説明

燃料供給装置およびこれを備えた燃焼装置

【課題】大型で高価な電磁開閉弁などを多数用いる必要を無くして、製造コストの低減や省エネを図り、かつ複数のバーナなどに対する選択的な燃料供給を適切に行なうことが可能な燃料供給装置を提供する
【解決手段】燃料供給装置FSは、燃料噴出用のノズルヘッドの複数のチャンバに対する燃料供給のオン・オフを個々に切り替えるための複数の弁として、入力ポート64にシグナル圧が入力されることにより前記複数のチャンバに供給される燃料の圧力をシグナル圧に対応した圧力に制御可能な複数の圧力調整弁Vaが用いられ、これら複数の圧力調整弁Vaのそれぞれに対するシグナル圧の入力態様を、制御対象の圧力調整弁が弁開状態となる第1の態様と弁閉状態となる第2の態様とに切り替え可能な手段Vdをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガス給湯装置のガスバーナに燃料ガスを供給するといった用途に用いるのに好適な燃料供給装置、およびこれを備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、ガス給湯装置においては、給湯条件に応じて、バーナの駆動燃焼エリアを変更し、あるいは火力調整をしたい場合がある。このような場合に適する燃料供給装置として、従来においては、たとえば図5に示すようなものがある。同図に示す燃料供給装置Fは、複数のバーナ9の下方に、燃料ガス噴出用のノズル82を複数有するノズルヘッド8を有している。このノズルヘッド8の内部には、複数のチャンバ80が区画形成されており、各チャンバ80には、燃料ガス供給路81から開口部83を介して燃料ガスが流入可能である。各開口部83は、電磁開閉弁Veによって開閉可能である。このように電磁開閉弁Veを用いる手段は、たとえば特許文献1にも記載されている。
【0003】
前記した構成によれば、複数の電磁開閉弁Veを個別に開閉制御することによって、複数のチャンバ80への燃料供給を個々にオン・オフすることができる。したがって、複数のバーナ9のうち、所望のバーナ9のみに燃料ガスを選択的に供給し、駆動燃焼エリアを変更することができる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるような不具合があった。
【0005】
すなわち、ノズルヘッド8の各チャンバ80に対する燃料供給のオン・オフを切り替えるための手段として、電磁開閉弁Veが用いられているが、この電磁開閉弁Veの開閉対象部位である開口部83は、各バーナ9において燃焼される燃料ガスの全量を通過させるための部位である。このため、開口部83は、比較的大きな口径とされ、燃料ガスの流量は多い。したがって、そのように流量が多い燃料ガスの圧力に抗して電磁開閉弁Veを開閉させるには、大きな電磁力が必要となる。その結果、各電磁開閉弁Veとしては、高出力タイプのソレノイドを有する大型かつ高価なものを用いる必要が生じる。その結果、製造コストが高価となる不具合があり、さらに省エネを図る上でも余り好ましいものではない。
【0006】
なお、ファンを利用してバーナに燃焼用空気を供給する燃焼装置においては、均圧弁と称されるタイプの圧力調整弁を利用し、燃料供給圧を制御する手段が用いられる場合がある(たとえば、特許文献2を参照)。ところが、前記した圧力調整弁は、空燃比を一定にし、燃焼性を良好にすることを目的として、燃料供給圧をファンの吐出圧に対応した圧力に制御するものに過ぎない。したがって、このような圧力調整弁を、図5に示した燃料供給装置Fに組み込んだとしても、複数の電磁開閉弁Veについてはそのまま設けておく必要があり、先に述べた不具合は解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−351582号公報
【特許文献2】特開2007−107865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、大型で高価な電磁開
