説明

熱転写システムおよび熱転写方法

【課題】インクリボンのインク抜け部分から、印画された画像が特定されるのを防ぐことができる熱転写システムを提供する。
【解決手段】インクリボン13は、支持層11と、支持層11上に設けられたインク層12と、を有している。このうちインク層12は、長手方向に沿って支持層11上に周期的に並べられた複数色の昇華性インク層31,32,33と、各昇華性インク層31,32,33間に設けられ、溶融性インク34aを含む検知マーク34と、からなっている。熱転写システム10は、インクリボン13の各昇華性インク層31,32,33の昇華性インクを被転写体14に対して所定パターンで転写する第1転写装置と、昇華性インク転写済のインクリボン13の検知マーク34の溶融性インク34aを、当該インクリボン13の内側に位置する内側インクリボン上に転写させる第2転写装置22と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持層と、長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンを用いて被転写体に各昇華性インクを転写する熱転写システムまたは熱転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクリボンを用いて、カードなどの被転写体に画像や文字などの像を印画する転写システムが、広く普及している。インクリボンは、帯状に延びるリボン(支持層)と、リボン上に形成され、染料等を含んだインク層と、を有している。インクリボンを用いた印画においては、印画されるべき所望の像に対応したパターンで、インクが被転写体に転写される。この場合、インク転写済のインクリボンには、被転写体への転写によりインクが抜けた部分が、印画された像に対応したパターンで存在している。このため、インク転写済のインクリボンから、印画された像を特定することが可能である。従って、インクリボンを用いて、被転写体にID情報などの秘匿すべき情報を印画する場合、インク転写済のインクリボンの取り扱いに注意が必要となる。
【0003】
このような問題に対応するため、例えば特許文献1において、巻取部に巻き取られた最外周のインクリボンを、最外周のインクリボンの内側に位置するインクリボンに接着させる熱転写システムが提案されている。特許文献1に記載の熱転写システムによれば、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを一体化させることができ、これによって、インク転写済のインクリボンに基づいて、印画された像が特定されるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−49663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部が、当該巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンと一体化されると考えられる。このため、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンを廃棄する際、巻取部もともに廃棄されることになる。すなわち、巻取部を繰り返し利用することができず、このため、インク転写済のインクリボンを処理するためのコストが高くなってしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンが、内側に位置するインクリボンに接着されるため、いったん巻取部に巻き取られたインクリボンを逆向きに送り出すのは困難である。すなわち、巻取部においては、インクリボンを巻き取る方向における駆動のみが可能となっており、逆方向への駆動(いったん巻き取られたインクリボンを送り出す方向への駆動)が不可能となっていると考えられる。このため、巻取部に巻き取られる前のインクリボンが何らかの障害物にひっかかった場合に、巻取部の駆動方向を逆にすることによってインクリボンの搬送状態を改善することができないと考えられる。このように特許文献1に記載の熱転写システムにおいては、巻取部の駆動方向に関する自由度が低くなっていると考えられる。
【0007】
このような課題を解決する方法として、インク転写済のインクリボンに残存するインク層のインクを、適切な媒体に対してさらに転写させることが考えられる。これによって、インク転写済のインクリボンにおけるインクが抜けた部分のパターンを改変することができ、このことにより、インクが抜けた部分に基づいて被転写体に印画された像が特定されるのを防ぐことができる。
【0008】
ところで、インクリボンを用いて、複数色からなる像、すなわちカラー画像を被転写体に印画する場合、一般にインク層として、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層が用いられる。この場合、被転写体はインク受容層を含んでおり、加熱されて蒸発した昇華性インクが被転写体のインク受容層に定着することにより、被転写体にカラー画像が印画される。
【0009】
この場合、インクが抜けた部分のパターンが改変されるよう、インク転写済のインクリボンに残存する昇華性インク層の昇華性インクを媒体に対してさらに転写させるためには、媒体として、インク受容層を含む媒体を用いる必要がある。このため、用いられ得る媒体の選択肢が少なくなり、またコストも増大すると考えられる。
【0010】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る熱転写システムおよび熱転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、支持層と、長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンを用いて被転写体に各昇華性インクを転写する熱転写システムにおいて、前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンの各昇華性インク層の昇華性インクを前記被転写体に対して所定パターンで転写する第1転写装置と、前記第1転写装置の下流側に配置され、昇華性インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、昇華性インク転写済の前記インクリボンの検知マークを支持層側から加熱する第2加熱体を有する第2転写装置と、を備え、前記第1転写装置における転写により、前記インクリボンの各昇華性インク層には昇華性インク抜け部分が形成され、前記第2転写装置において、前記第2加熱体により加熱されるインクリボンの検知マークの溶融性インクが、当該インクリボンの内側に位置する内側インクリボン上に転写されることを特徴とする熱転写システムである。
【0012】
本発明による熱転写システムにおいて、好ましくは、前記インクリボンの複数色の昇華性インク層のうち少なくとも2色の昇華性インク層の長手方向における長さが、互いに相違している。
【0013】
本発明による熱転写システムにおいて、好ましくは、前記インクリボンの長手方向における前記検知マークの長さが、インクリボンの一端部近傍よりも中央部近傍において大きくなっている。
【0014】
本発明による熱転写システムにおいて、好ましくは、前記第2転写装置によって前記内側インクリボン上に転写される前記溶融性インクの転写位置が、前記第1転写装置によって前記内側インクリボンに前記昇華性インク抜け部分が形成される前の時点で予測可能となっている。この場合、前記内側インクリボンに形成される昇華性インク抜け部分が、予測される前記溶融性インクの前記転写位置と重なるよう、第1転写装置の前記第1加熱体が制御されてもよい。
【0015】
本発明による熱転写システムの前記巻取部において、前記インクリボンの支持層が複数色の昇華性インク層および検知マークよりも外側に位置するようインクリボンが巻き取られてもよい。この場合、前記第2加熱体は、前記巻取部に巻き取られた最外周のインクリボンに隣接する内側インクリボンの支持層上に、最外周のインクリボンの検知マークの溶融性インクを転写するよう、最外周のインクリボンを支持層側から加熱してもよい。
【0016】
本発明による熱転写システムにおいて、前記第2転写装置は、前記巻取部から離間して配置され、前記巻取部により巻き取られる前のインクリボンを複数色の昇華性インク層側から支持する支持ロールと、前記支持ロールにより支持されるインクリボンを支持層側から加熱する前記第2加熱体と、を有していてもよい。ここで、前記第2加熱体により加熱される前記インクリボンに隣接して、内側インクリボンが前記支持ロールによってさらに支持されており、この場合、前記第2加熱体により加熱される前記インクリボンの検知マークの溶融性インクが前記内側インクリボン上に転写される。
【0017】
本発明による熱転写システムにおいて、好ましくは、前記巻取部と前記第2転写装置の前記支持ロールとの間の距離が可変となっている。
【0018】
