説明

燃料ガスステーション、燃料ガス充填システム、燃料ガス供給方法

【課題】燃料タンクにとって適切な充填が可能となるように、燃料タンク内の温度情報が正確であるか否かを確認することができる燃料ガスステーション、燃料ガス充填システム及び燃料ガス充填方法を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料ガスステーション1は、外部の燃料タンク30内の温度情報を取得する温度取得部6と、供給する燃料ガスの温度情報を取得する温度取得部38と、所定時間燃料ガスを供給した際の温度取得部6、38の取得結果から、燃料タンク30内の温度と燃料タンク30への燃料ガスの供給温度との温度差を算出する算出部62と、算出した温度差が所定の閾値Tthを越えた場合に、燃料タンク30内の温度情報が異常であると判断する判断部63と、異常の旨が判断された場合に、正常時に比べて燃料タンク30への燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減する運転制御部64と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車載の燃料タンクに燃料ガスを供給する燃料ガスステーションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料ガスステーションとして、燃料電池車両の水素タンクに水素ガスを充填する水素ステーションが知られている。水素ステーションから放出される水素ガスは、その供給量がレギュレータによって調整されたり(例えば、特許文献1参照。)、その流量や圧力が調整されたりして(例えば、特許文献2参照。)、水素タンクに充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−232497号公報
【特許文献2】特開2009−127853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水素タンク内に温度センサを設けて、充填開始時に水素タンク内の温度を把握すれば、別途把握した水素タンク内の圧力から、その残量を算出することができる。また、このような温度センサによれば、充填中、充填に伴って上昇する水素タンク内の温度が限界値を超えないような温度管理をすることができる。
【0005】
ところが、温度センサにドリフト等による異常が生じている場合、水素タンク内の温度を正確に計測できず、充填開始時の残量を正しく把握できなくなる。また、充填中に、実際の温度よりも低く計測されてしまうと、限界温度を超えて充填されるおそれがある。逆に、実際の温度よりも高く計測されてしまうと、限界温度に達したと誤判断されて、所定の充填量を充填する前に充填が終了するおそれがある。
【0006】
本発明は、燃料タンクにとって適切な充填が可能となるように、燃料タンク内の温度情報が正確であるか否かを確認することができる燃料ガスステーション、燃料ガス充填システム及び燃料ガス充填方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の燃料ガスステーションは、外部の燃料タンクに対して燃料ガスを供給するものにおいて、燃料タンク内の温度情報を取得する第1の温度取得部と、燃料ガスステーションが燃料タンクに供給する燃料ガスの温度情報を取得する第2の温度取得部と、所定時間燃料ガスを供給した際の第1の温度取得部及び第2の温度取得部の取得結果から、燃料タンク内の温度(以下、「タンク温度」という。)と燃料タンクに供給する燃料ガスの温度(以下、「供給温度」という。)との温度差を算出する算出部と、算出した温度差が所定の閾値を越えた場合に、燃料タンク内の温度情報が異常であると判断する判断部と、異常であると判断した場合に、正常時に比べて燃料タンクへの燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減する運転制御部と、を備えたものである。
【0008】
本発明によれば、例えば燃料タンク内の温度情報のみからその正確性を判断する場合に比べて、より精度良く判断することができる。しかも、燃料ガスステーションからの供給を利用して、その外部にある燃料タンク内の温度情報の正確性を確認することができる。したがって、例えば燃料タンクが車両に搭載されている場合には、定期点検等のために車両を店舗に持ち込まなくとも、燃料ガスステーションでの供給のたびに上記判断をすることも可能となる。そして、燃料タンク内の温度情報が異常であることが確認された場合には、燃料タンクへの燃料ガスの必要以上の供給を抑制することができる。
【0009】
好ましくは、運転制御部は、上記の異常の旨が判断された場合に、燃料タンクへの燃料ガスの供給を停止するとよい。
【0010】
好ましくは、上記の所定の閾値は、燃料タンクに関する特性に応じて異なるとよい。また好ましくは、燃料タンクが移動体に搭載されている場合には、所定の閾値は、所定時間燃料ガスを供給する直前における、外気温、移動体の走行状況及び走行地域、並びに移動体での燃料ガスの消費状況の少なくとも一つに応じて異なるとよい。
【0011】
こうすることで、一定の閾値を用いる場合よりも、燃料タンク内の温度情報の正確性をより一層精度良く判断することができる。例えば、燃料タンクに関する特性として、燃料タンクの仕様(例えば、放熱性や断熱性)や、移動体に搭載された場合の燃料タンクの搭載場所(例えば、走行風の影響度合いや、周辺の熱源の存在など)を考慮した閾値を用いることができる。
