説明

熱硬化性膜形成組成物

【課題】 液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)に使用される膜形成組成物を提供する。
【解決手段】 モノマー(a)を単位構造として含むポリマー鎖(A)と、モノマー(a)とは異なるモノマー(b)を単位構造として含む隣接する少なくとも一つのポリマー鎖(B)とを含むブロックコポリマー、架橋剤、及び有機溶剤を含む膜形成組成物。ブロックコポリマー中に存在するブロックの種類が2又は3である。ブロックコポリマー中に存在するブロック数が2又は3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、屈折率、吸収係数、アルカリ溶解速度、溶媒溶解速度、プラズマエッチング速度、弾性率、誘電率、導電率、表面抵抗値、熱膨張係数、ガス透過率、磁化率の中で少なくとも一つの局所的特性分布を有するブロックコポリマーを含む電子材料用熱硬化性自己組織化膜組成物に関する。
詳しくは、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)に使用される電子材料を熱焼成によって形成するための熱硬化性自己組織化膜形成組成物に関する。また、当該熱硬化性自己組織化膜形成組成物を用いた自己組織化膜の形成方法、及び加工パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの繰り返し構造をもつ熱硬化性自己組織化膜は、通常の同質な膜とは異なる特性を有することが知られており、ブロックコポリマーを用いたナノスケールの繰り返し構造をもつ自己組織化膜が提案されている。
【0003】
有機フォトクロミック材料を非硬化性ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー中に混合した特性について報告されている(非特許文献1を参照)。
【0004】
非硬化性ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマーを用いたプラズマエッチングを用いたナノパターニング特性について報告されている(非特許文献2を参照)。
非特許文献3では、非硬化性ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマーを用いたナノパターニング特性について報告されている。
しかしながら、ブロックコポリマーを含む熱硬化性(架橋性)自己組織化膜の開発はなされていなかった(非特許文献3を参照)。
【0005】
含フッ素ビニルモノマー単位を有するポリマー鎖と少なくともシリル基を有するビニルモノマー単位からなるポリマー鎖とを含んで構成されるブロックポリマーを用いた薄膜用塗布組成物が開示されている(特許文献1を参照)。
【0006】
ブロックポリマーを構成する複数のセグメントを規則的に配列させてブロックポリマー層にパターンを形成するパターン形成方法が開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−284623
【特許文献2】特開2009−234114
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Toshiko Mizokuro et.al., Japanese Journal ofApplied Physics42, L983(2003)
【非特許文献2】Koji Asakawa et.al., Japanese Journal ofApplied Physics41, 6112(2002)
【非特許文献3】Rachel A. Segalaman, Materials Scienceand Engineering R48, 191(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ブロックコポリマーを含む非硬化(非架橋性)自己組織化膜を用いた方法では、上層にスピン塗布により塗り重ねることが難しい。溶解防止膜を蒸着して一層ずつ順に積層させて多層構造を形成する場合でも、特に、一層おきに種類が異なる材料を用いる場合には特に手順が煩雑である。また、容易に剥離できない結晶構造の材料や、成膜できない材料があるため、これらの方法を適用できる材料は限定される。
更に、レジスト下層膜で使用する場合、その上層に塗布されるレジスト溶液と混合してしまい、目的のパターニングができない。
本願発明は、上記問題点に鑑み、電子材料用途で熱硬化性自己組織化膜組成物と、それを用いたレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
更に、本願発明の熱硬化性自己組織化膜形成組成物は、半導体、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーターに使用するパターン形成プロセスのリソグラフィーにおいてレジストの下層に使用されるレジスト下層膜を熱焼成によって硬化させ、形成するための熱硬化性自己組織化膜形成組成物を提供することである。
また、当該組成物を用いたパターン形成プロセスのリソグラフィーにおいてレジストの下層に使用される下層膜の形成方法、及び電子材料用途における熱硬化性自己組織化膜の形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は第1観点として、モノマー(a)を単位構造として含むポリマー鎖(A)と、モノマー(a)とは異なるモノマー(b)を単位構造として含み隣接する少なくとも一つのポリマー鎖(B)とを含むブロックコポリマー、架橋剤、及び有機溶剤を含む膜形成組成物、
第2観点として、ブロックコポリマー中に存在するブロックの種類が2又は3である第1観点に記載の膜形成組成物、
第3観点として、ブロックコポリマー中に存在するブロック数が2又は3である第1観点又は第2観点に記載の膜形成組成物、
第4観点として、上記モノマー(a)及びモノマー(b)はそれぞれ、アクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル酸及びそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、4級化していても良いジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸及びそのヘミエステル、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリルアミド、ヒドロキシル化(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルエーテル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ヘテロ環式ビニル化合物、スチレンスルホネート、アリル系アルコール、ビニルアルコール、炭素数1〜13アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、フルオロアクリレート、スチレン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルプロピオネート、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、及びビニルトルエンから選ばれる化合物である第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第5観点として、上記モノマー(a)及びモノマー(b)は、スチレンとメチルメタクリレート、スチレンとイソプレン、又はスチレンとブタジエンである第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第6観点として、ブロックコポリマーの重量平均分子量が1000〜100000である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第7観点として、更に架橋形成ポリマーを含む第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第8観点として、架橋剤が少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ樹脂化合物、多官能性エポキシ樹脂、又は二酸無水物である第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第9観点として、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)に使用される第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第10観点として、第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる膜の形成方法、
第11観点として、基板上に下層膜を形成する工程、電子線描画又はレーザ照射により下層膜を処理する工程、第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成し膜を形成する工程、現像液により膜を除去する工程を含むパターンの形成方法、
第12観点として、第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる膜を形成する工程、レジストを被覆し紫外線又は放射線を照射し現像する工程を含むパターンの形成方法、
第13観点として、基板上に下層膜を形成する工程、電子線描画又はレーザ照射により下層膜を処理する工程、第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を基板上に塗布し膜を形成する工程、レジストを被覆し紫外線又は放射線を照射し現像する工程を含むパターンの形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の膜形成組成物を熱焼成により得られた熱硬化性自己組織化膜は、モノマー(a)を単位構造として含むポリマー鎖(A)と、モノマー(a)とは異なるモノマー(b)を単位構造として含む少なくとも一つのポリマー鎖(B)とを含むブロックコポリマーである。ポリマー鎖(A)は隣接するポリマー鎖(B)に対して屈折率、吸収係数、アルカリ溶解速度、溶媒溶解速度、プラズマエッチング速度、弾性率、誘電率、導電率、表面抵抗値、熱膨張係数、ガス透過率、磁化率において、異なる物性値を有している。
このブロックポリマーを用いた(自己組織化)膜はパターニング材料、更に、液晶ディスプレイ、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、太陽電池パネルで使用する光散乱膜、アクチュエーター用フレキシブルカバー膜、ハードディスク用記録材料の製造で使用されるモールド材で使用することができる。
【0012】
特に、半導体に使用するパターン形成プロセスのリソグラフィーにおいてレジストの下層に使用されるレジスト下層膜として、自己組織化膜を目的の位置に配列させるために、電子線描画装置やレーザ照射装置により加工基板に凹凸や親疎水性変化をつける工程後に、本願発明の(自己組織化)膜形成組成物を加工基板上に塗布することにより、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度が変化する(自己組織化)レジスト下層膜を目的の位置に配列させ、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度が変化する(自己組織化)レジスト下層膜と同時にレジストを溶解させることにより、従来のレジスト下層膜に比べ、溶解コントラストが大きくなり、より微細なレジストパターニング性に優れ、CFガス条件下で従来のレジストと比較して大きなドライエッチング速度を有し、レジストとのインターミキシングを起こさない、優れたレジスト下層膜を形成することができる。
ブロックコポリマーはコポリマー成分(例えばA、B)が異なる物性を示すことから、基板上に予め特性情報がインプットされていると、その情報に従ってブロックコポリマーも配列しパターニング性を示すことができる。この性質を用いれば従来のリソグラフィーに変わる新しいパターニング手法を得ることができる。
またコポリマー成分(例えばA、B)が互いに不相溶性であれば、Aのポリマー鎖の部分とBのポリマー鎖の部分に集合体(高次構造)を形成し、相分離を生じさせることや、予め基板上に親水、疎水等の情報があれば、それに従うパターンが形成される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
モノマー(a)を単位構造として含むポリマー鎖(A)と、モノマー(a)とは異なるモノマー(b)を単位構造として含み隣接する少なくとも一つのポリマー鎖(B)とを含むブロックコポリマー、架橋剤、及び有機溶剤を含む膜形成組成物である。
膜形成組成物は固形分1〜70質量%、又は1〜50質量%、又は1〜30質量%とすることができる。固形分は膜形成組成物中から溶剤を除いた残りの割合である。
固形分中に占めるブロックコポリマーの割合は、30〜100質量%、又は50〜100質量%、又は50〜90質量%、又は50〜80質量%にすることができる。
膜形成組成物はブロックコポリマーの性質から自己組織化する傾向があり、自己組織化膜形成組成物とすることができる。
ブロックコポリマー中に存在するブロックの種類が2又は3とすることができる。そして、ブロックコポリマー中に存在するブロック数が2又は3とすることができる。
ポリマー鎖(B)を変えることにより、例えばモノマー(c)を単位構造として含む隣接するポリマー鎖(C)を用いることが可能である。
【0014】
ブロックポリマーとしてはAB、ABAB、ABA、ABC等のパターンが得られる。
ブロックコポリマーを合成する方法の一つとして、重合過程が開始反応と成長反応のみからなり、成長末端を失活させる副反応を伴わないリビングラジカル重合、リビングカチオン重合によって得られる。成長末端は重合反応中に成長活性反応を保ち続けることができる。連鎖移動を生じなくすることで長さの揃ったポリマー(A)が得られる。このポリマー(A)の成長末端を利用して違うモノマー(b)を添加することにより、このモノマー(b)のもとで重合が進行しブロックコポリマー(AB)を形成することができる。
