説明

熱源機

【課題】暖房運転の実行時に、使用者の意に反して、浴槽内の湯水の温度が上昇することを抑制した熱源機を提供する。
【解決手段】コントローラ7により、湯張り弁137を開弁状態とすると共に風呂ポンプ131を停止状態とする制御が行われ、且つ、コントローラ7により暖房運転が実行されている状態で、風呂流水センサ142により風呂循環回路13内に湯水が循環していることが検出され、且つ、往き温度センサ140の検出温度Toutが戻り温度センサ141の
検出温度Tinよりも所定温度以上高い状態が所定時間以上継続したときに、異常報知を行なうと共に暖房運転を禁止する異常対処手段を、コントローラ7に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の湯の追焚き機能と温水式暖房機能を備えた熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、暖房熱交換器で加熱された湯水を暖房循環回路を介して、温風暖房機や床暖房装置等の温水式暖房機に供給する暖房運転を行なうと共に、風呂循環回路及び暖房循環回路と接続されて、暖房循環回路中を流通する湯水の放熱により風呂循環回路中を流通する湯水を加熱する液々熱交換器を備えて、浴槽内の湯水を加熱する追焚き運転を行なう熱源機が知られている。
【0003】
そして、暖房運転を実行するときに、温水式暖房機と共に液々熱交換器にも温水を供給すると、液々熱交換器で無駄な放熱がなされるために、温水式暖房機に供給される熱量が減少して暖房能力が低下する。
【0004】
そこで、温風暖房機をバイパスして暖房循環回路を連通させる追焚き通路を設けて、液々熱交換器を風呂循環回路及び追焚き通路に接続すると共に、追焚き通路を開閉する追焚き弁を備え、暖房運転中は、該追焚き弁を閉弁して暖房循環回路から液々熱交換器への湯水の供給を遮断するようにして、暖房能力を確保するようにした熱源機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−77336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、追焚き通路に液々熱交換器を接続し、暖房運転中は追焚き弁の閉弁操作を行なって液々熱交換器への湯水供給を遮断した場合、暖房循環回路から液々熱交換器に温水が供給されないので、液々熱交換器において風呂循環回路内の湯水が加熱されることはないはずである。
【0006】
しかし、本願発明者らは、このように追焚き弁の閉弁操作を行なって、暖房運転を実行した場合であっても、浴槽内の湯水の温度が上昇する場合があることを知見した。そこで、本発明は、暖房運転の実行時に、使用者の意に反して浴槽内の湯水の温度が上昇することを抑制した熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、温水式暖房機と連通した暖房循環回路と、該暖房循環回路に湯水を循環させる暖房湯水循環手段と、該暖房湯水循環手段により該暖房循環回路に湯水を循環させて温水式暖房機に湯水を供給する暖房運転を実行する暖房制御手段と、浴槽と連通した風呂循環回路と、該風呂循環回路に湯水を循環させる風呂ポンプと、前記温水式暖房機をバイパスして前記暖房循環回路を連通させる追焚き通路と、該追焚き通路を開閉する追焚き弁と、該風呂循環回路及び該追焚き通路に接続されて該追焚き通路を流通する湯水からの放熱により、該風呂循環回路を流通する湯水を加熱する液々熱交換器と、前記追焚き弁を開弁して前記暖房湯水循環手段により前記暖房循環回路から前記追焚き通路に湯水を供給することにより、前記風呂ポンプにより循環させた前記風呂循環回路中の湯水を加熱して浴槽中の湯水を追焚きする追焚き運転を実行する追焚き制御手段とを備えた熱源機に関する。
【0008】
そして、本発明の第1の態様は、前記風呂循環回路から前記液々熱交換器に流入する湯
の温度を検出する戻り温度検出手段と、前記液々熱交換器から前記風呂循環回路に出湯される湯の温度を検出する往き温度検出手段と、前記追焚制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高くなったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう異常対処手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明において、前記追焚き弁が開弁状態(前記追焚き弁が開弁状態に制御されているか、前記追焚き弁が故障して閉弁が不能となっている状態)であるときに、前記風呂ポンプのON故障(風呂ポンプが作動を継続して、停止が不能となった故障)が生じると、前記追焚制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御を行っても、前記追焚き弁が開弁して前記風呂ポンプが作動した状態が維持される。
