説明

熱可塑性合成樹脂ペレットの製造方法及び製造装置

【課題】水溶性の熱可塑性樹脂ペレットを容易に製造する。
【解決手段】押出装置2から押出された溶融状態のストランド1を、コンベアベルト3で受け、空冷装置4によって空冷する。中心部を残して固化したストランド1を、切断装置5によって切断してペレットを製造する。コンベアベルト3のベルト32は、ポリエチレン製のシートにポリ4ふっ化エチレンをコーティングし、さらに多数の小孔を設けているので、溶融または半溶融状態のストランド1が、このベルトの表面に溶着することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性合成樹脂ペレットの製造方法及び製造装置に関し、特に水溶性の熱可塑性合成樹脂ペレットの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、IT機器等の急速な小型化及び高性能化に伴い、これら機器等に使用されるプリント配線基板については、配線回路の微細化、高密度化、及び多層化が進行し、スルーホールについても小口径化と位置精度の向上とが要求される。プリント配線基板へのスルーホールの孔あけ加工は、捨て板上に複数枚のプリント配線用の素板を積み重ね、その最上部の素板の上に、アルミニウム製のエントリーボードを載せ、このエントリーボードの上からドリルを貫通させて、積み重ねた全部の素板に、一挙にスルーホールを形成する方法が採用されている。
【0003】
しかるに0.3mm以下の小口径のドリルによる孔あけ加工では、ドリルがエントリーボード表面で横滑りし、これにより孔あけの位置精度が低下すると共に、ドリルの折損が多発し、しかも孔の内周面に荒れを生じるという問題があった。そこで本発明者等は、これらの問題を解決すべく、アルミニウム製基板の少なくとも片面に、ポリエチレングリコールを主成分とする潤滑層を設けたプリント配線基板等の孔あけ加工用当て板を提案した(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、熱可塑性樹脂製の製品等を製造する場合には、その素材として、液状あるいは粉末状のものより、小分け、混合、包装、保管、及び取り扱い等に優れ、防爆性や防湿性等にも優れるペレットを用いる場合が多い。この熱可塑性樹脂ペレットの製造方法としては、押出装置から、熱溶融した熱可塑性樹脂を、ダイスを通して押出して、溶融状態のまま切断するホットカット法と、冷却固化して切断するコールドカット法とがある。またコールドカット法では、通常、熱溶融した熱可塑性樹脂を、ダイスを通して押出して、紐状のストランドを連続形成し、このストランドを冷却して固化し、その後所定の長さに切断してペレットを製造する。ここでストランドの冷却は、一般的に、空冷方式より、冷却効果がはるかに大きい水冷方式が採用されている。
【0005】
すなわち押出装置から押出されるストランドを、冷却水を張った水槽内を通して冷却したり、あるいは押出装置から押出されるストランドを、コンベアベルトで受け、このコンベアベルトで搬送されるストランドに、水を噴霧して冷却したりする手段が用いられている(例えば特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−9193号公報(第1−9頁)
【特許文献2】特開2006−264325号公報(第2−11頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の潤滑層を構成する熱可塑性樹脂は、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合したものであるが、この熱可塑性樹脂は、水溶性であって、溶融状態ないし半溶融状態において極めて柔らかく、かつ溶着し易い。このため特許文献2に記載したコールドカット法では、ペレットの製造が困難である。
【0007】
すなわち、水溶性であるため、押出装置から押出したストランドを、水槽や噴霧水で冷却すると、ストランドが水に溶解してしまう。したがってストランドの冷却を、水冷方式で行なうことは困難となる。一方ストランドの冷却に、空冷方式を採用する場合には、水冷方式に比べて冷却効果が小さいため、切断に適する硬さに冷却するまでに時間が掛かる。また押出装置から押し出された直後の熱可塑性樹脂は、ほぼ溶融状態のため、極めて柔らかい。そこで押出装置から連続的に押出された、ほぼ溶融状態のストランドを、一旦コンベアベルトに受けて搬送し、その搬送の間に、ストランドを空冷することが考えられる。
【0008】
しかるに、上述した熱可塑性樹脂は、溶融ないし半溶融状態において極めて溶着力が強いため、コンベアベルトで搬送中に、このコンベアベルトの表面に強固に溶着し、次の切断装置に移す場合に、このコンベアベルトから剥がれ難く、無理に剥がすと、容易に切断してしまうという問題が生じる。
【0009】
