説明

燃料電池モジュール

【課題】モジュール内をより効率的に保温できるようにする。
【解決手段】複数の燃料電池セルスタック101,改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,燃料予熱器105,バーナー106を備えている。また、本燃料電池モジュールは、上記各構成を収容する内側容器107を備え、また、内側容器107を収容する断熱容器108を備えている。このように構成された内側容器107と断熱容器108との間には、所定の間隔を開けることによる空間で断熱層110が形成されて二重構造となっている。また、断熱容器108の底部には、断熱容器排気口181が設けられ、ここに排気管111が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに搭載されて発電を行う燃料電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、規模の大小にかかわらず高い効率が得られることから、次世代のコジェネレーションシステムに用いられる発電手段として、燃料電池が注目されている(非特許文献1参照)。燃料電池は、酸素などの酸化剤ガスと水素などの燃料ガスとの化学反応を利用した電池であり、空気極と呼ばれる陽極及び燃料極と呼ばれる陰極で電解質の層を挾んだ単セルを、複数重ね合わせたセルスタックとして用いている。
【0003】
このような燃料電池システムでは、高い発電効率を実現するために、燃料電池のセルスタックから発生した熱や燃料極排ガスの燃焼熱などを効率的に管理することが可能な燃料電池モジュールの構成が必要となる。特に、固体酸化物形燃料電池などの高温型の燃料電池の場合には、断熱や保温に関する要求条件が厳しく、効率的な燃料電池モジュールの実現が強く求められている。
【0004】
ここで、従来よりあるよく知られた燃料電池モジュールの構成について簡単に説明する。図5は、このような燃料電池モジュールの概略的な構成を示す構成図である。この燃料電池モジュールは、燃料電池セルスタック501,改質器502,空気予熱器503,水蒸気発生器504,燃料予熱器505,バーナー506などを備えている。
【0005】
以下、燃料電池モジュールの動作について説明する。まず、燃料電池セルスタック501による発電に必要な空気は、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、フィルタリング,加圧,及び低温予熱などの工程を経て空気予熱器503に供給される。このようにして空気予熱器503に供給された空気は、空気予熱器503により発電に適した温度に昇温されて燃料電池セルスタック501に供給される。なお、発電に適した温度としては、例えば、リン酸型燃料電池では150℃〜200℃,溶融炭酸塩型燃料電池では550℃〜650℃である。
【0006】
次に、水は、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、フィルタリング及び低温予熱などの工程を経て水蒸気発生器504に供給される。このようにして水蒸気発生器504に供給された水が、水蒸気発生器504により、都市ガスなどの燃料の改質に必要な水蒸気とされる。
【0007】
また、燃料としての都市ガスは、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、加圧,低温予熱,脱硫などの処理の後、低温予熱により水蒸気の凝縮温度以上に昇温されてから燃料予熱器505に供給される。この後、燃料予熱器505で、改質器502の動作に適した温度に昇温され、水蒸気発生器504からの水蒸気が混合され、改質器502に供給される。
【0008】
また、バーナー506には、燃料電池セルスタック501からの燃料極排ガス及び空気極排ガスが供給され、これらガスが燃焼する。この燃焼による熱が改質器502に供給される。改質器502では、バーナー506から供給される熱により、水蒸気と混合されてい供給される燃料の改質が行われ、水素が主成分の改質ガスを生成し、生成した改質ガスを燃料電池セルスタック501に供給している。
【0009】
また、燃料電池セルスタック501では、空気予熱器503から供給される空気と改質器502から供給される改質ガスとにより発電を行い、直流の電力を発生(生成)している。このようにして生成している直流電力は、図示していないインバータなどの燃料電池システムに搭載されている電力変換装置により、所望の電圧の電力に変換されて負荷に供給される。このように、従来の燃料電池モジュールにより、燃料電池システムの他の搭載機器と組み合わせることにより、所望の発電動作が行える。
【0010】
