説明

燃料残量表示装置

【課題】簡単なかつ低コストの構造で、燃料残量の少ない領域でも、違和感を生ずることなく燃料残量を正確に目視できる燃料残量表示装置を提供する。
【解決手段】燃料残量を所定のグラフ40で表示する燃料残量表示部33と、車両に設けられた燃料タンク10内の燃料残量を検出する燃料残量検出部20が検出した燃料残量に応じて前記燃料残量表示部33の表示を制御する制御部31と、を有する燃料残量表示装置30であって、前記制御部31は、前記燃料残量検出部20が検出した燃料残量に応じて燃料残量が所定の燃料残量以下であることを検知した場合のみ、前記グラフ40上に所定の目盛幅Sを持つ目盛線41を表示するように表示を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に適用される、燃料残量を表示する燃料残量表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた燃料タンク内の燃料残量を検出して燃料残量を表示する燃料残量表示装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
この特許文献1記載の従来の燃料残量表示装置では、第1のセグメント表示部を列状に複数配設した第1のセグメント表示郡と、第1のセグメント表示部より列方向の表示幅が大きい第2のセグメント表示部を複数配設した第2のセグメント表示郡とからなるバーグラフ表示部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の燃料残量表示装置では、燃料残量が多い領域では、第2のセグメント表示部によって表示の変化量を大きくして、燃料残量が少ない領域では、第1のセグメント表示部によって表示の変化量を細かく表示しているが、すべての領域でセグメント表示されているため、燃料残量を表示する表示領域が大きくなってしまうという問題がある。また、特許文献1の燃料残量表示装置では、すべての領域でセグメント表示をおこなっているため、例えば燃料残量が多い領域でセグメントの1つが消えると急激に残存燃料が減ったと認識されてしまうなど、ユーザに燃料残量を特に意識させなくてもよいときにも燃料残量を意識させてしまい、運転に集中できないという問題もある。
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、表示領域を小さく構成でき、かつ運転に集中させることができる燃料残量表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる目的を達成するもので、燃料残量を所定のグラフで表示する燃料残量表示部と、車両に設けられた燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出部が検出した燃料残量に応じて前記燃料残量表示部の表示を制御する表示制御部と、を有する燃料残量表示装置であって、前記表示制御部は、前記燃料残量検出部が検出した燃料残量に応じて燃料残量が所定の燃料残量以下であることを検知した場合にのみ、前記グラフ上に所定の目盛幅を持つ目盛線を表示するように表示を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、所定の燃料残量以下である場合にのみ、グラフ上に目盛線を表示することで、ユーザは燃料残量が少ないときだけグラフ上に表示された目盛線を意識しながら、燃料の減少具合を知ることができ、燃料残量を確認し易くなる。また、燃料残量が多い領域では、燃料残量を通常通りにグラフ表示することで、ユーザに燃料残量を強く意識させないようにでき、ユーザは運転に集中できる。また、グラフ表示上に目盛線を表示するという簡単な構成であるため、表示領域を小さく構成できる。
【0009】
また、上記構成において、前記表示制御部は、前記所定の燃料残量以上の場合には前記グラフを第1の変化量単位で変化させ、前記所定の燃料残量以下の場合には前記グラフを第1の変化量単位とは異なる第2の変化量単位で変化させるように表示を制御し、前記目盛線の目盛幅は、前記第2の変化量単位に対応している。本発明によれば、第1の変化量単位とは異なる第2の変化量単位で変化するときにグラフに第2の変化量に対応する目盛線が表示されるため、変化量単位が変化したことを知ることができ、ユーザに違和感を与えることなく、燃料残量の変化を表示することができる。
【0010】
また、上記構成において、前記表示制御部は、前記燃料残量検出部が所定の燃料残量より少ない特定の燃料残量を検出してから所定の期間、前記グラフ上の目盛線を点滅表示する。本発明によれば、燃料残量がより少なくなった場合に目盛線を有効活用して点滅させ燃料残量がより少なくなったことをユーザに判りやすく意識させて効果的に注意を促すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示領域を小さく構成でき、かつ的確に燃料残量情報を表示させることができる燃料残量表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態にかかる燃料残量表示装置の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるメータ装置内の液晶式表示パネルの一部を説明する図である。
