説明

燃焼装置

【課題】液体燃料センサーの設置位置が周囲にスペースの少ない狭い空間であっても液体燃料センサーを容易に取付け可能であって、液体燃料センサーの設置位置に孔等を形成せずとも液体燃料センサーを取り付けることができる燃焼装置を提供すること。
【解決手段】トレー7と液体燃料センサー8とを有し、前記トレー7は底面部と上板部50とを備え、底面部と上板部50は少なくとも一部分が分離した状態で取り付けられ、底面部と上板部50の間に隙間及び開口を形成可能又は常時形成するものであり、前記隙間は一方端が開放された開口を有するものであって、液体燃料センサー8又は前記液体燃料センサーの周辺部材は固定部35を有し、当該固定部35は前記底面部と上板部50の間に開口から挿入可能な燃焼装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体燃料センサーを用いて液体燃料の漏洩検知を行う燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ガスやプロパンガスが普及した現在でも、ランニングコスト低減等のため、安価な灯油等の液体燃料を使用する燃焼装置が多用されている。このような液体燃料を用いた燃焼装置には、装置内部にセンサーを内蔵して燃料の漏れを感知させ、感知した情報に基づいて報知動作や燃焼運転の遮断を行うものがある。
【0003】
そのような漏洩感知を実施可能な燃焼装置として、本件出願人が提案した燃焼装置が特許文献1に開示されている。この特許文献1では、燃焼装置を給湯装置に内蔵すると共に給湯装置の箱体の底板部分に燃料溜まり部を設け、当該燃料溜まり部に液体燃料センサーをネジで固定している構成が例示されている。
【0004】
特許文献1に例示されている給湯装置では、給湯装置内部の最下部に位置する底板部分に燃料溜まり部を設けている。換言すると、燃焼装置の液体燃料が漏洩する虞のある部分、即ち、燃料供給経路上の燃料配管接続部及び燃料系部材等はいずれも燃料溜まり部の上側に位置している。したがって燃焼装置のどの部分から液体燃料が漏洩したとしても、漏洩した液体燃料を重力に従って滴下させるだけで燃料溜まり部へ導入することができるため、簡単な構成で漏洩した液体燃料を燃料溜まり部へ導入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−98873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで燃焼装置で行う漏洩の感知では、液体燃料が漏洩した際の危険を回避するという観点から、短時間で正確に行うことが要求されている。
そこで本発明者らは、液体燃料センサーを備えた燃料溜まり部をトレー上に形成し、当該トレーを燃焼装置の液体燃料が漏洩する虞のある部分の直下に配置する構成を考えた。
この構成によると、液体燃料の漏洩が発生する位置と液体燃料センサーの位置が近いため、液体燃料の漏洩が発生した際に漏洩した液体燃料が素早く液体燃料センサーに到達する。そのことにより短時間で液体燃料の漏洩を感知することができる。
またこの構成によると、液体燃料の漏洩が発生する位置と燃料溜まり部の位置とが近く、これらの間に位置する部材がない又は少ないため、漏洩した液体燃料をより確実に燃料溜まり部内へ滴下させることができる。このため、漏洩した液体燃料が燃料溜まり部の外部へ流れ出ることなく確実に液体燃料センサーまで到達するため、液体燃料の漏洩を正確に感知することができる。
【0007】
しかしながら上記した構成を鑑みるに、燃焼装置の液体燃料が漏洩する虞のある部分に近い位置には多くの部材が配されており、液体燃料センサーの配置位置の周囲に広い空間が確保できないという問題がある。そのため、従来のように液体燃料センサーを燃料溜まり部にねじ止めする構成であると、着脱作業に必要な空間を確保できず、着脱作業が困難になるという問題があった。
さらに、従来技術のように燃料溜まり部にねじ孔を空けてしまうと、当該ねじ孔から液体燃料が下方へ漏れてしまう虞がある。ここで燃焼装置の液体燃料が漏洩する虞のある部分の下側には、漏れた液体燃料がかかることにより深刻な事故が発生してしまう燃焼器のような機器が位置する場合がある。したがって、燃料溜まり部が高い液密性を維持した状態で液体燃料センサーを取付ける必要があった。
【0008】
そこで本発明は上記した従来技術の問題点に注目し、液体燃料センサーの設置位置が周囲にスペースの少ない狭い空間であっても液体燃料センサーが着脱容易であって、液体燃料センサーの設置位置に高い液密性を確保できる燃料装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼部と燃焼部に対して液体燃料を供給する燃料供給手段を有する燃焼装置であって、トレーと液体燃料センサーとを有し、前記トレーは底面部と上板部とを備え、底面部と上板部は少なくとも一部分が分離した状態で取り付けられ、底面部と上板部の間に隙間を形成可能又は常時形成するものであり、前記隙間は一方端が開放された開口を有するものであって、液体燃料センサー又は前記液体燃料センサーの周辺部材は固定部を有し、当該固定部は前記底面部と上板部の間に前記開口から挿入可能であるものであることを特徴とする燃焼装置である。
【0010】
本発明の燃焼装置は、底面部と上板部の間に形成される隙間に対して、液体燃料センサー又はその周辺部材の固定部を横側(開口)から上板部の下に滑り込ませるだけで、液体燃料センサーをトレーに取付けることができる。したがって、液体燃料センサーの取付け作業に必要な空間は、底面部と上板部の横側に液体燃料センサーの固定部を当接させた状態で配置するため空間と、液体燃料センサーを配置位置に向かって横側から押圧するための空間だけでよく、さらにこれらは広く開放された空間を必要としない。換言すると、液体燃料センサーの設置位置の横側に液体燃料センサーをスライド移動させるに足る僅かな空間だけ確保できればよく、ネジ止めのように液体燃料センサーの設置位置の上側に広く開放された空間が必要になるということがない。つまり、液体燃料センサーの設置位置の周囲に広い空間を確保できなくても、液体燃料センサーを容易に取付けることができる。
