説明

燃料ガス精製設備

【課題】少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とする。
【解決手段】バイオマス/廃棄物ガス化炉1で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段4と、熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段5と、熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共にバイオマス/廃棄物ガス化炉1に投入する循環経路6と、原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段7と、ハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段8と、吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段11とを備え、可燃性の不純物を再利用し、不純物除去剤に用いる資源を反復使用できるようにし、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や廃棄物の減量化が求められており、バイオマスの部分燃焼ガスや廃棄物の部分燃焼ガスを燃料ガスとすることが考えられている。多様な燃料ガスには環境に影響を与える不純物が含まれているため、多成分の不純物を除去して品質を高めた燃料ガスを精製する技術が従来から提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1では、湿式のガス精製を用いて、還元性ガス中の不純物を除去する有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置が提案されている。即ち、特許文献1で開示された技術は、アルカリ洗浄液を用いたスクラバによる水溶性の酸性ガス及びダストの除去、CO転化装置(触媒反応器)によるCOのHへの変換、湿式脱硫装置によるHSやCOの除去、という工程を備えている。この技術では、廃棄物のガス化装置から、Hを含むアンモニア合成プロセス向けとしてアンモニア合成に適した組成の燃料ガスが得られる。
【0004】
また、特許文献2では、還元性ガス中の不純物を除去するガス精製方法及びガス精製設備が提案されている。即ち、特許文献2で開示された技術は、石炭ガス化ガスに含まれる塩化水素並びにアンモニアを、低温度における塩化アンモニウム精製反応によって固体として除去する技術である。この技術は、石炭ガス化ガスを燃料ガスとして適用できるようにしたものである。
【0005】
一方、大気に放出される排気ガスから環境に影響を与える多成分の不純物を除去する排ガス処理装置としては、例えば、ばいじん除去と不純物除去とを同時に行うことが明記された技術が(特許文献3、特許文献4、特許文献5)知られている。排ガス処理の分野は、特定の成分が環境に排出されないことが第1目的であるため、処理後のガスの品質である燃料ガス精製に関しては技術的な思想が相違する。
【0006】
【特許文献1】特開平10−236801号公報
【特許文献2】特開平11−57402号公報
【特許文献3】特開2002−113311号公報
【特許文献4】特開2002−210328号公報
【特許文献5】特開2001−137663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料ガスを精製する分野においては、環境に影響を与える不純物を除去した燃料ガスを得ることができるが、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減することや、可燃性の不純物を再利用すること、不純物除去剤に用いる資源を反復使用すること等、少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得ることに関しては、何ら考慮されていない。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0010】
第1の態様では、第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を原料ガス供給手段に再投入して可燃性の不純物を再利用し、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送して不純物除去剤に用いる資源を反復使用できるようにし、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減して少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得る。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、第2不純物固定手段で吹き込まれる吸収剤は、再処理手段で再処理された吸収剤であることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0012】
第2の態様では、第2物理的除去手段で回収された不純物除去剤に用いる吸収剤を設備内で反復使用することができる。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、第2不純物固定手段に送られる原料ガスの状況を導出する導出手段と、導出手段で導出された状況に応じて吸収剤の吹き込み量を調整する調整手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0014】
