説明

熱異常を検出する装置及び方法

【課題】人や家畜の熱異常を効率的に見付ける検査装置及び方法を提供すること。
【解決手段】人や家畜の熱異常を検出するシステム及び方法。一実施形態において、このシステムは、検査領域における入射光の視覚画像を撮影する画像撮影コンポーネントを含み、該画像撮影コンポーネントは撮影画像中の人の目の位置のような第1の座標を判定する働きをする。このシステムは、検査領域における入射放射線の熱画像を撮影する放射線画像撮影コンポーネントを更に含み、該放射線画像撮影コンポーネントは、前撮影された光画像中の前記第1の座標に基づいて、撮影された熱画像中の分析領域を判定する働きをする。最後に、このシステムは、分析領域に関する熱特性を判定するための処理コンポーネントを更に有する。従って、熱特性がアラームイベントに対応するものであった場合、アラームを発し、人や動物を更なる健康診断のために隔離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱異常を検出する装置及び方法に関し、特に、伝染病の兆候である人や家畜の発熱を効率よく検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SARS(重症急性呼吸器症候群)のような伝染病の検出は、伝染病の拡大を防止する非常に有効な最初の段階である。空港や職場のように人通りの多い場所では、伝染病が簡単に拡大することがあり、人々の活発な行動や発散する移動経路から、伝染病を検出することは難しくなっている。SARS並びに他の伝染病の拡大を防止する最近の努力として、公衆衛生機関は、幾つかの伝染病に共通な体温上昇の兆候を示す人々を見つけ出す迅速な健康診断プロセスを開発することが求められている。人々が飛行機に乗り込んだり、工場に入ったりする前に、体温の上昇、即ち発熱を示す人々を特定することができれば、特定された人達に対してだけ更なる精密検査を実施することにより、通常ならば健康な人を精密検査することによって浪費される時間や労力をいずれも抑えることができる。
【0003】
SARSその他の伝染病の兆しは発熱であることから、従来の健康診断装置は、人々が検問所を通過する際に、体温の上昇を示す人々を迅速に識別する手段として熱探知カメラを使用している。伝染病を保有している可能性がある人々を識別するために、世界中の様々な場所にある医療施設当局は、熱探知カメラを使用して、危険な場所を通る人々の皮膚温の測定及び分析を試みている。そして、皮膚温の上昇を示す人々は、その原因を調べるために隔離され、更なる検査を受ける。
【0004】
図1は、検査領域を通過する人101が示す可能性がある皮膚温の上昇やその他の熱異常の検出に使用される従来の熱異常検出システム100を示すブロック図である。システム100は、検査領域をモニタリングする熱探知カメラ110を含み、人101は、その検査領域を整然と通過して検査を受ける。人の熱画像151が熱探知カメラ110によって撮影され、モニタ150に表示される。熱画像151の表示は、通常の人間の体温(華氏98.6度)に対する上下僅かな温度変化がモニタ150に表示されるように較正される。健康診断員(図示せず)はモニタ150を観察し、伝染病を保有している可能性がある人を識別する。その結果、健康診断員は、通常よりも高い温度を示す人に対し、精密検査に行き、その原因を調べるように要求することができる。
【0005】
熱異常検出システム100は、絶対温度0(0ケルビン)の物体は全て少なくとも幾らかの赤外線を発するという、熱放射の性質と熱探知を利用している。人間の目は赤外線を見ることができないが、熱探知カメラ110はそれを検出し、表示することができる。熱探知カメラ110は、対象物から放射された赤外線を検出し、それをモニタ150上の白黒画像又は複数色のカラー画像に変換する。モニタ150上の画像の様々な濃淡や色は、検出された熱パターンを表している。人間の体温の範囲に較正された場合、華氏98.6度よりも高い温度に対応する放射線を有する物体はいずれも、その対象の温度が較正基準よりもどれくらい高い温度であるかに応じて、黄色、橙色、赤色の濃淡で表示される。同様に、華氏98.6度よりも低い温度に対応する放射線を有する物体はいずれも、その対象の温度が較正基準よりもどれくらい低い温度であるかに応じて、青色、緑色、紫色の濃淡で表示される。
【0006】
例えば、発熱のない人101(即ち、皮膚温が通常の華氏98.6度である人)は、自然な色(例えば白)でモニタ150に表示される一方、その人の衣服や髪の毛は、青色、緑色又は紫色で表示される。ちなみに、高い熱を有する人101の場合、その人の露出した皮膚(特に、その人の額)は、その温度が較正基準よりも一般に高いので、黄色、橙色、赤色の濃淡として表示される傾向がある。従って、モニタ150を観察している健康診断員は、発熱している人101を特定し、その人101を更なる精密検査のために隔離することができる。
【0007】
図1に示す従来の熱異常検出システム100には幾つかの問題がある。特に、1つの問題は、健康診断員が、高い温度を示すモニタ150上の色の違いを懸命に探しつづけなければならないことである。従って、もし検査を受けている人101が熱いコーヒーカップを持っていれば、コーヒーカップは黄色、橙色又は赤色に見え、健康診断員は画像上でコーヒーカップの部分とその人の露出した皮膚や顔に対応する部分とを区別しなければならない。較正基準よりも高い温度を持つことが原因で、黄色、橙色又は赤色に見える物体は他にも色々とあり(例えば、ラップトップ・コンピュータ、携帯電話、ハンバーガーなど)、モニタ150を見ている健康診断員は、それらの物体も区別しなければならない。そのため、健康診断員は、通行量の多い検査領域を益々懸命に観察し続けなければならない。
