燃料分配管の取付け構造
【課題】固定部材に対する管本体の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体に対するステーの取付け角度の正規の角度が、目視で分かり易くすることで、アライメントずれに気づき易くすることのできる燃料分配管の取付け構造を提供する。
【解決手段】レール本体3Aの嵌合部形状およびレールステー4Aのクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度5°以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3Aの嵌合部14の周方向に対する、レールステー4Aのクランプリング16の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くなるので、コモンレールがエンジンに不完全な状態で組み付けられるのを防止できる。
【解決手段】レール本体3Aの嵌合部形状およびレールステー4Aのクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度5°以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3Aの嵌合部14の周方向に対する、レールステー4Aのクランプリング16の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くなるので、コモンレールがエンジンに不完全な状態で組み付けられるのを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材に対して、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定する燃料分配管の取付け構造に関するもので、特に固定部材に対して、内燃機関の各気筒に燃料を分配するコモンレールまたはデリバリパイプを固定するコモンレールまたはデリバリパイプの取付け構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、例えば複数の気筒を有するディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置として、高圧燃料を蓄圧するコモンレールを備え、このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、エンジンの各気筒に搭載されたインジェクタに分配供給するコモンレール式燃料噴射システムが公知である。
このような燃料噴射システムに使用されるコモンレールは、図13および図14に示したように、円筒パイプ形状のレール本体101と配管接続部102とステー103とを鍛造型を用いた鍛造成形によって一体的に形成されている。
レール本体101の内部には、一方の機能部品接続部側から他方の機能部品接続部側へ向けて長手方向に真っ直ぐに延びる蓄圧室104が形成されている。
レール本体101および配管接続部102の内部には、コモンレールの内部(蓄圧室104)と外部とを連通する複数の内外連通孔105、106が形成されている。
【0003】
また、蓄圧室104よりも上流側の内外連通孔105には、高圧燃料ポンプの圧送動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィス107が形成されている。
また、蓄圧室104よりも下流側の内外連通孔106には、インジェクタの噴射動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィス108が形成されている。
また、高強度の材料から製造されるレール本体に、別体の鋳造部材または旋削部材として製造される配管接続部とステーとを、ダイカスト法を用いて結合一体化したコモンレールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、高強度の材料から製造されるレール本体に、別体化された配管接続部とステーとを、溶接により接合一体化したコモンレールも知られている。
そして、コモンレールは、ステーを介して、エンジン本体の取付け座にボルトによる締結により固定されている。
【0004】
[従来の技術の不具合]
ところが、従来のコモンレールにおいては、エンジン毎にコモンレールの搭載環境、取付け条件が異なることが多いため、レール形状は、取付け穴、取付け間隔、配管方向等、そのエンジンのみに搭載できる形態になっている。これにより、コモンレールは、他機種のエンジンへの転用が困難となるという問題がある。
なお、ガソリンエンジンでは、コモンレールの代わりにデリバリパイプを用いるが、コモンレールと同様な問題が生じている。
【0005】
ここで、鍛造工程および切削加工により一体的に形成されるレール本体とステーとを別体化し、更に、ステーに、レール本体の被支持部の周囲を周方向に取り囲むリング状のレール支持部の内周にローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。また、レール本体の被支持部の外周にレール支持部の刻みに係合可能なローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。
以上のような構造を採用することで、エンジン本体の取付け座に対する、レール本体の搭載角度の調整が可能となるようにレール本体を支持するステーが考えられる。
レール本体の搭載角度の調整は、レール本体の周方向に対する、別体化されたステーの取付け角度を任意の角度に変更できるようにすることで実現できる。
【0006】
ところが、ローレットのような刻みがあまりに細か過ぎると、レール本体の配管方向とステーの締結部との角度が正規の状態からずれることに、所謂アライメントずれに気づき難くなる。すなわち、レール本体とステーとが正規の組付位置で組み付けられているか否かが判別し難く、正規の組付位置からズレた状態でレール本体とステーとが組み付けられて、後工程に進み、別体化されたステーを介して、エンジン本体の取付け座にレール本体をボルト締結により固定する際に、エンジン本体の取付け座に対してコモンレールが不完全な状態で組み付けられてしまう。
したがって、エンジン本体の取付け座にコモンレールを正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができなくなるという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−533386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、固定部材に対する管本体の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体に対するステーの取付け角度の正規の角度が、目視で分かり易くすることで、アライメントずれに気づき易くすることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
また、管本体とステーとの組合わせと、管本体とステーとの取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体を搭載できる可能性を高めることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
また、固定部材に対して管本体を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材への管本体の搭載を考える上での自由度を高めることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16)を有している。
管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)の固定部形状は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成されている。
なお、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)の固定部形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
また、管本体(3)の形状を標準化することができるので、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図ることができる。
また、燃料分配管を固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることにより、燃料分配管の固定部材(1、2)への搭載性を向上することができる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、管本体(3)の配管方向の傾斜角度を設定できる。
また、同一仕様、同一形状、寸法の管本体(3)でありながらも、搭載形態の異なる多数種の機種に燃料分配管を取り付けることができる。これにより、燃料分配管の他機種への転用を容易に行うことができる。
また、管本体(3)とステー(4)との組合わせと、管本体(3)とステー(4)との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体(3)を搭載できる可能性を高めることができる。
また、固定部材に対して管本体(3)を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ステーの固定部の内部に、管本体(3)の嵌合部(14)に嵌合可能な多角孔(31〜34)を形成している。これにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度に合わせて、管本体(3)の嵌合部(14)に対するステー(4)の固定部(16)の取付け角度を調整できる。
すなわち、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体(3)であっても、管本体(3)の嵌合部(14)とステー(4)の固定部(多角孔)との嵌合位置(嵌合角度)を変更すると、60°、30°、15°…と傾斜した嵌合部(14)を有する管本体(3)を製作したのと同じになる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状として、15°刻み角度の12角形を採用した場合には、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載可能性をかなり拡大できる。また、24角形等の角数を増やせば、7.5°と刻み角度を更に細かくできるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載可能性をより拡大できる。
なお、管本体(3)の嵌合部(14)の傾斜とは、嵌合部(14)の周方向に隣接する平面部間の交差角度のことである。
【0012】
請求項3に記載の発明(燃料分配管の取付け構造)は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16、61、62)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有している。
管本体(3)の嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を有している。
ステー(4)の固定部(16、61、62)は、複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を有している。
なお、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0013】
請求項4に記載の発明(燃料分配管の取付け構造)は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16、61、62)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有している。
管本体(3)の嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を有している。
ステー(4)の固定部(16、61、62)は、複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を有している。
なお、ステー(4)の固定部(16、61、62)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16、61、62)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0014】
請求項3および請求項4に記載の発明によれば、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(嵌合凸部)を設け、ステー(4)の固定部(16)に、複数の嵌合凹部(嵌合凸部)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(嵌合凸部)に嵌合可能な嵌合凸部(嵌合凹部)を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
また、管本体(3)の形状を標準化することができるので、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図ることができる。
また、燃料分配管を固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることにより、燃料分配管の固定部材(1、2)への搭載性を向上することができる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、レール本体の配管方向の傾斜角度を設定できる。
また、同一仕様、同一形状、寸法の管本体(3)でありながらも、搭載形態の異なる多数種の機種に燃料分配管を取り付けることができる。これにより、燃料分配管の他機種への転用を容易に行うことができる
また、管本体(3)とステー(4)との組合わせと、管本体(3)とステー(4)との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体(3)を搭載できる可能性を高めることができる。
また、固定部材に対して管本体(3)を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、目視で角度ズレを確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことである。なお、刻み角度とは、管本体(3)の嵌合部(14)の周方向におけるステー(4)の固定部(16)の取付け角度のことである。
そして、5°以上の刻み角度で、管本体(3)に対する外部配管の配管方向の傾斜角度を設定できるので、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体(3)で、取付け角度が異なる複数機種の固定部材(1、2)に使用することが可能となる。また、例えば円筒胴体部の外周から複数の配管接続部が径方向外側へ突出した形状の管本体(3)を共通で作ることができる。また、複数の配管接続部と複数のステー(4)とを一体で成形した形状の管本体(3)と比べて、作り易い形状になる。
ここで、ローレット等のように極めて刻み角度が細かすぎると、固定部材(1、2)に対する、管本体(3)の組み付け時のアライメントずれに気づかないので、目視で角度ズレを判定するには、取付け角度が5°以上は必要と思われる。
数度〜十数度の刻み角度であれば、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載上の干渉(例えば内燃機関の周辺に配置される他の部材との干渉)の制約を解消し易くなる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、ステー(4)に、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の調整が可能となるように管本体(3)の嵌合部(14)を支持する固定部を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載自由度を向上できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載性を向上できる。
請求項7に記載の発明によれば、ステー(4)に、管本体(3)の周方向に対するステー(4)の取付け角度の調整が可能となるように管本体(3)の嵌合部(14)を支持する固定部(16)を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載自由度を向上できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載性を向上できる。
【0017】
請求項8に記載の発明によれば、管本体(3)に、管本体(3)の長手方向に対するステー(4)の取付け位置を規制する規制部を設けたことにより、管本体(3)の長手方向に対するステー(4)の取付け位置が決まる。これにより、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができるので、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
請求項9に記載の発明によれば、固定部材(1、2)にステー(4)を固定する締結体(5)を備えている。
請求項10に記載の発明によれば、ステー(4)に、締結体(5)により固定部材(1、2)に締結される締結部を設けている。
そして、締結体(5)が、固定部材(1、2)にステー(4)の締結部を締結固定することにより、ステー(4)を介して、固定部材(1、2)に管本体(3)が締結体(5)の締結により固定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】機能部品を装着したコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図2】(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した斜視図で、(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図3】(a)、(b)は嵌合部形状が6角形状のレール本体を示した平面部、側面図である(実施例1)。
【図4】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図5】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が30°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図6】(a)〜(d)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、側面図である(実施例1)。
【図7】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図8】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が45°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図9】(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した斜視図で、(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図10】(a)、(b)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、側面図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、(d)はクランプ形状が6角形状のレールステーの組付け後を示した説明図で、(e)はクランプ形状が6角形状のレールステーの組み付け前の状態を示した説明図である(実施例1)。
【図11】(a)はレール本体を示した側面図で、(b)は嵌合凸部を有するステーを示した側面図で、(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した側面図である(実施例2)。
【図12】(a)はレール本体を示した側面図で、(b)は嵌合凸部を有するステーを示した側面図で、(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した側面図である(実施例3)。
【図13】(a)、(b)はレール本体とステーを一体化したコモンレールを示した斜視図である(従来の技術)。
【図14】(a)はコモンレールを示した断面図で、(b)は(a)のA−A断面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くすることで、アライメントずれに気づき易くするという目的を、管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる多角形状に形成したことで実現した。