また、ネジ止め等による取付けとは異なり、液体燃料センサーをスライドさせるだけでトレーから着脱できるため着脱作業が容易である。このことによりメンテナンス時等における液体燃料センサーの交換作業を簡易化できる。
さらにまた、液体燃料センサーの固定部を底面部と上板部の間に挟み込んで固定するため、ねじ孔等の孔や溝をトレーに形成する必要が無い。したがって、トレーに設けた孔等から液体燃料が漏れ出てしまうことがない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記液体燃料センサー又は前記液体燃料センサーの周辺部材には第1の嵌合部が形成され、前記トレーには前記第1の嵌合部と対になる第2の嵌合部が形成されるものであって、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合し、前記液体燃料センサーの前記開口側へ向かう移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0012】
かかる構成によると、液体燃料センサーをトレーから外れにくくすることができる。詳細に説明すると、液体燃料センサーをトレーから取り外すには、液体燃料センサーの固定部を底面部と上板部の間にある隙間から外部へと移動させなければならない。このとき、液体燃料センサーの固定部は隙間の開口から外部へと出るものであるが、本発明では液体燃料センサーの固定部が隙間にある状態において、固定部が開口側へと移動することを阻止することができる。また、固定部を開口側へ移動し難くすることができる。そのことから、液体燃料センサーを外れにくく、より強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記第1の嵌合部と第2の嵌合部はいずれか一方が貫通孔であり、他方が半球状の突起であることを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置である。
【0014】
かかる構成によると、液体燃料センサーの固定部を横側から上板部の下にスライド移動させる際、突起と固定部を点接触させることができる。そのことにより、突起と固定部との摩擦力を小さくすることができるため、液体燃料センサーを容易にスライド移動させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記トレーの底面部は高位置部と、当該高位置部に対して低い位置にあって高位置部と連続する低位置部とを有し、前記上板部は平板状であり、高位置部に取付けられて低位置部との間に前記隙間を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0016】
かかる構成によると、周囲より窪んだ位置にある低位置部に液体燃料センサーを配してからスライド移動させて液体燃料センサーを取り付けることができる。そのため、トレー上部に大きな部材が配されている等の理由により広い空間がない場合であっても、液体燃料センサーのスライド移動に必要な空間を容易に確保することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記液体燃料センサーは2つの固定部を有しており、2つ固定部は互いに離反する方向へ突出する平板状の部材であって、固定部の一部は底面部と上板部の間に挿入可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0018】
かかる構成によると、固定部が薄く平たいため、液体燃料センサーをスライド移動させる際に底面部と上板部の間へ容易に挿入できる。また液体燃料センサーを2点止めできるため、より強固に液体燃料センサーを取付けることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記上板部は押圧片を備え、当該押圧片は第1の嵌合部と第2の嵌合部を嵌合した状態で液体燃料センサーを押圧することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0020】
かかる構成によると、嵌合部や固定部に寸法のずれが生じる等により、第1の嵌合部と第2の嵌合部が嵌合した状態において両者の間に隙間が形成されてしまっても、押圧片が液体燃料センサーを押圧することにより液体燃料センサーに形成された第1の嵌合部が第2の嵌合部に押しつけられる。そのため、第1の嵌合部と第2の嵌合部が一部接触した状態を維持することができ、液体燃料センサー取付け時のぐらつきを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、液体燃料センサーの固定部を横側から上板部の下に滑り込ませるだけでトレーから着脱できるため、液体燃料センサーの設置位置の周囲に広い空間を確保できなくても液体燃料センサーを容易に取付けることができるという効果がある。また、着脱作業を容易に行うことができるという効果がある。
また本発明は、液体燃料センサーの取付けにねじ孔等の孔を形成しないため、トレーに設けた孔等から液体燃料が漏れ出ることがなく、トレーが高い液密性を維持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置を内蔵した給湯装置の正面図である。
【図2】図1の燃焼装置で採用するトレーを示す説明図であり、(a)はトレー全体の斜視図を示し、(b)は(a)のA−A断面図であり、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図3】図1の燃焼装置で採用するトレーを示す正面図である。
【図4】図1の燃焼装置で採用する液体燃料センサーを示す斜視図である。
【図5】図4の液体燃料センサーの分解斜視図である。
【図6】図1の燃焼装置で採用するトレーと液体燃料センサーを示す斜視図であり、トレーに液体燃料センサーを取付けた状態を示す。
【図7】図6の取付け部材を示す斜視図である。
【図8】図7の取付け部材をA方向からみた正面図である。
【図9】トレーに取付け部材を取付ける様子を説明する斜視図である。
【図10】取付け部材が取り付けられたトレーに液体燃料センサーを取り付ける様子を説明する斜視図である。
【図11】図10のA部分の一部拡大斜視図である。
【図12】図6をA方向からみた一部拡大斜視図である。
