説明

燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置

【課題】タンク内の液面に大きな揺動が発生しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置を提供する。
【解決手段】現表示レベルが残量1/2以上のときに液面の上が上限値を超え、下が現表示レベルと下限値との間の範囲に入るような上側揺動が発生したとき、現表示レベルから検出された液面レベルのうち現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値の平均値を算出し、その平均値が一定値よりも大きいときに表示レベルを一つ下げる。現表示レベルが残量1/2未満のときに液面の上が現表示レベルと下限値との間の範囲に入り、下が下限値を下回るような上側揺動が発生したとき、現表示レベルを超える液面レベルから現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出し、その平均値が一定値よりも小さいときに表示レベルを一つ下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置に係り、特に、燃料残量を表示する燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来周知のように車両には、燃料を入れるタンクが装備されている。そして、一般的にタンクには、タンク内の燃料残量を検出する液面レベルセンサが装着されている。この液面レベルセンサとしては、例えば、フューエルセンダユニットが広く知られている。
【0003】
このフューエルセンダユニットは、タンク内の液面に浮かべられたフロートと、このフロートをアーム軸を支点として回動自在に支持するフロートアームと、センダ抵抗と、フロートアームに連結されアーム軸を支点としてセンダ抵抗上を摺動するコンタクトアームとで構成されており、燃料が補給または消費されてタンク内の液面レベルが変わると、液面に浮かべられたフロートがフロートアームを回転させて、これに追従してセンダ抵抗上のコンタクトアームの接点位置が変位してセンダ抵抗の電気抵抗値が変動する。フェーエルセンダユニットは、この電気抵抗値を電圧値に変換して燃料残量(燃料の液面レベル)として燃料残量表示装置に出力している。
【0004】
燃料残量表示装置は、フェーエルセンダユニットにより検出された燃料残量を例えばインストルメントパネルに設けた表示器に表示する。車両のドライバーは、この表示器に表示された表示値からタンク内の燃料残量を確認できることとなる。
【0005】
しかしながら、液体である燃料の液面には常に揺動が発生する。このため、燃料残量検出装置により検出された燃料残量をそのまま表示すると、燃料の補給や消費が行われていないにもかかわらず液面の揺動に伴って表示されている燃料残量が増減することとなりドライバーに正確な燃料残量を表示することができない、という問題があった。
【0006】
そこで、図3に示すように、液面レベルセンサにより検出された液面レベルを間欠的に収集して、所定数収集される毎にその平均値を表示する燃料残量表示装置が提案されている(特許文献1、2など)。
【0007】
上述した燃料残量の平均を表示する燃料残量表示装置は、図3に示すように静止時の液面を中心として小さく揺動している場合は、正確に燃料残量を表示することができる。しかしながら、図4〜図5に示すようにタンクの上限値を超えたり、下限値を下回るような大きな揺動が発生すると、燃料残量の平均を表示しても正確に燃料残量を表示することができない。このような大きな揺動は特に薄型のタンクに発生しやすい。そこで、従来の燃料残量表示装置は、図4〜図5に示すような大きな揺動が発生した場合、その間に燃料残量の平均値の算出を停止して、燃料残量の更新を停止している。
【0008】
このように単に大きな揺動が発生している間に燃料残量の平均値の算出を停止すると、図5(A)及び(B)のような状態となっても燃料残量の更新が行えず、このような揺動が収まった後に燃料残量が検出されて燃料残量の表示が更新されるため、その表示値はユーザにとっていきなり減少したかのように見えることがあり、表示状態として好ましくない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−257551号公報
【特許文献2】特開平9−33323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、タンク内の液面に大きな揺動が発生しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、液面レベルセンサにより検出されたタンクに入れられた燃料の液面レベルを間欠的に収集する工程と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する工程と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する工程と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する工程と、前記揺動が検出された場合、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値の算出を停止する工程と、を行う燃料残量表示方法において、現表示レベルが残量1/2以上のときに前記上限値を超えるような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値を超え、下が前記現表示レベルと前記下限値との間の範囲に入るような上側揺動であるか否かを判定する工程と、前記上側揺動であると判定された場合、前記現表示レベルから当該上側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、前記工程により算出された平均値が一定値よりも大きいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする燃料残量表示方法に存する。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動であるか否かを判定する工程と、前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、前記工程により算出された平均値が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料残量表示方法に存する。
