説明

熱現像システム及び熱現像システムの使用方法

【課題】像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未架橋感光性ポリマーを除去する改良された装置及び装置の使用方法に関する。
【解決手段】装置は、印刷要素支持及び回転手段、像様露光された印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーの軟化及び/又は溶融手段、並びに少なくとも1つの熱現像アセンブリを含む。熱現像アセンブリは、印刷要素と接触可能で、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部を除去可能な吸収材料供給手段、並びに吸収材料を印刷要素の少なくとも一部と接触させる手段を含む。吸収材料は、複数のロールで支持されるエンドレス圧ベルトで支持される。吸収材料が印刷要素表面と接触する際に、印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーが除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された熱現像レリーフ像印刷要素用システム、及びその使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量生産に使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙素材、段ボール、フィルム、フォイル、及び合板等の多様な被印刷物に対する印刷に用いられる。新聞、及び食料雑貨入れの袋(grocery bag)が主な例である。平滑性の悪い面及び伸縮性フィルムは、フレキソ印刷を用いてのみ経済的に印刷可能である。フレキソ刷版は、画像要素を開口領域の上方とした凸版である。このような版は、主にその耐性及び作製容易性により、多くの長所をプリンターに提供する。
【0003】
感光性ポリマー印刷要素は、一般的に「平らな」シート形状で使用されるが、使用目的によっては、印刷要素をcontinuous In‐The−Round(CITR)感光性ポリマースリーブとして連続円柱形状で使用するという特別な適用及び利点がある。CITR感光性ポリマースリーブは、フレキソ印刷プロセスにデジタル画像化、正確な位置決め、速い取り付け、版のリフトが無い等の利点を付加する。CITRスリーブは、壁紙、装飾用紙、ギフト用ラッピング包装紙、及びテーブルクロス等のその他の連続デザイン等、連続デザインのフレキソ印刷に利用される。CITRスリーブは、印刷の質に関してグラビア及びオフセットに対するフレキソ印刷の競争力をより高めることができる。
【0004】
製造業者が供給する標準的なフレキソ刷版は、バック層すなわち支持層、1つ以上の未露光の光硬化層、保護層すなわちスリップフィルム、及びカバーシートの順からなる多層体である。標準的なCITR感光性ポリマースリーブは、一般的に、スリーブキャリヤ(支持層)及び該支持層の上に少なくとも1つの未露光の光硬化層を有する。
【0005】
フレキソ印刷要素は、概して、光硬化性印刷ブランクを画像形成して、印刷要素表面上にレリーフ像を形成することで作製される。これは、概して光硬化性材料を化学線に選択的に露光することで達成され、該露光が作用し、照射領域で光硬化性材料を硬化すなわち架橋する。光硬化性印刷ブランクは、適切なバック層上に1つ以上の未硬化の光硬化性材料からなる層を含む。光硬化性印刷ブランクは、連続(シームレス)スリーブの形態であるか、又はキャリアスリーブに取り付ける平らな板として可能である。
【0006】
使用する感光性ポリマーは、概して、バインダー、モノマー、光開始剤、及びその他の性能添加剤を含む。感光性ポリマーは、特許文献1に記載の組成物を含み、その内容を参照することにより全体を本願に援用できる。バインダーとして、ポリスチレン−イソプレン−スチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン、ポリウレタン及び/又はチオール−エン(thiolenes)に基づく感光性ポリマー等の様々な感光性ポリマーが有効である。好適なバインダーは、ポリスチレン−イソプレン−スチレン、及びポリスチレン−ブタジエン−スチレンであり、特に好ましくは、前記のブロック共重合体である。印刷要素は、3つの関連方法の1つで化学線に選択的に露光される。第1の方法は、透過領域、及びほぼ不透過な領域を有するネガを使用して、刷版要素に対する化学線の透過を選択的に遮断する。第2の方法は、感光性ポリマー層を、レーザアブレーションされやすい化学線が(ほぼ)不透過な層で被覆する。そして、レーザを使用して、該化学線不透過層の選択された領域を除去し、その場(in situ)でネガを形成する。この手法は公知であり、特許文献2〜4に開示され、これらの各内容を参照することにより全体を本願に援用できる。
【0007】
第3の方法は、化学線の集束ビームを使用して感光性ポリマーを選択的に露光する。これらの方法はいずれも、感光性ポリマーを化学線に選択的に露光する能力の基準条件を満たして、許容可能な結果を生じるので、感光性ポリマー部分が選択的に硬化される。
【0008】