【図3】目盛線の表示を説明するための図であって、図2のZ部を拡大して示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る燃料残量制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態にかかる燃料残量表示装置の構成を説明するための図である。図2は、本発明の実施形態にかかるメータ装置内の液晶式表示パネルの一部を説明する図であって、(A)は燃料タンク内の燃料が満タン時即ちフル状態を示す図、(B)は燃料タンク内の燃料残量が満タン時の1/4程度になった状態を示す図、(C)は燃料タンク内の燃料残量が1/8程度になった状態を示す図である。図3は目盛線の表示を説明するための図であって、図2のZ部を拡大して示した図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、車両1は、燃料タンク10、燃料残量検出部20、燃料残量表示装置30を有する。燃料残量検出部20は、車両1に設けられた燃料タンク10内の燃料残量を検出する。この燃料残量検出部20は、例えば車両に搭載される燃料タンク10内に設置され、燃料液位に応じて可動するフロートに従って抵抗値が変化するセンサによって構成することができる。
燃料残量表示装置30は、制御部(表示制御部)31と液晶表示パネル32とを有する。制御部31は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、主に液晶表示パネル32の表示を制御するものである。この制御部31は、液晶パネル32の表示制御時、燃料残量検出部20が検出した燃料残量に応じて燃料残量表示部33(後述)の表示を制御する。
【0016】
図2に示す液晶表示パネル32は、自動車のインストルメントパネルの運転席の正面に設けられるメータ装置内に配置されている。液晶式表示パネル32には、図中の右側に燃料タンク10内の燃料残量を表示する燃料残量表示部33が設けられている。
【0017】
燃料残量表示部33は、燃料残量を鉛直方向に一定長さを有する棒状のバーグラフ40で表示する。バーグラフ40は、燃料残量検出部20で検出された検出信号に応じて燃料残量をレベル表示するためのものである。燃料残量表示部33の側部には、燃料残量の量を示す燃料残量目盛34が、燃料残量表示部33の長手方向と平行に設置されている。燃料残量表示部33の上端部には燃料残量のフル状態を示す「F」が表示され、下端部には燃料残量のゼロ状態を示す「E」が表示されている。燃料残量表示部33の左側には、燃料残量が少なくなったときに警報を表示する燃料警報表示部37が設けられている。その他、液晶式表示パネル32には、例えば液晶表示の水温計35、選択されている変速レンジ状態を示すレンジ表示部36等が設けられている。
【0018】
制御部31は、燃料残量をユーザに知らせるために、燃料残量が多い領域では第1の変化量単位でバーグラフ40を変化させて表示し、燃料残量が少ない領域では第1の変化量よりも少ない第2の変化量単位でバーグラフ40を変化させて表示する。
具体的には、制御部31は、燃料残量検出部20で検出された燃料残量が、図2(A)のように燃料残量が予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)より多い領域では、燃料タンク10が満タンで「1」とした場合、燃料残量に応じて1/8(第1の変化量単位)ずつ変化させるようバーグラフ40を表示する。また、制御部31は、図2(B)に示すように、燃料残量が満タン時の1/4以下の領域では、1/4をさらに1/2ずつ細かく変化するように、すなわち1/16(第2の変化量単位)ずつ変化させるようにバーグラフ40の表示を制御する。
【0019】
さらに、制御部31は、燃料残量検出部20での燃料残量が減少して予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)以下に達したことを検知した場合、レベル表示したバーグラフ40上に、図2及び図3に示すような所定の目盛幅Sを持つ目盛線(分割線)41a〜41dを重畳表示するよう表示を制御する。目盛線41a〜41dの目盛幅Sは、上記第2の変化量単位である1/16に対応しており、目盛線41a〜41dの一目盛りはバーグラフ40の変化量を示している。
【0020】
制御部31は、燃料残量検出部20が前記所定の燃料残量より少ない特定の燃料残量を検出してから所定の期間に警告のためにバーグラフ上の目盛線41を点滅表示する。尚、制御部31は、燃料残量が減少して予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)以下である場合において、エンジン始動後の所定の期間及びエンジン停止後の所定の期間に、警告のためにバーグラフ上の目盛線41を点滅表示するようにしてもよい。
【0021】
次に 上記した本発明の燃料残量制御フローチャートを説明する。図4は、本発明の実施形態に係る燃料残量制御のフローチャートである。
【0022】
制御部31は、燃料残量検出部20からの検出信号に基づき、燃料タンク10内の燃料残量を検知する(ステップS1)。燃料残量検出部20で検出された燃料残量が、図2(A)のように燃料残量が予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)より多い領域では(ステップS2で「N」)、バーグラフ40を1/8ずつ変化させるよう、燃料残量に応じてバーグラフ40をレベル表示する(ステップS3)。すなわち、制御部31は、バーグラフ40を「1」→「7/8」→「6/8」→「5/8」→「4/8」→「3/8」となるように変化させる。