なお熱可塑性樹脂のストランドは、押出装置から、溶融状態で押出されるため、上述したポリエチレングリコールの混合体に限らず、一般的には、柔らかく、かつ溶着力が強い傾向にある。したがって水溶性の熱可塑性樹脂について、押出装置でストランドを形成して、コールドカット法によってペレットを製造する場合には、上述したポリエチレングリコールの混合体と同様の問題が生じる恐れがある。
【0010】
そこで本発明の目的は、水溶性の熱可塑性樹脂について、ペレットを容易に製造できる熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明の特徴は、押出装置から押出されたストランドをコンベアベルトで受けて搬送し、この搬送の間にストランドを空冷すること、及びこのコンベアベルトについて、溶融ないし半溶融状態のストランドが溶着し難い構成を採用したことにある。
【0012】
すなわち本発明による熱可塑性樹脂ペレットの製造方法は、溶融した水溶性の熱可塑性樹脂を押出してストランドを形成する押出し工程と、上記ストランドをコンベアベルトで搬送する搬送工程と、上記コンベアベルトで搬送されるストランドを空冷する空冷工程と、上記空冷されたストランドをペレット状に切断する切断工程とを備えている。上記コンベアベルトのベルトは、ふっ素コーティングされた合成樹脂製ベルト、またはふっ素樹脂製ベルトのいずれかであって、表裏面を貫通する多数の小孔を有する。
【0013】
上記空冷工程は、上記コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器に、冷却気体を供給するものであることが望ましい。さらに上記熱可塑性樹脂は、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合したもので構成されたものであってもよい。
【0014】
本発明による熱可塑性樹脂ペレットの製造装置は、溶融した水溶性の熱可塑性樹脂を押出してストランドを形成する押出装置と、上記ストランドを搬送するコンベアベルトと、上記コンベアベルトで搬送されるストランドを空冷する空冷装置と、上記空冷されたストランドをペレット状に切断する切断装置とを備えている。そして上記コンベアベルトのベルトは、ふっ素コーティングされた合成樹脂製ベルト、またはふっ素樹脂製ベルトのいずれかであって、表裏面を貫通する多数の小孔を有する。
【0015】
上記空冷装置は、上記コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器と、この空冷容器に冷却気体を供給する冷却気体供給装置を備えることが望ましい。
【0016】
ここで「水溶性の熱可塑性樹脂」とは、結晶性の水溶性樹脂であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、これらの共重合物で例示されるグリコール類。前述のグリコール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びセバシン酸等を反応させて得られるエステル類。前述のエステル類とピロメリット酸無水物等で例示される多価カルボン酸及びその無水物とを反応させて得られる樹脂なども該当する。これらの1種または2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0017】
また「押出し工程」または「押出装置」とは、シリンダ内で熱可塑性樹脂を溶融させつつ、スクリュー等によって、多孔ダイスから紐状のストランドを連続的に押出して形成する工程、または装置を意味する。「コンベアベルト」とは、キャタピラのように回転軸が平行な2個の主輪によって、エンドレスのベルトが移動する搬送手段を意味する。「空冷工程」または「空冷装置」とは、気体で冷却する工程、または装置を意味し、この気体は、空気に限らず、例えば炭酸ガス及び窒素ガスが該当する。またこの気体は、外気温に限らず、外気温より高く、あるいいは低く冷却されたものも含む。「切断工程」または「切断装置」とは、連続するストランドを、所定の長さのペレットに切断する工程、または装置を意味し、例えば羽根車状の回転刃の間で切断するファンカッタや、ローラーカッタが該当する。
【0018】
「ふっ素コーティングされた合成樹脂製のベルト」とは、例えばポリエチレン樹脂製のベルトに、例えばポリ4ふっ化エチレン(PTFE)をコーティングしたものを意味する。ここで「ふっ素コーティング」の材料としては、4ふっ化エチレン(PTFE)に限らず、ポリふっ化エチレンプロピレン(FEP)、4ふっ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、エチレン−4ふっ化エチレン共重合樹脂(ETFE)、ポリふっ化ビリニデン(PVDF),あるいはポリ3ふっ化塩化エチレン(CTFE)等が該当する。また「合成樹脂製のベルト」としては、ポリエチレン樹脂に限らず、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリウレタン、ふっ素樹脂、アラミド樹脂、あるいはシリコン樹脂等のベルトが該当する。