次に、印刷要素の感光性ポリマー層が現像されて、感光性ポリマー層の硬化部分に支障をきたさずに感光性ポリマーの未硬化(すなわち、未架橋)部分が除去され、レリーフ像が形成される。現像工程は、従来から、水洗洗浄、溶媒洗浄、及び熱現像(拭取り)等の様々な方法で行われている。熱現像は、現像後に、追加的な乾燥工程を必要としない有利な点があるため、版から印刷機へとより迅速に進める能力をもたらす。
【0009】
熱を使用して感光性ポリマー刷版が作製され、硬化感光性ポリマーと未硬化感光性ポリマーの溶融温度の差を利用して潜像を現像するプロセスが開発されている。このプロセスの基本パラメータは、特許文献5〜12に開示されるように公知であり、これらの各内容を、参照することにより全体を本願に援用できる。これらのプロセスにより、現像溶媒を除くこと、及び該溶媒を除去するために必要な長時間にわたる版の乾燥を除くことができる。このプロセスの速度及び効率性により、迅速な納期及び高い生産性が重要である新聞及び他の出版物印刷用のフレキソ版の製造での該プロセスの使用が可能となる。
【0010】
刷版を熱現像するために、感光性ポリマーの組成は、硬化ポリマーと未硬化ポリマーとの溶融温度に実質的な相違がなければならない。まさにこの相違によって、加熱時に感光性ポリマーへの画像形成が可能となる。未硬化感光性ポリマー(即ち、化学線に接触しない感光性ポリマー部分)は、溶融及び/又は実質的に軟化するが、硬化感光性ポリマーは、選択された温度で固体のまま変わらない。よって、溶融温度の相違により、未硬化感光性ポリマーの選択的除去が可能になり、結果的に所望の画像が形成される。
【0011】
熱現像中に、印刷要素は一般的に少なくとも約70℃に加熱される。正確な温度は、使用した特定の感光性ポリマーの性質によって決まる。しかしながら、現像温度の決定には以下の2つの要因を考慮すべきである。
1.現像温度は、下限として未硬化感光性ポリマーの溶融温度と、上限として硬化感光性ポリマーの溶融温度との間で設定するのが好ましい。これにより、感光性ポリマーの選択的除去が可能となり、画像が形成される。
2.現像温度が高いほど、工程時間はより速くなる。しかし、現像温度は、硬化感光性ポリマーの溶融温度を超える程、或いは硬化感光性ポリマーが分解してしまう程高温であってはならない。温度は、未硬化感光性ポリマーを十分に溶融、又は実質的に軟化しなければならず、その結果未硬化感光性ポリマーの除去が可能となる。
【0012】
従って、未硬化感光性ポリマーは、軟化及び/又は溶融され、除去可能である。多くの場合、軟化又は溶融した未硬化感光性ポリマーを吸収、すなわち除去する材料と、加熱した印刷要素とを接触させる。この除去プロセスは、概して「拭取り(blotting)」と称される。
【0013】
拭取りプロセスの完了後、刷版要素は、更に化学線で後露光及び/又は粘着低下(detackification)され、冷却して使用できる状態になる。
【0014】
レリーフ像刷版の製造に使用するために様々な熱現像装置が開発されているが、未硬化感光性ポリマーをより効果的に除去できる熱現像装置が技術的に必要とされている。また、熱を均一に適用でき、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面に残る未硬化感光性ポリマーを拭取材料がより十分に除去できる改良された熱現像プロセスが技術的に必要とされている。
【0015】
本発明の発明者らは、エンドレス圧ベルト(impression belt)が拭取材料を支持することで、拭取材料がよりいっそうレリーフ像印刷要素表面と接触するように拭取(吸収)材料と像様露光されたレリーフ像印刷要素表面とのより良好な接触が得られ、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未硬化感光性ポリマーがより良好に除去可能になることを見出した。
【0016】
【特許文献1】米国特許出願第10/353,446号明細書(出願日2003年1月29日)
【特許文献2】米国特許第5,262,275号明細書(Fan)
【特許文献3】米国特許第6,238,837号明細書(Fan)
【特許文献4】米国特許第5,925,500号明細書(Yang他)
【特許文献5】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献6】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献7】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0180655号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0211423号明細書
【特許文献10】国際公開第01/88615号パンフレット
【特許文献11】国際公開第01/18604号パンフレット
【特許文献12】欧州特許出願公開第1239329号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、より速いスピードで、ブロッターの消耗を減らし、ドットの損傷を減少してレリーフ像印刷要素を熱現像する装置を提供する。
また、本発明の更なる目的は、吸収性拭取材料と像様露光されたレリーフ像印刷要素表面との接触時間を増加させ、未硬化感光性ポリマーをより完全に除去する熱現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