【0008】
従来の熱異常検出システム100の他の問題は、温度データを正確に処理するために、複数フレームのデータを熱探知カメラ110で撮影しなければならないことである。こうした従来のシステム100を使用して正確な温度を得るためには、人101を数秒間程度その場に静止させ、その間にデータを収集しなければならない。また、熱探知カメラ110の温度測定の精度には制限がある場合もある。一般的な温度測定の精度の仕様は、目標温度の華氏±2度又は±4度(どちらか大きい方)である。そのため、通常の体温である華氏98.6度の人101が、華氏102度(発熱)の人と同じくらいの温度として表示される場合もあれば、実際に発熱している人が、華氏95度(通常温度未満)の人と同じくらいの温度として表示される場合もある。
【0009】
更に他の問題は、健康診断員の注意はその点から逸れることもあり、人為的ミスが原因で、健康診断員は熱のある人を実際に見逃してしまう場合があるということである。他の問題には、人が適切な検査を受けていない帽子をかぶっている場合があること、人が検査領域を通過するときにその人の顔が熱探知カメラの方を向いていない場合があること、健康診断員の熱画像の誤解釈により人為的ミスが発生する場合があることなどがある。要するに、図1に示す従来の熱異常検出システム100は、人為的ミスに起因した間違いを起こす可能性のあるポイントが多数存在するので、SARSのような伝染病に対処するには、貧弱な健康診断システムとなっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、人間及び/又は家畜の熱異常を検出するシステム及び方法に関する。本システムは、検査領域における入射光の視覚画像を撮影する画像撮影コンポーネントを含み、画像撮影コンポーネントは、人の目の位置のような撮影画像中の第1の座標を判定する。本システムは、検査領域における入射放射線の熱画像を撮影する放射線画像撮影コンポーネントを更に含み、放射線画像撮影コンポーネントは、撮影された撮影画像中の前記第1の座標に基づいて、撮影された熱画像中の分析領域を判定する。最後に、本システムは、分析領域に関する熱特性を判定するための処理コンポーネントを更に含む。従って、分析領域の熱特性が、人間の発熱を示す華氏98.6度の閾値を超えているといった警告イベントに対応するものであった場合、警告を発し、検査した人又は動物を、更なる精密検査のために隔離することができる。
【0011】
本システム及び方法の1つの目標は、検査プロセス中に片目又は両目の位置を判定することである。目の位置を判定することにより、熱特性を分析する対象領域の面積を大幅に狭めることができる。つまり、視覚データ画像中の目の位置が判定されれば、熱画像中のそれに対応する分析領域と呼ばれる特定の小さな領域に熱異常があるか否かを分析することができる。分析領域とは、熱画像中の目の上にある領域(即ち、額)、又は目の周りの領域(即ち、鼻筋と額)である。従って、熱画像全体について温度上昇があるか否かをチェックする代わりに、熱画像中の適当な部分だけをチェックするだけで足りる。その結果、次のような2つの利点が得られる。1つは、チェックすべき純データの量が大幅に低減され、その結果、検査時間が短縮され、リアルタイム分析に近いものになることである。もう1つは、分析領域内にある他の発熱物(例えばコーヒーやラップトップPC)により誤った警告が発せられることがなくなることである。
【0012】
本発明の上記の態様及び本発明に付随する多数の利点は、添付の図面を参照して下記の説明を読むことにより、より早く、そしてより深く理解することができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
下記の説明は、当業者が本発明を作成及び使用できるようにするために提供するものである。本明細書に記載する原理は、本発明の思想及び範囲から外れることなく、本明細書で説明している実施形態及び応用形態以外にも適用することができる。出願人は、本発明を開示した実施形態に限定することは意図していない。本発明の範囲は、本明細書に開示又は示唆されている原理及び特徴に合致するもっとも広い範囲として解釈すべきである。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による、人間の皮膚の温度上昇のような熱異常を検出するための熱異常検出システム200を示すブロック図である。一般に、システム200は、人間や家畜の温度上昇(即ち、発熱など)のような熱異常の検査に使用される。本明細書に開示している例や図は大抵、人間を検査するものになっているが、本システム及び方法は、牛や鶏のような家畜を含めて、動物にも同様に使用することができる。
【0015】
システム200は、検査対象の人201に関する画像及び熱データを撮影するためのカメラブロック200と、カメラブロック200によって撮影されたデータを受信し、それを処理するための処理ブロック220と、アラーム(警告装置)245と、データ及び/又はアラーム状態を表示するためのモニタ240とを含む。これらの構成要素のそれぞれについては、各構成要素の使用法に関する例の中で詳しく説明する。
【0016】