本発明は、長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンを用いて被転写体に各昇華性インクを転写する熱転写方法において、前記インクリボンを送り出す工程と、前記インクリボンの各昇華性インク層の昇華性インクを前記被転写体に対して所定パターンで転写する第1転写工程と、昇華性インク転写済の前記インクリボンを巻き取る工程と、昇華性インク転写済の前記インクリボンの検知マークを支持層側から加熱する第2転写工程と、を備え、前記第1転写工程において、前記インクリボンの各昇華性インク層には昇華性インク抜け部分が形成され、前記第2転写工程において、支持層側から加熱されるインクリボンの検知マークの溶融性インクが、当該インクリボンの内側に位置する内側インクリボン上に転写されることを特徴とする熱転写方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱転写システムによれば、支持層と、長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンが用いられる。また熱転写システムは、巻取部の近傍に設けられ、昇華性インク転写済のインクリボンの検知マークを支持層側から加熱する第2加熱体を有する第2転写装置を備えている。このため、第2加熱体により加熱されるインクリボンの検知マークの溶融性インクを、インクリボンの内側に位置する内側インクリボン上に転写することができる。このことにより、インクリボンの各昇華性インク層に形成された昇華性インク抜け部分のパターンが解析されるのを防ぐことができ、これによって、昇華性インク転写済のインクリボンから、印画された像が特定されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における熱転写システムを示す図。
【図2】図2(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるインクリボンを示す平面図、図2(b)は、図2(a)のインクリボンのIIb−IIb線に沿った断面図。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態において、昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図、図3(b)は、図3(a)のインクリボンのIIIb−IIIb線に沿った断面図、図3(c)は、昇華性インクが転写された被転写体を示す平面図。
【図4】図4は、図1の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図。
【図5】図5は、昇華性インク転写済のインクリボンに溶融性インクが転写される様子を示す図。
【図6】図6(a)は、本発明の第1の実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図、図6(b)は、図6(a)のインクリボンのVIb−VIb線に沿った断面図。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態におけるインクリボンを示す平面図。
【図8】図8(a)は、本発明の第2の実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図、図8(b)は、図8(a)のインクリボンのVIIIb−VIIIb線に沿った断面図。
【図9】図9は、本発明の第3の実施の形態におけるインクリボンを示す平面図。
【図10】図10は、本発明の第3の実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図。
【図11】図11は、本発明の第4の実施の形態における熱転写システムを示す図。
【図12】図12は、本発明の第4の実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図。
【図13】図13は、本発明の第5の実施の形態における熱転写システムを示す図。
【図14】図14(a)(b)は、図13の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図。
【図15】図15は、本発明の第6の実施の形態における熱転写システムを示す図。
【図16】図16(a)(b)は、図15の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図。
【図17】図17は、本発明の第6の実施の形態における巻取装置の変形例を示す図。
【図18】図18は、本発明の第6の実施の形態における巻取装置のその他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図6(a)(b)を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図2(a)(b)を参照して、被転写体に像を印画するために用いられるインクリボン13について説明する。
【0022】
インクリボン
図2(a)は、インクリボン13を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のインクリボンのIIb−IIb線に沿った断面図である。図2(b)に示すように、インクリボン13は、略透明な材料からなる支持層11と、支持層11上に設けられたインク層12と、を有している。このうちインク層12は、図2(a)(b)に示すように、長手方向に沿って支持層11上に周期的に並べられた複数色の昇華性インク層31,32,33と、各昇華性インク層31,32,33間に設けられた検知マーク34と、からなっている。
【0023】
(昇華性インク層)
このうち複数色の昇華性インク層31,32,33は、イエローのY昇華性インク31aを含むY昇華性インク層31と、マゼンダのM昇華性インク32aを含むM昇華性インク層32と、シアンのC昇華性インク33aを含むC昇華性インク層33と、からなっている。そして、これら3種の昇華性インク31a,32a,33aを用いることにより、被転写体にカラー画像を印画することが可能となっている。なお上述の「長手方向」とは、帯状のインクリボン13が延びている方向のことである。また、用いられる昇華性インクの種類が3種類に限られることはなく、1種類のみ、2種類のみ、または4種類以上の昇華性インクが用いられてもよい。
なお「昇華性インク」とは、ヘッド発熱体からの熱により昇華する特性を有するインクのことである。昇華性インクの場合、気体となった昇華性インクが被転写体のインク受容層に受容されることにより、昇華性インクが被転写体上に定着する。
【0024】
(検知マーク)
検知マーク34とは、各色の昇華性インク層31,32,33の境界部に設けられるマークであり、インクリボン13と後述する第1転写装置の第1加熱体との位置関係や、昇華性インク層31,32,33の色を識別するために設けられたマークである。この検知マーク34は、設けられる位置によって異なる特徴(長さ、厚み、パターンなど)を有している。このため、第1転写装置を用いて被転写体に所定の色の昇華性インクを転写する際、第1転写装置の第1加熱体は、検知マーク34から得られる情報に基づいて、所定の色の昇華性インクを含む昇華性インク層を加熱することができる。
【0025】
本実施の形態において、検知マーク34は溶融性インク34aを含んでいる。また検知マーク34は、好ましくは図2に示すように、インクリボン13の幅方向においてインクリボン13の一端部13aから他端部13bまで延びている。しかしながら検知マーク34は、検知マーク34を検知するための検知ユニット(後述)における検知方法によっては、必ずしもインクリボン13の一端部13aから他端部13bまで延びていなくてもよい。また、検知マーク34の溶融性インク34aの色が特に限られることはなく、検知ユニットの仕様などに応じて色が適宜選択される。例えば、ブラックの溶融性インク34aが検知マーク34を形成するために用いられる。
なお「溶融性インク」とは、ヘッド発熱体からの熱により溶融する特性を有するインクのことである。溶融性インクの場合、溶融状態となった溶融性インクが被転写体上に転写され、その後に溶融性インクが冷えて固化することにより、溶融性インクが被転写体上に定着する。このため溶融性インクは、様々な媒体に対して、インク受容層を必要とすることなく転写され得る。
【0026】
熱転写システム
次に図1を参照して、熱転写システム10の全体構造について説明する。図1に示すように、インクリボン13を用いて被転写体14に所望パターンで各昇華性インク31a,32a,33aを転写する熱転写システム10は、矢印Rで示す方向にインクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置された第1転写装置17と、第1転写装置17の下流側に配置され、矢印Rで示す方向に昇華性インク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、昇華性インク転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する第2転写装置22と、を備えている。図1に示すように、インクリボン13は、複数のガイドロール15に沿って搬送される。ここで、図1に示す巻取部21と第2転写装置22とにより、巻取装置20が構成されている。
