負荷撓み−100nmのサンプルを室温において初期の長さの50%に圧縮するのに必要な力である。
【0072】
水中吸収試験−本発明において完全な水中吸収は、例えば、ASTM D 1056セクション42乃至48に記載の、高真空下の水にサンプルを完全に浸すことにより測定される。このサンプルは水に浸す前と後に重量を測定しておく。水吸収はサンプルの重量増加分を測定して決定される。本明細書で言う水吸収とは、サンプルの全ての末端が水中にあるように完全にサンプルが水に浸されていることを意味する。本明細書で用いる技術は、サンプルの末端が水の外にあるような、以下で説明するU−テスト水吸収(試験)等のサンプルを完全に水に浸さないで行う試験とは異なる。そのようにサンプルの末端を水の外に出しておくような測定方法は、サンプルの末端を介してセル構造内に吸収される水を測定しないので(特に発泡体のセルの口が開いている場合に)低い水吸収値を示す傾向がある(例えば、選択的に水面下にある製品の表面が疎水性物質である場合などに、水吸収値が、より低く評価されるであろう。)。
【0073】
完全に水中に浸漬させる水吸収試験は一般的に、ASTM D 1056−00“スポンジ又は膨張ゴム等の柔軟なセル構造を有する物質のための標準試験手順”セクション42乃至48に従って行われる。前記ASTM試験方法における変更又は詳細は:蒸留水よりも標準的なボトル詰めの水を使用する。製造されたとおりの形状のサンプルで試験を行う。ブロット ドライイング(blot drying)を環状サンプルの内部表面を含む水にさらされている全ての表面に対して行う。全てのサンプルは50mm(1.97”)長であった。
【0074】
微孔質発泡体は一般的に以下のように製造される。
【0075】
押出し装置
押出し成形異形材の製品に対する製造ラインは21/2in.(63mm)直径、32:1のL:Dの1軸スクリュー押出し成形機(Akron Extruders,Canal Fulton, Ohio)を採用して構築した。Nを押出し成形機に射出するための射出システムは押出し成形機の出口から約8直径の場所に位置している。この射出システムは2つの等しい間隔で円周、放射状(半径方向)に位置するポートを有し、各ポートは176のオルフィスを含む。各オルフィスは0.020インチ(0.5mm)の直径を有し、トータルで352オリフィスがある。前記射出システムは空気で作動するコントロールバルブを含んでおり、5500psi(38Mpa)において0.04乃至3.5lbs/hr(0.022乃至1.6kg/hr)の速度で発泡剤の質量流量を正確に測定する。
【0076】
主な押出成形器のスクリューは、ポリマー/タルク濃縮物を供給、融解、及び混合し、次にポリマー中に発泡剤を分散させる段階において、混合を行うのに適するように設計されたスクリューであった。
【0077】
押出成形器に連結されている出口は水平にマウントされ、直列に並んだ環状異形押出成形ダイであった。このヘッドはTrexel Inc.(Woburn,Mass.)により設計されたものであり、前記ダイに入る直前の溶融温度及び圧力を測定するためのタップが設置されている。前記タップは従来の3−スピーダータイプの流れ分散チャンネル及び固定されたチップに応じて前記ダイを移動させるためのダイ調節システムを採用している。この特徴はマンドレルに対してダイをセンタリングすることにより均一な壁の厚みを提供することができる。出口のギャップ及び出口のタッパーアングルの広いハイブリダイズにはツールのデザインを選択することにより調節することができる。このヘッドはヘッドの中心を通じで空気を導入し、空気圧を調節することができる調節装置を備えている。この装置により、好適な空気通路を有するように設計された押出成形チップと一緒に用いた場合、中空プロファイルのIDを冷却及び支持するように空気を使用することができる。
【0078】
ダイからの出口において、押出成形物は約10フィートの長さの冷却槽に入って行く。この槽は閉鎖系のループ状の水冷システム、流れ制御装置、及びスプレーヘッドを備えている。押出成形物を支持及び冷却する槽に決まったレベルの水を提供するためにこのシステムが水の深さを測定し及び調節する。スプレーヘッドは槽に沿って設置され、押出成形物の周囲を完全に冷却する。空気ノズルが槽の末端に設置されていて、押出成形物の外表面から水を除去する。
【0079】
各種速度駆動部を備えた標準的な、36インチ(90cm)の長さの引取装置(Custom Downstream System,St.Laurent,Quebec,Canada)が冷却槽の出口に設置された。このシステムは押出成形物を一定の速度で冷却槽から引き取り、所望の製品の寸法に仕上げる装置である。
【実施例】
【0080】
実施例1乃至9
初めに、フェノール樹脂を用いてゴムを動的加硫して、9つの熱可塑性加硫物を調製した。エキステンダーオイルのタイプ及び量を表1に記載のように変えた。
【0081】
サンプル1乃至9の熱可塑性加硫物を従来の2軸混合器を用いて調製した。以下の成分を各サンプルに添加した。前記成分は、表1に記載の通り、100重量部のゴム、150重量部の可塑化オイル、2重量部の酸化亜鉛、1.3重量部の塩化第一スズ、及び12重量部のカーボンブラック濃縮物(5.6部のカーボンブラック及び8.3部のポリプロピレン)を含む。
【0082】
エラストマー性コポリマーはポリ(エチレン−co−ポリプロピレン−co−5−エチリデン−2−ノルボルネン)であり、VISTALON(商標)3666(エクソンモービル)として販売されているものである。サンプル1は、30重量%のポリスチレン含量及び42重量部のIcecap K clay(Burgess Pigment Company)を含むSEPS コポリマーであるSepton2002を12重量部含む。前記SEPSコポリマーは水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーであり、SEPTON(商標)2002(Kuraray)として販売されているものである。サンプル2は16.85重量部のプロピレンコポリマーである“VMX3000”を含み、前記プロピレンコポリマーは12パーセントのエチレン含量を有し、ASTM D 1238(2.16kg,230℃)によるMFRが8dg/分であり、VISTAMAXX(商標)3000(エクソンモービル)として販売されているものである。サンプル3は30重量部のHifax7334XEP(Montel)を含む。サンプル4はエチレンコポリマーであるV707(エクソンモービル)を含む。サンプル5乃至9は17重量部のVMX3000を含む。サンプル2乃至7、及びサンプル8乃至9は、表1に記載のように、それぞれ所定量のMiston vapor talc(Luzenca Americas)及びOmycarb FT(Omya Inc.)を含む。全てのサンプルは所定量のプロピレンホモポリマーPP5341(MIF 0.8g/分、エクソンモービル)を含む。サンプル7及び8は追加的なホモポリマー、D036−W6(ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、MFR5dg/分、SUNOCO)又はPP1024ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、MFR12dg/分、エクソンモービル)を含む。サンプル9は18.25重量部の上で説明したSepton 2002、及び11重量部のWB 130HMS(分岐ポリプロピレン、MFR 5、BOREALIS)を含む。サンプル1乃至5及びサンプル6乃至9はそれぞれ、3.5重量部及び4.5重量部のフェノール架橋剤を含む。110CTSの粘度(ASTM D 445@40℃)を有し、SUNPAR(商標)150M(SUNOCO)として販売されているパラフィンオイルを用いた。前記ポリプロピレンホモポリマーは0.8dg/分のMFRを有するものである。他で定義しない限り、表1及び本明細書に記載の他の表中にある量はゴム100重量部当たりの重量部(phr)で示す。
【0083】
前記ポリプロピレンホモポリマーは0.8dg/分のMFRを有することを特徴とする。他で定義しない限り、表1及び本明細書に記載の他の表中にある量はゴム100重量部当たりの重量部(phr)で示す。これらの表において、“C”は本発明実施例以外の比較例を示す。
【表1】