例えばブロックの種類がAとBの2種類である場合に、ポリマー鎖(A)とポリマー鎖(B)はモル比で1:9〜9:1、好ましくは3:7〜5:5とすることができる。
ホモポリマーA、又はBは、ラジカル重合可能な反応性基(ビニル基又はビニル基含有有機基)を少なくとも一つ有する重合性化合物である。
本願発明に用いられるブロックコポリマーの重量平均分子量Mnは1000〜100000、好ましくは2000〜10000であることが好ましい。1000未満では下地基板への塗布性が悪い場合があり、また100000以上では溶媒への溶解性が悪い場合がある。
【0015】
ブロックコポリマーを形成する上記モノマー(a)及びモノマー(b)はそれぞれ、例えばアクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル酸及びそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、4級化していても良いジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸及びそのヘミエステル、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリルアミド、ヒドロキシル化(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルエーテル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ヘテロ環式ビニル化合物、スチレンスルホネート、アリル系アルコール、ビニルアルコール、炭素数1〜13アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、フルオロアクリレート、スチレン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルプロピオネート、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、及びビニルトルエンから選ばれる化合物が挙げられる。
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物において、架橋反応基を有しないブロックポリマーが使用された場合には、ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレンコポリマー、又はポリスチレン/ポリブタジエンコポリマーが好ましい。
【0016】
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物には、上記ブロックコポリマー、溶剤、架橋性化合物、架橋触媒の他、必要に応じて、吸光性化合物、界面活性剤、硬度調整高分子化合物、酸化防止剤、熱重合禁止剤、表面改質剤及び脱泡剤等を添加することができる。
【0017】
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物は、二つのホモポリマー鎖(A)及び(B)を含むブロックコポリマーを通常、有機溶媒に溶解または分散してなる。この有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒および非プロトン系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物には、さらにβ−ジケトン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、トリアゼン化合物、アルカリ化合物などの成分を添加してもよい。
【0018】
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物に用いられる有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。
【0019】
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが組成物の溶液の保存安定性の点で好ましい。
【0020】
また、熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物を熱硬化させる際には、触媒を使用しても良い。この際に使用する触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;などを挙げることができる。有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
【0021】
無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これら触媒の内、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましく、より好ましくはチタンキレート化合物、有機酸を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0022】
更に、密着性、下地基板に対する濡れ性、柔軟性、平坦化性等を向上させるために、必要によりブロックコポリマーを含まない下記の重合性化合物をラジカル重合したポリマーを用い、上記のブロックコポリマーを含む熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物に混合させることができる。混合割合はブロックコポリマー100質量部に対して10〜1000質量部、好ましくは10〜100質量部の割合で混合することができる。
ブロックポリマーを含まないポリマーは、架橋形成ポリマーを用いることができる。例えばヒドロキシスチレン、トリス−(2−ヒドロキシルエチル)−イソシアヌル酸、及びトリス−(2−ヒドロキシルエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート等の重合物を挙げることができる。
【0023】
また、ブロックポリマーを含まないポリマーは、上記以外の重合性化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここで、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとはエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとを意味する。
【0024】
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、また、多価イソシアネート化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができるウレタン化合物、多価エポキシ化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができる化合物、フタル酸ジアリル等のジアリルエステル化合物、及びジビニルフタレート等のジビニル化合物等を挙げることもできる。