【0027】
図1に示すように、第1転写装置17は、被転写体14を支持するプラテンロール19と、インクリボン13および被転写体14を挟んでプラテンロール19と対向するよう設けられた第1加熱体18、例えばヘッド発熱体と、を有している。図1に示すように、第1加熱体18は、インクリボン13の支持層11側に設けられている。この第1加熱体18により、インクリボン13のインク層12の各昇華性インク31a,32a,33aがカラー画像に対応する所定のパターンで加熱され、これによって、インクリボン13のインク層12の各昇華性インク31a,32a,33aが被転写体14に対して転写される。なお第1加熱体18の近傍には、インクリボン13の検知マーク34を検知するための検知ユニット(図示せず)が設けられており、この検知ユニットからの情報に基づいて第1加熱体18が駆動制御される。
【0028】
図3(a)は、各昇華性インク31a,32a,33aが被転写体14に転写された後のインクリボン13をインク層12側から見た場合を示す図であり、図3(b)は、図3(a)のインクリボン13のIIIb−IIIb線に沿った断面図であり、図3(c)は、各昇華性インク31a,32a,33aが転写された被転写体14を示す図である。図3(c)に示すように、各昇華性インク31a,32a,33aを被転写体14上の所定領域内に転写させることにより、一個のカラー画像、例えば顔画像14aが形成されている。なお図示はしないが、被転写体14は、各昇華性インク31a,32a,33aを定着させるためのインク受容層を含んでいる。
【0029】
また図3(a)および図3(b)に示すように、昇華性インク転写済のインクリボン13において、インク層12の各昇華性インク層31,32,33は、被転写体14に転写されずに残留している各昇華性インク31a,32a,33aと、被転写体14に印画された顔画像に対応する昇華性インク抜け部分31b,32b,33bと、を含んでいる。このため、昇華性インク転写済のインクリボン13が、情報漏洩を防ぐための対策が施されることなく廃棄された場合、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bに基づいて、被転写体14に印画された顔画像14a(ID情報)が特定されるおそれがある。例えば、はじめに、残留している各昇華性インク31a,32a,33aと各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bとをスキャナで読み取り、次に、読み取られた各昇華性インク31a,32a,33aの色と各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bの色とを入れ替え、その後、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bを重ねることにより、被転写体14に印画された顔画像14aが再現され得る。
【0030】
本実施の形態は、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bに基づいて被転写体14に印画された顔画像14aが特定されるのを防ぐため、第2転写装置を有する巻取装置20を設けたことを特徴としている。以下、巻取装置20について詳細に説明する。
【0031】
巻取装置
上述のとおり、巻取装置20は、昇華性インク転写済のインクリボン13を巻き取るロール状の巻取部21と、巻取部20の近傍に設けられ、昇華性インク転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する第2転写装置22と、を有している。このうち第2転写装置22は、ヘッド発熱体からなる第2加熱体23と、第2加熱体23を矢印Dで示す方向において移動可能に支持する支持機構(図示せず)と、を含んでいる。
【0032】
(巻取部)
図4に示すように、本実施の形態の巻取部21においては、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも外側に位置するようインクリボン13が巻き取られる。なお図4に示すように、本実施の形態において、巻取部21に巻き取られているインクリボン13のうち最外周に位置するインクリボン13が外側インクリボン13Aと称され、外側インクリボン13Aよりも内側で巻取部21に巻き取られ、かつ、外側インクリボン13Aに隣接しているインクリボン13が内側インクリボン13Bと称される。
【0033】
(第2転写装置)
次に図5を参照して、第2転写装置22の第2加熱体23について詳細に説明する。図5は、第2転写装置22の第2加熱体23によって、外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される様子を示す図である。なお、巻取部21にインクリボン13が巻き取られる際、巻き取られたインクリボン13は、実際には巻取部21のロール面に沿って湾曲するが、図5においては、便宜上、湾曲状態を無視してインクリボン13が描かれている。また図5においては、外側インクリボン13Aが第2加熱体23により押圧され、これによって、外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが内側インクリボン13Bの支持層11に押し付けられる様子を説明するため、便宜上、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとの間に若干の隙間が描かれている。しかしながら、これに限られることはなく、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとが全面にわたって隙間無く接していてもよい。
【0034】
また図5に示す例においては、外側インクリボン13Aおよび内側インクリボン13B各々が少なくとも一周期分の昇華性インク層31,32,33を含んでいる。すなわち、巻取部21に巻きつけられたインクリボン13の一周分の長さが、昇華性インク層31,32,33の一周期分の長さよりも長い例が示されている。しかしながら、これに限られることはなく、巻取部21に巻きつけられたインクリボン13の一周分の長さが、昇華性インク層31,32,33の一周期分の長さよりも短くなっていてもよい。
【0035】
図5に示すように、第2転写装置22の第2加熱体23は、昇華性インク転写済の外側インクリボン13Aの検知マーク34を、支持層11側から加熱するとともに、内側インクリボン13Bに向けて押圧するよう構成されている。これによって、後に詳細に説明するように、内側インクリボン13Bに形成された各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのを防ぐことができる。なお、第2加熱体23が外側インクリボン13Aの検知マーク34を加熱および押圧するタイミングを制御する方法が特に限られることはなく、様々な方法が適宜採用される。例えば、第2加熱体23の上流側近傍に、外側インクリボン13Aの検知マーク34を検出する検知手段(図示せず)が設けられており、この検知手段からの情報に基づいて第2加熱体23が駆動制御されてもよい。若しくは、第1転写装置17の検知ユニットからの情報と、第1転写装置17から第2転写装置22までの距離に関する情報とに基づいて、外側インクリボン13Aの検知マーク34が第2加熱体23に到達する時間が算出され、この時間に関する情報に基づいて第2加熱体23が駆動制御されてもよい。
【0036】
なお、巻取部21においては、巻き取りが進むにつれて、巻取部21により巻き取られているインクリボン13により構成されるロール体の外径が増加していく。このようなロール体の外径の増加に対応するため、第2加熱体23は、ロール体の半径方向(図4において矢印Dで示す方向)において移動可能となるよう上述の支持機構により支持されている。また、このような支持機構によって第2加熱体23を支持することにより、巻取り駆動が停止されている場合や、第2加熱体23による加熱が不要な場合に、第2加熱体23を矢印D方向に移動させて、巻取部21に巻き取られているインクリボン13との接触を任意に中止することが可能となる。
【0037】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、熱転写システム10の第1転写装置17により被転写体14に顔画像14aが印画され、その後、昇華性インク転写済の外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが、第2転写装置22により内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される作用について説明する。