【0019】
「ふっ素樹製ベルト」とは、4ふっ化エチレン(PTFE)、ポリふっ化エチレンプロピレン(FEP)、4ふっ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、エチレン−4ふっ化エチレン共重合樹脂(ETFE)、ポリふっ化ビリニデン(PVDF),あるいはポリ3ふっ化塩化エチレン(CTFE)等のベルトが該当する。また、この「ふっ素樹脂」には、必要に応じて各種の強化繊維や充填物や添加剤を配合したものも含まれる。
【0020】
「表裏面を貫通する多数の小孔を有する」とは、ベルトの表面と裏面とに、それぞれ開口し、ベルトの厚さ方向に貫通する小孔が多数設けてあることを意味する。この「小孔」の配置は、格子状、千鳥状、放射状、あるいは年輪状等の配置が該当する。またこの「小孔」のサイズは、溶融したストランドの表層が、自重によって、この「小孔」内に殆んど入り込まず、かつ後述するように、冷却空気が通過し易い大きさである0.5mm〜5mmが望ましく、1mm〜2mmが、より望ましい。また「小孔」の断面形状は、円形に限らず、楕円形、あるいは四角等の多角形等も含まれる。
【0021】
「コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器」とは、コンベアベルトの上部側に位置する、行き方向のベルトだけ、または行き方向のベルトと下部側に位置する戻り方向のベルトとの両方について、ベルトの上部、下部及び左右を、所定の搬送長さにわたって取り巻くように構成した空冷容器を意味する。なお「空冷容器」の前後面には、ベルトが出入りする出口及び入口を、それぞれベルト自体や、このベルトに搭載されるストランド等の搬送部分が、接触しない程度の余裕を残して貫通できる開口穴にすることが望ましい。
【0022】
「冷却気体供給装置」とは、上記「冷却容器」内に「冷却空気」を供給する全ての装置を意味するが、この「冷却容器」の上側面に、ストランドの搬送方向に沿って所定の間隔毎に配置した噴出し口から、この搬送されるストランドに向けて「冷却空気」を噴出すように構成することが望ましい。さらにベルトの小孔を貫通した「冷却空気」を、「冷却容器」の下側面等から抽出して、「冷却気体供給装置」に還流させるように構成することが、より望ましい。なお「冷却気体供給装置」は、単数に限らず、複数個を並べて配置してもよい。
【0023】
「分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合したもの」とは、それぞれエチレングリコールの重合度が異なる、複数種のポリエチレングリコール
を混ぜ合せたものを意味する。例えば分子量が1万、10万、及び100万の3種のポリエチレングリコールを、それぞれ40〜60、40〜50、および1〜10重量%ずつ混ぜ合わせたものが該当する。
【0024】
周知のとおり熱可塑性樹脂は、高分子化合物であり、分子量の小さい有機物質(単量体)が、所定の化学反応条件の下に重合して巨大な分子に成長したものである。ところで有機物質の単量体を重合させた場合、一般には、重合度、すなわち分子量がそれぞれ異なる多種類の高分子が、それぞれの割合で生成され、これらの多種類の高分子が混ぜ合った状態の高分子樹脂が形成される。また一般に、分子量が小さい重合体は、流動性に富んで加工し易く、分子量が大きくなるに従い、硬くて強度が高くなる傾向にある。したがって、化学反応条件等を変化させて、低分子量側の重合体と高分子量側の重合体との重量分布を変えることによって、好ましい特性の合成樹脂を生成することができる。
【0025】
しかるにエチレングリコールの単量体を重合すると、分子量が、ほぼ同一のポリエチレングリコールだけしか生成されない。したがって、それぞれ分子量が異なる多種類の高分子が、所定の重量分布で混合することによって、好ましい特性を発揮する高分子量樹脂を生成するためには、化学反応条件等を変えて重合させた、分子量の異なる複数種の重合体をそれぞれ生成し、これらの複数種の重合体を溶融して混合させる必要がある。すなわち「分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合したもの」とは、このような分子量が異なる複数種の重合体を混合した合成樹脂を意味する。
【発明の効果】
【0026】
押出し工程によって形成された溶融状態のストランドを、コンベアベルトで受け、その搬送の間に空冷方式で冷却することによって、水溶性の熱可塑性樹脂が、水冷方式のように冷却水に溶解することなく、次の切断工程に適する硬さまで冷却することができる。ここでコンベアベルトのベルトに、ふっ素コーティングされた合成樹脂製ベルト、またはふっ素樹脂製ベルトのいずれかであって、さらに表裏面を貫通する多数の小孔を有するものを使用することによって、溶融状態ないし半溶融状態のストランドが、ベルトの表面に溶着することを確実に防止できる。したがって次の切断工程に移行する場合に、ストランドがコンベアベルトから剥がれ難く、無理に剥がすと、容易に切断してしまうことを防止できる。
