説明

熱硬化性コーティングを有するマイクロ波加熱パッケージ

電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる構造体(100)は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有するパネル(102)と、マイクロ波エネルギーに曝されると発熱する、第1の表面の少なくとも一部を被覆するマイクロ波エネルギー相互作用材料(112)と、第2の表面の少なくとも一部を被覆する熱安定性コーティング(122)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる種々のパッケージ及び構造体に関し、特に電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる種々のパッケージ及び構造体に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年6月30日付で出願された米国特許仮出願第60/818,358号(その全体は参照により本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
電子レンジは、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げることが理想的な多くの品、例えば、フライドポテト、春巻、ピザスナック及びチキンナゲットを包含する様々な食品を加熱する便利な手段を提供する。しかしながら、電子レンジは、このような食品を不均質にしか加熱処理(cook)しないきらいがあり、また外表面を十分に加熱し、焦げ目を付け且つかりかりに焼き上げるように望ましく調節することできるものではない。結果として、このような食品の焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを改善するように多くのパッケージが考案されている。かかるパッケージとしては、例えば、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーへと変換して食品の焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを促す1つ又は複数のマイクロ波エネルギー相互作用(interactive:双方向性)要素が挙げられ得る。場合によっては、熱エネルギーが、パッケージを形成する種々の他の構成部材、例えば、パッケージの外面の印刷物又は他のコーティングへと移行することによって、コーティングがわずかに軟化することがある。このようなコーティングがパッケージの底面にある場合、軟化したコーティングは電子レンジのターンテーブル又は床面(まとめて「床面」)に接着するきらいがあり得る。結果として、パッケージを電子レンジから取り出すときに、コーティングの一部がターンテーブル又は床面へと移り、このためユーザーが洗浄するか又は取り除く必要のある見かけの悪い染み又は痕跡を残す可能性がある。この現象は一般的に「ピッキング(picking)」と称されるものである。したがって、見かけの悪いピッキングを起こすことなく又はパッケージコーティングを電子レンジの床面に移すことなく、電子レンジにおいて所望の程度に食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる、改善された材料及びパッケージに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は概して、電子レンジにおいて1つ又は複数の食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる、種々のスリーブ、パウチ、トレー、カートン、パッケージ、システム、又は他の構造体(まとめて「構造体」)、このような構造体を形成する種々の材料及びブランク(blanks)、このような構造体を製造する種々の方法、及び電子レンジにおいて1つ又は複数の食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる種々の方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による構造体は、第1の表面と第2の表面とを有する、少なくとも1つのパネル、部分又はセグメントを備え、ここで、例えば、第1の表面が構造体の内表面又は構造体の食品接触面に対応し、且つ第2の表面が第1の表面に対向するパネル表面に対応する。第2の表面は構造体の外表面、例えば、電子レンジの床面に接触するように意図されるか又は接触し得る表面であり得る。
【0006】
一態様において、食品(単数又は複数)のマイクロ波加熱、焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを高めるか、又はそうでなければ改善する少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素は、構造体の少なくとも1つのパネル又は部分の第1の表面の少なくとも一部を覆うか又は被覆する。マイクロ波エネルギー相互作用要素は、焦げ目を付け且つ/若しくはかりかりに焼き上げるための要素、遮蔽要素、エネルギーを方向付ける(directing:誘導する)ための要素、又は任意の他の適切な要素であってもよい。ある特定の例では、マイクロ波エネルギー相互作用要素は、マイクロ波エネルギーに曝されると加熱し、それにより近接する食品の焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを高める傾向にあるサセプタ又はサセプタフィルムを備える。
【0007】
別の態様では、コーティングが、構造体の少なくとも1つのパネル又は部分の第2の表面の少なくとも一部を被覆するか又は覆う。コーティングは、インク、染料、ワニス及び/又は他の成分の1つ又は複数の層を含み得る。少なくとも最外層は熱安定性コーティングを備える。より詳細には、コーティングの少なくとも最外層又は一部は耐熱性コーティングを備える。一態様において、耐熱性コーティングは、熱エネルギー即ち熱に曝されたときに軟化又は変形する傾向にない熱硬化性ポリマーを含む。任意の熱硬化性ポリマー、例えば、紫外線(UV)放射又は電子線(EB線又はE線)放射を用いて硬化されるコーティングを使用してもよい。限定するものではないが本明細書中に記載のものを含む多くのコーティングが、本発明による使用に検討される。
【0008】
さらに別の態様では、構造体は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有する少なくとも1つのパネル、部分又はセグメントを備え、ここで、マイクロ波エネルギー相互作用要素、例えばサセプタ又はサセプタフィルムが第1の表面の一部を被覆し、熱硬化性ポリマーを含むコーティングが第2の表面の少なくとも一部を被覆する。構造体がマイクロ波エネルギーに曝されると、マイクロ波エネルギー相互作用要素の温度が上昇する。熱は構造体のパネル、部分又はセグメントを通って幾らか移行するが、コーティングは軟化し難い。さらにパネル、部分又はセグメントを電子レンジの床面に接して置きマイクロ波エネルギーに曝した場合であっても、このコーティングは電子レンジの床面に実質的に接着することもなく、又は電子レンジの床面へ実質的に移らない。熱硬化性コーティングは、UV放射若しくはE線放射、化学架橋又はその他を用いて硬化されたものであってもよい。
【0009】
本発明のさらなる態様、特徴及び利点は以下の説明及び添付の図面から明らかとなろう。