【0023】
一方、制御部31は、燃料残量が満タン時の「1/4」以下の領域(ステップS2で「Y」)では、バーグラフ40を1/16ずつ変化させるようにバーグラフ40をレベル表示する(ステップS4)。すなわち、制御部31は、燃料残量が満タン時の「1/4」以下の領域では、「2/8」→「1.5/8」→「1/8」→「0.5/8」→「0」となるようにバーグラフ40の表示を変化させる。
【0024】
また、制御部31は、燃料残量が減少して予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)以下に達したことを検知した場合、レベル表示したバーグラフ40上に、図2及び図3に示すような所定の目盛幅Sを持つ目盛線41を表示するよう表示を制御する(ステップS5)。
【0025】
制御部31は、満タン時の「1.5/8」、「1/8」、「0.5/8」のいずれかになってから所定期間内である場合(ステップS6で「Y」)で燃料第一警告モードを発動させて、燃料警告表示部37を点滅(1Hz)させて警告表示を行うとともに、燃料残量表示部33のバーグラフ40上の目盛線41を点滅表示して警告表示を行う。制御部31は、燃料残量が「0」のときに、燃料第二警告モードを発動し、燃料警告表示部37を点滅(2Hz)させて警告表示を行う(ステップS7)。
【0026】
尚、制御部31は、燃料残量が減少して予め設定された燃料残量(満タン時の1/4)以下である場合において、エンジン始動後の所定の期間またはエンジン停止後の所定の期間に、燃料残量表示部33のバーグラフ40上の目盛線41を点滅表示するように表示を制御して目盛線41によって燃料残量減の警告を行うことができる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、少ない燃料残量に達した後、バーグラフ上に目盛線を表示することで、ユーザはバーグラフ上に表示された目盛線を確認して、燃料の減少具合を的確に知ることができ、燃料残量を確認し易くなる。また、燃料残量が多い領域では、燃料残量を目盛なしにグラフ表示することで、ユーザに燃料残量を特に意識させないようにでき、ユーザは運転に集中できる。また、グラフ表示上に目盛線を表示するという簡単な構成であるため、表示領域を小さく構成できる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更及び変形が可能である。例えば上記実施形態では燃料残量が1/4以下の場合に目盛線を表示するようにしているが本発明ではこれに限定されることなく、燃料残量が他の基準値以下となった時に目盛線を表示するようにしてもよい。また、上記実施形態では表示の変化量単位として1/8と1/16を例にとって説明したが本発明ではこれに限定されることなく他の変化量単位であってもよい。また上記実施形態では二つの表示の変化量単位を例にとって説明したが、二つより多い例えば三つの変化量単位を用いてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 車両
10 燃料タンク
20 燃料残量検出部
30 燃料残量表示装置
31 制御部
32 液晶表示パネル
33 燃料残量表示部
40 バーグラフ(グラフ)
41 目盛線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料残量を所定のグラフで表示する燃料残量表示部と、車両に設けられた燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出部が検出した燃料残量に応じて前記燃料残量表示部の表示を制御する表示制御部と、を有する燃料残量表示装置であって、
前記表示制御部は、前記燃料残量検出部が検出した燃料残量に応じて燃料残量が所定の燃料残量以下であることを検知した場合にのみ、前記グラフ上に所定の目盛幅を持つ目盛線を表示するように表示を制御することを特徴とする燃料残量表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記所定の燃料残量以上の場合には前記グラフを第1の変化量単位で変化させ、前記所定の燃料残量以下の場合には前記グラフを前記第1の変化量単位とは異なる第2の変化量単位で変化させるように表示を制御し、
前記目盛線の目盛幅は、前記第2の変化量単位に対応していることを特徴とする請求項1に記載の燃料残量表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記燃料残量検出部が前記所定の燃料残量より少ない特定の燃料残量を検出してから所定の期間、前記グラフ上の目盛線を点滅表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料残量表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−52833(P2012−52833A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193609(P2010−193609)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】