あるいは、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を設け、ステー(4)の固定部(16)に、複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を設けたことで実現した。 あるいは、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を設け、ステー(4)の固定部(16、61、62)に、複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を設けたことで実現した。
また、本発明は、固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることで、固定部材(1、2)への搭載性を向上するという目的を、上述した構造を有することで実現した。
また、本発明は、他機種への転用を容易にするという目的を、上述した構造を有することで実現した。
また、本発明は、管本体(3)の形状を標準化することで、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図るという目的を、上述した構造を有することで実現した。
【実施例1】
【0020】
[実施例1の構成]
図1ないし図10は本発明の実施例1を示したもので、図1は機能部品を装着したコモンレールアッシーを示した図で、図2(a)および図9(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した図で、図2(b)および図9(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した図で、図3は嵌合部形状が6角形状のレール本体を示した図である。
【0021】
本実施例の燃料分配管の取付け構造は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の各気筒に高圧燃料を分配するコモンレール(燃料分配管)をエンジン側の固定部材(以下エンジン本体1の取付け座2と言う)に取り付けるコモンレールの取付け構造に適用される。
ここで、エンジンは、複数の気筒を有する多気筒ディーゼルエンジン(例えば直列4気筒エンジン)が採用されている。但し、多気筒ディーゼルエンジンに限定されず、多気筒ガソリンエンジンに本実施例のコモンレールを適用しても構わない。
【0022】
なお、コモンレールは、ディーゼルエンジン用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)に使用される。このコモンレール式燃料噴射システムは、自動車等の車両のエンジンルームに搭載されるもので、燃料を加圧して吐出する高圧燃料ポンプと、この高圧燃料ポンプから高圧燃料が導入されるコモンレールアッシー(以下コモンレールと略す)と、このコモンレールから高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタ(ピエゾインジェクタまたはソレノイドインジェクタ)とを備え、コモンレールの内部(蓄圧室)に蓄圧された高圧燃料を各気筒毎に搭載されたインジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
【0023】
本実施例のコモンレールは、エンジン本体1の取付け座2に所定の搭載形態で搭載される。このコモンレールは、内部に超高圧の燃料を蓄圧するレール本体3と、このレール本体3と別体で成形された複数のレールステー4と、エンジン本体1の取付け座2にレールステー4を締結により固定する複数のボルト5と、レール本体3に組み付けられる第1機能部品である減圧弁6と、レール本体3に組み付けられる第2機能部品である燃料圧力センサ(コモンレール圧センサ)7とによって構成されている。
【0024】
エンジン本体1は、自動車等のエンジンルーム内に設置されている。このエンジン本体1は、シリンダヘッド、シリンダブロックおよびヘッドカバー等によって構成されている。シリンダヘッドは、吸気バルブによって開閉される吸気ポート、および排気バルブによって開閉される排気ポートが形成されている。
シリンダブロックの内部には、例えば直列4気筒エンジンの場合、気筒配列方向に4つの燃焼室(シリンダボア)が形成されている。また、シリンダブロックの各シリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストンがその往復摺動方向に摺動自在に支持されている。
また、エンジン本体1、つまりシリンダヘッド、シリンダブロックまたはヘッドカバーのいずれかには、レールステー4を介して、レール本体3を取り付けるための取付け座2が設けられている。
なお、エンジン本体1の取付け座2には、レールステー4の取付け方向、つまりボルト5の締結方向に直交する方向に延びる平面状の取付け座面が設けられている。この取付け座2には、取付け座面で開口する取付け孔8が設けられている。この取付け孔8には、ボルト5のボルト軸部の外周に形成される雄ネジと螺合する雌ネジが設けられている。また、取付け座面の近傍のエンジン本体1の外面には、レール本体3および複数のレールステー4とエンジン本体1との干渉を防ぐための逃げ凹部9が設けられている。
【0025】
レール本体3は、各インジェクタから燃焼室内に噴射される燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器である。
レール本体3には、その軸線方向(長手方向)に真っ直ぐに延びる円筒パイプ形状の円筒胴体部(円筒部)10、この円筒胴体部10の軸線方向の両端面で開口した第1、第2取付け孔11、円筒胴体部10の外周から円筒胴体部10の長手方向に対して直交する半径方向の外側に突出する複数の配管ジョイント(配管接続部)12、およびこの円筒胴体部10の外周から円筒胴体部10の長手方向に対して直交する半径方向の外側に膨出する配管接続部13が鍛造成形や切削加工等により設けられている。
【0026】
ここで、図2(a)および図9(a)は、6角形状の嵌合部14を長手方向の両端部に設けたレール本体3を示し、図2(b)および図9(b)は6角形状の嵌合部14を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体3を示している。なお、レール本体3の中腹部とは、配管ジョイント12Cと配管ジョイント12Dとの間に形成される中間円筒部のことである。
円筒胴体部10の軸線方向の2箇所または3箇所には、レールステー4に嵌合支持される多角(6角または12角)形状の嵌合部(係合部、多角部、6角部、12角部)14、およびレール本体3に対するレールステー4の軸線方向の位置を規制する複数の規制部(円環状の段差15)が切削加工等により設けられている。
また、円筒胴体部10の軸線方向の両端に配置される嵌合部14の内部には、機能部品を接続するための第1、第2取付け孔11が切削加工等により設けられている。
図示左端側の第1取付け孔には、第1機能部品である減圧弁6を螺子締結により固定するための雌ネジが形成されている。
図示右端側の第2取付け孔11には、第2機能部品であるコモンレール圧センサ7を螺子締結により固定するための雌ネジが形成されている。
【0027】
複数の配管ジョイント12のうちの1つの配管ジョイント12Aは、外部配管である高圧ポンプ配管を接続するための配管継ぎ手である。
複数の配管ジョイント12のうちの4つの配管ジョイント12B〜12Eは、外部配管である高圧インジェクタ配管を接続するための配管継ぎ手である。
配管接続部13の内周面には、外部配管である燃料戻し配管または接続管部材を接続するための雌ネジが形成されている。
これらの配管ジョイント12および配管接続部13は、切削加工によって円筒形状に形成されている。
【0028】
レールステー4には、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング(クランプ部)16、およびボルト5を用いた締結により固定される一対のフランジ(突出片、締結部、ステー部)17、18が鍛造成形またはプレス成形や切削加工等により設けられている。
複数のボルト5は、エンジン本体1の取付け座2にレールステー4の各フランジ17、18を締結により固定すると共に、レール本体3の各嵌合部14をレールステー4の各クランプリング16に締結により固定する締結体である。
複数のボルト5は、エンジン本体1の取付け座2に対する締結時に、レールステー4の各クランプリング16の内径をそれぞれ拡縮することが可能なものである。なお、エンジン本体1の取付け座2に対する締結前に、レールステー4の各クランプリング16の内径をそれぞれ拡縮しても構わない。
【0029】
ここで、減圧弁6は、エンジン制御ユニット(ECU)から印加される減圧弁(SCV)駆動信号によって電子制御されるように構成されている。
減圧弁6は、例えば自動車等の車両の減速走行時またはエンジン停止時等に速やかにコモンレールの内部圧力(所謂コモンレール圧)を高圧から低圧へ減圧させる降圧性能に優れる電磁弁である。減圧弁6が開弁すると、レール本体3のリークポート19が開放されて、コモンレールから燃料戻し配管を経て燃料タンクへ燃料が戻される。これにより、コモンレール圧が高圧から低圧へ減圧(降圧)する。
コモンレール圧センサ7は、レール本体3の内部圧力(所謂コモンレール圧)を電気信号に変換して圧力検出値としてECUに対して出力する燃料圧力検出手段である。
なお、コモンレール、特にレール本体3、レールステー4の詳細は、後述する。
【0030】
ここで、高圧燃料ポンプは、エンジンのクランクシャフトにより回転駆動されるカムシャフトと、このカムシャフトを回転自在に支持するポンプハウジングと、燃料を加圧圧送する複数のプランジャと、各プランジャを往復摺動可能に嵌挿支持する複数のシリンダとを備え、フィードポンプから加圧室内に吸入した燃料を加圧圧送するエンジン駆動式のサプライポンプである。
高圧燃料ポンプは、燃料タンクから燃料を汲み上げるフィードポンプ、このフィードポンプから供給される燃料を吸入すると共に調量する電磁式燃料調量弁(SCV)、およびこのSCVから加圧室内に供給される燃料を高圧化してコモンレール、インジェクタへ圧送するポンプエレメント(プランジャとシリンダとで構成される高圧燃料ポンプ本体)等によって構成されている。
なお、SCVは、ECUから印加されるポンプ(SCV)駆動信号によって電子制御されるように構成されている。これにより、高圧燃料ポンプから吐出される燃料吐出量および燃料噴射圧力(コモンレールの内部圧力)が制御される。
【0031】
エンジンの各気筒毎に対応して搭載されるインジェクタは、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの燃料噴射弁である。
インジェクタは、燃料を噴射する噴孔およびこの噴孔に連通する燃料流路を有し、噴孔を開閉するノズルニードルを内蔵するノズルボディと、このノズルボディの燃料流路を介して噴孔に連通する燃料流路を有するインジェクタボディと、このインジェクタボディの長軸方向の先端部にノズルボディを螺子締結により固定するリテーニングナットとを備えている。
【0032】
インジェクタボディの内部には、外部(ECU等の外部回路や外部電源)からインジェクタ(ピエゾ)駆動信号を受けるとノズルニードルを開弁方向に駆動するピエゾアクチュエータと、このピエゾアクチュエータにより駆動されてノズルニードルの背圧を制御する背圧制御機構とが収容されている。
ピエゾアクチュエータは、ピエゾ素子をその軸線方向に多数積層してなる積層体(ピエゾスタック)を備えている。ピエゾスタックは、インジェクタボディの内部に収容保持され、ECUから印加されるインジェクタ駆動信号によって電子制御されるように構成されている。これにより、各インジェクタから噴射される燃料噴射量および噴射時期が制御される。
なお、ピエゾアクチュエータの代わりに、ステータおよびアーマチャにより構成されたソレノイドアクチュエータを採用しても良い。
【0033】
ここで、コモンレールの減圧弁6、高圧燃料ポンプのSCVおよび複数のインジェクタの各ピエゾスタックへの駆動信号は、ECUによって電子制御される減圧弁駆動回路、ポンプ駆動回路およびインジェクタ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載された外部電源(バッテリ)に電気的に接続されている。
ECUには、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよび制御データを保存する記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、減圧弁駆動回路、ポンプ駆動回路およびインジェクタ駆動回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
【0034】
そして、コモンレールのレール本体3に取り付けられたコモンレール圧センサ7からのセンサ出力信号(圧力検出値)や、各種センサからのセンサ出力信号は、A/D変換回路でA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。 ここで、マイクロコンピュータの入力部には、コモンレール圧センサ7だけでなく、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ等が接続されている。これらのコモンレール圧センサ7、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ等によって、エンジンの運転状態(運転状況)を検出する運転状態検出手段が構成される。
【0035】
ECUは、イグニッションスイッチがオン(ON)すると、エンジンの運転状況(エンジン情報)およびメモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、コモンレールの減圧弁6、高圧燃料ポンプのSCVおよび複数のインジェクタの各ピエゾスタック等を電子制御するように構成されている。
また、ECUは、エンジンの運転状態(例えばエンジン回転数)に応じて、コモンレール圧を調節するため、高圧燃料ポンプによるコモンレールへの燃料吐出量(供給量)を制御する。すなわち、ECUは、エンジン情報に基づきコモンレール圧の目標値を算出すると共に、この目標値を維持するのに必要な供給量を算出する。そして、ECUは、この供給量の演算値に応じて、SCVへ与える制御指令値としての駆動電流値(ポンプ駆動信号)を算出すると共に、この駆動電流値に対応したポンプ制御信号(ポンプ指令値)を合成して出力する。
【0036】
次に、本実施例のコモンレールの詳細を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。ここで、図4(a)、(b)および図7(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した図で、図5(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が30°異なるレール本体を示した図で、図8(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が45°異なるレール本体を示した図で、図4(c)、図5(c)、図6および図10はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した図で、図7(c)および図8(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した図である。
【0037】
本実施例のコモンレールは、その主要構成であるレール本体3とレールステー4とを別体部品で構成されている。
レール本体3は、エンジンの各気筒に搭載された複数のインジェクタに対して高圧燃料を分配する燃料分配管本体である。また、レール本体3は、例えば炭素鋼(クロム・モリブデン鋼等)よりなる金属材料によって円筒形状に形成された鉄系の円筒金属体(鍛造成形品)である。このレール本体3は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
【0038】
レール本体3は、円筒胴体部10、複数の配管ジョイント12、および配管接続部13を熱間鍛造によって一体に設けた円筒管本体である。
レール本体3には、燃料孔である蓄圧室21(図14参照)の長手方向(軸線方向)に対して直交する半径方向に複数の内外連通孔が形成されている。これらの内外連通孔は、レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向に所定の軸方向間隔を隔てて配置された配管ジョイント12の中心に孔開け加工した燃料流路孔である。
【0039】
各内外連通孔の奥側は、蓄圧室21の内壁面で開口している。また、各内外連通孔の外側は、配管ジョイント12の先端中心部において開口している。
具体的に、配管ジョイント12の先端面には、高圧ポンプ配管および高圧インジェクタ配管の先端に形成された先細テーパ面が差し込まれる円錐テーパ状の受圧座面が形成されており、この受圧座面の底部において各内外連通孔の外側(インレットポート22またはアウトレットポート23)が開口している。
円筒胴体部10の中心部には、高圧燃料を蓄圧する蓄圧室21が長手方向(軸線方向)に貫通するように形成されている。なお、蓄圧室21の軸芯は、円筒胴体部10の外径の中心であっても構わないし、また、円筒胴体部10の外径の中心から所定量オフセットしたものであっても構わない。
円筒胴体部10には、外部配管と接続する複数の配管ジョイント12とが一体的に形成されている。
【0040】
複数の配管ジョイント12の中で、蓄圧室21よりも燃料流方向の上流側に位置する配管ジョイント12のインレットポート22は、外部配管である高圧ポンプ配管を介して、高圧燃料ポンプの吐出ポートに接続している。
複数の配管ジョイント12の中で、蓄圧室21よりも燃料流方向の下流側に位置する配管ジョイント12のアウトレットポート23は、外部配管である高圧インジェクタ配管を介して、インジェクタのインレットポートに接続している。
なお、配管ジョイント12の外周面には、高圧ポンプ配管および高圧インジェクタ配管の接続端に設けられた配管ナットを螺子締結するための雄ネジが形成される。
配管接続部13の内周面には、燃料戻し配管の接続端に設けられた接続部材を螺子締結するための雌ネジが形成される。
【0041】
ここで、レール本体3の円筒胴体部10には、図2および図9に示したように、エンジン本体1の取付け座2にレール本体3を安定して固定できるように、しかも不完全な状態で組み付けられないように、2箇所または3箇所に、レールステー4のクランプリング16に嵌合支持される嵌合部14がそれぞれ設けられている。
嵌合部14は、図1ないし図5および図9に示したように、レール本体3の円筒胴体部10の長手方向に垂直な断面形状が多角(6角)形状の6角筒部であり、この6角筒部は、レール本体3の円筒胴体部10の外周方向に所定の間隔(60°間隔)で設けられた複数の交差稜線、およびレール本体3の円筒胴体部10の外周方向に隣接する交差稜線間に設けられた複数の平面部を有している。
嵌合部14は、図7および図8に示したように、レール本体3の円筒胴体部10の長手方向に垂直な断面形状が多角(12角)形状の12角筒部であり、この12角筒部は、レール本体3の円筒胴体部10の外周方向に所定の間隔(30°間隔)で設けられた複数の交差稜線、およびレール本体3の円筒胴体部10の外周方向に隣接する交差稜線間に設けられた複数の平面部を有している。
【0042】
また、レール本体3の円筒胴体部10には、円筒胴体部10の長手方向に対するレールステー4のクランプリング16の取付け位置を規制する複数の規制部(円環状の段差15)が設けられている。これらの段差15は、嵌合部14の配管ジョイント12側に隣接するようにそれぞれ設けられている。
そして、レール本体3の円筒胴体部10にレールステー4のクランプリング16の環状端面を係止する段差15を設けたことにより、円筒胴体部10の長手方向に対するレールステー4のクランプリング16の取付け位置が決まる。これにより、コモンレールがエンジン本体1の取付け座2に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができるので、コモンレールをエンジン本体1の取付け座2に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
【0043】
また、図4(a)、図5(a)、図7(a)および図8(a)に示したレール本体3Aは、嵌合部形状が6角形状または12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線に対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線の傾斜角度が0°のものである。すなわち、蓄圧室21の中心から交差稜線を通る標準線上に配管ジョイント12の中心線があるものである。
すなわち、レール本体3Aは、上述したように、仕様が4気筒用のレールで、配管方向が図示上下方向の上方側のレール形状を備える。
【0044】
また、図4(b)に示したレール本体3Bは、嵌合部形状が6角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LBの傾斜角度が60°のものである。
すなわち、レール本体3Bは、上述したように、レール本体3Aと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度60°だけ傾斜したレール形状を備える。