【0010】
添付の図面を参照して説明するが、幾つかの図面全体を通して同じ参照符号は同じ部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明によって使用され得る閉じた形状の例示的なカートンを概略的に示す図である。
【図1B】開いた形状の図1Aのカートンを概略的に示す図である。
【図1C】裏返した形状の図1Aのカートンを概略的に示す図である。
【図2A】本発明によって使用され得る閉じた形状の別の例示的なカートンを示す図である。
【図2B】着脱可能な部分が明示される裏返した形状の図2Aのカートンを概略的に示す図である。
【図2C】着脱可能な部分をカートンの残りの構成部材から分離させた、裏返した形状の図2A及び図2Bのカートンを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は概して、電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる、カートン、パウチ、スリーブ、パッケージ、又は他の構造体(まとめて「構造体」)に関する。構造体は概して熱安定性コーティングを備える。一態様において、耐熱性コーティングは外表面の少なくとも一部を被覆する。別の態様では、構造体が、任意にインク又は他の物質で被覆される、熱硬化性ポリマーコーティング(本明細書中では「熱硬化性コーティング」と称されることもある)を含む少なくとも1つの外表面を備える。構造体はまた、1つ又は複数のマイクロ波エネルギー相互作用要素を備えていてもよい。このような要素の1つは、熱硬化性コーティングと対向する表面、例えば、同じパネルの反対側を被覆していてもよい。典型的な熱可塑性コーティングとは異なり、熱硬化性コーティングは、食品を加熱するときに軟化し難い。このため、熱硬化性コーティングが構造体の底面を被覆する場合でも、コーティングは加熱中、原型を保ったままである。これは、見かけの悪いピッキング又は他の傷跡(marring)をもたらすきらいのある熱可塑性コーティングに対して有利である。
【0013】
図1A〜図1Cは、本発明によって使用され得る例示的な従来のカートン100を図示している。カートン100は、ベースパネル即ち底面パネル102(図1C)と、複数の直立壁104と、上部パネル106と、蓋フラップ(closure flap)108とを備える。底面パネル102、壁104及び上部パネル106は、開いた形状のカートン100を図示する図1Bに示すような、1つ又は複数の食品(図示せず)を収容する内部空間110を規定する。
【0014】
さらに図1Bを見ると、マイクロ波エネルギー相互作用要素112(濃い点描で概略的に示される)は、上部パネル106の内表面114の少なくとも一部をマイクロ波エネルギー相互作用要素112によって規定するように、上部パネル106の内面の少なくとも一部を被覆し、これと接合していてもよい。同様に、マイクロ波エネルギー相互作用要素116(濃い点描で概略的に示される)は、底面パネル102の内表面118の少なくとも一部をマイクロ波エネルギー相互作用要素116によって規定するように、底面パネル102の内面の少なくとも一部を被覆し、これと接合していてもよい。
【0015】
一例では、マイクロ波エネルギー相互作用要素112及び116の少なくとも1つが、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーへと変換するサセプタ(サセプタフィルムとして典型的に提供される)を備える。別の例では、少なくとも要素116は、サセプタ(サセプタフィルムとして典型的に提供される)を備える。このような要素は、カートン100内で加熱される食品の加熱、焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを高めるのに使用され得る。以下に詳細に記述するように、他のマイクロ波エネルギー相互作用要素も本発明による使用に検討される。
【0016】
図1Cは、底面パネル102の外面が明示される裏返した形状のカートン100を図示しており、底面パネル102の外面には、複数の波線を含む図1Cに概略的に示される図形、テキスト及び/又は他の情報(まとめて「情報」)120が据えられていてもよい。かかる情報120はカートン100に印刷されても又は他の方法で付けられてもよい。耐熱性コーティング122(図1C中、薄い点描で概略的に示される)は情報120を被覆することによって、底面パネルの外表面124の少なくとも一部を規定し得る。コーティング122は、製造、搬送、販売、貯蔵及び使用中に磨耗又は他の損傷から印刷情報120を保護するオーバープリントワニスとして機能する。
【0017】
一態様において、コーティング122は熱硬化性ポリマーを含むため、熱エネルギー、即ち熱の存在下における軟化に耐性がある。電子線放射、紫外線放射、化学物質開始剤を用いて、又は任意の他の技法を用いて、コーティング122を架橋又はそうでなければ硬化してもよい。本発明によって検討される種々のコーティングとしては、着色剤、均染剤、又は当業者に認識される任意の他の添加剤が挙げられ得る。他のパネルは所望であればこのようなコーティングを備えていてもよい。
【0018】
1つの例示的な方法に従ってカートン100を使用するために、1つ又は複数の食品(本明細書中では概して「食品」とすることもある(図示せず))を、底面パネル102上にマイクロ波エネルギー相互作用要素116を設けたカートン100の内部空間110に入れてもよく又は準備しておいてもよい。かかる表面118は食品載置(food-bearing:食品支持)表面として機能する。上部パネル106を下向きに折り、フラップ108をカートン100の内部110に折り込んで閉じた位置で固定することができる。食品を内部に有するカートン100は、底面パネル102を電子レンジの床面又はターンテーブル(本明細書中では概して「床面」と称される)に設置するように電子レンジに入れられ得る。このように、表面124は電子レンジ接触表面として機能する。その後、典型的にパッケージの指示書に従って食品を加熱することができる。
【0019】
カートン100をマイクロ波エネルギーに曝すと、サセプタパッチ112及び116はマイクロ波エネルギーを熱エネルギーへと変換させ、その後この熱エネルギーを食品の近接部へと移行させることができる。熱はサセプタパッチ116から底面パネル102を通じて底面パネル102の外表面120へと幾らか移行することもあるが、本発明のコーティング122は軟化に耐性がある。結果として、カートン100は、見かけの悪い「ピッキング」をもたらすことなく、又はコーティング122及び/若しくは印刷情報120を電子レンジのターンテーブル若しくは底面に移すことなく、電子レンジから取り出すことができる。
【0020】
多くの熱硬化性コーティングが本発明による使用に適切であり得る。一般に、約250°F〜約425°Fの温度範囲を有する典型的なマイクロ波加熱温度において変形、流出又は軟化に耐性のあるコーティングであれば、いずれのコーティングも使用し得る。選択される特定のコーティングは、限定するものではないが、架橋前後のコーティングの物理特性及び化学特性、熱硬化性コーティングの美観特性、食品加熱用途に用いられるコーティングの安全性、及び当業者によって認識される様々な他の要因を含む様々な要因に応じて決まり得る。特定用途について考えられ得るこのような特性の例としては、分子量、分子量の分布、ガラス転移温度、架橋密度、光沢、摩擦係数、インク、紙及び板紙に対する接着性、硬化し易さ、高温における水及び水蒸気の存在下における性能、並びに不快且つ/又は危険な副生成物を発生させることのない、マイクロ波サセプタ温度に対する耐性能が挙げられ得るが、これらに限定されない。一般的に、高い分子量、ガラス転移温度及び/又は架橋密度を有するポリマーは、低い分子量、ガラス転移温度及び/又は架橋密度を有するポリマーよりもピッキングに耐性があると言われている。しかしながら当然のごとく、本発明に用いられるコーティングを選択するときには任意の多くの特性が検討され得る。
