説明

燃料供給装置および燃料電池システム

【課題】 ポンプや二次電池のような補器を用いないパッシブ型の燃料電池であり、カートリッジのような外部燃料供給源から燃料電池本体まで液体燃料を円滑に供給することができ、不使用期間が長期間であったとしても収容した液体燃料が外部に漏れ出すおそれがない燃料供給装置および燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料供給源が液密に接続可能な構造を有し、液体燃料が前記燃料供給源のほうへ戻るのを防止する逆流防止機能を備えた燃料注入口20と、燃料注入口に連通し、燃料注入口を介して注入される液体燃料を収容する可動室16,16Bと、可動室を加圧する加圧機構14,17と、可動室に連通し、液体燃料を可動室から発電機構を備えた燃料電池本体へ送り出す燃料出口12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に内蔵される電源に燃料を供給する燃料供給装置およびそれを有する燃料電池システムに係り、特に小型の直接メタノール型燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の進歩により電子機器の小型化、高性能化、ポータブル化が進められ、携帯電話、携帯オーディオ、携帯ゲーム機、ノートパソコンなどのコードレス携帯機器において使用される電池の高エネルギ密度化の要求が高くなってきている。このような状況のもとで小型の燃料電池が注目を集めている。特に、メタノールを燃料として用いる直接メタノール型燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)は、水素ガスを使用する燃料電池と比べると、燃料としての水素ガスの取り扱いの困難さがなく、また、有機燃料を改質して燃料とする燃料電池に比べると水素を作り出す改質器等が必要なく、小型化が可能となる。また、燃料が液体であるため、その取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから小型機器用電源として期待されている。
【0003】
DMFCへの燃料の供給方法として、液体燃料を外部で気化してからブロア等で燃料電池内に送り込む気体供給方式、液体燃料をポンプ等で燃料電池内に送り込む液体供給方式、および液体燃料をセル内で気化させる内部気化方式が知られている。これらのうち内部気化方式のDMFCが最も有望視されている。
【0004】
液体供給方式や内部気化方式のDMFCでは、膜電極接合体(MEA)のアノード極側まで液体燃料や気化燃料(メタノール蒸気)を到達させる必要があるため、電動ポンプの駆動力により液体燃料をセル積層体(MEA、気液分離膜等を含む)に所定の圧力で送液するようにしている。しかし、ポンプを起動させるためにはポンプ駆動用の電源が必要であり、その電源として小型のリチウムイオン二次電池を搭載するシステム構成としている。これらのポンプや二次電池は、外付けの補器であるため燃料電池システム全体の小型化を達成するための大きな阻害要因となっている。
【0005】
そこで、燃料電池システムからポンプや二次電池のような外付けの補器を無くすために種々の提案がなされている。例えば特許文献1は、燃料収容室に外部圧力を加えて燃料収容室(燃料タンク)から液体燃料を押し出し、遮断弁を介して燃料電池本体のアノード極側に液体燃料を供給する加圧型のインサートカートリッジを提案している。
【特許文献1】特開2004−142831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムにおいては、加圧型インサートカートリッジの内圧が高く、かつ燃料収容室の内圧が低いとき、すなわち両者間の差圧が大きいときは、カートリッジから燃料収容室に液体燃料を円滑に送液することができるが、カートリッジの内圧が低く、かつ燃料収容室の内圧が高いとき、すなわち両者間の差圧が小さいとき(あるいは差圧がないか又は差圧がマイナスのとき)は、カートリッジから燃料収容室に向けて液体燃料を送液することができない。
【0007】
また、内圧が高い状態で液体燃料を燃料収容室内に収容するため、液密シール構造としているにもかかわらず不使用時に燃料収容室から液体燃料が少しずつ漏れ出し、長期の不使用期間の場合に燃料収容室内の液体燃料の残量が減少するおそれがある。
【0008】
また、加圧型インサートカートリッジにおいては、大きい圧力をかけて液体燃料を圧力容器内に封入するため、その注液口を肉厚で堅牢な構造にする必要があり、燃料電池システムとともにカートリッジを軽量化するという目的に反する。
【0009】