【図13】図1の燃焼装置の燃料供給回路の一例を示す回路図である。
【図14】図1の燃焼装置のA部分を拡大した斜視図である。
【図15】トレーに漏洩した液体燃料が流れ込んでいく様子を説明する斜視図であり、(a)、(b)の順に液体燃料が流れ込んでいく。
【図16】図15に続いてトレーに漏洩した液体燃料が流れ込んでいく様子を説明する斜視図であり、(c)〜(e)の順に液体燃料が流れ込んでいく。
【図17】図6とは異なる形態の液体燃料センサー及びトレーを示す説明図であり、トレーに取付け部材を取付ける様子を示す説明図である。
【図18】図6及び図17とは異なる形態の液体燃料センサー及びトレーを示す説明図であり、トレーに取付け部材を取付ける様子を示す説明図である。
【図19】図6,17,18とは異なる形態の液体燃料センサー及びトレーを示す説明図であり、トレーに取付け部材を取付ける様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、以下の説明では燃焼装置1を給湯装置2に内蔵する例について説明するが、本発明の燃焼装置1を給湯装置に使用することが必須でないことは当然である。
【0024】
給湯装置2は、図1で示されるように、長方形状の箱体64の内部に燃焼装置1を含む各部材を収納して形成され、給水口65を介して供給される水を加熱し、所定温度の湯水を給湯口66から送出する機能を有する装置である。
【0025】
燃焼装置1は、バーナ(燃焼部)4、燃料供給手段5、ファン6、トレー7、液体燃料センサー8を備えて形成されている。
【0026】
バーナ4は、公知のガンタイプバーナであって加圧噴霧した液体燃料(本実施形態では灯油を使用)を燃焼させるものである。また本実施形態のバーナ4は、所謂逆燃式と称される形式であって下方に向かって火炎を噴射するものである。
【0027】
燃料供給手段5は主に流量制御弁ユニット10、電磁ポンプ11、燃料供給配管12、燃料循環配管13によって形成され、バーナ4に液体燃料を供給するものである。
【0028】
ファン6は、公知の送風機であってバーナ4に燃焼用空気を送り込むものである。
【0029】
トレー7は本発明の特徴的構成部材であり、以下詳細に説明する。
トレー7は、図2,3に示されるように、底面部18の縁部分を立壁部20で囲んだ角皿状の部材であり、正面視が略矩形状となっている(図3)。
ここで底面部18に注目すると、底面部18には形状の異なる3つの凹部たる第1燃料溜まり部21、第2燃料溜まり部22、第3燃料溜まり部23がそれぞれ形成され、これら3つの凹部と凹部に対して高い位置にある高位置部19に区画されている。そして、高位置部19の一部分に突起部24が設けられている。
また立壁部20に注目すると、その一部に、トレー7の立ち壁部20で囲まれた部分と外部とを連通する放出部25が設けられている。
【0030】
第1燃料溜まり部21は、図2,3に示されるように、底面部18の一部を略菱形に窪ませて形成されている。またこの第1燃料溜まり部21では高位置部19と連続する縁部分71が丸みを帯びており、この縁部分71は周囲となだらかに連続している。
【0031】
第2燃料溜まり部22は、図2,3に示されるように、底面部18の一部を窪ませて形成される断面が略半円状の溝状部分であり、トレー7の長手方向(図2におけるX方向)における片側端部近傍から、もう一方の端部近傍まで緩やかなS字状に延びている。詳しくは、トレー7の長手方向(図2におけるX方向)に沿って延びる中央部分22aと、中央部分22aの両端から中央部分22aの延び方向(図2におけるX方向)に対して傾いた方向に延びる端部分22b、22cによって形成される。これら端部分22b、22cはその延び方向が略平行であり、互いに離れる方向へ延びている。
このとき、第2燃料溜まり部22の片側の端部分22bにおいて、その延び方向の先端部分76が丸みを帯びた形状(図3)となっている。
さらに、第2燃料溜まり部22のもう一方の端部分22cにおいて、中央部分22aから離れた位置の端部は、第3燃料溜まり部23と連続している。そして、この第3燃料溜まり部23と連続している部分には隆起部26が形成されており、隆起部26は第2燃料溜まり部22の他の底部分に対して緩やかに盛り上がっており、山なりになっている。
そして第2燃料溜まり部22全体において、その高位置部19と連続する縁部分77は丸みを帯びており、当該縁部分は周囲となだらかに連続している。
【0032】
第3燃料溜まり部23は、図2,3に示されるように、底面部18の一部を形が略T字状となるように窪ませて形成されており、その高位置部19及び第2燃料溜まり部22と連続する縁部分80は丸みを帯びている。そして、当該縁部分80は周囲となだらかに連続している。加えて、第3燃料溜まり部23には2つの中段部分(低位置部)27が形成されている。
中段部分27は、第3燃料溜まり部23の底部分の一部を略直方体状に隆起させて形成されるものである。このとき中段部分27の天面は、第3燃料溜まり部23の他の部分より高い位置にあり、高位置部19より低い位置にある。加えて、中段部分27の縁部分81、即ち、高位置部19及び第3燃料溜まり部23の他の底部分と連続する部分もまた丸みを帯びており、当該縁部分81はそれら周囲となだらかに連続している。
【0033】
突起部24は、底面部18の一部を半球状に突出させた突起である。
【0034】
放出部25は、図2,3に示されるように、円筒を長手方向に平行な面で半分に切断した所謂半円筒体の部分であり、立壁部20から外方へ向けて水平方向へ突出するよう、立壁部20と一体に設けられている。このとき、放出部25は上側が開放されるように設けられ、あたかも断面形状が半円状の溝のような形状となっている。そして、立壁部20の外部と内部とを連通している。
【0035】
ここで、これら第1燃料溜まり部21、第2燃料溜まり部22、第3燃料溜まり部23の3つの凹部及び放出部25の位置関係について図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