【0013】
請求項3記載の発明は、液面レベルセンサにより検出されたタンクに入れられた燃料の液面レベルを間欠的に収集する工程と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する工程と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する工程と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する工程と、前記揺動が検出された場合、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値の算出を停止する工程と、を行う燃料残量表示方法において、現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動か否かを判定する工程と、前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、前記工程により算出された平均値が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする燃料残量表示方法に存する。
【0014】
請求項4記載の発明は、タンクに入れられた燃料の液面レベルを検出する液面レベルセンサと、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルを間欠的に収集する収集手段と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する平均値算出手段と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する表示手段と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する揺動検出手段と、を備え、前記揺動が検出された場合、前記平均値算出手段が、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値を算出しない燃料残量表示装置において、現表示レベルが残量1/2以上のときに前記上限値を超えるような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値を超え、下が前記現表示レベルと前記下限値との間の範囲に入るような上側揺動であるか否かを判定する上側揺動判定手段と、前記上側揺動であると判定された場合、前記現表示レベルから当該上側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値の平均値を算出する上側平均値算出手段と、を備え、前記表示手段が、前記上側平均値算出手段により求められた平均値が一定値よりも大きいとき前記現表示レベルを一つ下げることを特徴とする燃料残量表示装置に存する。
【0015】
請求項5記載の発明は、タンクに入れられた燃料の液面レベルを検出する液面レベルセンサと、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルを間欠的に収集する収集手段と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する平均値算出手段と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する表示手段と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する揺動検出手段と、を備え、前記揺動が検出された場合、前記平均値算出手段が、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値を算出しない燃料残量表示装置において、現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動か否かを判定する下側揺動判定手段と、前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する下側平均値算出手段と、を備え、前記表示手段が、前記下側差分検出手段により求められた差分が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げることを特徴とする燃料残量表示装置に存する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1及び4記載の発明によれば、現表示レベルが残量1/2以上のときに液面の上が上限値を超え、下が現表示レベルと下限値との間の範囲に入るような上側揺動しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる。
【0017】
請求項2、3及び5記載の発明によれば、現表示レベルが残量1/2未満のときに液面の上が現表示レベルと下限値との間の範囲に入り、下が下限値を下回るような上側揺動しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の燃料残量表示方法を実施した燃料残量表示装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す燃料残量表示装置を構成するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】通常時の液面レベルの変位と表示レベルとの関係を示す説明図である。