【0010】
このように、前記追焚き弁が開弁して前記風呂ポンプが作動した状態で前記暖房運転を実行すると、前記液々熱交換器により前記風呂循環回路内を循環する浴槽内の湯水が加熱されて、浴槽内の湯水の温度が上昇してしまう。そして、この場合には、前記風呂循環回路内を循環する湯水は前記液々熱交換器内を流通する際に加熱されるため、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも高くなる。
【0011】
そこで、前記異常対処手段は、前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高くなったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう。このように、前記風呂ポンプがON故障した状態で前記暖房運転が実行されたときには、異常報知を行なって使用者に暖房運転の停止操作を行うことを促し、或いは、前記暖房運転を禁止することによって、使用者の意に反して浴槽内の湯水の温度が上昇することを抑制することができる。
【0012】
また、前記異常対処手段は、前記追焚制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高い状態が、所定時間以上継続したときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なうことを特徴とする。
【0013】
かかる本発明によれば、前記異常対処手段は、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高い状態が、所定時間以上継続したときに異常報知と暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行う。このように、所定時間以上の継続を条件とすることによって、追焚き運転停止直後や、ノイズ等による前記戻り温度検出手段や前記往き温度検出手段の誤検出により、前記異常対処手段による異常報知及び暖房運転の禁止がなされることを防止することができる。
【0014】
次に、本発明の第2の態様は、前記風呂循環回路から前記液々熱交換器に流入する湯の温度を検出する戻り温度検出手段と、前記追焚き制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記戻り温度検出手段の検出温度が所定温度以上上昇したときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう異常対処手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
かかる本発明によれば、上述した第1の態様と同様に、前記追焚き弁が開弁状態であって前記風呂ポンプのON故障が生じたときに、前記暖房運転を実行すると、前記液々熱交
換器により前記風呂循環回路内を循環する浴槽内の湯水が加熱されて、浴槽内の湯水の温度が上昇してしまう。そして、この場合には、浴槽内の湯水の温度の上昇に応じて、前記戻り温度検出手段の検出温度(浴槽から前記風呂循環回路を介して前記液々熱交換器に流入する湯水の温度)が上昇する。
【0016】
そこで、前記異常対処手段は、前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記戻り温度検出手段の検出温度が所定温度以上上昇したときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう。このように、前記風呂ポンプがON故障した状態で前記暖房運転が実行されたときには、異常報知を行なって使用者に暖房運転の停止操作を行うことを促し、或いは、前記暖房運転を禁止することによって、使用者の意に反して浴槽内の湯水の温度が上昇することを抑制することができる。
【0017】
また、前記異常対処手段は、前記追焚き制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記戻り温度検出手段の検出温度が継続的に上昇して、その上昇幅が前記所定温度以上となったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なうことを特徴とする。
【0018】
かかる本発明によれば、前記異常対処手段は、前記戻り温度検出手段の検出温度が継続的に上昇して、その上昇幅が前記所定温度以上となったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう。このように、検出温度の継続的な上昇を条件とすることによって、ノイズ等による前記戻り温度検出手段の誤検出により、前記異常対処手段による異常報知及び暖房運転の禁止がなされることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の熱源機の全体構成図、図2は図1に示したコントローラの詳細図、図3は図2に示した異常対処手段による異常対処処理のフローチャートである。