【0012】
好ましくは、第1の温度取得部及び第2の温度取得部は、所定時間の燃料ガスの供給が正常時における供給流量よりも小さい供給流量にて行われた際に、それぞれ、対象の温度情報を取得するとよい。
【0013】
これにより、小さい供給流量であれば供給に伴う燃料タンク内の温度上昇が抑えられる。このため、燃料タンク内の温度情報が正確であるか否かを判断する過程において、燃料タンク内の状態が限界値を超えることを抑制することができる。また、上記の所定の閾値を評価やシミュレーションにより予め求める過程も簡素化することも可能となる。
【0014】
ここで、小さい供給流量で供給した場合であっても、燃料タンク内では温度上昇が起き得るため、タンク温度は供給温度よりも高くなり得る。したがって、これとは逆の結果が生じている場合には、燃料タンク内の温度情報が不正確である可能性がある。
【0015】
そこで、好ましい一態様においては、第1の温度取得部及び第2の温度取得部の取得結果によれば、タンク温度が供給温度よりも低かった場合、判断部は、燃料タンク内の温度情報が異常であると判断するとよい。
【0016】
こうすることで、異常の有無をより簡単に判断することができる。
【0017】
別の好ましい一態様においては、燃料ガスステーションは、燃料タンクに供給する燃料ガスを冷却するプレクーラと、外気温情報を取得する第3の温度取得部を更に備え、所定時間燃料ガスを供給した際の第1の温度取得部及び第3の温度取得部の取得結果によればタンク温度が外気温を超えている場合、判断部は、燃料タンク内の温度情報が異常であると判断するとよい。
【0018】
こうすることで、異常の有無をより簡単に判断することができる。
【0019】
好ましくは、第1の温度取得部は、燃料タンク内にある温度センサの検出を通信により燃料タンク内の温度情報として取得するものであるとよい。
【0020】
これにより、燃料タンク内の温度センサの異常の有無を燃料ガスステーションにて判断することできる。
【0021】
好ましくは、燃料ガスステーションは、燃料タンクに向けて燃料ガスを外部に放出するノズルを備え、第2の温度取得部は、ノズルに設けられた温度センサで構成されているとよい。
【0022】
これにより、実際に供給される燃料ガスの実温度を簡単な構成により取得することができる。
【0023】
本発明の燃料ガス充填システムは、上記した本発明の燃料ガスステーションと、燃料タンクを搭載した移動体と、を備える。
【0024】
また、本発明の燃料ガス供給方法は、燃料ガスステーションの外部にある燃料タンクに対して燃料ガスステーションから燃料ガスを供給する燃料ガス供給方法において、所定時間燃料ガスを燃料タンクへ供給するステップと、この充填の際に、燃料タンク内の温度と、燃料ガスステーションが燃料タンクに供給する燃料ガスの温度とを検出して、その温度差を算出するステップと、算出した温度差が所定の閾値を越えた場合に、検出した燃料タンク内の温度の情報を異常であると判断し、正常時に比べて燃料タンクへの燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減するステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る燃料ガス充填システムの概略図である。
【図2】実施形態に係る燃料ガス充填システムの構成図である。
【図3】実施形態に係る燃料ガスステーションの制御装置の機能ブロック図である。
【図4】実施形態に係る燃料ガス充填システムの充填フローを示すフローチャートである。
【図5】実施形態の第1の変形例に係る充填フローを示すフローチャートである。
【図6】実施形態の第2の変形例に係る充填フローを示すフローチャートである。
【図7】実施形態の第3の変形例に係る充填フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ここでは、燃料ガス充填システムとして、燃料電池システムを搭載した燃料電池車両の燃料タンクに対して、水素ステーションから水素ガスを充填する例を説明する。なお、燃料電池システムは、公知のとおり、燃料ガス(例えば水素ガス)と酸化ガス(例えば空気)の電気化学反応によって発電する燃料電池などを備える。また、水素ガスの充填とは、水素ガスを水素ステーションから燃料タンクに供給する態様の一つである。
【0027】
図1に示すように、燃料ガス充填システム1は、例えば燃料ガスステーションとしての水素ステーション2と、水素ステーション2から水素ガスを供給される車両3と、を備える。
【0028】
図2に示すように、車両3は、燃料タンク30、レセプタクル32、圧力センサ36、温度センサ38、表示装置42、通信機44及び制御装置46を備える。
燃料タンク30は、燃料電池への燃料ガス供給源であり、例えば35MPa又は70MPaの水素ガスを貯留可能な高圧タンクである。燃料タンク30を複数搭載する場合には、燃料タンク30は燃料電池に対して並列に接続される。燃料タンク30内の水素ガスは、図示省略した供給管路を介して燃料電池に供給される。一方、燃料タンク30への水素ガスの供給は、水素ガスが水素ステーション2からレセプタクル32を介して充填流路34に放出されることで行われる。充填流路34は、燃料タンク30外にあるガス配管と、燃料タンク30の口部に取り付けられた図示省略のバルブアッセンブリ内にある流路部分と、からなる。また、充填流路34には、水素ガスの逆流を防止するための逆止弁35が設けられる。
【0029】