さらに、加圧型インサートカートリッジと組み合わせて用いられる燃料電池システムでは、規格統一化というユーザーの要望があるにもかかわらず、メーカーは機種ごとに燃料収容室の注液口のデザインを変えて製造するおそれがあり、変更した電子機器の機種に対応するカートリッジの種類をユーザーが選択して購入しなければならないというユーザーフレンドリイに逆行する不便な状況を招来するおそれがある。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ポンプや二次電池のような補器を用いないパッシブ型の燃料電池であり、カートリッジのような外部燃料供給源から燃料電池本体まで液体燃料を円滑に供給することができ、不使用期間が長期間であったとしても収容した液体燃料が外部に漏れ出すおそれがない燃料供給装置および燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る燃料供給装置は、燃料供給源が液密に接続可能な構造を有し、液体燃料が前記燃料供給源のほうへ戻るのを防止する逆流防止機能を備えた燃料注入口と、前記燃料注入口に連通し、前記燃料注入口を介して注入される液体燃料を収容する可動室と、前記可動室を加圧する加圧機構と、前記可動室に連通し、液体燃料を前記可動室から発電機構を備えた燃料電池本体へ送り出す燃料出口と、を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る燃料電池システムは、燃料供給源が液密に接続可能な構造を有し、液体燃料が前記燃料供給源のほうへ戻るのを防止する逆流防止機能を備えた燃料注入口と、前記燃料注入口に連通し、前記燃料注入口を介して注入される液体燃料を収容する可動室と、前記可動室を加圧する加圧機構と、前記可動室に連通する燃料出口と、前記燃料出口に連通し、前記燃料出口を介して送り出されてくる液体燃料を用いて発電する燃料電池本体と、を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明において、加圧機構がシリンダ状の燃料タンク内に設けられていることが好ましい。この場合に、加圧機構は、前記燃料タンクの内部を可動室と加圧室とに仕切るピストンと、加圧室内に設けられ、可動室の内圧に抗して燃料タンク内でピストンを移動させる弾性部材と、を有することが望ましい(図1)。このような弾性部材として、コイルスプリング、ゴムシリンダ、ゴムロッドあるいは圧縮空気を利用する空気ばね構造体などを用いることができる。これにより不使用期間中における燃料タンクの内圧を低く保持することができ、燃料タンクからの液体燃料の漏れ出し量が減少する。また、必要に応じて弾性部材に抗して手動でピストンを移動させ、可動室の内圧を高めて液体燃料を可動室から燃料電池本体に液体燃料を送液することができる。
【0014】
本発明において、可動室が弾性変形容易な弾性体タンク容器により規定されており、加圧機構が前記弾性体タンク容器を押圧する弾性部材を有することが好ましい(図5)。このような弾性体タンク容器として、蛇腹状のゴム成形品、蛇腹状の樹脂成形品、竹の子状のゴム成形品、あるいは竹の子状の樹脂成形品を用いることができる。これにより不使用期間中における燃料タンクの内圧を低く保持することができ、燃料タンクからの液体燃料の漏れ出し量が減少する。
【0015】
本発明において、さらに、前記燃料出口から前記燃料電池本体までの間に設けられた燃料流路と、前記燃料流路に取り付けられた遮断弁とを有することができる(図1、図6)。燃料流路に挿入される遮断弁は、通常は閉じた状態としておき、手動または電動で開けることができる。このように動作する遮断弁により、燃料電池本体への液体燃料の過剰供給がなくなり、空気極(カソード)への未反応ガスのクルスオーバーがなくなる。また、遮断弁により、液体燃料の通流(流動)を制限することで可動室内に一時的に収容された液体燃料が容易に外部に漏れ出さなくなる。さらに好ましくは、いったん開けた遮断弁は、そのままの状態では自動で閉じることがなく、手動または電動の強制力を加えると閉じる形式のものとすることで、動作時の不要な操作や電力消費が抑制され、利便性が向上する。このように動作する遮断弁により燃料電池本体への液体燃料の過剰供給がなくなり、カソード極側への未反応燃料ガスのクロスオーバーがなくなる。また、遮断弁により液体燃料の通流(流動)を制限することにより可動室内に一時的に収容された液体燃料が容易に外部に漏れ出さなくなる。
【0016】
本発明において、前記燃料注入口は、燃料供給源としてのサテライトカートリッジのノズルが液密に係合されるカプラー構造を有することが望ましい。ここで「サテライトカートリッジ」とは、内部に燃料を貯蔵するカートリッジで、必要に応じて貯留された燃料を電子機器に内蔵された燃料電池の燃料タンクに移送させることが可能な構造を有したカートリッジである。このような構造のカートリッジを用いることで、燃料電池を内蔵する電子機器(例えば携帯電話)の機種を変えた場合であっても、購入するカートリッジの種類を変えることなく同じ構成のカートリッジから液体燃料を供給(補給)できるようになり、燃料電池使用ユーザーの利便性を大いに高めることが可能となる。これに対して「加圧型インサートカートリッジ」とは、電子機器に内蔵された燃料電池に収容される形状を有するカートリッジで、燃料を消費するたびにカートリッジごと交換して使用する。このため、電子機器の機種ごとにそれに対応するカートリッジの種類をユーザーが選択して購入する必要があり、多くの電子機器を有するユーザーにとっては燃料電池カートリッジの保管・管理において非常に面倒を強いることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の燃料供給装置によれば、ポンプや二次電池のような補器を用いることなく、簡易な構造を用いて液体燃料をパッシブ型の燃料電池本体に円滑に供給することができる。