【0021】
本発明に使用するのに適切であり得るコーティングの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、又はアクリロニトリルのポリマー又は共重合体を含む、架橋性(即ち、硬化性)アクリルコーティングが挙げられる。ある特定の例において、コーティングは硬化性アクリレートコーティング、例えば、UV硬化性アクリレートコーティングを含み得る。他の例としては、フェノール系ポリマー、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、及びシリコーンポリマーが挙げられる。しかしながら、多くの他の熱硬化性ポリマー又は自己架橋ポリマーを含有するか、それらから成るか、それらから基本的に成るか、又はそれらを含む多くの他のコーティングが、本発明によって用いられ得る。
【0022】
コーティングは、特定用途の必要に応じて又は所望であれば、任意の適切な「乾燥」コーティング重量(又は単に「コーティング重量」)を有し得る。一例では、コーティング重量が約0.5〜約5グラム/平方メートル(gsm)である。より具体的な例では、コーティング重量が約1gsm〜約2gsmである。
【0023】
図2A〜図2Cは、本発明に使用するのに適切であり得る別の例示的なカートン200を概略的に示す。カートン200は、実質的に直立な壁206によって結び付けられる、対向関係の第1のパネル202及び第2のパネル204を備える。第1のパネル202、第2のパネル204、及び壁206は合わせて、1つ又は複数の食品(図示せず)を収容する内部空間208を規定する。第1のパネル202の外面には、波線で概略的に図示される印刷情報210が据えられる。耐熱性コーティング212(薄い点描で概略的に示される)は、印刷情報210を実質的に被覆し、第1のパネル202の外表面214の少なくとも一部を規定する。
【0024】
図2Bは、第2のパネル204の外面を概略的に示す、裏返した形状のカートン200を描写している。第2のパネル204は、破線(score line)、ミシン線(tear line)又は他の分断線218で規定される着脱可能な部分216を備える。この例では、着脱可能な部分216が実質的に正方形の形状をとる。しかしながら、多くの他の規則的な形状及び不規則な形状を用いてもよい。
【0025】
図2Cを見ると、着脱可能な部分216が第2のパネル204の残部から分離してカード216を形成し、カートン200の内部空間208が現れ得る。図2Cに示されるように、マイクロ波エネルギー相互作用要素220(濃い点描で概略的に示される)は、カード216の内表面222の少なくとも一部をマイクロ波エネルギー相互作用要素220によって規定するように、カード216の内面の少なくとも一部を被覆し、これと接合していてもよい。同様に、マイクロ波エネルギー相互作用要素224(濃い点描で概略的に示される)は、底面パネル202の内表面226の少なくとも一部をマイクロ波エネルギー相互作用要素224によって規定するように、第1のパネル202の内面の少なくとも一部を被覆し、これと接合していてもよい。マイクロ波エネルギー相互作用要素220及び224のいずれか又は両方は、典型的にサセプタフィルムとして設けられるサセプタを備えていてもよい。
【0026】
1つの例示的な方法によれば、加熱前に、食品載置表面として機能する第1のパネル202の内表面220上に食品(複数可)を配置してもよい。カード216を内部空間208内の食品の上部に置き、マイクロ波エネルギー相互作用要素220を食品の表面と近接及び/又は密接させる。このため、着脱可能な部分又はカード216は食品を被覆する上部パネルとして機能し、パネル202は電子レンジの床面上に設置される底面パネルとして機能する。この構成では、耐熱性の熱硬化性コーティング212が電子レンジの床面に接触する。
【0027】
マイクロ波エネルギーに曝されると、マイクロ波エネルギー相互作用要素220及び224、例えば、サセプタは、熱エネルギー即ち熱を発生させる傾向にあり得る。熱の少なくとも一部はパネル202を通じて、第1のパネル202の反対側の印刷情報210及びコーティング212へと移行する可能性がある。加熱後、構造体200を電子レンジから取り出すことができる。典型的な熱可塑性コーティングは電子レンジの床面に接着するきらいがあるが、本発明によって用いられる耐熱性の熱硬化性コーティング212は典型的に原型を保ったままである。
【0028】
多くの他の構造体が本発明によって用いられ得る。限定するものではないが一例として、本発明は、任意の他のカートン、パウチ、スリーブ、カード、トレー、台、シート、包装材、又は任意の他の容器で具現化され得る。様々な構造体は、任意の形状、例えば、三角形、正方形、長方形、円形、楕円形、五角形、六角形、八角形又は任意の他の形状を有し得る。構造体の形状は、加熱される食品(単数又は複数)の形状及び分割サイズによって定めることができ、種々のパッケージが、種々の食品及び食品の組合せ、例えば、生地から成る食品、衣の付いた食品、サンドイッチ、ピザ、フライドポテト、ソフトプレッツェル、チキンナゲット又はチキンストリップ、フライドチキン、一口ピザ(pizza bites)、チーズスティック、ペストリー、生地、春巻、スープ、ディップソース、グレービーソース、野菜等について検討されることを理解されたい。
【0029】
前述のように、種々の構造体は、食品の加熱又は加熱処理の際にマイクロ波エネルギーの作用を改質する1つ又は複数のマイクロ波エネルギー相互作用要素を備え得る。例えば、構造体は、食品の特定領域の焦げ目付け及び/若しくはかりかりの焼き上げを促すか、食品の特定領域をマイクロ波エネルギーから遮蔽して焼き過ぎを防ぐか、又はマイクロ波エネルギーを食品の特定領域に向けて若しくはそれから遠ざけて透過させる、1つ又は複数のマイクロ波エネルギー相互作用要素を備えていてもよい。各マイクロ波相互作用要素は、特定のマイクロ波加熱用途の必要に応じて又は所望であれば、マイクロ波エネルギーを吸収するか、マイクロ波エネルギーを透過するか、マイクロ波エネルギーを反射するか、又はマイクロ波エネルギーを方向付ける、特定の構成で配置される1つ又は複数のマイクロ波エネルギー相互作用材料又はセグメントを含む。マイクロ波相互作用要素は、取扱い易くするために且つ/又はマイクロ波相互作用材料と食品との接触を防ぐように、マイクロ波不活性基材又はマイクロ波透過性基材上に支持されてもよい。便宜上限定するものではないが、マイクロ波透過性基材上に支持されるマイクロ波相互作用要素は、マイクロ波相互作用要素又は成分及びマイクロ波不活性要素又は成分を両方とも含み、このような構造体を本明細書中では「マイクロ波相互作用ウェブ」称することがある。
【0030】
一例として、マイクロ波相互作用要素は、マイクロ波エネルギーを吸収することによって食品との接触面で発熱する傾向があるマイクロ波相互作用材料の薄層を備え得る。かかる要素は食品の表面の焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを促すのに使用されることが多い。このような要素は、フィルム又は他の基材上に支持される場合、「サセプタフィルム」又は単に「サセプタ」と称されることがある。このような要素は図1A〜図2Cに関連して記述される。