【0038】
熱転写方法
まず被転写体14を準備し、次に、被転写体14を第1転写装置17に向けて搬送する。一方、図1に示すように、インクリボン13を、送出部16から第1転写装置17に向けて送り出す。
【0039】
第1転写装置17においては、はじめに、インクリボン13のインク層12のうち、Y昇華性インク層31のY昇華性インク31aを被転写体14上に転写する。この場合、まず、検知ユニット(図示せず)は、インクリボン13の検知マーク34のうちY昇華性インク層31が到来したことを示す検知マーク34を検知する。次に、第1転写装置17の第1加熱体18は、インクリボン13のY昇華性インク層31を、顔画像14aに対応するパターンで加熱しながら被転写体14に対して押し付ける。これによって、インクリボン13のY昇華性インク層31のY昇華性インク31aが被転写体14上に転写される。
【0040】
同様にして、M昇華性インク層32およびC昇華性インク層33を順次、顔画像14aに対応するパターンで加熱しながら被転写体14に対して押し付ける。具体的には、まず、Y昇華性インク31aが転写された被転写体14が、第1加熱体18のところまで上流側(図1における右側)へ戻される。次に、Y昇華性インク31aの場合と同様にして、M昇華性インク層32のM昇華性インク32aが被転写体14上に転写される。その後、Y昇華性インク31aおよびM昇華性インク32aが転写された被転写体14が、第1加熱体18のところまで再度上流側へ戻される。そして、Y昇華性インク31aの場合と同様にして、C昇華性インク層33のC昇華性インク33aが被転写体14上に転写される。このようにして、各昇華性インク31a,32a,33aからなる顔画像14aが被転写体14上に形成される(第1転写工程)。この際、図3(a)(b)に示すように、昇華性インク転写済のインクリボン13の各昇華性インク層31,32,33には、昇華性インク31a,32a,33aが抜けた昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが形成される。
【0041】
昇華性インク転写済のインクリボン13は、巻取装置20の巻取部21により巻き取られる。そして、巻取部21によって昇華性インク転写済のインクリボン13が巻き取られている状態において、第2転写装置22により、外側インクリボン13Aの検知マーク34が支持層11側から加熱される(第2転写工程)。以下、第2転写工程について詳細に説明する。
【0042】
はじめに、第2加熱体23の上流側近傍に設けられた上述の検知手段(図示せず)により、外側インクリボン13Aの検知マーク34の位置が検知される。次に、検知手段からの情報に基づいて、第2転写装置22の上述の支持機構(図示せず)が第2加熱体23を外側インクリボン13Aに押し付ける。これによって、外側インクリボン13Aの検知マーク34が第2加熱体23によって支持層11側から加熱される。このため、外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。
【0043】
図6(a)は、第2転写装置22による転写が行われた後の内側インクリボン13Bをインク層12側から見た場合を示す図であり、図6(b)は、図6(a)の内側インクリボン13BのVIb−VIb線に沿った断面図である。なお図6(a)において、外側インクリボン13Aから内側インクリボン13Bの支持層11上に転写された溶融性インク34aが点線の輪郭により示されている。また内側インクリボン13Bの検知マーク34の溶融性インク34aの一部は、既に内側インクリボン13Bの内側に位置するインクリボン(図示せず)の支持層上に転写されている。このため、内側インクリボン13Bの検知マーク34には、溶融性インク抜け部分34bが形成されている。
【0044】
図6(a)(b)に示すように、内側インクリボン13Bの支持層11上には、各昇華性インク層31,32,33の昇華性インク抜け部分31b,32b,33bと重なるよう溶融性インク34aが転写されている。このため、昇華性インク転写済の内側インクリボン13Bを観察した場合、溶融性インク34aによって縦断された各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが視認される。すなわち、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが、溶融性インク34aによって改変されている。これによって、顔画像14aに対応する各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのを防ぐことができ、このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが特定されるのを防ぐことができる。
【0045】
上述のようにして、巻取装置20の巻取部21により巻き取られた昇華性インク転写済のインクリボン13が、第2転写装置22により支持層11側から加熱される。そして、一連の昇華性インク転写済のインクリボン13を巻取部21により巻き取るとともに、第2転写装置22により支持層11側から加熱した後、当該インクリボン13を巻取部21から取り外して廃棄する。この際、巻取部21に巻き取られているインクリボン13の間、例えば外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとの間には接着処理が施されておらず、このため、インクリボン13を巻取部21から容易に取り外すことができる。従って、巻取部21を繰り返し利用することが可能である。このことにより、巻取部21が昇華性インク転写済のインクリボン13とともに廃棄される場合に比べて、昇華性インク転写済のインクリボン13を処理するためのコストを低くすることができる。
【0046】
このように本実施の形態によれば、熱転写システム10は、インクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置され、インクリボン13の支持層11側に設けられた第1加熱体18を有し、インクリボン13の各昇華性インク層31,32,33の昇華性インク31a,32a,33aを被転写体14に対して所定パターンで転写する第1転写装置17と、第1転写装置17の下流側に配置され、昇華性インク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、昇華性インク転写済のインクリボン13の検知マーク34を支持層11側から加熱する第2加熱体23を有する第2転写装置22と、を備えている。また、インクリボン13の検知マーク34は、溶融性インク34aを含んでいる。このため、第2加熱体23により加熱されるインクリボン13の検知マーク34の溶融性インク34aを、インクリボン(外側インクリボン13A)の内側に位置する内側インクリボン13B上に転写することができる。従って、被転写体14に転写されるインクが昇華性インク31a,32a,33aからなる場合であっても、昇華性インク転写済のインクリボン13に形成される各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、溶融性インク34aによって改変することができる。これによって、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのを防ぐことができ、このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aなどのID情報が特定されるのを防ぐことができる。
このように、各色の昇華性インク層31,32,33の色を識別するために設けられる検知マーク34を溶融性インク34aで形成することにより、検知マーク34を利用して各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを改変することが可能となっている。このため、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを破壊するためのインク層を別個に設けることなく、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのを防ぐことができる。このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13を処理するためのコストを低くすることができる。
【0047】
第2の実施の形態
次に図7および図8(a)(b)を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図7は、本実施の形態におけるインクリボンを示す平面図である。図8(a)は、本実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)のインクリボンのVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。
