説明

物体の光学的測定方法と光学測定装置

【課題】測定ビームによる測定物体へのエネルギー伝達の悪影響を減少させることを可能にする、物体の光学的測定方法及び光学測定装置を提供すること。
【解決手段】干渉計20と、干渉計からの重畳ビームを入力する光検出器16と、光検出器の測定信号を処理する信号処理ユニット17が備えられた光学測定装置。干渉計は、ビーム制御信号入力部18に印加されているスイッチング信号に応じて測定ビームを測定ビーム射出口12から出射させるように構成され、かつ信号処理ユニット17は前記ビーム制御信号入力部18と接続されたビーム制御信号出力部を有し、測定信号の測定中のみに測定用の所定の光強度ならびに所定の角度で測定ビーム射出口12からビームが出射されるように干渉計20を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ビームを物体上の測定点に照射して反射されてきた反射ビームを参照ビームと重ね合わせた重畳ビームが入力する光検出器の測定信号を測定して、物体の光学的測定、特には物体の動きを測定する光学的測定方法、及び光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような光学測定装置は光源を備えた干渉計を備えており、この干渉計は光源から発生したビームが少なくとも2つの分割ビームに分割されるように構成されている。
【0003】
第1の分割ビームは測定されるべき物体上の測定点を照射するための測定ビームとして使用される。そのため測定ビームは基本的に所定の角度で干渉計から出射される。物体によって反射された測定ビームは反射ビームとして反射ビーム入射口を通って干渉計に入射し、干渉計内で第2の分割ビームと重ね合わされる。重ね合わせで得られた重畳ビームは重畳ビーム送出口を通って干渉計から送り出される。
【0004】
干渉計から送り出された重畳ビームを入力する測定装置は、この重畳ビームが当たるように干渉計の重畳ビーム送出口に対応して配置された光検出器を有している。
【0005】
この測定装置の信号処理ユニットは前記光検出器と接続され、光検出器の測定信号を測定する。この測定装置における測定とは、測定信号の記録、信号処理、評価処理などの処理、及びその組み合わせを意味している。
【0006】
上述した本発明の背景技術となる代表的な測定装置においては、光源は実質的に単色のビームを発生するレーザとして形成されている。分割ビームの片割れである第2の分割ビームと反射ビームとを重ね合わせた重畳ビームを検出することによって光検出器に干渉信号が生じ、この干渉信号に対する処理、たとえば復調によって2つの重ね合わされた信号の位相差を求めることができ、この位相差は結果的に測定点の領域における物体の変位を導くことができる。
【0007】
さらに、位相差の時間導関数の復調によって物体の測定点の運動の瞬時速度を決定することができる。
【0008】
上記の測定が実施される精度は複数のパラメータに依存している。
【0009】
走査法によって測定物体上の複数の点が順次に測定される場合、局部分解能は基本的に測定スポットの大きさ、つまり測定物体の測定点に当たるときの測定ビームの直径に依存している。
【0010】
たとえばナノテク分野における非常に小さな構造が測定される場合、測定スポットは最大でミクロ構造の大きさにほぼ相当するサイズを有することが重要である。もしもミクロ構造において、たとえば走査法で横方向分解能が要求される場合には、測定スポットサイズのさらなる低減が不可欠である。典型的なミクロ構造に対しては1μm以下の測定スポット直径が要される。
【0011】
ただし、測定精度は光検出器によって測定された信号の品質にも依存している。この品質もまた反射ビームの強度に依存しており、したがって、測定物体が測定ビームによって照射される強度にも依存していることにもなる。
【0012】
特にナノテク分野における微小な構造の振動測定には、良好な信号−雑音比を得るために、高強度の測定ビームが必要である。これは、測定スポットに求められる小直径要件と関連して、測定物体上における高い単位面積当たりビーム密度を要求することになる。
【0013】
物体の光学的測定を行うための従来の光学測定装置での測定によれば、高い単位面積あたりビーム密度によって測定物体への高いエネルギー伝達が生じ、これによって、測定エラーおよび、特に測定対象としてのミクロ構造における破壊が生じうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、測定の品質を改善し、特に測定ビームによる測定物体へのエネルギー伝達の悪影響を減少させることを可能にする、物体の光学的測定方法及び光学測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