【0031】
別の例としては、マイクロ波相互作用要素は、食品の1つ又は複数の選択部分をマイクロ波エネルギーから遮蔽するのに十分な厚さを有する箔を含んでいてもよい。遮蔽要素は、食品を加熱の際に焦がすか又はパサパサに乾燥させるきらいがある場合に使用され得る。
【0032】
遮蔽要素は種々の材料から形成することができ、特定用途に応じて種々の構成を有し得る。典型的には、遮蔽要素は導電性且つ反射性の金属又は合金、例えば、アルミニウム、銅又はステンレス鋼から形成される。遮蔽要素は一般的に約0.000285インチ〜約0.05インチの厚さを有する。一態様において、遮蔽要素は約0.0003インチ〜約0.03インチの厚さを有する。別の態様では、遮蔽要素は、約0.00035インチ〜約0.020インチ、例えば、0.016インチの厚さを有する。
【0033】
さらに別の例では、マイクロ波相互作用要素は、セグメント化された箔、例えば、限定するものではないが、米国特許第6,204,492号、同第6,433,322号、同第6,552,315号、及び同第6,677,563号(これらの全体は各々参照により援用される)に記載されているものを含んでいてもよい。セグメント化された箔は連続的なものではないが、このようなセグメントの適当に間隔を開けた配置は、多くの場合、マイクロ波エネルギーを食品の特定領域へ方向付ける透過性要素として機能する。セグメント化された箔はまた、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる要素、例えばサセプタと併用してもよい。
【0034】
本明細書中に記載されるか又は本明細書により検討される任意の多くのマイクロ波相互作用要素は実質的に連続的なもの、即ち、実質的な切れ目又は途切れのないものであっても、又は例えば、マイクロ波エネルギーを透過させる1つ又は複数の切れ目又は開口を備えることによる不連続的なものであってもよい。切れ目又は開口は、食品の特定領域を選択的に加熱するようにサイズを変更し且つ配置することができる。このような切れ目又は開口の数、形状、サイズ及び配置の特性は、形成される構造体の種類、構造体内又は構造体上で加熱される食品、遮蔽、焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げの所望の程度、食品の加熱を均質にするのにマイクロ波エネルギーへの直接曝露が必要か又は望ましいか否か、直接加熱によって食品の温度変化を調節する必要性、並びに通気の必要性があるか否か及び通気の必要性がどの程度あるのかに応じて、特定用途について変えることができる。
【0035】
当然のことながら、開口は、構造体を形成するのに用いられる材料中の物理的開口又は空隙であっても、又は非物理的「開口」であってもよい。非物理的開口は、不活性化によってマイクロ波エネルギーに不活性となる構造体の一部、又はそうでなければ、マイクロ波エネルギーに透過性である構造体の一部であり得る。それゆえ例えば、開口は、マイクロ波エネルギー活性材料を用いずに形成された構造体の一部であってもよく、又は代替的には不活性化されたマイクロ波エネルギー活性材料を用いて形成された構造体の一部であってもよい。物理的開口及び非物理的開口は両方とも、マイクロ波エネルギーによって食品を直接的に加熱させるが、物理的開口は、水蒸気又は他の蒸気を食品から逃がす通気機能ももたらす。
【0036】
典型的な電子レンジ加熱温度、例えば、約250°F〜約425°Fにおいて軟化、焦げ、燃焼又は崩壊に耐性を示す材料であれば、種々の材料が、本発明の多くの構造体を形成する上で用いられるのに適切であり得る。このような材料としては、本発明の種々のコーティングを含む、マイクロ波エネルギー相互作用材料、及びマイクロ波エネルギー透過性材料又は不活性材料が挙げられ得る。
【0037】
例えば、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、導電性材料又は半導体材料、例えば、金属箔として提供される金属若しくは合金、真空蒸着された金属若しくは合金、又は金属粉インク、有機インク、無機インク、金属ペースト、有機ペースト、無機ペースト、又はそれらの任意の組合せであり得る。本発明に使用するのに適切であり得る金属及び合金の例としては、アルミニウム、クロム、銅、インコネル合金(ニオブを含むニッケル−クロム−モリブデン合金)、鉄、マグネシウム、ニッケル、ステンレス鋼、スズ、チタン、タングステン、及びそれらの任意の組合せ又は合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は金属酸化物を含んでいてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の例としては、必要であれば導電性材料と併用される、アルミニウム、鉄及びスズの酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に使用するのに適切であり得る金属酸化物の別の例は酸化インジウムスズ(ITO)である。ITOは、加熱作用、遮蔽作用、焦げ目を付け且つ/若しくはかりかりに焼き上げる作用、又はそれらの組合せをもたらすマイクロ波エネルギー相互作用材料として用いられ得る。例えば、サセプタを作製するために、ITOを透明なポリマーフィルム上にスパッタリングしてもよい。スパッタリングプロセスは典型的に金属付着に用いられる蒸着プロセスよりも低温で起こる。ITOはより均質な結晶構造を有し、それゆえ大抵のコーティング厚さで透明である。また、ITOは、加熱作用又は電界制御(field management)作用のいずれかに用いることができる。ITOはまた金属よりも欠損をあまり有しないため、アルミニウム等の金属の厚いコーティングよりも電界制御に適切なITOの厚いコーティングを作製し得る。
【0039】
代替的には、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、適切な導電性、半導体型、又は非導電性の人工誘電体又は強誘電体を含んでいてもよい。人工誘電体は、ポリマー系又は他の適切なマトリクス若しくはバインダに細分化される導電性材料を含み、これらとしては導電性金属、例えばアルミニウムのフレークが挙げられ得る。
【0040】
上述のように、本明細書により検討される上記要素及び多くの他の任意のものが基材上に支持され得る。基材は典型的に、絶縁体、例えばポリマーフィルム又は他のポリマー材料を含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」又は「ポリマー材料」は、ホモポリマー、共重合体、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互共重合体、ターポリマー等、並びにそれらのブレンド及び修飾物を包含するが、これらに限定されない。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、全ての可能性のある分子の幾何学構造を包含するものとする。これらの構造としては、アイソタクチック、シンジオタクチック且つランダムな対称構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