【非特許文献1】「燃料電池発電」、電気学会 燃料電池運転性調査専門委員会 編、株式会社 コロナ社、pp.216−223、1994年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の燃料電池モジュールでは、次に示すような問題点があった。燃料電池は、一般に常温(23℃程度)よりも高温で動作するため、燃料電池モジュールを構成する機器は、断熱材などを介して外界との熱のやりとりを遮断している。特に、固体酸化物形燃料電池のように、700〜1000℃の高温で動作する燃料電池の場合には、外界へ放散される熱量が大きく、モジュールとしての効率が低下するという問題があった。
【0012】
上記問題を解消するためには、十分な厚さの断熱材を利用する、もしくは、熱伝導性の非常に低い断熱材を用いるなどの方法が考えられる。しかしながら、前者は、モジュール全体の体積及び重量が増加してしまうという新たな問題が発生する。また、後者は、特殊な断熱材を用いることになり、これが高価な材料なため、コストの増大を招くという新たな問題が発生する。
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、モジュール内をより効率的に保温できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る燃料電池モジュールは、空気極,電解質,及び燃料極を備えた複数の単セルよりなる燃料電池セルスタックと、燃料電池セルスタックに供給されるガスを予熱する予熱器と、燃料電池セルスタック及び予熱器を収容して上部に複数の開口部を備える内側容器と、内側容器を収容する断熱材から構成された断熱容器と、内側容器と断熱容器との間に形成された排ガス流通層と、断熱容器の底部の側に形成されて排ガス流通層とこの外部とを連通する排気口とを少なくとも備えるものである。燃料電池セルスタックからの排ガスは、燃料電池セルスタックからの発熱などにより加熱され、内側容器の上部の開口部より排ガス流通層に排出されてここを流れる。
【0015】
上記燃料電池モジュールにおいて、内側容器の側部の排ガス流通層に配置されて一部に開口部が形成された流路形成板を備えるようにしてもよい。なお、排気口は、断熱容器の底部に形成されて、排ガス流通層と断熱容器の外部とを連通する断熱容器排気口である。また、内側容器と断熱容器との間に配置された隔壁と、隔壁と断熱容器との間に形成された外側排ガス流通層と、断熱容器の上部に形成されて外側排ガス流通層とこの外部とを連通する断熱容器排気口とを備え、内側容器と断熱容器との間に排ガス流通層が形成され、断熱容器の底部の側の隔壁に排気口が形成されているようにしてもよい。
【0016】
上記燃料電池モジュールにおいて、燃料極に対して供給される燃料ガスを改質する改質器と、空気極から排出される空気極排ガスと燃料極から排出される燃料極排ガスとを燃焼させて改質器を加熱するバーナーと、改質器に水蒸気を供給する水蒸気発生器とを内側容器の内部に備える。また、予熱器は、空気極に供給する空気を予熱する空気予熱器及び燃料極に供給する燃料を予熱する空気予熱器である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、上部に複数の開口部を備える内側容器を断熱材から構成された断熱容器に収容し、内側容器と断熱容器との間に排ガス流通層が形成された状態とし、燃料電池セルスタックからの排ガスが、内側容器の上部の開口部より排ガス流通層に排出されてここを流れるようにしたので、モジュール内をより効率的に保温できるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
始めに、本発明の実施の形態1について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における燃料電池モジュールの構成を示す構成図である。図1では、断面を模式的に示している。また、図2(a)は、燃料電池モジュールの内部を示す斜視図、図2(b)は、内部に配置される各機器の構成を示す斜視図である。
【0020】
実施の形態1における燃料電池モジュールは、まず、複数の燃料電池セルスタック101,改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,燃料予熱器105,バーナー106を備えている。また、本燃料電池モジュールは、上記各構成を収容する内側容器107を備え、また、内側容器107を収容する断熱容器108を備えている。このように構成された内側容器107と断熱容器108との間には、所定の間隔を開けることによる空間で排ガス流通層110が形成されて二重構造となっている。また、断熱容器108の底部には、断熱容器排気口181が設けられ、ここに排気管111が接続されている。