【図4】振動発生時の液面レベルの変位と表示レベルとの関係を示す説明図である。
【図5】(A)上側振動発生時の液面レベルの変位と表示レベルとの関係を示す説明図であり、(B)は下側振動発生時の液面レベルの変位と表示レベルとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の燃料残量表示方法及び燃料残量表示装置を図面に基づいて説明する。同図に示すように、燃料残量表示装置1は、燃料タンクに配設され、その燃料タンクに入れられた燃料の液面レベルを検出する液面レベルセンサ2と、車両のメータパネル(図示せず)に配設されるデジタル式の燃料ゲージ3と、燃料残量表示装置1全体を制御するマイクロコンピュータ(以下μCOM)4と、上述したμCOM4や液面レベルセンサ2に電源を供給する電源回路5と、を備えている。
【0020】
上記液面レベルセンサ2は、図示しないフロートとポテンショメータとを備えている。上記フロートは、燃料の侵食に対する耐性に富んだ材質により、燃料の液面に浮遊できるように比較的軽量に形成されている。上記ポテンショメータは、上記フロートをアーム軸を支点として回動自在に支持する図示しないフロートアームと、センダ抵抗Rと、フロートアームに連結されアーム軸を支点としてセンダ抵抗R上を摺動する図示しないコンタクトアームと、センダ抵抗Rの一端とコンタクトアームの摺動接点Sとの間の抵抗値を電圧値に変換して後述するμCOM4のA/D変換器4Dに対して出力する入力回路21と、で構成されている。
【0021】
上記ポテンショメータは、フロートが燃料の液面に追従して昇降し、これに伴いフロートアーム及びコンタクトアームが一体に揺動することで、コンタクトアームの先端の摺動接点Sがセンダ抵抗R上を摺動し、この摺動接点Sの摺動位置に応じてセンダ抵抗Rの一端と摺動接点Sとの間の抵抗値が液面レベルに応じて変わるように構成されている。
【0022】
上記入力回路21は、例えば電源回路5から供給される電源電圧をセンサ抵抗Rの両端に印加することにより、センダ抵抗Rの一端と摺動接点Sとの間の抵抗値を電圧値に変換して、液面レベルとしてμCOM4のA/D変換器4Dに対して出力している。
【0023】
上記燃料ゲージ3は、燃料の残量を示す例えば9つの表示レベルに対応した表示セグメント31〜39を有しており、蛍光表示管(VFT)や液晶表示装置(LCD)等により構成されていて、後述するμCOM4によりその表示が制御される。なお、9つの表示レベルは、液面レベルセンサ2の検出範囲の上限値と下限値との間を均等に9つに分割した各領域に対応するように設定されている。
【0024】
上記μCOM4は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU4Aと、CPU4Aが行う処理のプログラムなどを格納したROM4Bと、CPU4Aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有するRAM4Cと、を備えている。上記CPU4Aは、A/D変換器4Dが内蔵されていて、液面レベルセンサ2により検出された液面レベルを取り込むことができる。また、CPU4Aは、燃料ゲージ3に接続されていて、取り込んだ液面レベルに応じて燃料ゲージ3の表示を制御する。
【0025】
次に、上述した構成の燃料残量表示装置1の動作について図2〜図5を参照して以下説明する。まず、CPU4Aは、収集手段として働き、イグニッションスイッチのオンに応じて動作を開始して、液面レベルセンサ2により検出された燃料の液面レベルを間欠的にN回取り込んでRAM4C内に格納する(ステップS1)。Nは請求項中の所定数に相当する。
【0026】
次に、CPU4Aは、取り込んだN個の液面レベルの中に液面レベルセンサ2の検出範囲の上限値を超えるものや、液面レベルセンサ2の検出範囲の下限値を下回るものがなければ(ステップS2でN、かつ、ステップS10でN)、平均値算出手段として働き、N個の液面レベルの平均値を算出する通常平均処理を行う(ステップS16)。なお、CPU4Aは、取り込んだ液面レベルが液面レベルセンサ2の検出範囲の上限値であれば上限値を超えていると判断し、下限値であれば下限値を下回っていると判断する。
【0027】
その後、CPU4Aは、図3に示すように、表示手段として働き、燃料ゲージ3を制御して通常平均処理により求めたN個の液面レベルの平均値に応じた表示レベルを示す表示セグメント31〜39を点灯して表示する通常表示処理を行う(ステップS17)。
【0028】
これに対して、CPU4Aは、揺動検出手段として働き、取り込んだN個の液面レベルの中に液面レベルセンサ2の検出範囲の上限値を超えるものと液面レベルセンサ2の検出範囲の下限値を下回るものとの双方があれば(ステップS2でY、かつ、ステップS3でY)、図4に示すような液面の上が上限値を超え、下が下限値を下回る揺動が発生しているものと判定して、ステップS16の通常平均処理及びステップS17の通常表示処理を行うことなくステップS1に戻る。ここで、液面の上とは時間経過に応じた液面の極大値であり、液面の下とは時間経過に応じた液面の極小値である。
【0029】
一方、CPU4Aは、取り込んだN個の液面レベル中に液面レベルセンサ2の検出範囲の上限値を超えるものはあるが、下限値を下回るものがなければ(ステップS2でY、かつ、ステップS3でN)、次に、現表示レベルが残量1/2以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0030】
現表示レベルが残量1/2以上であれば(ステップS4でY)、CPU4Aは、N個の液面レベルのうち現表示レベル以下のものがあるか否かを判定する(ステップS5)。現表示レベル以下のものがあれば(ステップS5でY)、CPU4Aは、図5(A)に示すような上側揺動が発生している可能性が高いとして、次に上側揺動判定手段として働き、N個の液面レベルから時系列ごとに液面レベルの極大値、極小値を求めて、液面の上が上限値を超え、下が現表示レベルと下限値との間の範囲に入る揺動がn回以上(例えば3回以上)連続しているかを判定する(ステップS6)。
