説明

燃焼組成物及びその製造法

【課題】灰分が非常に少ない燃焼組成物の提供。
【解決手段】燃焼組成物に於いて粒状活性炭50〜70重量%、木粉10〜40重量%、水溶性糊料5〜15重量%、無機フィラー1〜3重量%、その他より成る燃焼組成物。該粒状活性炭は、粒径が0.18〜0.05mmで比表面積が120〜170m2/gであるものが好ましく、該木粉は、常温時気乾比重が0.4〜0.6、着火温度が240〜270℃で、灰分が0.1〜0.2重量%であるものが好ましい。該燃焼組成物は、線香用組成物又はお香用組成物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は燃焼組成物とその製造法に関するものである。その代表的なものは線香であって、これは日用品として幅広く使用されているものである。
【背景技術】
【0002】

周知の通り、燃焼組成物は線香のほかに各種お香例えば円錐香(又はコーン)、板状香、円柱香、渦巻き香などが多く知られている。これらの燃焼後の灰分は大きく2種類に分けられ、一方は灰分が燃焼段階でその都度自然落下するか、他方は形状を残したままであるかのどちらかである。一般的には自然落下する燃焼組成物が大半を占めている。しかも灰分量が多く、固定された香炉外に飛び散ったりして汚れが目立っていることが挙げられるのである。また灰分の非常に少ない線香も市販されてはいるが、着色が困難で基材色がやはり黒いという欠点があり、また火の粉が散ったりして市場性が乏しいのが現状である。
しかしながら灰分の非常に少ない燃焼組成物就中線香は脚光を浴びており、本発明者らは着色が容易に出来る燃焼組成物を完成するための研究を続けてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明における解決しようとする課題は、従来の燃焼組成物について、燃焼中の外観はほとんど灰が目立つことなく、落灰による周囲の汚れなど全く影響を与えないものであって、しかも煙量も極力少なく燃焼組成物の外観上の着色を容易に際立たせることが本発明の解決しょうとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そして本発明者の研究により燃焼組成物として、特に粒状活性炭、木粉、水溶性糊料、無機フィラーを有効成分として使用することにより、上記課題が解決出来ることが見出された。
【発明の効果】
【0005】
本発明は全く新しいタイプの燃焼組成物とその製造法であり、灰分が極端に少なく煙量も少ない事から汚れを防止すると共に、周囲の環境を清浄化できるものである。従って本発明は日常生活において賞用されるものであり、この発明の効果は絶大なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は上記各種有効成分を主成分とする燃焼組成物およびこの組成物を水と混練した後成型乾燥してなる燃焼組成物の製造法に係るものである。
本発明においては、上記各種有効成分は下記の割合で使用するのが特に好ましい。すなわち、粒状活性炭50〜70重量%、木粉10〜40重量%、水溶性糊料5〜15重量%、無機フィラー1〜3重量%、その他よりなる燃焼組成物とその製造法である。
そして更に本発明においては、上記各種有効成分としては、特に下記に示す特定の物質を有する成分が夫々使用されることが極めて望ましい。これら各種有効成分について下記に詳しく説明する。
本発明における粒状活性炭は、粒径が0.18〜0.05mmで比表面積が120〜170m/gであることが極めて好ましい条件であり、また木粉でも常温時の気乾比重が0.4〜0.6で、着火温度が240〜270℃、灰分が0.1〜0.2重量%の条件を満たした木粉が極めて好ましいものである。
【0007】
本発明にいう粒状活性炭とは、代表的なものはヤシガラ活性炭である。焼成炭化されたヤシガラ炭を破砕、整粒した粒状物または焼成炭化されたヤシガラ炭を、賦活が1〜10%処理後、破砕、整粒した粒状物である。
先ず粒径サイズは0.18〜0.05mm好ましくは0.15〜0.075mmであり、しかも比表面積は120〜170m/g好ましくは140〜150m/gである。この範囲外では灰分も多く、また外観の色彩も黒くなる傾向がある。この粒状活性炭の使用量は50〜70重量%好ましくは55〜60重量%がよい。
粒径サイズが0.18mmを超えると燃焼組成物を混練できないばかりか外観上の粒子が粗く製品として好ましくないものとなってしまう傾向があり、また粒径が0.05mmより小さいと着色が出来難く単一黒色しか出ない傾向がある。
本発明にいう粒状活性炭の使用量が50重量%未満では灰分が多くなり、通常のありふれた燃焼組成物になってしまう傾向が強く、また逆に70重量%以上では灰分は少ないが火種が長く、飛び火が発生し危険でもあり着色性が悪くなり用途にそぐわなくなる場合がある。
【0008】
本発明における木粉とは、多くの木材質、例えば針葉樹、広葉樹、常緑樹または外洋材など幅広く使用されるが、木粉の常温時気乾比重が0.4〜0.6好ましくは0.5〜0.55であることが重要である。気乾比重ruは以下の式で算出する。