また、図5(b)に示したレール本体3Cは、嵌合部形状が6角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LCの傾斜角度が30°のものである。
すなわち、レール本体3Cは、上述したように、レール本体3A、3Bと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度30°だけ傾斜したレール形状を備える。
したがって、例えば3種類に標準設定されたレール本体3A〜3Cは、全て同一仕様であるが、嵌合部形状が6角形状であり、しかも配管ジョイント12に接続する外部配管の配管方向が互いに異なるものである。
【0045】
また、図7(b)に示したレール本体3Bは、嵌合部形状が12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LBの傾斜角度が60°のものである。
すなわち、レール本体3Bは、上述したように、レール本体3Aと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度60°だけ傾斜したレール形状を備える。
また、図8(b)に示したレール本体3Dは、嵌合部形状が12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LDの傾斜角度が45°のものである。
すなわち、レール本体3Dは、上述したように、レール本体3A、3Bと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度45°だけ傾斜したレール形状を備える。
したがって、例えば3種類に標準設定されたレール本体3A、3Bおよび3Dは、全て同一仕様であるが、嵌合部形状が12角形状であり、しかも配管ジョイント12に接続する外部配管の配管方向が互いに異なるものである。
【0046】
レールステー4は、例えばアルミニウム合金や鉄系の金属材料によって一体的に形成されている。これらのレールステー4は、レール本体3の各嵌合部14をそれぞれ嵌合支持(クランプ)するC字状のクランプリング16と、レール本体3をエンジン本体1の取付け座2に装着するための一対のフランジ17、18とを一体化した別体ステー(ブラケット)である。
クランプリング16は、レールステー4の内周方向に所定の間隔(ピッチ)で設けられた複数の嵌合溝、およびレールステー4の内周方向に隣接する嵌合溝間に設けられた複数の平面部を有している。複数の嵌合溝は、レール本体3の嵌合部14の各交差稜線と選択的に嵌合可能なものである。
【0047】
図1、図2、図4ないし図6に示したレールステー4A、4Bの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分円環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、6角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(6角孔)31、32が形成されている。また、各6角孔31、32は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(6角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4A、4Bの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、60°間隔で、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
【0048】
レールステー4Aのクランプリング16は、部分円環形状に形成されている。
レールステー4Bのクランプリング16は、部分角環形状に形成されている。
レールステー4Aのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線BLが60°の交差角度を有している。 レールステー4Bのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線CLが30°の交差角度を有している。 以上のように、レールステー4の多角孔(6角孔)の向きを2種類作ることで、多角孔の半分の角度刻みで取付け角度の調整が可能である。すなわち、レールステー4A、4Bの代表2種類を標準設定すれば、6角形状の嵌合部14を有するレール本体3A〜3Cの配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
【0049】
図7および図8に示したレールステー4C、4Dの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分円環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、12角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(12角孔)33、34が形成されている。また、各12角孔33、34は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(12角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4C、4Dの各クランプリング16は、レール本体3A、3Bおよび3Dのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、30°間隔で、レール本体3A、3Bおよび3Dのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
以上のように、レールステー4の多角孔(12角孔)の向きを2種類作ることで、多角孔の半分の角度刻みで取付け角度の調整が可能である。すなわち、レールステー4C、4Dの代表2種類を標準設定すれば、12角形状の嵌合部14を有するレール本体3A、3Bおよび3Dの配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0050】
図9および図10に示したレールステー4E、4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分角環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、6角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(6角孔)35、36が形成されている。また、各6角孔35、36は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(6角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4E、4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、30°間隔で、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
【0051】
レールステー4E、4Fのクランプリング16は、部分角環形状に形成されている。
レールステー4Eのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線CLが30°の交差角度を有している。 レールステー4Fのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線DLが15°の交差角度を有している。 以上のように、レールステー4E、4Fの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3A〜3Cの配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0052】
レールステー4A、4C、4Eのクランプリング16には、このクランプリング16の内径を拡縮する際のヒンジ部45、46が一体で設けられている。
レールステー4B、4D、4Fのクランプリング16には、このクランプリング16の内径を拡縮する際のヒンジ部47が一体で設けられている。
レールステー4は、互いに所定の隙間を隔てて対向して配置される一対のフランジ17、18を有している。なお、一対のフランジ17、18間に隙間がなくても良い。
【0053】
一対のフランジ17、18は、各クランプリング16の周方向の両端から、ボルト5の締結方向に対して直交する半径方向の外側に延伸するように設けられている。これらのフランジ17、18は、エンジン本体1の取付け座2にボルト5により締結される締結部(取付け部)を構成している。また、一対のフランジ17、18には、ボルト5のボルト軸部がその軸線方向(締結方向)に貫通するボルト挿通孔41、42が形成されている。
フランジ17の表面には、ボルト挿通孔41の周囲に円環状のボルト座面43が設けられている。ボルト座面43には、ボルト5のボルト頭部が当接する。これにより、ボルト5のボルト頭部にボルト座面43が係止される。
フランジ18の表面には、ボルト挿通孔42の周囲に円環状の取付け座面が設けられている。取付け座面には、エンジン本体1の取付け座2に当接する。
これらのボルト挿通孔41、42およびボルト座面43、取付け座面は、切削加工によって形成しても良いし、プレス成形によって形成しても良い。
【0054】
[実施例1の固定方法]
次に、本実施例のエンジンに対するコモンレールの固定方法を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。
【0055】
先ず、炭素鋼等の金属を鋳造することで、レール本体用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造する。そして、鍛造成形品に切削加工等を施すことにより、円筒胴体部10、配管ジョイント12および配管接続部13を有するレール本体3が製造される。
レール本体3は、例えば熱間鍛造および切削加工により一体的に形成されている。具体的には、精密鍛造技術を用いれば熱間鍛造のみにても成形が可能であるが、一般的には、熱間鍛造の後に切削加工を行って形成される。
次に、金属を鋳造することで、レール本体用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造したり、成形機でプレス成形する。そして、成形品に切削加工等を施すことにより、C字状のクランプリング16および一対のフランジ17、18を有するレールステー4が製造される。
【0056】
次に、当該エンジン機種における、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対して直交するボルト5の締結方向(レールステー4の各フランジ17、18の取付け方向)と、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向(円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向)との位置関係に合わせて、レール本体3の各嵌合部14と複数のレールステー4の各クランプリング16との取付け角度を調整する。
レール本体3の各嵌合部14の周方向に対する、レールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整は、上述したように、60°間隔または30°間隔または15°間隔で実施できる。
【0057】
レール本体3の各嵌合部14の周方向に対する、レールステー4の各クランプリング16の取付け角度が決定したら、レールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)を拡げて、つまりクランプリング16の内径を拡げて、クランプリング16をレール本体3の嵌合部14の周囲に嵌め合わせる。
このとき、レールステー4の各クランプリング16が有する弾性変形力によりレールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)が狭くなり、嵌合部14とクランプリング16が嵌合する。
あるいはフランジ18のボルト挿通孔42に雌ネジが形成されている場合は、ボルト5をボルト挿通孔41を挿通した後にボルト挿通孔42の雌ネジに螺合させることで、ボルト5による締結で、レールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)を狭して、嵌合部14とクランプリング16を嵌合させるようにしても良い。
【0058】
次に、一対のフランジ17、18の各ボルト挿通孔41、42にボルト5のボルト軸部を通し、ボルト5のボルト軸部の先端外周の雄ネジを、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面で開口した取付け孔8の雌ネジに螺合させて、締結することにより、クランプリング16の内径をより収縮させる。これにより、レールステー4のクランプリング16がレール本体3の嵌合部14をその径方向の外側から握り締めるように嵌合支持する。
同時に、レールステー4を介して、エンジン本体1の取付け座2にコモンレールが固定される。このとき、レール本体3は、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対して、所定の搭載角度で固定される。
【0059】
[実施例1の特徴]
ここで、従来のコモンレールにおいては、エンジン毎にコモンレールの搭載環境、取付け条件が異なることが多いため、レール形状は、取付け穴、取付け間隔、配管方向等、そのエンジンのみに搭載できる形態になっている。これにより、コモンレールは、他機種のエンジンへの転用が困難となるという問題がある。
また、外部配管の配管方向、つまりレール本体の周方向における配管接続部の突出方向と、レール本体の周方向におけるレールステーの突出方向との角度だけが異なるレール形状や、エンジン本体の取付け座に締結される取付け部の形状だけが異なるレール形状も存在しており、レール本体の円筒胴体部および配管接続部が同一仕様(形状が同一、個数が同一、大きさが同一)であっても、別々のコモンレールとして製作しているのが現状である。
【0060】
また、コモンレールを設計するには、エンジン周辺の部品配置を考える必要がある。例えばエンジンの周辺に配置される他の部材とコモンールおよび外部配管とが干渉しないように、省スペースでの搭載検討となる。このため、レール形状(配管方向、取付け位置、搭載角度等)が、そのエンジン機種特有のものになり、レール形状の種類が無数に発生してしまい、コストアップとなる。
また、コモンレールの加工上では、レール形状を決定するのに手間取り、結局コモンレールアッシーが完成するまでの時間が非常に長くかかってしまい、コストアップとなる。 また、他に転用が利かないそのエンジンの機種特有のレール形状を、鍛造型から新設し、機能部品の第1、第2取付け孔、内外連通孔等を切削等の加工基準にするため、色々な加工治具も新設する必要がある。
【0061】
以上のような鍛造型の新設および加工治具の新設を、コモンレールを使用するエンジンの機種毎に繰り返すことになり、生産性が悪化する。
なお、ガソリンエンジンでは、コモンレールの代わりにデリバリパイプを用いるが、コモンレールと同様な問題が生じている。
ここで、鍛造工程および切削工程により一体的に形成されるレール本体とレールステーとを別体化し、更に、レールステーに、レール本体の被支持部の周囲を周方向に取り囲むリング状のレール支持部の内周にローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。また、レール本体の被支持部の外周にレール支持部の刻みに係合可能なローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。
以上のような構造を採用することで、エンジン本体の取付け座に対する、レール本体の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体を支持するレールステーが考えられる。
【0062】
ところが、ローレットのような刻みがあまりに細か過ぎると、レール本体の配管方向とレールステーの締結部との角度が正規の状態からずれることに、所謂アライメントずれに気づき難くなる。また、レール本体の軸線方向の両端の被支持部にレールステーが取り付けられる場合、両側のレールステーでレール本体に対する取付け角度が異なっていることに気づき難くなる。
すなわち、レール本体とレールステーとが正規の組付位置で組み付けられているか否かが判別し難く、正規の組付位置からズレた状態でレール本体とレールステーとが組み付けられて、後工程に進み、別体化されたレールステーを介して、エンジン本体の取付け座にレール本体をボルト締結により固定する際に、エンジン本体の取付け座に対してコモンレールが不完全な状態で組み付けられてしまう。
したがって、エンジン本体の取付け座にコモンレールを正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができなくなるという懸念がある。
【0063】
そこで、本実施例のコモンレールは、上述したように、嵌合部形状が6角形状のレール本体3A〜3Cとクランプ形状が6角形状または12角形状のレールステー4A〜4Fとを別体部品で構成している。
そして、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14は、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16に支持固定されるように構成されている。
また、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14と嵌合可能で、且つレール本体3A〜3Cの各嵌合部14の周方向に対するレールステー4A〜4Fの取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3A〜3Cの各嵌合部14を支持するように構成されている。
また、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16は、エンジン本体1の取付け座2に対する、レール本体3A〜3Cの搭載角度の調整が可能となるようにレール本体3A〜3Cの各嵌合部14を支持するように構成されている。
【0064】
また、レール本体3A〜3Cの嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状は、目視で、レール本体3A〜3Cとレールステー4との取付け角度の角度ズレを容易に確認し得る角度以上となる多角形状(6角形状または12角形状)に形成されている。
なお、目視で角度ズレを容易に確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことである。また、刻み角度とは、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14の周方向におけるレールステー4の各クランプリング16の取付け角度のことである。
そして、5°以上の刻み角度で、レール本体3A〜3Cに対する外部配管の配管方向の傾斜角度を設定できるので、同一仕様で、同一形状、寸法のレール本体3A〜3Cのいずれかで、取付け角度が異なる複数機種のエンジンに使用することが可能となる。
【0065】
また、例えば円筒胴体部10の外周から複数の配管ジョイント12が半径方向外側へ突出した形状のレール本体3A〜3Cを共通で作ることができる。また、複数の配管ジョイントと複数のレールステーとを一体で成形した形状のレール本体(従来の技術)と比べて、非常に作り易い形状になる。
ここで、ローレット等のように極めて刻み角度が細かすぎると、エンジン本体1の取付け座2に対する、レール本体3A〜3Cの組み付け時のアライメントずれに気づかないので、目視で角度ズレを判定するには、取付け角度が5°以上は必要と思われる。
数度〜十数度の刻み角度であれば、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3A〜3Cの搭載上の干渉(例えばエンジン本体1の周辺に配置される他の部材との干渉)の制約を解消し易くなる。
【0066】
また、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3のの各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整が可能となるので、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3の搭載角度の調整が可能となる。したがって、エンジン本体1の取付け座2に対してレール本体3を搭載する上での自由度、つまりエンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載自由度を向上できるので、エンジン本体1の取付け座2へのレール本体3の搭載性を向上できる。
また、レール本体3の各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整が可能となり、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3の搭載角度の調整が可能となるので、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体を様々な搭載角度のエンジン本体1の取付け座2に対して使用できるようになる。