閉弁またはこれと同様な弁を多数用いる必要を無くして、製造コストの低減や省エネを図ることができ、しかも複数のバーナなどに対する選択的な燃料供給を適切に行なうことが可能な燃料供給装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面により提供される燃料供給装置は、複数のチャンバが内部に形成され、かつこれら複数のチャンバに供給されてきた燃料を噴出させるための複数のノズルを有するノズルヘッドと、前記複数のチャンバのそれぞれに対応して設けられ、かつ前記複数のチャンバに対する燃料供給のオン・オフを個々に切り替えるための複数の弁と、を備えている、燃料供給装置であって、前記複数の弁として、シグナル圧用の入力ポートを有し、かつこの入力ポートにシグナル圧が入力されることにより前記複数のチャンバに供給される燃料の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な複数の圧力調整弁が用いられており、これら複数の圧力調整弁のそれぞれに対するシグナル圧の入力態様を、制御対象の圧力調整弁が弁開状態となる第1の態様と弁閉状態となる第2の態様とに切り替え可能なシグナル圧切り替え手段を、さらに備えていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、複数の圧力調整弁を個々に弁開または弁閉状態に切り替えて、ノズルヘッドの複数のチャンバに対する燃料供給のオン・オフを個別に行なうことが可能である。加えて、次のような効果も得られる。
第1に、燃料供給のオン・オフを行なわせるための手段として、複数の圧力調整弁が用いられているが、これらの圧力調整弁は、シグナル圧に対応して弁開度が変化する弁であり、ソレノイドまたはモータを用いて駆動する必要はない。シグナル圧切り替え手段については、シグナル圧の各圧力調整弁に対する入力態様を切り替える機能を有すればよいために、たとえば電磁弁を用いて構成したとしても、この電磁弁としては高出力タイプの大型のものを用いる必要はない。このようなことから、本発明によれば、大型の電磁弁またはこれと同様な弁を用いる必要を無くし、または少なくし、燃料供給装置全体の製造コストの低減化、ならびに省エネ化を図ることができる。
第2に、各圧力調整弁を弁開状態とした際には、この圧力調整弁が本来有する機能に基づいて、ノズルヘッドのチャンバに流入する燃料の圧力を所定の圧力に制御することが可能である。したがって、前記した複数の圧力調整弁とは別に、大型の機器を用いて燃料供給圧を制御する必要も無くすことができる。
【0012】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、複数のバーナと、これら複数のバーナに対して燃料を供給するための燃料供給装置と、を備えている、燃焼装置であって、前記燃料供給装置として、本発明の第1の側面により提供される燃料供給装置が用いられていることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される燃料供給装置について述べたのと同様な効果が得られる。なお、燃料供給装置から複数のバーナのそれぞれに対して燃料を選択的に供給し、複数のバーナの駆動燃焼エリアを適宜変更することが可能である。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記複数のバーナに対して燃焼用空気を供給するファンを備えており、前記第1の態様においては、前記ファンの吐出圧が前記シグナル圧として利用され、または前記シグナル圧の生成に利用され、前記第2の態様においては、制御対象となる圧力調整弁の2次圧が前記シグナル圧として利用され、または前記シグナル圧の生成に利用される構成とされている。
【0015】
このような構成によれば、各圧力調整弁に対するシグナル圧の入力態様が第1の態様とされているときには、バーナに対する燃料供給圧がファンの吐出圧に対応した圧力となり、空燃比を一定に維持することが可能である。一方、前記シグナル圧の入力態様が第2の態様とされているときには、各圧力調整弁を適切に弁閉状態に維持することが可能となる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記複数の圧力調整弁の1次圧、2次圧、および前記ファンの吐出圧を受けることにより、前記複数の圧力調整弁のそれぞれを前記ファンの吐出圧に対応した弁開度に制御可能な補助圧力調整弁を、さらに備えている。
【0017】