ru=Gu / Vu(uは含水率を示し、一般的にはu=15%のときの値が用いられる)
Gu=気乾材の重量。Vu=気乾材の容積である。
そしてその木粉の着火温度が240〜270℃好ましくは250℃近辺、灰分は0.1〜0.2重量%である。この木粉に該当するのは針葉樹マツ科であるツガ属のツガ(トガとも云う)やコメツガ、カナダツガ、米ツガなどがあるが、他の樹木においてもこの条件範囲にあれば良いのは当然である。木粉は10〜40重量%好ましくは15〜30重量%がよい。10重量%未満では組成物として火種が長く、また飛び火が発生する。40重量%以上では燃焼後の灰分が多く本発明に適さないのである。また木粉の気乾比重が0.4〜0.6以外、着火温度が240〜270℃以外、灰分量0.2以上は結果として灰分が多くなることが判明し、本発明においては好ましくないものである。
【0009】
本発明における水溶性糊料とは、混練した後、任意の形に成型して乾燥し、安定な形を充分保持せしめるために必要な粘結剤であり、また粘着剤も含まれる。代表的なものを示すと、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩やグアーガム、キサンタンガム等である。勿論従来公知の各種のものも適宣使用されるのは言うまでもない。使用量は5〜15重量%好ましくは7〜12重量%が最良である。
【0010】
本発明における無機フィラーとは、軽質で平均粒子径が10〜20μmであり、燃焼による灰分を凝集させる目的と分散させる目的として使用されるものである。使用量は1〜3重量%で、その代表的なものは珪藻土や水酸化アルミニウムなどが挙げられる。勿論これら以外にも従来公知のものが適宣使用されるのは言うまでもない。
【0011】
本発明におけるその他の成分としては香料又は香料化合物、着色料、消臭剤、防腐剤などが含まれ、それらは少なくとも一つ以上添加され、その添加量は合算して2〜10重量%である。
本発明にいう香料とは動・植物より抽出された天然香料、石油化学より合成された香料、天然香料や合成香料よりなる調合香料等である。香料化合物とはこれらの香料に付加された増粘剤、乳化剤、分散剤、有機・無機粉末、溶剤等を含む香料化合物を示す。これらの使用形態としては単独もしくは少なくともひとつ以上の形で用いられるのである。
【0012】
香料又は香料化合物を燃焼組成物に配合されて水と混練して得られた成型乾燥製品の場合と香料又は香料化合物を無添加での同成型乾燥製品に、後で賦香させて用いうる場合がある。この賦香させて用いうる場合には香りの好みに合わせたり、香りの濃度を自ら調製したりすることができるのである。
本発明にいう着色料とは塩基性・酸性・直接染料や有機または無機顔料などである。これら染・顔料は通常少なくともひとつ以上で単独または混合した形で用いられる。但し、白色無機顔料使用に当たっては、燃焼組成物の灰分を白くさせる目的と落灰性を高める目的の為に使用されるのである。
本発明にいう消臭剤とは、主に植物から抽出されたものであり、例えば大豆抽出消臭剤、緑茶抽出消臭剤、ヒノキ抽出消臭剤等がある。形態としては溶液状、粉末状、顆粒状として適宣用いられる。
本発明にいう防腐剤とは、食品添加物に規定されているものを使用するものとする。例えばソルビン酸やデハイドロ酢酸などである。
【0013】
本発明者らは多数の実験を行なって、本発明の優秀性を明らかにしたのであるが、さらに本発明の技術的内容を説明する為に多数の実験例より代表的な数例を選んで以下に実施例として示すことにする。従って本発明は単に実施例のみに限定されるべきではなく、本発明の趣旨と精神を逸脱せざる限り任意のその実施形態を変更して実施しうることは当然である。
[実施例1]
粒径0.12〜0.06mmの粒状活性炭(二村化学工業製)56.0重量%、気乾比重(常温)0.5で平均200メッシュのカナダツガ粉29.0重量%、カルボキシメチルセルロース-Na 5.0重量%、グアーガム2.9重量%、無機フィラー(ラジオライトF600 昭和化学工業(株)製)1.3重量%、バラ調合香料2.0重量%、大豆抽出消臭剤2.0重量%を均一に混合し燃焼組成物を得る。これに食用赤色3号0.3重量%と白色顔料(二酸化チタン40重量%含有)1.5重量%を水に溶解分散させ燃焼組成物と共に混練する。充分に混練されたものを圧縮させて空気を抜き、これを押出し成型機にて線状に押出し、乾燥後必要な長さにカットした。ここに得られた線香は赤桃色のきれいなバラの香りを放ち、しかも灰分が極端に少なく美麗な製品であった。
[実施例2〜4]
粒径0.14〜0.08mmの粒状活性炭(二村化学工業製)65.0重量%、気乾比重(常温)0.5で平均150メッシュのツガ粉20重量%、カルボキシメチルセルロース-Na 3.0重量%、キサンタンガム4.0重量%、無機フィラー(ラジオライトF600昭和化学工業(株)製)1.0重量%、緑茶カテキン3.0重量%、白色顔料(亜鉛華30重量%含有)2.0重量%を均一に混合した後、これに下記の表1に記載の香料化合物および色素量の条件下(数値は全て重量%とする)で夫々水と混練、夫々の形状に成型乾燥させて製造した。燃焼中は夫々の香りを揮散し、灰の少ない環境に適したものであった。
【0014】