ブロックポリマーを含まずビニルエーテル構造を有する重合性化合物としては、例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−ノルマルブチルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0025】
本願発明では架橋剤を用いることができる。架橋剤は、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された窒素原子を有する含窒素化合物が挙げられる。ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、及びヘキシルオキシメチル基等の基で置換された窒素原子を有する含窒素化合物である。架橋剤はブロックコポリマーや、架橋形成ポリマーと架橋形成が可能であるが、ブロックコポリマーに架橋形成基が存在しない場合には自己架橋によりマトリックスを形成し、ブロックコポリマーを固定化することができる。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリノン、及び1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリノン等の含窒素化合物が挙げられる。
【0026】
架橋剤としては、また、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名マイコート506、マイコート508)、グリコールウリル化合物(商品名サイメル1170、パウダーリンク1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名UFR65)、ブチル化尿素樹脂(商品名UFR300、U−VAN10S60、U−VAN10R、U−VAN11HV)、大日本インキ化学工業(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名ベッカミンJ−300S、ベッカミンP−955、ベッカミンN)等の市販されている化合物を挙げることができる。また、このようなアミノ基の水素原子がヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよく、例えば、米国特許6323310号に記載されている、メラミン化合物(商品名サイメル303)とベンゾグアナミン化合物(商品名サイメル1123)から製造される高分子量の化合物を挙げることもできる。
【0027】
また、架橋剤としては、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーを用いることができる。そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンの共重合体、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートの共重合体、及びN−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合体等を挙げることができる。
架橋剤は一種の化合物のみを使用することができ、また、二種以上の化合物を組み合わせて用いることもできる。
架橋剤はブロックコポリマー100質量部に対して1〜50質量部、または3〜50質量部、または5〜50質量部、または10〜40質量部、または20〜30質量部で使用することができる。架橋剤の種類や含有量を変えることによって、弾性率や段差被覆性の調整することができる。
【0028】
更に、熱焼成(加熱)によってカチオンやラジカルを発生し本願発明の前記熱硬化性(自己組織化)膜の熱重合反応を起こすことのできる架橋触媒を含むことができる。架橋触媒を使用することにより、架橋剤の反応が促進される。
架橋触媒としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、カンファースルホン酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、及びヒドロキシ安息香酸等の酸化合物が使用できる。
架橋触媒としては、芳香族スルホン酸化合物が使用できる。芳香族スルホン酸化合物の具体例としては、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、及びピリジニウム−1−ナフタレンスルホン酸等を挙げることができる。架橋触媒は、一種のみを使用することができ、また、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0029】
架橋触媒はブロックコポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部、または0.05〜5質量部、または0.1〜3質量部、または0.3〜2質量部、または0.5〜1質量部で使用することができる。架橋触媒の量がこれより少ないと、架橋反応が十分に進行せず、得られた下層膜の硬度及び耐摩耗性が不十分なものとなる場合がある。架橋触媒の量がこれより多くなると、下層膜の表面近傍のみで硬化が起こり、下層膜内部まで完全に硬化し難くなる場合がある。更に、架橋触媒の量がこれより多くなると、架橋触媒の昇華量が増え、焼成炉内を汚染する原因ともなる。
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物を半導体リソグラフィー用のレジスト下層膜(反射防止膜)として用いる場合には、吸光性化合物としては、下層膜の上に設けられるフォトレジスト層中の感光成分の感光特性波長領域における光に対して高い吸収能を有し、基板からの反射によって生じる定在波や基板表面の段差による乱反射を防げるものであれば特に制限なく使用することができる。
【0030】
そのような吸光性化合物としては、例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物、キノリン化合物などを使用することができる。ナフタレン化合物、アントラセン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物が用いられる。そして、吸光性化合物も前記の水酸基やエポキシ基を有する成分と反応できることが好ましく、そのため、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく使用される。具体例としては、例えば、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、1−ナフトール、2−ナフトール、ナフチル酢酸、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ブロモ−2−ヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸、10−ブロモ−9−アントラセンカルボン酸、アントラセン−9,10−ジカルボン酸、1−アントラセンカルボン酸、1−ヒドロキシアントラセン、1,2,3−アントラセントリオール、2,7,9−アントラセントリオール、安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、3−ヨード安息香酸、2,4,6−トリブロモフェノール、2,4,6−トリブロモレゾルシノール、3,4,5−トリヨード安息香酸、2,4,6−トリヨード−3−アミノ安息香酸、2,4,6−トリヨード−3−ヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリブロモ−3−ヒドロキシ安息香酸等を挙げることができる。
