説明

熱線濃度計

【課題】濃度分布の分解能を図ることを可能にすると共により高い応答性の確保を可能とし、且つノズル形状の特定を容易とし、熱線濃度計そのものも小さくすることを可能とする。
【解決手段】ノズル部19を、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面に形成した。シリコンウェハの表面に絶縁層を製膜すると共に該シリコンウェハに吸引部に接続させるための接続流路を形成する第1の工程と、絶縁層の表面に、センサ部をスパッタリングにより形成する第2の工程と、絶縁層の表面に、センサ部に接続した配線部を蒸着する第3の工程と、配線部の端末に、電極を蒸着する第4の工程と、絶縁層の表面にポリイミド層をコーティングする第5の工程と、ポリイミド層にノズル部及びノズル部に連通しセンサ部を臨ませ接続流路31に連通する流路をエッチングする第6の工程とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体濃度の測定に用いる熱線濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱線濃度計としては、例えば非特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この熱線濃度計のノズル部は、例えば石英管をバーナで加熱し、先端を絞りノズル部となる穴を手仕上げにより残すことで形成していた。
【0004】
このため、ノズル部が大きな円形断面となり、気体の流れに交差する方向の濃度分布に対し円形に広がった広い範囲で異なる濃度領域の気体を吸い込むことになっていた。
【0005】
この結果、従来の熱線濃度計では、平均の濃度は測れるが、濃度分布の分解能を図ることは困難であった。
【0006】
また、特に気体濃度変動があり高い応答性が必要とされる場合に、応答性に限界があった。
【0007】
さらに、ノズル形状の特定が困難となり、形状の正確性が低く、濃度計の感度特性や精度特性の向上が困難であった。
【0008】
加えて、熱線濃度計そのものも大きくなり、気流に大きな影響を与えるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−258211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、濃度分布の分解能を図ることは困難であると共に、高い応答性に限界があり、且つノズル形状の特定が困難であり、熱線濃度計そのものも大きくなる点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、濃度分布の分解能を図ることを可能にすると共により高い応答性の確保を可能とするために、先端にノズル部を有し内部にセンサ部を有する熱線濃度計であって、 前記ノズル部を、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面に形成したことを熱線濃度計の主要な特徴とする。
【0012】
ノズル形状の特定を容易とし、熱線濃度計そのものも小さくすることを可能とするために、シリコンウェハの表面に絶縁層を製膜する第1の工程と、前記絶縁層の表面に、センサ部を製膜に基づき形成する第2の工程と、前記絶縁層の表面に、前記センサ部に接続した配線部を製膜に基づき形成する第3の工程と、前記配線部の端末に、電極を製膜に基づき形成する第4の工程と、前記絶縁層の表面にポリイミド層をコーティングする第5の工程と、前記ポリイミド層に前記ノズル部をエッチングする第6の工程とを備えたことを熱線濃度計の製造方法の主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱線濃度計は、先端にノズル部を有し内部にセンサ部を有する熱線濃度計であって、 前記ノズル部を、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面に形成した。
【0014】
このため、気体の流れに交差する方向の濃度分布に対し微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面のノズル部により特定個所の気体を吸い込むことができる。
【0015】
したがって、気体の流れに交差する方向の濃度分布の分解能を計測することができる。
【0016】
また、気体濃度変動がある場合でもより高い応答性を確保することができる。
【0017】