第1燃料溜まり部21は、トレー7の底面部18における角部分(トレー7の長手方向及び短手方向の端部)に位置しており、外周の片側半分は立壁部20に接する位置にある。ここで、第1燃料溜まり部21の外周のもう一方の片側半分であって、立壁部20と離れた位置にある部分は、トレー7の長手方向(図3におけるX方向)に対して略垂直に延びる第1の部分21aと、第1の部分21aに対して傾いた方向に延びる第2の部分21bによって形成される。そして当該第2の部分21bは、第2燃料溜まり部22の端部分22cと近接している。
【0037】
このとき、第1燃料溜まり部21の第2の部分21bと、第2燃料溜まり部22の端部分22cの延び方向は略平行となっている。換言すると、第2燃料溜まり部22の端部分22cは、第1燃料溜まり部21の外周の一部に沿って延びている。そして、前述したように、第2燃料溜まり部22の端部分22cは第3燃料溜まり部23に連続している。
なお、第3燃料溜まり部23はトレー7の底面部18における角部分であって、前述した第1燃料溜まり部21が位置する角部分と隣り合う角部分に位置している。詳しくは、第1燃料溜まり部21が位置する角部分とトレー7の長手方向(図3におけるX方向)の位置が略同じであって、短手方向(図3におけるX方向に直交する方向)の位置が異なる角部分に位置している。また、この角部分には放出部25が形成されている。
【0038】
さらにこのとき、図2に示されるように、第1燃料溜まり部21と第2燃料溜まり部22の深さは略同じであるか、又は第1燃料溜まり部21の底部分が第2燃料溜まり部22の底部分よりやや低い位置に成るように形成されている。また第3燃料溜まり部23の底部分、即ち、第3燃料溜まり部23の中段部分27を除いた部分は、第1燃料溜まり部21及び第2燃料溜まり部22の底部分より低い位置にある。換言すると、第3燃料溜まり部23は第1燃料溜まり部21、第2燃料溜まり部22、第3燃料溜まり部23の3つの凹部の内で最も深くなっている。
【0039】
液体燃料センサー8は、図4に示されるように、その設置位置の下部における液体燃料の有無を検知する燃料検知機構28を備えたセンサーである。
【0040】
燃料検知機構28は、図4,5に示されるように、フレーム部材29の内部に固定される膨張部材30、中継部材31、検知スイッチ32を備えて形成されている。
【0041】
フレーム部材29は、図4,5に示されるように、4つの壁部で囲まれる略方形筒状の部材であり、片貫された金属板をプレス成形して製される。4つの壁部の内で対向する位置にある2つの壁部の下縁には、固定部35がそれぞれ設けられている。そして、固定部35が設けられていない2つの壁部の上縁には、支持部36が設けられている。
【0042】
固定部35は略長方形平板状の部材であり、壁部から外方へ向けて水平方向へ突出している。そして、突出先端側に天面と底面とを貫通する貫通孔(第1の嵌合部)37が設けられている。この貫通孔37の中心軸は固定部35の突出方向に対して垂直な方向に延びている。なお、このとき固定部35の突出先端側の角部分は切り取られており、所謂隅切り角となっている。
【0043】
膨張部材30は、図4,5に示されるように、片側端部にフランジ部分を有する有底円筒状のハウジング部40と、ハウジング部40の内部に配される膨張部41、受圧移動部42によって形成されている。なお、膨張部41は、その周面がハウジング部40の内周壁と当接するように配されている。
【0044】
ハウジング部40は、ポリプロピレン樹脂粒材を焼結成形加工して製している。焼結成形されたハウジング部40は、全体に渡って略50μmの平均径を有する無数の孔が形成された多孔質体であり、撥水性と親油性を有する。
【0045】
膨張部41は、シリコーンゴムを成形加工して製される円柱形の部材であり、灯油を吸収して膨張する性質を有する。
【0046】
受圧移動部42は、合成樹脂材を成形加工して製される略円板形の部材であり、その周縁は丸みを持たせた形状となっている。
【0047】
中継部材31は、図4,5に示されるように、検知スイッチ32の台座45に設けられた貫通孔に挿通されて取付けられ、下側から押圧力が加わった際、前記貫通孔に対して相対的に上側へ移動可能となっている。
【0048】
検知スイッチ32は、図4,5に示されるように、略直方体状をした汎用のマイクロスイッチであり、下面中央に小さい押圧片(図示せず)が下方へ突出して設けられている。そして、当該押圧片を下側(図4におけるY方向下側)から中継部材31で押圧することにより、信号を発することが可能となっている。
【0049】
液体燃料センサー8は、図6に示されるように、取付け部材(上板部)50を介してトレー7に取付けられた状態で使用される。この取付け部材50について説明する。
【0050】
取付け部材50は、図7で示されるように、バネ板のような弾性を有する材料を加工することにより形成される外形が略C字状の板状の部材である。そして、取付け部材50の内縁部の中心には突出部(押圧片)51が形成されている。また、互いに離間対向する2つの先端である先端部分55では、その最先端部分にそれぞれ屈曲部52が設けられており、先端部分55の屈曲部52より本体部分56側(図7におけるZ方向奥側)の位置には、それぞれ突起部(第2の嵌合部)53が設けられている。そして、取付け部材50の本体部分56には2つの貫通孔54が形成されており、これら貫通孔54はそれぞれ屈曲部52、突起部53と列をなすように設けられている。
ここで、2つの突起部53と2つの貫通孔54はそれぞれ取付け部材50の長手方向(図7におけるX方向)対称に配されており、取付け部材50は長手方向対称(左右対称)の部材となっている。
【0051】
突出部51は、図7,8で示されるように、外形が略台形状の部位であり、取付け部材50の一部を折り曲げ加工することにより形成されている。この突出部51は取付け部材50の本体部分から鉛直方向(図7におけるY方向)上側へ向かって略垂直に突出するように設けられている。具体的には、鉛直方向上側から本体部分56から離れる方向(図7におけるZ方向手前側)へやや傾いた方向に突出している。
加えて、突出部51の中心部分は幅方向(突出方向に対して垂直な方向であり、図7におけるY方向)で対向する面を貫通する貫通孔が設けられており、当該貫通孔は開口形状が台形状となっている。
【0052】
屈曲部52は、図7に示されるように、取付け部材50の前端(図7におけるY方向手前側端部)をやや上側(図7におけるY方向上側)へ屈曲し、その角部分を丸く削って形成されている。