第3の態様では、第2不純物固定手段に送られる原料ガスの状況に応じて吸収剤の吹き込み量を適切に調整することができる。
【0015】
また、本発明の第4の態様は、第1〜3のいずれかの態様において、第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0016】
第4の態様では、原料ガス中の重金属を除去することができる。
【0017】
また、本発明の第5の態様は、第1〜3のいずれかの態様において、原料ガス供給手段に不純物除去剤を吹き込むことにより硫黄化合物をスラグと共に排出する炉内脱硫手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0018】
第5の態様では、硫黄化合物をスラグと共に原料ガス供給手段から排出することができる。
【0019】
また、本発明の第6の態様は、第1〜3のいずれかの態様において、有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0020】
第6の態様では、有機硫黄化合物を除去することができる。
【0021】
また、本発明の第7の態様は、第1〜3のいずれかの態様において、第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガス中から、更にハロゲン化水素を精密除去する精密除去手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0022】
第7の態様では、ハロゲン化水素を精密除去することができる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明の第8の態様は、燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、原料ガス供給手段に不純物除去剤を吹き込むことにより硫黄化合物をスラグと共に排出する炉内脱硫手段と、原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、再処理手段で再処理された吸収剤を第2不純物固定手段に吹き込むための系と、第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0024】
第8の態様では、第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を原料ガス供給手段に再投入して可燃性の不純物を再利用し、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送して不純物除去剤に用いる資源を設備内で反復使用できるようにし、原料ガス中の重金属を吸着除去手段で除去し、硫黄化合物を炉内脱硫手段でスラグと共に原料ガス供給手段から排出して、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減して少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得る。
【0025】
上記目的を達成するための本発明の第9の態様は、燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、再処理手段で再処理された吸収剤を第2不純物固定手段に吹き込むための系と、第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段と、吸着除去手段で重金属が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0026】
第9の態様では、第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を原料ガス供給手段に再投入して可燃性の不純物を再利用し、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送して不純物除去剤に用いる資源を設備内で反復使用できるようにし、原料ガス中の重金属を除去し、有機硫黄化合物を除去して、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減して少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得る。
【0027】
上記目的を達成するための本発明の第10の態様は、燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段と、吸着除去手段で重金属が除去された原料ガスが送られ、更にハロゲン化水素を精密除去する精密除去手段と、精密除去手段でハロゲン化水素が精密除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0028】
第10の態様では、第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を原料ガス供給手段に再投入して可燃性の不純物を再利用し、第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送して不純物除去剤に用いる資源を設備内で反復使用できるようにし、原料ガス中の重金属を除去し、ハロゲン化水素を精密除去し、有機硫黄化合物を除去して、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減して少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得る。