本発明の燃料供給装置は、逆流防止機能をもつ燃料注入口を備えた可動室とそれを加圧する加圧機構とを有するので、燃料供給源となるカートリッジ側の構造を簡易化することが可能になり、燃料供給源を共通規格化されたサテライトカートリッジのようなものとすることにより、ユーザーの使い勝手のよいものとなる。また、燃料タンクの可動室の内圧が過剰に高くならないことから、長期にわたる不使用期間があったとしても液体燃料が燃料タンクから外部に漏れ出すおそれがなく、使用する際に燃料タンクに残量がまったくないという事態を回避することができる。このような本発明の燃料電池システムは、携帯電話、携帯オーディオ、携帯ゲーム機、ノートパソコンなどのコードレス携帯電子機器用電源に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の形態を説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施の形態について図1〜図4を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態の燃料電池システム1は、図1に示すように、燃料電池本体2、負荷3、および燃料供給装置10を備えている。燃料電池本体2と負荷3とは出力用リード配線で接続された状態で携帯電子機器(例えば携帯電話機)のなかに組み込まれている。また、燃料電池本体2と燃料供給装置10とは燃料流路5で接続された状態で前記携帯電子機器に内蔵されている。燃料流路5は耐メタノール性に優れる樹脂材料、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK:ヴィクトレックス社商標)樹脂のチューブや耐メタノール性に優れるゴム材料、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)でつくられている。なお、本実施形態では燃料供給装置10を携帯電子機器に内蔵させた例を示すが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、燃料供給装置10を携帯電子機器の本体に対して脱着可能な外付けの部品とすることも可能である。しかし、ユーザーの利便性を考慮した場合、燃料供給装置10を携帯電子機器の本体のなかに組み込み、図2に示すようにサテライトカートリッジ40から液体燃料(メタノール)を燃料供給装置10に補給する方式とすることが望ましい。
【0021】
燃料電池本体2は、ポンプや二次電池のような補器を用いないパッシブ型の燃料電池であり、燃料極と空気極の間にプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜を挟み込み一体化した膜電極接合体(MEA)を有する直接メタノール型燃料電池(DMFC)である。燃料電池本体2は、平面配置した複数のMEAを直列に接続してなる多電極型の燃料電池を構成している。各MEAには集電体となるアノード導電層およびカソード導電層がそれぞれ貼り合わせられ、端部の導電層は出力用のリード配線に接続され、発電された電力がリード配線を介して負荷3に出力されるようになっている。電解質膜とアノード導電層との間、および電解質膜とカソード導電層との間には、シール部材としてゴム製のOリングがそれぞれ設けられ、MEAからの燃料の漏れ出しや酸化剤の漏れ出しを防止している。
【0022】
燃料極はアノード触媒層およびアノードガス拡散層を含み、空気極はカソード触媒層およびカソードガス拡散層を含む。アノード触媒層およびカソード触媒層に含有される触媒として、例えば白金族元素であるPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の単体金属、白金族元素を含有する合金などを用いる。具体的には、アノード触媒層として、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Moなど、カソード触媒層として、白金、Pt−NiやPt−Coなどを用いることが好ましいが、これらに限られるわけではない。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒、あるいは無担持触媒を使用するようにしてもよい。
【0023】
電解質膜は、例えばスルホン酸基を有する、例えばパーフルオロスルホン酸重合体等のフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)、フレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物等を用いる。
【0024】
アノードガス拡散層は、アノード触媒層に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層の集電体の機能も兼ね備えている。一方、カソードガス拡散層は、カソード触媒層に酸化剤(空気)を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層の集電体の機能も兼ね備えている。さらに、アノードガス拡散層には、アノード導電層が積層され、カソードガス拡散層にはカソード導電層が積層されている。アノード導電層およびカソード導電層は、例えば金(Au)、ニッケル(Ni)などの導電金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材などで構成される。