【0031】
また、界面活性剤を添加することによって、ピンホールやストレーション等の発生を抑え、また、熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物の塗布性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル化合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー化合物、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート及びソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物が挙げられる。また、商品名エフトップEF301,EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤及びオルガノシロキサンポリマ−KP341(信越化学工業(株)製)等を上げることができる。界面活性剤が使用される場合、その添加量としては、ブロックコポリマー100質量部に対して、例えば、0.1〜5質量部であり、または0.5〜2質量部である。
【0032】
また、硬度調整高分子化合物を添加することができる。硬度調整高分子化合物としては、その種類に特に制限はなく、重量平均分子量が1000〜1000000程度の種々のポリマー化合物を用いることができる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環を有するアクリレートポリマー、メタクリレートポリマー、ノボラックポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリエステル及びポリイミド等を挙げることができる。硬度調整高分子化合物が使用される場合、その添加量としては、ブロックコポリマー100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部である。
本願発明では熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物を加工基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び前記塗布膜に光照射又は熱焼成することによって(自己組織化)膜を形成する工程を含み、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)が製造される。
【0033】
本願発明では熱硬化性(自己組織化)膜が形成される前に、電子線描画やレーザー照射によりパターン情報を記憶させる下層膜を塗布する場合(ケース2)とそれらが塗布されない場合(ケース1)があり、そのケース1とケース2のそれぞれにおいて熱硬化性(自己組織化)膜の上にレジストが被覆されリソグラフィーが行われる場合(ケース4)とレジストが被覆されずリソグラフィーが行われる場合(ケース3)がある。本件発明に用いられるブロックコポリマー自体に自己組織化によるパターン形成能があるためにその効能を利用するために必ずしもレジストを必要としない場合もある。
以下、本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物の使用について説明する。
半導体、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)の製造に使用される加工基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンウエハ基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、低誘電率材料(low−k材料)被覆基板等)の上に、スピナー、コーター、スプレー、インクジェット等の適当な塗布方法により本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物が塗布され塗布膜が形成される。そして、(自己組織化)膜を塗布する前に、必要に応じて電子線やレーザ照射による凹凸変化や表面エネルギー変化によるパターン情報を入れる下層膜(BrushLayer、Migaku・Layer)を塗布することができる。
【0034】
溶媒を含む熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物が使用された場合は、乾燥工程をおくことが好ましい。乾燥工程は、高温での加熱という方法でなければ特に制限はない。高温(例えば300℃、またはそれ以上の温度)で加熱されると、熱硬化性(自己組織化)膜に含まれる固形分の昇華等が起こり、装置を汚染することが考えられるからである。乾燥工程は、例えば、ホットプレート上、基板を50〜100℃で0.1〜10分間加熱することによって行うことができる。また、例えば、室温(20℃程度)で風乾することで行うことができる。
また、本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物をレジスト下層膜(反射防止膜)として使用する場合、本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜の上に塗布、形成されるフォトレジストとしては露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はなく、ネガ型及びポジ型フォトレジストのいずれをも使用できる。ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト等がある。
【0035】
例えば、住友化学工業(株)製商品名PFi―58、PFi―88、東京応化工業(株)製商品名iP5200、iP5700、TDMR−AR80、及びSHIPLEY社製商品名S−1808等が挙げられる。
次に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、ArF(波長193nm)、KrF(波長248nm)、i線(波長365nm)及びg線(波長432nm)等を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱
(PEB:PostExposure Bake)を行なうこともできる。
次いで、アルカリ性現像液によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光された部分のフォトレジスト及びその下層部分の下層反射防止膜が、現像によって除去される。