【0053】
突起部53は、図7,8に示されるように、取付け部材50の天面(図7における上側の面)の一部を天面から底面に向かう方向(図7,8におけるY方向下側)へ向かって窪ませて形成されている、底面から下側(図8におけるY方向下側)へ向かって突出する略半球状の突起である。
【0054】
貫通孔54は、図7に示されるように、取付け部材50の天面から底面までを貫通する孔である。
【0055】
次に、液体燃料センサー8をトレー7に取付ける際の取付け方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0056】
液体燃料センサー8の取付けに先だって、図9,10で示されるように、トレー7に取付け部材50を一体に取付けておく。ここでトレー7に注目すると、トレー7の突起部24が取付け部材50の貫通孔54に挿通された状態で、トレー7の底面部18の上側に取付け部材50が載置されている(図10参照)。またこのとき、取付け部材50の適宜な箇所がスポット溶接Sによってトレー7に固着されており、取付け部材50がトレー7と一体に取付けられている。
このように突起部24と貫通孔54を挿通することにより、スポット溶接S等を実施する際に固着作業が容易になる。即ち、固着作業前の位置決めが容易であり、且つ固着作業中の部材の位置ずれ等を防止できる。
【0057】
ここで、図10に示されるように、取付け部材50の本体部分56は多くが高位置部19に接した状態であり、2つの先端部分55はそれぞれ高位置部19から第3燃料溜まり部23の中段部分27へひさしの如く突出している。つまり、取付け部材50の2つの先端部分55は、第3燃料溜まり部23の各中段部分27をそれぞれ覆うように配置されている。このことにより、取付け部材50と2つの中段部分27の間にはそれぞれ隙間60が形成されている。
このとき、図11に示されるように、取付け部材50と中段部分27の間に形成される隙間60は、取付け部材50の先端側(図11における手前側)が開放されて外部と連続している。このとき隙間60と外部との境界となる略長方形状の面(図11において取付け部材50及び中段部分27並びに2点鎖線で囲まれている面)が隙間60の開口59となる。
またこのとき、この隙間60には取付け部材50の突起部53が位置しており、当該隙間60の上側(図10におけるY方向上側)から下側へ向かって突出している。
また2つの中段部分27は離れた位置にあり、その間には空間が形成されている。加えて、取付け部材50の先端側は互いに離間し、その間に空間が形成されている。このことから、2つの隙間60の間には上側(図10におけるY方向上側)が開放され、下側が第3燃料溜まり部23の底部分で閉塞される収容空間61が形成されている。
【0058】
次に、取付け部材50が取付けられたトレー7に対し液体燃料センサー8を取付ける。具体的には、図9,10で示されるように、液体燃料センサー8を取付け部材50の先端側(図10における手前側)からスライドさせ、液体燃料センサー8の固定部35の先端を開口59から隙間60に嵌め込む。より詳細には、このとき隙間60で上側(図10におけるY方向上側)から下側へ向かって突出する突起部53(図8,10参照)が、液体燃料センサー8の固定部35の先端の貫通孔37(図10参照)に挿通されるように嵌め込む。そのことにより、収容空間61に液体燃料センサー8が位置するように液体燃料センサー8をトレー7に取付けることができる。
【0059】
ここで隙間60の高さ(図10におけるY方向の長さ)は、液体燃料センサー8の固定部35の高さ(固定部35の厚さであり図10におけるY方向の長さ)より、やや低いことが望ましい。そのようにすると、液体燃料センサー8を取り付けた際(図6参照)弾性体たる取付け部材50が液体燃料センサー8を上側(図10におけるY方向上側)から押圧するため、液体燃料センサー8をより強力に取り付けることができる。
【0060】
また本実施形態では、取付け部材50の突起部53は半球状に突出している(図8参照)ため、液体燃料センサー8の着脱を容易に行うことができる。詳細に説明すると、液体燃料センサー8を取付ける際、上記したように液体燃料センサー8の固定部35を隙間60に外部からスライドさせていく(図10参照)。そのとき突起部53が半球状であると、液体燃料センサー8の固定部35と突起部53とが接触する際に点接触させることができる。このように接触すると、液体燃料センサー8の固定部35をさらにスライドさせることで、突起部53を固定部35の上面へ滑らかに乗り上げさせることができる。
加えて、この状態(突起部53が固定部35の上面へ乗り上げた状態)から固定部35をさらにスライドさせる際に、突起部53と固定部35の上面の接触面積を少なくすることができるため、摩擦力を減少することができる。このことにより、突起部53が固定部35の上面へ乗り上げた状態から、固定部35の貫通孔37に突起部53を落とし込むまで液体燃料センサー8をスライドさせる際、当該スライド動作を容易に行うことができる。
【0061】
液体燃料センサー8がトレー7に取付けられた状態では、図6で示されるように、液体燃料センサー8は取付け部材50の2つの先端部分55の間に位置している。そして、液体燃料センサー8の膨張部材30の最下部、即ち、燃料検知機構28全体の最も下の部分が第3燃料溜まり部23内に位置している。このとき、液体燃料センサー8の固定部35の先端部分は取付け部材50の先端部分55の下側に位置しており、取付け部材50の先端部分55によって上側から押圧されている。また、固定部35の貫通孔37(図10参照)の内側に、取付け部材50の突起部53が位置している。
またこのとき、図12で示されるように、フレーム部材29の4つの壁部の内の1つの壁部は、取付け部材50の突出部51(図7参照)によって取り外し方向(図6におけるZ方向手前側)へ押圧されている。
【0062】
ここで、固定部35の貫通孔37の径と取付け部材50の突起部53の直径は略同じであることが望ましい。このようにすると、取付け時における液体燃料センサー8のぐらつきを防止することができる。
【0063】