圧力センサ36は、水素ステーション2から放出された水素ガスの圧力を検出するものであり、充填流路34に設けられる。例えば、圧力センサ36は、逆止弁35よりも下流側であって且つ燃料タンク30の直前にある上記のガス配管に設けられ、実質的に燃料タンク30内の水素ガスの圧力(以下、「タンク圧力」という。)を反映する圧力を検出する。
温度センサ38は、上記バルブアッセンブリ内の流路部分に設けられ、燃料タンク30内に配置される。温度センサ38は、燃料タンク30内の水素ガスの温度(以下、「タンク温度T2」という。)を反映する温度を検出する。なお、他の実施態様では、圧力センサ36を燃料タンク30内に配置してもよい。また、燃料タンク30内における温度センサ38の配置位置は、タンク温度T2を実質的に検出できる位置であれば特に限定されるものではないが、燃料タンク30内への水素ガスの吹出し口の近傍にあることが好ましい。
【0030】
表示装置42は、例えばカーナビゲーションシステムの一部としても用いることが可能なものであり、各種情報を画面に表示する。通信機44は、車両3が水素ステーション2との間で通信するためのものであり、例えば、赤外線通信等の無線通信を行う通信インターフェースを有する。通信器44は、水素ステーション2の充填ノズル12をレセプタクル32に接続した状態で通信可能となるように、レセプタクル32に組み込まれるか、あるいは車両3のリッドボックス内に固定される。制御装置46は、内部にCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成され、車両3を制御する。制御装置46は、圧力センサ36、温度センサ38、表示装置42及び通信機44などと接続されており、車両3にて把握可能な情報、例えば圧力センサ36及び温度センサ38による検出情報を通信機44を用いて、水素ステーション2に送信する。
【0031】
水素ステーション2は、水素ステーション2にある各機器を制御する制御装置5と、車両3との間で通信するための通信機6と、各種情報を画面に表示する表示装置7と、水素ステーション2の設置場所の外気温を検出する外気温センサ8と、を備える。通信機6は、車両3の通信機44に対応した形式のものであり、通信機44との間で各種情報を送受信する。表示装置7は、充填中における充填流量(充填速度)及び充填量などの情報を表示する。表示装置7は、所望の充填量などを選択又は指定するための操作パネルを表示画面に具備するものであってもよい。
【0032】
また、水素ステーション2は、水素ガスを貯蔵するカードル(ガス供給源)11と、水素ガスを車載の燃料タンク30に向けて放出する充填ノズル12と、これらを結ぶガス流路13と、を有する。充填ノズル12は、充填カップリングとも称される部品であり、水素ガスの充填に際して、車両3のレセプタクル32に接続される。充填ノズル12とレセプタクル32によって、水素ステーション2と燃料タンク32とを接続する接続ユニットが構成される。また、充填ノズル12には、水素ステーション2が燃料タンク30に供給する水素ガスの圧力及び温度(以下、それぞれ、「供給圧力」及び「供給温度T1」という。)を検出する圧力センサ9及び温度センサ10が設けられる。これらのセンサ9,10を充填ノズル12に設ければ、水素ステーション2から燃料タンク30に実際に供給される水素ガスの実圧力及び実温度を簡単な構成により取得することができる。なお、温度センサ10は充填ノズル12の先端(燃料タンク30側の部分)に設けられることがより好ましい。
【0033】
ガス流路13には、圧縮機14、蓄圧器15、プレクーラ16、流量制御弁17、流量計18及びディスペンサ19が設けられる。圧縮機14は、カードル11からの水素ガスを圧縮して吐出する。蓄圧器15は、圧縮機14によって所定圧力まで昇圧された水素ガスを蓄える。プレクーラ16は、蓄圧器15からの室温程度の水素ガスを所定の低温(例えば−20℃)に冷却する。流量制御弁17は、電気的に駆動される弁であり、制御装置5からの指令に従って、蓄圧器15からの水素ガスの流量を調整する。これにより、燃料タンク30への水素ガスの充填流量が制御される。この制御された充填流量が流量計18によって計測され、その計測結果を受けて所望の充填流量となるように、制御装置5が流量制御弁17をフィードバック制御する。なお、流量制御弁17以外の流量制御装置を用いることも可能である。ディスペンサ19は、水素ガスを充填ノズル12へと送り出すものである。例えば、充填ノズル12のトリガーレバーを引くとディスペンサ19が作動し、充填ノズル12から燃料タンク30に向けて水素ガスの放出が可能となる。なお、図示省略したが、蓄圧器14又はその下流側には、充填時にガス流路13を開く遮断弁が設けられる。
【0034】
制御装置5は、内部にCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成される。CPUは、制御プログラムに従って所望の演算を実行して、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶し、RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。制御装置5は、図2において一点鎖線で示した制御線にて接続されている通信機6、表示装置7、外気温センサ8、圧力センサ9、温度センサ10、流量制御弁17及び流量計18のほか、蓄圧器15等とも電気的に接続される。例えば、制御装置5は、圧力センサ36及び温度センサ38が検出した圧力及び温度を、燃料タンク30内の圧力及び温度(すなわち、タンク圧力及びタンク温度T2)として認識して、水素ガスの充填を制御する。詳細には、制御装置5は、通信機6から受け取った車両3側のタンク圧力及びタンク温度T2の情報をもとに流量制御弁17の開度を制御する。また、制御装置5は、水素ステーション2にて把握可能な情報を通信機6を用いて、車両3に送信する。