【0020】
図1を参照して、本実施の形態の熱源機は、単一の缶体1内に、給湯用の第1燃焼部2−1と暖房及び追焚き用の第2燃焼部2−2とが仕切り壁1aを隔てて並設された1缶式の複合型の熱源機であり、マイクロコンピュータ等により構成されたコントローラ7によって全体の作動が制御される。なお、第2燃焼部2−2と後述する暖房ポンプ92とにより本発明の暖房湯水循環手段が構成される。
【0021】
第1燃焼部2−1は、給湯用の第1熱交換器3−1とこれを加熱する第1バーナ4−1とを有し、第2燃焼部2−2は、暖房及び追焚き用の第2熱交換器3−2とこれを加熱する第2バーナ4−2とを有する。第1燃焼部2−1と第2燃焼部2−2には共通の燃焼ファン5から燃焼用空気が供給される。
【0022】
第1バーナ4−1の燃焼排気は第1熱交換器3−1に導かれ、第1熱交換器3−1で熱交換した後に、第1熱交換器3−1及び第2熱交換器3−2の上側の排気フード6に流れて、排気フード6に形成された排気口6aから外部に排出される。同様に、第2バーナ4−2の燃焼排気は第2熱交換器3−2に導かれ、第2熱交換器3−2で熱交換器した後に、排気フード6に流れて排気口6aから外部に排出される。なお、第1バーナ4−1及び第2バーナ4−2の燃焼量に対応した量の燃焼用空気が供給されるように、コントローラ7により燃焼ファン5の回転数が制御される。
【0023】
第1熱交換器3−1には、上流側の給水路8aと下流側の出湯路8bとが接続されている。給水路8aには、流量センサ81とコントローラ7により制御される流量調節弁82とが設けられ、さらに、流量調節弁82の下流側で給水路8aと出湯路8bとを連通するバイパス通路8cが設けられ、バイパス通路8cにコントローラ7により制御されるバイパス流量調節弁83が介設されている。また、出湯路8bには、上流側の湯温センサ84と、バイパス通路8cとの合流箇所の下流側の湯温センサ85とが設けられている。
【0024】
流量センサ81と湯温センサ84,85の検出信号はコントローラ7に入力される。そして、コントローラ7は、出湯路8bの下流端のカラン86が開栓されて第1熱交換器3−1への通水が開始され、流量センサ81の検出流量が所定の下限流量以上となったときに、燃焼ファン5を駆動すると共に、第1バーナ4−1に点火して「給湯運転」を実行する。「給湯運転」に際して、コントローラ7は、湯温センサ84により検出される給湯側出湯温度が所定の高温設定温度になるように、第1バーナ4−1の燃焼量を制御すると共に、第1バーナ4−1の燃焼量が最大となっても湯温センサ84の検出温度が高温設定温度に達しないときは流量調節弁82により第1熱交換器3−1への通水量を減少させる。
【0025】
そして、コントローラ7は、湯温センサ85の検出温度がリモコン7aで設定された給湯温度になるように、バイパス流量調節弁83によりバイパス通路8cの流水量(バイパスミキシング量)を制御する。
【0026】
第2熱交換器3−2は、暖房循環回路9を介して要求湯温が比較的高い高温暖房端末である湯水式の温風暖房機10(本発明の温水式暖房機に相当する)に接続されている。なお、図1では、1台の温風暖房機が示されているが、暖房循環回路9に複数の温風暖房機10が並列接続することも可能である。暖房循環回路9は、第2熱交換器3−2で加熱された湯水を温風暖房機10に送出する暖房往き通路9aと、温風暖房機10内を流通した湯水を第2熱交換器3−2に戻す暖房戻り通路9bとにより構成されている。
【0027】
暖房戻り通路9bには、シスターン91と、コントローラ7により制御される暖房ポンプ92とが介設されている。そして、温風暖房機10の運転スイッチ(図示しない)がON操作されたときに、コントローラ7は、温風暖房機10の通水弁10aを開弁すると共に、暖房ポンプ92を駆動して、温風暖房機10と第2熱交換器3−2との間で暖房循環回路9を介して湯水を循環させる「暖房運転」を実行する。
【0028】
また、本実施の形態では、要求湯温が比較的低い低温暖房端末である床暖房パネル11(本発明の温水式暖房機に相当する)が備えられており、暖房ポンプ92の下流側の暖房戻り通路9bの部分から床暖房パネル11に至る低温暖房往き通路9cが分岐している。床暖房パネル11内を流通した湯水は温風暖房機10内を流通した湯水と合流してシスターン91に戻る。
【0029】
