説明

熱電変換素子及びその製造方法

【課題】比較的簡素な構成で、変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現する。
【解決手段】一対の電極1,3間に、例えばn型のZnO等の半導体層2aとAl等の金属層2bとが交互に複数積層された周期構造体2を設け、必要に応じて電極1上に絶縁板を設けて熱電変換素子を構成し、電極3上又は絶縁板上に発熱源4が当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱発生源から発生した熱を電気に変換する熱電変換素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼーベック効果を利用し、熱発生源から発生した熱を電気に変換する熱電変換素子は、廃熱利用の観点から環境問題に配慮した省エネルギー技術として注目されている。既に発電所における熱電変換素子、或いは腕時計用の熱電変換素子等は実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−98197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱電変換素子は、中出力域であるmWからkWクラスでは実用化は少ない。その原因は、熱電変換素子の変換効率が低いことにある。熱電物質の特性指標(変換効率の指標)として使用される性能指数ZTは、以下のように表される。
ZT=α2σT/Χ,Z∝m*μ/Χ
T:温度、α:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、Χ:熱伝導率、m*:有効質量、μ:移動度
【0005】
性能指数ZTを大きくするためには、熱電変換素子の電気伝導率を大きく、熱伝導率を小さくすればよいが、従来の材料では通常、両者は比例関係にある。また通常、有効質量m*と移動度μも反比例の関係にある。即ち、従来の単一材料を用いた熱電変換素子では、性能指数ZTを大きくすることは極めて困難であり、結果として、変換効率の高い熱電変換素子は未だ実現されていない現況にある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、比較的簡素な構成で、変換効率の極めて高い熱電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
熱電変換素子の一態様は、金属層と半導体層とが交互に積層された周期構造体と、前記周期構造体の上方及び下方に形成された一対の電極層とを含む。
【0008】
熱電変換素子の製造方法の一態様は、金属層と半導体層とを交互に積層して周期構造体を形成する工程と、前記周期構造体の上方及び下方に一対の電極層を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記の各態様によれば、比較的簡素な構成で、変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】第1の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略図である。
【図4】第2の実施形態による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図5】第2の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【図6】第2の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略図である。
【図7】第3の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【図8】第3の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図9】第4の実施形態による熱電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【図10】第4の実施形態による熱電変換素子の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図11】第4の実施形態による熱電変換素子の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図12】第4の実施形態による熱電変換素子の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図13】第4の実施形態による熱電変換素子の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図14】第4の実施形態による熱電変換素子の他の例の概略構成を示す断面図である。
【図15】第4の実施形態の変形例による熱電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【図16】第5の実施形態による電子機器の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、諸実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態では、1つの周期構造体を有する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示する。以下の製造方法は、本実施形態による熱電変換素子を得るための一例である。