本発明の熱線濃度計の製造方法は、ノズル部形状の特定を容易とし、熱線濃度計そのものも小さくするために、シリコンウェハの表面に絶縁層を製膜する第1の工程と、 前記絶縁層の表面に、センサ部を製膜に基づき形成する第2の工程と、 前記絶縁層の表面に、前記センサ部に接続した配線部を製膜に基づき形成する第3の工程と、 前記配線部の端末に、電極を製膜に基づき形成する第4の工程と、 前記絶縁層の表面にポリイミド層をコーティングする第5の工程と、 前記ポリイミド層に前記ノズル部をエッチングする第6の工程とを備えた。
【0018】
このため、ノズル部等を微細加工により矩形扁平断面に正確に形成することができ、ノズル部出口側の流速を超音速にするノズル部形状等に特定することも容易となり、熱線濃度計そのものを小さくすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】濃度検出システムのブロック図である。(実施例1)
【図2】熱線濃度計の要部を概念的に示す要部断面図である。(実施例1)
【図3】熱線濃度計の要部を示す断面図である。(実施例1)
【図4】熱線濃度計の要部を示す平面図である。(実施例1)
【図5】ノズル部及び流路上を開いて示す熱線濃度計の平面図である。(実施例1)
【図6】ノズル断面を示す正面図である。(実施例1)
【図7】MEMS技術を用いた熱線濃度計を作動させる定温度型回路の回路図である。(実施例1)
【図8】熱線濃度計の製造を示す工程図であり、(a)は、第1工程〜第4工程の断面図、(b)は、第1工程の下面図、(c)は、第2工程〜第4工程の平面図である。(実施例1)
【図9】熱線濃度計の製造を示す工程図であり、(a)は、第5工程〜第7工程の断面図、(b)は、第5工程〜第7工程の平面図である。(実施例1)
【図10】熱線濃度計の製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。(実施例1)
【図11】熱線濃度計の製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。(実施例1)
【図12】熱線濃度計の製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。(実施例1)
【図13】熱線濃度計の製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0020】
濃度分布の分解能を図ることを可能にすると共により高い応答性の確保を可能とするため、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面のノズル部により実現した。
【0021】
また、ノズル形状の特定を容易とし、熱線濃度計そのものも小さくすることを可能とするために、MEMS (メムス、Micro Electro Mechanical Systems)を適用して実現した。
【実施例1】
【0022】
[濃度検出システム]
図1は、本発明の実施例に係る熱線濃度計を適用した濃度検出システムのブロック図であり、図2は、熱線濃度計の要部を概念的に示す要部断面図である。
【0023】
図1のように、濃度検出システム1は、熱線濃度プローブ2を備えている。この熱線濃度プローブ2は、先端部3が気体噴出用のノズル5に対向して配置され、後部にサージタンク7を介して吸引部である真空ポンプ9が配管11により接続されている。配管11には、バキューム・ゲージ13が備えられ、サージタンク7には、ニードル・バルブ15が接続されている。
【0024】
また、熱線濃度プローブ2には、アンプ17等が接続されて熱線濃度計が構成され、熱線濃度プローブ2の出力信号から気体の濃度測定ができるようになっている。
【0025】
したがって、ノズル5から噴出される気体を真空ポンプ9の働きにより先端部3から熱線濃度プローブ2内に吸い込ませ、熱線の放熱量から気体の濃度を測定することができる。
【0026】
熱線濃度プローブ2の先端部3は、図2のように概略が構成され、先端にノズル部19を備え、内部にセンサ部を構成する白金の熱線21を備えている。
[熱線濃度プローブ]
図3は、熱線濃度計の要部を示す断面図、図4は、同平面図、図5は、ノズル部及び流路上を開いて示す熱線濃度計の要部を示す平面図、図6は、ノズル断面を示す正面図である。
【0027】
図3〜図6は、熱線濃度計の要部である熱線濃度プローブ2の先端部3を示している。この先端部3は、シリコンウェハ23に絶縁層25を介しポリイミド層27を積層してセンサ・ホルダ29を形成している。
【0028】
前記ノズル部19は、前記ポリイミド層27及び絶縁層25に形成され、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面に形成されている。
【0029】