このような構成によれば、補助圧力調整弁を用いる分だけ、弁の総数が多くなるものの、全体の大型化を抑制することが可能である。すなわち、補助圧力調整弁は、圧力調整弁をコントロールする機器としての役割を果たすものであるが、この補助圧力調整弁については、相当に小さいサイズに形成することが可能である。これに対し、各圧力調整弁は、燃料供給経路途中に設けられて、バーナに供給される燃料の制御を行なうものであるため、それ相応のサイズに形成する必要があるが、この圧力調整弁については、可動部分のストロークを小さくするなどして、その大型化を極力抑制することが可能となり、このことが全体の小サイズ化を図る上での利点となる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記シグナル圧切り替え手段は、前記複数の圧力調整弁と前記補助圧力調整弁とを繋ぐ複数の燃料流通路が集約された箇所において、それら複数の燃料流通路のそれぞれを開閉可能に構成された二方電磁弁を有している。
【0019】
このような構成によれば、シグナル圧切り替え手段の構成を簡素なものにして、製造コストの一層の低減化を図ることができる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用された燃焼装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す燃焼装置に用いられている燃料供給装置を示す要部断面図である。
【図3】図2に示す燃料供給装置に用いられているシグナル圧切り替え用の二方電磁弁を示す要部断面図である。
【図4】図3に示す二方電磁弁の動作状態を示す要部断面図である。
【図5】従来技術の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に示す燃焼装置Cは、湯水加熱用の熱交換器19を備えたガス給湯装置として構成されており、缶体1内に配された複数のバーナ2A〜2C、ファン3、燃料供給装置FS、および制御部CNを備えている。燃料供給装置FSは、ガス管40からガス噴出用のノズルヘッド43まで一連に繋がって形成された燃料供給路4、開閉弁Vc、複数の圧力調整弁Va(Va1〜Va3)、補助圧力調整弁Vb、および複数の二方電磁弁Vdを備えている。二方電磁弁Vdは、本発明でいうシグナル圧切り替え手段の一例に相当する。
【0024】
ノズルヘッド43は、燃料ガスを噴出するための複数のノズル45を有しており、この
ノズルヘッド43内には、バーナ2A〜2Cに対応する複数のチャンバ44a〜44cが区画形成されている。図面においては、ノズル45の数が少なく示されているが、実際には、たとえば特許文献1に記載されているように、このノズル45は比較的小さいピッチで多数設けられる。また、ノズル45の向きは、上向きでなくてもよく、たとえば略水平方向を向いた構成とすることもできる。ノズル45から噴出された燃料ガスは、ファン3から缶体1内に送られてくる燃焼用空気と混合されてバーナ2A〜2Cに供給され、燃焼する。この燃焼により発生した燃焼ガスから熱交換器19によって熱回収がなされ、熱交換器19内を流通する湯水が加熱される。熱回収後の燃焼ガスは、排ガスとして排気口11から排出される。
【0025】
開閉弁Vcは、いわゆる元栓としての役割を果たす弁であり、燃料ガス供給のオン・オフを行なうためのものである。この開閉弁Vcは、圧力調整弁Vaとは異なり、電磁弁であり、ソレノイド50を利用して弁本体部51を往復動させる機構を備えている(図2を参照)。
【0026】
複数の圧力調整弁Vaは、複数のチャンバ44a〜44cに対する燃料供給のオン・オフを切り替え制御するとともに、燃料供給時にはその燃料供給圧をも制御する機能を発揮するものである。これら複数の圧力調整弁Vaは、開閉弁Vcの下流側に並列接続されている。また、これら複数の圧力調整弁Vaの下流側は、複数のチャンバ44a〜44cの燃料ガス流入口46に対し、配管部47a〜47cを介して個別に接続されている。
【0027】
各圧力調整弁Vaの基本的な構成は従来の伝統的な圧力調整弁と同様であり、図2に示すように、燃料ガスの1次側流路4aと2次側流路4bとの境界の調圧穴42を開閉する弁本体部60、この弁本体部60を支持するダイヤフラムD1、戻し用のバネ62、および受圧室63を有している。受圧室63には、シグナル圧用の入力ポート64が連通しており、ダイヤフラムD1は、2次側流路4bの圧力(2次圧P2)と、入力ポート64に入力される後述のシグナル圧(圧力Pdまたは二次圧P2)を受ける。