概して、図2のシステム200は一般に、空港や労働者検問所のような人通りの多い場所の指定検査領域において健康診断を行うように較正される。つまり、人201が検査領域を通過する際に、各人に関するデータがカメラブロック205によって収集される。図2には描かれていないが、システム200は、検問所を通過する家畜の検査にも同様に使用することができる。データは、視覚画像データ(例えば単純な写真)と熱画像データ(例えば赤外線「熱」写真)を含み、撮影されたデータは処理ブロック220に渡される。処理ブロック220はそのデータを受信し、そのデータをそのデータのタイプに応じた特定のサブシステムによって処理する。従って、視覚画像データは通常、目検出サブシステム250によって処理され、撮影された画像の詳しい視覚特性が判定される。同様に、熱画像データは熱画像処理サブシステム250によって処理され、撮影された画像の詳しい熱特性が判定される。処理されたデータは情報処理サブシステム231に渡され、何らかの熱異常が存在するか否かが判定される(即ち、皮膚の温度上昇の検出)。そして、熱異常が検出された場合は、アラーム245が作動され、及び/又は、その熱異常がモニタ240に表示される。このプロセス及び方法のについては、図6を参照して後で詳しく説明する。その後、上で簡単に述べた熱異常検出システム200の構成要素に関する詳しい説明をする。
【0017】
背景技術のところで述べたように、人201のような人々は通常、健康に不安のある人々を検査するように指定された指定検査領域を通過する。具体的には、指定検査領域を通過する全ての人201についてそれぞれ、何らかの伝染病の兆候かも知れない皮膚温の上昇があるか否かをチェックすることが望ましい。そして、人201が検査領域に入ると、カメラシステム205は、その人の顔及び/又は体に焦点を合わせ、その人201の視覚画像及び熱画像を撮影する。
【0018】
上で簡単に述べたように、カメラブロック205が人201から収集するデータには、2つのデータ集合がある。第1のデータ集合は、人201の外観(眺め)の視覚画像であり、このデータは、撮影された画像中の人の目の位置のような何らかの視覚特性の判定に使用される。第2のデータ集合は、人201の外観の熱画像であり、このデータは、撮影された画像中の人の皮膚温のような何らかの熱特性の判定に使用される。撮影されたデータの処理については、後で図3及び図4を参照して詳しく説明する。
【0019】
図2のカメラブロック205は、指定検査領域にいる人201から視覚データと熱データの両方を撮影するのに使用されるカメラ210を含む。撮影された視覚データ及び熱データは、検査領域にある対象に関する視覚特性及び熱特性に関連付けられる。カメラ210は通常、2つの入射光光路を有する。第1の光路(詳細は図示せず)は、可視光範囲の入射光(即ち、視覚データ視覚画像)を第1の画像撮影装置(詳細は図示せず)に集束させるものであり、第2の光路(詳細は図示せず)は、赤外線範囲の光(即ち、熱データの熱画像)を第2の画像撮影装置(詳細は図示せず)に集束させるものである。
【0020】
各画像撮影装置には通常、電荷結合素子(CCD)撮像装置又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)撮像装置が使用される。ただし、画像撮影装置は、処理ブロック220で使用される視覚データと熱データを撮影する機能を有していれば、いかなる装置であってもよい。一般的には、CMOS撮像装置の方がCCD撮像装置に比べて安価であるが、場合によっては、CMOS撮像装置の方がCCD撮像装置に比べて、赤外線波長/近赤外線波長における感度が優れていることもある。そのような視覚画像データや熱画像データの撮影は、技術的に既知のものであるから、本明細書では詳しく説明しない。
【0021】
図示していない他の実施形態において、カメラブロック205は2つのカメラ210を有し、各カメラ210を特定のデータ撮影作業に専用に使用する場合がある。即ち、カメラブロック205は、視覚データを撮影するための第1の視覚画像撮影カメラと、熱データを撮影するための第2の熱画像撮影カメラとを含む場合がある。そのため、この実施形態の場合、カメラブロック205内の各カメラは、各タイプのデータの撮影に専用に使用される独立したカメラである。
【0022】
更に他の実施形態において、カメラブロック205は、光路を一本だけ有する単一のカメラと、単一の画像撮影装置とを含む場合がある。ただし、この実施形態では、画像撮影装置を作動させる補助的なスイッチング回路を使用して、デュアル撮影モードを実現している。デュアル撮影モードでは、第1のステップにおいて、画像撮影装置を視覚データを撮影するように設定して視覚データを撮影し、第2のステップにおいて、画像撮影装置を熱データを撮影するように設定して熱データを撮影するというように、2ステップの撮影処理が繰り返される。この場合も、画像撮影装置を視覚データの撮影と熱データの撮影の両方に使用することは、技術的に既知のことであるから、本明細書では詳しく説明しない。
【0023】
視覚データと熱データはカメラブロック205によって収集され、データ線211を介して処理ブロック220に渡される。カメラブロック205と処理ブロック220の間のデータ線211には通常、シリアル通信リンクが使用される。ただし、パラレル通信リンク、イーサネット(R)リンク、無線伝送リンクなどのような他のタイプの伝送媒体を使用してもよい。データは、処理ブロック220内の、そのデータのタイプに対応するサブシステムによって受信される。従って、視覚データは目検出サブシステム250によって受信され、熱データは熱画像撮影サブシステム260によって受信される。あるいは、データは、カメラブロックインタフェース(図示せず)を介して、処理ブロック220内のローカルシステムバス221(これはバス221を制御するプロセッサに接続されている)に直接送信される場合がある。