【0025】
MEAの燃料極側には気液分離膜を介して燃料収容室が配置されている。この燃料収容室から気液分離膜の直下まで液体燃料を移送するために、毛管力を利用する多孔質膜が配置されている。多孔質膜には例えばカーボンペーパーや樹脂ビーズを用いた多孔体等を用いることができる。気液分離膜は、液体燃料収容室内の燃料の気化成分を選択的にMEAの燃料極に導出するものである。気液分離膜には例えばシリコーンゴムやPTFE多孔質膜等を用いることができる。
【0026】
燃料収容室の入口には上述の燃料流路5が接続されている。この流路5を介して液体燃料が燃料供給装置10から燃料収容室内に供給されるようになっている。燃料流路5には手動または電動で開閉動作する遮断弁4が取り付けられている。遮断弁4は、通常は閉じた状態を維持するノーマルクローズ式バルブであり、手動または電動で開けることができる。一方、いったん開けた遮断弁4は、そのままの状態では自動で閉じることがなく、手動または電動の強制力を加えることで閉じる形式のものを用いることが好ましい。このように動作する遮断弁4により燃料電池本体2への液体燃料の過剰供給がなくなり、空気極側への未反応燃料ガスのクロスオーバーの発生が抑えられる。また、遮断弁4により液体燃料の通流(流動)を制限することにより液体燃料が容易に外部に漏れ出さなくなる。
【0027】
燃料供給装置10は、シリンダ状の燃料タンク11と、燃料タンク11の内部スペースを可動室16と加圧室17とに仕切るピストン13と、可動室16にそれぞれ連通する燃料注入口20および燃料出口12と、ピストン13をシリンダ状の燃料タンク11内で摺動させるために加圧室17に設けられたコイルスプリング14と、を備えている。
【0028】
燃料タンク11およびピストン13は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:ヴィクトレックス社商標)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの液体燃料で膨潤等を生じにくい硬質の耐メタノール性の樹脂でつくられていることが望ましい。なお、燃料タンク11とピストン13は、液体燃料と接触する内面(接液面)を耐メタノール性の樹脂でコーティングすれば、例えばステンレス鋼(SUS304)などの金属材料のような高強度材料でつくることもできる。ここで、液体燃料は、濃度が50モル%を超えるメタノール水溶液、または純メタノールが好ましい。また、純メタノールの純度は、95質量%以上100質量%以下にすることが好ましい。また、液体燃料の気化成分とは、液体燃料として液体のメタノールを使用した場合には、気化したメタノールを意味し、液体燃料としてメタノール水溶液を使用した場合には、メタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合気体を意味する。
【0029】
燃料注入口20は、可動室16の側面部にて開口し、後述する燃料カートリッジ40が液密に接続可能な構造を有している。燃料出口12は、可動室16の端面部にて開口し、燃料流路5に接続されている。
【0030】
ピストン13およびコイルスプリング14は、可動室16の液体燃料を加圧する加圧機構として機能する部材である。コイルスプリング14のばね係数は、燃料タンク11とピストン13とで規定される可動室16の内圧が1〜100kPaの範囲になるように決められている。
【0031】
次に、図3を参照して燃料供給装置の燃料注入口20と燃料カートリッジ40とについて詳しく説明する。
【0032】
図3(a)に示すように、燃料供給装置側の燃料注入口20は雌型のカプラー構造を有し、燃料カートリッジ側のノズル41は雄型のカプラー構造を有している。カートリッジノズル41を燃料注入口20の液受入口20aのなかに挿入しながらノズル41を軸まわりに少し回転させると、ノズル側の溝60に注入口側の突起30がロックされ、図3(b)に示すように両者が液密の状態でしっかりと連結されるようになっている。
【0033】
カートリッジ40は、液体燃料としての高濃度メタノールが収容された貯液スペース43を規定する容器42と、容器42の一端側に形成された開口部42aを取り囲むように取り付けられたカートリッジベース44と、容器開口部42aに設けられたカートリッジノズル41とを具備している。容器42は、円筒状、紡錘状、偏平筒状あるいは角筒状など種々の形状とすることができるし、また、延伸PET、延伸PP、延伸PE、あるいはこれらの樹脂フィルムの内面にアルミニウム箔をラミネート接着したフレキシブル袋とすることもできる。
【0034】
カートリッジベース44とカートリッジノズル41は一体成形された成形品であり、カートリッジノズル41はカートリッジベース44から外方へ延び出している。このベース44/ノズル41の一体成形品と容器開口部42aと中栓47との間は断面コ字状のゴムパッキン45でシールされている。