物体の光学的測定を行う光学測定装置であって、測定ビーム射出口と、反射ビーム入射口と、重畳ビーム送出口と、ビームを発生させる光源とを有する干渉計が備えられ、その際、前記干渉計は、光源によって発生させられたビームが少なくとも2本の分割ビームに分割され、第1の分割ビームは測定ビーム射出口から所定の角度で出射し、第2の分割ビームと反射ビーム入射口を通って入射する反射ビームとを重ね合わせた重畳ビームを重畳ビーム送出口から送り出すように構成され、さらに、前記重畳ビーム送出口から送り出されたビームが当たるように前記重畳ビーム送出口に対応して光検出器が配置されるとともに、前記光検出器の測定信号を記録または処理あるいはその両方を行う信号処理ユニットが備えられた光学測定装置において、前記目的を達成するため本発明では、
前記干渉計はビーム制御信号入力部を有し、このビーム制御信号入力部に印加されているスイッチング信号に応じてビームを測定ビーム射出口から所定の光強度ならびに所定の角度で出射させるように構成され、かつ前記信号処理ユニットは前記ビーム制御信号入力部と接続されたビーム制御信号出力部を有し、前記測定信号の測定中のみに測定用の所定の光強度ならびに所定の角度で測定ビーム射出口からビームが出射されるように前記干渉計を制御する。
また、発生させたビームを少なくとも測定ビームと参照ビームとに分割する第1ステップと、前記測定ビームを物体上の測定点に照射する第2ステップと、前記物体によって反射された測定ビームを前記参照ビームと重ね合わせた重畳ビームを光検出器に当てる第3ステップと、前記光検出器の測定信号を測定する第4ステップとからなる、物体の光学的測定方法において、前記目的を達成するため本発明では、
前記第4ステップの測定プロセスは少なくとも時間tminにわたって実施され、その際前記物体はこの時間中測定ビームによって照射され、前記時間tminは所定の最小周波数fminの逆数に等しく、かつ、前記第4ステップの測定プロセスの直後に測定ビームの強度は所定の倍率だけ減少させられる。
【0016】
本発明による測定装置の好適な実施態様の例は、特許請求の範囲の請求項として列記されている。
【0017】
つまり、本発明は、光学測定装置の干渉計がビーム制御信号入力部を有し、ビーム制御信号入力部に印加されているスイッチング信号に応じてビームが測定ビーム射出口から実質的に所定の強度ならびに所定の角度で出射するように干渉計が構成されている点で、従来の技術とは根本的に相違している。
【0018】
本発明による光学測定装置の信号処理ユニットは干渉計のビーム制御信号入力部と接続されたビーム制御信号出力部を有している。信号処理ユニットによる測定信号の測定中に、該ユニットは干渉計を制御して、測定用に測定ビーム射出口から実質的に所定の角度ならびに所定の強度でビームが出射するようにする。
【0019】
測定が完了すると信号処理ユニットは干渉計を制御して、実質的に所定の強度または所定の角度でいかなるビームも測定ビーム射出口から出射しないようにする。
【0020】
たとえば、信号処理ユニットは測定の間のみスイッチング信号を干渉計に送信し、かつ干渉計はビーム制御信号入力部に測定信号が印加されている場合にのみビームが測定ビーム射出口から基本的に所定の角度ならびに所定の測定強度で出射するように形成されていてよい。スイッチング情報の別途伝送形態たとえばスイッチング信号の反転も可能であることは言うまでもない。
【0021】
干渉計はたとえば、干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号が印加されていなければ測定ビーム射出口からビームは出射しないか、又は、例えば測定ビーム射出口からビームは出射するが、ただし所定の角度とは異なった角度で出射するために、測定物体上の測定点は測定ビームによって照射されることがないように構成されていてよい。
【0022】
重要な点は、干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号が印加されていなければ、測定用の所定の強度では出射しない及び/又は所定の角度では測定ビーム射出口から測定ビームを出射しないことであり、この条件には所定以外の角度で所定の強度で測定ビームを出射することも含まれる。つまり、ビーム制御信号入力部にスイッチング信号が印加されていなければ、測定物体上の測定点に物体に損傷を与えるような強度の測定ビームを照射しないことである。
【0023】
これにより、測定点の領域における、測定されるべき物体へのエネルギー伝達の大幅な減少が生ずる。というのも、測定が完了すると測定点はもはや照射されないかまたはフル強度で照射されることがないために、特に測定点の領域における測定物体の加熱はもはや生ずることがないからであり、したがって、この種の加熱または測定物体の破壊による測定信号の疑似化(破壊による信号変化を物体変位による信号変化とみなしてしまうようなエラー)を回避することが可能である。
【0024】
好適な実施形態の1つでの干渉計は、測定ビームのビーム経路に配置された調光デバイスを有している。調光デバイスはビーム制御信号入力部と接続されて、スイッチング信号が印加されていなければ測定ビームの強度は減少させられるように構成されている。したがって、スイッチング信号が印加されている場合、つまり測定信号の測定中は、測定ビームは実質的な強度損失なしに調光デバイスを通過し、他方、スイッチング信号が印加されていなければ測定ビームの強度は所定の倍率だけ低下させられる。