【0024】
処理ブロック220は通常、処理ブロック220内におけるデータの受信、処理及び送信を制御する中央演算処理装置(CPU)230を含む。一般に、CPU230は、システムバス221を介して様々な他のブロック、メモリ及びサブシステムを制御する。従って、CPU230は、直接又はシステムバス221を介して、目検出サブシステム250における視覚データの受信や、熱画像撮影サブシステム260における熱データの受信を管理及び制御することができる。
【0025】
処理ブロック220は、目検出サブシステム250によって受信された視覚データ及び熱画像撮影サブシステム260によって受信された熱データを処理及び分析するための情報処理サブシステム231を更に含む場合がある。情報処理ブロック231はシステムバス221にも接続され、CPU230によって制御される。処理ブロック220は、システムバス221に接続され、CPU230によって制御されるメモリ232を含む場合がある。このメモリ232は、プログラム、サブルーチン、撮影されたデータ及び処理済みのデータの記憶に使用される。
【0026】
視覚データと熱データを撮影し、処理し、分析した後(詳細は後で説明する)、CPU230は、ディスプレイ・インタフェース233を介して、モニタ240上にデータの表示241を行う場合がある。また、CPU230は、その分析結果がアラームイベントに対応するものであるか否かを判定し、システムバス221に接続されたアラーム245を作動させる場合がある。
【0027】
上記のサブシステムは互いに協働し、熱異常をモニタリングすることにより、人間や家畜の健康診断を実施する。熱異常には、皮膚温の上昇、非常に低い皮膚温、あるいは、片目又は両目の目の周りの領域の温度が通常範囲(例えば人間の場合、華氏98.6度など)外の温度にあるといった他の任意の判定が含まれる。熱異常が検出されると、それにより、その検査対象物を更なる検査のために隔離すべきことを知らせるアラーム245その他の指示が発せられる(モニタ240に表示される)。これらのサブシステムのそれぞれについては、以下で詳しく説明する。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態による図2の目検出サブシステム250を示すブロック図である。図3は独立したサブシステムとして描かれているが、本明細書に記載する目検出サブシステム250が、単独のコンピュータ環境や分散コンピュータ環境、あるいはネットワークコンピュータ環境において実施することもでき、それらを組み合わせた環境において実施することも可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、図2の目検出サブシステム250は完全に処理ブロック220の中にあるものとして描かれているが、それは目検出サブシステム250に関する本発明の制限ではなく、視覚画像データの撮影や処理を行うように設計された種々のコンポーネントの単なるグループ分けを示しているに過ぎない。目検出サブシステム250は、画像撮影コンポーネント又はサブシステムと呼ばれることもある。
【0029】
目検出サブシステム250の1つの目標は、検査プロセスにおいて、片目又は両目といった、人や動物の特定の特徴の位置を判定することである。これらの特徴は、興味のあるポイントと呼ばれることもあり、これらの特徴を識別することができれば、放射線検出領域、又は、簡単に分析領域(以下で説明する)の面積を狭めるのに役立つ。この実施形態では、目の位置を検出することにより、熱特性を分析する対象領域の面積を大幅に縮小している。即ち、視覚データ画像中の目の位置が判定されれば、熱画像中のそれに対応する分析領域と呼ばれる特定の狭い領域に熱異常があるか否かを分析することができる。分析領域は、熱画像中の目の上にある領域(即ち、額)、又は、目の周りの領域(即ち、鼻筋と額)である。従って、熱画像全体について温度上昇があるか否かをチェックする代わりに、熱画像中の適当な部分だけをチェックするだけで足りる。その結果、次のような2つの利点が得られる。1つは、チェックすべき純データの量が大幅に低減され、その結果、検査時間が短縮され、リアルタイム分析に近いものになることである。もう1つは、分析領域内にある他の発熱物(例えばコーヒーやラップトップPC)により誤った警告が発せられることがなくなることである。
【0030】
一般に、人の目の位置を判定するためには、何らかのタイプの検出器又は撮像装置を使用して、人の顔に関する二組の視覚データを撮影する。そして、その二組のデータを互いに分析し、人の目の位置を判別する。なぜなら、人の目は、入射光に対する反応が、他の物体とは少し違うからである。要するに、人の目が開いているときは、人の顔に関する2枚の微妙に違う画像の差を取ると、目の瞳は強調される。なぜなら、人の網膜からの拡散反射は軸上画像からしか検出されないからである(即ち、人の目を真っ直ぐに覗き込むと、従来のフラッシュ写真撮影におけるような「レッドアイ」と呼ばれる強烈な瞳が生成される)。従って、人の顔の直線上画像(即ち、「軸上」画像)を「軸外」画像と比較すると、他の顔の特徴や環境的特徴は除去され、瞳330だけが優位な特徴として差分画像340に残る。このことは、図3の差分画像340において、視覚画像に残された顔の特徴が人の目330だけであることから、よく分かるであろう。
【0031】