【0035】
カートリッジノズル41は、バイオネットカップラー要素としての溝60が外周に刻み込まれたノズル本体と、ガイドピン48a及びニードル48bを有するバルブ48と、このバルブ48の弁体部分を取り囲みバルブ室スペース49を規定する中栓47と、バルブ48の弁体部分をバルブシート44aのほうに付勢する圧縮スプリング50と、バルブシート44aに押圧可能に弁体の保持溝48hに保持されたシールリング51とを具備している。
【0036】
中栓47は、その形状がハット状またはカップ状をなし、フランジ47bがゴムパッキン45を介してカートリッジベース44に着脱可能に保持されている。中栓47は薄肉の樹脂(例えばPEEK)からなり、ある程度の可撓性を有するものである。これを組み立てる場合は、バルブ48を中栓47のなかに組み込み、カートリッジベース44に接着されたゴムパッキン45に中栓47のフランジ47bを嵌め込み、カートリッジベース44を容器開口42aに接着するか、及び又はカシメルか、及び又は螺合する。
【0037】
バルブ48は、前端側(図中にて下側)に延び出す針状又は棒状のニードル48b、および後端側(図中にて上側)に延び出すガイドピン48aを備えている。ニードル48bはノズル41の流路内に昇降可能に挿入されている。ニードル48bの長さはノズル41の流路の全長にほぼ匹敵する程度である。但し、カートリッジ40を燃料タンク11の注入口20に接続しない未使用状態では、ニードルの先端48cがノズルの液吐出口46aから少し引っ込む程度の長さとすることが好ましい。ニードル先端48cの損傷を回避するとともに、液吐出口46aからノズル流路内にゴミ等の異物が侵入するのを防止、または誤ってバルブが開くことを防止する効果があるからである。
【0038】
ガイドピン48aは、バルブ48の上部から上方へ延び出し、中栓47の上部中央の孔47cを通ってカートリッジ容器側の貯液スペース43内に突出している。中栓の上板47aには複数の連通孔47dが開口し、連通孔47c,47dを通って貯液スペース43からバルブ室スペース49内に液体燃料が流入できるようになっている。
【0039】
ストッパ48dがバルブ48の上部に設けられ、バルブ48が軸方向に移動しうる上昇ストローク量が規定されている。すなわち、圧縮スプリング50の付勢力を上回る力がバルブ48に負荷されたときに、シールリング51がバルブシート44aから引き離され、バルブ室スペース49がノズルの液吐出口41aに連通・開放されるが、バルブ48は無制限に上昇されるのではなく、ストッパ48dが中栓の上板47aに当接するところでバルブ48の上昇が停止するようになっている。
【0040】
圧縮スプリング50は、例えば直径4mmのJIS G 4314に定めるばね用ステンレス鋼線SUS304−WPB線材に、高濃度メタノール液に対して耐食性を有する純金(純度99.9%)を電解メッキした金属材料からなり、そのばね係数が所定の大きさに調整されている。また、非金属コーティング層として炭素(例えばダイヤモンド・ライク・コーティング(DLCC))、フッ素などの樹脂コーティングを圧縮スプリング50に施すことができる。このようにすると高濃度メタノール液に接液する部分から金属性の陽イオンが溶け出さなくなり、陽イオンの混入による電池特性の劣化が防止される。なお、圧縮スプリング50の一端は中栓の上板47aの内面に固着され、他端はバルブ48の小フランジに固着されている。
【0041】
シールリング51は、高濃度メタノール液に対して膨潤や溶出のない熱可塑性の合成ゴムやエラストマーからなり、断面が円形のオーリングである。シールリング51はバルブ48の保持溝48hに嵌め込まれている。
【0042】
次に、燃料供給装置側の燃料注入口20について説明する。
【0043】
燃料注入口20は、上部材21、中間部材22、下部材23、ゴムホルダ25、バルブ26、圧縮スプリング27、シールリング28、および所謂バイオネットカップラー要素としての複数の突起30を備えている。上部材21、中間部材22、下部材23は、ほぼ同径であり、同軸に接合されている。上部材21は中間部材22の一端側に螺合され、下部材23は中間部材22の他端側に螺合されている。上部材21、中間部材22、下部材23を一体化したアッセンブリは、その全部が燃料タンク11の本体壁に埋め込まれるようにねじ込まれている。
【0044】
注入口の液受入口20aは燃料タンク11の外面と面一になるところで上部材21の上端部にて開口している。上部材21の内周面には対向する2つの突起30が取り付けられ、それぞれが液受入口20aに突出している。これら2つの突起30は、バイオネットカップラー要素として機能し、カートリッジ側のノズル外周の2つの溝60にそれぞれ嵌合しうるような位置と形状に形成されている。
【0045】