図1は、第1の実施形態による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図2は、第1の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【0013】
熱電変換素子を製造するには、先ず、図1(a)に示すように、基板1を用意する。
基板1は、後述の周期構造体を形成するための基板として用いられるともに、熱電変換素子の一対の電極のうちの一方としても機能する。基板1の材料としては、周期構造体を構成する半導体層との間でオーミック接触が得られる性質を有する金属、例えばAl又はCuが用いられる。ここでは、基板1は、例えばAlからなり厚みが100μm程度のものとする。
【0014】
続いて、図1(b)に示すように、基板1の表面上に周期構造体2を形成する。
詳細には、例えばスパッタ法により、半導体層2aと金属層2bとを交互にそれぞれ複数積層する。最下層は半導体層2aであり、基板1との間でオーミック接触が得られる。
半導体層2aは、比較的容易に形成できる金属とオーミック接触が得られる性質を有するn型半導体、例えばn型不純物をドープしたn−ZnO,n−InGaZnO,n−MgZnO,n−InZnO等から選ばれた1種を含む。ここでは、n−ZnOにより半導体層2aを例えば膜厚10nm〜1μm程度に形成する。ドープするn型不純物としては、例えばGa,Al,In等が考えられるが、通常スパッタ法等により形成されたZnOは酸素欠陥に関連したn型になっている場合があり、その際は、意図的なn型不純物ドープは不要である。
【0015】
半導体層2aのn型不純物の含有濃度は、例えば1×1017/cm3〜1×1020/cm3程度、ここでは1×1018/cm3程度とされる。含有濃度が1×1017/cm3よりも小さいと、金属層2bとの間でコンタクト抵抗を十分に低減することができない。含有濃度の上限は、特に規定されるものではない。しかしながら、含有濃度が1×1020/cm3よりも大きいと、半導体層2aのエネルギー準位が殆ど縮退し、金属的な振る舞いをする可能性が否定できない。そのためここでは、含有濃度の上限を1×1020/cm3程度としている。半導体層2aのn型不純物の含有濃度を1×1017/cm3〜1×1020/cm3程度とすることにより、金属層2bとの間のコンタクト抵抗が十分に低減する。
半導体層2aにn−InGaZnO、n−MgZnO、或いはn−InZnOを用いた場合にも同様に、半導体層2aのn型不純物の含有濃度は、例えば1×1017/cm3〜1×1020/cm3程度とされる。
【0016】
金属層2bは、n−ZnOとオーミック接触が得られる性質を有する金属、例えばAl,Au,Ni等から選ばれた1種を含む。ここでは、Alにより金属層2bを例えば膜厚10nm〜1μm程度に形成する。
半導体層2a及び金属層2bの層数は特に限定されるものではないが、図1(c)に示す基板1,3の間に熱起電力を発生させるために必要な温度差を確保できるように設定する必要がある。即ち、応用範囲により層数(基板1,3の距離)は個別に設定される。図1(b)には、半導体層2a及び金属層2bをそれぞれ20層ずつ形成した場合を例示する。
以上により、半導体層2a及び金属層2bが交互にそれぞれ複数積層されてなる熱電変換部である超格子構造の周期構造体2が形成される。
【0017】
続いて、図1(c)に示すように、周期構造体2上に基板3を形成する。
詳細には、例えば基板1と同様に、Alからなる厚み100μm程度の基板3を用意し、周期構造体2上、即ち周期構造体2の最上層の金属層2b上に、基板3を形成する。基板3は、熱電変換素子の一対の電極のうちの他方としても機能する。
基板1,3の所定部位に、熱電変換された電気の取り出し部となる、例えばAlからなる突起状の電極接続部を形成する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0018】
本実施形態による熱電変換素子では、図2に示すように、基板1が正の低温側電極、基板3が負の高温側電極となり、基板3上に発熱源4が当接する。基板3と基板1との間で垂直方向に温度勾配が形成される。キャリアである電子は、負極である基板3から、正極である基板1へ向かって、周期構造体2内を拡散する。ここで、発熱源4は非導電性のものとする。発熱源が導電性であり、電気的な絶縁が必要な場合には、基板3上に絶縁板を設け、当該絶縁板上に発熱源が当接するようにする。
【0019】
熱電変換素子においては、電気伝導が大きいほど、また熱伝導が小さいほど、性能指数ZTが増加し、熱電変換効率が高くなる。
本実施形態では、周期構造体2を構成する半導体層2aと金属層2bとの界面には、上記のようにオーミック接触が形成されており、当該界面にはショットキ障壁が存在しない。そのためキャリアである電子は、当該界面でブロッキングされることなく周期構造体2内を拡散する。これにより、大きな電気伝導が得られる。
本実施形態では、半導体層2a及び金属層2bが複数積層されて周期構造体2が構成されるため、半導体層2aと金属層2bとの界面が多数存在する。フォノンは当該各界面で散乱されることから、電極間に配される熱電変換部内で界面が多いほど熱散乱が発生し易い。従って、周期構造体2における多数の界面の存在により、発熱源4から伝達する熱は周期構造体2で大きく散乱する。これにより、熱伝導率が低下する。