【0021】
内側容器107は、側部及び底部の内側容器隔壁171と上部の内側容器排気隔壁172とから構成され、内側容器排気隔壁172には、複数の内側容器排気口172aが設けられている。内側容器排気壁172は、例えば、メッシュ状の構造体であっても良い。従って、内部容器107の内側は、内側容器排気口172aにより排ガス流通層110に連通している。また、排ガス流通層110は、断熱容器排気口181及び排気管111により外部に連通している。従って、内部容器107の内側は、内側容器排気口172a,排ガス流通層110,断熱容器排気口181,及び排気管111を介して外部に連通している。
【0022】
また、内側容器107には、内部を下側(大地側)と上側とに分ける仕切りとなる防炎壁(仕切り)109が設けられている。防炎壁109は、複数の開口部を備え、例えばメッシュ状の構造体であればよい。内側容器107の内部では、防炎壁109の上記開口部により下側と上側とが連通している。防炎壁109は、例えばステンレス鋼などの高い熱伝導性を備え、また700〜1000℃の高温に耐えられる高い耐熱性を備える材料から構成されている。
【0023】
内側容器107の内部において、下側(大地側)に燃料電池セルスタック101が配置され、この上方に、バーナー106,改質器102,燃料予熱器105,水蒸気発生器104,及び空気予熱器103が配置されている。また、防炎壁109に仕切られた内側容器107の下側には、燃料電池セルスタック101が配置され、上側には、バーナー106,改質器102,燃料予熱器105,水蒸気発生器104,及び空気予熱器103が配置されている。
【0024】
ここで、固体酸化物形燃料電池の動作温度は700〜1000℃と高温であり、燃料電池セルスタック101からの熱の伝達は、対流よりも輻射によるものが主となる。この燃料電池セルスタック101が配置されている側からの輻射熱は、防炎壁109を加熱することになり、加熱された防炎壁109からの輻射熱は、より均一な状態となる。このように、防炎壁109を設けることで、下部領域に配置された燃料電池セルスタック101からの熱が、より均一な状態で、上部領域の各機器に伝播されるようになる。
【0025】
なお、内側容器107は、例えばステンレス鋼などの高い熱伝導性を備え、また700〜1000℃の高温に耐えられる高い耐熱性を備える材料から構成されている。断熱容器108は、アルミナやムライトなどのセラミックス系の材料やこれらの多孔質体などの耐熱断熱材から構成されている。
【0026】
次に、上述した構成の燃料電池モジュールの動作について説明する。まず、燃料電池セルスタック101による発電に必要な空気は、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、フィルタリング,加圧,及び低温予熱などの工程を経て、空気供給経路112により空気予熱器103に供給される。このようにして空気予熱器103に供給された空気は、空気予熱器103により発電に適した温度に昇温されて燃料電池セルスタック101に供給される。なお、発電に適した温度としては、例えば、リン酸型燃料電池では150℃〜200℃,溶融炭酸塩型燃料電池では550℃〜650℃である。
【0027】
次に、水は、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、フィルタリング及び低温予熱などの工程を経て、水供給経路113により水蒸気発生器104に供給される。このようにして水蒸気発生器104に供給された水が、水蒸気発生器104により、都市ガスなどの燃料の改質に必要な水蒸気とされる。
【0028】
また、燃料としての都市ガスは、本モジュールが含まれている燃料電池システム内の他の装置(図示せず)により、加圧,低温予熱,脱硫などの処理の後、低温予熱により水蒸気の凝縮温度以上に昇温されてから、燃料供給経路114により燃料予熱器105に供給される。この後、燃料予熱器105で、改質器102の動作に適した温度に昇温され、水蒸気発生器104からの水蒸気が混合され、改質器102に供給される。
【0029】
改質器102では、主にバーナー106から供給される熱により、水蒸気と混合されてい供給される燃料の改質が行われ、水素が主成分の改質ガスを生成し、生成した改質ガスを燃料電池セルスタック101に供給している。
【0030】
燃料電池セルスタック101では、空気予熱器103から供給される空気と改質器102から供給される改質ガスとにより発電を行い、直流の電力を発生(生成)している。このようにして生成している直流電力は、図示していないインバータなどの燃料電池システムに搭載されている電力変換装置により、所望の電圧の電力に変換されて負荷に供給される。