【0035】
図3に示すように、制御装置5は、車両3側の温度センサ38の異常の有無を判断するための機能ブロックとして、記憶部61、算出部62、判断部63及び運転制御部64を備える。記憶部61は、上記のROMやRAMなどからなり、例えば、充填時に使用する充填流量マップや、温度センサ38の異常判断に用いる閾値などを予め記憶する。詳細は後述するように、算出部62は、供給温度T1とタンク温度T2との温度差を算出し、判断部63は、温度センサ38の異常の有無を判断する。運転制御部64は、燃料タンク30への水素ガスの充填を制御するものであり、例えば、記憶部61から読み出した充填流量マップに基づいて、各種機器に制御指令を送信し、水素ガス充填を行うように各種機器を制御する。
【0036】
以上の燃料ガス充填システム1において、車両3に水素ガスを充填する場合、先ず、充填ノズル12をレセプタクル32に接続し、この状態にて、ディスペンサ19を作動させる。すると、充填ノズル12から燃料タンク30に向けて水素ガスが放出され、燃料タンク30に充填される。
本実施形態の燃料ガス充填システム1及び燃料ガス供給方法では、充填の初期段階で水素ステーション2が温度センサ38の異常の有無を判断することで、燃料タンク30に適した充填を行っている。
【0037】
次に、図4を参照して、燃料ガス充填システム1における充填フローを説明する。
なお、本充填フローは、水素ステーション2側の温度センサ10が正常であることを前提としたものである。温度センサ10の異常については、別の方法で、水素ステーション2側で確認することができるからである。
【0038】
充填作業者によって、充填ノズル12とレセプタクル32の接続作業がなされ、水素ステーション2から燃料タンク30への水素ガスの放出を許可する充填開始操作がなされると、水素ガスの充填が開始される(ステップS1)。
【0039】
この充填開始からの所定時間(t秒)までの充填初期段階では、小流量で充填が行われる(ステップS2)。
【0040】
ここで、所定時間(t秒)の長さは、温度センサ10,38が供給温度T1及びタンク温度T2を検出できて、検出したタンク温度T2の情報を通信により水素ステーション2に伝えることが可能な長さであればよい。好ましくは、できるだけ短時間であり、例えば数十秒である。
また、充填初期段階における小流量は、本充填(ステップS4)を行うときの充填流量(供給流量)よりも小さいものに設定される。また、この小流量は、燃料タンク30内でガス温度上昇がほとんど発生しない程度の非常にゆっくりとした流量であることが好ましい。好ましい一例を挙げると、充填初期段階における充填流量は、本充填における充填流量の1/10又は1/20である。また、この小流量の充填流量は、可変流量とすることも可能であるが、一定の流量であることが好ましい。
【0041】
次のステップS3では、供給温度T1とタンク温度T2との温度差△T(=T2−T1)が算出され、この算出した温度差△Tが閾値Tthと比較される(ステップS3)。このステップS3は、上記の充填初期段階で行われる。
【0042】
ここで、温度差△Tの算出について具体的に説明する。
充填初期段階の際、先ず、供給温度T1及びタンク温度T2に関する各温度情報が取得される。ここで、供給温度T1の温度情報は、温度センサ10によって取得されて、温度センサ10から制御装置5に直接送られる。一方、タンク温度T2の温度情報は、温度センサ38によって検出されたものが制御装置46、通信機44及び通信機6の順で伝えられた後、通信機6から制御装置5に送られる。このようにして、制御装置5に送られてきた供給温度T1及びタンク温度T2に関する各温度情報の取得結果から、算出部62は、両者の温度差△Tを算出する。温度差△Tは、例えば所定時間(t秒)の経過時又はそれまでのあるタイミングにおける、タンク温度T2から供給温度T1を減算した値である。
【0043】
なお、念のため後述の特許請求の範囲に記載の文言との関係に言及すると、本実施形態においては、温度センサ10が特許請求の範囲に記載の「第2の温度取得部」を構成する。また同様に、温度センサ38の検出結果を通信によりタンク温度T2の温度情報として取得する通信機6が、特許請求の範囲に記載の「第1の温度取得部」を構成する。
【0044】
温度差△Tの算出後は、判断部63によって、温度差△Tが閾値Tthを超えるか否かが判断される(ステップS3)。
ここで、上記のように、充填初期段階において、燃料タンク30内でガス温度上昇がほとんど発生しない程度の非常にゆっくりとした小流量での充填が行われている場合、供給温度T1とタンク温度T2とは、ほとんど等しくなり、これらの温度は、プレクーラ16により冷却された温度(上記の例の場合、−20℃)となる。ただし、燃料タンク30内でガス温度上昇がほとんど発生しない程度の小流量とはいえ、燃料タンク30内に供給された水素ガスは膨張するので、多少のガス温度上昇は起き得る。このため、正常時であれば、タンク温度T2が供給温度T1よりも僅かに大きくなることはあっても、供給温度T1がタンク温度T2よりも大きくなることはない。
【0045】