【0029】
そして、本発明の第11の態様は、第1〜10のいずれかの態様において、原料ガス供給手段は、バイオマス・廃棄物を部分燃焼して原料ガスを得るバイオマス/廃棄物ガス化炉であることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0030】
第11の態様では、バイオマス・廃棄物を部分燃焼して得られた原料ガスから燃料ガスを精製することができる。
【0031】
また、本発明の第12の態様は、第1〜11のいずれかの態様において、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に吸収・吸着される熱分解性不純物は、炭化水素類、炭素系不純物、有機塩素化合物、塩基性ガスの少なくともいずれかであることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0032】
第12の態様では、炭化水素類、炭素系不純物、有機塩素化合物、塩基性ガスの少なくともいずれかを原料ガス供給手段に再投入して可燃性の不純物を再利用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の燃料ガス精製設備は、少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1には各リサイクル技術に適した除去対象不純物と不純物除去剤の組み合わせの関係の表、図2乃至図4には本発明の実施形態例に係る燃料ガス精製設備の概略系統を示してある。
【0035】
本発明の燃料ガス精製設備の特徴は、リサイクル型のガス精製設備である。即ち、不純物を除去するだけではなく、不純物除去剤の使用量や廃棄量を低減(reduce)すること、可燃性不純物を燃料として再利用(reuse)すること、不純物除去剤に用いる資源を反復使用(recycle)することを含むリサイクル技術を適用したガス精製設備である。
【0036】
上記リサイクル型のガス精製設備を実現するために,除去対象の不純物を除去する手段を以下の観点から区分することによって、リサイクル技術に適した除去プロセスを構築している。
【0037】
非分離除去:同時に除去される他の不純物と混合しても、再利用・反復使用・廃棄処理できる物で、単独での回収の必要がない不純物の除去手段。
【0038】
分離除去:再利用・反復使用・廃棄処理のため,他の不純物と区分して単独で回収しなければならない不純物を含む場合の除去手段。
【0039】
除去した不純物あるいは不純物除去剤のリサイクル技術
燃料熱分解サイクル(燃料成分の再利用:reuse):不純物に含まれる未燃成分や可燃性の使用済み不純物除去剤を原料ガス供給装置に再投入して,燃料の利用率を向上させている。
【0040】
熱分解性不純物サイクル(不純物除去剤の廃棄量低減:reduce):捕集した不純物を含む不純物除去剤を原料ガス供給装置に再供給して、不純物除去剤や不純物そのものを熱分解(無害化)することによって使用済み不純物除去剤の廃棄量の低減や不純物処理費用の削減を図っている。
【0041】
不純物除去剤リサイクル(不純物除去剤の反復使用:recycle):使用済みの不純物除去剤を回収して,再生することにより,吸収剤の原料をリサイクルして,吸収剤コストの低減並びに資源の有効利用を図っている。
【0042】
不純物除去剤有効利用(不純物除去剤の使用量低減:reduce):不純物の種類や負荷に応じて,適切な不純物除去剤を適量供給することによって,不純物除去剤の有効利用と使用量の低減を図ると共に,使用済み不純物除去剤などの廃棄物の発生量を抑え環境負荷の低減を図っている。
【0043】
図1に基づいて除去対象不純物と不純物除去剤の組み合わせについて説明する。
【0044】
不純物除去剤のリサイクル技術を適用するための除去対象不純物と不純物除去剤の具体的な組み合わせの例を図1に示してある。図1には各リサイクル技術に適した除去対象不純物と不純物除去剤の組み合わせの関係の表を示してある。
【0045】
(1)燃料熱分解サイクルは、燃料成分の再利用を企図したもので、不純物と不純物除去材を分離しない非分離除去とされる。除去対象は炭化水素類(Tar)、炭素系固体不純物(Char)であり、不純物除去剤(吸収剤、吸着剤)は不燃性吸収剤(無機多孔体)や可燃性吸着剤(活性炭粉末)が使用される。
【0046】
(2)熱分解性不純物サイクルは、不純物除去剤の廃棄量低減を企図したもので、不純物と不純物除去材を分離しない非分離除去とされる。除去対象は有機塩素化合物(DXN)、塩基性ガス(NH)であり、不純物除去剤(吸収剤、吸着剤)は不燃性吸着剤(無機多孔体)や不燃性吸着剤が使用される。
【0047】
(3)不純物除去剤リサイクルは、不純物除去剤(吸収剤)の反復使用を企図したもので、不純物と不純物除去剤を分離する分離除去とされ、分離された不純物除去剤をリサイクルする。除去対象はハロゲン化水素(HCl、HF)であり、吸収剤(Na系)が吹き込まれる。
【0048】
(4)不純物除去剤有効利用は、不純物除去剤(吸収剤)の使用量の低減を企図したもので、不純物と不純物除去剤を分離する分離除去とされ、分離された不純物除去剤をリサイクルする。除去対象はハロゲン化水素(HCl、HF)であり、吸収剤(Na系またはCa系)が吹き込まれる。
【0049】
(5)不純物除去剤有効利用は、不純物除去剤(吸収剤)のコスト低減を企図したもので、不純物と不純物除去剤を分離する分離除去とされ、分離された不純物除去剤をリサイクルする。除去対象はハロゲン化水素(HCl、HF)であり、吸収剤(Na系とCa系)及び成形吸収剤(Na系)が併用されて吹き込まれる。