このように本実施形態による熱電変換素子では、大きな電気伝導が得られるも熱伝導率が小さく、極めて高い熱電変換効率が実現する。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0021】
(変形例)
本例では、第1の実施形態と同様に周期構造体2を有する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示するが、電極とは別体に基板を用いる点で第1の実施形態と相違する。
図3は、第1の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略図であり、(a),(b)が断面図、(c)が斜視図である。
【0022】
先ず、図3(a)に示すように、基板11を用意する。
基板11は、周期構造体2を形成するための基板として用いられる。その材料としては、例えばAl又はCuが用いられる。ここでは、基板11は、例えばAlからなり厚みが100μm程度のものとする。
【0023】
続いて、図3(b)に示すように、基板11の表面上に周期構造体2を形成する。
詳細には、例えばスパッタ法により、半導体層2bと金属層2aとを交互にそれぞれ複数積層する。第1の実施形態と同様に、半導体層2aは、比較的容易に形成できる金属とオーミック接触が得られる性質を有するn型半導体、例えばn型不純物をドープしたn−ZnO,n−InGaZnO,n−MgZnO,n−InZnO等から選ばれた1種を含む。ここでは、n−ZnOにより半導体層2aを例えば膜厚10nm〜1μm程度に形成する。ドープするn型不純物としては、例えばGa,Al,In等が考えられるが、通常スパッタ法等により形成されたZnOは酸素欠陥に関連したn型になっている場合があり、その際には、意図的なn型不純物ドープは不要である。金属層2bはAlで膜厚10nm〜1μm程度に形成する。周期構造体2の最下層は金属層2bであり、基板11と同じ材料であるため、コンタクト抵抗の問題はない。図3(b)には、図1とは異なり、金属層2bを4層、半導体層2aを3層形成した場合を例示する。
以上により、金属層2b及び半導体層2aが交互にそれぞれ複数積層されてなる熱電変換部である超格子構造の周期構造体2が形成される。
【0024】
続いて、図3(c)に示すように、一対の電極12,13を形成する。
詳細には、周期構造体2上、即ち周期構造体2の最上層の金属層2b上に、例えば蒸着法により電極用金属を堆積する。電極用金属としては、Ti/Au,AuGe/Au等、ここではTi/Auを用い、例えば膜厚100nm/500nm程度に堆積する。これにより、電極12が形成される。
同様に、基板11の裏面上に、例えば蒸着法により電極用金属、ここではTi/Auを、例えば膜厚100nm/500nm程度に堆積する。これにより、電極13が形成される。
電極12,13の所定部位に、熱電変換された電気の取り出し部となる電極接続部を形成する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0025】
以上説明したように、本例によれば、第1の実施形態と同様に、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に1つの周期構造体を有する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示するが、周期構造体の半導体層がp型半導体である点で第1の実施形態と相違する。
図4は、第2の実施形態による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図5は、第2の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【0027】
先ず、図4(a)に示すように、第1の実施形態の図1(a)と同様に、一対の電極のうちの一方としても機能する、例えばNiからなる基板1を用意する。
【0028】
続いて、図4(b)に示すように、基板1の表面上に周期構造体21を形成する。
詳細には、例えばスパッタ法により、半導体層21aと金属層21bとを交互にそれぞれ複数積層する。最下層は半導体層21aであり、基板1との間でオーミック接触が得られる。
半導体層21aは、比較的容易に形成できる金属とオーミック接触が得られる性質を有するp型半導体、例えばp型不純物をドープしたn−InZnO,p−MgZnO等から選ばれた1種を含む。ここでは、p−ZnOにより半導体層21aを例えば膜厚10nm〜1μm程度に形成する。ドープするp型不純物としては、N,P等があり、ここでは例えばPが用いられる。
【0029】
半導体層21aのp型不純物の含有濃度は、第1の実施形態における半導体層2aと同様に、例えば1×1016/cm3〜1×1020/cm3程度、ここでは1×1017/cm3程度とされる。
半導体層21aにp−MgZnOを用いた場合にも同様に、半導体層21aのn型不純物の含有濃度は、例えば1×1016/cm3〜1×1020/cm3程度とされる。
【0030】
金属層21bは、p−InGaZnOとオーミック接触が得られる性質を有する金属、例えばAu,Ni等から選ばれた1種を含む。ここでは、Niにより金属層21bを例えば膜厚10nm〜1μm程度に形成する。
半導体層21a及び金属層21bの層数は特に限定されるものではないが、図4(c)に示す基板1,3の間に熱起電力を発生させるために必要な温度差を確保できるように設定する必要がある。即ち、応用範囲により層数(基板1,3の距離)は個別に設定される。図4(b)には、半導体層21a及び金属層21bをそれぞれ20層ずつ形成した場合を例示する。