このような点に鑑みると、温度差△Tと比較する閾値Tthとしては、0を用いることができる。ただし、閾値Tthとしては、上記の僅かな温度上昇量を加味して0よりも大きい値(例えば、5℃など)を用いることが好ましい。また、この温度上昇量に余裕を持たせた値(例えば、7℃など)を閾値Tthに用いることがより好ましい。なお、この温度上昇量については、評価結果やシミュレーション等により得ることができる。
【0046】
加えて、閾値Tthは、一定の値を用いることもできるが、燃料タンク30に関する特性に応じて異なることが好ましい。
詳述すると、燃料タンク30は、その材料、表面積及び構造等によって、放熱性、断熱性又は温度上昇率が異なる。例えば、燃料タンク30のライナーとしてアルミニウムを用いた場合には、樹脂(ポリエチレンなど)を用いた場合よりも、放熱性は優れたものとなる。また、樹脂ライナーにおける樹脂の特性や配合割合によっても、放熱性等は異なるものとなる。加えて、車両3における燃料タンク30の搭載位置によっても、走行風の影響度合いや、燃料タンク30周辺の熱源の存在などにより、燃料タンク30の冷却特性も異なる。このように、燃料タンク30自身の放熱性等の特性や、燃料タンク30に影響を及ぼす特性は、現在又は将来の車両又は燃料タンクにおいて必ずしも同じというわけではない。
【0047】
そこで、本実施形態の好ましい一態様では、閾値Tthは、車両3に搭載した燃料タンク30に関する上記の特性を考慮したものを用いてもよい。一例を挙げると、アルミライナーを有する燃料タンク30である場合には、樹脂ライナーを有する燃料タンク30である場合に比べて、閾値Tthを小さく設定することができる。
【0048】
閾値Tthについては、予め記憶部61に記憶させておけばよい。しかし、燃料タンク30に関する特性に応じて閾値Tthを変更する場合には、この特性に関する情報を水素ステーション2に入力する必要がある。そのための方法として、通信を用いることが好ましい。具体的には、車両3の制御装置46の記憶部に、燃料タンク30に関する特性の情報を記憶させておき、この情報を充填初期段階において通信機44−通信機6間の通信により水素ステーション2の制御装置5に送るようにする。こうすることで、水素ステーション2側で燃料タンク30に関する特性の情報を予め記憶しておかなくとも、充填初期段階において、水素ステーション2にて、燃料タンク30に関する特性に応じた閾値Tthを決定し、用いることができる。
【0049】
ステップS3の結果、温度差△Tが閾値Tth以下である場合には(ステップS3;NO)、温度センサ38が正常であると判断されて、運転制御部64が本格的な充填を開始する(ステップS4)。この本充填では、運転制御部64が、車両3側から通信により受け取った充填初期段階の始期又は終期におけるタンク圧力及びタンク温度T2などの情報を、記憶部61に保存している充填流量マップに参照して、燃料タンク30への最適な充填流量を選択し、流量制御弁17の開度を制御する。
【0050】
一方、ステップS3の結果、温度差△Tが閾値Tthを越える場合には(ステップS3;YES)、温度センサ38が異常であると判断される(ステップS5)。換言すると、判断部63は、充填初期段階で取得された燃料タンク30内の温度情報が異常であると判断する。
【0051】
温度センサ38が異常であると判断された場合、燃料ガス充填システム1では、必要な対策処理が実行される(ステップS6)。例えば、運転制御部64は、本充填(ステップS4)を行う場合よりも、充填流量(供給流量)及び充填量(供給量)の少なくとも一つを低減する。一例を挙げると、運転制御部64は、本充填の際に充填流量マップから選択する充填流量よりも小さい充填流量(供給流量)を選択し、燃料タンク30に対して負担とならないような充填を行う。この場合、通信を使わずに、安全側の充填流量又は充填量を選択するようにしてもよい。別の対策処理の例では、運転制御部64は、燃料タンク30への充填を停止してもよい。
【0052】
また、充填に関する上記対策処理とは別個に又はこれと併せて、異常判断の旨を報知する対策処理を実行してもよい。例えば、表示装置7及び表示装置42の少なくとも一つに、温度センサ38が異常である旨又はその修理等を促す旨を表示することができる。また、温度センサ38が異常であると判断した旨の履歴を、制御装置5,46の記憶部に保存する対策処理も行うことができる。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、充填開始時に、水素ステーション2からの充填を利用して、車両3側の温度センサ38の異常の有無を水素ステーション2側で判断することができる。特に、温度センサ38の異常の有無については、充填中の供給温度T1及びタンク温度T2の差を閾値Tthと比較することで判断しているので、タンク温度T2に関する温度情報のみから判断する場合に比べて、より精度良く判断することができる。
【0054】
また、燃料タンク30内の温度情報が正確であるか否かを確認することができるので、燃料タンク30の限界温度を超えないような適切な充填を行うことができる。例えば、温度センサ38が異常であると判断された場合、必要以上の充填流量及び充填量が燃料タンク30に充填されないように充填を継続することができる。
【0055】
加えて、温度センサ38の異常の有無を判断する際に用いる充填流量を小流量としているため、この判断の過程において、燃料タンク30内の状態が限界値を超えることを抑制することができる。また、その小流量を燃料タンク30内でガス温度上昇がほとんど発生しない程度のものとした場合には、閾値Tthを求める際の評価試験やシミュレーションの過程も簡素化することができる。