フィルムの厚さは典型的に約35ゲージ〜約10ミルであり得る。一態様において、フィルムの厚さは約40ゲージ〜約80ゲージである。別の態様では、フィルムの厚さは約45ゲージ〜約50ゲージである。さらに別の態様では、フィルムの厚さは約48ゲージである。適切であり得るポリマーフィルムの例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、セロハン、又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
一例では、ポリマーフィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。ポリエチレンテレフタレートフィルムは市販のサセプタ、例えば、共にGraphic Packaging International(Marietta, Georgia)から入手可能なQWIKWAVE(登録商標)Focusサセプタ及びMICRORITE(登録商標)サセプタに使用されている。基材として用いられるのに適切であり得るポリエチレンテレフタレートフィルムの例としては、DuPont Teijan Films(Hopewell, Virginia)から市販されるMELINEX(登録商標)、SKC, Inc.(Covington, Georgia)から市販されるSKYROL、及びToray Films(Front Royal, VA)から市販されるBARRIALOX PET、並びにToray Films(Front Royal, VA)から市販されるQU50 High Barrier Coated PETが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
ポリマーフィルムは、種々の特性、例えば、印刷適性、耐熱性、又は任意の他の特性をマイクロ波相互作用ウェブに与えるように選択されてもよい。ある特定の例として、ポリマーフィルムは、水バリア、酸素バリア、又はそれらの組合せを与えるように選択されてもよい。このようなバリアフィルム層は、バリア特性を有するポリマーフィルムから又は所望であれば任意の他のバリア層又はコーティングから形成され得る。適切なポリマーフィルムとしては、エチレンビニルアルコール、バリアナイロン、ポリ塩化ビニリデン、バリアフルオロポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6、共押出されたナイロン6/EVOH/ナイロン6、酸化ケイ素でコーティングされたフィルム、バリアポリエチレンテレフタレート、又はそれらの任意の組合せが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0044】
本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムの一例は、Honeywell International(Pottsville, Pennsylvania)から市販されるCAPRAN(登録商標)EMBLEM 1200Mナイロン6である。適切であり得るバリアフィルムの別の例は、同様にHoneywell Internationalから市販されるCAPRAN(登録商標)OXYSHIELD OBS一軸延伸共押出されたナイロン6/エチレンビニルアルコール(EVOH)/ナイロン6である。本発明に使用するのに適切であり得るバリアフィルムのさらに別の例は、Enhance Packaging Technologies(Webster, New York)から市販されるDARTEK(登録商標)N−201ナイロン6,6である。さらなる例としては、上に示される、Toray Films(Front Royal, VA)から入手可能なBARRIALOX PET、及びToray Films(Front Royal, VA)から入手可能なQU50 High Barrier Coated PETが挙げられる。
【0045】
さらに他のバリアフィルムとしては、Sheldahl Films(Northfield, Minnesota)から入手可能なもの等の、酸化ケイ素でコーティングされたフィルムが挙げられる。それゆえ、一例において、サセプタは、フィルム上にコーティングされる酸化ケイ素の層と、酸化ケイ素上に付着されるITO又は他の材料とを有する、フィルム、例えばポリエチレンテレフタレートを含む構造を有し得る。必要に応じて又は所望であれば、個々の層を加工処理中の損傷から防護するようにさらなる層又はコーティングを設けてもよい。
【0046】
バリアフィルムは、ASTM D3985を用いて測定される場合、約20cc/m/日未満の酸素透過率(OTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約10cc/m/日未満のOTRを有する。別の例では、バリアフィルムは約1cc/m/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.5cc/m/日未満のOTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1cc/m/日未満のOTRを有する。
【0047】
バリアフィルムは、ASTM F1249を用いて測定される場合、約100g/m/日の水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。一例において、バリアフィルムは約50g/m/日未満のWVTRを有する。別の例では、バリアフィルムは約15g/m/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約1g/m/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.1g/m/日未満のWVTRを有する。さらに別の例では、バリアフィルムは約0.05g/m/日未満のWVTRを有する。
【0048】
金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース系材料、又はそれらの任意の組合せ等の他の非導電性基材材料も本発明によって使用し得る。
【0049】
マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意の適切な方法で基材に塗布してもよく、場合によっては、マイクロ波エネルギー相互作用材料を、基材上に印刷、押出し、スパッタリング、蒸発又は積層してもよい。マイクロ波エネルギー相互作用材料を任意のパターンに任意の技法を用いて基材に塗布して、食品の所望の加熱作用を得ることができる。
【0050】
例えば、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、円、環、六角形、島、正方形、長方形、及び八角形等を含む連続的又は不連続的な層又はコーティングとして提供されてもよい。本発明に使用するのに適切であり得る種々のパターン及び方法の例は、米国特許第6,765,182号、同第6,717,121号、同第6,677,563号、同第6,552,315号、同第6,455,827号、同第6,433,322号、同第6,414,290号、同第6,251,451号、同第6,204,492号、同第6,150,646号、同第6,114,679号、同第5,800,724号、同第5,759,422号、同第5,672,407号、同第5,628,921号、同第5,519,195号、同第5,424,517号、同第5,410,135号、同第5,354,973号、同第5,340,436号、同第5,266,386号、同第5,260,537号、同第5,221,419号、同第5,213,902号、同第5,117,078号、同第5,039,364号、同第4,963,424号、同第4,936,935号、同第4,890,439号、同第4,775,771号、同第4,865,921号、及び米国再発行特許第34,683号(これらの全体は各々参照により本明細書中に援用される)に提示されている。マイクロ波エネルギー相互作用材料のパターンの具体例を本明細書に示して説明するが、マイクロ波エネルギー相互作用材料の他のパターンが本発明によって検討されることを理解されたい。