本願発明に使用される現像液は例えばアルカリ性現像液であり、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、及びエタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5℃〜50℃、時間10〜300秒から適宜選択される。
【0036】
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物から形成される膜をレジスト下層の感光性反射防止膜として用いる場合には、アルカリ性現像液として汎用されている2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で容易に現像を行なうことができる。
本願発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物は、半導体基板とフォトレジストとの相互作用を防止するための層、フォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能を有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層フォトレジストへの拡散を防ぐ機能を有する層、及び、半導体基板誘電体層によるフォトレジスト層のポイズニング効果を減少させるためのバリア層として使用することも可能である。
【0037】
本願発明のブロックポリマーを用いた(自己組織化)膜形成組成物を加工基板上に塗布する前に、加工基板上に事前にブロックポリマーをシリンダー形状にパターニングするために下層膜(有機膜)にパターン情報を入力することができる。
また、加工基板上の下層膜(有機膜)にパターンを目的の位置に配列させるために紫外線、又は放射線を配列位置と重なるよう照射し、凹凸や非表面エネルギー(親水・疎水性)変化を起こさせ、本願発明のブロックポリマーを用いた(自己組織化)膜形成組成物のポリマー鎖(A)成分やポリマー鎖(B)成分をそれぞれ目的の位置に配列させることができる。
その後、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度が変化する(自己組織化するレジスト下層の)膜を目的の位置に配列させ、レジストを成膜し、レジストに紫外線、又は放射線を配列位置と重なるよう照射し、現像することにより、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度が変化する自己組織化レジスト下層膜と同時にレジストを溶解され、高コントラストの現像ができ、優れたレジストパターンを形成することができる。
以下、本願発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本願発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
実施例1
プロピレングリコールモノメチルエーテル24.03g、シクロヘキサノン24.03gにブロックコポリマーであるポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー(大塚化学製、商品名PMMA−b−PS(Lot8E99)Mw70000、ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)のポリマー割合:ポリスチレン50モル%、ポリ(メチルメタクリレート50モル%)0.9g、ポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学製、商品名マルカリンカーMS−4、重量平均分子量Mw9700、数平均分子量Mn4600)0.30g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)0.27g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.014g及び界面活性剤R−30(大日本インキ化学(株)製)0.0030gを加え、10質量%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、熱硬化性自己組織化膜形成組成物の溶液を調製した。
【0039】
実施例2
プロピレングリコールモノメチルエーテル24.03g、シクロヘキサノン24.03gにブロックコポリマーであるポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー(大塚化学製、商品名PMMA−b−PS(Lot7J74)Mw70000、ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)のポリマー割合:ポリスチレン30モル%、ポリ(メチルメタクリレート70モル%))0.9g、ポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学製、商品名マルカリンカーMS−4、重量平均分子量Mw9700、数平均分子量Mn4600)0.30g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)0.27g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.014g及び界面活性剤R−30(大日本インキ化学(株)製)0.0030gを加え、10質量%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、熱硬化性自己組織化膜形成組成物の溶液を調製した。
【0040】
比較例1
プロピレングリコールモノメチルエーテル24.03g、シクロヘキサノン24.03gにポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学製、商品名マルカリンカーMS−4、重量平均分子量Mw9700、数平均分子量Mn4600)1.20g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)0.27g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.014g及び界面活性剤R−30(大日本インキ化学(株)製)0.0030gを加え、10質量%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、熱硬化性自己組織化膜組成物の溶液を調製した。
【0041】
(レジスト溶剤への溶出試験)
実施例1、実施例2、及び比較例1で得た熱硬化性自己組織化膜組成物の溶液をスピナーにより、半導体基板(シリコンウエハ基板)上に塗布し塗布膜を形成した。溶剤を除去して塗布膜を乾燥させるため、ホットプレート上、120℃で0.5分間加熱後、200℃で1.5分間加熱後し、熱硬化性自己組織化膜組成物(膜厚102nm)を形成した。次いで、これらの熱硬化性自己組織化膜を上層に塗布される材料に使用する溶媒であるシクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドに浸漬し、実施例1、実施例2、及び比較例1で得た熱硬化性自己組織化膜組成物より得られた熱硬化性自己組織化膜は、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0042】