しかしながら、本実施形態では液体燃料センサー8が取付け部材50の突出部51によって押圧されているため、固定部35の貫通孔37の径が取付け部材50の突起部53の直径に対してやや大きな場合であっても、取付け時における液体燃料センサー8のぐらつきを抑制できる。詳細に説明すると、固定部35の貫通孔37の径が取付け部材50の突起部53の直径に対してやや大きい場合、取付け部材50の突起部53を固定部35の貫通孔37に挿通しても、液体センサー8が取付け部材50に対して上下方向(図6におけるY方向)以外の方向へ僅かな距離だけ相対的に移動可能な状態で取り付けられてしまう。しかしながら、突出部51によって液体燃料センサー8押圧することにより、突起部53と貫通孔37の内壁が接触した状態を維持することができるため、取付け時における液体燃料センサー8のぐらつきを抑制できる。
【0064】
本実施形態では、トレー7にネジ孔等の貫通孔や底面部18を切り欠くスリット等を設けずに液体燃料センサー8を取り付けることができるため、トレー7に導入した液体燃料の漏れを確実に防ぐことができる。
【0065】
次に、本実施形態の燃焼装置1及びそれを内蔵する給湯装置2の動作について図1,13を参照しつつ説明する。
【0066】
本実施形態の燃焼装置1では、流量制御弁ユニット10、電磁ポンプ11、バーナ4は、燃料循環用配管13等の部材で接続されて循環回路(図13参照)を形成している。そして、当該循環回路には外部から燃料供給配管12を介して液体燃料が供給される。外部から供給された液体燃料は、循環回路内を循環し、バーナ4で使用される。
【0067】
ここで本実施形態では、電磁ポンプ11からバーナ4へ液体燃料を供給し、バーナ4のバイパスノズル(リターンノズル)から電磁ポンプ11への液体燃料の戻り量を流量制御弁ユニット10で制御し、循環回路内の液体燃料の流速及び流量を調整する。そのことにより、バーナ4に供給される液体燃料の時間当たりの供給量が調整される。
【0068】
バーナ4では、供給される液体燃料(灯油)と、ファン6から供給される空気を混合した燃料ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成する。燃焼装置1で生成された燃焼ガスは下流側の熱交換器15で水と熱交換され、加熱された湯水は水と混合して温度調節された後に給湯口66から給湯端末(図示せず)へ向けて送出される。また、熱交換された燃焼ガスは排気ガスとして消音器16を通って排気ヘッド17から外部へ放出される構成とされている。
【0069】
ここで、本実施形態の燃焼装置1の特徴的な動作たる、燃料供給手段5からの液体燃料の漏洩が発生した場合の動作について図面を参照しつつ説明する。
【0070】
まず本実施形態の燃焼装置1において、燃料漏れの生じる虞のある部位を考察する。図14で示されるように、外部からの燃料を供給するための燃料供給配管12が流量制御弁ユニット10に連結する接続部68や、流量制御弁ユニット10と電磁ポンプ11との接続部分、流量制御弁ユニット10や電磁ポンプ11とバーナ4との接続部分(図示せず)、及びそれらを繋ぐ燃料循環配管13等の各種配管自身が燃料漏れの虞がある部位として挙げられる。加えて、流量制御弁ユニット10それ自身も燃料漏れの虞がある部位として挙げられる。
【0071】
本実施形態の燃焼装置1では、これら燃料漏れの虞がある部位の下側にトレー7を配している。
【0072】
具体的に説明すると、図14で示されるように、トレー7の上側に流量制御弁ユニット10と電磁ポンプ11が隣り合った状態で載置されており、これらはそれぞれ、第2燃料溜まり部22の別部分を跨ぐようにして設けられている。また、電磁ポンプ11はトレー7の長手方向(図14におけるX方向)端部であって、放出部25から離れた位置に位置している。このとき流量制御弁ユニット10の上部分から燃料循環配管13が突出し、電磁ポンプ11の上部分から電磁ポンプ4とバーナ4とを接続する配管が突出している。これら2つの配管は適宜な方向に屈曲しながらトレー7の下部に位置するバーナ4(図1)まで延びている。このとき、これら配管の大半部分はトレー7の上方に位置している。
【0073】
ここで、流量制御弁ユニット10は円筒状の部分である円筒部83を有している。円筒部83は電磁ポンプ11に向かって延びており、電磁ポンプ11と接触する部分が電磁ポンプ11との接続部67になっている。このとき、円筒部83は第2燃料溜まり部22の中央部分22aに沿って延びており、接続部67は第2燃料溜まり部22の鉛直方向上側に位置している。
【0074】
さらに、流量制御弁ユニット10には外部から液体燃料を供給する際に使用する燃料供給配管12が接続されている。この流量制御弁ユニット10と燃料供給配管12との接続部68の下側には第1燃料溜まり部21が広がっている。
【0075】
そして、液体燃料センサー8はトレー7の放出口25が設けられた角付近であり、流量制御弁ユニット10の一部と隣り合う位置に液体燃料センサー8が着脱自在に取り付けられている。
【0076】
本実施形態は、このように燃料漏れの虞がある部位の下側にトレー7が広がっている。そのため、これら燃料漏れの虞がある部位から漏洩した液体燃料を確実にトレー7内へ導入することができる。
【0077】
また本実施形態では、液体燃料センサー8がトレー7の角付近であり、大きな部材である流量制御弁ユニット10の側に位置している。即ち、液体燃料センサー8は周囲にスペースの少ない狭い部分に設けられている。しかしながら上記したように、液体燃料センサー8は横方向(図14におけるZ方向)にスライドすることだけでトレー7に対して着脱でき、取付ける際に、ネジ止め等の上側に開放された空間が必要な取付け作業を行う必要がない。したがって、狭い部分でも着脱作業を容易に実施することができる。
【0078】
さらに、これら燃料漏れの虞のある部位にメンテナンスを実施する場合について考える。メンテナンスは一般的に配管を外す作業が発生する場合が多く、この作業の折に、例えば接続部68のような配管と機器との接続部分から液体燃料が漏洩してしまうことがある。
【0079】
本実施形態の燃焼装置1では、メンテナンス時に液体燃料の漏洩が発生してしまう可能性の高い接続部68の下部に第1燃料溜まり部21が配されている。そのため敷設やメンテナンス等により漏洩する液体燃料を、トレー7の第1燃料溜まり部21へ導入することができる。
【0080】