【0031】
n回以上連続していれば(ステップS6でY)、CPU4Aは、図5(A)に示すように液面の上が上限値を超え、下が現表示レベルと下限値との間の範囲に入る上側揺動が発生していると判定して、次に上側平均値算出手段として働き、現表示レベルからN個の液面レベルのうち現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値(図5(A)中の斜線で示す)の平均値を算出する(ステップS7)。そして、CPU4Aは、ステップS7で算出した平均値が一定値よりも大きいとき(ステップS8でY)、表示手段として働き、現表示レベルよりも一つ下の表示レベルに対応する表示セグメント31〜39を点灯させた後(ステップS9)、ステップS1に戻る。なお、上記一定値は、現表示レベルに対応する液面レベルと現表示レベルよりも一つ下の表示レベルに対応する液面レベルとの差分に設定されている。
【0032】
これに対して、現表示レベルが1/2より小さかったり(ステップS4でN)、N個の液面レベルの中に現表示レベル以下のものがなかったり(ステップS5でN)、n回連続していなければ(ステップS6でN)、CPU4Aは上側揺動でない揺動が発生していると判定して、ステップS16の通常平均処理及びステップS17の通常表示処理を行うことなくステップS1に戻る。
【0033】
また、CPU4Aは、取り込んだN個の液面レベル中に液面レベルセンサ2の検出範囲の下限値を下回るものはあるが、上限値を超えるものがなければ(ステップS2でN、かつ、ステップS10でY)、次に、現表示レベルが残量1/2より小さいか否かを判定する(ステップS11)。
【0034】
現表示レベルが残量1/2より小さければ(ステップS11でY)、CPU4Aは、N個の液面レベルのうち現表示レベル以上のものがあるか否かを判定する(ステップS12)。現表示レベル以上のものがあれば(ステップS12でY)、CPU4Aは、図5(B)に示すような下側揺動が発生している可能性が高いとして、次に下側揺動判定手段として働き、時系列ごとに液面レベルの極大値、極小値を求めて、液面の上が上限値と現表示レベルとの間の範囲に入り、下が下限値を下回る揺動がn回以上(例えば3回以上)連続しているかを判定する(ステップS13)。
【0035】
n回以上連続していれば(ステップS13でY)、CPU4Aは、図5(B)に示すように液面の上が上限値と現表示レベルとの間の範囲に入り、下が下限値を下回る下側揺動が発生していると判定して、次に下側平均値算出手段として働き、N個の液面レベルのうち現表示レベルを超える液面レベルから現表示レベルを差し引いた値(図5(B)中の斜線で示す)の平均値を算出する(ステップS14)。そして、CPU4Aは、ステップS14で算出した平均値が一定値よりも小さいとき(ステップS15でY)、表示手段として働き、ステップS9に進んで現表示レベルよりも一つ下の表示レベルに対応する表示セグメント31〜39を点灯させた後、ステップS1に戻る。上記一定値も、現表示レベルに対応する液面レベルと現表示レベルよりも一つ下の表示レベルに対応する液面レベルとの差分に設定されている。
【0036】
上述した実施形態によれば、現表示レベルが残量1/2以上のときに液面の上が上限値を超え、下が現表示レベルと下限値との間の範囲に入るような上側揺動しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる。
【0037】
上述した実施形態によれば、現表示レベルが残量1/2未満のときに液面の上が現表示レベルと下限値との間の範囲に入り、下が下限値を下回るような上側揺動しても燃料残量の表示を更新することができ、ユーザにとっていきなり燃料残量が減少したかのように見えることがなく、また、表示が異常に振れることもなく、違和感なく正常な燃料残量の表示が可能となる。
【0038】
なお、上述した実施形態によれば、上側揺動と下側揺動との双方を検出して、表示レベルを一つ下げていたが、何れか一方を検出したとき表示レベルを一つ下げるようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、表示レベルを示す表示セグメント31〜39のみを点灯していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、表示レベルに応じた数の表示セグメント31〜39を点灯させるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、N個の液面レベルの中に上限値を超えるものと下限値を下回るものとの双方があるだけで、図3に示す振動が発生していると判定していたが、本発明はこれに限ったものではない。揺動の誤検出を回避するために、ステップS3でYと判定された後に、時系列に応じた液面レベルの極大値、極小値を求めて、上が上限値を超え、下が下限値を下回る揺動がn回以上連続したときに、揺動が発生していると判定して、直ちにステップS1に戻り、n回以上連続していなければ揺動が発生していないと判定してステップS16に進むようにしてもよい。
【0041】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 燃料残量検出装置
2 液面レベルセンサ
4A CPU(収集手段、平均値算出手段、表示手段、揺動検出手段、上側揺動判定手段、上側平均値算出手段、下側揺動判定手段、下側平均値算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面レベルセンサにより検出されたタンクに入れられた燃料の液面レベルを間欠的に収集する工程と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する工程と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する工程と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する工程と、前記揺動が検出された場合、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値の算出を停止する工程と、を行う燃料残量表示方法において、