【0084】
サンプル1乃至9のTPVの物理的性質を表2に示す。ショア硬度はASTM D−2240に従って測定した。比重はASTM D792に従って測定した。極限引張強度、極限伸び、及び100%モジュラスはInstron試験機器を用いてASTM D−412に従って、23℃でInstron試験器を用いて測定した。重量増加はASTM D−471に従って測定した。tension set(引っ張り歪み)はASTM D−142に従って測定した。LCR粘度は240℃、1,200秒−1、30:1のアスペクト比でDynisco(商標)キャピラリーレオメーターで測定した。
【表2】

【0085】
TPVサンプル1乃至9は市販の(1C)であるか、又は超臨界ガス(N2又はCO2)を用いて発泡させる前に追加の量のプラスチック又は改質剤と単一パスの溶融加工/反応工程で配合するか、又はこれらを連続的にブレンドしたものであった。サンプルの1乃至4はそのまま使用し、比較例として用いた。サンプル6乃至16は本発明の実施例である。TPV10乃至13は2軸押出成形器で所定の量のSepton(商標)2002とTPV5、6、及び7を溶融ブレンドすることにより調製した。サンプル12及び13は同じ組成を有する。TPV14はTPV2のペレットを所定量のSepton(商標)2002及びWB130HMSと乾燥ブレンドすることにより調製した。TPV15はTPV8を所定量のSepton(商標)2002及びWB130HMSとを2軸押出成形器で溶融ブレンドすることにより調製した。TPV16はTPV8と所定量のSepton(商標)2002及びMetablen(商標)KA2392を2軸押出成形器を用いて溶融混合することにより調製した。前記調製サンプルは超臨界Nを用いて押出発泡に用いられた。
【表3】