【0048】
図7および図8(a)(b)に示す第2の実施の形態は、インクリボンのY昇華性インク層の長手方向における長さが、M昇華性インク層およびC昇華性インク層の長手方向における長さよりも長くなっている点が異なるのみであり、その他の構成は、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図7および図8(a)(b)に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
インクリボン
図7において、インクリボン13の長手方向における各昇華性インク層31,32,33の長さが、それぞれ符号l,l,lにより示されている。ここで図7に示すように、Y昇華性インク層31の長さlは、M昇華性インク層32の長さlおよびC昇華性インク層33の長さlよりも長くなっている。例えば、Y昇華性インク層31の長さlは、M昇華性インク層32の長さlおよびC昇華性インク層の長さlの130〜200%の長さとなっている。
【0050】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0051】
昇華性インク転写済のインクリボン13が巻取部21に巻き取られる際の、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bの位置関係は、巻取部21の直径などに応じて決定される。この場合、図8(a)(b)に示すように、外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが、内側インクリボン13BのM昇華性インク層32のM昇華性インク抜け部分32bおよびC昇華性インク層33のC昇華性インク抜け部分33bと重ならないタイミングがあることが考えられる。ここで本実施の形態によれば、上述のように、Y昇華性インク層31の長さlは、M昇華性インク層32の長さlおよびC昇華性インク層の長さlよりも長くなっている。このため、図8(a)(b)に示すように、少なくとも外側インクリボン13Aの溶融性インク34aと内側インクリボン13BのY昇華性インク層31のY昇華性インク抜け部分31bとを重ならせることができる。
【0052】
一般に、イエロー、マゼンダおよびシアンの3色からなる顔画像14aは、各色の構成比率が解析されてはじめて再現され得る。ここで本実施の形態によれば、内側インクリボン13BのY昇華性インク抜け部分31bのパターンが、外側インクリボン13Aの溶融性インク34aにより改変されている。このため、顔画像14aに対応するY昇華性インク抜け部分31bのパターンが解析されるのを防ぐことができ、このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのを防ぐことができる。
【0053】
このように本実施の形態によれば、順に並ぶ昇華性インク層31,32,33のうち少なくとも1つの昇華性インク層の昇華性インク抜け部分のパターンを改変することにより、印画された顔画像が再現されるのを防ぐことができる。
【0054】
なお本実施の形態において、Y昇華性インク層31の長さlが、M昇華性インク層32の長さlおよびC昇華性インク層33の長さlよりも長くなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、3色の昇華性インク層31,32,33のうち少なくとも2色の昇華性インク層の長さが互いに相違していればよい。
【0055】
第3の実施の形態
次に図9および図10を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図9は、本実施の形態におけるインクリボンを示す平面図であり、図10は、本実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図である。
【0056】
図9および図10に示す第3の実施の形態は、インクリボンの長手方向における検知マークの長さが、インクリボンの一端部近傍よりも中央部近傍において大きくなっている点が異なるのみであり、その他の構成は、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態および図7および図8(a)(b)に示す第2の実施の形態と略同一である。図9および図10に示す第3の実施の形態において、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態および図7および図8(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
インクリボン
図9において、インクリボン13の幅方向における一端部および他端部がそれぞれ符号13aおよび13bにより示されており、また、一端部13aと他端部13bとの間にある中央部が符号13cにより示されている。また、インクリボン13の長手方向における検知マーク34の長さのうち、一端部13a近傍での長さが符号l,により示され、中央部13c近傍での長さが符号lにより示されている。
【0058】
一般に、検知マーク34を検知するための上述の検知ユニットにおいては、検知マーク34のうちインクリボン13の一端部13a近傍の領域が検知される。このため、検知マーク34のうち一端部13a近傍の領域の長さlは、検知ユニットの仕様などに応じて定められる。一方、検知マーク34のうちインクリボン13の中央部13c近傍の領域は、検知ユニットによる検知に影響を及ぼさない領域となっている。このため、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さlは、検知ユニットの仕様を考慮することなく任意に定められ得る。
【0059】
ここで図9に示すように、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さlは、検知マーク34のうち一端部13a近傍の領域の長さlよりも長くなっている。例えば、一端部13a近傍の領域の長さlは3〜10mmの範囲内となっており、一方、中央部13c近傍の領域の長さlは、長さlよりも5〜20mmだけ長くなっている。
【0060】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0061】
本実施の形態によれば、上述のように、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さlは、検知マーク34のうち一端部13a近傍の領域の長さlよりも長くなっている。また図10に示すように、インクリボン13(外側インクリボン13A)の検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域を形成する溶融性インク34aは、隣接するインクリボン13(内側インクリボン13B)の支持層11上に転写される。このため本実施の形態によれば、昇華性インク転写済のインクリボン13の支持層11上に転写される溶融性インク34aの面積をより大きくすることができる。これによって、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、溶融性インク34aによって高い確率で改変することができる。このことにより、顔画像14aに対応する昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのをより確実に防ぐことができ、これによって、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのをより強固に防ぐことができる。
【0062】
なお本実施の形態において、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さと同様に、検知マーク34のうち他端部13b近傍の領域の長さが、検知マーク34のうち一端部13a近傍の領域の長さより長くなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、少なくとも検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さが、インクリボン13の端部近傍の領域であって、検知ユニットにより検出される検知マーク34の領域の長さよりも長くなっていればよい。
【0063】
第4の実施の形態
次に図11および図12を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。ここで図11は、本実施の形態における熱転写システムを示す図であり、図12は、本実施の形態において、溶融性インクが転写された後の昇華性インク転写済のインクリボンを示す平面図である。
【0064】