従って、図3に示す差分画像の場合、目検出サブシステム250は、二組の視覚データを生成するために軸上装置310と軸外装置311を含む場合があり、それらのデータから、人の目の位置を判定するのに必要となる差分画像340を生成する場合がある。後で様々な実施形態のところで説明するように、軸上装置310及び軸外装置311には、独立したカメラ、複合カメラシステム、個別の撮像素子、光源、又はそれらの任意の組み合わせが使用される場合がある。
【0032】
人の網膜からの差分反射率を得るときの重要な原理は、光源と検出器の間の角度(この角度は照明角と呼ばれることがある)に対する網膜反射率の依存性である。画像センサに対する光源の位置は、他の条件の影響も受ける。画像間の差分をうまくとり、反射する網膜に対応するスポットを得るためには、2つの異なる照明角の条件下における視野の残りの部分(人の顔、服装、周囲の環境)の発光特性が、十分に似ていることが望ましい。例えば、片側軸上光源からの光により生成される影が、第2の軸外光源によって生成される影とは大きく異なることは望ましくない。
【0033】
従って、一実施形態において、軸上装置311には、軸上に配置された入射光光源を使用する撮像素子が使用される一方、軸外装置310には、軸外に配置された入射光光源を使用する撮像素子が使用される場合がある。顔の表面(特に、網膜反射による人の目)からの光の反射の差を利用すれば、差分画像340において人の目をそれ以外のものから十分に区別することができる。
【0034】
他の実施形態において、装置310及び装置311は、異なる波長の光を使用する場合がある。例えば、第1の装置310には、800nmの入射光光源を使用する撮像素子が使用される一方、第2の装置311には、950nmの入射光光源を使用する撮像素子が使用される場合がある。画像を波長や偏光のような何らかの光特性によって2枚の画像を区別できる場合、動きアーチファクトを無くすために、2枚の画像を同時に収集してもよい。第1の光源から発せられる光の波長は、第2の光源から発せられる光の波長とは異なる場合がある。従って、光は実質的に同時に発せられる場合がある。一実施形態では、強い網膜反射を生み出す方の波長が第1の光源(軸上装置311に関連する光源。実際には軸上であってもなくても関係ない)に使用され、2つの波長のうちの残りの波長が第2の光源(軸外装置310に関連する光源)に使用される場合がある。従来のシリコンベースの撮像素子(検出器)で測定した場合、一般に、網膜反射信号は、波長800ナノメートル(nm)対950(nm)のときに比較的強くなる。従って、この例では、短い方の波長を軸上装置311に使用することが望ましい。このように、入射光光源の波長の僅かな違いにより、差分画像340において人の目を他のあらゆるものから十分に区別することができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、差分画像340は、軸上光源と軸外光源を使用して生成された2枚の画像間の差として得られる。画像間の差をとることにより、人の目が開いていれば、比較的暗い背景に対して比較的明るいスポット(即ち、人の目330)が残るであろう。目の他の特徴の痕跡が背景に残る場合もある。しかしながら、一般的には、人の目330は背景に対して目立つものになるだろう。目が閉じていた場合、又はほとんど閉じていた場合、差分画像340に明るいスポットは現れないであろう。
【0036】
図3において、人205は、目検出サブシステム250の方を真っ直ぐに向いているものとして描かれている。しかしながら、人205は、目検出サブシステム250に対して他の方向を向いていてもよい。人が見ている方向の間には角度が形成され、その角度は凝視角と呼ばれることがある。上で定義した軸上角及び軸外角が、凝視角によって変化することはない。網膜反射が凝視角によって受ける影響は比較的小さい。そのため、人205の頭や目が目検出サブシステム250に対して頻繁に動いていても、それが、目検出サブシステム250の効率や信頼性に大きな影響を与えることはない。
【0037】
他の実施形態では、単一の撮像素子を3つの光源とともに使用する場合がある。そのような実施形態の1つにおいては、第1の光源を撮像素子の軸上に配置し、第2の光源及び第3の光源を撮像素子の軸外にある異なる2つの異なる位置に配置する場合がある。この実施形態では、第1の光源と第2の光源を連続して使用することにより、1つの差分画像を得ることができ、第1の光源と第3の光源を連続して使用することにより、もう1つの差分画像を得ることができる。これらの別々の差分画像の使用すれば、網膜からの反射光とグレアを簡単に区別することができる。一般に、網膜反射はそれら2枚の差分画像においてほぼ同じになる一方、グレアは必ずしも同じにはならない。その理由は、第2の光源の照明によるグレアは、第3の光源の照明によるグレアとは必ずしも同じにならないからである。
【0038】
どんな方法を使用して二組の視覚データを得た場合でも、2枚の画像間の差をとることにより、目330の位置は特定される。この処理は簡単に言えば、差分画像内に明るいスポットが存在するか否かの判定である。画像の分析には、もう少し複雑な処理方法を使用することもできるが、そうした処理方法を使用する必要はない。従って、目検出サブシステム250の処理要件は低減することができる。また、処理が反復性のものであることから、目検出サブシステム250には、特定用途向けIC(ASIC)などを使用してもよい。あるいは、CMOS撮像素子を使用した場合、画像処理は、センサと同じチップ上で実施してもよい。いずれの場合も、画像処理は迅速且つ安価に実現することができる。