よって、本発明は、改良された熱現像装置及びフレキソ印刷要素の画像形成表面から未硬化感光性ポリマーを除去する改良された熱現像装置を使用する方法を対象とする。
【0019】
好適な実施形態において、本発明の熱現像装置は、
a)レリーフ像印刷要素を支持、好ましくは搬送する手段、
b)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する手段、並びに
c)少なくとも1つの熱現像アセンブリを含み、
少なくとも1つの熱現像アセンブリは、
i)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触可能で、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部を除去可能な吸収材料を供給する手段、並びに
ii)吸収材料を像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触させる手段
を含み、接触手段は、互いに隣接かつ離間して配置される複数のロールで支持されるエンドレス圧ベルトの少なくとも一部での吸収材料の支持を含む。
吸収材料が像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触する際に、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーが除去される。
【0020】
一実施形態において、複数のロールがレリーフ像印刷要素から離れて配置されることで、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触する圧ベルト部分を最大とする。
【0021】
他の実施形態において、本発明の装置は、第1熱現像アセンブリと同じ構成部品を有する第2熱現像アセンブリを含む。第2熱現像アセンブリが使用されれば、第2熱現像アセンブリは、概して、レリーフ像印刷要素において第1熱現像アセンブリの反対側に配置される。
【0022】
本発明は、本発明の熱現像装置の使用方法も更に含み、方法は、下記工程を含む。
a)像様露光されたレリーフ像印刷要素を提供する工程、
b)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する工程、並びに
c)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触可能で、レリーフ像印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーを除去可能な吸収材料を供給する工程、
を含み、吸収材料をレリーフ像印刷要素の少なくとも一部と接触させるエンドレス圧ベルトの少なくとも一部で吸収材料が支持されることで、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部が吸収材料で除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、先行技術の欠点の多くを克服し、レリーフ像印刷要素の製造プロセス中に像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未架橋ポリマーを除去する改良された熱現像装置、及び該装置の使用方法を対象とする。
【0024】
当該技術分野で公知のとおり、熱現像装置において未架橋ポリマーを除去する直前に、フレキソ印刷要素を選択的に化学線に露光して、フレキソ印刷要素の画像形成部分を選択的に架橋及び硬化する。そして、印刷要素は、改良された本発明の装置を使用して熱現像され表面にレリーフ像が現れる。
【0025】
図1に示すように、本発明の装置1は、一般的に円柱状印刷マンドレル2に取り付け可能な像様露光されたレリーフ像印刷要素4を支持、好ましくは、回転、又は搬送する手段を含む。装置1は、また、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する手段を含み、該軟化及び/又は溶融手段は、赤外線、熱対流及び/又は熱伝導により印刷要素表面への熱の提供を含む。最後に、本発明の装置1は、少なくとも1つの熱現像アセンブリを含む。少なくとも1つの熱現像アセンブリは、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の少なくとも一部と接触可能な吸収材料10のウエブを供給する手段を含み、接触手段は、互いに隣接かつ離間して配置される複数のロール14及び16で支持されるエンドレス圧ベルト12の少なくとも一部で吸収材料10のウエブを支持する。
【0026】
吸収材料10は、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部を除去できるように選択される。吸収材料10が像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の少なくとも一部と接触すると、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーが除去される。
【0027】