図11および図12に示す第4の実施の形態においては、第2転写装置によって内側インクリボン上に転写される溶融性インクの転写位置が、第1転写装置によって内側インクリボンに昇華性インク抜け部分が形成される前の時点で予測可能となっている。また、内側インクリボンに形成される昇華性インク抜け部分が、予測される溶融性インクの転写位置と重なるよう、第1転写装置の第1加熱体が制御される。図11および図12に示す第4の実施の形態において、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態、図7および図8(a)(b)に示す第2の実施の形態、および図9および図11に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
熱転写システム
本実施の形態においては、巻取装置20の巻取部21に、無線で信号を送ることが可能なRFIDデバイス27が取り付けられている(図11参照)。また熱転写システム10は、RFIDデバイス27からの情報に基づいて、第1転写装置17の第1加熱体18がインクリボン13を加熱するタイミングを制御する制御部28をさらに備えている。
【0066】
ここで上述のRFIDデバイス27は、巻取部21によって巻き取られた昇華性インク転写済のインクリボン13に関する情報を取得し、この情報を無線信号として制御部28に送るよう構成されている。取得される情報としては、例えば、巻取部21に巻き取られている昇華性インク転写済のインクリボン13に含まれる各昇華性インク層31,32,33の数や、巻取部21の回転速度などが挙げられる。また制御部28は、第1加熱体18により加熱される前のインクリボン13について、このインクリボン13(以下において、予測対象のインクリボン13とも称される)が巻取部21に巻き取られて内側インクリボン13Bとなった時、第2転写装置22によってこの内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される溶融性インク34aの転写位置を予測するよう構成されている。このような予測は、RFIDデバイス27からの情報や、第1転写装置17から第2転写装置22までの距離に関する情報などに基づいて実施される。また、溶融性インク34aの転写位置の予測は、予測対象のインクリボン13が第1転写装置17の第1加熱体18により加熱され、予測対象のインクリボン13に昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが形成されるよりも前の時点で実施される。そして制御部28は、このような予測に基づいて、予測対象のインクリボン13に形成される昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが、予測される溶融性インク34aの転写位置と重なるよう、第1転写装置17の第1加熱体18を駆動制御する。
【0067】
図12に示すように、昇華性インク層31,32,33のいずれにおいても、溶融性インク34aの転写位置は、長手方向における各昇華性インク層31,32,33の中心から紙面右方向にずれた位置となっている。ここで本実施の形態によれば、予測対象のインクリボン13に形成される昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが、予測される溶融性インク34aの転写位置と重なるよう、制御部28により第1転写装置17の第1加熱体18が駆動制御される。具体的には、昇華性インク抜け部分31b,32b,33bが、各昇華性インク層31,32,33の中心から紙面右方向にずれた位置に形成されるよう、第1加熱体18が駆動制御される。このため図12に示すように、このような制御が実施されない場合に比べて、内側インクリボン13Bの昇華性インク抜け部分31b,32b,33bと、内側インクリボン13Bの支持層11に転写される溶融性インク34aと、をより重ならせることができる。これによって、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、溶融性インク34aによってより広範囲にわたって改変することができる。このことにより、顔画像14aに対応する昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのをより確実に防ぐことができ、これによって、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのをより強固に防ぐことができる。
【0068】
第5の実施の形態
次に図13および図14(a)(b)を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。ここで図13は、本発明の第5の実施の形態における熱転写システムを示す図であり、図14(a)(b)は、図13の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図である。
【0069】
図13および図14(a)(b)に示す第5の実施の形態は、第2転写装置が、巻取部から離間して配置され、巻取部により巻き取られる前のインクリボンを支持する支持ロールを有する点が異なるのみであり、その他の構成は、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。図13および図14(a)(b)に示す第5の実施の形態において、図1乃至図6(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
図13に示すように、熱転写システム10の第2転写装置22は、巻取部21から離間して配置され、巻取部21により巻き取られる前のインク転写済のインクリボン13を支持する支持ロール24と、支持ロール24により支持されるインクリボン13を支持層11側から加熱する第2加熱体23と、を有している。支持ロール24は、支持ロール用支持機構(図示せず)により、矢印Rで示す方向において回動可能に支持されている。このような第2転写装置22において、第2加熱体23により加熱されるインクリボン13の検知マーク34の溶融性インク34aが、当該インクリボン13の内側に位置するとともに当該インクリボン13に隣接するインクリボン(内側インクリボン)13の支持層11に転写される。以下、図14(a)(b)を参照して、本実施の形態における巻取装置20の第2転写装置22について詳細に説明する。
【0071】
図14(a)(b)はともに、図13の熱転写システム10の巻取装置20を拡大して示す図である。このうち図14(b)は、図10(a)に示す状態からさらに多くのインクリボン13が巻取部21によって巻き取られた場合を示す図である。
【0072】
図14(a)(b)に示すように、第2転写装置22の支持ロール24においては、インクリボン13が二重に重ねられて支持されている。以下の説明において、外側に位置しているインクリボン13であって、第2加熱体23により加熱されるインクリボン13が外側インクリボン13Cと称される。また、外側インクリボン13Cよりも内側で支持ロール24に支持されるとともに、外側インクリボン13Cに隣接しているインクリボン13が内側インクリボン13Dと称される。なお本実施の形態において、「内側」とは、「巻取部21により近い側」を意味している。
【0073】
図14(a)(b)に示すように、支持ロール24を通り過ぎた外側インクリボン13Cは、巻取部21の周囲を回った後に再度支持ロール24と第2加熱体23との間に戻って内側インクリボン13Dとなる。また、支持ロール24を通り過ぎた内側インクリボン13Dは、巻取部21により巻き取られる。
【0074】
図14(a)(b)において、外側インクリボン13Cと内側インクリボン13Dとが接触している区間、および、内側インクリボン13Dと巻取部21によって既に巻き取られたインクリボン13とが接触している区間が、一点鎖線からなる矢印Dにより示されている。
【0075】
なお、支持ロール24によりインクリボン13が二重に重ねられて支持されている例を示したが、これに限られることはなく、支持ロール24が、三重以上に重ねられたインクリボン13を支持していてもよい。この場合、支持ロール24により支持されているインクリボン13のうち最も外側に位置するインクリボン13が外側インクリボン13Cとなる。また、外側インクリボン13Cよりも内側で支持ロール24により支持されるとともに、外側インクリボン13Cに隣接しているインクリボン13が内側インクリボン13Dとなる。
【0076】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0077】