このノズル部19は、ノズルとして機能する上流部19aと、のど部19bと、ディフューザとして機能する下流部19cとからなっている。上流部19aは、吸い込み方向上流側へ向いて逆三角形の平面形状に形成され、のど部19bは、細く一定幅で形成され、下流部19cは、のど部19bよりも太く一定幅で形成され、ラバール・ノズルに近似させている。のど部19bの幅寸法は、一例として60μmに形成されている。
【0030】
前記ポリイミド層27及び絶縁層25は、前記ノズル部19の下流部19cが延長されて流路を構成している。下流部19cの延長端部には平面視で円形に拡大部30が形成され、この拡大部30が、同径の接続流路31に対向接続され、相互に連通している。この接続流路31は、前記シリコンウェハ23に厚み方向に貫通するように形成され、前記真空ポンプ9側に連通接続される。
【0031】
前記絶縁層25の表面には、ポリイミド層27との間でチタン部33を介して前記熱線21が支持され、この熱線21は、前記ノズル部19後流側で前記下流部19cを横断するように臨んでいる。熱線21は、一例として20μmの幅に形成され、その両端は、配線部35a,35bを介して電極37a,37bに接続されている。電極37a,37bは、熱線21を外部接続するために前記ポリイミド層27に形成した開口39a,39bに臨んでいる。
【0032】
前記ポリイミド層27の表面には、ポリイミド粘着テープ41が貼り付けられ、ノズル部19、下流部19c、及び拡大部30上が閉止されている。
【0033】
そして、図1で示すノズル5から噴出される気体を真空ポンプ9の働きにより熱線濃度プローブ2の先端部3のノズル部19から吸い込ませる。このとき、真空ポンプ9による負圧は、図3,図5で示す先端部3の接続流路31、拡大部30、下流部19cを順次介してノズル部19に作用する。
【0034】
この負圧の調整によりノズル部19から気体が吸い込まれると、ラバール・ノズルに近似させた上流部19a、のど部19b、下流部19cにより流速を音速にして被測定気体が熱線21側に送られ、被測定気体の速度を均一にしてその濃度を測定することができる。
【0035】
また、前記図6のように円形断面のノズル部19Aに比較して、気体の流れに交差する方向の濃度分布に対し微小な幅で所望流量の気体を吸い込むことができる。
【0036】
このため、円形断面のノズル部19Aに比較して、特定個所の気体を吸い込むことができ、気体の流れに交差する方向の濃度分布の分解能を計測することができる。
【0037】
また、気体濃度変動がある場合でもより高い応答性を確保することができる。
【0038】
なお、ノズル部19の縦、横の寸法設定は、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面であれば自由であるが、MEMS技術を用いて製造されることによる制限がある。
[熱線濃度計の測定原理]
金属は温度変化に伴い抵抗が変化する性質がある。熱線(白金)の温度をTw、抵抗をRwとすると、
Rw=Ra{I+α(Tw−Ta)} (1)
となる。
【0039】
ここで、Taは気流の温度、そのときの熱線の抵抗値をRa、白金線の温度係数αは3.9×10-3/℃である。
【0040】
気流中に置いた熱線に電流Iを流し、ジュール熱RwIと気流による放熱量とが平衡状態を保っているとすると、
RwI=(Tw−Ta)(A+BU) (2)
が成り立つ。
【0041】
(2)式はKingの式といわれている。ここでAとBは熱線と気流の性質によって決まる定数である。クレイマースの式[1]を採用する場合、n,A,Bは次のように与えられる。
【0042】
n=1/2
A=0.42πlλ(Cpμ/λ)0.20 (3)
B=0.57πlλ(Cpμ/λ)0.33(d/ν)1/2
ここでlは熱線の長さ、λは気流の熱伝導率、Cpは等圧比熱、μは粘性係数、dは熱線の直径、νは動粘性係数である。これらの値をすべて把握することは実用的ではないのでn,A,Bの値は校正によって決める。定温度法の場合、非定常流中にあっても熱容量の影響は無視でき、熱平衡式は定常流中での代数式に一致する。厳密には熱線温度や抵抗は変化するが、普通は微小で無視できる。差動増幅器の出力Eは加熱電流Iに比例する。そこで、定常、非定常にかかわらず、(1)式より出力Eに対し
=(Tw−Ta)(A+BU)=A(−)+B(−)U(4)
を得る。
【0043】
定数A(−),B(−)は原理的には(A,B),Ta,Tw,回路定数などから決まるが、普通はnも含めて流速既知の流れで校正して定める。加熱された熱線からの放熱量は、一般にKingの式で示される層流の強制対流による熱伝達量であり、これは流速の平方根および被測定気体の熱伝導率に依存している。二成分混合気体では濃度により熱伝導率が変化するので、不均一な二成分混合領域において熱線の放熱量は速度と濃度の影響を受けることになる。