【0031】
また、燃料電池セルスタック101からは、発電の結果、燃料極排ガス及び空気極排ガスが排出される。これらの排ガスの中で、燃料極排ガスの一部は、改質器102に再循環されて再利用される。また、燃料極排ガスの他の一部(残り)と空気極排ガスとは、バーナー106に供給されて燃焼する。空気極排ガスは、内側容器107の内部に直接排出され、防炎壁109の開口部を通して内側容器107の上側のバーナー106の所に供給される。一方、燃料極排ガスは、所定の配管による燃料極排ガスリサイクル経路115により改質器102及びバーナー106に供給される。
【0032】
上述したような発電動作により、内側容器107の内部においては、まずこの下側で、燃料電池セルスタック101から熱及び高温の空気極排ガスが発生し、これらが、防炎壁109を介して上側に供給されている。また、内側容器107の内部の上側では、バーナー106により熱が発生している。上述した燃料電池セルスタック101から排出される空気極排ガスは、この一部がバーナー106で消費された後、発生している各熱により加熱され高温となる。また、燃料電池セルスタック101及びバーナー106からの熱により、改質器102や空気予熱器103,水蒸気発生器104,及び燃料予熱器105などの燃料電池セルスタック101に供給されるガスを予熱する予熱器が加熱される。
【0033】
以上のようにして、空気極排ガスを含む内側容器107内のガス(排ガス)は、燃料電池セルスタック101及びバーナー106により加熱されて内側容器107の内部を上昇し、内側容器排気隔壁172の内側容器排気口172aより、排ガス流通層110に排出される。排ガス流通層110に排出された高温の排ガスは、排ガス流通層110内を内側容器107の周囲を包み込むようにして下方に流れ、断熱容器排気口181より排気管111に排出され、燃料電池システムに搭載される図示しない低温予熱器や熱回収装置へ供給される。
【0034】
上述した本実施の形態の燃料電池モジュールによれば、内側容器107から内側容器排気隔壁172を介して排出された排ガスは、外部に直接排出することなく、断熱容器108の内部において、排ガス流通層110を経由して断熱容器排気口181より外部に排出される。このため、燃料電池モジュール(内側容器107)の内部で発生した排ガスは、排ガス流通層110を介さずに直接外部に排出する場合に比較し、排ガスの排出流量を低下させることなく、より長い時間をかけて断熱容器108より外部に排出されることになる。なお、内側容器排気隔壁172を介して排出された排ガスは、断面積の狭くなっている排ガス流通層110を通過することになり、流速が早くなる。
【0035】
このように、高温とされている排ガスが排ガス流通層110を流れるようになるので、内側容器107内の温度をより均一にすることができるようになり、モジュール(内側容器107)内に、局所的な温度勾配が形成されることが抑制できるようになり、モジュールの内部の保温効果を向上させることができる。例えば、内側容器隔壁171がなく排ガス流通層110が形成されていない場合、燃料電池セルスタック101から断熱容器108の内側面にかけての空間では、熱源の燃料電池セルスタック101から遠ざかるにつれて減少する温度勾配が形成される。これに対し、排ガス流通層110が形成されてここに高温の排ガスが流れていることにより、熱源から離れている断熱容器108の内側面近傍も高温の状態となり、上記温度勾配が緩慢になる。従って、モジュール内をより効率的に保温できるようになる。これらの効果は、システム(モジュール)の複雑化や部品点数の大きな増加などをすることなく得られる。
【0036】
また、本実施の形態1における燃料電池モジュールによれば、内側容器107の内部においては、改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,及び燃料予熱器105に対し、発熱源となる燃料電池セルスタック101が下方に配置された状態となっている。燃料電池セルスタック101から発生した熱により加熱される内側容器107の内部のガスは、内側容器107の内部を上昇することになるが、この方向に、改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,及び燃料予熱器105が配置されていることになる。
【0037】