はじめに、第2加熱体23の上流側近傍に設けられた検知手段(図示せず)により、外側インクリボン13Cの検知マーク34の位置が検知される。次に、検知手段からの情報に基づいて、図14(a)に示すように、第2転写装置22の第2加熱体23を、外側(支持層11側)から外側インクリボン13Cに押し付ける。これによって、外側インクリボン13Cの検知マーク34が第2加熱体23によって支持層11側から加熱される。このため、外側インクリボン13Cの検知マーク34の溶融性インク34aが、内側インクリボン13Dの支持層11上に転写される。このようにして、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、内側インクリボン13Dの各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、外側インクリボン13Cから転写された溶融性インク34aによって改変することができる。
【0078】
次に図14(b)を参照して、巻取部21により巻き取られているインクリボン13により構成されるロール体の外径が増加した場合について説明する。
【0079】
上述のように、本実施の形態において、外側インクリボン13Cは、巻取部21から離間して配置された支持ロール24において第2加熱体23により加熱される。このため、図14(b)に示すように、巻取部21により巻き取られているインクリボン13により構成されるロール体の外径が増加した場合であっても、第2加熱体23を常に同一の位置で保持することが可能となっている。これによって、簡易な駆動機構により第2加熱体23を駆動および支持することができ、かつ、外側インクリボン13Cの検知マーク34の溶融性インク34aを、内側インクリボン13Dの支持層11上に常に安定して転写させることができる。例えば、巻取部21により巻き取られた最外周のインクリボン13の表面に起伏が形成されている場合であっても、そのような起伏に影響されることなく、第2加熱体23による転写を安定に実施することができる。このため、顔画像14aに対応する昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのをより確実に防ぐことができる。このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのをより強固に防ぐことができる。
【0080】
変形例
なお本実施の形態において、上述の支持ロール24は、巻取部21と支持ロール24との間の距離が可変となるよう、巻取部21に向かう向きおよび巻取部21から遠ざかる向きにおいて移動可能となっていてもよい。また図13に示すように、支持ロール24の上流側に設けられ、昇華性インク転写済のインクリボン13をモニタするモニタ手段29と、モニタ手段29からの情報に基づいて支持ロール24の位置を調整する支持ロール制御部30と、がさらに設けられていてもよい。
【0081】
本変形例においては、上述のように、支持ロール24の位置を調整することにより、巻取部21と支持ロール24との間の距離を変化させることができる。すなわち、支持ロール24を通り過ぎた外側インクリボン13Cが巻取部21の周囲を回った後に再度支持ロール24と第2加熱体23との間に戻って内側インクリボン13Dとなる際の経路長が、変更可能となっている。このため、支持ロール24の位置を調整することにより、外側インクリボン13Cから内側インクリボン13Dの支持層11に転写される溶融性インク34aと、内側インクリボン13Dの昇華性インク抜け部分31b,32b,33bとの重なりの程度を調整することができる。
【0082】
上述のモニタ手段29は、支持ロール24へ向かう昇華性インク転写済のインクリボン13の検知マーク34を検知するよう構成されている。また上述の支持ロール制御部30は、モニタ手段29からの情報に基づいて、外側インクリボン13Cから内側インクリボン13Dの支持層11に転写される溶融性インク34aと、内側インクリボン13Dの昇華性インク抜け部分31b,32b,33bとがより広範囲にわたって重なるよう、支持ロール24の位置を調整することができる。これによって、各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、溶融性インク34aによって広範囲にわたって改変することができる。このことにより、顔画像14aに対応する昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンが解析されるのをより確実に防ぐことができ、これによって、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのをより強固に防ぐことができる。
【0083】
その他の変形例
また本実施の形態において、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、3色の昇華性インク層31,32,33のうち少なくとも2色の昇華性インク層の長さが互いに相違していてもよい。また上述の第3の実施の形態の場合と同様に、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さが、インクリボン13の端部近傍の領域の長さよりも長くなっていてもよい。さらに上述の第4の実施の形態の場合と同様に、予測される溶融性インク34aの転写位置が、予測対象のインクリボン13に形成される昇華性インク抜け部分31b,32b,33bと重なるよう、第1転写装置17の第1加熱体18が駆動制御されてもよい。
【0084】
第6の実施の形態
次に図15および図16(a)(b)を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。ここで図15は、本発明の第6の実施の形態における熱転写システムを示す図であり、図16(a)(b)は、図15の熱転写システムの巻取装置を拡大して示す図である。
【0085】
図15および図16(a)(b)に示す第6の実施の形態は、支持ロールの上流側または下流側に、第2加熱体により加熱されるインクリボンを支持して案内する案内ロールが設けられている点が異なるのみであり、その他の構成は、図13および図14(a)(b)に示す第5の実施の形態と略同一である。図15および図16(a)(b)に示す第6の実施の形態において、図13および図14(a)(b)に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図15に示すように、第2転写装置22には、支持ロール24の上流側または下流側に設けられ、第2加熱体23により加熱される外側インクリボン13Cを支持して案内する複数の案内ロール25が設けられている。以下、図16(a)(b)を参照して、本実施の形態における巻取装置20の第2転写装置22について詳細に説明する。
【0087】
図16(a)(b)はともに、図15の熱転写システム10の巻取装置20を拡大して示す図である。このうち図16(b)は、図16(a)に示す状態からさらに多くのインクリボン13が巻取部21によって巻き取られた場合を示す図である。
【0088】
図16(a)(b)において、外側インクリボン13Cと内側インクリボン13Dとが接触している区間、および、内側インクリボン13Dと巻取部21によって既に巻き取られたインクリボン13とが接触している区間が、一点鎖線からなる矢印Dにより示されている。
【0089】
巻取装置20においては、巻取部21からの距離の差に依存して、より外側に位置するインクリボン13ほどその搬送速度が大きくなることが考えられる。このため、外側インクリボン13Cと内側インクリボン13Dとが接触している区間、および、内側インクリボン13Dと巻取部21によって既に巻き取られたインクリボン13とが接触している区間においては、外側のインクリボン13とそれより内側のインクリボン13との間の搬送速度の差に起因して摩擦力が生じていることが考えられる。このような摩擦力が大きくなると、巻取部21においてインクリボン13を密に巻き取ることが困難になるなどの現象が生じることが考えられる。
【0090】
ここで、図16(a)(b)から明らかなように、本実施の形態によれば、案内ロール25を設けることにより、案内ロール25が設けられていない場合に比べて、一点鎖線からなる矢印Dにより示される区間の長さを短くすることができる。このため、外側のインクリボン13とそれより内側のインクリボン13との間の搬送速度の差に起因して生じる摩擦力を低減することができ、このことにより、巻取部21においてインクリボン13を安定に密に巻き取ることが可能となる。
【0091】
変形例
なお本実施の形態において、巻取部21によって、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも外側に位置するようインクリボン13が巻き取られる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図17に示すように、巻取部21によって、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも内側に位置するようインクリボン13を巻き取ってもよい。この場合であっても、第2加熱体23により、外側インクリボン13Cの検知マーク34の溶融性インク34aが、内側インクリボン13Dの支持層11に転写される。このことにより、昇華性インク転写済のインクリボン13から、印画された顔画像14aが再現されるのを防ぐことができる。