【0039】
目の位置を判定した後、分析領域を決め、次に熱画像撮影サブシステム260は分析領域のみに関する熱画像データを撮影する。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態による図2の熱画像撮影サブシステムを示すブロック図である。この場合も、図4には個別のサブシステムが描かれているが、本明細書に記載する熱画像撮影サブシステム260の機能が、独立したコンピュータ環境でも、分散コンピュータ環境でも、ネットワークコンピュータ環境でも実施することができ、また、それらの任意の組み合わせにおいて実施することも可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、図2の熱画像撮影サブシステム260は完全に処理ブロック220の中に描かれているが、それは、熱画像撮影サブシステム260に関する本発明の制限ではなく、熱画像データの撮影や処理を行うように設計された種々のコンポーネントの単なるグループ分けを示しているに過ぎない。熱画像撮影サブシステム260は、放射線画像撮影コンポーネント又はサブシステムと呼ばれることもある。
【0041】
熱画像撮影サブシステム260は熱画像撮影カメラ410を含む。熱画像撮影カメラ410は、図2のカメラブロック205の一部であってもよい。通常、熱画像撮影カメラ410は、人205の熱画像440のような熱画像を撮影する。この熱画像は、差分画像340とともに、熱異常の分析や検出に使用される。熱画像440は、目検出サブシステム250によって撮影された視覚画像に対応する、人の顔の熱表現(熱画像)430を含む。従って、熱画像440の情報を差分画像340に関連付けるために、熱画像撮影カメラは通常、目検出サブシステム250の画像撮影装置に非常に近い位置に配置される。また、熱画像撮影カメラは、2本の光路又はスイッチングサイクルを使用する視覚画像カメラと全く同じものであってもよい。
【0042】
目検出サブシステム250によって収集されたデータ(即ち、識別検出された目330のX−Y座標を有する差分画像)と、熱画像撮影サブシステムによって収集されたデータ(即ち、熱画像440)は、情報処理サブシステム(図2の230)へ送信される。情報処理サブシステム231はそのデータを受信し、差分画像のX−Y座標を熱画像440上の領域に関連付ける。従って、XY座標の周りのデータを分析するだけで足りる。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態により図2の情報処理サブシステムを使用して得られた分析画像540を示す図である。見てのとおり、分析領域530は、図示のように何らかの熱画像データを含む。従って、情報処理サブシステム231は、分析領域530について熱異常があるか否かを分析するだけで足りる。
【0044】
多数の熱異常により、アラームイベントが発せられる場合がある。例えば、分析領域530内のどこかのポイントの温度が閾値(例えば、華氏99.6度)を超えていた場合、アラームが発せられる。他の例として、分析領域全体について温度を分析し、その平均温度が閾値を超えていた場合、アラームが発せられる場合もある。また、より正確な結果を得るために、その平均温度は、過去数回のプロセスの繰り返しに基づいて計算された移動平均であってもよい。他の熱異常には、目以外の部分の高温の検出、分析領域530における非常に低い温度の検出などが含まれる。更に他の熱異常も考えられるが、簡単にするために、ここで説明はしない。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態による人又は家畜の熱異常を検出する方法を示すフロー図である。当然ながら、図6のフロー図の方法は、考えられる熱異常を検出する多数の方法のうちの1つであり、本発明に記載する方法によって本発明のシステムの使用が制限されることはない。
【0046】
この方法はステップ601から始まり、そこでまず、図2の熱異常検出システム200のような熱異常検出システムを始動させ、熱異常検出システムを熱異常の検査領域をモニタリングするように設定する。この検査領域は例えば空港や工場であり、検査領域を通過する人々が、通過する全ての人について視覚データと熱データの両方を収集するカメラブロックを通過するように構成される。その結果、ステップ603において、目検出サブシステムは、カメラブロックによって収集された視覚データを受信し、前述のようにして受信した視覚データの差分画像を生成する。ステップ605においてシステムは、目検出サブシステムによって収集された視覚データを分析することにより、人の有無をチェックし続ける。目検出サブシステムによって片目又は両目が検出されると、この方法は、検査領域から更に熱データを収集する手順に移る。人(即ち、目)が何も検出されない場合、プロセスは、ステップ603へループバックし、検出を続けるために視覚データを収集する。あるいは、システムは、このプロセスの残りの部分を作動させるためのIDカードを検出するように設定される場合がある。即ち、人は、熱検出プロセスを開始させるIDカードをIDカードを挿入する場合がある。このIDカードの存在は、検査領域に分析の用意ができた人が居ることを示すものである。
【0047】
目検出サブシステムが片目又は両目を検出すると、あるいはIDカードの存在を検出すると、このプロセスは次に、検査領域から熱データを収集し(ステップ621)、検出sれた目の位置のXY座標を判定する(ステップ607)。次に、ステップ623及びステップ613のそれぞれにおいて、熱データ及びXY座標を情報処理サブシステムに送信する。あるいは、視覚データは情報処理サブシステムに送信され、情報処理サブシステムで差分画像を生成し、目のXY座標を判定するようにしてもよい。