【0051】
マイクロ波相互作用要素又はマイクロ波相互作用ウェブは、寸法安定性のあるマイクロ波エネルギー透過性支持体(以後、「マイクロ波透過性支持体」、「マイクロ波不活性支持体」又は「支持体」と称される)に接合されるか又はそれを被覆して、構造体を形成し得る。
【0052】
一態様において、例えば、剛性構造体又は半剛性構造体が形成される場合、支持体全体又は一部は、構造体に使用する前にブランクとして切り出され得る板紙材料から少なくとも部分的に形成され得る。例えば、支持体は、約60 lbs/ream〜約330 lbs/ream(lb/3000平方フィート)、例えば、約80 lbs/ream〜約140 lbs/reamの坪量を有する板紙から形成されてもよい。板紙は一般的に約6ミル〜約30ミル、例えば、約12ミル〜約28ミルの厚さを有し得る。ある特定の例では、板紙が約12ミルの厚さを有する。任意の適切な板紙、例えば、Graphic Packaging Internationalから市販されるSUS(登録商標)ボード等の固体漂白硫酸塩ボード又は固体無漂白硫酸塩ボードが使用され得る。
【0053】
代替的には、可撓性構造体が形成される場合、例えば、支持体は、上記のようなポリマー又はポリマー材料を含み得る。本発明に使用するのに適切であり得るポリマーの例としては、ポリカーボネート;ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びそれらの共重合体;ポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、例えば共押出されたポリエチレンテレフタレート;ビニルポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化酢酸ビニル、ポリビニルブチラール;アクリル樹脂、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、及びポリメチルメタクリレート;ポリアミド、例えばナイロン6,6;ポリスチレン;ポリウレタン;セルロース樹脂、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロース;任意の上記材料の共重合体;又は任意のブレンド若しくは組合せが挙げられるが、これらに限定されない。他の材料が本明細書により検討される。
【0054】
別の態様では、支持体が、概して約15 lbs/ream〜約60 lbs/ream、例えば、約20 lbs/ream〜約40 lbs/reamの坪量を有する紙又は紙ベースの材料を含み得る。ある特定の例では、紙が約25 lbs/reamの坪量を有する。
【0055】
任意に、本明細書に記載されるか又は本明細書により検討される種々のブランク又は他の構造体の1つ又は複数の部分は、単独又は組合わせでワニス、クレイ又は他の材料によってコーティングされ得る。その後このコーティングに製品広告又は他の情報又はイメージを印刷してもよい。またこのブランク又は他の構造体に、上記のように、その上に印刷された任意の情報を保護するようにコーティングを施してもよい。
【0056】
さらに、ブランク又は他の構造体の片側又は両側を、例えば、上記のような水分バリア層及び/又は酸素バリア層でコーティングしてもよい。任意の適切な水分バリア材料及び/又は酸素バリア材料は本発明に従って使用してもよい。適切であり得る材料の例としては、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール、DuPont DARTEK(商標)ナイロン6,6、及び上に示される他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
代替的に又は付加的には、本発明のブランク又は他の構造体のいずれかが、他の特性、例えば、吸収性、撥水性、不透明性、色、印刷適性、剛性、又は緩衝性を与えるように他の材料でコーティング又は積層されてもよい。例えば、少なくとも1つのマイクロ波エネルギー相互作用要素を含む吸収性構造体は、米国特許仮出願第60/604,637号、米国特許出願公開第2006−0049190A1号、及び米国特許出願第11/673,136号(これらの全体は各々参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0058】
所望に応じて、紙層、ポリマーフィルム層、及びマイクロ波相互作用要素の組合せは、マイクロ波エネルギー相互作用断熱材料を形成するのに使用され得る。本明細書中で使用される場合、用語「マイクロ波エネルギー相互作用断熱材料」又は「マイクロ波相互作用断熱材料」又は「断熱材料」とは、マイクロ波エネルギーに反応性であり、且つ食品を加熱するのに使用される際、ある程度の断熱をもたらすことができる層状材料の任意の組合せを指す。
【0059】
一態様において、断熱材料は、1つ又は複数の拡張型断熱セルと組み合わせた1つ又は複数のサセプタ層を含む。かかる材料は、本明細書中で「拡張型セル断熱材料」と称される場合がある。また、断熱材料としては、寸法安定性をもたらし、マイクロ波エネルギー相互作用材料の取扱い易さを改善し、且つ/又はマイクロ波エネルギー相互作用材料と食品との接触を防ぐ、1つ又は複数のマイクロ波エネルギー透過性材料又は不活性材料が挙げられ得る。
【0060】
別の態様で、断熱材料は、第1のポリマーフィルム層上に支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料と、マイクロ波エネルギー相互作用材料と重ね合わされる水分含有層と、接着剤、化学的結合又は熱的結合、又は他の固着剤又は固着プロセスを用いて所定のパターンで水分含有層に接合される第2のポリマーフィルム層とを含んで、水分含有層と第2のポリマーフィルム層との間に1つ又は複数の閉じたセルを形成し得る。マイクロ波エネルギー相互作用材料はサセプタとして機能し得る。閉じたセルは、マイクロ波エネルギーへの曝露に反応して拡張するか又は膨張して、サセプタを食品に向けて隆起及び変形させ得る。
【0061】
理論に束縛されることを望むものではないが、サセプタによって生じる熱は、水分含有層中の水分を蒸発させるため、隣接する層に圧力をかけると考えられる。結果的に、拡張型セルは膨張ガスから逃れるように外側に隆起するため、拡張型セル断熱材料を食品の外形により密接に沿わせる。結果的に、食品の表面が多少不規則であっても、食品の加熱、焦げ目付け及び/又はかりかりの焼き上げを高めることができる。
【0062】
さらに、閉じたセル内に含有される水蒸気、空気及び他のガスは、食品と電子レンジの周囲環境との断熱をもたらすため、食品内に留まるか又は食品へ移行される感知可能な熱量を上げる。このような断熱材料はまた、電子レンジで加熱処理する際の食品中の水分の保持に役立ち、そのため、食品の食感及び風味を改善させることができる。このような材料のさらなる利得及び態様は、PCT国際公開第2003/66435号、米国特許第7,019,271号、及び米国特許出願公開第2006−0113300A1号(これらの全体は各々参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0063】
