説明

燃料電池

ケーシング(12)と、ケーシング内に電極アセンブリとを備える燃料電池を開示する。電極アセンブリは、多孔の基板(36)と、基板の一側にある第1および第2の電極(46、48)とを備える。第3および第4の電極(60、62)が、基板の他側に設けられる。各電極は、電極への電気的接続を確立しうるタブ(36、38、42および44)を含む。ケーシングには電解質がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池および水素生成装置として使用可能であり、蓄電池としても機能しうるハイブリッド構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、従来の熱機関と比較して、水素および炭素質燃料または化石燃料を電気に変換する、潜在的に高効率および低汚染の手段として、150年以上にわたり注目されてきた。商用電力の発電および電気自動車の駆動用に燃料電池を使用する研究が長期にわたり行われてきたが、開発はゆっくりとしたペースで進められてきた。燃料電池技術の近年の進歩により、これらの応用に対して、さらには新しい応用に対しても、このような電池への関心が高まってきた。
【0003】
従来の燃料電池は、電池の端子が外部電力源に接続されると、水素および酸素を発生する。このような電池は可逆的に動作可能であり、水素および酸素(大気中の酸素であってもよい)が供給されうる。次に、このような電池は、端子の両端にかかる電圧の形となって現れる電力を発生する。
【0004】
従来の市販されている燃料電池では、電力の供給、およびその結果としての水素および酸素の発生が、水素および酸素の供給、およびその結果としての電力の発生とは異なるときに起こる。2つの動作モードは同時には起こりえない。
【0005】
燃料電池からの電気の流れは多くの要因に依存し、水素の消費量はその主要因である。水素および酸素が流れるチャネル構成も、電子の流れを生じる反応速度に影響する。
【0006】
電解質(水であってもよい)が加水分解される電池も知られており、これらの電池は、水素および酸素を発生する。加水分解の必須生成物である水素は収集され蓄積される。酸素はあまり重要ではなく、多くの場合、大気中に単に放出されている。
【0007】
陽極プレートおよび陰極プレートを有し、化学形態で蓄電する多くのタイプの電気化学電池が知られており、広く使用されている。
【0008】
上述したように、電池の中には、電池で起こる可逆反応により、水素生成装置としても、発電装置としても使用可能なものがある。水素と、酸素または大気のいずれかとを供給すると電気が生成され、すなわち、電池は燃料電池として動作していることになる。電池の端子に直流供給源を接続すると、電解質で加水分解が起こり、結果的に水素および酸素が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電力を供給し、その結果として水素および酸素が発生することと、電力消費デバイスへ供給可能な電力を発生することとが同時に生じる燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示する別の本発明の概念は、これらの構造体(燃料電池、電解セルおよび電気化学蓄電池)を、個々の構造体より多くの利点をもたらす構造体で組み合わせ可能であるということである。
【0011】
本発明は、水素および酸素を生成するように直流源に接続され、電力を取り出せる端子を有する電解セルに及ぶ。
【0012】
電気化学的な蓄電能力を備える燃料電池が、本発明により実現可能である。
【0013】
燃料電池、電解セルおよび蓄電池として作用する構造体が、本発明により構築されうる。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、ケーシングと、ケーシング内の電極アセンブリとを備える燃料電池であって、電極アセンブリが、多孔の基板と、基板の一側にある第1の電極と、基板の前記一側にある第2の電極と、基板の他側にある第3の電極と、基板の他側にある第4の電極とを備え、各電極には当該電極との電気的接続を可能にするタブがあり、ケーシングに電解質を含む燃料電池が提供される。
【0015】
また、本発明により、前段落において規定される燃料電池と、第1の端子と第3の端子との間に接続される電流源と、第2の端子と第4の端子との間に接続される電力消費デバイスとを備える装置が提供される。
【0016】
2つ以上の電流源が電池に接続可能なように、基板の各側に3つ以上の電極が提供され、2つ以上の電力消費デバイスが電池に接続されてもよい。
【0017】
この装置は、本発明によれば、電流が電解質を通って第1の電極から第3の電極に流れ、同時に、前記電力消費デバイスを駆動するためにこの装置から、第2の端子および第4の端子にて、電力が取り出される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、