ゴムホルダ25は上部と下部の中間にジャバラ部を有する。このジャバラ部は圧縮変形後においても液が通流しうる流路が確保されるようにリング状又は螺旋状の凹凸している。このようにするとメタノール液がジャバラ部を通って迅速かつ円滑に通流し、液漏れすることなく短時間で液を注入することができる。ゴムホルダは、環状をなし、その基端部が中間部材22の凹所に嵌め込まれ、その先端部25aが液受入口20aのほうに向かって延び出している。ゴムホルダ先端部25aの径はカートリッジノズル41の径とほぼ同じである。ゴムホルダ25は、硬度が所望値の範囲に規定された熱可塑性の合成ゴムでつくられている。カートリッジノズル41がゴムホルダ先端部25aに当接すると、先端部25aが弾性変形(圧縮)してノズル41を変位させるようになっている。
【0046】
バルブ26は、ガイドピン26a、ニードル26b、ストッパ26d、圧縮スプリング27、シールリング28、バルブシート22aを備えている。圧縮スプリング27で付勢されたバルブ26のシールリング28がバルブシート22aに押圧された状態では、バルブ室スペース29は液受入口20aから遮断されている。カートリッジノズル側からの押し込み力が圧縮スプリング27の付勢力を上回ると、シールリング28がバルブシート22aから引き離され、バルブ室スペース29は液受入口20aに連通される。
【0047】
ニードル26bは、バルブ26の上部から液受入口20aのほうに向かって延び出している。ニードル26bの主要部はゴムホルダ25によって周囲を取り囲まれている。ニードルの先端部26cは、凹状に形成され、カートリッジノズル側バルブの凸状のニードル先端部48cに嵌合しうるようになっている。ニードル48b,26b同士を突き当てたときに、突き当て面積が小さいとオフセットした状態で押しこまれて流路が確保できない場合がある。ニードル48b,26bのオフセットを防止するため、カートリッジノズル側のニードル先端部48cを凸状に形成するとともに、注入口側のニードル先端部26cを凹状に形成し、両者を確実に係合させるようにしている。
【0048】
ガイドピン26aは、下部材23の孔23cを通って燃料タンク10の可動室16内に突出している。ストッパ26dがバルブ26の下部に設けられ、バルブ26が軸方向に移動しうる上昇ストローク量が規定されている。すなわち、圧縮スプリング27の付勢力を上回る力がバルブ26に印加されたときに、シールリング28がバルブシート22aから引き離され、バルブ室スペース29が液受入口20aに連通・開放されるが、バルブ26は無制限に上昇するのではなく、ストッパ26dが下部材23の底部に当接するところでバルブ26の上昇が停止するようになっている。
【0049】
ニードル48b,26b及びガイドピン48a,26aの外周には、溝状凹所が長手軸に沿って形成され、カートリッジノズル41の内周壁などとの間に液体燃料が通流しうる流路がそれぞれ形成されている。携帯機器向けカップラーの場合、全体を小さく作る必要があることから流路を確保することが難しい。そのため連通孔47d,23aの他にこれらのバルブ要素48a,48b,26a,26bに流路形成用の溝又は凹みをそれぞれ形成し、流路の不足を補っている。
【0050】
なお、カートリッジ容器42、カートリッジベース44、カートリッジノズル41、中栓47、バルブ48,26、中間部材22、下部材23の材質はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。上部材21およびリング24の材質はステンレス鋼(SUS304)である。パッキン45、シールリング51,28、ゴムホルダ25の材質は、硬度が調整された熱可塑性の合成ゴム(EPDM30°,50°)である。
【0051】
次に、図2(a)〜(d)、図3(b)および図4を参照して燃料カートリッジ40から燃料供給装置10に液体燃料を注入するときの動作について説明する。
【0052】
燃料電池本体2で発電して出力するときは、遮断弁4を開けた状態で燃料供給装置10から燃料電池本体2に液体燃料を継続的に供給する。図2(a)に示すように燃料タンク11内の燃料の残量が少なくなると、図2(b)に示すように遮断弁4を閉じて燃料電池本体2での発電を停止させ、燃料カートリッジ40から燃料供給装置10に液体燃料を補給する。すなわち、カートリッジノズル41を燃料供給装置の燃料注入口20に差し込み、注入口側の突起30をカートリッジノズル側の溝60に嵌合させ、ノズル41を軸方向に直線的に移動させた後に、周方向への移動を行う。この位置ではノズル41の先端がゴムホルダ先端部25aに当接した状態となる。
【0053】
次いで、ノズル41を軸方向(及び周方向)に少し押し込むと、ゴムホルダ先端部25aが弾性変形(圧縮)し、カートリッジ側バルブのニードル先端48cが注入口側バルブのニードル先端26cに当接する。
【0054】
さらにノズル41を軸方向(及び周方向)に押し込むと、ゴムホルダ25の全体が圧縮されるとともに、圧縮スプリング27の付勢力に抗して電池本体側のバルブ26の弁体の全体が押し下げられ、シールリング28がバルブシート22aを離れる。ストッパ26dが注入口下部材23の底板に当接する下死点まで押し込むと、電池本体側のバルブ26が完全に開く。
【0055】
さらにノズル41を軸方向に押し込むと、圧縮スプリング50の付勢力に抗してカートリッジ側のバルブ48の弁体の全体が押し上げられ、シールリング51がバルブシート44aを離れる。ストッパ48dが中栓の上板47aに当接する上死点まで押し込むと、カートリッジ側のバルブ48が完全に開く。