以上により、半導体層21a及び金属層21bが交互にそれぞれ複数積層されてなる熱電変換部である超格子構造の周期構造体21が形成される。
【0031】
続いて、図4(c)に示すように、第1の実施形態の図1(c)と同様に、周期構造体21上、即ち周期構造体21の最上層の金属層21b上に、例えばAlからなる基板3を貼付する。
基板1,3の所定部位に、熱電変換された電気の取り出し部となる、例えばAlからなる突起状の電極接続部を形成する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0032】
本実施形態による熱電変換素子では、図5に示すように、基板1が負の低温側電極、基板3が正の高温側電極となり、基板3上に発熱源4が配される。キャリアである正孔(ホール)は、正極である基板3から、負極である基板1へ向かって、周期構造体21内を拡散する。ここで、発熱源4は非導電性のものとする。発熱源が導電性であり、電気的な絶縁が必要な場合には、基板3上に絶縁板を設け、当該絶縁板上に発熱源が当接するようにする。
【0033】
熱電変換素子においては、電気伝導が大きいほど、また熱伝導が小さいほど、性能指数ZTが増加し、熱電変換効率が高くなる。
本実施形態では、周期構造体21を構成する半導体層21aと金属層21bとの界面には、上記のようにオーミック接触が形成されており、当該界面にはショットキ障壁が存在しない。そのためキャリアであるホールは、当該界面でブロッキングされることなく周期構造体21内を拡散する。これにより、大きな電気伝導が得られる。
本実施形態では、半導体層21a及び金属層21bが複数積層されて周期構造体21が構成されるため、半導体層21aと金属層21bとの界面が多数存在する。フォノンは当該各界面で散乱されることから、電極間に配される熱電変換部内で界面が多いほど熱散乱が発生し易い。従って、周期構造体21における多数の界面の存在により、発熱源4から伝達する熱は周期構造体21で大きく散乱する。これにより、熱伝導率が低下する。
このように本実施形態による熱電変換素子では、大きな電気伝導が得られるも熱伝導率が小さく、極めて高い熱電変換効率が実現する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0035】
(変形例)
本例では、第2の実施形態と同様に1つの周期構造体を有する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示するが、電極とは別体に基板を用いる点で第2の実施形態と相違する。
図6は、第2の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略図であり、(a),(b)が断面図、(c)が斜視図である。
【0036】
先ず、図6(a)に示すように、第1の実施形態の図3(a)と同様に、周期構造体21を形成するための、例えばNiからなる基板11を用意する。
【0037】
続いて、図6(b)に示すように、基板11の表面上に周期構造体21を形成する。
詳細には、例えばスパッタ法により、金属層21bと半導体層21aとを交互にそれぞれ複数積層する。第1の実施形態と同様に、半導体層21aを、例えばp型不純物であるPを含有濃度1×1017/cm3程度にドープしたp−ZnOで膜厚10nm〜1μm程度に形成し、金属層21bをNiで膜厚10nm〜1μm程度に形成する。周期構造体21の最下層は金属層21bであり、基板11と同じ材料であるため、コンタクト抵抗の問題はない。図6(b)には、金属層21bを4層、半導体層21aを3層形成した場合を例示する。
以上により、金属層21b及び半導体層21aが交互にそれぞれ複数積層されてなる熱電変換部である超格子構造の周期構造体21が形成される。
【0038】
続いて、図6(c)に示すように、第1の実施形態の図3(c)と同様に、周期構造体21上、即ち周期構造体21の最上層の金属層21b上に、例えばTi/Auからなる電極12を形成する。同様に、基板11の裏面上に、例えばTi/Auからなる電極13を形成する。
電極12,13の所定部位に、熱電変換された電気の取り出し部となる電極接続部を形成する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0040】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態における周期構造体を複数の柱状体に加工し、これらの柱状体が並列する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示する。
図7は、第3の実施形態による熱電変換素子及び発熱源を示す概略断面図である。
【0041】
熱電変換素子を製造するには、先ず、第1の実施形態の図1(a),(b)と同様に、Alからなる基板1上に、n型の半導体層2aと金属層2bとを交互にそれぞれ複数積層する。
【0042】
続いて、n型の半導体層2a及び金属層2bの積層体を、リソグラフィー及びArガスを用いたイオンミリング等により縦方向に複数片に分断するように加工する。ここでは、当該積層体を複数の所期の柱状体(その高さが横断面の矩形の一辺よりも大きい形状)に加工する。所期の柱状としては、後述するように、当該積層体を縦方向に格子状に加工し、基板1上で行列状に並んで林立する形状、或いは当該積層体を縦方向に短冊状に加工し、基板1上で壁状に並列する形状等が考えられる。ここでは、前者の形状とする。以上により、半導体層2a及び金属層2bが交互にそれぞれ複数積層されてなる柱状体であり、それぞれ基板1上で行列状に並んで林立するワイヤ状周期構造体2Aが形成される。ワイヤ状周期構造体2Aの横断面の矩形の一辺の長さは例えば1μm以下であり、横断面積は例えば1μm2以下とされる。これら複数のワイヤ状周期構造体2Aから、本実施形態の周期構造体が構成される。