さらに、暖房循環回路9にはバイパス通路9dが設けられている。床暖房パネル11の運転スイッチ(図示しない)がON操作されると、コントローラ7は、床暖房パネル11の通水弁11aを開弁すると共に、暖房ポンプ92を駆動して「暖房運転」を実行する。これにより、バイパス通路9dを経由して第2熱交換器3−2に湯水が循環されると共に、暖房ポンプ92から送出される湯水の一部が床暖房パネル11に供給され、第2熱交換器3−2からの熱がシスターン91を介して床暖房パネル11に伝達される。
【0030】
暖房往き通路9aの上流部には、第2熱交換器3−2から送出される湯水の温度を検出する湯温センサ93が設けられており、湯温センサ93の検出信号がコントローラ7に入力される。そして、コントローラ7は、温風暖房機10や床暖房パネル11の運転スイッチ(図示しない)がON操作されて「暖房運転」を行なう際に、湯温センサ93で検出さ
れる暖房側出湯温度が温風暖房機10や床暖房パネル11の要求湯温となるように、第2バーナ4−2の燃焼量を制御する。なお、温風暖房機10の要求湯温は比較的高温(例えば80℃)であり、床暖房パネル11の要求湯温は比較的低温(例えば60℃)である。
【0031】
また、第2熱交換器3−2は、風呂の追焚きを行なう際の熱源としても機能する。浴槽12に接続された風呂循環回路13には、コントローラ7により制御される風呂ポンプ131と液々熱交換器132とが介設されている。また、暖房循環回路9には、暖房往き通路9aから液々熱交換器132を経由してシスターン91に至る追焚き通路9eが設けられ、追焚き通路9eにコントローラ7により制御される追焚き弁133が介設されている。なお、本実施の形態では、追焚き弁133は熱動弁であるが、ギヤドモータやステッピングモータ等を備えた電動モータ式の開閉弁を用いてもよい。
【0032】
そして、リモコン7aに備えられた追焚きスイッチ(図示しない)がON操作されると、コントローラ7は、風呂ポンプ131を駆動して風呂循環回路13に浴槽12の湯水を循環させると共に、追焚き弁133を開弁して暖房ポンプ92を駆動し、第2バーナ4−2に点火して「追焚き運転」を実行する。「追焚き運転」においては、第2熱交換器3−2で加熱された湯水が液々熱交換器132を経由して暖房循環回路9を循環し、風呂循環回路13を循環する浴槽12の湯水が液々熱交換器132で加熱される。
【0033】
風呂循環回路13と液々熱交換器132との接続箇所の付近には、戻り側に戻り温度センサ141(本発明の戻り温度検出手段に相当する)が設けられ、往き側に往き温度センサ140(本発明の往き温度検出手段に相当する)が設けられている。また、風呂循環回路13には、風呂循環回路13内を湯水が循環していることを検出する風呂流水センサ142(本発明の風呂流水検出手段に相当する)が設けられている。そして、戻り温度センサ141と往き温度センサ140と風呂流水センサ142の検出信号がコントローラ7に入力される。コントローラ7は、戻り温度センサ141の検出温度がリモコン7aで設定された追焚き温度まで上昇したときに「追焚き運転」を終了する。
【0034】
また、風呂循環回路13には、出湯路8bから分岐した湯張り注湯路135が逆止弁136を介して接続されている。湯張り注湯路135には、コントローラ7により制御される湯張り弁137が介設されており、リモコン7aに備えられた湯張りスイッチ(図示しない)がON操作されたときに、コントローラ7は、湯張り弁137を開弁し、第1熱交換器3−1で加熱された湯水を湯張り注湯路135を経由して浴槽12に供給する「湯張り運転」を実行する。
【0035】
次に、第1バーナ4−1及び第2バーナ4−2に対する燃料ガスの供給について説明する。第1バーナ4−1と第2バーナ4−2に対する共通のガス供給路40には、元弁41と比例弁42とが介設されている。そして、ガス供給路40から第1バーナ4−1の能力切換弁43S,43M,43Lを介して第1バーナ4−1に燃料ガスが供給され、また、ガス供給路40から第2バーナ4−2の能力切換弁44S,44Lを介して第2バーナ4−2に燃料ガスが供給される。
【0036】
ここで、第1バーナ4−1は、16個の単位バーナ4aで構成され、能力切換弁43Sに接続された第1単位バーナ群4−1Sは3個の単位バーナ4aを備え、能力切換弁43Mに接続された第2単位バーナ群4−1Mは5個の単位バーナ4aを備え、能力切換弁43Lに接続された第3単位バーナ群4−1Lは8個の単位バーナ4aを備えている。そして、コントローラ7は、能力切換弁43S,43M,43Lの開閉を切換えて第1バーナ4−1の燃焼量を制御する。
【0037】
また、第2バーナ4−2は、5個の単位バーナ4aで構成され、能力切換弁44Sに接
続された第1単位バーナ群4−2Sは2個の単位バーナ4aを備え、能力切換弁44Lに接続された第2単位バーナ群4−2Lは3個の単位バーナ4aを備えている。そして、コントローラ7は、能力切換弁44S,44Lの開閉を切換えて第2のバーナの燃焼量を制御する。