このため、本燃料電池モジュールによれば、燃料電池セルスタック101より発生した熱を効率よく改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,及び燃料予熱器105の加熱に用いることができるようになる。また、燃料電池セルスタック101を、内側容器107の底部に配置することで、モジュール(内側容器107)内に、局所的な温度勾配が形成されることが抑制できるようになる。これらの効果も、システム(モジュール)の複雑化や部品点数の大きな増加などをすることなく得られる。
【0038】
燃料電池モジュールは、多くの機器から構成され、機器間の熱のやりとりが複雑であるため、各機器の配置の最適化がなされていない場合、局所的な温度上昇や温度低下がモジュール内で生じ、正常な動作に支障を来すようになる。このような問題が、上述した本実施の形態における燃料電池モジュールによれば解消でき、モジュール内の温度分布をより均一にすることができる。
【0039】
また、本実施の形態1における燃料電池モジュールでは、燃料予熱器105に対して外部より供給される燃料としての都市ガスを、バーナー用燃料供給経路116により、バーナー106に供給可能としている。このため、例えば燃料電池の始動時に、空気供給経路112,空気予熱器103,及び燃料電池セルスタック101を介して内側容器107の内部に供給される空気と、バーナー用燃料供給経路116により供給される燃料とにより、バーナー106を燃焼動作させることが可能となる。これにより、燃料電池モジュール内の各部の昇温を行うことができる。
【0040】
燃料電池モジュールの各構成部分が動作可能な状態となった後に、前述したように、燃料予熱器105への燃料ガス(都市ガス)の供給を開始し、また、水の供給を開始して改質器102の動作を開始し、発電動作を開始すればよい。このようにして発電動作が開始された後、燃料電池セルスタック101より燃料極排ガスが排出されたら、バーナー用燃料供給経路116による都市ガスの供給を停止し、定常運転動作に移行すればよい。
【0041】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態2における燃料電池モジュールの一部構成を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)のbb線の断面を示し、図3(a)は、図3(b)のaa線の断面を示している。図3(b)は、燃料電池モジュールの1側面の全域を示している。なお、図3には示していないが、他の構成は、前述した(図1に示した)構成と同様である。
【0042】
本実施の形態2の燃料電池モジュールでは、内側容器107の内側容器隔壁171の側面と断熱容器108の内側面との間の排ガス流通層110に、一部に開口部302が形成された流路形成板301を設け、モジュール側部における排ガス流通層110における排ガスの流路が長くなるようにした。図3に示す例では、モジュールの1側面において、流路形成板301の一端側に開口部302が形成され、上下に隣り合う流路形成板301は、左右に反対側となるように開口部302を配置する。
【0043】
従って、モジュールの側面の排ガス流通層110においては、上方より下方に向かって排ガスが左右に蛇行して流れる流路が形成されていることになる。なお、流路形成板301は、内側容器107(断熱容器108)の側面の延在方向に略平行に配置したが、これに限るものではなく、斜めに配置してもよく、また、容器の上下に平行に配置しても良い。容器の上下に平行に配置する場合、排ガスが排ガス流通層110を上下に蛇行して流れる流路が形成されることになる。
【0044】
従って、本実施の形態2によれば、内部で排出された排ガスは、この排出流量を低下させることなく、前述した実施の形態1に比較して、より長い時間をかけて断熱容器108より外部に排出されることになる。また、本実施の形態2においても、排ガス流通層110に排ガスが流れることにより内側容器107内の温度をより均一にすることができるようになり、モジュール(内側容器107)内に、局所的な温度勾配が形成されることが抑制できるようになる。
【0045】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態3における燃料電池モジュールの一部構成を示す断面図である。なお、図4では、内側容器107に配置される燃料電池セルスタック101,改質器102,空気予熱器103,水蒸気発生器104,燃料予熱器105,バーナー106を省略している。
【0046】