(塗膜表面粗さの測定)
前記と同様にして、実施例1、実施例2、及び比較例1で得た熱硬化性自己組織化膜組成物の溶液よりシリコンウエハ基板上に熱硬化性自己組織化膜をそれぞれ膜厚102nmで形成した。そして、塗膜表面粗さ(表面ラフネス)は原子間力顕微鏡(AFM/Atomic Force Microscope、NanoNav SPI3800N+SPA400、マイクロカンチレバーSI−DF40、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)により、2μm×2μm領域における表面の凹凸の最大高低差(単位はnm)と平均粗さ(単位はnm)により評価し、それらの値を表1に示した。
AFM測定による最大高低差と平均粗さは、光散乱の信号強度とよい相関があり、光散乱によるパーティクルカウンターあるいは集光灯による検査によってヘイズとして検出される。
表1で実施例1、実施例2、及び比較例1としているものは実施例1、実施例2、及び比較例1の熱硬化性自己組織化膜形成組成物から得られた熱硬化性自己組織化膜を評価したものである。
【0043】
〔表1〕
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――
膜表面の凹凸の最大高低差 平均粗さ
(nm) (nm)
実施例1 2.182 1.620
実施例2 1.876 1.477
比較例1 1.193 0.834
――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1及び実施例2から得られた熱硬化性自己組織化膜は、比較例1から得られた膜に比べ不規則な凹凸が検出され、これはブロックコポリマーを含有している効果と考えられる。
【0044】
従って、実施例1及び実施例2で得られた熱硬化性自己組織化膜の上層にレジストを被覆した場合に、比較例1で得られた熱硬化性自己組織化膜の上層にレジストを被覆した場合に比べて、大きな表面粗さに基づく大きな被表面積により熱硬化性自己組織化膜とレジストの密着性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明の熱硬化性自己組織化膜形成組成物は、それに含まれるブロックコポリマーの情報認識機能を用いることにより、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー(a)を単位構造として含むポリマー鎖(A)と、モノマー(a)とは異なるモノマー(b)を単位構造として含み隣接する少なくとも一つのポリマー鎖(B)とを含むブロックコポリマー、架橋剤、及び有機溶剤を含む膜形成組成物。
【請求項2】
ブロックコポリマー中に存在するブロックの種類が2又は3である請求項1に記載の膜形成組成物。
【請求項3】
ブロックコポリマー中に存在するブロック数が2又は3である請求項1又は請求項2に記載の膜形成組成物。
【請求項4】
上記モノマー(a)及びモノマー(b)はそれぞれ、アクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル酸及びそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、4級化していても良いジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸及びそのヘミエステル、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリルアミド、ヒドロキシル化(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルエーテル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ヘテロ環式ビニル化合物、スチレンスルホネート、アリル系アルコール、ビニルアルコール、炭素数1〜13アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、フルオロアクリレート、スチレン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルプロピオネート、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、及びビニルトルエンから選ばれる化合物である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項5】
上記モノマー(a)及びモノマー(b)は、スチレンとメチルメタクリレート、スチレンとイソプレン、又はスチレンとブタジエンである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項6】
ブロックコポリマーの重量平均分子量が1000〜100000である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項7】
更に架橋形成ポリマーを含む請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項8】
架橋剤が少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ樹脂化合物、多官能性エポキシ樹脂、又は二酸無水物である請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項9】
液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)に使用される請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる膜の形成方法。
【請求項11】
基板上に下層膜を形成する工程、電子線描画又はレーザ照射により下層膜を処理する工程、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成し膜を形成する工程、現像液により膜を除去する工程を含むパターンの形成方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の膜形成組成物を基板上に塗布し焼成することによる膜を形成する工程、レジストを被覆し紫外線又は放射線を照射し現像する工程を含むパターンの形成方法。
【請求項13】
基板上に下層膜を形成する工程、電子線描画又はレーザ照射により下層膜を処理する工程、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の膜形成組成物を基板上に塗布し膜を形成する工程、レジストを被覆し紫外線又は放射線を照射し現像する工程を含むパターンの形成方法。

【公開番号】特開2011−122081(P2011−122081A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281657(P2009−281657)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】