【0043】
続いて、第1の実施形態の図1(c)と同様に、複数のワイヤ状周期構造体2A上に、Alからなる基板3を貼付する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0044】
本実施形態による熱電変換素子では、図7に示すように、基板1が正の低温側電極、基板3が負の高温側電極となり、基板3上に発熱源4が当接する。キャリアである電子は、負極である基板3から、正極である基板1へ向かって、各ワイヤ状周期構造体2A内を拡散する。ここで、発熱源4は非導電性のものとする。発熱源が導電性である場合には、基板3上に絶縁板を設け、当該絶縁板上に発熱源が当接するようにする。
【0045】
本実施形態の熱電変換素子では、第1の実施形態と同様に、導体層2a及び金属層2bが複数積層されて各ワイヤ状周期構造体2Aが構成されるため、半導体層2aと金属層2bとの界面が多数存在する。そのため、各ワイヤ状周期構造体2Aにおける多数の当該界面の存在により、発熱源4から伝達する熱は各ワイヤ状周期構造体2Aで大きく散乱する。これにより、熱伝導率が低下する。
更に本実施形態の熱電変換素子では、言わば第1の実施形態の周期構造体2が多数のワイヤ状周期構造体2Aに加工されているため、複数のワイヤ状周期構造体2Aの全体では表面積が大きくなる。即ち、各ワイヤ状周期構造体2Aでは、半導体層2aと金属層2bとの界面に加えて、当該表面により、発熱源4から伝達する熱が大きく散乱する。
このように本実施形態による熱電変換素子では、大きな電気伝導が得られるも熱伝導率が小さく、更に高い熱電変換効率が実現する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0047】
(変形例)
本例では、第3の実施形態と同様に複数のワイヤ状周期構造体2Aを有する熱電変換素子の構成について、その製造方法と共に開示するが、電極とは別体に基板を用いる点で第1の実施形態と相違する。
図8は、第3の実施形態の変形例による熱電変換素子の製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【0048】
先ず、第1の実施形態の図3(a),(b)と同様に、Al又はCuからなる基板11上に、金属層2bと半導体層2aとを交互にそれぞれ複数積層する。ここでは、図7とは異なり、金属層2bを4層、半導体層2aを3層形成した場合を例示する。
【0049】
続いて、第1の実施形態の図3(c)と同様に、一対の電極12,13を形成する。
詳細には、周期構造体2の最上層の金属層2b上に電極12を、基板11の裏面上に電極13をそれぞれ形成する。
【0050】
続いて、図8(a)に示すように、半導体層2a及び金属層2bと電極12の積層体を縦方向に複数片に分断し、複数のワイヤ状周期構造体2Aを形成する。
詳細には、半導体層2a及び金属層2bと電極12の積層体を、リソグラフィー及びArガスを用いたイオンミリング等により縦方向に格子状に加工する。これにより、最上面に電極12Aを有し、基板11上で行列状に並んで林立する複数の柱状のワイヤ状周期構造体2Aが形成される。
【0051】
ここで、複数のワイヤ状周期構造体2Aを形成する代わりに、図8(b)に示すように、複数の短冊状周期構造体2Bを形成するようにしても良い。
この場合、半導体層2a及び金属層2bと電極12の積層体を、リソグラフィー及びArガスを用いたイオンミリング等により縦方向に短冊状に加工する。これにより、最上面に電極12Bを有し、基板11上で並列する複数の壁状の短冊状周期構造体2Bが形成される。
【0052】
電極12,13の所定部位に、熱電変換された電気の取り出し部となる電極接続部を形成する。
以上により、本実施形態による熱電変換素子を形成する。
【0053】
以上説明したように、本例によれば、第1の実施形態と同様に、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。
【0054】
なお、第2の実施形態における周期構造体を本実施形態と同様に複数の柱状体に加工し、これらの柱状体が並列する熱電変換素子を形成しても良い。この場合、各柱状体は、p型の半導体層21aと金属層21bとが交互にそれぞれ複数積層されて形成される。
【0055】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1及び第2の実施形態による周期構造体2,21を共に用いた熱電変換素子を開示する。
図9は、第4の実施形態による熱電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【0056】
この熱電変換素子は、表面を対向して配置される一対の基板31,32間に、電極接続された周期構造体2,21が交互に並列して配されて構成される。
基板31,32は、絶縁材料、ここではポリイミドを材料として形成されている。
本実施形態では、基板32が設けられているため、発熱源が導電性のものでも、熱電変換素子に影響を及ぼすことはない。発熱源としては、導電性のものでも、非導電性のものでも良いが、主に導電性のものを考えている。