本実施の形態3の燃料電池モジュールでは、内側容器107と断熱容器108との間に、隔壁407を新たに設け、内側容器107と断熱容器108とに間に、排ガス流通層110に加えて外側排ガス流通層410が形成されるようにした。この燃料電池モジュールでは、空気極排ガスを含む内側容器107内のガス(排ガス)は、内側容器排気隔壁172の内側容器排気口172aより、排ガス流通層110に排出され、この中を内側容器107の周囲を包み込むようにして下方に流れ、次いで、排気口417から外側排ガス流通層410に排出され、この中を、隔壁407の周囲を包み込むようにして情報に流れ、上部に設けられた断熱容器排気口481より排気管111に排出され、燃料電池システムに搭載される図示しない低温予熱器や熱回収装置へ供給される。
【0047】
従って、本実施の形態3によれば、内部で排出された排ガスは、この排出流量を低下させることなく、前述した実施の形態1に比較して、より長い時間をかけて断熱容器108より外部に排出されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池モジュールの構成を示す構成図である。
【図2】燃料電池モジュールの内部を示す斜視図(a)及び内部に配置される各機器の構成を示す斜視図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態2における燃料電池モジュールの一部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3における燃料電池モジュールの一部構成を示す断面図である。
【図5】従来よりある燃料電池モジュールの概略的な構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0049】
101…燃料電池セルスタック、102…改質器、103…空気予熱器、104…水蒸気発生器、105…燃料予熱器、106…バーナー、107…内側容器、108…断熱容器、109…防炎壁(仕切り)、110…排ガス流通層、111…排気管、112…空気供給経路、113…水供給経路、114…燃料供給経路、115…燃料極排ガスリサイクル経路、116…バーナー用燃料供給経路、171…内側容器隔壁、172…内側容器排気隔壁、172a…内側容器排気口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極,電解質,及び燃料極を備えた複数の単セルよりなる燃料電池セルスタックと、
前記燃料電池セルスタックに供給されるガスを予熱する予熱器と、
前記燃料電池セルスタック及び前記予熱器を収容して上部に複数の開口部を備える内側容器と、
前記内側容器を収容する断熱材から構成された断熱容器と、
前記内側容器と前記断熱容器との間に形成された排ガス流通層と、
前記断熱容器の底部の側に形成されて前記排ガス流通層とこの外部とを連通する排気口と
を少なくとも備えることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記内側容器の側部の前記排ガス流通層に配置されて一部に開口部が形成された流路形成板を備えることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記排気口は、前記断熱容器の底部に形成されて、前記排ガス流通層と前記断熱容器の外部とを連通する断熱容器排気口である
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記内側容器と前記断熱容器との間に配置された隔壁と、
前記隔壁と前記断熱容器との間に形成された外側排ガス流通層と、
前記断熱容器の上部に形成されて前記外側排ガス流通層とこの外部とを連通する断熱容器排気口と
を備え、
前記内側容器と前記断熱容器との間に前記排ガス流通層が形成され、
前記断熱容器の底部の側の前記隔壁に前記排気口が形成されている
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記燃料極に対して供給される燃料ガスを改質する改質器と、
前記空気極から排出される空気極排ガスと前記燃料極から排出される燃料極排ガスとを燃焼させて前記改質器を加熱するバーナーと、
前記改質器に水蒸気を供給する水蒸気発生器と
を前記内側容器の内部に備えることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記予熱器は、
前記空気極に供給する空気を予熱する空気予熱器及び前記燃料極に供給する燃料を予熱する空気予熱器である
ことを特徴とする燃料電池モジュール。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−76274(P2009−76274A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242953(P2007−242953)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】