【0056】
このようにしてカートリッジノズル41の押し込みにより燃料供給装置側のゴムホルダ25が弾性変形して、図3(b)に示すようにカートリッジノズル側のバルブ48および燃料供給装置側のバルブ26がともに開き、図2(b)〜(c)に示すようにカートリッジ40から燃料供給装置10へ液体燃料が供給される。このとき、カートリッジ40の内圧(例えば、20kPa)のほうが燃料タンク側の可動室16の内圧(例えば、2kPa)よりも高いため、図2(c)に示すようにコイルスプリング14の付勢力に抗して圧力流体である液体燃料にピストン13が押されて燃料タンク11内を後退する。これにより、拡大した可動室16内に液体燃料が導入される。
【0057】
図4の(b)に示すように、遮断弁4をタイミングt0に開け、タイミングt1で閉じると、発電時間t0〜t1のあいだは燃料供給装置10から燃料電池本体2に液体燃料が継続的に供給され、燃料タンク11の内圧P2は時間の経過とともに徐々に圧力P1まで低下する。燃料タンク11内の燃料の残量が少なくなると、遮断弁4をタイミングt1に閉じて燃料電池本体2での発電を停止させる。図4の(b)に示すように、停止時間t1〜t2のあいだ燃料カートリッジ40から燃料供給装置10に液体燃料を供給すると、燃料タンク11の内圧がP1からP2に上昇する。次いで、タイミングt2に遮断弁4を開け、図4の(b)に示すように、燃料供給装置10から燃料電池本体2に液体燃料を供給し、発電を再開する。このようにして遮断弁開→発電出力→遮断弁閉→燃料補給→遮断弁開→発電出力→遮断弁閉→燃料補給を繰り返す。
【0058】
なお、燃料供給装置内への液体燃料の導入量は、カートリッジ40の内圧(正確にはカートリッジ内圧と可動室内圧との差圧)とコイルスプリング14のばね係数とに依存するものである。これらのパラメータ、特にコイルスプリング14のばね係数を適正に制御することにより液体燃料の導入量が決まる。
【0059】
上記のコイルスプリング14の他に、加圧機構の弾性部材としてゴムシリンダ、ゴムロッドあるいは圧縮空気を利用する空気ばね構造体などを用いることができる。また、必要に応じて弾性部材に抗して手動でピストンを移動させ、可動室の内圧を高めて液体燃料を可動室16から燃料電池本体2に液体燃料を送液することができる。
【0060】
本実施形態の装置によれば、ポンプや二次電池のような補器を用いることなく、上記の燃料供給装置のように簡易な構造を用いて液体燃料を燃料電池本体に円滑に供給することができる。
【0061】
また、本実施形態の装置は、逆流防止機能をもつ燃料注入口を備えた可動室とそれを加圧する加圧機構とを有するので、燃料供給源となるカートリッジ側の構造を簡易化することが可能になり、燃料供給源をサテライトカートリッジのような共通規格品化することにより、ユーザーの使い勝手のよいものとなる。また、不使用時には燃料タンクの可動室の内圧を低く保っているので、長期にわたる不使用期間があったとしても液体燃料が燃料タンクから外部に漏れ出すおそれがなく、使用する際に燃料タンクに残量がまったくないという事態を回避することができる。なお、カートリッジ側および燃料供給装置側ともに厳重に液密シールされているので、液漏れや蒸気漏れを生じることなく誰でも簡単に燃料電池の注入口にカートリッジを安全かつ確実に接続し、液体燃料を燃料タンクに注入することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に図5を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態が上記の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
【0063】
本実施形態の燃料電池システム1Bにおいて、燃料供給装置10Bは、可動室16Bを規定する蛇腹状の弾性体タンク容器18と、容器18に連通する流路6と、流路6に連通する逆流防止弁7と、容器18を弾性変形しうるように付勢するコイルスプリング14とを備えている。
【0064】
本実施形態では弾性変形容易な蛇腹状の弾性体タンク容器18により可動室16Bが規定されており、コイルスプリング14が弾性体タンク容器18を押圧することにより弾性体タンク容器18が伸縮して、可動室16Bの容積が変わるようになっている。このような弾性体タンク容器18として、蛇腹状のゴム成形品、蛇腹状の樹脂成形品、竹の子状のゴム成形品、あるいは竹の子状の樹脂成形品を用いることができる。
【0065】
本実施形態によれば、不使用期間中における燃料タンクの内圧を低く保持することができ、燃料タンクからの液体燃料の漏れ出し量が減少する。
【0066】
なお、上記した各実施の形態では、液体燃料に、メタノール水溶液、または純メタノールを使用した直接メタノール型の燃料電池について説明したが、液体燃料は、これらに限られるものではない。例えば、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料を用いた液体燃料直接供給型の燃料電池にも応用することができる。
【0067】