【0027】
すなわち本発明者等は、鋭意研究の結果、コンベアベルトのベルト自体、またはその表面に、溶着力が低いふっ素系樹脂を使用し、さらに、このベルトに多数の貫通する小孔を設けることによって、溶融状態ないし半溶融状態のストランドが、ベルトの表面に溶着することを確実に回避できることを見出した。ここでベルトに多数の貫通する小孔を設けると、溶融状態ないし半溶融状態のストランドが、ベルトの表面と接触する面積が減少し、その分ストランドとベルトとの溶着力を低下させることができる。また搬送されるストランドを空冷する場合に、冷却気体が、この多数の小孔を通してベルトを容易に貫通するため、ストランドの全周面を冷却することができ、冷却効果を高めることができる。
【0028】
空冷工程として、コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器に、冷却気体を供給することによって、コンベアベルト上を搬送されるストランドを、いわば、ほぼ密閉状態で空冷することが可能となり、冷却効果を向上させることができる。なおストランドを冷却した冷却気体を、空冷容器から抽出し、再度この空冷容器に戻すように循環させることが可能となり、冷却気体を冷却するコストを、大幅に低減させることができる。
【0029】
本発明によるペレットの製造方法によって、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合した熱可塑性樹脂、すなわち上述したように、水溶性であって、溶融状態ないし半溶融状態において極めて柔らかく、かつ溶着し易い熱可塑性樹脂について、好適にペレットを製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1〜図3を参照しつつ、本発明による熱可塑性樹脂ペレットの製造方法、及び製造装置を詳述する。図1に示すように、本発明による熱可塑性樹脂ペレットの製造装置は、ストランド1を形成する押出装置2、このストランドを受けて搬送するコンベアベルト3、搬送されるこのストランドを空冷する空冷装置4、及び空冷されたこのストランドを切断する切断装置5を備えている。なお押出装置2、コンベアベルト3、空冷装置4、及び切断装置5で行なう製造工程は、それぞれ押出し工程、搬送工程、空冷工程、及び切断工程に対応している。
【0031】
押出装置2は、円筒状のシリンダ21と、このシリンダ内で回転する1軸式のスクリュー22と、この上部後端に設けたホッパ23と、このシリンダの先端に設けたダイス24を有している。使用に際して、ホッパ23から、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールの粉末を投入する。なお複数種のポリエチレングリコールは、例えば分子量が1万、10万、及び100万の3種のポリエチレングリコールを、それぞれ40〜60、40〜50、および1〜10重量%ずつ混ぜ合わせたものを使用する。
【0032】
ホッパ23から投入された、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールの粉末は、シリンダ21内でスクリュー22によって混練されつつ、図示していないヒータによって加熱されて溶融する。溶融されたポリエチレングリコールは、シリンダ21の先端に設けたダイス24の孔から、スクリュー22によって押出され、太さ約10mmの溶融状態のストランド1が、連続して形成される。
【0033】
ストランド1は、ダイス24の近傍下寄りに位置する、コンベアベルト3のベルト32の先端部の上面に押出される。コンベアベルト3は、前後の2の主輪31と、この主輪によってエンドレスに回転するベルト32と、このベルトの裏面に所定の間隔をもって配置された、図示しない複数のフラットローラとを有し、図示しないモータによって後方の主輪が駆動されて、このベルトを回転させる。ベルト32は、幅が45cm、移動長さが約5.3mのポリエチレン樹脂製のシートであって、図2及び図3に示すように、一辺が約1mmの小孔321が、約1mmの間隔を置いて、左右前後に格子状に配置されている。またベルト32の全表面には、厚さ3μ〜50μからなる、ポリ4ふっ化エチレン(PTFE)のコーティング層322が設けられている。
【0034】
コンベアベルト3は、空冷装置4の空冷容器41によって、ほぼ4.3mの搬送長さにわたって、上下左右を囲まれている。空冷容器41の前後面には、コンベアベルト3が出入りする出入り口が、それぞれ上下2箇所において開口している。なお出入り口は、それぞれベルト自体や、このベルトに搭載されるストランド等の搬送部分が、接触しない程度の余裕だけを残して貫通できる開口穴にしてあり、これにより空冷容器41の密閉性を向上させている。