好適な実施形態において、図1に示すように、複数のロール14及び16は、レリーフ像印刷要素4から離れて配置され、(吸収材料を介して)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の少なくとも一部と接触する圧ベルト12部分を最大とする。好ましくは、吸収材料10、圧ベルト12、複数のロール14及び16は、それぞれ、おおよそレリーフ像印刷要素4の幅である。テンションロールすなわち圧点ロールは、吸収材料を印刷要素と接触させる領域において様々な点で任意に加えることができ、接触圧力を大きくする。
【0028】
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する手段は、圧ベルト12の後ろに配置される加熱源6、及び/又はレリーフ像印刷要素4に隣接配置される加熱源8、及び/又は印刷要素と直接接触、若しくはベルトを介して接触するロール内に位置する加熱源、及び/又は吸収材料を含む。レリーフ像印刷要素4に隣接配置される加熱源8の位置は、重要ではないが、軟化及び/又は溶融した未硬化感光性ポリマーを最良に除去するために、加熱源は、レリーフ像印刷要素4が吸収材料10のウエブに接触する位置に隣接配置されるのが好ましい。加熱源6及び/又は8は、概して、赤外線加熱器、又は空気加熱器であるが、また当業者に公知である他の加熱源も本発明での使用に適している。また、ベルトは、ベルトとの接触がもたらされる加熱したプラテンを使用して加熱可能である(不図示)。好ましくは、プラテンは、高加熱した導電性金属で構成され、電気抵抗加熱要素を介して加熱される。プラテンは、どの位置に配置されてもよいが、好ましくは、複数のロール14及び16の間に配置される。また、他の方法において、軟質の加熱要素がベルトに組み込まれてもよい。
【0029】
他の実施形態において、吸収材料10は離れた吸収材料源15から圧ベルト12の表面の少なくとも一部に継続的に供給される。装置1は、また、除去した未架橋感光性ポリマーを含む吸収材料10を取り除く巻取装置(不図示)を更に含んでもよい。様々な材料が吸収材料10に使用されるが、紙、織布及び不織布が概して好ましい。使用可能な吸収材料10は、スクリーンメッシュ、及び吸収性布、例えば、ポリマー製、及び非ポリマー製の布が挙げられる。
【0030】
圧ベルト12は、圧ベルト12を支持するロールを像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4に押し付ける空気シリンダ又は油圧シリンダ(不図示)により、レリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部に対して吸収材料10を最も好ましく維持する。吸収材料10とレリーフ像印刷要素4との接触を維持する他の手段もまた当業者に公知である。熱現像アセンブリが1つだけ使用されると、圧ベルトを支持する複数のロール14及び16が第1方向に回転し、吸収材料10がレリーフ像印刷要素4上の少なくとも一部を移動し、レリーフ像印刷要素4を支持する円柱状印刷マンドレル2が反対方向に回転するのが好ましい。しかしながら、複数のロール14及び16と印刷マンドレル2の回転方向、並びに各回転速度は、本発明の実施において重要ではなく、当業者が特定の用途に対して未硬化感光性ポリマーを最良に除去するために適切な回転方向及び速度を決めることができる。熱現像アセンブリは、レリーフ像印刷要素の幅に設計可能であるか又は、レリーフ像印刷要素の幅よりも小さく設計可能であるが、その場合、熱現像アセンブリは、ほぼ表面全体が現像できるようにレリーフ印刷要素の全面にわたりらせん運動しなければならない。
【0031】
他の実施形態において、図2に示すように、本発明の装置は、第1熱現像アセンブリと同じ構成部品を有する第2熱現像アセンブリを更に含む。第2熱現像アセンブリは、レリーフ像印刷要素4において第1熱現像アセンブリの反対側に配置されるのが最も好ましい。第2熱現像アセンブリは、レリーフ像印刷要素4の少なくとも第2部分と接触可能な吸収材料20の第2ウエブを供給する第2手段、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面4の第2部分に対して吸収材料20の第2ウエブを保持する第2エンドレスベルト22を含み、第2複数のロール24及び26で支持される。
【0032】
第2熱現像アセンブリを使用することで、大きな平面機械において平らでないフロアを生じる可能性があるロールのたわみ、及び機械の剛性設計問題も最小限に、すなわちほぼ排除する。また、ブロッターと樹脂とが互いに反発し合うので、ブロッターを樹脂に押し込むために高い押力が必要であり、本発明の改良された設計上の特徴により、プロセス間に印刷スリーブを支持するためのより軽い材料(すなわち、スチール製支持軸の代わりにファイバーグラス)の使用が可能となる。
【0033】
様々な種類のレリーフ像印刷要素が、本発明の改良された装置を使用して熱現像可能である。例えば、レリーフ像印刷要素は、平らな刷版であり、真空、接着剤及び/又は機械的クランプ等の様々な手段で円柱状マンドレルに固定され、円柱状マンドレルに支持される。また、レリーフ像印刷要素は、一体化したシームレス円柱状印刷要素である。第3の方法において、印刷要素は、圧ベルトを用いてコンベヤで運ばれた平らな印刷要素であってもよく、吸収材料が印刷要素の上から接触する。