電解質に浸漬される第1および第2の導電性プレートであって、これらの第1および第2の導電性プレートの表面積を増大化するためにこれらのプレートに多数の孔が設けられ、これらのプレート間に流れる電流が電解質を分解して水素および酸素が発生するように直流電流源に接続するためのタブを有する、第1および第2の導電性プレートと、
第1および第2の導電性プレートの間に設けられた第3および第4の導電性プレートであって、ガス透過膜によって互いから分離され且つ第1および第2のプレートから分離され、電力消費デバイスが接続可能なタブを有する、第3および第4の導電性プレートと
を備え、使用時、酸素および水素がプレートおよび膜を透過して第3のプレートで再化合するときに、デバイスを通る電子流が発生する構造体が提供される。
【0019】
第1および第2のプレートの各々は、プレート状の基板を形成し且つ電気絶縁メッシュによって分離される2枚の金属プレートからなり、第1のプレートの基板およびメッシュが、電気化学的に活性な正(electrochemically active positive)の材料で貼着(paste)され、第2のプレートの基板およびメッシュは、電気化学的に活性な負(electrochemically active negative)の材料で貼着され、各基板はタブを有し、第1および第2のプレートは蓄電池を構成する。
【0020】
さらなる形態において、第1および第3のプレートの間に介在された電子絶縁メッシュと、第2および第4のプレートの間に介在されたさらなる電気絶縁メッシュとがあり、第1および第3のプレートならびに前記介在されたメッシュは、複合プレートを形成するために電気化学的に活性な正の材料で貼着され、第2および第4のプレートならびに前記介在されたメッシュは、さらなる複合プレートを形成するために電気化学的に活性な負の材料で貼着され、これらの複合プレートがガス透過膜によって互いに分離される。
【0021】
プレートおよび膜は矩形状のものとすることができる。
【0022】
前記構造体はケーシング内に収容され、このケーシングは各側壁の内面を下方に延びケーシングの底部の上面を横切って延びる溝を有し、前記構造体は前記溝に気密および液密の状態で嵌め込まれる。
【0023】
前記構造体の各側にコンパートメントを設けることができる。
【0024】
前記ケーシングを閉じるための孔付き蓋が設けられる。
【0025】
別の実施形態においては、各プレートおよび膜は、構造体が円筒状ケーシングに巻回されて収容される長尺ストリップの形状である。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、上記に規定したような構造体と、第3および第4のプレートのタブ間に接続される電力消費デバイスと、第1および第2のプレートのタブ間に接続される直流電流源とを備える装置が提供される。
【0027】
以下、本発明をより深く理解し、本発明を実施しうる方法を示すために、例示的に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による燃料電池のコンポーネント(構成要素)を示す図である。
【図2】部分的に組み立てられた燃料電池の図である。
【図3】完全に組み立てられた燃料電池の図である。
【図4】燃料電池として、または水素生成装置として動作可能なセルの個々のコンポーネントを図式的に示す。
【図5】ハイブリッド型蓄電池および燃料電池のコンポーネントを図式的に示す。
【図6】互いに並置された図5のコンポーネントを示す。
【図7】外側ケーシングにある図5および図6のコンポーネントの図である。
【図8】さらなるハイブリッド型蓄電池および燃料電池のコンポーネントを図式的に示す。
【図9】円筒状のハイブリッド型燃料電池および蓄電池を示す。
【図10】本発明のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図示された燃料電池は、参照番号10が付与され、2つの細長い側壁14と、2つの幅の狭い端部側壁16と、基部18とを含むケーシング12を備える。垂直方向の溝20が、各端部側壁端壁16の内面の全高さに延びている。ケーシング12の蓋22は、4つのスリット24と、スリット24と交互に配置された3つの孔セット26、28および30を有する。端部側壁16の溝20は、基部(底部)16の上面および蓋22の下側まで続く。蓋の上面にある溝には、参照番号32が付与されている。
【0030】
参照番号34は、燃料電池の電極アセンブリを表す。アセンブリ34は、ケーシング12の電解質が一側から他側へ透過可能なように多くの孔が設けられた(多孔の)基板36を備える。基板36は、電気絶縁体として作用するようにポリエチレンなどの材料からなる。基板には、4つの上向きに突出したタブ38、40、42、44が形成される。
【0031】
鉛のような導電性金属の2つのトラック46、48は、基板36の視認可能な面に設けられる。
【0032】
トラック46は、タブ38の視認可能な面から始まり、基板34の左手縁部を下方に延びるセクション50と、基板36の底縁部に沿って延びるさらなるセクション46、52とを有する。間隔を空けて設けられた一連のストリップ54が、セクション52から上向きに延びる。