【0038】
次に、図2を参照して、コントローラ7には、上述した「暖房運転」を実行する暖房制御手段20と、上述した「追焚き運転」を実行する追焚き制御手段21と、上述した「湯張り運転」を実行する湯張り制御手段22と、風呂ポンプ131及び追焚き弁133の異常が生じたときに報知等を行なう異常対処手段25とが備えられている。また、リモコン7aには、複合熱源機の作動状態等を表示するための表示部31と、ブザー32とが備えられている。
【0039】
ここで、「湯張り運転」を実行すると、図1を参照して、出湯路8bから湯張り注湯路135に供給される湯は、湯張り注湯路135と風呂循環回路13との接続箇所Xから、風呂往き通路13aと風呂戻り通路13bの双方を経由して浴槽12に供給される(両搬送湯張り)。そして、「湯張り運転」の実行中に液々熱交換器132で熱交換を行なって、風呂往き通路13aを流通する湯を加熱してしまうと、風呂往き通路13aから浴槽12に、リモコン7aで設定された湯張り温度よりも高い温度の湯が供給されてしまうという不都合が生じる。
【0040】
そこで、湯張り制御手段22は、「暖房運転」の実行中に「湯張り運転」を実行するときには、追焚き弁133の閉弁操作を行なって暖房循環回路9から液々熱交換器132への湯水の流入を遮断し、これにより、風呂往き通路13aを経由して浴槽12に供給される湯が液々熱交換器132で加熱されないようにしている。
【0041】
また、追焚き弁133が開弁制御され、或いは追焚き弁133を閉弁する制御が不能となった開弁故障が生じて、追焚き弁133が開弁状態にあるときに、風呂ポンプ131を停止する制御が不能となった風呂ポンプ131のON故障が生じると、「追焚き運転」を実行していない場合であっても浴槽12内の湯水が風呂循環回路13を循環する。
【0042】
このように、追焚き弁133が開弁状態であって、風呂ポンプ131のON故障が生じているときに「暖房運転」を実行すると、「追焚き運転」を実行した場合と同様に、第2熱交換器3−2で加熱された湯水が液々熱交換器132を経由して暖房循環回路9を循環し、風呂循環回路13を循環する浴槽12の湯水が液々熱交換器132で加熱される。
【0043】
そして、これにより、使用者の意に反して浴槽12の湯水の温度が上昇し、熱さにより使用者に不快感を与えるおそれがある。そこで、異常対処手段25は、図3に示したフローチャートに従って、風呂ポンプ131がON故障した状態で「暖房運転」が実行されたときに、浴槽12の湯水の温度が上昇することを防止するための処理を行う。
【0044】
図3のSTEP1〜STEP3、STEP5、及びSTEP20は、暖房制御手段20による処理であり、「暖房運転」の実行中は、STEP1〜STEP5のループが繰り返し実行される。
【0045】
暖房制御手段20は、STEP1で「湯張り運転」の実行中であるか否かを判断する。そして、「湯張り運転」の実行中であったときはSTEP2に進み、暖房制御手段20は、STEP2で追焚き弁133を閉弁させる制御を行う。このように、「湯張り運転」の実行中は、追焚き弁133を閉弁状態とすることによって、湯張り注湯路135から風呂循環回路13を介して浴槽12に供給される湯水が液々熱交換器132で加熱され、高温の湯が浴槽12に供給されることを防止している。
【0046】
一方、STEP1で「湯張り運転」が実行中でなかったときには、STEP10に分岐して、暖房制御手段20は追焚き弁133を開弁状態とする。このように、追焚き弁133を開弁状態としておくことで、「追焚き運転」を開始する際に、熱動弁であって開弁にある程度の時間を要する追焚き弁133を開弁するときに、閉弁から開弁に切り換わるまでの待ち時間が生じることを回避することができる。
【0047】
次のSTEP3で、暖房制御手段20は、暖房ポンプ92を作動(ON)させ、STEP5で、湯温センサ93で検出される暖房側出湯温度が温風暖房機10や床暖房パネル11の要求湯温となるように、第2バーナ4−2の燃焼量を制御する暖房燃焼制御を実行する。
【0048】
STEP4及びSTEP20〜STEP24は、異常対処手段25による処理である。STEP4で、異常対処手段25は、以下の4つの条件が全て成立した状態が3分間(本発明の所定時間に相当する)継続しているか否かを判断する。
(1) 追焚き制御手段21が、風呂ポンプ131に対して動作を停止させる制御信号(OFF信号)を出力している。
(2) 風呂流水センサ142により、風呂循環回路13を循環する湯水が検出されている。(3) 湯張り弁137が閉弁状態にある。
(4) 往き温度センサ140の検出温度Toutが戻り温度センサ141の検出温度Tinより
も5℃(本発明の所定温度に相当する)以上高くなっている。
【0049】