【0034】
本発明は、また、本発明の装置を使用して、レリーフ像印刷要素を現像し、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーを除去する方法を対象とする。
方法は、概して、次の工程を含む:
1)支持体に取り付けた像様露光されたレリーフ像印刷要素を提供する工程、
2)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面上の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する工程、並びに
3)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触可能な、及びレリーフ像印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーを除去可能な吸収材料を供給する工程。吸収材料は、圧ベルトの使用を介して印刷要素と接触する。
【0035】
上記のとおり、吸収材料をレリーフ像印刷要素の少なくとも一部と接触させるエンドレス圧ベルトの少なくとも一部で吸収材料が支持されるため、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部が吸収材料で除去される。圧ベルトは、互いに隣接かつ離間して配置される複数のロールで支持される。
【0036】
本発明は、また、当技術分野で公知である露光・熱現像した印刷要素を粘着低下(detacking)及び後硬化する工程を更に含んでもよい。
【0037】
本発明は、好適な実施形態に関して特に説明及び記載されるが、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者による形態及び詳細の変更は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明をより理解するために、添付の図面に関して記載が参照される。
【図1】図1は、本発明の熱現像装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の熱現像装置の更なる実施形態を示す図である。 図面中の全ての要素に対して符号を付してはいないが、同じ符号の要素は同等、又は同様の部分を示す。
【符号の説明】
【0039】
1 装置
4 レリーフ像印刷要素
10 吸収材料
12 圧ベルト
14,16 ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未架橋感光性ポリマーを除去する装置であって、
レリーフ像印刷要素を支持、好ましくは搬送又は回転する手段、
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する手段、並びに
少なくとも1つの熱現像アセンブリを含み、
少なくとも1つの熱現像アセンブリは、
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触可能で、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部を除去可能な吸収材料を供給する手段、並びに
吸収材料を像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触させる手段
を含み、接触手段は、互いに隣接かつ離間して配置される複数のロールが支持するエンドレス圧ベルトの少なくとも一部での吸収材料の支持を含み、
吸収材料が像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触する際に、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーが除去されることを特徴とする装置。
【請求項2】
複数のロールがレリーフ像印刷要素から離れて配置されることで、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触する圧ベルト部分を最大とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数のロール及び圧ベルトが、それぞれ、おおよそレリーフ像印刷要素の幅である請求項1に記載の装置。
【請求項4】
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する手段が、圧ベルトの後ろに配置される加熱源、レリーフ像印刷要素に隣接配置される加熱源、圧ベルトと接触する加熱されたプラテン、加熱されたロール、圧ベルト内に組み込まれた軟質の加熱源からなる群より選択される少なくとも1つの加熱源を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
吸収材料が、離れた吸収材料源から圧ベルト表面の少なくとも一部に継続的に供給される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
除去した未架橋感光性ポリマーを含む吸収材料を取り除く巻取装置を更に含む請求項5に記載の装置。
【請求項7】
吸収材料が、紙、織布又は不織布からなる群より選択される請求項1に記載の装置。