【0056】
<変形例>
次に、本実施形態のいくつかの変形例について説明する。
【0057】
<第1の変形例>
図5に示す第1の変形例が上記実施形態と相違する点は、ステップS3の代わりにステップS13を行う点である。なお、ステップS11,12,14〜16は、図4のステップS1,2,4〜6と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0058】
ステップS13では、ステップS3と同様に、供給温度T1とタンク温度T2との温度差を算出して閾値Tthと比較するが、その算出の際に、供給温度T1に所定のマイナス幅αを持たせるようにしている。この理由について以下に詳述する。
【0059】
車両3が高負荷走行をする場合、燃料電池では多くの水素ガスが消費され、燃料タンク30からは多くの水素ガスが燃料電池に向けて放出される。この放出によりタンク温度T2は低下する。このため、車両3が寒冷の環境下で高負荷走行した直後に水素ステーション2で充填される場合には、充填初期段階において、供給温度T1がタンク温度T2よりも大きいものとして検出されることが考えられる。したがって、この点を考慮しないで図4に示すステップS3を行うと、温度センサ38にドリフトによる異常が起きているにも関わらず、本充填が行われてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、寒冷の環境下で車両3が高負荷走行した後に充填を行う場合には、図5の充填フローを用いて、供給温度T1にマイナス幅αを持たせている(ステップS13)。
【0060】
ここで、ステップS13に示す式を変換すると、以下の式(1)に示すとおりとなる。
2−T1>Tth−α ・・・(1)
式(1)から理解されるように、ステップS13は、温度差△T(=T2−T1)と比較する閾値Tthにマイナス幅αを持たせていると考えることもできる。また、充填直前に寒冷の環境下で車両3が高負荷走行していたか否かに基づいて、閾値Tthの大きさを変更していると考えることもできる。
【0061】
ここで、閾値Tthの大きさの変更の度合い、すなわちマイナス幅αの大きさについては、一定値(例えば、α=10℃)を用いることが可能であるが、充填直前の様々な条件を考慮して可変することもできる。例えば、車両3での水素ガスの消費状況(車両3の仕様)、車両3の走行状況、走行地域、及び外気温の少なくとも一つに応じて、マイナス幅αの大きさ(すなわち、温度差△Tと比較する閾値の大きさ)を可変してもよい。
【0062】
具体例を挙げると、車両3での単位時間当たりの水素ガスの消費が多い場合には、それが少ない場合よりも高負荷走行していると考えられるため、タンク温度T2がより下がっている。このため、マイナス幅αとしては、前者の場合について後者の場合よりも大きくすればよい。
また、上記の例のうち、車両3の走行状況とは、例えば、車両3の最高速度や平均速度であり、これらが大きい場合ほど、マイナス幅αを大きくしてもよい。さらに、車両3の走行地域が寒冷地であるかどうかをGPSなどで把握して、マイナス幅αの大きさを決定してもよい。これらの情報については、車両3側から通信により水素ステーション2が充填開始時に受信し、水素ステーション2が、充填初期段階において、個々の情報に適したマイナス幅αを決定すればよい。
【0063】
一方、外気温については、上記の外気温センサ8で取得し、その大きさに応じてマイナス幅αの大きさを決定してもよい。なお、外気温は、水素ステーション2の立地条件を示す指標ともなる。また、マイナス幅αの大きさを、上記した燃料タンク30に関する特性に応じて可変してもよい。
【0064】
以上説明した第1の変形例によれば、上記実施形態による作用効果に加えて、寒冷の環境下で車両3が高負荷走行した後に水素ガスを充填する場合であっても、温度センサ38の異常の有無をより正確に判断することができる。なお、水素ステーション2が図4に示すフローを読み出すか、あるいは図5に示すフローを読み出すかは、充填開始前の状況を考慮して決めればよい。この充填開始前の状況については、例えば、車両3の走行状況又は水素ガスの消費状況と、外気温とから把握することができる。
【0065】
<第2の変形例>
図6に示す第2の変形例が上記実施形態(図4)と相違する点は、ステップS24の判断を行う点である。なお、ステップS21〜23、25〜27は、図4のステップS1〜6と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0066】
本変形例においては、温度差△T(=T2−T1)が閾値Tth以下である場合に(ステップS23;NO)、さらに、タンク温度T2を外気温T3と比較している(ステップS24)。この外気温T3は、充填初期段階における外気温センサ8の取得結果に基づくものである。
【0067】
詳述するに、充填初期段階では、タンク温度T2は、プレクーラ16により冷却された温度(上記の例の場合、−20℃)となる。かなりの寒冷の環境下でない限り、充填初期段階では、タンク温度T2は外気温T3よりも小さいことになる。そこで、本変形例においては、タンク温度T2が外気温T3を超える場合には(ステップS24;NO)、温度差△Tが閾値Tth以下であったとしても、判断部63が温度センサ38を異常であると判断し(ステップS26)、運転制御部64がその後の対策処理(ステップS27)を行う。一方、タンク温度T2が外気温T3以下の場合には(ステップS24;YES)、判断部63は温度センサ38が正常であるとの判断を維持し、運転制御部64がその後の本充填(ステップS25)を行う。