【0033】
トラック48は、タブ40から始まり、基板の上縁部に沿って延びるセクション56と、トラックセクション56から下方に延びる一連のストリップ58とを含む。ストリップ54および58は、互い交互に配置され、互いに間隔を空けて設けられる。
【0034】
トラック46および48は、2つの電極を構成する。
【0035】
基板の視認可能な面にあるトラック46、48の配列は、視認できない面にも再現されている。これらのトラックは、1つがタブ42から始まり、もう1つがタブ44から始まる。タブ42および44にあるこれらのトラックの前述した部分のみが視認でき、参照番号60および62が付与されている。
【0036】
電極アセンブリ34は、タブ38、40、42および44がケーシング12から突出した状態で、溝20内にスライドして挿入される(図2を参照)。ケーシングには電解質が充填され、タブがスリット24を通って蓋22の上方に突出するように蓋22が押圧される(図3を参照)。電極アセンブリの下縁部は、基部18の溝にあり、アセンブリの上縁部は、蓋22の溝32にある。タブにあるトラック46、48の部分はアクセス可能であり、これらの部分との電気的接続部を有しうる。電流源が、視認可能なトラック46、48の一方のタブに接続され、さらに、基板の他側にあるトラックの1つのタブに接続される。電力消費デバイスが、もう一方のトラック46、48に接続され、基板の他側にあるトラックのもう一方に接続される。さらに詳しく言えば、充電源は、タブ38にあるトラック46の部分と、タブ44にあるトラックの部分との間に接続されうる。電力消費デバイスは、タブ40にあるトラック48の部分とタブ42にあるトラックの部分との間に接続されうる。タブ44にあるトラックは陽極として機能し、トラック46は陰極として機能する。同様に、タブ42にあるトラックは、もう一方の陽極として働き、タブ40にあるトラックは、もう一方の陰極として機能しうる。
【0037】
実験研究によれば、電流源が接続された電極で酸素および水素が発生し、他の2つの電極から電力が取り出されうることが分かった。酸素および水素が発生する速度は、充電速度と放電速度との差に依存する。差が増大するにつれ、充電速度は放電速度より速く、ガス発生は増大する。陽極で発生した水素イオンは、セパレータ34を透過し、陰極で発生した酸素と化合する。水素/酸素の発生の生成物は、水および電気エネルギーである。電解質が酸性であれば、水は陰極で生成される。電解質がアルカリ性であれば、水は陽極で生成される。
【0038】
充電速度と放電速度との差が十分に大きくなれば、酸素および水素の生成速度は、セルでの消費速度を超え、収集および蓄電用に当てられる。
【0039】
両側に薄い銅層を有する基板を使用して、4つのトラックが作られうる。これらの層は、保持される予定の銅領域を保護するためにマスキングされ、露出された銅はエッチング除去される。マスクが除去された後、残りの銅は、鉛、カドミウム、リチウムまたはニッケルなどの耐酸性金属または耐酸性金属水素化物でめっきされる。使用時、残りのめっきされていない銅が浸食されるが、耐酸性金属は残留することができる。
【0040】
別の形態において、基板36は、基板の両面に溝を有し、トラックは溝に設けられる。トラックは鋳造や他の方法で形成された後、溝内に押圧されてもよい。溝およびトラックの相互結合部分のような適切な手段がトラックを適所に固定するために設けられうる。
【0041】
孔26、28および30にはさまざまな用途がある。孔は、セルに電解質を補給し、発生した水素および酸素をセルから取り除き、水素および空気/酸素をセルに供給するために使用されうる。
【0042】
以下、図4を参照すると、図示したコンポーネント(構成要素)は、参照番号64、66、68および70が付与された鉛プレート等の4つの導電性プレートであり、参照番号72、74および76が付与され、プレート64および66、66および68、68および70間にある3つのガス透過膜である。各プレート64、66、68および70は、以下に記載するように、電解質に露出されるプレートの表面積を増大する効果を有する多数の貫通孔をプレートに有する。孔は、構築に用いる製造技術に合わせて可能な限り小さいものである。部材72、74および76はセパレータとして作用する。
【0043】
穿孔または鋳造によって鉛プレートに形成されうる孔の最小サイズは、最適値より大きい。孔サイズを縮小する可能な方法は、孔を生成するためにプレートを穿孔する方法か、孔付きのプレートを鋳造する方法である。プレートは、要求される厚さより厚みがあり、プレートは、プレートにある孔の厚さおよびサイズの両方を低減するために圧縮される。
【0044】
孔は、既知の燃料電池にあるチャネルの機能を奏する。
【0045】
各プレートはタブを含む。タブには、参照番号78、80、82および84を付与した。膜72、74および76は適切な合成プラスチック材料から作ることができる。ポリエチレンは適切な材料である。「Nafion」もまた適切な材料である。
【0046】