上記(1)で風呂ポンプ131を停止する制御を行っているにも拘わらず、(2)で風呂流水センサ142により、風呂循環回路13を循環する湯水が検出されているときには、風呂ポンプ131がON故障状態となっていると判断することができる。また、(3)は湯張り
が行われているときは、風呂ポンプ131が作動していなくても風呂流水センサ142により流水が検出されるため、「湯張り運転」中を除くための条件である。
【0050】
また、(4)は、風呂流水センサ142による誤検知が生じた場合に対応するためのもの
である。ここで、風呂流水センサ142は、水流の有無に応じてその接点がON(検出状態)/OFF(非検出状態)するものであるが、風呂流水センサ142自体の磁化や異物によって、ON側(検出状態)に張り付くことが知られている。
【0051】
そして、このように、風呂流水センサ142がON側に張り付くと、実際には風呂ポンプ131がON故障状態ではなく、風呂循環回路13に湯水が循環していない場合に、風呂流水センサ142により流水が検出されて、風呂ポンプ131がON故障状態であると誤検知されてしまう。
【0052】
そこで、(4)により、往き温度センサ140の検出温度Toutが戻り温度センサ141の検出温度Tinよりも5℃を超えて高くなったことを条件とすることによって、実際に液々熱交換器132に湯水が流通していることを検出することができる。
【0053】
そして、異常対処手段25は、上記(1)〜(4)の条件が全て成立しているとき、即ち、風呂ポンプ131がON故障状態であって、追焚き弁133が開弁故障状態又は開弁制御されているときに、STEP20に分岐する。
【0054】
STEP20で、異常対処手段25は風呂ポンプ131をOFF操作し、STEP21で追焚き弁133をOFF操作する。また、続くSTEP22で暖房燃焼を停止させる。そして、異常対処手段25は、STEP23で暖房ポンプを停止して「暖房運転」を中止する。また、続くSTEP24で、異常対処手段25は、リモコン7a(図2参照)のブ
ザー32を鳴動させると共に、表示部31に風呂ポンプ131の異常が生じていることを表示する。これにより、使用者に対して、風呂ポンプ131の故障が生じていることを報知して、風呂ポンプ131の修理や交換を促すことができる。
【0055】
このように、風呂ポンプ131が開弁故障状態となったときに、「暖房運転」を中止すると共に、使用者に異常報知を行なうことによって、「追焚き運転」を行なっていないにも拘わらず、浴槽12の湯水の温度が上昇することを防止することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、STEP4において、上記(1)〜(4)の条件が全て成立しているときに、「暖房運転」の中止と異常報知とを行ったが、「暖房運転」の中止と異常報知とのうちのいずれか一方のみを行う場合にも、本発明の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、図3のSTEP4で、上記(1)〜(4)を条件として、「暖房運転」の中止と異常報知とを行ったが、以下の(5)〜(8)の条件が全て成立したときに、「暖房運転」の中止と異常報知を行なうようにしてもよい。この場合には、往き温度センサ140は不要である。
(5) 風呂ポンプ131に対して、動作を停止させる制御信号(OFF信号)を出力している。
(6) 風呂流水センサ142により、風呂循環回路13を循環する湯水が検出されている。(7) 湯張り弁137が閉弁状態にある。
(8) 戻り温度センサ141の検出温度が継続的に3度(本発明の所定温度に相当する)以上上昇した。
【0058】
また、本実施の形態では、「湯張り運転」を行なう機能を備えた複合型の熱源機を備えたが、「暖房運転」と「追焚き運転」のみを行なう熱源機に対しても本発明の適用が可能である。この場合は、上記(3),(7)の「湯張り弁137が閉弁状態にある。」の条件は不要となる。
【0059】
また、上記(2),(6)の「風呂流水センサ142により、風呂循環回路13を循環する湯水が検出されている。」の条件を省いて上記(4),(8)の温度センサによる条件のみによって、風呂ポンプ131のON故障を検知するようにしてもよい。この場合には、風呂流水センサ142は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の熱源機の全体構成図。
【図2】図1に示したコントローラの詳細図。
【図3】図2に示した異常対処手段による異常対処処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