[表1]
実施例 香料化合物 色素 形状
2 ヒノキ粉末香料1.7 シルクスカーレット 0.3 木片
3 ピーチフレーバ粉末1.5 レッド有機顔料 0.5 棒
4 森林浴香料含浸粉末1.8 ダイヤモンドグリーン 0.2 葉
[実施例5〜8]
実施例1と同様な方法で下記に示した木粉種類および木粉量の条件下で製造した。夫々の結果を表2中に示した。尚、実施例5および6は、本発明の木粉条件範囲外のものを使用して比較例とした。
【0015】

[表2]
実施例 木粉種類 外観色彩 外観灰分状態
5 クス心材 ○ 多い
6 タブ心材 ○ やや多い
7 シオジ心材 ◎ ほぼ良好
8 バルサ材 ◎ 良好



【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状活性炭、木粉、水溶性糊料、無機フィラー、その他よりなることを特徴とする燃焼組成物。
【請求項2】
粒状活性炭、木粉、水溶性糊料、無機フィラー、その他よりなる組成物と水を混練後、成型乾燥することを特徴とする燃焼組成物の製造法。
【請求項3】
上記各成分の割合が、粒状活性炭50〜70重量%、木粉10〜40重量%、水溶性糊料5〜15重量%、無機フィラー1〜3重量%である請求項1又は2に記載の燃焼組成物又はその製造法。
【請求項4】
上記粒状活性炭の粒径が0.18〜0.05mmで比表面積が120〜170m/gである請求項1または2記載の燃焼組成物とその製造法。
【請求項5】
上記木粉の常温時気乾比重が0.4〜0.6、着火温度が240〜270℃で、灰分が0.1〜0.2重量%である請求項1または2記載の燃焼組成物とその製造法。
【請求項6】
燃焼組成物が線香用組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物とその製造法。
【請求項7】
燃焼組成物がお香用組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物と
その製造法。













【公開番号】特開2009−84247(P2009−84247A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258909(P2007−258909)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(507328427)株式会社 孔官堂 (1)
【出願人】(507327796)
【Fターム(参考)】