【0068】
このように、第2の変形例によれば、タンク温度T2を供給温度T1と比較するだけではなく、外気温T3とも比較しているので、温度センサ38の異常の有無の判断の正確性をより向上することができる。なお、第2の変形例を第1の変形例に適用することも可能である。
【0069】
<第3の変形例>
図7に示す第3の変形例が第2の変形例と相違する点は、ステップS24の代わりにステップS34を行う点である。なお、その他のステップは互いに同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0070】
ステップS34では、タンク温度T2と比較する外気温T3にプラス幅βを持たせている。プラス幅βの大きさとしては、一定値(5℃又は10℃など)を用いることができるが、可変してもよい。
【0071】
ここで、外気温T3にプラス幅βを持たせた方がよい因子としては、次の4つが考えられる。
第1の因子は、充填に伴う燃料タンク30内のガス温度上昇である。これは、上記の小流量での充填を行えば燃料タンク30内の温度上昇は抑えられているが、多少は温度上昇が起こり得るからである。この場合、温度上昇の度合いは燃料タンク30の放熱性等により異なるため、プラス幅βの大きさについても、上記した燃料タンク30の放熱性に応じて異なる値を用いることが好ましい。
【0072】
第2の因子は、充填直前における燃料タンク30のおかれている環境の温度である。例えば、真冬に車両3が暖房の効いたガレージにあり、そこから出庫した直後に充填をした場合には、充填初期段階において、タンク温度T2が外気温T3よりも高い可能性がある。また、真冬や真夏などで日なたに車両3をしばらく放置した直後に充填をした場合にも、充填初期段階において、タンク温度T2が外気温T3よりも高い可能性がある。したがって、このような状況を考慮して、プラス幅βを設定することが好ましい。
【0073】
第3の因子は、燃料タンク30の搭載場所の周辺における熱源である。このような熱源がある場合にも、充填初期段階において、タンク温度T2が外気温T3よりも高くなる可能性があるからである。
【0074】
第4の因子は、水素ステーション2の立地条件である。例えば、水素ステーション2の外気温が、プレクーラ16により冷却される温度(上記の例:−20℃)よりも低い低温環境下の場合にも、充填初期段階において、タンク温度T2が外気温T3よりも高くなる可能性があるからである。
【0075】
このように、第3の変形例によれば、ステップS34の判断において、タンク温度T2を外気温T3と単に比較するのではなく、外気温T3にプラス幅βを持たせているので、第2の変形例よりも、より一層、温度センサ38の異常の有無の判断の正確性を向上することができる。なお、第3の変形例も第1の変形例に適用することができる。
【0076】
<第4の変形例>
第4の変形例は、上記実施形態における第1〜第3の温度取得部の変形例に係るものであり、第1〜第3の変形例にも適用することができる。
【0077】
・第1の温度取得部について
タンク温度T2に関する温度情報を取得する第1の温度取得部として、通信機6以外のものを用いることも可能である。例えば、充填作業者が温度センサ38の検出結果を水素ステーション2に手動で入力するための入力装置を、第1の温度取得部として用いることができる。
【0078】
・第2の温度取得部について
供給温度T1に関する温度情報を取得する第2の温度取得部として、充填ノズル12に設けた温度センサ10を用いたが、充填ノズル12以外の位置に設けた温度センサを用いることも可能である。例えば、充填ノズル12の直前のホース部分(ガス流路13の一部)に設けた温度センサを用いてもよい。
【0079】
また、別の例では、車両3側の充填流路34に設けた温度センサを利用することもできる。燃料タンク30内で放出される前の水素ガスであれば、水素ステーション2が燃料タンク30に供給する水素ガスの温度と実質的に同じだからである。この場合には、水素ステーション2内の第2の温度取得部としては、充填流路34に設けた温度センサの検出を通信により取得する通信機(例えば、上記の通信機6)が該当することになる。
【0080】
・第3の温度取得部について
外気温情報を取得する第3の温度取得部として、水素ステーション2側の外気温センサ8を用いたが、車両3側に設けた外気温センサを利用することもできる。この場合も、水素ステーション2内の第3の温度取得部としては、車両3側に設けた外気温センサの検出を通信により取得する通信機(例えば、上記の通信機6)が該当することになる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の燃料ガスステーション、燃料ガス充填システム及び燃料ガス供給方法は、水素ガスのみならず、天然ガスなど他の燃料ガスにも適用することができる。また、車両に限らず、航空機、船舶、ロボットなど、外部からの燃料ガスの充填先として燃料タンクを搭載した移動体に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1:燃料ガス充填システム、2:燃料ガスステーション、3:車両、5:制御装置、6:通信機(第1の温度取得部)、8:外気温センサ(第3の温度取得部)、10:温度センサ(第2の温度取得部)、30:燃料タンク、38:温度センサ、62:算出部、63:判断部、64:運転制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の燃料タンクに対して燃料ガスを供給する燃料ガスステーションにおいて、