【0048】
ステップ625において、情報処理サブシステムは、受信した(又は生成された)XY座標に基づいて、収集された視覚データ中の分析領域を判定する。前述のように、この分析領域は、熱画像撮影サブシステムによって収集された熱画像中の、単一のポイントである場合もあれば、周辺領域である場合もあれば、一部である場合もある。分析領域を決めた後、ステップ627において情報処理サブシステムは次いで、その分析領域の温度特性を判定する。従って、熱異常があれば、それはステップ629で判定される。異常が何も検出されない場合、プロセスはステップ603へループバックし、次の検出された目又はIDカードのチェックを行う。しかしながら、分析領域の平均温度が高いといった熱異常が検出された場合、プロセスは次に、ステップ631において熱アラームを設定し、システム管理者によってリセットされるまでそのアラーム状態に留まる。
【0049】
図7は、本発明の一実施形態による、図2の熱異常検出システムのトリガとしてIDカードリーダ(IDカード読み取り装置)を備えた熱異常検出システムを示すブロック図である。このシステムは、処理ブロック720に接続されたIDカードリーダ707を有する。図2のシステム200の場合と動揺に、システム700も、処理ブロックに接続されたカメラブロックを有する。また同様に、このシステムも、処理ブロックに接続されたモニタ740及びアラーム745を有する。
【0050】
このようなシステムでは、IDカード702を持った人が検査領域に入り、IDカード702をIDカードリーダ707に挿入する場合がある。IDカードの挿入をトリガとして、カメラブロック705は、前述のようにその人に関する視覚データ及び熱データの収集を開始する。次いでその視覚データと熱データは、熱異常検出のために処理ブロック720へ送信される。分析結果はモニタに表示され、及び/又は、熱異常が検出された場合分析結果をトリガとしてアラーム745が発せられる場合がある。従って、その人は、挿入したIDによって識別されるとともに、検出された熱異常の原因を調べるために二次検査領域に入るように要求される場合がある。
【0051】
IDカードリーダ707は、検査領域に存在する人や動物を識別する機能を有するものであれば、いかなる識別装置であってもよい。代替実施形態において、この識別装置は、動物に取り付けられた無線周波数タグ(RFタグ)やチップである場合もある。そして、動物をトラックなどに搭載する前に、牛や鶏のような家畜に識別装置をタグ付けし、検査領域を通して検査する場合がある。
【0052】
本発明には様々な変形実施形態や代替構成があるが、そのうちの幾つかが図面に描かれ、明細書で説明されている。しかしながら出願人は、本発明を開示した特定の実施形態に制限するつもりはなく、全ての変形、代替構成、及び均等を本発明の範囲に含めることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】検査領域を通過する人が示す可能性がある皮膚温の上昇その他の熱異常を検出するのに使用される従来の熱異常検出システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、人の皮膚温の上昇のような熱異常を検出する熱異常検出システムを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による図2の目検出サブシステムを示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による図2の熱画像撮影サブシステムを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による図2の情報処理サブシステムを示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による人や家畜の熱異常を検出する方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態による、IDカードリーダを図2の熱異常検出システムのトリガ手段として備えた熱異常検出システム700を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱異常を検出するシステムであって、
検査領域における入射光の視覚画像を撮影する画像撮影コンポーネントであって、特徴を持つ画像を撮影するように構成され、該特徴は、撮影画像内の該特徴に関連する座標を有する、画像撮影コンポーネントと、
前記検査領域における入射放射線の熱画像を撮影する放射線画像撮影コンポーネントであって、該熱画像は前記検査領域の一部である分析領域を含み、該分析領域は、撮影された光画像中の前記特徴の座標に基づいて決定される、放射線画像撮影コンポーネントと
からなるシステム。
【請求項2】