ここで、接続部68から液体燃料が漏洩してしまった場合を例に挙げてその動作を説明する。
【0081】
接続部68から液体燃料が漏洩すると、図15(a)で示されるように、接続部68の直下に位置する第1燃料溜まり部21に漏洩した液体燃料が滞留していく。そして第1燃料溜まり部21の最大貯留量を越えて液体燃料が漏洩すると、図15(b)で示されるように、第1燃料溜まり部21から溢れだした液体燃料が第2燃料溜まり部22へ流れ込んでいく。
【0082】
この状態でさらに液体燃料が漏洩し続けると、図16(c)で示されるように、第2燃料溜まり部22に流れ込んだ液体燃料が第2燃料溜まり部22を満たしていく。そして、第2燃料溜まり部22に流れ込んだ液体燃料が第2燃料溜まり部22の最大貯留量を越えると、第2燃料溜まり部22から溢れだした液体燃料が第3燃料溜まり部23へ流れ込んでいく。
【0083】
その状態において液体燃料の漏洩が止まらない場合、図16(d)で示されるように、液体燃料が第3燃料溜まり部23を満たしていく。つまり、第3燃料溜まり部23の液位が上昇していく。第3燃料溜まり部23の液位が上昇すると、やがて液体燃料が液体燃料センサー8に下側から接触する。そして、液体燃料センサー8が液体燃料の存在を感知して、その旨を通知する信号を発信する。
【0084】
その後さらに漏洩が止まらない場合、図16(e)で示されるように、トレー7が漏洩した液体燃料で満たされる。そして、液体燃料を放出部25から外部へ流出する。
【0085】
本実施形態では、漏洩した液体燃料が第1燃料溜まり部21と第2燃料溜まり部22とを満たし、第3燃料溜まり部23の液位を規定以上上昇させるに足る量だけトレー7に導入されない限り、液体燃料センサー8がその漏洩を感知しない。したがって、敷設やメンテナンス等により発生した液体燃料の微細な漏洩では、液体燃料センサー8はその漏洩を感知しない。そのため、微量な漏洩等による誤動作を確実に防止することができる。
【0086】
また本実施形態では、放出部25が液体燃料センサー8を配した第3燃料溜まり部23より上方に位置している。そのことにより、トレー7内へ導入された液体燃料が液体燃料センサー8(燃料検知機構28の下部)に接触せずに外部へ破棄されることがない。そのため、トレー7に液体燃料が規定量導入されていれば、液体燃料の漏洩を必ず感知することができる。
【0087】
さらに本実施形態では、トレー7から液体燃料を流出させる際に外部の適宜な場所へ流出させることができる。具体的には、図14で示されるように、放出部25にゴムホースのようなガイド部材69を取付けることにより、液体燃料の流出先を適宜変更することができる。
【0088】
上記した実施形態では、トレー7上の燃料漏れの虞がある部位から漏洩した液体燃料を直接トレー7内に誘導(滴下)させていたが、トレー7への液体燃料の導入方法はこれに限るものではない。燃料漏れの発生した部位とトレー7との間に別部材が介する構成であってよい。例えば、液体燃料センサー8、流量制御弁ユニット10、電磁ポンプ11、燃料供給配管12、燃料循環配管13等のトレー7上の部材に対して、そのいくつかに帯状の結束帯(図示せず)を巻き付けて複数の部材を結束させた構成であってよい。また、これらトレー7上の部材から延出した電気コード等の付属部材に対して、帯状の結束帯(図示せず)を巻き付け、複数の付属部材を結束させた構成であってもよい。そして、漏洩した液体燃料をそれら結束帯に流動又は滴下させ、その後結束帯からトレー7へ液体燃料を誘導する構成であってもよい。
なお帯状の結束帯は、複数の部材(付属部材)に限らず1つの部材(付属部材)のみに巻き付けてもよい。また、トレー7上の部材とそれらに属する付属部材とを結束させてもよい。このとき、帯状の結束帯には金属線をビニールで被覆したもの等適宜なものが使用されるものとする。
【0089】
上記した実施形態では、トレー7に第1燃料溜まり部21、第2燃料溜まり部22、第3燃料溜まり部23の2つの燃料溜まり部を設けた2重堰構造であったが、多重堰構造としても構わない。トレー7に形成する燃料溜まり部の形状、数、位置はこれに限るものではない。
【0090】
例えば、トレー7の底面部18を窪ませずに周囲を囲む堰を立設して燃料溜まり部としてもよい。また、トレー7の底面部18を窪ませた上で周囲を囲む堰を立設して燃料溜まり部としてもよい。
【0091】
さらに、燃料漏れの発生しやすい場所の下側に形成する第1の燃料溜まり部は複数設けても構わない。例えば、2つの第1の燃料溜まり部から第2の燃料溜まり部へ液体燃料が流れ込むことができるように形成してもよい。また、第2の燃料溜まり部を設けずに第1の燃料溜まり部から第3の燃料溜まり部へ直接液体燃料が流れ込む構成としてもよい。さらにまた、第1の燃料溜まり部と第3の燃料溜まり部の間に位置する第2の燃料溜まり部を複数設ける構成であってもよい。加えて、第1の燃料溜まり部のみ設けて第2の燃料溜まり部及び第3の燃料溜まり部を設けない構成であってもよい。
【0092】
さらにまた、トレー7及び燃料溜まり部は燃料供給手段5の下側でない場所に設置しても構わない。燃料の漏れの虞のある機器であれば何れの機器の下側に設けてもよい。その際に機器の形状に応じて、トレー7の形状及び燃料溜まり部の形状並びに位置を適宜変更してよい。
また、燃料の漏れの虞のある機器から離れた位置にトレー7を配してもよい。即ち、漏斗や樋の様な別部材を介し、液体燃料をトレー7に導入する構成であってもよい。
【0093】
上記した実施形態では、第1の嵌合部として液体燃料センサー8の固定部35に貫通孔37を形成し、第2の嵌合部として取付け部材50に突起部53を形成したが、これら嵌合部はこれに限るものではない。
例えば、第1の嵌合部として液体燃料センサー8の固定部35に突起を設け、第2の嵌合部として、取付け部材50に当該突起に嵌合する貫通孔や有底穴、窪みや溝等を形成する構成であってもよい。
また、図17に示されるように、液体燃料センサー8の固定部35に四角形状の切り起こしを形成して第1の嵌合部92とし、トレー7の立壁部20から略垂直に突出する平板状の上板部87の底面部分に対し、開口が四角形状の有底穴を形成することで第2の嵌合部93としてもよい。
【0094】