タブ78および84は、直流電流源に接続されうる。タブ80および82は、電力消費デバイスを含む回路内に接続される。直流電圧がタブ78および84に印加されると、その結果得られる電流は電解質を電気分解する。プレート64の両側で酸素が発生し、プレート70の両側に水素が発生する。
【0047】
酸素は、膜72およびプレート66の孔を透過し、水素は膜76、プレート68の孔、および膜74を通って、プレート66に達する。プレート66と膜874との間にて再化合が生じ、結果的に、タブ80および82に接続された外部回路を電子が流れる。
【0048】
プレートおよび膜を通る水素流の速度は、プレート70に隣接するコンパートメントから水素を除去することによって調整されうる。この構造体は、図7を参照しながらさらに深く理解されるであろう。
【0049】
アンペア時容量を増すために、プレート64の左側に向かってコンパートメント内に周囲空気が供給されうる。水素を除去する代わりに、アンペア時容量をさらに増大するために、水素がプレート70の右側のコンパートメント内に導入されてもよい。
【0050】
以下、図5を参照すると、図示コンポーネントは上述したものと同じ形態の、図4に示す6つの導電性プレートを備える。プレートは、参照番号86、88、90、92、94および96が付与されている。プレート86および88は、電気化学的に活性な正の材料を用いて貼着される。プレート94および96は、電気化学的に活性な負の材料を用いて貼着される。プレート90および92は貼り付けられていない。プレート86および88の間にはメッシュセパレータ98があり、プレート94および96の間にさらなるメッシュセパレータ100が設けられる。ガス透過膜102、104、および106は、プレート88および90、90および92、92および94の間に設けられる。
【0051】
プレート86および88が貼着されるとき、その貼着用の材料(ペースト)はメッシュセパレータ88の隙間を通過する。同様に、ペーストは、プレート94および96が貼着されるとき、メッシュセパレータ100を通過する。メッシュセパレータ98は、金属プレート86、88間の直接接触を防止し、メッシュセパレータ100は、プレート94、96間の接触を防止する。
【0052】
各プレートはタブを含み、タブは、参照番号108、110、112、114、116および118が付与されている。
【0053】
図5のコンポーネントは、図6に組み立てられた状態で示されており、図7において、組み立てられたコンポーネントは、参照番号120が付与されたケーシング内にある。ケーシング120の側壁124は、端部側壁126と比較すると、比較的長い。各端部側壁126は、ケーシングの全高さにわたって延びる内溝128を有する。溝128は、容器の基部130の上面まで続き、図5に示すアセンブリは、溝128内にスライドして挿入され、基部の溝に着座する。アセンブリと容器のこのような嵌合により、アセンブリの各側面に1つずつあるコンパートメント(参照番号132および134)が、互いに封じられる。
【0054】
気密状態でケーシング120を閉じるための蓋130が設けられる。蓋130には、図6に示すアセンブリのタブ用のスロット132および134がある。また、蓋には、コンパートメント132および134に対して、ガスの供給やガスの排出用の孔136および138がある。また、孔は、必要に応じて電解質を補給するために使用されうる。
【0055】
図4のコンポーネントが並列に配置されるとき、図7に示すタイプのケーシング内に嵌合すると、プレート64および66に隣接してコンパートメントが設けられることを理解されたい。
【0056】
プレート86、88および94、96は、電気化学的な蓄電池を構成し、貼着されていないプレート90および92は燃料電池を構成する。タブ110、116は、直流電流源の負極および正極にそれぞれ接続される。電力消費デバイスが、タブ112および114に接続される。タブ108および116は、電力消費デバイスを含む回路内に接続される。
【0057】
直流電流源から図示のアセンブリを通って電流が流れ、同時に、タブ108、118、112および114によって電力が取り出される。
【0058】
タブ110、116の両端に直流電圧が印加されると、電流は電解質を分離する。プレート88に酸素が発生し、プレート94に水素が発生する。
【0059】
酸素は膜102およびプレート90を透過する。水素は膜106、プレート92および膜104を透過する。水素および酸素の再化合が、膜104とプレート90との間で起こる。結果的に、タブ112および114の間に電流が流れる。
【0060】
タブ108および118の両端に開回路があれば、プレート86、88および94、96で構成される蓄電池が充電される。タブ108および118の両端に電力消費デバイスがあれば、蓄電池の充電と同時に、アセンブリから電力が取り出される。
【0061】
前の2つの段落で記述した反応は同時に起こる。
【0062】
上述したように、周囲空気または酸素は、コンパートメント132に供給されうる。水素は、アンペア時容量を増大するためにコンパートメント134に供給されうる。
【0063】
