説明

熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランク、およびこれらの製造方法

本発明は、熱間成形可能な鋼の基材を含み、所望により活性防食被覆で被覆される、700℃以上での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクに関するものである。本発明によれば、所望により被覆された鋼基材が、多くとも25ミクロンの厚さを有するセラミック系被覆を備える。本発明は、また、そのようなストリップ、シートまたはブランクを製造する方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間成形可能な鋼の基材を含み、所望により活性防食コーティングで被覆された、700℃以上の温度での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクに関するものである。本発明は、また、そのようなストリップ、シートまたはブランクの製造方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
被覆されていないストリップ、シートまたはブランクは、例えばGB1490535から知られており、被覆されたストリップ、シートまたはブランクは、Al−Si被覆ボロン鋼に関するEP0971044から知られており、亜鉛被覆ボロン鋼の熱間成形方法は例えばEP1143029から知られている。
【0003】
被覆されていないボロン鋼は、金型中での熱間成形加工工程の前の熱処理中に酸化Feを形成し、その結果として、緩くて厚い酸化物層が表面に形成し、その酸化物層が金型の表面を汚染および損傷し得ることが知られている。さらに、そのような酸化物層は成形された製品のその後の使用における成形された製品の溶接工程を妨げ、さらにその後の塗装工程も汚染する。したがって、酸化物層は、被覆されていない鋼製品の熱間成形工程の後に取り除かれねばならず、これは非効率でコストがかかる。
【0004】
上記の問題を解決するために被覆されたボロン鋼が開発され、ボロン鋼基材は、Al−Si被覆およびZn系被覆のような金属被覆で覆われる。これまで、加熱および熱間加圧成形の間、ボロン鋼基材を金属被覆で被覆された状態に保持することは困難であると分かっていた。これは熱処理中に金属酸化物が、例えば蒸発によって、取り除かれることが原因であると予想されている。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、熱間成形用の被覆されていない鋼シートの酸化Fe形成が大幅に減少する、熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、熱間成形中の被覆の保持が改善された、熱間成形に適した活性防食被覆で被覆された鋼シートを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、低コストで、酸化物形成の減少または活性防食のための被覆の保持の改善のような、改善した特性を有する熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクを提供することである。
【0008】
上記の目的の1つ以上を満たすストリップ、シートまたはブランクを製造する方法を提供することも本発明の目的である。
【0009】
本発明によれば、上述の目的の1つ以上は、熱間成形可能な鋼の基材を含み、所望により活性防食被覆で被覆される、700℃以上の温度での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクであって、前記所望により被覆された鋼基材が多くとも25ミクロンの厚さを有するセラミック系被覆を備えることを特徴とする、ストリップ、シートまたはブランクによって達成される。
【0010】
本発明者らは、そのようなセラミック被覆が、被覆されていない鋼ストリップ、シートおよびブランクの熱間成形中における酸化の程度を大いに減少させるのに非常に適していることを知得した。加熱されたセラミック被覆鋼の表面上に、緩い酸化物は観察されなかった。セラミック被覆はまた、活性防食のための被覆が鋼上に存在する場合、これを保持する。本発明者らは、厚さが厚くなると被覆が鋼から剥離し得るため、セラミック被覆の厚さは多くとも25ミクロンであるべきことを知得した。ストリップ、シートおよびブランクは、700℃〜1200℃、好ましくは800℃〜1000℃の温度で使用されることができる。
【0011】
好ましくは、セラミック系被覆が、SiO、Al、MnO、CaO、MgO、Fe、CeO、CeNO、AgO、ZnO、SnO、VおよびHfOからなるセラミック酸化物の群の少なくとも1つを含む。これらのセラミック酸化物のそれぞれまたは組合せは、被覆されていないストリップ、シートまたはブランクの熱間成形中の酸化を低減するか、または鋼基材上に防食被覆を保持する、セラミック被覆を形成する。
【0012】
好ましい態様によれば、セラミック系被覆が、SiO、Al、およびMgO、ならびに所望によりCaO、Fe、およびMnOを含む。セラミック酸化物のこの組合せは、本目的にとって良好なセラミック系被覆をもたらす。