また、紙等の水分含有層を含まずに膨張する拡張型セル断熱構造体も本発明に従って使用され得ることが検討される。このような材料のさらなる例は、米国特許出願公開第2006−0278521A1号(その全体は参照により本明細書中に援用される)に提示されている。
【0064】
当然のことながら、要素及び材料の幾つかの組合せでは、マイクロ波相互作用要素が、基材又は支持体と目で区別可能な灰色又は銀色を有し得る。しかしながら場合によっては、一様な色及び/又は外観を有するウェブ又は構造体を提供することが望まれしいこともある。特に消費者が、ある特定の視覚属性、例えば無地及び特定のパターン等を有するパッケージ又は容器に慣れている場合には、消費者はこのようなウェブ又は構造体をより美しいと感じる可能性がある。このため例えば、本発明によって、マイクロ波相互作用要素を基材に接合させるのに銀色又は灰色の色調の接着剤を使用すること;銀色又は灰色の色調のマイクロ波相互作用要素の存在をマスクするのに銀色又は灰色の色調の基材を使用すること;銀色又は灰色の色調のマイクロ波相互作用要素の存在を隠すのに暗い色調の基材、例えば黒みがかった基材を使用すること;色の変化を分かりにくくするようにウェブの金属側面を銀色又は灰色の色調のインクでオーバープリントすること;マイクロ波相互作用要素の存在をマスクするか又は隠すように、ウェブの非金属側面を、適切なパターンで又は無地の層として、銀色若しくは灰色のインク又は他の隠蔽色で印刷すること;又は、任意の他の適切な技法若しくはそれらの組合せが検討される。
【0065】
本発明は以下の実施例を参照してさらに理解され得るが、これらの実施例は任意の形に限定されると解釈されるものではない。
【0066】
[実施例]
[実施例1]
電子レンジの床面と接触させた食品載置パネル即ち「底面」パネルの外側表面のコーティングが、架橋していない熱可塑性の水系コーティングから成る以外は、図2A〜図2Cと同様のカートンにおける実質的に単一の層に、約170gの波形フライドポテトを入れた。カートンの着脱可能な部分を指示書に従って取り外し、フライドポテトの上部に直接置いた。パッケージ及びフライドポテトを従来型の電子レンジに入れ、約4分間加熱した。加熱後、パッケージを電子レンジから取り出し、ブリスタリング及びピッキングを評価した。
【0067】
種々の架橋していない熱可塑性の実験用水系コーティングを上記手法に従って評価した。各々が、電子レンジから取り出した際にブリスタリング及び/又はピッキングを示した。
【0068】
[実施例2]
底面パネルのコーティングが1gsmのFlint RMW96220プライマー(Flint Group North America(Plymouth, Michigan)が特許権を有する水系架橋性アクリルコーティング)を含む以外は、実施例1の手法を繰り返した。加熱後、パッケージを電子レンジから取り出し、ブリスタリング及びピッキングを評価した。ブリスタリングもピッキングも観測されなかった。
【0069】
[実施例3]
底面パネルのコーティングが2.5gsmのSun Chemical UV硬化性アクリレートコーティングRCMVF0341835(Sun Chemical Corporation (Parsippany, New Jersey)から入手可能、紫外線放射を用いて架橋される)を含む以外は、実施例1の手順を繰り返した。加熱後、パッケージを電子レンジから取り出し、ブリスタリング及びピッキングを評価した。ブリスタリングもピッキングも観測されなかった。
【0070】
[実施例4]
電子レンジに使用可能なパッケージの外面の種々のコーティングが、電子レンジにおける食品の加熱に用いた後にピッキングを受けやすいか否かを予測する実験手法を開発した。初めに、Sentinelヒートシーラーを約400°F及び90psiに設定した。次に、2つのコーティングされた構造体(例えば、カートン)を、コーティングが互いに対向するようにヒートシーラーに入れた。ヒートシーラーを閉じ、閉じた状態で約95秒の保圧時間を得るように維持した。加熱後、構造体を互いに離す方向に引張り、構造体が互いに固着しているか否かを確認した。
【0071】
実施例3の構造体をこの手法で評価した。ピッキングも固着も観測されなかった。
【0072】
[実施例5]
底面パネルの外側に2.5gsm Sun Chemical EB硬化性アクリレートコーティングRCHWB0488594(Sun Chemical Corporation(Parsippany, New Jersey)から入手可能)を含む、コーティングが電子線架橋されたRed Baronピザカートンを実施例4に記載の手法に従って評価した。ピッキングも固着も観測されなかった。
【0073】
[実施例6〜実施例10]
種々の水系アクリルコーティングを実施例4に記載の手法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
[実施例11〜実施例12]
種々のUV硬化性アクリレートコーティングを実施例4に記載の手法に従って評価した。結果を表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
本発明のある特定の実施形態をある程度詳細に説明したが、当業者は、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく開示の実施形態に多数の変更を行うことができるであろう。方向の指示(例えば、上の、下の、内側の、外側の、上方の、下方の、上方へ、下方へ、左の、右の、左側の、右側の、上部、下部、上に、下に、垂直の、水平の、時計回りに、及び反時計回りに)は全て、読者が本発明の様々な実施形態を理解するのを助けるために、単に識別表示目的で使用され、添付の特許請求の範囲に具体的に記載しない限り、特に位置、方位、又は本発明の利用に関して限定するものではない。接合の指示(例えば、接合する、付着する、連結する、接続する等)は、広義に解釈され、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対運動を含み得る。このように、接合の指示は必ずしも2つの要素が直接、互いに固定された関係で接続することを意味するものではない。
【0078】
本発明の範囲内の全く新しい実施形態を作り出すために、様々な実施形態を参照して検討される様々な要素を交換してもよいことは当業者には明らかであろう。上に記載されるか又は添付の図面に示される全ての事柄は、単に例示として解釈され、限定するものではないことが意図される。本発明の精神を逸脱することなく、細部又は構造の変更を行なってもよい。本明細書中に記載される詳細にわたる説明は、本発明を限定するか、又はそうでなければ本発明の任意の他の実施形態、脚色、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。
【0079】
したがって、本発明の上の詳細にわたる説明に鑑みて、本発明が広い効用及び用途に適用可能であることが当業者には容易に明らかとなるであろう。本明細書中に記載されるもの以外の本発明の多くの脚色、並びに多くの変形、改良、及び等価の構成が、本発明の内容又は範囲を逸脱することなく、本発明及び本発明の上の詳細にわたる説明により明らかであるか、又は十分に示唆されている。
【0080】