【0092】
その他の変形例
また本実施の形態において、第2加熱23体により加熱される外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが、支持ロール24により支持されている内側インクリボン13Dの支持層11上に転写される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図18に示すように、第2加熱23体により加熱される外側インクリボン13Aの検知マーク34の溶融性インク34aが、支持ロール24により支持されている内側インクリボン13Dのインク層12上に転写されてもよい。これによって、内側インクリボン13Dのインク層12の各昇華性インク抜け部分31b,32b,33bのパターンを、外側インクリボン13Aから転写された溶融性インク34aによって直接的に改変することができる。
【0093】
また本実施の形態において、さらに多くの案内ロール25が設けられていてもよい。例えば、図16(a)(b)において一点鎖線からなる矢印Dにより示される区間を無くすよう、内側インクリボン13Dを案内する案内ロール(図示せず)をさらに設けてもよい。これによって、外側のインクリボン13とそれより内側のインクリボン13との間の搬送速度の差に起因して生じる摩擦力をさらに低減することができ、このことにより、巻取部21においてインクリボン13をより安定に密に巻き取ることが可能となる。
【0094】
また本実施の形態において、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、3色の昇華性インク層31,32,33のうち少なくとも2色の昇華性インク層の長さが互いに相違していてもよい。また上述の第3の実施の形態の場合と同様に、検知マーク34のうち中央部13c近傍の領域の長さが、インクリボン13の端部近傍の領域の長さよりも長くなっていてもよい。さらに上述の第4の実施の形態の場合と同様に、予測される溶融性インク34aの転写位置が、予測対象のインクリボン13に形成される昇華性インク抜け部分31b,32b,33bと重なるよう、第1転写装置17の第1加熱体18が駆動制御されてもよい。
【0095】
また上記各実施の形態において、インクリボン13が、支持層11とインク層12とからなる例を示した。ここで、支持層11の構成が特に限られることはなく、様々な層によって支持層11を構成することができる。例えば、インク層12を支持する基材層(図示せず)によって、支持層11を構成してもよい。若しくは、インク層12を支持する基材層(図示せず)と、基材層の面のうちインク層12を支持する面と反対側の面に設けられた背面層(図示せず)と、により支持層11を構成してもよい。この場合、背面層は、第1転写装置17の第1加熱体18、または第2転写装置の第2加熱体23により加熱されて押圧される層となっている。従って、背面層は、例えば所定の耐熱性を有する材料から構成される。
【符号の説明】
【0096】
10 熱転写システム
11 支持層
12 インク層
13 インクリボン
13A 外側インクリボン
13B 内側インクリボン
13C 外側インクリボン
13D 内側インクリボン
14 被転写体
15 ガイドロール
16 送出部
17 第1転写装置
18 第1加熱体
19 プラテンロール
20 巻取装置
21 巻取部
22 第2転写装置
23 第2加熱体
24 支持ロール
25 案内ロール
27 RFIDユニット
28 制御部
29 モニタ手段
30 支持ロール制御部
31 Y昇華性インク層
31a Y昇華性インク
31b Y昇華性インク抜け部分
32 M昇華性インク層
32a M昇華性インク
32b M昇華性インク抜け部分
33 C昇華性インク層
33a C昇華性インク
33b C昇華性インク抜け部分
34 検知マーク
34a 溶融性インク
34b 溶融性インク抜け部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と、長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンを用いて被転写体に各昇華性インクを転写する熱転写システムにおいて、
前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンの各昇華性インク層の昇華性インクを前記被転写体に対して所定パターンで転写する第1転写装置と、
前記第1転写装置の下流側に配置され、昇華性インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、昇華性インク転写済の前記インクリボンの検知マークを支持層側から加熱する第2加熱体を有する第2転写装置と、を備え、
前記第1転写装置における転写により、前記インクリボンの各昇華性インク層には昇華性インク抜け部分が形成され、
前記第2転写装置において、前記第2加熱体により加熱されるインクリボンの検知マークの溶融性インクが、当該インクリボンの内側に位置する内側インクリボン上に転写されることを特徴とする熱転写システム。
【請求項2】
前記インクリボンの複数色の昇華性インク層のうち少なくとも2色の昇華性インク層の長手方向における長さが、互いに相違していることを特徴とする請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項3】
前記インクリボンの長手方向における前記検知マークの長さが、インクリボンの一端部近傍よりも中央部近傍において大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写システム。
【請求項4】
前記第2転写装置によって前記内側インクリボン上に転写される前記溶融性インクの転写位置が、前記第1転写装置によって前記内側インクリボンに前記昇華性インク抜け部分が形成される前の時点で予測可能となっており、
前記内側インクリボンに形成される昇華性インク抜け部分が、予測される前記溶融性インクの前記転写位置と重なるよう、第1転写装置の前記第1加熱体が制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱転写システム。
【請求項5】
前記巻取部において、前記インクリボンの支持層が複数色の昇華性インク層および検知マークよりも外側に位置するようインクリボンが巻き取られ、
前記第2加熱体は、前記巻取部に巻き取られた最外周のインクリボンに隣接する内側インクリボンの支持層上に、最外周のインクリボンの検知マークの溶融性インクを転写するよう、最外周のインクリボンを支持層側から加熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱転写システム。
【請求項6】
前記第2転写装置は、前記巻取部から離間して配置され、前記巻取部により巻き取られる前のインクリボンを複数色の昇華性インク層側から支持する支持ロールと、前記支持ロールにより支持されるインクリボンを支持層側から加熱する前記第2加熱体と、を有し、
前記第2加熱体により加熱される前記インクリボンに隣接して、内側インクリボンが前記支持ロールによってさらに支持されており、この場合、前記第2加熱体により加熱される前記インクリボンの検知マークの溶融性インクが前記内側インクリボン上に転写されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱転写システム。
【請求項7】
前記巻取部と前記第2転写装置の前記支持ロールとの間の距離が可変となっていることを特徴とする請求項6に記載の熱転写システム。
【請求項8】
長手方向に沿って支持層上に周期的に並べられ、各々が昇華性インクを含む複数色の昇華性インク層と、各昇華性インク層間に設けられ、溶融性インクを含む検知マークと、を有するインクリボンを用いて被転写体に各昇華性インクを転写する熱転写方法において、
前記インクリボンを送り出す工程と、
前記インクリボンの各昇華性インク層の昇華性インクを前記被転写体に対して所定パターンで転写する第1転写工程と、
昇華性インク転写済の前記インクリボンを巻き取る工程と、
昇華性インク転写済の前記インクリボンの検知マークを支持層側から加熱する第2転写工程と、を備え、
前記第1転写工程において、前記インクリボンの各昇華性インク層には昇華性インク抜け部分が形成され、
前記第2転写工程において、支持層側から加熱されるインクリボンの検知マークの溶融性インクが、当該インクリボンの内側に位置する内側インクリボン上に転写されることを特徴とする熱転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−71423(P2012−71423A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215929(P2010−215929)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】