【0067】
また、角度刻みが細か過ぎないので、エンジン本体1の取付け座2への管本体の組付け時に正規の角度が目視で分かり易くなるので、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度の間違いや、エンジン本体1の取付け座2とレールステー4のフランジ17、18との間に大きな隙間が形成されたりする等の誤組付けを防止できる。
また、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、角度刻みが細か過ぎないので、エンジン本体1の取付け座2への組み付け時に正規の角度(エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の取付け角度およびレール本体3の各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度)が目視で分かり易くなる。
また、レール本体3の形状を標準化できるので、レール本体3およびレールステー4を複数機種のエンジンに共通使用できる。これにより、鍛造型の新設および加工治具の新設を最小限に抑えることができるので、コモンレールの生産性を向上できるので、製造コストを低減できる。
【0068】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度5°以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3の嵌合部14の周方向に対する、レールステー4のクランプリング16の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、コモンレールがエンジン本体1の取付け座2に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、コモンレールをエンジン本体1の取付け座2に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
【0069】
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、レール本体3の配管方向および締結方向の傾斜角度を設定できる。
また、レール本体3とレールステー4とを別体で構成することにより、レール本体3の形状およびレールステー4の形状を標準化(標準設定)することができる。これにより、レール本体3の形状やレールステー4の形状を決めるのに手間を取ることはなく、また、エンジンの機種毎にレール本体3等を新設する必要はない。したがって、生産性を向上でき、製造コストを低減できる。
また、15°、30°、60°等の刻み角度で配管方向および締結方向の傾斜角度を設定できるので、エンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの搭載上の干渉(例えばエンジンの周辺に配置される他の部材とコモンレールおよび外部配管との干渉)などの制約を解消し易くなる。これにより、エンジン本体1の取付け座2にコモンレールを搭載する上での自由度(搭載自由度)を高めることができるので、エンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの搭載性を向上することができる。
また、同一仕様、同一形状、寸法のレール本体3でありながらも、搭載形態の異なる多数種のエンジン機種にコモンレールを取り付けることができる。これにより、コモンレールの他機種への転用を容易に行うことができる。
また、レール本体3とレールステー4との組合わせと、レール本体3とレールステー4との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数機種のエンジンに同一形状のレール本体3を搭載できる可能性を高めることができる。
また、エンジン本体1の取付け座2に対してレール本体3を、ある程度、任意の搭載角度で固定できるので、エンジン本体1の取付け座2へのレール本体3の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【実施例2】
【0070】
図11は本発明の実施例2を示したもので、図11(a)はレール本体を示した図で、図11(b)は嵌合凸部を有するレールステーを示した図で、図11(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した図である。
【0071】
本実施例のコモンレールの取付け構造においては、エンジン本体1の取付け座2に対して、レール本体3をボルト5の締結により固定するレールステー4をレール本体3とは別体で構成している。
レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向の両端には、図11(a)に示したように、レールステー4に嵌合支持される円筒形状の嵌合部14が設けられている。
レール本体3の嵌合部14の外周には、等間隔(例えば60°間隔)で複数の嵌合凹部51が鍛造加工や切削加工等により設けられている。これらの嵌合凹部51は、目視で角度ズレを確認し得る角度(例えば5°)以上となる円周方向間隔(例えば60°間隔)を隔てて設けられている。
【0072】
図11(b)に示したレールステー4Gには、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング16、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ17、18が設けられている。
レールステー4のクランプリング16の内部には、レール本体3の嵌合部14と嵌合する嵌合孔37が形成されている。このクランプリング16の内周には、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。
一対のフランジ17、18には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41、42が設けられている。
【0073】
本実施例のレールステー4は、図11(c)に示したように、2分割された一対のレールステー4H、4Iにより構成されている。
一対のレールステー4H、4Iのクランプリング16は、一対のクランプリング半体61、62により構成されている。
レールステー4Hには、クランプリング半体61、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ63が設けられている。
クランプリング半体61は、クランプリング半体62との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプする半円弧状(半円環状)の第1固定部である。このクランプリング半体61の内周には、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。 一対のフランジ63には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0074】
レールステー4Iには、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体62、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ64が設けられている。
クランプリング半体62は、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプする半円弧状(半円環状)の第2固定部である。このクランプリング半体62の内周には、嵌合凸部52が設けられていない。なお、クランプリング半体62の内周に、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52を鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けても良い。
一対のフランジ64には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔42がそれぞれ設けられている。
【0075】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造においては、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(60°間隔)で形成しているので、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、60°刻みとなる。
なお、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(30°間隔)で形成した場合には、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
また、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(15°間隔)で形成した場合には、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0076】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、実施例1と同様に、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度(締結方向に対する配管方向)の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)すると共に、レール本体3の嵌合部14の周方向に対するクランプリング16の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)するレールステー4をレール本体3とは別体で成形している。
また、レール本体3の嵌合部14の外周に、等間隔(例えば15°、30°、60°間隔)に複数の嵌合凹部51を設け、レールステー4のクランプリング16の内周に、複数の嵌合凹部51の中で少なくとも1つの嵌合凹部51に嵌合可能な嵌合凸部52を設けたことにより、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【実施例3】
【0077】
図12は本発明の実施例3を示したもので、図12(a)はレール本体を示した図で、図12(b)は嵌合凸部を有するステーを示した図で、図12(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した図である。
【0078】
本実施例のコモンレールの取付け構造においては、エンジン本体1の取付け座2に対して、レール本体3をボルト5の締結により固定するレールステー4をレール本体3とは別体で構成している。
レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向の両端には、図12(a)に示したように、レールステー4に嵌合支持される円筒形状の嵌合部14が設けられている。
レール本体3の嵌合部14の外周には、等間隔(例えば60°間隔)で複数の嵌合凸部53が鍛造加工や切削加工等により設けられている。これらの嵌合凸部53は、目視で角度ズレを確認し得る角度(例えば5°)以上となる円周方向間隔(例えば60°間隔)を隔てて設けられている。
【0079】
図12(b)に示したレールステー4Jには、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング16、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ17、18が設けられている。
レールステー4のクランプリング16の内部には、レール本体3の嵌合部14と嵌合する嵌合孔38が形成されている。このクランプリング16の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の嵌合凹部54が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の嵌合凹部54は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ17、18には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41、42が設けられている。
【0080】
本実施例のレールステー4は、図12(c)に示したように、2分割された一対のレールステー4K、4Lにより構成されている。
一対のレールステー4K、4Lのクランプリング16は、一対のクランプリング半体61、62により構成されている。
レールステー4Kには、クランプリング半体62との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体61、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ63が設けられている。
クランプリング半体61の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の嵌合凹部54および複数の部分凹部55が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の嵌合凹部54および複数の部分凹部55は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ63には、実施例1及び2と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0081】
レールステー4Lには、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体62、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ64が設けられている。
クランプリング半体62の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の部分凹部55および複数の嵌合凹部56が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の部分凹部55および複数の嵌合凹部56は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ64には、実施例1及び2と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0082】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造においては、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(60°間隔)で形成しているので、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、60°刻みとなる。
なお、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(30°間隔)で形成した場合には、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
また、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(15°間隔)で形成した場合には、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0083】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、実施例1と同様に、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度(締結方向に対する配管方向)の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)すると共に、レール本体3の嵌合部14の周方向に対するクランプリング16の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)するレールステー4をレール本体3とは別体で成形している。
また、レール本体3の嵌合部14の外周に、等間隔(例えば15°、30°、60°間隔)に複数の嵌合凸部53を設け、レールステー4のクランプリング16の内周に、複数の嵌合凸部53の中で少なくとも1つの嵌合凸部53に嵌合可能な嵌合凹部54、56および部分凹部55を設けたことにより、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【0084】
[変形例]
本実施例では、本発明を、複数の気筒を有するディーゼルエンジンの各気筒に搭載される複数のインジェクタに高圧燃料を分配するコモンレールの取付け構造に適用しているが、本発明を、複数の気筒を有するガソリンエンジンの各気筒に搭載される複数のインジェクタに高圧燃料を分配するデリバリパイプの取付け構造に適用しても良い。
デリバリパイプは、パイプ本体(管本体)とパイプステーとが別体で構成される。
また、レール本体3の円筒胴体部10に形成されるリークポート19に減圧弁6の代わりにプレッシャリミッタを取り付けても良い。このプレッシャリミッタは、コモンレール圧が設定値(限界設定圧力)を超えた際に開弁してコモンレール圧を限界設定圧力以下に抑えるための圧力安全弁である。また、コモンレール圧センサ7の代わりに燃料温度センサをレール本体3の円筒胴体部10に取り付けても良い。
また、レール本体3の円筒胴体部10および配管ジョイント(配管接続部)12の内部には、コモンレールの内部(蓄圧室21)と外部配管とを連通する複数の内外連通孔が形成されている。
なお、蓄圧室21よりも上流側の内外連通孔に、高圧燃料ポンプの圧送動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィスを設けても良い。また、蓄圧室21よりも下流側の内外連通孔に、インジェクタの噴射動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィスを設けても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 エンジン本体(固定部材)
2 取付け座(エンジン側の固定部材)
3 レール本体(管本体)
4 ステー(レールステー)
5 ボルト(締結体)
10 円筒胴体部
12 配管ジョイント(配管接続部)
14 嵌合部
16 クランプリング(固定部)
31 6角孔(多角孔)
32 6角孔(多角孔)
51 嵌合凹部
52 嵌合凸部
53 嵌合凸部
54 嵌合凹部
55 部分凹部(嵌合凹部)
56 嵌合凹部
61 クランプリング半体(第1固定部)
62 クランプリング半体(第2固定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材に対して、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定する燃料分配管の取付け構造に関するもので、特に固定部材に対して、内燃機関の各気筒に燃料を分配するコモンレールまたはデリバリパイプを固定するコモンレールまたはデリバリパイプの取付け構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、例えば複数の気筒を有するディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に燃料を供給する内燃機関の燃料供給装置として、高圧燃料を蓄圧するコモンレールを備え、このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、エンジンの各気筒に搭載されたインジェクタに分配供給するコモンレール式燃料噴射システムが公知である。
このような燃料噴射システムに使用されるコモンレールは、図13および図14に示したように、円筒パイプ形状のレール本体101と配管接続部102とステー103とを鍛造型を用いた鍛造成形によって一体的に形成されている。
レール本体101の内部には、一方の機能部品接続部側から他方の機能部品接続部側へ向けて長手方向に真っ直ぐに延びる蓄圧室104が形成されている。
レール本体101および配管接続部102の内部には、コモンレールの内部(蓄圧室104)と外部とを連通する複数の内外連通孔105、106が形成されている。
【0003】
また、蓄圧室104よりも上流側の内外連通孔105には、高圧燃料ポンプの圧送動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィス107が形成されている。
また、蓄圧室104よりも下流側の内外連通孔106には、インジェクタの噴射動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィス108が形成されている。
また、高強度の材料から製造されるレール本体に、別体の鋳造部材または旋削部材として製造される配管接続部とステーとを、ダイカスト法を用いて結合一体化したコモンレールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、高強度の材料から製造されるレール本体に、別体化された配管接続部とステーとを、溶接により接合一体化したコモンレールも知られている。