また、本実施形態では、熱電変換素子の下面で接する所定部材の部分が導電性のものでも、熱電変換素子に影響を及ぼすことはない。当該所定部材の部分は、導電性のものでも、非導電性のものでも良いが、主に導電性のものを考えている。
【0057】
基板31、32には、電極33が複数、並列して配置されている。図9における左端及び右端の電極33上には、例えばAlからなる突起状の電極接続部33a,33bが形成される。
電極33は、特に限定されるものではないが、例えばAl又はCuが用いられる。ここでは、電極33は、例えばAlからなり厚みは1μm程度のものとする。
【0058】
図9において、上下の電極33の間に、第1の実施形態によるn型の半導体層を有する周期構造体2が金属層34aを介して接続される。金属層34aは周期構造体2を構成するn型の半導体層との間でオーミック接触が得られる金属、例えばAlが用いられ、その厚みは例えば10nm〜1μmとする。さらに、上下の電極33の間に、第2の実施形態によるp型の半導体層を有する周期構造体21が金属層34bを介して接続される。金属層34bは周期構造体21を構成するp型の半導体層との間でオーミック接触が得られる金属、例えばNiが用いられ、その厚みは例えば10nm〜1μmとする。
周期構造体2,21は、第1及び第2の実施形態と同様の手法で形成される。
【0059】
本実施形態による熱電変換素子では、基板32上に発熱源が当接し、つまり基板32が高温側、基板31が低温側となる。
周期構造体2では、キャリアである電子は、基板32側から基板31側へ向かって、周期構造体2内を拡散する。
周期構造体21では、キャリアであるホールは、基板32側から基板31側へ向かって、周期構造体21内を拡散する。
従ってこの熱電変換素子では、電極接続部33aから電極接続部33bへ向かう、周期構造体2,21を交互に通って蛇行して進むキャリア(電子及びホール)の通路が形成され、この場合、電極接続部33aが電極接続部33bに対して高電位となる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。本実施形態では、熱電変換された電気の取り出し部となる電極接続部33a,33bが共に一方の基板側、ここでは低温側の基板31側に形成されるため、熱電変換の効率を劣化させる懸念がない。
【0061】
ここで、本実施形態による熱電変換素子において、高温側に当接する発熱源、及び低温側に当接する所定部材の部分の材質(導電性又は非導電性)に応じた諸構成を開示する。
【0062】
1.発熱源が非導電性のものである場合(1)
図10に示すように、基板32を形成しなくても良い。この場合、上部電極33に発熱源が当接することになるが、発熱源が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
なおこの場合、下部電極33下には絶縁性の基板31が設けられており、所定部材の部分は基板31に当接する。そのため、所定部材の部分は導電性でも非導電性でも問題はない。
【0063】
2.発熱源が非導電性のものである場合(2)
図11に示すように、基板32に上部電極33の表面の一部を露出する開口35aを形成する。開口35aを導電材料で埋め込み、基板32の表面から上方に若干突出するように、メッキ法等により、上部電極33と電気的に接続される電極35bを形成する。この場合、電極35に発熱源が当接することになるが、発熱源が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
なおこの場合、下部電極33下には絶縁性の基板31が設けられており、所定部材の部分は基板31に当接する。そのため、所定部材の部分は導電性でも非導電性でも問題はない。
【0064】
3.所定部材の部分が非導電性のものである場合(1)
図12に示すように、下部電極33下の絶縁性の基板31を形成しなくても良い。この場合、下部電極33に所定部材の部分が当接することになるが、当該部分が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
なおこの場合、上部電極33には絶縁性の基板32が設けられており、発熱源は基板32に当接する。そのため、発熱源は導電性でも非導電性でも問題はない。
【0065】
4.所定部材の部分が非導電性のものである場合(2)
図13に示すように、基板31に下部電極33の表面の一部を露出する開口36aを形成する。開口36aを導電材料で埋め込み、基板31の裏面から下方に若干突出するように、メッキ法等により、下部電極33と電気的に接続される電極36bを形成する。この場合、電極36bに発熱源が当接することになるが、発熱源が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
なおこの場合、上部電極33上には絶縁性の基板32が設けられており、発熱源は基板32に当接する。そのため、発熱源は導電性でも非導電性でも問題はない。
【0066】
5.発熱源及び所定部材の部分が共に非導電性のものである場合
図14に示すように、基板32に上部電極33の表面の一部を露出する開口35aを形成する。開口35aを導電材料で埋め込み、基板32の表面から上方に若干突出するように、メッキ法等により、上部電極33と電気的に接続される電極35bを形成する。この場合、電極35bに発熱源が当接することになるが、発熱源が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