【0025】
好ましい実施形態では、その強度は、スイッチング信号が印加されていなければ、調光デバイスにより少なくとも90%だけ、特に少なくとも98%だけ、特に最高で少なくとも99%だけ減少させられ、換言すれば、測定ビームの強度は調光デバイスの通過後には出力強度の10%、特に2%、最も低くて1%となる。
【0026】
同じく調光デバイスはスイッチング信号が印加されていない場合に測定ビームの強度を0にまで減少させ、つまり測定ビームを遮断することが可能である。
【0027】
スイッチング信号が印加されていない場合の測定ビーム強度の減少は、完全な遮断に比較して、測定系、たとえば評価ユニットが測定ビームの強度減少時にも測定準備調整、たとえば補正もしくは初期化プロセスを実施してしまうことができるため、これらのプロセスをフル強度の測定ビームによる本来の測定時に行わずにすみ、それによって、測定時間が短縮されるとともにフル出力の測定ビームによる測定物体へのエネルギー伝達が減少するという利点が得られる。同じく、測定ビームの強度減少時に、測定物体のポジショニング、つまり測定ビームに対する測定物体の相対配向、ならびに測定ビームの集束化も可能である。
【0028】
本発明による装置によって初めて、高強度の測定ビームであると同時に測定物体上に直径1μm以下の測定スポットをつくりだすことのできる直径を有した測定ビームの使用が可能になる。これにより、測定時に高い測定精度を達成することができる。同じく、もっと大きな直径の測定スポットの使用時にも、測定物体へのエネルギー伝達による測定における上述した疑似信号の問題なしに測定ビームの光強度を高めることができるため、同じく測定精度の向上が達成される。
【0029】
振動測定に際し、測定可能な最小振動周波数は測定時間に依存している。測定時間が長くなればなるほど、ますます小さな最小振動周波数を測定プロセスによって求めることができる。
【0030】
したがって、特別な実施形態の1つにおいて、信号処理ユニットは少なくとも時間tminにわたって光検出器の測定信号を測定するように形成されている。この場合、tminは所定の最小振動周波数fminつまり測定分解能というべき測定すべき最小振動周波数の逆数に等しい。
【0031】
測定物体への過度に高いエネルギー伝達あるいは測定物体の破壊による測定の疑似化問題を回避するため、1回の測定プロセスに関する最大時間は予め設定されているのが好適である。したがって、さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、信号処理ユニットはせいぜい所定の最大時間tmaxにわたって光検出器の測定信号を測定するように形成されている。
【0032】
この場合、最大時間tmaxは測定されるべき物体に関する経験値に基づいてプリセットすることができる。
【0033】
ただし、最大時間tmaxは以下の式(式Aと称する)
【数7】

から算出するのが特に有利である。
【0034】
このため、最大温度差T[℃]、熱容量c[J/kg/K]、密度ρ[kg/m]、測定ビーム直径dM[m]、長さl[m]、熱伝導率η[W/m/K]、吸収係数a[無単位]および干渉計の測定ビーム射出口で出射する測定ビームの測定ビーム出力PM[W]に関するそれぞれの値が予め与えておく。
【0035】
測定物体の材料パラメータρ、c、aおよびηが既知であれば、それらの値は直接上記の式Aに代入することができる。代表的なケース、特にナノテクに関連する構造の測定にあたって、測定物体は実質的にケイ素からなっているため、好ましくは材料パラメータとしてはケイ素に関する値が選択され、その場合、ρはほぼ2.33kg/m、cはほぼ670J/kg/K、aはほぼ1およびηはほぼ150W/m/Kである。
【0036】
測定物体がその他の材料からなる場合に当該の既知の材料パラメータを使用することも本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【0037】
測定ビーム直径dMは好ましくは干渉計の測定ビーム射出口から出射される測定ビームの直径とする。
【0038】
さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、干渉計は、物体上の測定点の直径の減少が達成されるように測定ビームの集束を可能にする集束装置を有している。このために集束装置は、測定ビーム射出口から出射される測定ビームが集束されており、特に、物体上の測定点が集束装置のほぼ焦点に位置させることでできるだけ小さな測定スポットがつくられるように、集束装置は干渉計のビーム経路に配置される。
【0039】
好ましくは干渉計の光源は波長λの実質的に単色のビームを発生するように構成されている。前述した集束装置との組み合わせにより、測定点における測定ビーム直径dMつまり測定スポット直径は以下の式、(式Bと称する)