そして、コモンレールは、ステーを介して、エンジン本体の取付け座にボルトによる締結により固定されている。
【0004】
[従来の技術の不具合]
ところが、従来のコモンレールにおいては、エンジン毎にコモンレールの搭載環境、取付け条件が異なることが多いため、レール形状は、取付け穴、取付け間隔、配管方向等、そのエンジンのみに搭載できる形態になっている。これにより、コモンレールは、他機種のエンジンへの転用が困難となるという問題がある。
なお、ガソリンエンジンでは、コモンレールの代わりにデリバリパイプを用いるが、コモンレールと同様な問題が生じている。
【0005】
ここで、鍛造工程および切削加工により一体的に形成されるレール本体とステーとを別体化し、更に、ステーに、レール本体の被支持部の周囲を周方向に取り囲むリング状のレール支持部の内周にローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。また、レール本体の被支持部の外周にレール支持部の刻みに係合可能なローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。
以上のような構造を採用することで、エンジン本体の取付け座に対する、レール本体の搭載角度の調整が可能となるようにレール本体を支持するステーが考えられる。
レール本体の搭載角度の調整は、レール本体の周方向に対する、別体化されたステーの取付け角度を任意の角度に変更できるようにすることで実現できる。
【0006】
ところが、ローレットのような刻みがあまりに細か過ぎると、レール本体の配管方向とステーの締結部との角度が正規の状態からずれることに、所謂アライメントずれに気づき難くなる。すなわち、レール本体とステーとが正規の組付位置で組み付けられているか否かが判別し難く、正規の組付位置からズレた状態でレール本体とステーとが組み付けられて、後工程に進み、別体化されたステーを介して、エンジン本体の取付け座にレール本体をボルト締結により固定する際に、エンジン本体の取付け座に対してコモンレールが不完全な状態で組み付けられてしまう。
したがって、エンジン本体の取付け座にコモンレールを正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができなくなるという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−533386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、固定部材に対する管本体の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体に対するステーの取付け角度の正規の角度が、目視で分かり易くすることで、アライメントずれに気づき易くすることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
また、管本体とステーとの組合わせと、管本体とステーとの取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体を搭載できる可能性を高めることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
また、固定部材に対して管本体を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材への管本体の搭載を考える上での自由度を高めることのできる燃料分配管の取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16)を有している。
管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)の固定部形状は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成されている。
なお、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)の固定部形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
また、管本体(3)の形状を標準化することができるので、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図ることができる。
また、燃料分配管を固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることにより、燃料分配管の固定部材(1、2)への搭載性を向上することができる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、管本体(3)の配管方向の傾斜角度を設定できる。
また、同一仕様、同一形状、寸法の管本体(3)でありながらも、搭載形態の異なる多数種の機種に燃料分配管を取り付けることができる。これにより、燃料分配管の他機種への転用を容易に行うことができる。
また、管本体(3)とステー(4)との組合わせと、管本体(3)とステー(4)との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体(3)を搭載できる可能性を高めることができる。
また、固定部材に対して管本体(3)を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ステーの固定部の内部に、管本体(3)の嵌合部(14)に嵌合可能な多角孔(31〜34)を形成している。これにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度に合わせて、管本体(3)の嵌合部(14)に対するステー(4)の固定部(16)の取付け角度を調整できる。
すなわち、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体(3)であっても、管本体(3)の嵌合部(14)とステー(4)の固定部(多角孔)との嵌合位置(嵌合角度)を変更すると、60°、30°、15°…と傾斜した嵌合部(14)を有する管本体(3)を製作したのと同じになる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状として、15°刻み角度の12角形を採用した場合には、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載可能性をかなり拡大できる。また、24角形等の角数を増やせば、7.5°と刻み角度を更に細かくできるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載可能性をより拡大できる。
なお、管本体(3)の嵌合部(14)の傾斜とは、嵌合部(14)の周方向に隣接する平面部間の交差角度のことである。
【0012】
請求項3に記載の発明(燃料分配管の取付け構造)は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16、61、62)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有している。
管本体(3)の嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を有している。
ステー(4)の固定部(16、61、62)は、複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を有している。
なお、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0013】
請求項4に記載の発明(燃料分配管の取付け構造)は、内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造である。
燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、固定部材(1、2)に管本体(3)を固定するステー(4)とを備えている。
管本体(3)は、ステー(4)の固定部(16、61、62)に嵌合支持される嵌合部(14)を有している。
ステー(4)は、管本体(3)の嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有している。
管本体(3)の嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を有している。
ステー(4)の固定部(16、61、62)は、複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を有している。
なお、ステー(4)の固定部(16、61、62)を、管本体(3)の嵌合部(14)の全周を周方向に取り囲むように円環状に形成しても良い。また、ステー(4)の固定部(16、61、62)を、管本体(3)の嵌合部(14)の周囲(例えば半周)を部分的に周方向に取り囲むように半円環状に形成しても良い。
【0014】
請求項3および請求項4に記載の発明によれば、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(嵌合凸部)を設け、ステー(4)の固定部(16)に、複数の嵌合凹部(嵌合凸部)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(嵌合凸部)に嵌合可能な嵌合凸部(嵌合凹部)を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の正規の角度、あるいは管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
また、管本体(3)の形状を標準化することができるので、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図ることができる。
また、燃料分配管を固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることにより、燃料分配管の固定部材(1、2)への搭載性を向上することができる。
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、レール本体の配管方向の傾斜角度を設定できる。
また、同一仕様、同一形状、寸法の管本体(3)でありながらも、搭載形態の異なる多数種の機種に燃料分配管を取り付けることができる。これにより、燃料分配管の他機種への転用を容易に行うことができる
また、管本体(3)とステー(4)との組合わせと、管本体(3)とステー(4)との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数種の固定部材(例えば複数機種のエンジン)に同一形状の管本体(3)を搭載できる可能性を高めることができる。
また、固定部材に対して管本体(3)を、ある程度、任意の角度で固定できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、目視で角度ズレを確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことである。なお、刻み角度とは、管本体(3)の嵌合部(14)の周方向におけるステー(4)の固定部(16)の取付け角度のことである。
そして、5°以上の刻み角度で、管本体(3)に対する外部配管の配管方向の傾斜角度を設定できるので、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体(3)で、取付け角度が異なる複数機種の固定部材(1、2)に使用することが可能となる。また、例えば円筒胴体部の外周から複数の配管接続部が径方向外側へ突出した形状の管本体(3)を共通で作ることができる。また、複数の配管接続部と複数のステー(4)とを一体で成形した形状の管本体(3)と比べて、作り易い形状になる。
ここで、ローレット等のように極めて刻み角度が細かすぎると、固定部材(1、2)に対する、管本体(3)の組み付け時のアライメントずれに気づかないので、目視で角度ズレを判定するには、取付け角度が5°以上は必要と思われる。
数度〜十数度の刻み角度であれば、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載上の干渉(例えば内燃機関の周辺に配置される他の部材との干渉)の制約を解消し易くなる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、ステー(4)に、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載角度の調整が可能となるように管本体(3)の嵌合部(14)を支持する固定部を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載自由度を向上できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載性を向上できる。
請求項7に記載の発明によれば、ステー(4)に、管本体(3)の周方向に対するステー(4)の取付け角度の調整が可能となるように管本体(3)の嵌合部(14)を支持する固定部(16)を設けたことにより、固定部材(1、2)に対する管本体(3)の搭載自由度を向上できるので、固定部材(1、2)への管本体(3)の搭載性を向上できる。
【0017】
請求項8に記載の発明によれば、管本体(3)に、管本体(3)の長手方向に対するステー(4)の取付け位置を規制する規制部を設けたことにより、管本体(3)の長手方向に対するステー(4)の取付け位置が決まる。これにより、燃料分配管が固定部材(1、2)に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができるので、燃料分配管を固定部材(1、2)に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
請求項9に記載の発明によれば、固定部材(1、2)にステー(4)を固定する締結体(5)を備えている。
請求項10に記載の発明によれば、ステー(4)に、締結体(5)により固定部材(1、2)に締結される締結部を設けている。
そして、締結体(5)が、固定部材(1、2)にステー(4)の締結部を締結固定することにより、ステー(4)を介して、固定部材(1、2)に管本体(3)が締結体(5)の締結により固定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】機能部品を装着したコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図2】(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した斜視図で、(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図3】(a)、(b)は嵌合部形状が6角形状のレール本体を示した平面部、側面図である(実施例1)。
【図4】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図5】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が30°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図6】(a)〜(d)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、側面図である(実施例1)。
【図7】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図8】(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が45°異なるレール本体を示した説明図で、(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した側面図である(実施例1)。
【図9】(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した斜視図で、(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した斜視図である(実施例1)。
【図10】(a)、(b)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、側面図で、(c)はクランプ形状が6角形状のレールステーとボルトを示した斜視図、(d)はクランプ形状が6角形状のレールステーの組付け後を示した説明図で、(e)はクランプ形状が6角形状のレールステーの組み付け前の状態を示した説明図である(実施例1)。
【図11】(a)はレール本体を示した側面図で、(b)は嵌合凸部を有するステーを示した側面図で、(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した側面図である(実施例2)。
【図12】(a)はレール本体を示した側面図で、(b)は嵌合凸部を有するステーを示した側面図で、(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した側面図である(実施例3)。
【図13】(a)、(b)はレール本体とステーを一体化したコモンレールを示した斜視図である(従来の技術)。
【図14】(a)はコモンレールを示した断面図で、(b)は(a)のA−A断面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、管本体(3)に対するステー(4)の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くすることで、アライメントずれに気づき易くするという目的を、管本体(3)の嵌合部形状およびステー(4)のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる多角形状に形成したことで実現した。
あるいは、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を設け、ステー(4)の固定部(16)に、複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を設けたことで実現した。 あるいは、管本体(3)の嵌合部(14)に、目視で角度ズレを確認し得る角度(5°、15°、30°、60°)以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を設け、ステー(4)の固定部(16、61、62)に、複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を設けたことで実現した。
また、本発明は、固定部材(1、2)に搭載する上での自由度を高めることで、固定部材(1、2)への搭載性を向上するという目的を、上述した構造を有することで実現した。
また、本発明は、他機種への転用を容易にするという目的を、上述した構造を有することで実現した。
また、本発明は、管本体(3)の形状を標準化することで、管本体(3)の形状を決めるのに手間取らず、また、機種毎に管本体(3)等を新設する必要がなく、生産性の向上およびコストの低減を図るという目的を、上述した構造を有することで実現した。
【実施例1】
【0020】
[実施例1の構成]
図1ないし図10は本発明の実施例1を示したもので、図1は機能部品を装着したコモンレールアッシーを示した図で、図2(a)および図9(a)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部に設けたレール本体を示した図で、図2(b)および図9(b)は6角形状の嵌合部を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体を含むコモンレールアッシーを示した図で、図3は嵌合部形状が6角形状のレール本体を示した図である。
【0021】
本実施例の燃料分配管の取付け構造は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の各気筒に高圧燃料を分配するコモンレール(燃料分配管)をエンジン側の固定部材(以下エンジン本体1の取付け座2と言う)に取り付けるコモンレールの取付け構造に適用される。
ここで、エンジンは、複数の気筒を有する多気筒ディーゼルエンジン(例えば直列4気筒エンジン)が採用されている。但し、多気筒ディーゼルエンジンに限定されず、多気筒ガソリンエンジンに本実施例のコモンレールを適用しても構わない。
【0022】
なお、コモンレールは、ディーゼルエンジン用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)に使用される。このコモンレール式燃料噴射システムは、自動車等の車両のエンジンルームに搭載されるもので、燃料を加圧して吐出する高圧燃料ポンプと、この高圧燃料ポンプから高圧燃料が導入されるコモンレールアッシー(以下コモンレールと略す)と、このコモンレールから高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタ(ピエゾインジェクタまたはソレノイドインジェクタ)とを備え、コモンレールの内部(蓄圧室)に蓄圧された高圧燃料を各気筒毎に搭載されたインジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