【0044】
ここで、熱線の放熱量において、速度の影響を取り除くために前記微小なノズル部19により音速で被測定気体を吸引して速度を均一にする。そして、速度が一定となったところに熱線を配置して気体の熱伝導率より濃度を測定しようとするものである。
[測定方法]
図7は、MEMS技術を用いた熱線濃度計を作動させる定温度型回路の回路図である。
【0045】
MEMS技術を用いた熱線濃度計は図7の定温度型回路で作動する。定温度型回路において、熱線濃度計のセンサ部に供給される熱量と流体によって奪われた熱量とは平衡状態を保っているとするKingの式より、広帯域帰還増幅器の出力をホイートストン・ブリッジにフィードバックさせることによって、二成分混合気体の各濃度の変動による放散熱量に対し、同じだけセンサ部に熱量が供給され、放散熱量と供給熱量とは常に平衡状態にある。
【0046】
従って,熱線の温度は二成分混合気体の各濃度の変動に関係なく常に一定に保たれる。このとき熱線を初期設定温度に保つように回路に電流が流れるので、供給される熱量に関係なく熱線の抵抗値も一定となる。二成分混合気体の各濃度は、この供給される熱量より求めることができ、ホイートストン・ブリッジにフィードバックされる供給電圧Vを測定することで供給される熱量、二成分混合気体の各濃度を求めることが出来る。
[熱線濃度計の製造方法]
図8,図9は、熱線濃度計の製造を示す工程図である。
【0047】
図8は、第1〜第4工程を示し、図9は、第5〜第7工程を示す。
【0048】
図8(a)は、第1工程〜第4工程の断面図、図8(b)は、第1工程の下面図、図8(c)は、第2工程〜第4工程の平面図である。
【0049】
図9(a)は、第5工程〜第7工程の断面図、図9(b)は、第4工程〜第7工程の平面図である。
【0050】
図10〜図13は、熱線濃度計の製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。図10〜図13のマスクは、非膜面側から見た状態であり、斜線部が遮光部、白部が透光部となっている。
【0051】
熱線濃度計の製造は、図8,図9の第1工程(I)〜第7工程(VII)のより行われる。
【0052】
熱線濃度計の先端部3は、MEMS技術を用いて微細に形成される。
【0053】
図8のように、第1工程(I)は、シリコンウェハ23の表面に絶縁層25を製膜すると共に該シリコンウェハ23に真空ポンプ9に接続させるための接続流路31を形成する。
【0054】
具体的には、プラズマCVD装置を使用し、シリコンウェハ23の表面にSiO2の絶縁層25を製膜する。また、図10のマスクを用い、ICPを使用してシリコンウェハ23の裏面からシリコンウェハ23をエッチングし、丸穴の接続流路31を形成する。
【0055】
第2の工程(II)では、前記絶縁層25の表面に、センサ部を製膜に基づき形成する。
【0056】
具体的には、SiO2の絶縁層25の表面にレジストをスピンコートし、図11のマスク45を用いパターンニングをしてチタンをスパッタリングし、エッチングしてチタン部33を形成する。同様の手順でチタン部33上に白金の熱線21を形成する。
【0057】
第3の工程(III)では、 前記絶縁層25の表面に、前記熱線21に接続した配線部35a,35bを製膜に基づき形成する。
【0058】
具体的には、アルミを蒸着させ、 レジストをスピンコートし、図12のマスク47を用いてパターンニングをし、 エッチングする。
【0059】
第4の工程(IV)では、配線部35a,35bの端末に、電極37a,37bを製膜に基づき形成する。
【0060】
具体的には、アルミと同様に金を蒸着させ、レジストをスピンコートし、パターンニングをしてエッチングし、電極37a,37bを形成する。
【0061】
第5の工程(V)では、前記絶縁層25の表面にポリイミド層27をスピンコートによりコーティングする。
【0062】
第6の工程(VI)では、ポリイミド層27に前記ノズル部19(図5)及び下流部19cを延長した流路、拡大部30をエッチングする。
【0063】
具体的には、ポリイミド層27を図13のマスク49を用いてパターンニングし、アルカリ溶液でエッチングする。その後SiO2の絶縁層25をフッ酸でエッチングする。
【0064】
第7の工程(VII)では、ポリイミド粘着テープ41でノズル部19、下流部19c,及び拡大部30(図5)上を閉止する。
【0065】
なお、第6の工程ではノズル部19(図5)を形成し、その後ノズル部19に連通する下流部19c,下流部19cを真空ポンプ9に接続する接続流路31を形成する構成にすることもできる。