以上、種々の実施の形態を挙げて説明したが、本発明は上記各実施の形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料供給装置を備えた燃料電池システムを模式的に示すブロック断面図。
【図2】(a)〜(d)は第1実施形態に係る燃料供給装置の動作の概要を示すブロック断面図。
【図3】(a)は内部透視断面図、(b)は内部透視断面図。
【図4】(a)は燃料タンクの内圧の経時変化を示す特性線図、(b)は遮断バルブの開閉動作を示すタイミングチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る燃料供給装置を有する燃料電池システムを模式的に示すブロック断面図。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B…燃料電池システム、2…燃料電池本体、3…負荷(携帯電子機器)、
4…遮断弁、5…燃料流路、6…燃料導入路、7…逆流防止弁、
10,10A,10B…燃料供給装置、11…燃料タンク、12…燃料出口、13…ピストン、14…加圧スプリング(弾性部材、加圧機構)、16,16B…可動室、17…加圧室(加圧機構)、18…弾性体タンク容器、
20…燃料注入口(逆流防止機能を有する燃料タンク側カプラー構造)、20a…液受入口、21…上部材、22…中間部材、22a…バルブシート、23…下部材、23a…連通孔、25…弾性体ホルダ(ゴムホルダ)、26…バルブ、26a…ガイドピン、26b…ニードル、26c…ニードル先端、26d…ストッパ、27…圧縮スプリング、28…シールリング、29…バルブ室スペース、
30…突起(バイオネットカプラー要素)、32…溝(バイオネットカプラー要素)、
40…サテライト型カートリッジ(外部の燃料供給源)、
41…カートリッジノズル(カートリッジ側カプラー構造)、41a…液吐出口、42…容器、43…貯液スペース、44…カートリッジベース、44a…バルブシート、45…パッキン、47…中栓、47c…連通孔、48…バルブ、48a…ガイドピン、48b…ニードル、48c…ニードル先端、48d…ストッパ、48h…シールリング保持溝、49…バルブ室スペース、50…圧縮スプリング、51…Oリング(シールリング)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給源が液密に接続可能な構造を有し、液体燃料が前記燃料供給源のほうへ戻るのを防止する逆流防止機能を備えた燃料注入口と、
前記燃料注入口に連通し、前記燃料注入口を介して注入される液体燃料を収容する可動室と、
前記可動室を加圧する加圧機構と、
前記可動室に連通し、液体燃料を前記可動室から発電機構を備えた燃料電池本体へ送り出す燃料出口と、
を具備することを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記加圧機構がシリンダ状の燃料タンク内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記加圧機構は、前記燃料タンクの内部を前記可動室と加圧室とに仕切るピストンと、前記加圧室内に設けられ、前記可動室の内圧に抗して前記燃料タンク内で前記ピストンを移動させる弾性部材と、を有することを特徴とする請求項2記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記可動室は弾性変形容易な弾性体タンク容器により規定され、
前記加圧機構は、前記弾性体タンク容器を押圧する弾性部材を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記燃料出口から前記燃料電池本体までの間に設けられた燃料流路と、前記燃料流路に取り付けられた遮断弁と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記燃料注入口は、前記燃料供給源としてのサテライトカートリッジのノズルが液密に係合されるカプラー構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の燃料供給装置。
【請求項7】
燃料供給源が液密に接続可能な構造を有し、液体燃料が前記燃料供給源のほうへ戻るのを防止する逆流防止機能を備えた燃料注入口と、
前記燃料注入口に連通し、前記燃料注入口を介して注入される液体燃料を収容する可動室と、
前記可動室を加圧する加圧機構と、
前記可動室に連通する燃料出口と、
前記燃料出口に連通し、前記燃料出口を介して送り出されてくる液体燃料を用いて発電する燃料電池本体と、
を具備することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池本体は、液体燃料を毛管力により移動させる少なくとも1つの多孔質膜を有することを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−73437(P2010−73437A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238328(P2008−238328)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】