説明

燃焼チャンバを製造する方法

【課題】突合せ溶接組立品の技法を使用することによって、環状舌部の数を縮小する。
【解決手段】燃焼チャンバ要素の溶接組立品。燃焼チャンバの2つの部分組立品20、30が突合せ溶接によって製造され、第1部分組立品20は、そこに溶接される、第2部分組立品30への最終的な溶接を実施するのに適した中間連結環14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備形成されたシェルを一体に組み立てることによって燃焼チャンバを製造する方法に関し、より詳しくは、本発明は、縫合せ溶接の必要なしに組み立てが実施されるやり方に関する。本発明は、いわゆる「逆流」燃焼チャンバの製造に有利に適用される。
【0002】
本発明はまた、この方法を実施することによって得られる直流燃焼チャンバと、本発明の燃焼チャンバが取り付けられたターボジェットとに関する。
【背景技術】
【0003】
いわゆる逆流燃焼チャンバは一般的に、シェルを構成するように型打ちされた金属板から作られる。これらのシェルは一体に組み立てられる。組み立てのために、これらのシェルは、縫合せ溶接によってそこに平坦に組み立てられる環状の舌部を有する場合が多い。
【0004】
溶接されたこれらの舌部は燃焼チャンバの外側に突出し、それによって燃焼チャンバの周りを流れる空気流の損失水頭をもたらす。さらに、機械的な脆弱さが特に逆流燃焼チャンバでこれらの舌部に残り、チャンバの外側屈曲部は撓みを受ける。
【0005】
さらに、そうした組み立て技法は熱機械的応力をもたらし、レーザを使用して燃焼チャンバを穿孔することが所望される場合には、接近可能性の問題を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、突合せ溶接組立品の技法を使用することによって、環状舌部の数を縮小する試みがなされている。それにも関わらず、現在までに構想された解決策は、縫合せ溶接をなくすことを完全に可能にはしていない。
【0007】
本発明は、その目的を達成することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より詳しくは、本発明は、基本的に一体に溶接されたシェルから成る燃焼チャンバを製造する方法であって、そのようなシェルの2つの部分組立品を、組立面を含む中間連結環を第1部分組立品の一方端に溶接してシェルを一体に突合せ溶接することによって、個別に作ることと、第2部分組立品の一方端を上記面に係合させることと、それを上記中間環に溶接することとを備えることを特徴とする方法を、提供する。
【0009】
いわゆる「逆流」燃焼チャンバを製造するために、第1部分組立品は主に外側シェルによって構成され、第2部分組立品は主に内側シェルによって構成される。各部分組立品のシェルは突合せ溶接によって一体に組み立てられる。平底のシェルが噴射器を担持するチャンバ端壁を構成し、このチャンバ端壁が一方の部分組立品の一部分を構成し、その後最終的な溶接が行われる。
【0010】
一例として、一方の部分組立品がそのようなチャンバ端壁を含み、上記チャンバ端壁の一方端部が、上記中間環に溶接される上記第2部分組立品の端部を構成する。
【0011】
それ自体が知られているやり方で、突合せ溶接は常に、該当する2つの環状部品の結合を、それらの部品が溶接のために端縁対端縁で当接されるのを可能にする径方向拡張用具によって調整することによって実施される。
【0012】
中間連結環は少なくとも部分的に機械加工される、精確な寸法を有する部品である。したがってそれは、2つの部分組立品が環状溶接によって最終的に一体に組み立てられるとすぐにセンタリング機能を実施することができる。このような組み立てはレーザ溶接によって、またはタングステン不活性ガス(TIG)溶接によって実施することができる。
【0013】
さらに、中間連結環それ自体が、第2部分組立品に溶接するのに必要な溶加金属を含み、または構成する。
【0014】
したがって本発明の燃焼チャンバは、チャンバ端壁を含む予備形成された複数のシェルから形成され、それらのシェルは、そのようなシェルの2つの部分組立品の間の接合部を除いて突合せ溶接によって一体に組み立てられ、上記接合部は、上述の中間連結環を間に配置することによって作られることを特徴とする。
【0015】
純粋に例としてここに掲げ、添付図面を参照して行う、本発明による「逆流」燃焼チャンバを製造する方法についての以下の記述を踏まえれば、本発明をよりよく理解することができ、本発明の他の利点もより明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
簡単に上に述べた図面は、逆流燃焼チャンバを作り上げるように連続して合体される環状シェルまたは他の環状部を示す図式的半断面図である。既に一体に溶接された2つのシェル部分組立品それら自体が一体に連結されるのを可能にする、本発明に特有の環状溶接である図3に示す溶接を除いて、図1Aから図1Cを参照してまた図2Aから図2Cを参照してここに述べる他の動作は、別の順序で実行することができる。それとは対照的に、図3で図式的に示す動作は最後の溶接動作である。
【0017】
図1Aから図1Cと図2Aから図2Cとを参照してここに述べる突合せ溶接は、矢印によって示す。
【0018】
図1Aでは、突合せ溶接は不活性ガスで実施され、燃焼チャンバの外側屈曲部を形成するシェル11の形状に型打ちされる金属板が、任意に機械加工された連結環12に溶接される。この環は、チャンバ出口と高圧タービンとの連結を行うために後で使用するためのものである。
【0019】
図1Bで示すように、次いで突合せ溶接が、外側屈曲部の他方端部と燃焼チャンバの外側壁を形成する円筒状シェル13の一方端部との間で、不活性ガスで実施される。
【0020】
図1Cで示すように、円筒状シェル13の他方円形端部が、最終溶接中に使用する中間連結環14に突合せ溶接される。環状溶接は不活性ガスで実施される。上述の通り、中間連結環14は、縮小径の円筒状取付面15を有する。その寸法は機械加工によって決定される。例えばそれは、縮小径表面を画定する肩部近傍に面取部を有することができる。この面取部は、最終の溶接動作中に溶加金属を供給する働きをすることができる。
【0021】
図1Cに示す動作の終わりには、「逆流」燃焼チャンバの外側部分全体を形成する第1部分組立品20が作られている。
【0022】
図2Aに示す動作に従って、燃焼チャンバの内側屈曲部を形成する型打ち金属板のシェル21が、図1Aの機能と同じ機能を有する、同様にその後のタービンへの連結を目的とした連結環22と突合せ溶接される。
【0023】
図2Bに従って、燃焼チャンバの内側屈曲部の他方端部が、燃焼チャンバの内側壁を形成する円筒状シェル23に不活性ガスで突合せ溶接される。
【0024】
その後、図2Cに従って、円柱状シェル23の他方端部が、噴射器が取り付けられる燃焼チャンバの端壁を構成するためのシェル24の内側縁部に不活性ガスで突合せ溶接される。
【0025】
図2Cに示す動作の終わりには、将来の燃焼チャンバの内側壁全体を構成する第2部分組立品30が、チャンバの端壁と共に作られている。
【0026】
図3に従って、2つの部分組立品20と30が相互に結合され、中間連結環14が燃焼チャンバの端壁24に対して取り付けられ、環状溶接によって、例えばレーザを使用して、不活性ガスでそこに溶接される。上述のように、必要な溶加金属は上記中間連結環によって供給される。
【0027】
中間連結環の構造を考えると、最終の溶接動作は燃焼チャンバの周りの空気の流れを阻害することはないことに留意されたい。
【0028】
さらに、このようにして得られた燃焼チャンバが「滑らかな」外側壁を有するという事実は、燃焼チャンバの壁に穿孔される多数の開口を作るのに使用されるレーザ器具を位置決めするのを容易にする。
【0029】
使用される溶接のタイプは、燃焼チャンバの実現し得る最善の熱機械的挙動を保証する。製造コストも低減される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】第1部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図1B】第1部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図1C】第1部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図2A】第2部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図2B】第2部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図2C】第2部分組立品を作り上げる様々な溶接動作を示す図である。
【図3】2つの部分組立品を結合して逆流燃焼チャンバを構成する、環状溶接動作を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11、13、23 シェル
12、22 連結環
14 中間連結環
15 組立面、取付面
20 第1部分組立品
24 燃焼チャンバの端壁
30 第2部分組立品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本的に一体に溶接されたシェルから形成される燃焼チャンバを製造する方法であって、この方法は、そのようなシェルの2つの部分組立品(20、30)を、組立面を含む中間連結環(14)を第1部分組立品(20)の一方端に溶接してシェルを一体に突合せ溶接することによって、個別に作ることと、第2部分組立品(30)の一方端を前記面に係合させることと、それを前記中間環に溶接することと、を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記突合せ溶接が、径方向拡張用具を使用して該当する2つのシェルの結合を調節することによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間連結環(14)が少なくとも部分的に機械加工によって作られることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間連結環(14)が、前記第2部分組立品に溶接するのに必要な溶加金属を含み、または構成することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
他の連結環(12、22)が2つの部分組立品の他方端部にそれぞれ突合せ溶接されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
「逆流」燃焼チャンバを製造するために、外側第1部分組立品(20)と内側第2部分組立品(30)が、予備形成されたシェルを一体に突合せ溶接することによって構築され、一方の部分組立品がチャンバの端壁(24)を含み、その一方端部が、前記中間環(14)に溶接されることになる前記第2部分組立品の端部を構成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
燃焼チャンバであって、突合せ溶接によって一体に組み立てられるチャンバ端壁(24)を含む複数の予備形成されたシェル(11、13、23)の2つの部分組立品(20、30)の間の接合部を除いて、前記シェル(11、13、23)によって構成され、前記接合部には、挿入中間連結環(14)が設けられることを特徴とする、燃焼チャンバ。
【請求項8】
前記中間連結環(14)が組立面(15)含むことと、それが第1シェル部分組立品(20)に突合せ溶接されることと、それが、前記組立面に溶接することによって第2シェル部分組立品(30)に溶接されることと、を特徴とする、請求項7に記載の燃焼チャンバ。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実施することによって得られる燃焼チャンバを含む、ターボジェット。
【請求項10】
請求項7または8に記載の燃焼チャンバを含む、ターボジェット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−237294(P2007−237294A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−19114(P2007−19114)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】