【数8】

(式中、NAは基本的に集束装置の開口数に等しい)によって算出することができる。
【0040】
さらに別の好適な実施態様の1つにおいて、光源はコヒーレンス長の短い光を発生するように形成されている。この場合、光源から送出されたビームは一義的な波長を有しておらず、むしろ異なった波長の部分ビームから合成されているが、それにもかかわらず、λに関して、発生させられたビームの平均波長を使用することにより、式Bによる測定スポット直径の算出が可能である。
【0041】
所定の長さlは好ましくは少なくともdMであり、特に好ましいのは、dMの20倍である。これは特にミクロ構造の測定に際して有利である。というのもこの場合、基準値としての、測定されるべき構造の一次元の広がりは測定スポットの直径のほぼ20倍と推定し得るからである。
【0042】
上記の式A中の変数Tはミクロ構造と周囲との間で最大限に達成される最大温度差を表している。この最大温度差が高ければ高いほど、結果する許容最大測定時間tmaxもますます大きくなる。
【0043】
上述したような疑似化された測定結果を回避するため、最大温度差Tを500℃以下に選択するのが基本的に好都合である。ただし、特にケイ素からなるミクロ構造の測定にあたり、経験値はミクロ構造の個々の要素の破壊を回避するため100℃の温度差を超えてはならないとされる。
【0044】
さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、信号処理ユニットはそれぞれ測定信号の記録が行われる少なくとも2回の測定プロセスが順次に実施されるように形成されている。これら2回の測定プロセスの間に少なくとも所定の時間tPの一時休止(ポーズ)が実施され、その間、測定信号の記録は行われず、したがって信号処理ユニットから干渉計のビーム制御信号入力部にいかなるスイッチング信号も出力されない。それゆえ、これら2回の測定プロセスの間の一時休止中、物体上の測定点は測定ビームによる照射を受けない。
【0045】
これは、複数の測定の順次実施を可能にし、たとえば複数の測定全体に及ぶ平均化によって測定結果の精度を高める。
【0046】
これら2回の測定プロセスの間の一時休止中、測定されるべき物体の測定点の領域は冷えるため、測定物体の昇温は少なくなる。
【0047】
経験上、2測定プロセスの間の時間tPは温度が測定プロセス終了時の温度のほぼ1/e( e:ネイピア数)に低下するように設定されているのが有利である。1/eへの低下に必要な時間は式Aに関連して述べたパラメータを用い、以下の式(式Cと称する)
【数9】

によって評価することができる。したがって、測定プロセスの間の時間tPは少なくとも式Cによって算出された値に一致させるのが好都合である。
【0048】
通例、本発明による光学測定装置において、干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号が出力された後直ちに、光検出器の測定信号出力に信号処理ユニットによって測定される測定信号が印加されていることはない。それは、一つには、干渉計の内部スイッチングプロセスによって、ビーム制御信号入力部にスイッチング信号が印加されてから測定ビームが干渉計から出射するまでに一定の時間を要するからである。加えてさらに、重ね合わされた重畳ビームが光検出器に当たり、光検出器が測定情報を測定信号としてその出力に出力するまでに一定時間が経過するからである。
【0049】
こうした理由から、信号処理ユニットは準備時間tvorに関する測定データの記録の前に干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号を出力するのが好ましい。準備時間tvorは上記の経過時間、つまり信号走時ならびに光学素子による遅れのいずれをも考慮して設定される必要がある。
【0050】
こうして、信号処理ユニットによる測定データ記録の開始時に直ちに評価可能な測定信号が光検出器から読み出されるようにすることが保証される。
【0051】
いうまでもなく、干渉計のビーム制御信号入力部へのスイッチング信号の出力と直結して測定データの記録を開始することも本発明の範囲に属している。ただし、この場合、上記の準備時間の間に記録される測定データは評価から除外される。というのも、これらのデータでは有意な評価はできないからである。
【0052】
さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、本発明による光学測定装置は、干渉計の光源としてスイッチ式光源を採用しており、光源はスイッチング信号に応じてビームを発生させる。このために光源は、干渉計のビーム制御信号入力部と接続されるスイッチング信号入力部(制御信号入力部)を有し、結果的に信号処理ユニットと制御的に接続されている。
【0053】