現表示レベルが残量1/2以上のときに前記上限値を超えるような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値を超え、下が前記現表示レベルと前記下限値との間の範囲に入るような上側揺動であるか否かを判定する工程と、
前記上側揺動であると判定された場合、前記現表示レベルから当該上側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、
前記工程により算出された平均値が一定値よりも大きいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする燃料残量表示方法。
【請求項2】
前記現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動であるか否かを判定する工程と、
前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、
前記工程により算出された平均値が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料残量表示方法。
【請求項3】
液面レベルセンサにより検出されたタンクに入れられた燃料の液面レベルを間欠的に収集する工程と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する工程と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する工程と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する工程と、前記揺動が検出された場合、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値の算出を停止する工程と、を行う燃料残量表示方法において、
現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動か否かを判定する工程と、
前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する工程と、
前記工程により算出された平均値が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げる工程と、をさらに行うことを特徴とする燃料残量表示方法。
【請求項4】
タンクに入れられた燃料の液面レベルを検出する液面レベルセンサと、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルを間欠的に収集する収集手段と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する平均値算出手段と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する表示手段と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する揺動検出手段と、を備え、前記揺動が検出された場合、前記平均値算出手段が、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値を算出しない燃料残量表示装置において、
現表示レベルが残量1/2以上のときに前記上限値を超えるような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値を超え、下が前記現表示レベルと前記下限値との間の範囲に入るような上側揺動であるか否かを判定する上側揺動判定手段と、
前記上側揺動であると判定された場合、前記現表示レベルから当該上側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベル未満の液面レベルを差し引いた値の平均値を算出する上側平均値算出手段と、を備え、
前記表示手段が、前記上側平均値算出手段により求められた平均値が一定値よりも大きいとき前記現表示レベルを一つ下げることを特徴とする燃料残量表示装置。
【請求項5】
タンクに入れられた燃料の液面レベルを検出する液面レベルセンサと、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルを間欠的に収集する収集手段と、所定数の前記液面レベルが収集される毎にその平均値を算出する平均値算出手段と、複数の表示レベルのうち前記算出された平均値に対応した表示レベルを表示する表示手段と、前記液面レベルセンサにより検出された液面レベルに基づいて前記液面レベルセンサの検出範囲の上限値を超えるような液面の揺動及び前記液面レベルセンサの検出範囲の下限値を下回るような液面の揺動を検出する揺動検出手段と、を備え、前記揺動が検出された場合、前記平均値算出手段が、当該揺動発生中に検出された液面レベルの平均値を算出しない燃料残量表示装置において、
現表示レベルが残量1/2を下回っているときに前記下限値を下回るような液面の揺動が検出されると、前記液面の上が前記上限値と前記現表示レベルとの間の範囲に入り、下が前記下限値を下回るような下側揺動か否かを判定する下側揺動判定手段と、
前記下側揺動であると判定された場合、当該下側揺動発生中に検出された液面レベルのうち前記現表示レベルを超える液面レベルから前記現表示レベルを差し引いた値の平均値を算出する下側平均値算出手段と、を備え、
前記表示手段が、前記下側差分検出手段により求められた差分が一定値よりも小さいとき前記現表示レベルを一つ下げることを特徴とする燃料残量表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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