図8に示すアセンブリは、図5に示すアセンブリと共通したコンポーネントを多数有し、同様の部分または部品には、同様の参照番号を付与している。ガス透過膜102および106は省略しており、プレート88および90、ならびに92および94間のそれぞれに、参照番号140および142が付与された2つのメッシュが挿入されている。
【0064】
この実施形態において、プレート86、88および90はすべて、電気化学的に活性な正の材料で貼着されており、プレート92、94および96は、電気化学的に活性な負の材料で貼着されている。結果的に得られるプレートアセンブリ対は、1つが正であり、1つが負であり、これらは電気化学蓄電池を構成する。図8のタブは、図5のタブと同じようにして参照され、図5を参照しながら上述したものと同じ方法で外部回路に接続される。
【0065】
外側プレート86および96は、電気蓄電池を構成するのに対して、内側プレート88、90、92および94は、水素生成装置および燃料電池の両方を構成する。
【0066】
プレート88で酸素が発生し、プレート94で水素が発生する。水素はプレート92および膜104を透過し、プレート90および膜104の間で酸素と再化合する。電流は、タブ112および114に接続された回路を流れる。
【0067】
タブ108および118から蓄電池電力が取り出されうる。電力は、タブ112および114からも取り出すことができ、この電力は、蓄電池プレートでの電気化学反応から、および部分的に、水素および酸素の再化合から部分的に導き出される。
【0068】
図9に示す円筒状構造体は、上述した角柱構造体と実質的に同じ構成である。図9のコンポーネントは、図8と同じ番号を用いて参照される。参照番号144は、図示したプレート上のペーストを表す。
【0069】
極性が反対の貼着済みプレート間を接触させることなく、構造を巻回可能にするのに必要な、参照番号146が付与されたさらなるガス透過膜がある。
【0070】
図10は、反対側からのプレート148を示す。さらに詳しく言えば、背面図は、正面図に示すプレートの隠れた側のものである。プレートは、参照番号150が付与された、間隔を空けて設けられた微小孔列を有する。この孔は、上述したようなガス透過材料で充填されうる。
【0071】
プレートの上部に沿って延びた後、左手側縁部を下方に延びる金属トラック154に、第1のタブ152が接続される。間隔を空けて設けられた金属ストリップ156は、プレート142の面全体にわたって延び、トラック154に接続される。孔150はストリップ156を貫通する。
【0072】
第2のタブ158が、プレート148のもう一方の縁部を下方に延びるトラック160に接続される。金属ストリップ170は、プレート148全体にわたって延び、ストリップ156と互いに組み合うように配置される。ストリップ156および170は、互いから電気的に絶縁される。
【0073】
プレート148の反対側も同様に構成され、タブ172および174、トラック176および178、ならびにストリップ180および182を含む。孔150はストリップ182を貫通する。
【0074】
プレートは、使用時、電解質に浸漬される。
【0075】
タブ158および172に直流電圧が印加されると、プレートの一側の固体ストリップ156に酸素が発生し、孔150が貫通するストリップ182のプレートの他側に水素が発生する。水素は孔150を透過し、プレートの他側で酸素と再化合する。
【0076】
アンペア時容量を増すために、再化合が起こっている面に酸素または周囲空気が供給される。
【0077】
水素が発生するプレートの側は負に貼着し、再化合が起こっている側は正に貼着することができる。
【0078】
図示した構成の任意のものとともに使用する電解質が酸性であれば、負極側に水素が発生し、電解質がアルカリ性であれば、正極側に水素が発生する。
【0079】
プレートのサブ構造は鉛でありえ、好ましくは、ニッケルコーティングがされる。サブ構造として、白金も使用されうる。
【0080】
電気化学的に活性な材料は、ニッケル、鉛、水素化物、酸化物および炭素ベースのものとすることができる。電気化学的に活性な材料が多孔であることにより、水素および酸素の生成および水素および酸素の再化合が起こりうる表面積が増す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、前記ケーシング内の電極アセンブリとを備える燃料電池であって、
前記電極アセンブリが、多孔の基板と、前記基板の一側にある第1の電極と、前記基板の前記一側にある第2の電極と、前記基板の他側にある第3の電極と、前記基板の前記他側にある第4の電極とを備え、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極および前記第1の電極のそれぞれには当該電極との電気的接続を可能にするタブが設けられ、前記ケーシングに電解質を含む、燃料電池。
【請求項2】