【0013】
好ましくは、セラミック系被覆が、5〜80%のSiO、1〜30%のAl、および1〜30%のMgO、ならびに所望により最大5%のCaO、最大10%のFe、および最大10%のMnOを含んでいた。セラミック酸化物のこれらのパーセンテージ(体積%)は、低コストで製造されることができる良好なセラミック系被覆をもたらす。
【0014】
好ましい態様によれば、セラミック系被覆が、ポリイミドポリマー、アクリルポリマー、ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびシリコーン油からなる群の少なくとも1つも含む。これらの材料は、セラミック系被覆に柔軟性をもたらす。
【0015】
好ましくは、セラミック系被覆が、1〜15ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは2〜5ミクロンの厚さを有する。もちろん被覆が薄いほどコストは低くなり、さらにセラミック系被覆が熱間成形工程の間のみでその機能を付与しなければならず、熱間成形工程は一般的にブランクを加熱するために数分間しか続かず、熱間加圧成形および急冷に非常に短い時間しか使わない。被覆は、スプレー塗工機、ディップコーティング、ロール塗工機、もしくは化学塗工機、または電着技術によって塗布されることができる。
【0016】
好ましい態様によれば、セラミック系被覆が、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブおよび/またはナノクレイを含む。これらの充填材型の材料は、セラミック系被覆に対して追加の防食をもたらす。ナノチューブとして、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2層カーボンナノチューブ(DWCNT)および/または多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が用いられることができる。
【0017】
さらなる好ましい態様によれば、セラミック系被覆が、亜鉛、アルミニウム、チタニア、クロメート、ベンガラまたはマグネシウム顔料のような金属顔料、好ましくは被覆されるかもしくは封入されるまたはそれらのアルコキシド前駆体から生じる金属顔料を含む。亜鉛、アルミニウム、チタニア、クロメート、ベンガラまたはマグネシウム顔料のような金属系顔料は、特に活性防食層が存在しない場合に、それ自体で活性防食を付与する。
【0018】
さらなる好ましい態様によれば、セラミック系被覆が、Al、Fe、Snおよび/またはZrのような金属充填材を膨張剤として含む。そのような充填材は、追加の防食を付与し、セラミック系層を低コストで提供する。
【0019】
好ましくは、熱間成形可能な鋼基材がボロン鋼基材であり、好ましくは重量パーセントで以下の組成:
C 0.04〜0.5%
Mn 0.5〜3.5%
Si 1.0%未満
Cr 0.01および1.0%
Ti 0.2%未満
Al 2.0%未満
P 0.1%未満
N 0.015%未満
S 0.05%未満
B 0.015%未満
残部Feおよび不可避不純物
を有する。
そのような鋼のタイプは一般的に知られており、熱間成形の目的で用いられる。
【0020】
好ましい態様によれば、活性防食被覆が熱間成形可能な鋼基材上に存在し、該活性防食被覆が亜鉛系被覆、アルミニウム系被覆、セリウム系被覆、ZrO2系被覆、Fe−Zn系被覆、マグネシウム顔料系被覆からなる群の1つの被覆である。これらは既知の活性防食被覆であり、鋼上の活性防食被覆を熱間成形の間保持するのに役立つ本発明によるセラミック系被覆から利益を得る。
【0021】
本発明の第2の側面によれば、上述の本発明の第1の側面による、700℃以上の温度での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクを製造する方法であって、SiO、Al、MnO、CaO、MgO、Fe、CeO、CeNO、AgO、ZnO、SnO、VおよびHfOからなるセラミック酸化物および/またはそれらの金属アルコキシドの群の少なくとも1つを含む固体粒子を、溶剤系システムまたは水系システム中で混合し、ストリップ、シートまたはブランク上に多くとも50ミクロンの層で塗布し、その後、ストリップ、シートまたはブランクを多くとも400℃の温度で硬化し、溶剤または水を除去し、さらにセラミック酸化物を焼結する、方法が提供される。
【0022】
そのような固体粒子を用い、それらを溶剤または水系システム中で混合することで、溶剤または水系セラミックシステムをストリップ、シートまたはブランク上に多くとも50ミクロンの層で塗布することが可能となり、その結果、溶剤または水を取り除き、セラミック酸化物を焼結した後、多くとも25ミクロンの厚さを有するセラミック系層が形成される。
【0023】