2−1…第1燃焼部、2−2…第2燃焼部、3−1…第1熱交換器、3−2…第2熱交換器、4−1…第1バーナ、4−2…第2バーナ、7…コントローラ、9…暖房循環回路、9e…追焚き通路、10…温風暖房機、11…床暖房パネル、13…風呂循環回路、20…暖房制御手段、21…追焚き制御手段、22…湯張り制御手段、25…異常対処手段、131…風呂ポンプ、132…液々熱交換器、133…追焚き弁、135…湯張り注湯路、140…往き温度センサ、141…戻り温度センサ、142…風呂流水センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水式暖房機と連通した暖房循環回路と、該暖房循環回路に湯水を循環させる暖房湯水循環手段と、該暖房湯水循環手段により該暖房循環回路に湯水を循環させて温水式暖房機に湯水を供給する暖房運転を実行する暖房制御手段と、
浴槽と連通した風呂循環回路と、該風呂循環回路に湯水を循環させる風呂ポンプと、前記温水式暖房機をバイパスして前記暖房循環回路を連通させる追焚き通路と、該追焚き通路を開閉する追焚き弁と、該風呂循環回路及び該追焚き通路に接続されて該追焚き通路を流通する湯水からの放熱により、該風呂循環回路を流通する湯水を加熱する液々熱交換器と、前記追焚き弁を開弁して前記暖房湯水循環手段により前記暖房循環回路から前記追焚き通路に湯水を供給することにより、前記風呂ポンプにより循環させた前記風呂循環回路中の湯水を加熱して浴槽中の湯水を追焚きする追焚き運転を実行する追焚き制御手段とを備えた熱源機において、
前記風呂循環回路から前記液々熱交換器に流入する湯の温度を検出する戻り温度検出手段と、
前記液々熱交換器から前記風呂循環回路に出湯される湯の温度を検出する往き温度検出手段と、
前記追焚制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高くなったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう異常対処手段とを備えたことを特徴とする熱源機。
【請求項2】
請求項1記載の熱源機において、
前記異常対処手段は、前記追焚制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記往き温度検出手段の検出温度が前記戻り温度検出手段の検出温度よりも所定温度以上高い状態が、所定時間以上継続したときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なうことを特徴とする熱源機。
【請求項3】
温水式暖房機と連通した暖房循環回路と、該暖房循環回路に湯水を循環させる暖房湯水循環手段と、該暖房湯水循環手段により該暖房循環回路に湯水を循環させて温水式暖房機に湯水を供給する暖房運転を実行する暖房制御手段と、
浴槽と連通した風呂循環回路と、該風呂循環回路に湯水を循環させる風呂ポンプと、前記温水式暖房機をバイパスして前記暖房循環回路を連通させる追焚き通路と、該追焚き通路を開閉する追焚き弁と、該風呂循環回路及び該追焚き通路に接続されて該追焚き通路を流通する湯水からの放熱により、該風呂循環回路を流通する湯水を加熱する液々熱交換器と、前記追焚き弁を開弁して前記暖房湯水循環手段により前記暖房循環回路から前記追焚き通路に湯水を供給することにより、前記風呂ポンプにより循環させた前記風呂循環回路中の湯水を加熱して浴槽中の湯水を追焚きする追焚き運転を実行する追焚き制御手段とを備えた熱源機において、
前記風呂循環回路から前記液々熱交換器に流入する湯の温度を検出する戻り温度検出手段と、
前記追焚き制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御が行われ、且つ、前記制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記戻り温度検出手段の検出温度が所定温度以上上昇したときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なう異常対処手段とを備えたことを特徴とする熱源機。
【請求項4】
請求項3記載の熱源機において、
前記異常対処手段は、前記追焚き制御手段により前記風呂ポンプを停止状態とする制御
が行われ、且つ、前記暖房制御手段により前記暖房運転が実行されている状態で、前記戻り温度検出手段の検出温度が継続的に上昇して、その上昇幅が前記所定温度以上となったときに、異常報知と前記暖房運転の禁止とのうちの少なくともいずれか一方を行なうことを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−250547(P2009−250547A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100463(P2008−100463)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】