【0028】
補助圧力調整弁Vbは、燃料供給路4内の圧力を直接制御するものではなく、各圧力調整弁Vaをコントロールするものである。この補助圧力調整弁Vbは、ダイヤフラムD2によって内部が受圧室75aと2次圧室75bとに区画されたケーシング70、第1および第2のバネS1,S2、調圧穴72、ならびに弁本体部73を備えている。受圧室75aには、ファン3の吐出圧Psが制御用シグナル圧として供給されている。より具体的には、図1に示すように、ファン3の吐出口の内部またはその近傍には、ファン3の吐出圧Psを検出するための吐出圧検出部32が設けられており、吐出圧Psは、配管部76を介して受圧室75aに入力されるようになっている。
【0029】
補助圧力調整弁Vbの調圧穴72には、オリフィス49を有する第1の流路74aを介して、燃料供給路4の1次圧P1が供給されるように構成されている。弁本体部73は、ダイヤフラムD2のうち、調圧穴72に対面する部分であり、ダイヤフラムD2が、図2の左側に移動して調圧穴72に接近すると、調圧穴72を通過する燃料ガスの量は減少するようになっている。
【0030】
二方電磁弁Vdは、圧力調整弁Vaの入力ポート64に対するシグナル圧の入力態様を、後述する第1の態様と、第2の態様とに切り替えるためのものである。二方電磁弁Vdには、第1の流路74aに繋がった第2の流路74b、補助圧力調整弁Vbの2次圧室75bに繋がった第3の流路74c,圧力調整弁Vaの2次側流路4bに繋がった第4の流路74d,および入力ポート64に繋がった第5の流路74eのそれぞれの一端が接続されている。図3に示すように、二方電磁弁Vdは、ソレノイド55を利用して弁体56を往復動自在としたものであり、第2および第5の流路74b,74e間に形成された第1
の開口部57a、第4および第5の流路74d,74e間に形成された第2の開口部57b、ならびに第3および第4の流路74c,74d間に形成された第3の開口部57cのそれぞれを弁体56によって開閉可能である。
【0031】
図4(a),(b)は、二方電磁弁Vdを利用して、前記した第1の態様、および第2の態様が設定される場合を示している。以下、これら第1および第2の態様について説明する。
【0032】
まず、第1の態様においては、次に述べるように、圧力調整弁Vaの下流側の2次圧P2をファン3の吐出圧Psに対応した圧力(たとえば吐出圧Psと同等圧)にすることができる。
すなわち、図4(a)に示す第1の態様では、第1および第3の開口部57a,57cが開状態であり、第2の開口部57bは閉状態である。この状態においては、第2および第5の流路74b,74eが連通するために、第2の流路74b内の圧力Pdが圧力調整弁Vaの入力ポート64にシグナル圧として入力する。ここで、前記した圧力Pdは、補助圧力調整弁Vbの弁開度に対応する。より詳細には、補助圧力調整弁Vbの弁本体部73と調圧穴72との距離が大きいと、第1の流路74aの燃料ガスが第2の流路74bに多く流れるために、圧力Pdは低くなる。これとは反対に、前記の距離が小さくなると圧力Pdは高くなる。また、第1の態様においては、第3および第4の流路74c,74dが連通するために、2次側流路4bと補助圧力調整弁Vbの2次圧室75bとが繋がる。このため、2次圧室75bの圧力は、2次側流路4bの2次圧P2と等しいものとなる。
【0033】
一方、補助圧力調整弁Vbの受圧室75aには、ファン3の吐出圧Psが供給されており、ダイヤフラムD2は吐出圧Psによって押され、調圧穴72を塞ぐ方向に移動する。この場合、吐出圧PsのダイヤフラムD2に対する押圧力と第1のバネS1の押圧力との和が、2次圧P2のダイヤフラムD2に対する押圧力と第2のバネS2の押圧力との和と釣り合う位置にダイヤフラムD2が移動する。第2の流路74b内の圧力Pdは、既述したように、ダイヤフラムD2の位置に左右される。圧力調整弁Vaにおいては、圧力Pdによって、ダイヤフラムD1が弁開度を大きくする方向に移動するが、この場合、2次圧P2が補助圧力調整弁Vbに供給されている吐出圧Psと釣り合う位置に移動することとなる。このような動作原理により、2次圧P2を吐出圧Psに対応した圧力(たとえば、同一圧)に制御することができる。