前記基板の各側に3つ以上の電極が設けられている、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池を備える装置であって、電流源が、前記第1の端子と前記第3の端子との対の間に接続される、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池を備える装置であって、前記第2の端子と前記第4の端子の対の間に電力消費デバイスが接続され、前記第1の端子と前記第3の端子との対の間に電流源が接続される、装置。
【請求項5】
電解質に浸漬される第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートであり、該第1の導電性プレートおよび該第2の導電性プレートの表面積を増すために多数の孔を有し、該第1の導電性プレートと該第2の導電性プレートとの間に流れる電流が電解質を分離させて水素および酸素を発生するよう直流電流源に接続されるタブを有する、第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートと、
前記第1の導電性プレートと前記第2の導電性プレートとの間にある第3の導電性プレートおよび第4の導電性プレートであり、ガス透過膜によって互いから分離され且つ前記第1の導電性プレートおよび前記第2の導電性プレートから分離され、電力消費デバイスが接続可能なタブを有する第3の導電性プレートおよび第4の導電性プレートと
を備え、使用時、酸素および水素が前記導電性プレートおよび前記ガス透過膜を通って前記第3のプレートで再化合するときに、前記デバイスを通る電子流が発生する、構造体。
【請求項6】
前記第1の導電性プレートおよび前記第2の導電性プレートの各々が、プレート状の基板を形成し電気絶縁性のメッシュによって分離された2枚の金属プレートを備え、前記第1の導電性プレートの前記基板および前記メッシュが、電気化学的に活性な正の材料で貼着され、前記第2の導電性プレートの前記基板および前記メッシュが、電気化学的に活性な負の材料で貼着され、前記基板の各々がタブを有し、前記第1の導電性プレートおよび前記第2の導電性プレートが蓄電池を構成する、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記第1の導電性プレートと前記第3の導電性プレートとの間に介在された電気絶縁性のメッシュと、前記第2の導電性プレートと前記第4の導電性プレートとの間に介在されたさらなる電気絶縁性のメッシュとを含み、
前記第1の導電性プレートおよび前記第3の導電性プレート、ならびに前記介在されたメッシュが、複合プレートを形成するために電気化学的に活性な正の材料で貼着され、前記第2の導電性プレートおよび前記第4の導電性プレート、ならびに前記介在されたメッシュが、さらなる複合プレートを形成するために電気化学的に活性な負の材料で貼着され、前記複合プレートがガス透過膜によって分離される、請求項5または6に記載の構造体。
【請求項8】
前記導電性プレートおよび前記ガス透過膜が矩形状のものである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の構造体と、ケーシングとの組み合わせであって、
前記ケーシング内には前記構造体が収容され、前記ケーシングが、各側壁の内面を下方に延び該ケーシングの底部の上面を横切って延びる溝を有し、前記構造体が前記溝に気密状態および液密状態で嵌合する、組み合わせ。
【請求項10】
前記構造体の各側面にコンパートメントが設けられている、請求項9に記載の組み合わせ。
【請求項11】
前記ケーシングを閉じるための蓋をさらに含み、前記蓋に孔が設けられている、請求項9または10に記載の組み合わせ。
【請求項12】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の構造体と、円筒状ケーシングとの組み合わせであって、前記導電性プレートおよび前記ガス透過膜のそれぞれが長尺ストリップの形状であり、前記構造体が前記円筒状ケーシングにおいて巻回され収容される、組み合わせ。
【請求項13】
請求項1〜4および請求項8のいずれか一項に記載の構造体と、前記第3の導電性プレートの前記タブと前記第4の導電性プレートの前記タブとの間に接続される電力消費デバイスと、前記第1の導電性プレートの前記タブと前記第2の導電性プレートの前記タブとの間に接続された直流電流源とを備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−502686(P2013−502686A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525240(P2012−525240)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053688
【国際公開番号】WO2011/021141
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(512031459)ミオクサイド マイニング (ピーティーワイ)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】