【0050】
(6)重金属類の分離除去は、不純物除去剤の廃棄費用低減を企図したものであり、固定床型の手段が適用される。除去対象は重金属(Hg)であり、除去剤として固体吸着剤(添着活性炭)が使用される。
【0051】
本発明のガス精製設備の第1実施形態例を説明する。
【0052】
図2には本発明の第1実施形態例に係るガス精製設備の概略系統を示してある。第1実施形態例は、原料ガス供給手段としてのバイオマス/廃棄物ガス化炉1から得られる燃料ガスをガスエンジン2に供給するためのガス精製設備の例である。
【0053】
本実施形態例の特徴は、ばいじん除去装置を核にした多種の不純物を同時に除去する技術と、リサイクル技術を組み合わせて、リサイクル型のガス精製設備を構築している点にある。
【0054】
この特徴は,ばいじん除去装置として一般に使用されている濾過装置(バグフィルターやセラミックフィルター)に各種不純物除去剤を吹き込んで多種の可燃性あるいは熱分解性の不純物を分離せずに除去し、バイオマス/廃棄物ガス化炉1に再投入することや、後流に別体の除去装置を設けて不純物除去剤のリサイクルを図ることで達成される。
【0055】
また、本実施形態例は、原料ガスを製造する多様な原料に由来する多成分の不純物を一括して除去できることにも特徴がある。即ち、以下に列記する不純物を一括して除去することが出来ることも特徴となっている。
(a)ハロゲン化物、硫黄化合物等の酸性ガス
(b)アンモニア等の塩基性ガス
(c)ダスト、吹き込み吸収剤等の固体状不純物
(d)水銀等の重金属単体や重金属を含むガス状化合物等の重金属類
(e)ダイオキシン類等の有機塩素化合物
(f)アルカリ金属やアルカリ土類金属等の揮発性の軽金属類
(g)タール、芳香族炭化水素等の不飽和炭化水素
【0056】
この特徴は,濾過装置に吹き込む不純物除去剤の種類や量を調整する方法と、濾過装置の後流に組み合わせる各種不純物除去装置との組み合わせで実現される。
【0057】
以下、図2に基づいて第1実施形態例を具体的に説明する。尚、図2には前述した図1におけるリサイクル技術における括弧の番号を対応させて付してある。
【0058】
図に示すように、バイオマス・廃棄物を燃料として燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段としてのバイオマス/廃棄物ガス化炉1が備えられている。バイオマス/廃棄物ガス化炉1で得られる原料ガスとしては、例えば、HCl+HFが500ppmv、HS+COSが500ppmv、ダスト(Ash)+炭素系不純物(Char)が1g/mN、炭化水素類(Tar)が100mg/mN、有機塩素化合物(DXN)が10ngTEQ/mN、重金属(Hg)が100μg/mN、塩基性ガス(NH)が1000ppmv含まれている。
【0059】
バイオマス/廃棄物ガス化炉1には炉内脱硫手段3が備えられ、不純物除去剤が吹き込まれることにより硫黄化合物(HS,COS)がスラグと共に排出される。バイオマス/廃棄物ガス化炉1で得られた原料ガスは第1不純物固定手段4に送られ、第1不純物固定手段4には活性炭粉末、無機多孔体(吸着剤、吸収剤)が吹き込まれる。第1不純物固定手段4では熱分解性不純物であるAsh、Char、Tar、DXN、NHが固定される。
【0060】
第1不純物固定手段4の後流には第1物理的除去手段5が備えられ、第1不純物固定手段4で吸収・吸着剤に固定されたAsh、Char、Tar、DXN、NHが第1物理的除去手段5で吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去される。第1物理的除去手段5で吸収・吸着剤と共に回収されたAsh、Char、Tar、DXN、NHは、再投入手段としての循環経路6により吸収・吸着剤と共にバイオマス/廃棄物ガス化炉1に循環され(再投入手段)、燃料成分が再度部分燃焼されると共に不純物除去剤の廃棄量が減らされる。
【0061】
熱分解性不純物(Ash、Char、Tar、DXN、NH)が第1物理的除去手段5で除去された原料ガスは第2不純物固定手段7に送られる。第2不純物固定手段7には吸収剤であるNa系の吹き込み吸収剤、Ca系の吹き込み吸収剤、またはNa系とCa系の吹き込み吸収剤の混合物が吹き込まれ、ハロゲン化水素(HCl、HF)が吸収される。第2不純物固定手段7でHCl、HFが吸収された吸収剤は第2物理的除去手段8に送られ、HCl、HFが吸収された吸収剤が物理的な濾過によって除去される。
【0062】
第2物理的除去手段8で回収された吸収剤は再処理手段11により図示しない再処理設備に搬送され、再処理された吸収剤は再投入系12により第2不純物固定手段7を介して第2物理的除去手段8に吹き込まれる。つまり、不純物除去剤の反復使用が可能になり、不純物除去剤の使用量を低減することが可能になり、不純物除去剤のコスト低減が可能になる。
【0063】
尚、第2物理的除去手段8に送られる原料ガス中のハロゲン濃度を検出し(導出し)、検出結果に基づいて吸収剤の吹き込み量を調整することも可能である。これにより、更に吸収剤を的確に使用することができ、使用量低減、コスト低減を図ることが可能になる。原料ガス中のハロゲン濃度があらかじめ判っている場合には、一定量の吸収剤を吹き込むことが出来る。いずれの場合にも、濾過材に堆積する吹き込み吸収剤を払い落とすための逆洗を行うために、第1物理的除去手段5の出入口の圧力差を検出して最適な時期を決定する。
【0064】