【0023】
本実施例のコモンレールは、エンジン本体1の取付け座2に所定の搭載形態で搭載される。このコモンレールは、内部に超高圧の燃料を蓄圧するレール本体3と、このレール本体3と別体で成形された複数のレールステー4と、エンジン本体1の取付け座2にレールステー4を締結により固定する複数のボルト5と、レール本体3に組み付けられる第1機能部品である減圧弁6と、レール本体3に組み付けられる第2機能部品である燃料圧力センサ(コモンレール圧センサ)7とによって構成されている。
【0024】
エンジン本体1は、自動車等のエンジンルーム内に設置されている。このエンジン本体1は、シリンダヘッド、シリンダブロックおよびヘッドカバー等によって構成されている。シリンダヘッドは、吸気バルブによって開閉される吸気ポート、および排気バルブによって開閉される排気ポートが形成されている。
シリンダブロックの内部には、例えば直列4気筒エンジンの場合、気筒配列方向に4つの燃焼室(シリンダボア)が形成されている。また、シリンダブロックの各シリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストンがその往復摺動方向に摺動自在に支持されている。
また、エンジン本体1、つまりシリンダヘッド、シリンダブロックまたはヘッドカバーのいずれかには、レールステー4を介して、レール本体3を取り付けるための取付け座2が設けられている。
なお、エンジン本体1の取付け座2には、レールステー4の取付け方向、つまりボルト5の締結方向に直交する方向に延びる平面状の取付け座面が設けられている。この取付け座2には、取付け座面で開口する取付け孔8が設けられている。この取付け孔8には、ボルト5のボルト軸部の外周に形成される雄ネジと螺合する雌ネジが設けられている。また、取付け座面の近傍のエンジン本体1の外面には、レール本体3および複数のレールステー4とエンジン本体1との干渉を防ぐための逃げ凹部9が設けられている。
【0025】
レール本体3は、各インジェクタから燃焼室内に噴射される燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器である。
レール本体3には、その軸線方向(長手方向)に真っ直ぐに延びる円筒パイプ形状の円筒胴体部(円筒部)10、この円筒胴体部10の軸線方向の両端面で開口した第1、第2取付け孔11、円筒胴体部10の外周から円筒胴体部10の長手方向に対して直交する半径方向の外側に突出する複数の配管ジョイント(配管接続部)12、およびこの円筒胴体部10の外周から円筒胴体部10の長手方向に対して直交する半径方向の外側に膨出する配管接続部13が鍛造成形や切削加工等により設けられている。
【0026】
ここで、図2(a)および図9(a)は、6角形状の嵌合部14を長手方向の両端部に設けたレール本体3を示し、図2(b)および図9(b)は6角形状の嵌合部14を長手方向の両端部と中腹部に設けたレール本体3を示している。なお、レール本体3の中腹部とは、配管ジョイント12Cと配管ジョイント12Dとの間に形成される中間円筒部のことである。
円筒胴体部10の軸線方向の2箇所または3箇所には、レールステー4に嵌合支持される多角(6角または12角)形状の嵌合部(係合部、多角部、6角部、12角部)14、およびレール本体3に対するレールステー4の軸線方向の位置を規制する複数の規制部(円環状の段差15)が切削加工等により設けられている。
また、円筒胴体部10の軸線方向の両端に配置される嵌合部14の内部には、機能部品を接続するための第1、第2取付け孔11が切削加工等により設けられている。
図示左端側の第1取付け孔には、第1機能部品である減圧弁6を螺子締結により固定するための雌ネジが形成されている。
図示右端側の第2取付け孔11には、第2機能部品であるコモンレール圧センサ7を螺子締結により固定するための雌ネジが形成されている。
【0027】
複数の配管ジョイント12のうちの1つの配管ジョイント12Aは、外部配管である高圧ポンプ配管を接続するための配管継ぎ手である。
複数の配管ジョイント12のうちの4つの配管ジョイント12B〜12Eは、外部配管である高圧インジェクタ配管を接続するための配管継ぎ手である。
配管接続部13の内周面には、外部配管である燃料戻し配管または接続管部材を接続するための雌ネジが形成されている。
これらの配管ジョイント12および配管接続部13は、切削加工によって円筒形状に形成されている。
【0028】
レールステー4には、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング(クランプ部)16、およびボルト5を用いた締結により固定される一対のフランジ(突出片、締結部、ステー部)17、18が鍛造成形またはプレス成形や切削加工等により設けられている。
複数のボルト5は、エンジン本体1の取付け座2にレールステー4の各フランジ17、18を締結により固定すると共に、レール本体3の各嵌合部14をレールステー4の各クランプリング16に締結により固定する締結体である。
複数のボルト5は、エンジン本体1の取付け座2に対する締結時に、レールステー4の各クランプリング16の内径をそれぞれ拡縮することが可能なものである。なお、エンジン本体1の取付け座2に対する締結前に、レールステー4の各クランプリング16の内径をそれぞれ拡縮しても構わない。
【0029】
ここで、減圧弁6は、エンジン制御ユニット(ECU)から印加される減圧弁(SCV)駆動信号によって電子制御されるように構成されている。
減圧弁6は、例えば自動車等の車両の減速走行時またはエンジン停止時等に速やかにコモンレールの内部圧力(所謂コモンレール圧)を高圧から低圧へ減圧させる降圧性能に優れる電磁弁である。減圧弁6が開弁すると、レール本体3のリークポート19が開放されて、コモンレールから燃料戻し配管を経て燃料タンクへ燃料が戻される。これにより、コモンレール圧が高圧から低圧へ減圧(降圧)する。
コモンレール圧センサ7は、レール本体3の内部圧力(所謂コモンレール圧)を電気信号に変換して圧力検出値としてECUに対して出力する燃料圧力検出手段である。
なお、コモンレール、特にレール本体3、レールステー4の詳細は、後述する。
【0030】
ここで、高圧燃料ポンプは、エンジンのクランクシャフトにより回転駆動されるカムシャフトと、このカムシャフトを回転自在に支持するポンプハウジングと、燃料を加圧圧送する複数のプランジャと、各プランジャを往復摺動可能に嵌挿支持する複数のシリンダとを備え、フィードポンプから加圧室内に吸入した燃料を加圧圧送するエンジン駆動式のサプライポンプである。
高圧燃料ポンプは、燃料タンクから燃料を汲み上げるフィードポンプ、このフィードポンプから供給される燃料を吸入すると共に調量する電磁式燃料調量弁(SCV)、およびこのSCVから加圧室内に供給される燃料を高圧化してコモンレール、インジェクタへ圧送するポンプエレメント(プランジャとシリンダとで構成される高圧燃料ポンプ本体)等によって構成されている。
なお、SCVは、ECUから印加されるポンプ(SCV)駆動信号によって電子制御されるように構成されている。これにより、高圧燃料ポンプから吐出される燃料吐出量および燃料噴射圧力(コモンレールの内部圧力)が制御される。
【0031】
エンジンの各気筒毎に対応して搭載されるインジェクタは、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの燃料噴射弁である。
インジェクタは、燃料を噴射する噴孔およびこの噴孔に連通する燃料流路を有し、噴孔を開閉するノズルニードルを内蔵するノズルボディと、このノズルボディの燃料流路を介して噴孔に連通する燃料流路を有するインジェクタボディと、このインジェクタボディの長軸方向の先端部にノズルボディを螺子締結により固定するリテーニングナットとを備えている。
【0032】
インジェクタボディの内部には、外部(ECU等の外部回路や外部電源)からインジェクタ(ピエゾ)駆動信号を受けるとノズルニードルを開弁方向に駆動するピエゾアクチュエータと、このピエゾアクチュエータにより駆動されてノズルニードルの背圧を制御する背圧制御機構とが収容されている。
ピエゾアクチュエータは、ピエゾ素子をその軸線方向に多数積層してなる積層体(ピエゾスタック)を備えている。ピエゾスタックは、インジェクタボディの内部に収容保持され、ECUから印加されるインジェクタ駆動信号によって電子制御されるように構成されている。これにより、各インジェクタから噴射される燃料噴射量および噴射時期が制御される。
なお、ピエゾアクチュエータの代わりに、ステータおよびアーマチャにより構成されたソレノイドアクチュエータを採用しても良い。
【0033】
ここで、コモンレールの減圧弁6、高圧燃料ポンプのSCVおよび複数のインジェクタの各ピエゾスタックへの駆動信号は、ECUによって電子制御される減圧弁駆動回路、ポンプ駆動回路およびインジェクタ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載された外部電源(バッテリ)に電気的に接続されている。
ECUには、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよび制御データを保存する記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、減圧弁駆動回路、ポンプ駆動回路およびインジェクタ駆動回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
【0034】
そして、コモンレールのレール本体3に取り付けられたコモンレール圧センサ7からのセンサ出力信号(圧力検出値)や、各種センサからのセンサ出力信号は、A/D変換回路でA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。 ここで、マイクロコンピュータの入力部には、コモンレール圧センサ7だけでなく、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ等が接続されている。これらのコモンレール圧センサ7、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ等によって、エンジンの運転状態(運転状況)を検出する運転状態検出手段が構成される。
【0035】
ECUは、イグニッションスイッチがオン(ON)すると、エンジンの運転状況(エンジン情報)およびメモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、コモンレールの減圧弁6、高圧燃料ポンプのSCVおよび複数のインジェクタの各ピエゾスタック等を電子制御するように構成されている。
また、ECUは、エンジンの運転状態(例えばエンジン回転数)に応じて、コモンレール圧を調節するため、高圧燃料ポンプによるコモンレールへの燃料吐出量(供給量)を制御する。すなわち、ECUは、エンジン情報に基づきコモンレール圧の目標値を算出すると共に、この目標値を維持するのに必要な供給量を算出する。そして、ECUは、この供給量の演算値に応じて、SCVへ与える制御指令値としての駆動電流値(ポンプ駆動信号)を算出すると共に、この駆動電流値に対応したポンプ制御信号(ポンプ指令値)を合成して出力する。
【0036】
次に、本実施例のコモンレールの詳細を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。ここで、図4(a)、(b)および図7(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が60°異なるレール本体を示した図で、図5(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が30°異なるレール本体を示した図で、図8(a)、(b)は配管方向の傾斜角度が45°異なるレール本体を示した図で、図4(c)、図5(c)、図6および図10はクランプ形状が6角形状のレールステーを示した図で、図7(c)および図8(c)はクランプ形状が12角形状のレールステーを示した図である。
【0037】
本実施例のコモンレールは、その主要構成であるレール本体3とレールステー4とを別体部品で構成されている。
レール本体3は、エンジンの各気筒に搭載された複数のインジェクタに対して高圧燃料を分配する燃料分配管本体である。また、レール本体3は、例えば炭素鋼(クロム・モリブデン鋼等)よりなる金属材料によって円筒形状に形成された鉄系の円筒金属体(鍛造成形品)である。このレール本体3は、高圧燃料の圧力に対して変形しない程度の硬度(剛性)を有している。
【0038】
レール本体3は、円筒胴体部10、複数の配管ジョイント12、および配管接続部13を熱間鍛造によって一体に設けた円筒管本体である。
レール本体3には、燃料孔である蓄圧室21(図14参照)の長手方向(軸線方向)に対して直交する半径方向に複数の内外連通孔が形成されている。これらの内外連通孔は、レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向に所定の軸方向間隔を隔てて配置された配管ジョイント12の中心に孔開け加工した燃料流路孔である。
【0039】
各内外連通孔の奥側は、蓄圧室21の内壁面で開口している。また、各内外連通孔の外側は、配管ジョイント12の先端中心部において開口している。
具体的に、配管ジョイント12の先端面には、高圧ポンプ配管および高圧インジェクタ配管の先端に形成された先細テーパ面が差し込まれる円錐テーパ状の受圧座面が形成されており、この受圧座面の底部において各内外連通孔の外側(インレットポート22またはアウトレットポート23)が開口している。
円筒胴体部10の中心部には、高圧燃料を蓄圧する蓄圧室21が長手方向(軸線方向)に貫通するように形成されている。なお、蓄圧室21の軸芯は、円筒胴体部10の外径の中心であっても構わないし、また、円筒胴体部10の外径の中心から所定量オフセットしたものであっても構わない。
円筒胴体部10には、外部配管と接続する複数の配管ジョイント12とが一体的に形成されている。
【0040】
複数の配管ジョイント12の中で、蓄圧室21よりも燃料流方向の上流側に位置する配管ジョイント12のインレットポート22は、外部配管である高圧ポンプ配管を介して、高圧燃料ポンプの吐出ポートに接続している。
複数の配管ジョイント12の中で、蓄圧室21よりも燃料流方向の下流側に位置する配管ジョイント12のアウトレットポート23は、外部配管である高圧インジェクタ配管を介して、インジェクタのインレットポートに接続している。
なお、配管ジョイント12の外周面には、高圧ポンプ配管および高圧インジェクタ配管の接続端に設けられた配管ナットを螺子締結するための雄ネジが形成される。
配管接続部13の内周面には、燃料戻し配管の接続端に設けられた接続部材を螺子締結するための雌ネジが形成される。
【0041】
ここで、レール本体3の円筒胴体部10には、図2および図9に示したように、エンジン本体1の取付け座2にレール本体3を安定して固定できるように、しかも不完全な状態で組み付けられないように、2箇所または3箇所に、レールステー4のクランプリング16に嵌合支持される嵌合部14がそれぞれ設けられている。
嵌合部14は、図1ないし図5および図9に示したように、レール本体3の円筒胴体部10の長手方向に垂直な断面形状が多角(6角)形状の6角筒部であり、この6角筒部は、レール本体3の円筒胴体部10の外周方向に所定の間隔(60°間隔)で設けられた複数の交差稜線、およびレール本体3の円筒胴体部10の外周方向に隣接する交差稜線間に設けられた複数の平面部を有している。
嵌合部14は、図7および図8に示したように、レール本体3の円筒胴体部10の長手方向に垂直な断面形状が多角(12角)形状の12角筒部であり、この12角筒部は、レール本体3の円筒胴体部10の外周方向に所定の間隔(30°間隔)で設けられた複数の交差稜線、およびレール本体3の円筒胴体部10の外周方向に隣接する交差稜線間に設けられた複数の平面部を有している。
【0042】
また、レール本体3の円筒胴体部10には、円筒胴体部10の長手方向に対するレールステー4のクランプリング16の取付け位置を規制する複数の規制部(円環状の段差15)が設けられている。これらの段差15は、嵌合部14の配管ジョイント12側に隣接するようにそれぞれ設けられている。
そして、レール本体3の円筒胴体部10にレールステー4のクランプリング16の環状端面を係止する段差15を設けたことにより、円筒胴体部10の長手方向に対するレールステー4のクランプリング16の取付け位置が決まる。これにより、コモンレールがエンジン本体1の取付け座2に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができるので、コモンレールをエンジン本体1の取付け座2に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
【0043】
また、図4(a)、図5(a)、図7(a)および図8(a)に示したレール本体3Aは、嵌合部形状が6角形状または12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線に対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線の傾斜角度が0°のものである。すなわち、蓄圧室21の中心から交差稜線を通る標準線上に配管ジョイント12の中心線があるものである。
すなわち、レール本体3Aは、上述したように、仕様が4気筒用のレールで、配管方向が図示上下方向の上方側のレール形状を備える。
【0044】
また、図4(b)に示したレール本体3Bは、嵌合部形状が6角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LBの傾斜角度が60°のものである。
すなわち、レール本体3Bは、上述したように、レール本体3Aと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度60°だけ傾斜したレール形状を備える。
また、図5(b)に示したレール本体3Cは、嵌合部形状が6角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LCの傾斜角度が30°のものである。
すなわち、レール本体3Cは、上述したように、レール本体3A、3Bと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度30°だけ傾斜したレール形状を備える。
したがって、例えば3種類に標準設定されたレール本体3A〜3Cは、全て同一仕様であるが、嵌合部形状が6角形状であり、しかも配管ジョイント12に接続する外部配管の配管方向が互いに異なるものである。
【0045】
また、図7(b)に示したレール本体3Bは、嵌合部形状が12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LBの傾斜角度が60°のものである。
すなわち、レール本体3Bは、上述したように、レール本体3Aと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度60°だけ傾斜したレール形状を備える。
また、図8(b)に示したレール本体3Dは、嵌合部形状が12角形状であり、しかも蓄圧室21の中心から図示上下方向に位置する交差稜線を通る標準線LAに対して、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向、つまり円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向の中心線LDの傾斜角度が45°のものである。
すなわち、レール本体3Dは、上述したように、レール本体3A、3Bと同一仕様で、配管方向が図示上下方向に対して角度45°だけ傾斜したレール形状を備える。
したがって、例えば3種類に標準設定されたレール本体3A、3Bおよび3Dは、全て同一仕様であるが、嵌合部形状が12角形状であり、しかも配管ジョイント12に接続する外部配管の配管方向が互いに異なるものである。
【0046】
レールステー4は、例えばアルミニウム合金や鉄系の金属材料によって一体的に形成されている。これらのレールステー4は、レール本体3の各嵌合部14をそれぞれ嵌合支持(クランプ)するC字状のクランプリング16と、レール本体3をエンジン本体1の取付け座2に装着するための一対のフランジ17、18とを一体化した別体ステー(ブラケット)である。
クランプリング16は、レールステー4の内周方向に所定の間隔(ピッチ)で設けられた複数の嵌合溝、およびレールステー4の内周方向に隣接する嵌合溝間に設けられた複数の平面部を有している。複数の嵌合溝は、レール本体3の嵌合部14の各交差稜線と選択的に嵌合可能なものである。
【0047】