本発明は特有の態様に関して本明細書中に詳細に説明されているが、当然ながら、この詳細にわたる記載は単に本発明の例証及び例示であり、単に本発明の完全で有効な開示を提供する目的で、本発明を実施する本発明者(又は発明者ら)によって考えられる最良の形態を提供するように為してある。本明細書中に記載される詳細にわたる説明は、本発明を限定するか、又はそうでなければ本発明の任意の他の実施形態、脚色、変形、改良、及び等価の構成を除外するように意図又は解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる構造体であって、
第1の表面と該第1の表面に対向する第2の表面とを有するパネルと、
マイクロ波エネルギーに曝されると発熱する、前記第1の表面の少なくとも一部を被覆するマイクロ波エネルギー相互作用材料と、
前記第2の表面の少なくとも一部を被覆する耐熱性コーティングであって、前記パネルが前記マイクロ波エネルギー相互作用材料と該耐熱性コーティングとの間に設けられるような、耐熱性コーティングと、
を備える、電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる構造体。
【請求項2】
前記耐熱性コーティングが熱硬化性ポリマーを含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマーがアクリレートポリマーである、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記耐熱性コーティングが約0.5グラム/平方メートル〜約5グラム/平方メートルのコーティング重量を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記耐熱性コーティングが約1グラム/平方メートル〜約2グラム/平方メートルのコーティング重量を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記耐熱性コーティングが、印刷された図形、テキスト又はそれらの任意の組合せを被覆する、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記マイクロ波エネルギー相互作用材料がサセプタを備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
前記第1のパネルが電子レンジの床面に設置されることが意図される、請求項1に記載の構造体。
【請求項9】
前記第1のパネルが底面パネルであり、前記構造体が、
該底面パネルから上方向に延在する複数の壁と、
マイクロ波エネルギー相互作用要素を備える内表面を有する上部パネルと、
をさらに備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項10】
前記マイクロ波エネルギー相互作用要素がサセプタを備える、請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
高い熱安定性を有するコーティングされたマイクロ波加熱パッケージであって、
内表面と外表面とを有する第1のパネルを含む複数のパネルであって、
該内表面が食品載置表面であり、
該外表面が印刷面であり、
サセプタフィルムが該内表面の少なくとも一部を規定し、且つ
熱硬化性コーティングが該外表面の少なくとも一部を規定する、複数のパネルを備える、高い熱安定性を有するコーティングされたマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項12】
前記熱硬化性コーティングがアクリレートポリマーを含む、請求項11に記載のマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項13】
前記熱硬化性コーティングが、約0.5グラム/平方メートル〜約5グラム/平方メートルのコーティング重量を有する、請求項11に記載のマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項14】
前記熱硬化性コーティングが、約1グラム/平方メートル〜約2グラム/平方メートルのコーティング重量を有する、請求項11に記載のマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項15】
マイクロ波エネルギーに曝すと、
前記サセプタが熱エネルギーを発生し、
該熱エネルギーの少なくとも一部が前記熱硬化性コーティングへと移行するが、
該熱エネルギーに曝されても該熱硬化性コーティングが軟化又は流延しない、請求項11に記載のマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項16】
前記熱硬化性コーティングが約450°Fの温度まで軟化に耐性を示す、請求項11に記載のマイクロ波加熱パッケージ。
【請求項17】
電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げるカートンであって、
対向する配置の第1のパネル及び第2のパネルと、
該第1のパネルと該第2のパネルとの間に延在する複数の実質的に直立な壁と、
を備え、
該第1のパネル、該第2のパネル、及び該複数の壁が、食品を収容する内部空間を規定し、
前記第1のパネルが、熱硬化性ポリマーコーティングを備える印刷された外表面と、サセプタフィルムを備える内表面とを含み、且つ
前記第2のパネルが、着脱可能な部分と、サセプタフィルムを備える内表面とを含む、電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げるカートン。
【請求項18】
前記熱硬化性ポリマーコーティングがアクリレートポリマーを含み、且つ
前記熱硬化性ポリマーコーティングが約0.5グラム/平方メートル〜約5グラム/平方メートルのコーティング重量を有する、請求項17に記載のカートン。
【請求項19】
前記第1のパネルの前記内表面がその上に前記食品を収容するように意図され、且つ
前記第1のパネルの前記外表面が電子レンジの床面に設置されることが意図される、請求項17に記載のカートン。
【請求項20】
前記第2のパネルの前記内表面が前記食品を被覆するように意図される、請求項17に記載のカートン。
【請求項21】
前記第1のパネルが加熱前の前記カートンの上部パネルであり、且つ
前記第1のパネルが加熱中の前記カートンの底面パネルである、請求項17に記載のカートン。
【請求項22】
電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる構造体であって、
第1の表面と該第1の表面に対向する第2の表面とを有するパネルと、
前記第1の表面の少なくとも一部を被覆するマイクロ波エネルギー相互作用材料と、
前記第2の表面の少なくとも一部を被覆する熱安定性コーティングと、
を備える、電子レンジにおいて食品を加熱し、焦げ目を付け且つ/又はかりかりに焼き上げる構造体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2009−542538(P2009−542538A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518505(P2009−518505)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/072099
【国際公開番号】WO2008/005748
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(504075588)グラフィック パッケージング インターナショナル インコーポレイテッド (137)
【Fターム(参考)】