第2物理的除去手段8でHCl、HFが除去された原料ガスは吸着除去手段13に送られ、固体吸着剤である添着活性炭に重金属(Hg)が吸着されて除去される。吸着除去手段13でHgが除去された原料ガスは燃料ガスとされてガスエンジン2に供給される。
【0065】
従って、Tarタール(Tar:炭化水素類)やチャー(Char:炭素系不純物)のような可燃性不純物と、ダイオキシン類(DXN:有機塩素化合物)やアンモニア(NH:塩基性ガス)のような熱分解性不純物は、第1不純物固定手段4において不純物除去剤(活性炭等)によって固定され、第1物理的除去手段5(バグフィルター)で除去された後にバイオマス/廃棄物ガス化炉1に戻される。これにより、タールやチャーの様な可燃性不純物を燃料として用いることができるため、燃料熱分解サイクルによる燃料成分の再利用が達成される。
【0066】
また、ダイオキシン類の様な熱分解性不純物を、不純物除去剤によって固定化した後にバイオマス/廃棄物ガス化炉1で熱分解処理できる。あわせて除去剤として用いた活性炭はバイオマス/廃棄物ガス化炉1の燃料として使用できる。除去した灰分もバイオマス/廃棄物ガス化炉1にリサイクルすることで、灰をスラグとして排出できるので、排出される灰分を減容できる。
【0067】
上述した燃料ガス精製設備では、次に示す利点がある。即ち、通常の活性炭によるダイオキシン類の除去では、ダイオキシン類を含む多量の活性炭が廃棄物となるため,その処理コストが膨大となり、活性炭は何ら有効利用の路が無いまま処理されるため、環境対策が新たな廃棄物を生成してしまう難点があった。上述した燃料ガス精製設備を用いることで、ダイオキシン類を含む廃棄物の低減(reduce)と不純物除去剤の燃料利用(reuse)が同時に達成される。
【0068】
また、上述した燃料ガス精製設備では、濾過装置として、第1物理的除去手段5と第2物理的除去手段8との2系統に分かれており、第1物理的除去手段5の系統では上述の熱分解性不純物サイクルを達成する可燃性不純物や熱分解性不純物の除去が行われる。第1物理的除去手段5を通過した原料ガスには、バイオマス/廃棄物ガス化炉1に投入する燃料から生成する硫黄化合物並びにハロゲン化物、ダイオキシン類の熱分解性不純物サイクルによって生成するハロゲン化物が含まれる。
【0069】
また、硫黄化合物の除去に関しては,バイオマス/廃棄物ガス化炉1内にカルシウム系の不純物除去剤を吹き込み固定化することによって、バイオマス/廃棄物ガス化炉1からスラグと共に排出する方式でガスエンジン2に問題を生じないレベルまで除去する。
【0070】
それらのハロゲン化物(酸性ガス)は、不純物除去剤を吹き込んで固定化した後に、第2物理的除去手段8の第2の系統で分離して原料ガスから取り除く。ハロゲン化水素を固定化した不純物除去剤は、回収して工場にて処理して不純物除去剤として再生して反復利用する。これにより、不純物除去剤の一部が再利用されるため、吸収剤リサイクルによる不純物除去剤の反復利用が達成される。
【0071】
上述した燃料ガス精製設備では、更に、以下に示す利点がある。即ち、従来技術のカルシウム系不純物除去剤(消石灰)の吹き込みによるハロゲン化物の除去法では、ハロゲン化水素を50ppm程度までしか低減できず、5ppm以下の低濃度を要求するMCFC等の用途には適用できなかった。ハロゲン化物を5ppmまで除去するためにはナトリウム系の高価な吸収剤を固定床に充填した別体の除去装置で低減する必要があった。これに対して,本実施形態例の設備では、ナトリウム系の吸収剤を吹き込む方式でありながら、5ppm程度の濃度までハロゲン化物を低減可能であると共に、高価な吸収剤の一部をリサイクルして反復利用できるメリットがある。固定床方式の吸収剤でもバッチ式に交換すれば吸収剤の一部を反復利用することはできるが、固定床出口側の吸収剤は未使用のままリサイクルされるので吸収剤の無駄が多い。本実施形態例の設備であれば、常に使用済みの吸収剤をリサイクルできるので、吸収剤の有効利用が可能である。
【0072】
また、本実施形態例の設備では、水銀は他の不純物と分離して除去している。これにより、捕集した水銀を含む不純物除去剤の量を可能な限り削減し、その処理コストの低減を図ることができる。
【0073】
次に、図3に基づいて第2実施形態例を具体的に説明する。尚、図2に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0074】
図3に示した燃料ガス精製設備は、MCFC向けのリサイクル型の燃料ガス精製設備であり、バイオマス/廃棄物ガス化炉1から得られる燃料ガスをMCFC21に供給するための燃料ガス精製設備の例である。
【0075】
図に示すように、硫黄化合物の確実な除去を行うため、吸着除去手段13の後流には、不純物除去剤の吹き込み方式ではなく、固定床方式の脱硫装置(変換脱硫装置)が設置されている。つまり、硫化カルボニル(COS)などの有機硫黄化合物を除去するため、上流に触媒を設置してCOSをHSに転換する硫黄転換手段31を備え、転換されたHSを脱硫する脱硫手段32を備えている。脱硫手段32で有機硫黄化合物も含めた硫黄化合物全般が除去された原料ガスは燃料ガスとしてMCFC21に供給される。
【0076】
第2実施形態例の燃料ガス精製設備では、以下の利点がある。即ち、一般的なカルシウム系不純物除去剤(消石灰)の吹き込みによる除去法では,ハロゲン化水素を50ppm程度までしか低減できず、5ppm以下の低濃度を要求するMCFC等の用途には適用できなかった。ハロゲン化物を5ppmまで除去するためには、ナトリウム系の高価な吸収剤を固定床に充填した別体の除去装置で低減する必要があった。これに対して、本実施形態例の設備では、ナトリウム系の吸収剤を吹き込む方式でありながら、5ppm程度の濃度までハロゲン化物を低減可能であると共に,高価な吸収剤の一部をリサイクルして反復利用できるメリットがある。固定床方式の吸収剤でもバッチ式に交換すれば吸収剤の一部を反復利用することはできるが、固定床出口側の吸収剤は未使用のままリサイクルされるので吸収剤の無駄が多い。本実施形態例の設備であれば、常に使用済みの吸収剤をリサイクルできるので、吸収剤の有効利用が可能である。