【請求項8】
圧ベルトが、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面に圧ベルトを押し付ける空気シリンダ又は油圧シリンダを使用してレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部に対して吸収材料を維持する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの熱現像アセンブリが、レリーフ像印刷要素の反対側に配置される2つの熱現像アセンブリを含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの熱現像アセンブリが、1つの熱現像アセンブリを含み、圧ベルトを支持する複数のロールが第1方向に回転し、レリーフ像印刷要素は反対方向に回転する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
加熱源が、赤外線加熱器、空気加熱器、電気抵抗加熱器、及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項4に記載の装置。
【請求項12】
レリーフ像印刷要素が、円柱状マンドレルに固定して支持される平らな刷版である請求項1に記載の装置。
【請求項13】
熱現像アセンブリが、レリーフ像印刷要素の幅全体にわたってらせん運動する請求項1に記載の装置。
【請求項14】
レリーフ像印刷要素が、一体化したシームレス円柱状印刷要素である請求項1に記載の装置。
【請求項15】
像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の未架橋感光性ポリマーを除去するレリーフ像印刷要素現像方法であって、
a)支持体に取り付けた像様露光されたレリーフ像印刷要素を提供する工程、
b)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面から未架橋感光性ポリマーを軟化及び/又は溶融する工程、並びに
c)像様露光されたレリーフ像印刷要素表面の少なくとも一部と接触可能で、レリーフ像印刷要素表面の軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーを除去可能な吸収材料を供給する工程
を含み、吸収材料をレリーフ像印刷要素の少なくとも一部と接触させるエンドレス圧ベルトの少なくとも一部で吸収材料が支持されることで、軟化及び/又は溶融した未架橋感光性ポリマーの少なくとも一部が吸収材料で除去されることを特徴とする方法。
【請求項16】
圧ベルトが、複数のロールで支持され、複数のロールは互いに隣接かつ離間して配置される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複数のロールがレリーフ像印刷要素から離れて配置されることで、像様露光されたレリーフ像印刷要素表面と接触する圧ベルトの吸収材料部分を最大とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
吸収材料、圧ベルト、複数のロールが、それぞれ、おおよそレリーフ像印刷要素の幅である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
未架橋感光性ポリマーは、加熱源を、圧ベルトの後ろ、及び/又はレリーフ像印刷要素に隣接配置することで溶融及び/又は軟化される請求項15に記載の方法。
【請求項20】
吸収材料を、離れた吸収材料源から圧ベルト面の少なくとも一部に継続的に供給する工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項21】
除去した未架橋感光性ポリマーを含む吸収材料を取り除き、巻き取る工程を更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
吸収材料が、紙、織布又は不織布からなる群より選択される請求項15に記載の方法。
【請求項23】
加熱源が、赤外線加熱器、空気加熱器、電気抵抗加熱器、及びこれらの組合せからなる群より選択される請求項19に記載の装置。
【請求項24】
レリーフ像印刷要素が、円柱状マンドレルに固定される平らな刷版である請求項15に記載の装置。
【請求項25】
レリーフ像印刷要素が、一体化したシームレス円柱状印刷要素である請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−544326(P2008−544326A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518125(P2008−518125)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004491
【国際公開番号】WO2007/001495
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(506314391)マクダーミッド プリンティング ソリューションズ, エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】