【表4】

【表5】

【0086】
本発明の実施例は比較例よりもよりよい発泡性(低い密度)、より良い物理的性質(UTS,UE)、改善された表面加工性(より滑らかな表面)を提供した。
【0087】
本発明のサンプルの流動学的な性質は、比較例のサンプよりも、微孔質TPV発泡体のためのMucell(商標)プロセス(超臨界ガスを用いた商業的な発泡法)に用いるのに適していた(1200 1/sで60乃至75Pa−sの範囲におけるLCR)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
120℃より高いTmを有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂b)の存在下で、架橋可能な炭化水素ゴムを動的加硫することを含む方法により調製される発泡可能な熱可塑性エラストマー組成物であって、前記組成物が、
a)25乃至30重量%の、分散相として存在する、架橋剤と前記架橋可能な炭化水素ゴムを部分的又は完全に加硫して生成された反応生成物、
b)7乃至12重量%の、連続相として存在する、前記熱可塑性ポリオレフィン樹脂、及び
c)8乃至22重量%の、
1)3乃至7重量%の、20℃より高く120℃より低いTmを有する、プロピレンと1つ以上のC4乃至C10アルファオレフィンとのコポリマーと、
2)3乃至15重量%の、スチレン、イソプレン、及び/又はブタジエン由来の水素化された直鎖又は分岐トリブロックスチレンコポリマーと
を含むエラストマー性熱可塑性改質剤を含む(前記重量%が組成物の総重量に基づく)ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
d)3乃至12重量%の固形充填剤、及び/又は
e)35乃至45重量%の非芳香族炭化水素オイルを更に含み、前記重量%が組成物の総重量に基づく、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記架橋可能なゴムがEPDM又はハロブチルゴムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリオレフィン樹脂が0.8MFRと5−15MFRとのプロピレンホモポリマー又はコポリマーの組合せであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記反応生成物ゴムにおいて、沸騰キシレン中に抽出される非架橋ゴムが5重量%以下になるように架橋されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応生成物ゴムにおいて、沸騰キシレン中に抽出される非架橋ゴムが5重量%より多く及び30重量%より少なくなるように架橋されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記水素化されたトリブロックコポリマーがスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
1)アクリル修飾されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)改質剤及び2)長鎖分岐ポリオレフィンの1つ又は両方を更に1.5乃至8重量%含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
LCRが75Pa−s/1200秒−1であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1の組成物を含む熱可塑性加硫組成物を含む発泡性熱可塑性エラストマー異形材。
【請求項11】
発泡異形材の製造方法であって、
a)i)25乃至30重量%の、分散相として存在する、架橋剤と架橋可能な炭化水素ゴムを部分的又は完全に加硫された反応生成物、
ii)7乃至12重量%の、連続相として存在する前記熱可塑性(ポリオレフィン)樹脂、及び
iii)8乃至22重量%の、
1)3乃至7重量%の、20℃より高く120℃より低いTmを有する、プロピレンと1つ以上のC4乃至C10アルファオレフィンとのコポリマーと、
2)3乃至15重量%の、スチレン、イソプレン、及び/又はブタジエン由来の水素化された直鎖又は分岐トリブロックスチレンコポリマーと
を含むエラストマー性熱可塑性改質剤を含む、
動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物である、融解又は溶融熱可塑性エラストマー組成物に超臨界ガスを導入することによる、発泡工程(前記重量%は組成物の総重量に基づく)と、
b)異形材に押出成形された形状を付与することができる圧力放流ダイを通じてa)を押出成形する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記動的加硫された熱可塑性エラストマー組成物が
iv)3乃至12重量%の固形充填剤、及び/又は
v)35乃至45重量%の非芳香族炭化水素オイルを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法(前記重量%は組成物の総重量に基づく)。
【請求項13】
前記超臨界ガスがNであることを特徴とする、請求項11又は12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記架橋可能な炭化水素ゴムがEPDM又はハロブチルゴムであることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記水素化されたトリブロックコポリマーがスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)コポリマーであることを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂が0.8MFRと5乃至15MFRとのポリプロピレンホモポリマー、又はコポリマーの組合せであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−511662(P2009−511662A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534525(P2008−534525)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/031835
【国際公開番号】WO2007/044123
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(591162239)アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. (14)
【住所又は居所原語表記】388 South Main Street,Akron,Ohio 44311−1059,United Stetes of America
【Fターム(参考)】