更に、基板31に下部電極33の表面の一部を露出する開口36aを形成する。開口36aを導電材料で埋め込み、基板31の裏面から下方に若干突出するように、メッキ法等により、下部電極33と電気的に接続される電極36bを形成する。この場合、電極36bに発熱源が当接することになるが、発熱源が非導電性であるために熱電変換素子への影響の懸念はない。
【0067】
(変形例)
本例では、第4の実施形態と同様に、複数の周期構造体を用いた熱電変換素子を開示するが、第1の実施形態によるn型半導体層を用いた周期構造体2と、従来の単一のp型半導体層とを交互に複数配置した熱電変換素子である点で第4の実施形態と相違する。
図15は、第4の実施形態の変形例による熱電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【0068】
この熱電変換素子は、表面を対向して配置される一対の基板31,32間に、電極接続された周期構造体2と単一のp型半導体層37が交互に配されて構成される。
第3の実施形態と同様に、基板31上には、下部電極33が並列して配置されている。下部電極33の左右両端には電極接続部33a,33bが形成されている。基板32下には、上部電極33が並列して配置されている。
【0069】
図15において、上下の電極33の間に、第1の実施形態によるn型の半導体層を有する周期構造体2が金属層34aを介して接続される。金属層34aは周期構造体2を構成するn型の半導体層との間でオーミック接触が得られる金属、例えばAlが用いられ、その厚みは例えば10nm〜1μmとする。さらに、上下の電極33の間に、単一のp型の半導体層37が金属層34bを介して接続される。p型半導体層37は、例えば焼結形成されたSiGeを用いる。金属層34bはp型半導体層37との間でオーミック接触が得られる金属、この場合、例えばAlが用いられ、その厚みは例えば10nm〜1μmとする。
【0070】
以上説明したように、本例によれば、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層のみでは実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換素子を実現することができる。本実施形態では、熱電変換された電気の取り出し部となる電極接続部33a,33bが共に一方の基板側、ここでは低温側の基板31側に形成されるため、熱電変換の効率を劣化させる懸念がない。
【0071】
なお、第4の実施形態の変形例の代わりに、従来の単一のn型半導体層と、第2の実施形態によるp型半導体層を用いた周期構造体21とを交互に複数配置して、熱電変換素子を構成することも考えられる。
【0072】
また、第1及び第2の実施形態による周期構造体2,21を共に用いる代わりに、第3の実施形態を利用して、本実施形態のように熱電変換素子を形成しても良い。例えば、n型の半導体層2aと金属層2bとを交互にそれぞれ複数積層してなる複数のワイヤ状周期構造体2Aと、p型の半導体層21aと金属層21bとを交互にそれぞれ複数積層してなる複数の柱状体を用いて、図9のように熱電変換素子を構成する。
【0073】
(第5の実施形態)
本実施形態では、CPU等のLSI素子を備えた電子機器を例示する。
図16は、第5の実施形態による電子機器の概略構成を示す断面図である。
【0074】
この電子機器は、プリント配線基板41の上方に、CPU44と、CPU44と接続された熱電変換機構45と、蓄電機構46とを備えている。プリント配線基板41上にはハンダバンプ42aによりビルドアップ基板43が接続されており、ビルドアップ基板43上にCPU44、熱電変換機構45、及び蓄電機構46が設けられている。
【0075】
CPU44は、ビルドアップ基板43上にハンダバンプ42bにより接続されており、その作動に起因して当該電子機器の発熱源となっている。
熱電変換機構45は、ラジエータ51,52と、熱電変換素子53とを備えている。
ラジエータ51は、内部に水冷パイプを有しており、CPU44上からビルドアップ基板43上に架けて配置される。ラジエータ52は、熱電変換素子53上に配置されている。
熱電変換素子53は、上述した第1、第2、第3又は第4の実施形態、或いはこれらの変形例による熱電変換素子であり、その高温側がラジエータ51上に配置されている。
蓄電機構46は、蓄電池等であり、熱電変換素子53と接続されている。
【0076】
発熱源であるCPU44で発生した熱は、ラジエータ51を介して熱電変換素子53に伝達する。熱電変換素子53は、上述したように高い変換効率で熱電変換し、変換された電気が蓄電機構46に蓄電される。
【0077】
本実施形態によれば、電子機器に第1、第2、第3又は第4の実施形態、或いはこれらの変形例による熱電変換素子を熱電変換素子53として配設する。これにより、比較的簡素な構成で、従来の単一の半導体層では実現が困難であった変換効率の極めて高い熱電変換を可能とし、廃熱のエネルギーを高効率で有効利用することができる。
なお、第1又は第2、第2、第3又は第4の実施形態、或いはこれらの変形例による熱電変換素子が搭載される対象は、本実施形態による電子機器に限定されるものではない。例えば、高出力・高周波電力増幅器、電気自動車の駆動モジュール等、電子デバイスの発熱源を利用した熱電変換のみならず、火力発電所、サーバシステム、体温計等、廃熱利用が考えられる全ての装置及びシステムに適用が可能である。
【0078】
以下、熱電変換素子及び電子機器の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0079】