好ましい態様によれば、SiO、Al、およびMgO、ならびに所望によりCaO、MnO、およびFeからなるセラミック酸化物を含む固体粒子を、溶剤系システムまたは水系システム中で、好ましくは、5〜80%のSiO、1〜30%のAl、および1〜30%のMgO、ならびに所望により最大5%のCaO、最大10%のMnO、および最大10%のFe、で混合し、所望により、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブおよび/またはナノクレイを溶剤系システムまたは水系システム中に混合し、所望により、亜鉛、アルミナまたはマグネシウム顔料のような金属顔料、好ましくは被覆されるかもしくは封入される金属顔料を溶剤系システムまたは水系システム中に混合し、好ましくは、活性防食被覆が熱間成形可能な鋼基材上に存在し、該活性防食被覆が亜鉛系被覆、アルミニウム系被覆、セリウム系被覆、ZrO2系被覆、Fe−Zn系被覆、マグネシウム顔料被覆からなる群の1つの被覆である。このようにして、ストリップ、シートまたはブランクは、本発明の第1の側面に従って製造される。
【0024】
好ましくは、金属基材上の酸化物層は、セラミック系層を金属基材上に塗布する前に除去される。酸化物層を取り除くことで、金属基材とセラミック系被覆との間により良好な接着がもたらされる。
【0025】
好ましい態様によれば、被覆を硬化および焼結する温度が、50〜150℃の温度で行われる。この温度範囲を用いることで、経済的な工程および良く焼結されたセラミック酸化物が提供される。
【0026】
本発明を、以下に示す例を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0027】
第一の実験において、被覆されていない冷間圧延ボロン鋼の試料を、セラミック系被覆で被覆された冷間圧延ボロン鋼と比較した。
【0028】
使用したボロン鋼は、0.21%のC、0.192%のSi、1.189%のMn、0.022%のNi、0.25%のCr、0.044%のAl少量、0.013%のP、0.035%のTi、62ppmのN、0.006%のS、および31ppmのB(NおよびB以外は全て重量%)の組成を有する。
【0029】
使用した被覆は、Henkel社製の市販のBerkatekt12(登録商標)である。この被覆は、32〜36%のSiO、8〜9%のAl、<1%のCaO、7.5〜10%のMgOおよび<2%のFeの組成を有し、有機化合物と混合されていた。この被覆はスプレー法またはディッピング法によって塗布することができる。第一の実験においては、ボロン鋼の表面を十分に清浄化した後に被覆をスプレー法によって塗布した。第一の被覆は0.293mg/cmの厚さ(硬化および焼結後)を有するように塗布し、第二の被覆は0.389mg/cmの厚さ(硬化および焼結後)を有するように塗布した。
【0030】
被覆されていない冷間圧延試料に関して、900℃までの5分間の加熱後に、厚くて緩いFe酸化物が試料表面上に見つかった。SEM顕微鏡写真を調べると、試料表面上の酸化物層中に大きな亀裂が観察された。
【0031】
Berkatekt12(登録商標)被覆を使用する両方の試料は、高温熱処理中のFe酸化の程度が著しく低減することを示した。ヘマタイトおよびマグネタイト形成の両方が、900℃までの5分間の加熱の間に、大幅に抑制された。
【0032】
第二の実験において、活性耐食層を備える被覆された冷間圧延ボロン鋼の試料を、セラミック系被覆で被覆されたそのような試料と比較した。
【0033】
使用したボロン鋼基材は、0.21%のC、0.192%のSi、1.189%のMn、0.022%のNi、0.25%のCr、0.044%のAl少量、0.013%のP、0.035%のTi、62ppmのN、0.006%のSおよび31ppmのB(NおよびB以外は全て重量%)の組成を有する。
【0034】
この実験における活性耐食層は、1.6重量%のMg、1.6重量%のAlおよび残部亜鉛(MagiZinc(登録商標)と呼ばれる)を使用する亜鉛合金層である。亜鉛合金層の厚さは70g/mである。
【0035】
再度用いられた被覆はBerkatekt12(登録商標)であり、第一の実験と同様に塗布された。第一の被覆は0.173mg/cmの厚さ(硬化および焼結後)を有するように塗布し、第二の被覆は0.335mg/cmの厚さ(硬化および焼結後)を有するように塗布した。
【0036】
セラミック被覆を有しない試料は、900℃までの5分間の加熱後に、亜鉛合金層の非常に激しい酸化を示す。厚い酸化亜鉛層が、SEM顕微鏡写真中に観察された。
【0037】
亜鉛合金層上にBerkatekt12(登録商標)被覆を使用する両方の試料は、SEM顕微鏡写真中に示されるように、900℃での5分間の高温熱処理の間の亜鉛酸化の程度が著しく低減することを示した。さらに、セラミック被覆が亜鉛の過度の蒸発を防ぎ、そしてより多くの量の亜鉛を(加熱中に形成される)FeZn層中に保持したと考えられる。より多くの量の亜鉛は、向上した活性耐食をもたらすであろう。
【0038】
(上述のセラミック被覆された試料の場合のように)熱間成形中に緩い酸化物層が生成されない場合、熱間成形後に追加の表面調整が不要である。
【0039】
セラミック被覆は直接および間接熱間成形工程に対して適用可能であるが、前者においてより良好に機能することが期待される。
【0040】
上記例は、被覆重量が、約0.2mg/cmから約0.4mg/cmまで、被覆の性能に著しく影響を与えることなく変えられることを示す。
【0041】