また、嵌合部を1つのみ形成する構成であっても構わない。例えば、図18に示されるように、トレー7の立壁部20から略垂直に突出する平板状の上板部87に対して、その突出方向先端部分を折り曲げてフック状とした嵌合部88を形成し、液体燃料センサー8の固定部35には嵌合部を設けない構成としてもよい。
このような嵌合部88は、液体燃料センサー8の固定部35を開口59から隙間60に挿入する際にはその動作を妨げず、液体燃料センサー8の固定部35を隙間60から開口59へ向かう方向へ移動する際には、係合部88が固定部35に当接してその移動を阻止する。
【0095】
さらにまた、嵌合部を形成しない構成であっても構わない。例えば、図19に示されるように、弾性を有する平板状の上板部98で液体燃料センサー8の平板状の固定部99を抑え込むだけで取り付ける構成であってもよい。
【0096】
上記した実施形態ではトレー7の底面部18に、低位置部として中段部分27を形成し、高位置部19と低位置部を形成したが、トレー7の底面部18の構成はこれに限るものではない。
例えば、底面部18に中段部分27を形成せず、第3燃料溜まり部23の深さをより浅くして、底面部18と第3燃料溜まり部23の間に隙間60を形成してもよい。
また、図17乃至19に示されるように、底面部18に高低差のない構成でも構わない。
【0097】
また上記した実施形態では、取付け部材50は外形が略C字状の部材であったが取付け部材50の形状及び数はこれに限るものではない。例えば、図19で示されるように長方形平板状の部材であってよい。これらはトレー7の形状や、液体燃料センサー8の固定部35の形状、または液体燃料センサー8の周囲に配される部材等に応じて適宜変更してよい。
【0098】
さらにまた上記した実施形態では、トレー7の底面部18に上板部たる取付け部材50を直接取付けることで取付け部材50と底面部18との間に隙間を形成したが、取付け部材50の取付け位置及び隙間を形成する構造はこれに限るものではない。例えば、図17,18に示されるように、立壁部20の立設方向に直交するように突出する突出部分を設けて上板部87とし、上板部87とトレー7の底面部18の間に液体燃料センサー8の固定部35を挟み込むための隙間を形成してもよい。即ち、上板部87と底面部18との間に別の部分(及び部材)を介して上板部87を底面部18に取付け、上板部87と底面部18との間に隙間を形成してもよい。
【0099】
上記した実施形態では、上板部たる取付け部材50とトレー7の底面部18の間に隙間60と開口59が常時形成されていたが、これら隙間60及び開口59は常時形成されていなくてもよい。
例えば、図19で示されるように、上板部98の片側端部のみをスポット溶接Sで固着して、上板部98を凹凸の無いトレー7の底面部18に取り付けてもよい。このようにすると、液体燃料センサー8を取付けていない状態において上板部98は底面部18に密着し、上板部98と底面部18との間に隙間及び開口は形成されない。また液体燃料センサー8が取り付けられる際には、上板部98の片側(スポット溶接Sで固着されていない側)端部が持ち上がり、上板部98と底面部18の間に隙間が形成されると共に、持ち上がった側の端部近傍が隙間の開口となる。
つまり隙間60及び開口59は、液体燃料センサー8を着脱する際、及び液体燃料センサーをトレー7に取付けた状態において形成されていればよい。
【符号の説明】
【0100】
1 燃焼装置
4 バーナ(燃焼部)
5 燃料供給手段
7 トレー
8 液体燃料センサー
18 底面部
19 高位置部
35 固定部
37 貫通孔(第1の嵌合部)
50 取付け部材(上板部)
51 突出部(押圧片)
53 突起部(第2の嵌合部)
59 開口
60 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼部と燃焼部に対して液体燃料を供給する燃料供給手段を有する燃焼装置であって、
トレーと液体燃料センサーとを有し、
前記トレーは底面部と上板部とを備え、底面部と上板部は少なくとも一部分が分離した状態で取り付けられ、底面部と上板部の間に隙間を形成可能又は常時形成するものであり、
前記隙間は一方端が開放された開口を有するものであって、
液体燃料センサー又は前記液体燃料センサーの周辺部材は固定部を有し、当該固定部は前記底面部と上板部の間に前記開口から挿入可能であるものであることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記液体燃料センサー又は前記液体燃料センサーの周辺部材には第1の嵌合部が形成され、前記トレーには前記第1の嵌合部と対になる第2の嵌合部が形成されるものであって、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合し、前記液体燃料センサーの前記開口側へ向かう移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第1の嵌合部と第2の嵌合部はいずれか一方が貫通孔であり、他方が半球状の突起であることを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記トレーの底面部は高位置部と、当該高位置部に対して低い位置にあって高位置部と連続する低位置部とを有し、前記上板部は平板状であり、高位置部に取付けられて低位置部との間に前記隙間を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記液体燃料センサーは2つの固定部を有しており、2つ固定部は互いに離反する方向へ突出する平板状の部材であって、固定部の一部は底面部と上板部の間に挿入可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記上板部は押圧片を備え、当該押圧片は第1の嵌合部と第2の嵌合部を嵌合した状態で液体燃料センサーを押圧することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−13462(P2012−13462A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148350(P2010−148350)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】