【0077】
次に、図4に基づいて第3実施形態例を具体的に説明する。尚、図2、図3に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0078】
図4に示した燃料ガス精製設備は、MCFC向けのリサイクル型の燃料ガス精製設備の別の例であり、図3に示した設備と同様に、バイオマス/廃棄物ガス化炉1から得られる燃料ガスをMCFC21に供給するための燃料ガス精製設備の例であり、吹き込み不純物除去剤と固定床不純物除去剤の併用による不純物除去剤のコスト低減ならびに使用量低減を企図したものである。
【0079】
図に示すように、吸着除去手段13と硫黄転換手段31の間には、吸着除去手段13で水銀が除去された原料ガスが送られる固定床方式の精密除去手段41が設けられている。精密除去手段41では、水銀が除去された原料ガス中のハロゲン化物が更に除去される。
【0080】
図においてハロゲン化物の除去装置は、図3と同様の不純物除去剤吹き込み方式の第2不純物固定手段7と、固定床方式の精密除去手段41を併用してハロゲン化物を除去する設備としている。部分燃焼ガス(粗ガス)に含まれるハロゲン化物の濃度に応じて吹き込み方式の第2不純物固定手段7で投入する不純物除去剤の量を制御する。また,第2不純物固定手段7による吹き込み不純物除去剤にはカルシウム系とナトリウム系を併用することによって、ハロゲン化物濃度が5ppm程度とされる。後流の固定床方式の精密除去手段41の不純物除去剤では出口のハロゲン化物濃度を1ppm以下に低減することができる。
【0081】
固定床方式の精密除去手段41を併用した場合、主として安価なカルシウム系不純物除去剤を使用し、高価なナトリウム系の固定床用不純物除去剤へのハロゲン化物の負荷を低減すると共に、1ppmという極めて低いハロゲン化物濃度を達成できることである。これにより不純物除去剤のコストを低減しながら、MCFC21はもとより、更に高度な精製レベルを要求する燃料合成などの用途にも対応できる。
【0082】
第3実施形態例の燃料ガス精製設備は、以下に示す利点がある。即ち、カルシウム系不純物除去剤(消石灰)の吹き込み方式と、ナトリウム系の固定床用不純物除去剤を単に併用するだけでは、吹き込み方式の吸収剤に比べて500〜1000倍も高価なナトリウム系の固定床用不純物除去剤を多量に使用するため、吸収剤コストが膨大になる欠点があった。本実施形態例では,固定床用不純物除去剤の使用量を約10分の1に低減できることから、吸収剤コストを9割近く低減できると共に、使用済み不純物除去剤の廃棄量も2割程度削減することができる。
【0083】
上述した燃料ガス精製設備は、少ない不純物除去剤の利用で最大限に不純物を除去した燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】各リサイクル技術に適した除去対象不純物と不純物除去剤の組み合わせの関係を表す表図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図4】本発明の第3実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【符号の説明】
【0086】
1 バイオマス/廃棄物ガス化炉
2 ガスエンジン
3 炉内脱硫手段
4 第1不純物固定手段
5 第1物理的除去手段
6 循環経路
7 第2不純物固定手段
8 第2物理的除去手段
11 再処理手段
12 再投入系
13 吸着除去手段
21 MCFC
31 硫黄転換手段
32 脱硫手段
41 精密除去手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、
原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、
第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、
吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、
熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、
第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、
第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項2】
請求項1において、
第2不純物固定手段で吹き込まれる吸収剤は、再処理手段で再処理された吸収剤であることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項3】
請求項1または2において、
第2不純物固定手段に送られる原料ガスの状況を導出する導出手段と、
導出手段で導出された状況に応じて吸収剤の吹き込み量を調整する調整手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段を備えた
ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