【0066】
かかる製造方法により、ノズル部19等を微細加工により矩形扁平断面に正確に形成することができ、ノズル部19出口側の流速を超音速にするノズル部形状等に特定することも容易となり、感度特性や精度特性の向上を図ることができる。
【0067】
また、熱線濃度計の熱線濃度プローブ2そのものを小さくすることで気体の流れに影響の無い、又は影響を抑制した正確な計測を行わせることができる。
【0068】
近年、ホテルやマンション等において、小形発電機の駆動部にマイクロガスタービンが使用されるようになっている。このような小形発電機では使用する時としない時との差が大きく、高負荷で使用するときはノズルから噴出される天然ガス、プロパン、水素などの気体燃料と空気との二成分気体の拡散混合が設計基準に合うものの、低負荷で使用する時には、混合がうまく行われないといったことが起こり易かった。
【0069】
このため、かかる使用に適したノズルの設計には、感度特性や精度特性の高い濃度分布の測定が必要となる。
【0070】
本発明実施例のMEMS技術による熱線濃度計は、このようなノズルの設計のための感度特性や精度特性の高い濃度分布測定に用いることができる。
【0071】
本発明実施例のMEMS技術による熱線濃度計は、マイクロチャンネル内に挿入し、マイクロチャンネル内の気体混合の際の気体濃度測定に用いることもできる。
【符号の説明】
【0072】
2 熱線濃度プローブ(熱線濃度計)
3 先端部(要部、熱線濃度計)
17 アンプ(熱線濃度計)
19 ノズル部
21 熱線(センサ部)
23 シリコンウェハ
25 絶縁層
27 ポリイミド層
29 センサ・ホルダ
35a,35b 配線
37a,37b 電極
39a,39b 開口
(I) 第1の工程
(II) 第2の工程
(III) 第3の工程
(IV) 第4の工程
(V) 第5の工程
(VI) 第6の工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にノズル部を有し内部にセンサ部を有する熱線濃度計であって、
前記ノズル部を、微小な幅で所望流量の気体を吸い込み可能とする矩形扁平断面に形成した、
ことを特徴とする熱線濃度計。
【請求項2】
請求項1記載の熱線濃度計であって、
シリコンウェハに絶縁層を介しポリイミド層を積層してセンサ・ホルダを形成し、
前記ノズル部は、前記ポリイミド層及び絶縁層に形成された、
ことを特徴とする熱線濃度計。
【請求項3】
請求項2記載の熱線濃度計であって、
前記ポリイミド層及び絶縁層は、前記ノズル部に連通する流路を有し、
前記絶縁層の表面に、前記ノズル部後流側で前記流路に臨むセンサ部を支持すると共に該センサ部を外部接続するために前記ポリイミド層に形成した開口に臨む電極を設けた、
ことを特徴とする熱線濃度計。
【請求項4】
請求項2記載の熱線濃度計の製造方法であって、
シリコンウェハの表面に絶縁層を製膜する第1の工程と、
前記絶縁層の表面に、センサ部を製膜に基づき形成する第2の工程と、
前記絶縁層の表面に、前記センサ部に接続した配線部を製膜に基づき形成する第3の工程と、
前記配線部の端末に、電極を製膜に基づき形成する第4の工程と、
前記絶縁層の表面にポリイミド層をコーティングする第5の工程と、
前記ポリイミド層に前記ノズル部をエッチングする第6の工程と、
を備えたことを特徴とする熱線濃度計の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の熱線濃度計の製造方法であって、
シリコンウェハの表面に絶縁層を製膜すると共に該シリコンウェハに吸引部に接続させるための接続流路をエッチングにより形成する第1の工程と、
前記絶縁層の表面に、センサ部を製膜に基づき形成する第2の工程と、
前記絶縁層の表面に、前記センサ部に接続した配線部を製膜に基づき形成する第3の工程と、
前記配線部の端末に、電極を製膜に基づき形成する第4の工程と、
前記絶縁層の表面にポリイミド層をコーティングする第5の工程と、
前記ポリイミド層に前記ノズル部及び該ノズル部に連通し前記センサ部を臨ませ前記接続流路に連通する流路をエッチングにより形成する第6の工程と、
を備えたことを特徴とする熱線濃度計の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−107035(P2011−107035A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264065(P2009−264065)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】