【0034】
次に、第2の態様を説明する。この第2の態様では、圧力調整弁Vaを弁閉状態とすることができる。
すなわち、図4(b)に示す第2の態様では、第2の開口部57bが開状態であり、第1および第3の開口部57a,57cは閉状態である。この状態においては、第4および第5の流路74d,74eが互いに繋がるために、2次側流路4bの二次圧P2が入力ポート64にシグナル圧として入力する。圧力調整弁Vaは、このような二次圧P2の入力によっては開状態にはならず、閉状態を維持することとなる。第3および第4の流路74c,74dどうしの間は遮断されているために、燃料ガスがこれらの流路を通過して2次側流路4bに不当に流れることはない。
【0035】
制御部CNは、マイクロコンピュータなどを用いて構成されている。この制御部CNは、燃焼装置Cの各部の動作制御や各種のデータ処理を実行する。各二方電磁弁Vdの切り替え動作も、この制御部CNによって制御される。
【0036】
次に、前記した燃焼装置Cの作用について説明する。
【0037】
まず、バーナ2A〜2Cの全てを駆動燃焼させて強い火力を得る場合には、複数の二方
電磁弁Vdの全てを図4(a)に示した状態(第1の態様)に設定し、圧力調整弁Va1〜Va3の入力ポート64に対し、シグナル圧として圧力Pdを入力させる。このことにより、既述したように、圧力調整弁Va1〜Va3のそれぞれは開弁状態となって、二次圧P2をファン3の吐出圧Psに対応した圧力に制御する。したがって、ノズルヘッド43の複数のチャンバ44a〜44cのそれぞれには、燃料ガス供給が適切になされ、バーナ2A〜2Cにおいては空燃比が一定の駆動燃焼がなされる。
【0038】
次いで、前記とは異なり、たとえばバーナ2Aのみを駆動燃焼させ、かつバーナ2B,2Cの駆動燃焼を停止させたい場合には、圧力調整弁Va2,Va3に対応する2つの二方電磁弁Vdを図4(b)に示した状態(第2の態様)に設定する。このような設定がなされると、既述したように、圧力調整弁Va2,Va3の入力ポート64には、2次側流路4bからの2次圧P2が入力することとなって、圧力調整弁Va2,Va3は閉状態となり、チャンバ44b,44cへの燃料ガス供給は停止される。したがって、バーナ2B,2Cの駆動燃焼を停止させておくことができる。もちろん、この場合において、チャンバ44aに対しては圧力調整弁Va1を介して燃料ガスを供給することが可能であり、バーナ2Aを適切に駆動燃焼させることができる。このように、この燃焼装置Cでは、バーナ2A〜2Cのそれぞれを選択的に駆動燃焼させることかできる。
【0039】
本実施形態の燃焼装置Cにおいては、複数のチャンバ44a〜44cに対する燃料ガスの供給を個別にオン・オフするための手段として、複数の圧力調整弁Vaが用いられているが、これら圧力調整弁Vaの駆動源としてソレノイドやモータを用いる必要はない。補助圧力調整弁Vbについても同様である。二方電磁弁Vdは、第2ないし第5の流路74b〜74e間における燃料ガス流通のオン・オフを行なうが、それら第2ないし第5の流路74b〜74eは小径であって、この二方電磁弁Vdの開閉動作に大きな電磁力は必要としない。したがって、二方電磁弁Vdについては、比較的低出力の小型かつ安価なものとすることができる。このように、この燃焼装置Cの燃料供給装置FSにおいては、開閉弁Vc以外に大型の電磁弁を組み込む必要がなく、装置全体の製造コストの低減化、ならびに省エネ化を図ることができる。
【0040】
また、この燃焼装置Cによれば、1つの補助圧力調整弁Vbから複数の圧力調整弁Vaのそれぞれに対し、所定の必要な圧力伝達を行なわせており、補助圧力調整弁Vbの数を最小数にしている。したがって、たとえば補助圧力調整弁Vbを複数用いる場合と比較すると、その構成は合理的である。さらに、各圧力調整弁Vaの入力ポート64に対するシグナル圧の入力態様を切り替えるための手段としては、構成の簡易な二方電磁弁Vdが用いられているために、装置全体の製造コストを低減するのに、より好ましいものとなる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る燃料供給装置、および燃焼装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0042】