図1、図2、図4ないし図6に示したレールステー4A、4Bの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分円環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、6角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(6角孔)31、32が形成されている。また、各6角孔31、32は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(6角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4A、4Bの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、60°間隔で、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
【0048】
レールステー4Aのクランプリング16は、部分円環形状に形成されている。
レールステー4Bのクランプリング16は、部分角環形状に形成されている。
レールステー4Aのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線BLが60°の交差角度を有している。 レールステー4Bのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線CLが30°の交差角度を有している。 以上のように、レールステー4の多角孔(6角孔)の向きを2種類作ることで、多角孔の半分の角度刻みで取付け角度の調整が可能である。すなわち、レールステー4A、4Bの代表2種類を標準設定すれば、6角形状の嵌合部14を有するレール本体3A〜3Cの配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
【0049】
図7および図8に示したレールステー4C、4Dの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分円環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、12角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(12角孔)33、34が形成されている。また、各12角孔33、34は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(12角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4C、4Dの各クランプリング16は、レール本体3A、3Bおよび3Dのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、30°間隔で、レール本体3A、3Bおよび3Dのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
以上のように、レールステー4の多角孔(12角孔)の向きを2種類作ることで、多角孔の半分の角度刻みで取付け角度の調整が可能である。すなわち、レールステー4C、4Dの代表2種類を標準設定すれば、12角形状の嵌合部14を有するレール本体3A、3Bおよび3Dの配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0050】
図9および図10に示したレールステー4E、4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の全周を周方向に取り囲むように部分角環状に形成されている。これらのクランプリング16の内部には、6角形状の嵌合部14の外周に嵌合可能な多角孔(6角孔)35、36が形成されている。また、各6角孔35、36は、嵌合部14の外周形状に対応した多角孔(6角孔)形状に形成されている。
ここで、レールステー4E、4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14と嵌合可能である。これらのクランプリング16は、30°間隔で、レール本体3A〜3Cのいずれかの各嵌合部14の周方向に対して取付け角度の調整が可能である。
【0051】
レールステー4E、4Fのクランプリング16は、部分角環形状に形成されている。
レールステー4Eのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線CLが30°の交差角度を有している。 レールステー4Fのクランプリング16は、図示上下方向に延びる基準線ALに対してクランプリング16の中心と嵌合溝を通る基準線DLが15°の交差角度を有している。 以上のように、レールステー4E、4Fの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3A〜3Cの配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0052】
レールステー4A、4C、4Eのクランプリング16には、このクランプリング16の内径を拡縮する際のヒンジ部45、46が一体で設けられている。
レールステー4B、4D、4Fのクランプリング16には、このクランプリング16の内径を拡縮する際のヒンジ部47が一体で設けられている。
レールステー4は、互いに所定の隙間を隔てて対向して配置される一対のフランジ17、18を有している。なお、一対のフランジ17、18間に隙間がなくても良い。
【0053】
一対のフランジ17、18は、各クランプリング16の周方向の両端から、ボルト5の締結方向に対して直交する半径方向の外側に延伸するように設けられている。これらのフランジ17、18は、エンジン本体1の取付け座2にボルト5により締結される締結部(取付け部)を構成している。また、一対のフランジ17、18には、ボルト5のボルト軸部がその軸線方向(締結方向)に貫通するボルト挿通孔41、42が形成されている。
フランジ17の表面には、ボルト挿通孔41の周囲に円環状のボルト座面43が設けられている。ボルト座面43には、ボルト5のボルト頭部が当接する。これにより、ボルト5のボルト頭部にボルト座面43が係止される。
フランジ18の表面には、ボルト挿通孔42の周囲に円環状の取付け座面が設けられている。取付け座面には、エンジン本体1の取付け座2に当接する。
これらのボルト挿通孔41、42およびボルト座面43、取付け座面は、切削加工によって形成しても良いし、プレス成形によって形成しても良い。
【0054】
[実施例1の固定方法]
次に、本実施例のエンジンに対するコモンレールの固定方法を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。
【0055】
先ず、炭素鋼等の金属を鋳造することで、レール本体用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造する。そして、鍛造成形品に切削加工等を施すことにより、円筒胴体部10、配管ジョイント12および配管接続部13を有するレール本体3が製造される。
レール本体3は、例えば熱間鍛造および切削加工により一体的に形成されている。具体的には、精密鍛造技術を用いれば熱間鍛造のみにても成形が可能であるが、一般的には、熱間鍛造の後に切削加工を行って形成される。
次に、金属を鋳造することで、レール本体用のインゴット(金属塊)を作り、このインゴットを鍛造型に入れて熱間鍛造したり、成形機でプレス成形する。そして、成形品に切削加工等を施すことにより、C字状のクランプリング16および一対のフランジ17、18を有するレールステー4が製造される。
【0056】
次に、当該エンジン機種における、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対して直交するボルト5の締結方向(レールステー4の各フランジ17、18の取付け方向)と、円筒胴体部10の周方向に対する配管方向(円筒胴体部10の外周面からの配管ジョイント12の突出方向)との位置関係に合わせて、レール本体3の各嵌合部14と複数のレールステー4の各クランプリング16との取付け角度を調整する。
レール本体3の各嵌合部14の周方向に対する、レールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整は、上述したように、60°間隔または30°間隔または15°間隔で実施できる。
【0057】
レール本体3の各嵌合部14の周方向に対する、レールステー4の各クランプリング16の取付け角度が決定したら、レールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)を拡げて、つまりクランプリング16の内径を拡げて、クランプリング16をレール本体3の嵌合部14の周囲に嵌め合わせる。
このとき、レールステー4の各クランプリング16が有する弾性変形力によりレールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)が狭くなり、嵌合部14とクランプリング16が嵌合する。
あるいはフランジ18のボルト挿通孔42に雌ネジが形成されている場合は、ボルト5をボルト挿通孔41を挿通した後にボルト挿通孔42の雌ネジに螺合させることで、ボルト5による締結で、レールステー4のクランプリング16の周方向の両端(一対のフランジ17、18の間隔)を狭して、嵌合部14とクランプリング16を嵌合させるようにしても良い。
【0058】
次に、一対のフランジ17、18の各ボルト挿通孔41、42にボルト5のボルト軸部を通し、ボルト5のボルト軸部の先端外周の雄ネジを、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面で開口した取付け孔8の雌ネジに螺合させて、締結することにより、クランプリング16の内径をより収縮させる。これにより、レールステー4のクランプリング16がレール本体3の嵌合部14をその径方向の外側から握り締めるように嵌合支持する。
同時に、レールステー4を介して、エンジン本体1の取付け座2にコモンレールが固定される。このとき、レール本体3は、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対して、所定の搭載角度で固定される。
【0059】
[実施例1の特徴]
ここで、従来のコモンレールにおいては、エンジン毎にコモンレールの搭載環境、取付け条件が異なることが多いため、レール形状は、取付け穴、取付け間隔、配管方向等、そのエンジンのみに搭載できる形態になっている。これにより、コモンレールは、他機種のエンジンへの転用が困難となるという問題がある。
また、外部配管の配管方向、つまりレール本体の周方向における配管接続部の突出方向と、レール本体の周方向におけるレールステーの突出方向との角度だけが異なるレール形状や、エンジン本体の取付け座に締結される取付け部の形状だけが異なるレール形状も存在しており、レール本体の円筒胴体部および配管接続部が同一仕様(形状が同一、個数が同一、大きさが同一)であっても、別々のコモンレールとして製作しているのが現状である。
【0060】
また、コモンレールを設計するには、エンジン周辺の部品配置を考える必要がある。例えばエンジンの周辺に配置される他の部材とコモンールおよび外部配管とが干渉しないように、省スペースでの搭載検討となる。このため、レール形状(配管方向、取付け位置、搭載角度等)が、そのエンジン機種特有のものになり、レール形状の種類が無数に発生してしまい、コストアップとなる。
また、コモンレールの加工上では、レール形状を決定するのに手間取り、結局コモンレールアッシーが完成するまでの時間が非常に長くかかってしまい、コストアップとなる。 また、他に転用が利かないそのエンジンの機種特有のレール形状を、鍛造型から新設し、機能部品の第1、第2取付け孔、内外連通孔等を切削等の加工基準にするため、色々な加工治具も新設する必要がある。
【0061】
以上のような鍛造型の新設および加工治具の新設を、コモンレールを使用するエンジンの機種毎に繰り返すことになり、生産性が悪化する。
なお、ガソリンエンジンでは、コモンレールの代わりにデリバリパイプを用いるが、コモンレールと同様な問題が生じている。
ここで、鍛造工程および切削工程により一体的に形成されるレール本体とレールステーとを別体化し、更に、レールステーに、レール本体の被支持部の周囲を周方向に取り囲むリング状のレール支持部の内周にローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。また、レール本体の被支持部の外周にレール支持部の刻みに係合可能なローレットのような細かい刻み(凹部、凸部)を付ける。
以上のような構造を採用することで、エンジン本体の取付け座に対する、レール本体の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体を支持するレールステーが考えられる。
【0062】
ところが、ローレットのような刻みがあまりに細か過ぎると、レール本体の配管方向とレールステーの締結部との角度が正規の状態からずれることに、所謂アライメントずれに気づき難くなる。また、レール本体の軸線方向の両端の被支持部にレールステーが取り付けられる場合、両側のレールステーでレール本体に対する取付け角度が異なっていることに気づき難くなる。
すなわち、レール本体とレールステーとが正規の組付位置で組み付けられているか否かが判別し難く、正規の組付位置からズレた状態でレール本体とレールステーとが組み付けられて、後工程に進み、別体化されたレールステーを介して、エンジン本体の取付け座にレール本体をボルト締結により固定する際に、エンジン本体の取付け座に対してコモンレールが不完全な状態で組み付けられてしまう。
したがって、エンジン本体の取付け座にコモンレールを正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができなくなるという懸念がある。
【0063】
そこで、本実施例のコモンレールは、上述したように、嵌合部形状が6角形状のレール本体3A〜3Cとクランプ形状が6角形状または12角形状のレールステー4A〜4Fとを別体部品で構成している。
そして、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14は、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16に支持固定されるように構成されている。
また、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16は、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14と嵌合可能で、且つレール本体3A〜3Cの各嵌合部14の周方向に対するレールステー4A〜4Fの取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3A〜3Cの各嵌合部14を支持するように構成されている。
また、レールステー4A〜4Fの各クランプリング16は、エンジン本体1の取付け座2に対する、レール本体3A〜3Cの搭載角度の調整が可能となるようにレール本体3A〜3Cの各嵌合部14を支持するように構成されている。
【0064】
また、レール本体3A〜3Cの嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状は、目視で、レール本体3A〜3Cとレールステー4との取付け角度の角度ズレを容易に確認し得る角度以上となる多角形状(6角形状または12角形状)に形成されている。
なお、目視で角度ズレを容易に確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことである。また、刻み角度とは、レール本体3A〜3Cの各嵌合部14の周方向におけるレールステー4の各クランプリング16の取付け角度のことである。
そして、5°以上の刻み角度で、レール本体3A〜3Cに対する外部配管の配管方向の傾斜角度を設定できるので、同一仕様で、同一形状、寸法のレール本体3A〜3Cのいずれかで、取付け角度が異なる複数機種のエンジンに使用することが可能となる。
【0065】
また、例えば円筒胴体部10の外周から複数の配管ジョイント12が半径方向外側へ突出した形状のレール本体3A〜3Cを共通で作ることができる。また、複数の配管ジョイントと複数のレールステーとを一体で成形した形状のレール本体(従来の技術)と比べて、非常に作り易い形状になる。
ここで、ローレット等のように極めて刻み角度が細かすぎると、エンジン本体1の取付け座2に対する、レール本体3A〜3Cの組み付け時のアライメントずれに気づかないので、目視で角度ズレを判定するには、取付け角度が5°以上は必要と思われる。
数度〜十数度の刻み角度であれば、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3A〜3Cの搭載上の干渉(例えばエンジン本体1の周辺に配置される他の部材との干渉)の制約を解消し易くなる。
【0066】
また、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3のの各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整が可能となるので、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3の搭載角度の調整が可能となる。したがって、エンジン本体1の取付け座2に対してレール本体3を搭載する上での自由度、つまりエンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載自由度を向上できるので、エンジン本体1の取付け座2へのレール本体3の搭載性を向上できる。
また、レール本体3の各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度の調整が可能となり、エンジン本体1の取付け座2の取付け座面に対するレール本体3の搭載角度の調整が可能となるので、同一仕様で、同一形状、寸法の管本体を様々な搭載角度のエンジン本体1の取付け座2に対して使用できるようになる。
【0067】
また、角度刻みが細か過ぎないので、エンジン本体1の取付け座2への管本体の組付け時に正規の角度が目視で分かり易くなるので、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度の間違いや、エンジン本体1の取付け座2とレールステー4のフランジ17、18との間に大きな隙間が形成されたりする等の誤組付けを防止できる。
また、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成したことにより、角度刻みが細か過ぎないので、エンジン本体1の取付け座2への組み付け時に正規の角度(エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の取付け角度およびレール本体3の各嵌合部14の周方向に対するレールステー4の各クランプリング16の取付け角度)が目視で分かり易くなる。
また、レール本体3の形状を標準化できるので、レール本体3およびレールステー4を複数機種のエンジンに共通使用できる。これにより、鍛造型の新設および加工治具の新設を最小限に抑えることができるので、コモンレールの生産性を向上できるので、製造コストを低減できる。
【0068】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、レール本体3の嵌合部形状およびレールステー4のクランプ形状を、目視で角度ズレを確認し得る角度5°以上となる多角形状に形成したことにより、レール本体3の嵌合部14の周方向に対する、レールステー4のクランプリング16の取付け角度の正規の角度が目視で分かり易くなる。これにより、アライメントずれに気づき易くすることができるので、コモンレールがエンジン本体1の取付け座2に不完全な状態で組み付けられるのを防止することができる。したがって、コモンレールをエンジン本体1の取付け座2に正規の搭載状態(搭載形態)で取り付けることができる。
【0069】
また、目視で角度ズレを確認し得る角度間隔で、レール本体3の配管方向および締結方向の傾斜角度を設定できる。
また、レール本体3とレールステー4とを別体で構成することにより、レール本体3の形状およびレールステー4の形状を標準化(標準設定)することができる。これにより、レール本体3の形状やレールステー4の形状を決めるのに手間を取ることはなく、また、エンジンの機種毎にレール本体3等を新設する必要はない。したがって、生産性を向上でき、製造コストを低減できる。
また、15°、30°、60°等の刻み角度で配管方向および締結方向の傾斜角度を設定できるので、エンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの搭載上の干渉(例えばエンジンの周辺に配置される他の部材とコモンレールおよび外部配管との干渉)などの制約を解消し易くなる。これにより、エンジン本体1の取付け座2にコモンレールを搭載する上での自由度(搭載自由度)を高めることができるので、エンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの搭載性を向上することができる。
また、同一仕様、同一形状、寸法のレール本体3でありながらも、搭載形態の異なる多数種のエンジン機種にコモンレールを取り付けることができる。これにより、コモンレールの他機種への転用を容易に行うことができる。
また、レール本体3とレールステー4との組合わせと、レール本体3とレールステー4との取付け状態とを変えるだけで、搭載形態の異なる複数機種のエンジンに同一形状のレール本体3を搭載できる可能性を高めることができる。