第三の実験において、最初に活性防食層を備えた被覆されてない試料およびセラミックで被覆された試料を、塩水噴霧試験および電気抵抗試験に付した。
【0042】
使用したボロン鋼基材は、0.21%のC、0.192%のSi、1.189%のMn、0.022%のNi、0.25%のCr、0.044%のAl少量、0.013%のP、0.035%のTi、62ppmのN、0.006%のSおよび31ppmのB(NおよびB以外は全て重量%)の組成を有する。
【0043】
この実験における活性耐食層は、1.6重量%のMg、1.6重量%のAlおよび残部亜鉛(MagiZinc(登録商標)と呼ばれる)を使用する亜鉛合金層ならびにGIである。亜鉛合金層およびGI層の厚さは140g/mである。
【0044】
測定の前に、試料を予熱された炉で、空気下、900℃で5分間処理した。
【0045】
電気抵抗試験は、被覆の溶接性を間接的に評価するために行った。文献から、従来の溶接可能な被覆に関して、電気抵抗は平均して5ミリオーム以下であるべきと知られている。
【0046】
電気抵抗を測定するための実験用の装置は、2つの銅電極(直径=12.5mm)、低オーム計(Rhopoint Instrumnet M210)、圧力計および空気プレス(15トン圧が可能)からなる。低オーム計は、1ミリオームの分解能を有し、装置からのいかなる潜在的な抵抗の寄与も避けるために、その銅線は銅電極内へ直接はんだ付けした。試験中の試料と接触している銅電極表面は、使用前に4000グリットの炭化ケイ素紙で研磨し、さらに裏面は絶縁テープで覆った。
【0047】
使用したセラミック被覆は、第一の実験のように、Berkatekt12(登録商標)被覆であった。被覆は0.2mg/cmの厚さ(硬化および焼結後)を有する。
【0048】
MagiZinc(登録商標)被覆上に塗布されたセラミック被覆は、3ミリオームの電気抵抗を試料に付与する。GI被覆上に塗布されたセラミック被覆は、2ミリオームの電気抵抗を試料に付与する。このことは、セラミック層を有さないMagiZinc(登録商標)被覆およびGI被覆に対して著しい向上であり、したがって工業用溶接に対して非常に良好である。
【0049】
塩水噴霧試験を、セラミック被覆したMagiZinc(登録商標)被覆およびGI被覆ボロン鋼と、セラミック層で被覆されていないMagiZinc(登録商標)被覆およびGI被覆ボロン鋼の両方の試料に対して行った。
【0050】
塩水噴霧試験は、ASTM B117に準じて、35℃で5%NaCl溶液を用い、2〜3.5mbar(200〜350パスカル)の過圧で噴霧室内部に霧を発生させて行った。
【0051】
上述の活性耐食層上にセラミック被覆を使用することで、セラミック層を有しない試料に対して耐食におけるわずかな向上が与えられる。これは工業的用途に対して許容可能である。
【0052】
当業者にとって、本発明が上述の実験に限定されるものではないが、本発明の範囲は添付の請求項群によって決定されることが明確になるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間成形可能な鋼の基材を含み、所望により活性防食被覆で被覆される、700℃以上の温度での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクであって、前記所望により被覆された鋼基材が多くとも25ミクロンの厚さを有するセラミック系被覆を備えることを特徴とする、ストリップ、シートまたはブランク。
【請求項2】
前記セラミック系被覆が、SiO、Al、MnO、CaO、MgO、Fe、CeO、CeNO、AgO、ZnO、SnO、VおよびHfOからなるセラミック酸化物の群の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項3】
前記セラミック系被覆が、SiO、Al、およびMgO、ならびに所望によりCaO、Fe、およびMnOを含む、請求項1または2に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項4】
前記セラミック系被覆が、5〜80%のSiO、1〜30%のAl、および1〜30%のMgO、ならびに所望により最大5%のCaO、最大10%のFe、および最大10%のMnOを含んだ、請求項1、2または3に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項5】
前記セラミック系被覆が、ポリイミドポリマー、アクリルポリマー、ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびシリコーン油からなる群の少なくとも1つも含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項6】
前記セラミック系被覆が、1〜15ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは2〜5ミクロンの厚さを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項7】