前記燃料タンク内の温度情報を取得する第1の温度取得部と、
当該燃料ガスステーションが前記燃料タンクに供給する燃料ガスの温度情報を取得する第2の温度取得部と、
所定時間燃料ガスを供給した際の前記第1の温度取得部及び前記第2の温度取得部の取得結果から、前記燃料タンク内の温度(以下、「タンク温度」という。)と当該燃料タンクに供給する燃料ガスの温度(以下、「供給温度」という。)との温度差を算出する算出部と、
算出した温度差が所定の閾値を越えた場合に、前記燃料タンク内の温度情報が異常であると判断する判断部と、
前記異常の旨が判断された場合に、正常時に比べて前記燃料タンクへの燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減する運転制御部と、を備えた、燃料ガスステーション。
【請求項2】
前記運転制御部は、前記異常の旨が判断された場合に、前記燃料タンクへの燃料ガスの供給を停止する、請求項1に記載の燃料ガスステーション。
【請求項3】
前記所定の閾値は、前記燃料タンクに関する特性に応じて異なる、請求項1又は2に記載の燃料ガスステーション。
【請求項4】
前記燃料タンクが移動体に搭載されている場合、
前記所定の閾値は、前記所定時間燃料ガスを供給する直前における、外気温、前記移動体の走行状況及び走行地域、並びに当該移動体での燃料ガスの消費状況の少なくとも一つに応じて異なる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料ガスステーション。
【請求項5】
前記第1の温度取得部及び第2の温度取得部は、前記所定時間の燃料ガスの供給が正常時における供給流量よりも小さい供給流量にて行われた際に、それぞれ、対象の温度情報を取得する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料ガスステーション。
【請求項6】
前記第1の温度取得部及び前記第2の温度取得部の取得結果によれば、前記タンク温度が前記供給温度よりも低かった場合、
前記判断部は、前記燃料タンク内の温度情報が異常であると判断する、請求項5に記載の燃料ガスステーション。
【請求項7】
前記燃料タンクに供給する燃料ガスを冷却するプレクーラと、
外気温情報を取得する第3の温度取得部と、を更に備えており、
前記所定時間燃料ガスを供給した際の前記第1の温度取得部及び前記第3の温度取得部の取得結果によれば、前記タンク温度が外気温を超えている場合、
前記判断部は、前記燃料タンク内の温度情報が異常であると判断する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の燃料ガスステーション。
【請求項8】
前記第1の温度取得部は、前記燃料タンク内にある温度センサの検出を通信により前記燃料タンク内の温度情報として取得するものである、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の燃料ガスステーション。
【請求項9】
前記燃料タンクに向けて燃料ガスを外部に放出するノズルを更に備え、
前記第2の温度取得部は、前記ノズルに設けられた温度センサで構成されている、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の燃料ガスステーション。
【請求項10】
燃料タンクを搭載した移動体と、
前記燃料タンクに対して燃料ガスを供給する燃料ガスステーションと、を備えた燃料ガス充填システムにおいて、
前記燃料ガスステーションは、
前記燃料タンク内の温度情報を取得する第1の温度取得部と、
当該燃料ガスステーションが前記燃料タンクに供給する燃料ガスの温度情報を取得する第2の温度取得部と、
所定時間燃料ガスを供給した際の前記第1の温度取得部及び前記第2の温度取得部の取得結果から、前記燃料タンク内の温度と当該燃料タンクに供給する燃料ガスの温度との温度差を算出する算出部と、
算出した温度差が所定の閾値を越えた場合に、前記燃料タンク内の温度情報が異常であると判断する判断部と、
前記異常の旨が判断された場合に、正常時に比べて前記燃料タンクへの燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減する運転制御部と、を備えた、燃料ガス充填システム。
【請求項11】
燃料ガスステーションの外部にある燃料タンクに対して当該燃料ガスステーションから燃料ガスを供給する燃料ガス供給方法において、
所定時間燃料ガスを前記燃料タンクへ供給するステップと、
この供給の際に、前記燃料タンク内の温度と、前記燃料ガスステーションが前記燃料タンクに供給する燃料ガスの温度とを検出して、その温度差を算出するステップと、
算出した温度差が所定の閾値を越えた場合に、検出した燃料タンク内の温度の情報を異常であると判断し、正常時に比べて前記燃料タンクへの燃料ガスの供給流量及び供給量の少なくとも一つを低減するステップと、を備えた、燃料ガス供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149533(P2011−149533A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12938(P2010−12938)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】