また、エンジン本体1の取付け座2に対してレール本体3を、ある程度、任意の搭載角度で固定できるので、エンジン本体1の取付け座2へのレール本体3の搭載を考える上での自由度を高めることができる。
【実施例2】
【0070】
図11は本発明の実施例2を示したもので、図11(a)はレール本体を示した図で、図11(b)は嵌合凸部を有するレールステーを示した図で、図11(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した図である。
【0071】
本実施例のコモンレールの取付け構造においては、エンジン本体1の取付け座2に対して、レール本体3をボルト5の締結により固定するレールステー4をレール本体3とは別体で構成している。
レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向の両端には、図11(a)に示したように、レールステー4に嵌合支持される円筒形状の嵌合部14が設けられている。
レール本体3の嵌合部14の外周には、等間隔(例えば60°間隔)で複数の嵌合凹部51が鍛造加工や切削加工等により設けられている。これらの嵌合凹部51は、目視で角度ズレを確認し得る角度(例えば5°)以上となる円周方向間隔(例えば60°間隔)を隔てて設けられている。
【0072】
図11(b)に示したレールステー4Gには、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング16、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ17、18が設けられている。
レールステー4のクランプリング16の内部には、レール本体3の嵌合部14と嵌合する嵌合孔37が形成されている。このクランプリング16の内周には、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。
一対のフランジ17、18には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41、42が設けられている。
【0073】
本実施例のレールステー4は、図11(c)に示したように、2分割された一対のレールステー4H、4Iにより構成されている。
一対のレールステー4H、4Iのクランプリング16は、一対のクランプリング半体61、62により構成されている。
レールステー4Hには、クランプリング半体61、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ63が設けられている。
クランプリング半体61は、クランプリング半体62との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプする半円弧状(半円環状)の第1固定部である。このクランプリング半体61の内周には、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。 一対のフランジ63には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0074】
レールステー4Iには、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体62、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ64が設けられている。
クランプリング半体62は、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプする半円弧状(半円環状)の第2固定部である。このクランプリング半体62の内周には、嵌合凸部52が設けられていない。なお、クランプリング半体62の内周に、複数の嵌合凹部51の中で、少なくとも1つの嵌合凹部51と嵌合する嵌合凸部52を鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けても良い。
一対のフランジ64には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔42がそれぞれ設けられている。
【0075】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造においては、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(60°間隔)で形成しているので、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、60°刻みとなる。
なお、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(30°間隔)で形成した場合には、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
また、複数の嵌合凹部51をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(15°間隔)で形成した場合には、レールステー4Gまたは一対のレールステー4H、4Iの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0076】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、実施例1と同様に、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度(締結方向に対する配管方向)の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)すると共に、レール本体3の嵌合部14の周方向に対するクランプリング16の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)するレールステー4をレール本体3とは別体で成形している。
また、レール本体3の嵌合部14の外周に、等間隔(例えば15°、30°、60°間隔)に複数の嵌合凹部51を設け、レールステー4のクランプリング16の内周に、複数の嵌合凹部51の中で少なくとも1つの嵌合凹部51に嵌合可能な嵌合凸部52を設けたことにより、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【実施例3】
【0077】
図12は本発明の実施例3を示したもので、図12(a)はレール本体を示した図で、図12(b)は嵌合凸部を有するステーを示した図で、図12(c)は嵌合凸部を有する一対のレールステーを示した図である。
【0078】
本実施例のコモンレールの取付け構造においては、エンジン本体1の取付け座2に対して、レール本体3をボルト5の締結により固定するレールステー4をレール本体3とは別体で構成している。
レール本体3の円筒胴体部10の軸線方向の両端には、図12(a)に示したように、レールステー4に嵌合支持される円筒形状の嵌合部14が設けられている。
レール本体3の嵌合部14の外周には、等間隔(例えば60°間隔)で複数の嵌合凸部53が鍛造加工や切削加工等により設けられている。これらの嵌合凸部53は、目視で角度ズレを確認し得る角度(例えば5°)以上となる円周方向間隔(例えば60°間隔)を隔てて設けられている。
【0079】
図12(b)に示したレールステー4Jには、レール本体3の嵌合部14をクランプするC字状のクランプリング16、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ17、18が設けられている。
レールステー4のクランプリング16の内部には、レール本体3の嵌合部14と嵌合する嵌合孔38が形成されている。このクランプリング16の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の嵌合凹部54が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の嵌合凹部54は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ17、18には、実施例1と同様に、ボルト挿通孔41、42が設けられている。
【0080】
本実施例のレールステー4は、図12(c)に示したように、2分割された一対のレールステー4K、4Lにより構成されている。
一対のレールステー4K、4Lのクランプリング16は、一対のクランプリング半体61、62により構成されている。
レールステー4Kには、クランプリング半体62との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体61、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ63が設けられている。
クランプリング半体61の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の嵌合凹部54および複数の部分凹部55が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の嵌合凹部54および複数の部分凹部55は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ63には、実施例1及び2と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0081】
レールステー4Lには、クランプリング半体61との間でレール本体3の嵌合部14を挟み込んでクランプするクランプリング半体62、およびボルト5の締結により固定される一対のフランジ64が設けられている。
クランプリング半体62の内周には、複数の嵌合凸部53の中で、少なくとも1つの嵌合凸部53と嵌合する複数の部分凹部55および複数の嵌合凹部56が鍛造成形またはプレス加工や切削加工等により設けられている。複数の部分凹部55および複数の嵌合凹部56は、嵌合凸部53と同様に、等間隔(例えば60°間隔)で設けられている。
一対のフランジ64には、実施例1及び2と同様に、ボルト挿通孔41がそれぞれ設けられている。
【0082】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造においては、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(60°間隔)で形成しているので、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、60°刻みとなる。
なお、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(30°間隔)で形成した場合には、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、30°刻みとなる。
また、複数の嵌合凸部53をレール本体3の嵌合部14の円周方向に等間隔(15°間隔)で形成した場合には、レールステー4Jまたは一対のレールステー4K、4Lの代表2種類を標準設定すれば、レール本体3の配管方向の傾斜は、15°刻みとなる。
【0083】
以上のように、本実施例のコモンレールの取付け構造、つまりエンジン本体1の取付け座2へのコモンレールの固定方法においては、実施例1と同様に、エンジン本体1の取付け座2に対するレール本体3の搭載角度(締結方向に対する配管方向)の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)すると共に、レール本体3の嵌合部14の周方向に対するクランプリング16の取付け角度の調整が可能となるようにレール本体3の嵌合部14を嵌合支持(保持)するレールステー4をレール本体3とは別体で成形している。
また、レール本体3の嵌合部14の外周に、等間隔(例えば15°、30°、60°間隔)に複数の嵌合凸部53を設け、レールステー4のクランプリング16の内周に、複数の嵌合凸部53の中で少なくとも1つの嵌合凸部53に嵌合可能な嵌合凹部54、56および部分凹部55を設けたことにより、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【0084】
[変形例]
本実施例では、本発明を、複数の気筒を有するディーゼルエンジンの各気筒に搭載される複数のインジェクタに高圧燃料を分配するコモンレールの取付け構造に適用しているが、本発明を、複数の気筒を有するガソリンエンジンの各気筒に搭載される複数のインジェクタに高圧燃料を分配するデリバリパイプの取付け構造に適用しても良い。
デリバリパイプは、パイプ本体(管本体)とパイプステーとが別体で構成される。
また、レール本体3の円筒胴体部10に形成されるリークポート19に減圧弁6の代わりにプレッシャリミッタを取り付けても良い。このプレッシャリミッタは、コモンレール圧が設定値(限界設定圧力)を超えた際に開弁してコモンレール圧を限界設定圧力以下に抑えるための圧力安全弁である。また、コモンレール圧センサ7の代わりに燃料温度センサをレール本体3の円筒胴体部10に取り付けても良い。
また、レール本体3の円筒胴体部10および配管ジョイント(配管接続部)12の内部には、コモンレールの内部(蓄圧室21)と外部配管とを連通する複数の内外連通孔が形成されている。
なお、蓄圧室21よりも上流側の内外連通孔に、高圧燃料ポンプの圧送動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィスを設けても良い。また、蓄圧室21よりも下流側の内外連通孔に、インジェクタの噴射動作に伴う圧力脈動を低減するオリフィスを設けても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 エンジン本体(固定部材)
2 取付け座(エンジン側の固定部材)
3 レール本体(管本体)
4 ステー(レールステー)
5 ボルト(締結体)
10 円筒胴体部
12 配管ジョイント(配管接続部)
14 嵌合部
16 クランプリング(固定部)
31 6角孔(多角孔)
32 6角孔(多角孔)
51 嵌合凹部
52 嵌合凸部
53 嵌合凸部
54 嵌合凹部
55 部分凹部(嵌合凹部)
56 嵌合凹部
61 クランプリング半体(第1固定部)
62 クランプリング半体(第2固定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16)を有し、
前記管本体(3)の嵌合部形状および前記ステー(4)の固定部形状は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成されていることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)の内部には、前記嵌合部(14)に嵌合可能な多角孔(31〜34)が形成されていることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項3】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有し、
前記嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を有し、
前記固定部(16、61、62)は、前記複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項4】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有し、
前記嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を有し、
前記固定部(16、61、62)は、前記複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記目視で角度ズレを確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことであることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)は、前記固定部材(1、2)に対する前記管本体(3)の搭載角度の調整が可能となるように前記嵌合部(14)を支持することを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)は、前記管本体(3)の周方向に対する前記ステー(4)の取付け角度の調整が可能となるように前記嵌合部(14)を支持することを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記管本体(3)は、前記管本体(3)の長手方向に対する前記ステー(4)の取付け位置を規制する規制部を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部材(1、2)に前記ステー(4)を固定する締結体(5)を備えたことを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記ステー(4)は、前記締結体(5)により前記固定部材(1、2)に締結される締結部を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項1】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16)を有し、
前記管本体(3)の嵌合部形状および前記ステー(4)の固定部形状は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる多角形状に形成されていることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)の内部には、前記嵌合部(14)に嵌合可能な多角孔(31〜34)が形成されていることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項3】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材(1、2)に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有し、
前記嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凹部(51)を有し、
前記固定部(16、61、62)は、前記複数の嵌合凹部(51)の中で、少なくとも1つの嵌合凹部(51)に嵌合可能な嵌合凸部(52)を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項4】
内燃機関の各気筒に燃料を分配する燃料分配管を固定部材に取り付ける燃料分配管の取付け構造において、
前記燃料分配管は、内部に長手方向に延びる燃料孔が形成された管本体(3)と、この管本体(3)に対して別体で構成されて、前記固定部材(1、2)に前記管本体(3)を固定するステー(4)と
を備え、
前記管本体(3)は、前記ステー(4)に嵌合支持される嵌合部(14)を有し、
前記ステー(4)は、前記嵌合部(14)を嵌合支持する固定部(16、61、62)を有し、
前記嵌合部(14)は、目視で角度ズレを確認し得る角度以上となる周方向間隔を隔てて設けられた複数の嵌合凸部(53)を有し、
前記固定部(16、61、62)は、前記複数の嵌合凸部(53)の中で、少なくとも1つの嵌合凸部(53)に嵌合可能な嵌合凹部(54〜56)を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記目視で角度ズレを確認し得る角度とは、5°以上の刻み角度のことであることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)は、前記固定部材(1、2)に対する前記管本体(3)の搭載角度の調整が可能となるように前記嵌合部(14)を支持することを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部(16)は、前記管本体(3)の周方向に対する前記ステー(4)の取付け角度の調整が可能となるように前記嵌合部(14)を支持することを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記管本体(3)は、前記管本体(3)の長手方向に対する前記ステー(4)の取付け位置を規制する規制部を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記固定部材(1、2)に前記ステー(4)を固定する締結体(5)を備えたことを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料分配管の取付け構造において、
前記ステー(4)は、前記締結体(5)により前記固定部材(1、2)に締結される締結部を有していることを特徴とする燃料分配管の取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−72430(P2013−72430A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214688(P2011−214688)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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