前記セラミック系被覆が、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブおよび/またはナノクレイを含んだ、請求項1〜6のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項8】
前記セラミック系被覆が、亜鉛、アルミニウム、チタニア、クロメート、ベンガラまたはマグネシウム顔料のような金属顔料、好ましくは被覆されるかもしくは封入されるまたはそれらのアルコキシド前駆体から生じる金属顔料を含んだ、請求項1〜7のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項9】
前記セラミック系被覆が、Al、Fe、Sn、Cr、Tiおよび/またはZrのような金属充填材を膨張剤として含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項10】
前記熱間成形可能な鋼基材がボロン鋼基材であり、好ましくは重量パーセントで以下の組成:
C 0.04〜0.5%
Mn 0.5〜3.5%
Si 1.0%未満
Cr 0.01および1.0%
Ti 0.2%未満
Al 2.0%未満
P 0.1%未満
N 0.015%未満
S 0.05%未満
B 0.015%未満
残部Feおよび不可避不純物
を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項11】
活性防食被覆が前記熱間成形可能な鋼基材上に存在し、該活性防食被覆が亜鉛系被覆、アルミニウム系被覆、セリウム系被覆、ZrO2系被覆、Fe−Zn系被覆、マグネシウム系被覆からなる群の1つの被覆である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のストリップ、シートまたはブランク。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の700℃以上の温度での熱間成形に適したストリップ、シートまたはブランクを製造する方法であって、SiO、Al、MnO、CaO、MgO、Fe、CeO、CeNO、AgO、ZnO、SnO、VおよびHfOからなるセラミック酸化物および/またはそれらの金属アルコキシドの群の少なくとも1つを含む固体粒子を、溶剤系システムまたは水系システム中で混合し、前記ストリップ、シートまたはブランク上に多くとも50ミクロンの層で塗布し、その後、前記ストリップ、シートまたはブランクを多くとも400℃の温度で硬化し、前記溶剤または水を除去し、さらにセラミック酸化物を焼結する、方法。
【請求項13】
SiO、Al、およびMgO、ならびに所望によりCaO、MnO、およびFeからなるセラミック酸化物を含む固体粒子を、前記溶剤系システムまたは水系システム中で、好ましくは、5〜80%のSiO、1〜30%のAl、および1〜30%のMgO、ならびに所望により最大5%のCaO、最大10%のMnO、および最大10%のFe、で混合し、所望により、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブおよび/またはナノクレイを前記溶剤系システムまたは水系システム中に混合し、所望により、亜鉛、アルミナまたはマグネシウム顔料のような金属顔料、好ましくは被覆されるかもしくは封入される金属顔料を前記溶剤系システムまたは水系システム中に混合し、好ましくは、活性防食被覆が前記熱間成形可能な鋼基材上に存在し、該活性防食被覆が亜鉛系被覆、アルミニウム系被覆、セリウム系被覆、ZrO2系被覆、Fe−Zn系被覆、マグネシウム系被覆からなる群の1つの被覆である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属基材上の酸化物層を、前記セラミック系層を前記金属基材上に塗布する前に除去する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記被覆を硬化および焼結する温度が、50〜150℃の温度で行われる、請求項12、13または14に記載の方法。

【公表番号】特表2013−519793(P2013−519793A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553228(P2012−553228)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000785
【国際公開番号】WO2011/101158
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(505008419)タタ、スティール、ネダーランド、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ (15)
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL NEDERLAND TECHNOLOGY BV
【出願人】(511307605)タタ、スティール、リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL LIMITED
【Fターム(参考)】