(付記1)金属層と半導体層とが交互に積層された周期構造体と、
前記周期構造体の上方及び下方に形成された一対の電極層と
を含むことを特徴とする熱電変換素子。
【0080】
(付記2)前記周期構造体は、前記電極層間で並列する、前記金属層と前記半導体層とが交互に積層された複数の柱状体からなることを特徴とする付記1に記載の熱電変換素子。
【0081】
(付記3)前記周期構造体では、前記金属層と前記半導体層とがオーミック接触することを特徴とする付記1又は2に記載の熱電変換素子。
【0082】
(付記4)前記半導体層は、1×1017/cm3以上の濃度にn型不純物を含有することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
【0083】
(付記5)前記半導体層はn型不純物を含有しており、
前記金属層はAl,Au,Niから選ばれた1種を有するとともに、前記半導体層はZnO,InGaZnO,MgZnO,InZnOから選ばれた1種を有することを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
【0084】
(付記6)前記半導体層は、1×1016/cm3以上の濃度にp型不純物を含有することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
【0085】
(付記7)前記半導体層はp型不純物を含有しており、
前記金属層はNiを有するとともに、前記半導体層はZnO,MgZnOから選ばれた1種を有することを特徴とする付記1〜3,6のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
【0086】
(付記8)金属層と半導体層とを交互に積層して周期構造体を形成する工程と、
前記周期構造体の上方及び下方に一対の電極層を形成する工程と
を含むことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
【0087】
(付記9)前記電極層を形成する前に、
前記周期構造体を、前記金属層と前記半導体層とが交互に積層された複数の柱状体が並列するように加工する工程を更に含むことを特徴とする付記8に記載の熱電変換素子の製造方法。
【0088】
(付記10)熱発生源となる電子部品と、
前記電子部品から発生した熱を電気に変換する、付記1〜7のいずれか1項に記載の熱電変換素子と
を含むことを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0089】
1,3,11,31,32 基板
2,21 周期構造体
2a,21a 半導体層
2A ワイヤ状周期構造体
2B 短冊状周期構造体
2b,21b 金属層
4 発熱源
12,13,33,35b,36b 電極
33a,33b 電極接続部
34a,34b 金属層
35a,36a 開口
37 p型半導体層
41 プリント配線基板
42a,42b ハンダバンプ
43 ビルドアップ基板
44 CPU
45 熱電変換機構
46 蓄電機構
51,52 ラジエータ
53 熱電変換素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と半導体層とが交互に積層された周期構造体と、
前記周期構造体の上方及び下方に形成された一対の電極層と
を含むことを特徴とする熱電変換素子。
【請求項2】
前記周期構造体は、前記電極層間で並列する、前記金属層と前記半導体層とが交互に積層された複数の柱状体からなることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換素子。
【請求項3】
前記周期構造体では、前記金属層と前記半導体層とがオーミック接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
【請求項4】
前記半導体層はn型不純物を含有しており、
前記金属層はAl,Au,Niから選ばれた1種を有するとともに、前記半導体層はZnO,InGaZnO,MgZnO,InZnOから選ばれた1種を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
【請求項5】
金属層と半導体層とを交互に積層して周期構造体を形成する工程と、
前記周期構造体の上方及び下方に一対の電極層を形成する工程と
を含むことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記電極層を形成する前に、
前記周期構造体を、前記金属層と前記半導体層とが交互に積層された複数の柱状体が並列するように加工する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項7】
熱発生源となる電子部品と、
前記電子部品から発生した熱を電気に変換する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換素子と
を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−222873(P2011−222873A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92503(P2010−92503)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】