撮影される前記画像内の特徴は、人の目である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分析領域は、人の目の周りの領域である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分析領域は、人の目の上の領域である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記特徴は動物の目であり、該動物は家畜である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像撮影コンポーネント及び前記放射線画像撮影コンポーネントに接続され、前記特徴に関連する座標の位置を判定し、該座標の位置に基づいて、前記分析領域を決定するように動作するプロセッサを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記分析領域における放射線が所定の閾値を超えた場合、信号を生成するように動作する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定の閾値は、華氏約98.6度に対応する限界放射線である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
熱異常を検出する方法であって、
検査領域の画像を撮影するステップであって、該画像が、視覚特性と熱特性の両方を持つものである、画像を撮影するステップと、
撮影された画像中の興味のあるポイントの位置を識別するステップであって、該興味のあるポイントは目に対応するポイントである、識別するステップと、
撮影された画像内の分析領域を前記興味のあるポイントの位置に基づいて判定するステップと、
前記分析領域の少なくとも1つの熱特性を判定するステップと
からなる方法。
【請求項10】
前記画像を撮影するステップは、前記画像の視覚特性の第1の集合を撮影するための第1の視点、前記画像の視覚特性の第2の集合を撮影するための第2の視点、及び、前記画像の熱特性の集合を撮影するための視点の視野からなる複数の視点から前記画像を撮影することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記興味のあるポイントの位置を識別するステップは、前記第1の視点から得られた前記視覚特性の第1の集合を前記第2の視点から得られた前記視覚特性の第2のい集合と比較し、前記興味のあるポイントだけを示す差分視覚画像を生成することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分析領域を判定するステップは、目に関連する額を含む目の周りの領域を前記分析領域として判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記分析領域の少なくとも1つの熱特性を判定するステップは、前記分析領域における熱放射が限界放射レベルを超えているか否かを判定することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
熱放射が人の平均体温に対応する限界レベルを超えているか否かを判定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
熱放射が、動物の平均対応に対応する限界レベルを超えているか否かを判定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記熱放射が前記限界レベルを超えていた場合、アラームを作動させることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
検査領域における入射光の視覚画像を撮影する画像撮影コンポーネントであって、特徴を持つ画像を撮影するように構成され、該特徴は、撮影画像内の該特徴に関連する座標を有する、画像撮影コンポーネントと、
前記検査領域における入射放射線の熱画像を撮影する放射線画像撮影コンポーネントであって、該熱画像は前記検査領域の一部である分析領域を含み、該分析領域は、撮影された光画像中の前記特徴の座標に基づいて決定される、放射線画像撮影コンポーネントと、
前記画像撮影コンポーネント及び前記放射線画像撮影コンポーネントに接続され、前記特徴に関連する座標の位置を判定し、該座標の位置に基づいて、前記分析領域を決定するように動作するプロセッサと、
前記プロセッサに接続され、識別カードを読み取り、前記画像撮影コンポーネント及び前記放射線画像撮影コンポーネントによる前記画像の撮影を開始させる、識別デバイス読み取り装置と
からなる熱異常検出システム。
【請求項18】
前記プロセッサに接続され、撮影された光画像及び撮影された熱画像を表示するように構成されたモニタを更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサに接続され、撮影された前記熱画像の熱特性が所定の限界放射レベルを超えていないという判定が前記プロセッサによりなされた場合に開かれ、前記熱画像の少なくとも1つの熱特性が前記所定の限界放射レベルを超えているという判定が前記プロセッサによりなされた場合に閉じられる閉じたままにされるゲートを更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサに接続され、撮影された前記熱画像の少なくとも1つの熱特性が所定の限界放射レベルを超えている場合、視覚的アラームを表示し、可聴アラームを作動させるアラーム装置を更に含む、請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−231065(P2006−231065A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49906(P2006−49906)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】