原料ガス供給手段に不純物除去剤を吹き込むことにより硫黄化合物をスラグと共に排出する炉内脱硫手段を備えた
ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段を備えた
ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガス中から、更にハロゲン化水素を精密除去する精密除去手段を備えた
ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項8】
燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、
原料ガス供給手段に不純物除去剤を吹き込むことにより硫黄化合物をスラグと共に排出する炉内脱硫手段と、
原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、
第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、
吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、
熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、
第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、
第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、
再処理手段で再処理された吸収剤を第2不純物固定手段に吹き込むための系と、
第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項9】
燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、
原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、
第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、
吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、
熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、
第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、
第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、
再処理手段で再処理された吸収剤を第2不純物固定手段に吹き込むための系と、
第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段と、
吸着除去手段で重金属が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項10】
燃料を部分燃焼することで原料ガスを得る原料ガス供給手段と、
原料ガス供給手段で得られた原料ガスに吸収・吸着剤を吹き込むことで原料ガスの熱分解性不純物を固定する第1不純物固定手段と、
第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に固定された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に物理的な濾過によって除去する第1物理的除去手段と、
吸収・吸着剤に吸収・吸着されて第1物理的除去手段で回収された熱分解性不純物を吸収・吸着剤と共に原料ガス供給手段に投入する再投入手段と、
熱分解性不純物が第1物理的除去手段で除去された原料ガスに吸収剤を吹き込むことで原料ガスのハロゲン化水素を固定する第2不純物固定手段と、
第2不純物固定手段で吸収剤に固定されたハロゲン化水素を吸収剤と共に物理的な濾過によって除去する第2物理的除去手段と、
第2物理的除去手段で回収された吸収剤を再処理設備に搬送する再処理手段と、
第2物理的除去手段でハロゲン化水素が除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の重金属を吸着する固体吸着剤を有する吸着除去手段と、
吸着除去手段で重金属が除去された原料ガスが送られ、更にハロゲン化水素を精密除去する精密除去手段と、
精密除去手段でハロゲン化水素が精密除去された原料ガスが送られ、原料ガス中の有機硫黄化合物を除去する硫黄転換手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかにおいて、原料ガス供給手段は、バイオマス・廃棄物を部分燃焼して原料ガスを得るバイオマス/廃棄物ガス化炉であることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、第1不純物固定手段で吸収・吸着剤に吸収・吸着される熱分解性不純物は、炭化水素類、炭素系不純物、有機塩素化合物、塩基性ガスの少なくともいずれかであることを特徴とする燃料ガス精製設備。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−99827(P2007−99827A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288730(P2005−288730)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】