上述した実施形態では、ノズルヘッド内のチャンバやバーナが3つずつ設けられている場合を具体例としたが、これらの数は複数であればよく、限定されない。また、上述した実施形態では、複数の圧力調整弁とは別に補助圧力調整弁を用いて、この補助圧力調整弁によって圧力調整弁をコントロールしているが、本発明では、補助圧力調整弁を用いない構成とすることもできる。この場合、複数の圧力調整弁のシグナル圧用の入力ポートに対しては、たとえばファンの吐出圧と、二次側流路の2次圧とを選択的に切り替え入力可能な構成とすればよい。
【0043】
本発明でいうシグナル圧切り替え手段としては、前記実施形態のような二方電磁弁とは異なる構成の電磁弁あるいはその他の弁を用いることもできる。本発明に係る燃焼装置は、熱交換器を備えた給湯装置などの温水装置に代えて、たとえばファンヒータ、コンロ、
焼却用燃焼装置などの燃焼装置として構成することもできる。
【符号の説明】
【0044】
C 燃焼装置
FS 燃料供給装置
Va 圧力調整弁
Vb 補助圧力調整弁
Vd 二方電磁弁(シグナル圧切り替え手段)
2A〜2C バーナ
3 ファン
43 ノズルヘッド
44a〜44c チャンバ(ノズルヘッド内の)
45 ノズル
64 シグナル圧用の入力ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバが内部に形成され、かつこれら複数のチャンバに供給されてきた燃料を噴出させるための複数のノズルを有するノズルヘッドと、
前記複数のチャンバのそれぞれに対応して設けられ、かつ前記複数のチャンバに対する燃料供給のオン・オフを個々に切り替えるための複数の弁と、
を備えている、燃料供給装置であって、
前記複数の弁として、シグナル圧用の入力ポートを有し、かつこの入力ポートにシグナル圧が入力されることにより前記複数のチャンバに供給される燃料の圧力を前記シグナル圧に対応した圧力に制御可能な複数の圧力調整弁が用いられており、
これら複数の圧力調整弁のそれぞれに対するシグナル圧の入力態様を、制御対象の圧力調整弁が弁開状態となる第1の態様と弁閉状態となる第2の態様とに切り替え可能なシグナル圧切り替え手段を、さらに備えていることを特徴とする、燃料供給装置。
【請求項2】
複数のバーナと、
これら複数のバーナに対して燃料を供給するための燃料供給装置と、
を備えている、燃焼装置であって、
前記燃料供給装置として、請求項1に記載の燃料供給装置が用いられていることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項3】
前記複数のバーナに対して燃焼用空気を供給するファンを備えており、
前記第1の態様においては、前記ファンの吐出圧が前記シグナル圧として利用され、または前記シグナル圧の生成に利用され、
前記第2の態様においては、制御対象となる圧力調整弁の2次圧が前記シグナル圧として利用され、または前記シグナル圧の生成に利用される構成とされている、請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記複数の圧力調整弁の1次圧、2次圧、および前記ファンの吐出圧を受けることにより、前記複数の圧力調整弁のそれぞれを前記ファンの吐出圧に対応した弁開度に制御可能な補助圧力調整弁を、さらに備えている、請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記シグナル圧切り替え手段は、前記複数の圧力調整弁と前記補助圧力調整弁とを繋ぐ複数の燃料流通路が集約された箇所において、それら複数の燃料流通路のそれぞれを開閉可能に構成された二方電磁弁を有している、請求項4に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97927(P2012−97927A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244190(P2010−244190)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】