【0035】
空冷容器41の上部には、複数のクーラ42が設けてあり、それぞれ除湿して冷却した空気を、この空冷容器の上面に設けた空気供給ノズルから、下方に位置するベルト32に吹き付ける。ベルト32に吹き付けた冷却空気は、このベルト上で搬送されるストランド1を空冷し、このベルトに開口する多数の小孔321を通って、このベルトの下方に流出する。ベルトの下方に流出した冷却空気は、空冷容器41の底面に設けた抽気口から、還流ダクト43を経由して、クーラ42に戻る。
【0036】
ストランド1は、空冷容器41内で空冷され、中心部を残して表面が固化した状態で、この空冷容器から搬出され、コンベアベルト3の後端近傍に設けられた切断装置5に移動する。切断装置5は、コンベアベルト3から搬出されたストランド1を、挟み込んで引き取る一対のローラ51と、羽根車状に設けた回転刃の間で、このストランドを所定の長さのペレットに切断するファンカッタ52と、ペレットを、外部に搬出する搬出通路53とを備えている。搬出通路53から搬出されたペレットは、選別機6によって、切断屑や粉末等が篩い分けられる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明による熱可塑性樹脂ペレットの製造方法及び製造装置は、水溶性の熱可塑性樹脂について、ペレットを容易に製造できるため、熱可塑性樹脂に関する産業に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】熱可塑性樹脂ペレットの製造装置の概略構成図である。
【図2】コンベアベルトのベルトの一部平面図である。
【図3】コンベアベルトのベルトの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ストランド
2 押出装置
21 シリンダ
22 スクリュー
23 ホッパ
24 ダイス
3 コンベアベルト
31 主輪
32 ベルト
321 小孔
322 ふっ素樹脂のコーティング層(ふっ素コーティング)
4 空冷装置
41 空冷容器
42 クーラ
43 還流ダクト
5 切断装置
51 ローラ
52 ファンカッタ
6 選別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融した水溶性の熱可塑性樹脂を押出してストランドを形成する押出し工程と、
上記ストランドをコンベアベルトで搬送する搬送工程と、
上記コンベアベルトで搬送されるストランドを空冷する空冷工程と、
上記空冷されたストランドをペレット状に切断する切断工程と
を備え、
上記コンベアベルトのベルトは、ふっ素コーティングされた合成樹脂製ベルト、またはふっ素樹脂製ベルトのいずれかであって、表裏面を貫通する多数の小孔を有する
ことを特徴とする熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記空冷工程は、上記コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器に冷却気体を供給するものである
ことを特徴とする熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、上記熱可塑性樹脂は、分子量が異なる複数種のポリエチレングリコールを混合したもので構成される
ことを特徴とする熱可塑性樹脂ペレットの製造方法。
【請求項4】
溶融した水溶性の熱可塑性樹脂を押出してストランドを形成する押出装置と、
上記ストランドを搬送するコンベアベルトと、
上記コンベアベルトで搬送されるストランドを空冷する空冷装置と、
上記空冷されたストランドをペレット状に切断する切断装置と
を備え、
上記コンベアベルトのベルトは、ふっ素コーティングされた合成樹脂製ベルト、またはふっ素樹脂製ベルトのいずれかであって、表裏面を貫通する多数の小孔を有する
ことを特徴とする熱可塑性樹脂ペレットの製造装置。
【請求項5】
請求項4において、上記空冷装置は、上記コンベアベルトの上下左右を所定の搬送長さにわたって囲んだ空冷容器と、この空冷容器に冷却気体を供給する冷却気体供給装置とを備える
ことを特徴とする熱可塑性樹脂ペレットの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−30140(P2010−30140A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194495(P2008−194495)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(506360778)
【出願人】(501428187)昭和電工パッケージング株式会社 (110)
【Fターム(参考)】