いずれにせよ、干渉計は、ビーム制御信号入力部と接続されるとともに干渉計のビーム経路に配置された光学スイッチング素子を備え、この光学スイッチング素子が、スイッチング信号が印加されていれば測定ビーム射出口から所定の角度で測定ビームを出射させ、スイッチング信号が印加されていなければ測定ビーム射出口から所定の角度でいかなる測定ビームも出射しないようにすると、特に好適な実施形態となる。
【0054】
この場合、光学スイッチング素子に複数の具体構成が考えられるとともに、該スイッチング素子を配置し得る箇所も様々なところで可能である。
【0055】
たとえば、光学スイッチング素子が測定装置の装置ユニットの外部、たとえば測定物体の直近に配置され、柔軟な中継線または別途方法の信号伝送によって干渉計のビーム制御信号入力部と接続されているのも本発明の範囲に属する。この場合、干渉計との機能的連係により、光学スイッチング素子は干渉計の測定ビーム射出口と見なすことができる。というのも、確かにスイッチング信号(ビーム制御信号)とは無関係に干渉計と光学スイッチング素子との間に測定ビームが存在するとはいえ、干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号(ビーム制御信号)が印加されている場合にのみ測定ビームは光学スイッチング素子から(したがって、干渉計の測定ビーム射出口から)実質的に所定の角度で出射して、測定点を照射するからである。
【0056】
ただし、光学スイッチング素子は干渉計の内部に、光学スイッチング素子の状態に応じて、つまり干渉計のビーム制御信号入力部へのスイッチング信号(ビーム制御信号)の印加に応じて測定ビームが干渉計から出射するように、干渉計のビーム経路に配置されるのが、特に好適である。
【0057】
好ましい実施形態の1つにおいて、光学スイッチング素子はビームトラップと組み合わされたそれ自体公知に属するブラッグセルとして形成されている。ブラッグセルは干渉計のビーム制御信号入力部と接続され、ブラッグセルとビームトラップとはスイッチング信号が印加されていれば測定ビームが干渉計の測定ビーム射出口から出射するよう、干渉計のビーム経路に配置されている。
【0058】
他方、干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号が印加されていない場合には、ブラッグセルを通過するビームはブラッグセルによって偏向されてビームトラップに達するため、干渉計の測定ビーム射出口から測定ビームが出射することはない。
【0059】
さらに別の有利な実施形態の1つにおいては、光学スイッチング素子はたとえばそれ自体公知に属する機械式絞りの形の機械式シャッタとして形成されている。光学スイッチング素子を電気光学シャッタ、とりわけそれ自体公知に属する偏光子付液晶回転体として形成することも同じく本発明の範囲に属する。この実施形態において、偏光子付液晶回転体は液晶回転子にスイッチング信号が印加されている場合にのみ液晶回転子の偏光が偏光子と一致し、つまりビームが液晶回転子と偏光子とを通過し得るように形成されている。他方、液晶回転子にスイッチング信号が印加されていなければ、偏光子と組み合わされた液晶回転子は絞りとして作用し、ビームは通過しない。
【0060】
さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、測定装置はレーザドップラー振動計として形成されている。このため、光源はレーザとして形成されており、信号処理ユニットはそれ自体公知に属する復調器によって、光検出器に入力される重畳ビームの位相差を算出する。
【0061】
さらに、干渉計を第2の分割ビームと第1の分割ビームとの間に時間的に不変の周波数差が発生するようにして形成するのが好適である。これによってさらに、測定物体の測定点の運動方向を決定することができる。この場合、測定装置は基本構造の点でヘテロダイン・レーザドップラー振動計と同じである。
【0062】
さらに別の好適な実施形態の1つにおいて、光学測定装置は物体上の複数の測定点が順次に測定されるように形成されている。この種の走査式測定法により、測定物体を点状にスキャンし、各々の点につき時間的に順次連続して測定を行うことができる。これはたとえば、測定装置が測定されるべき物体を記録するX−Yレコーダを有し、その変位面は干渉計の測定ビーム射出口で出射する測定ビームに対して垂直をなしていることによって実現される。このX−Yレコーダは、各々の測定プロセスにつき測定ビームに対する測定物体の相対ポジショニングを制御する信号処理ユニットと接続されている。
【0063】
さらに別の好ましい実施形態の1つにおいて、測定装置は走査型共焦点レーザドップラー振動計として構成される。この種の振動計の基本構造は
Christian Rembe, Alexander Draebenstedt,“The Laser‐Scanning Confocal Vibrometer Microscope”、Optical Measurement Systems for Industrial Inspection IV、SPIE Vol.5856、13−17 Juni、Munich、Germany、pp.698−709
から知られている。その光学測定装置は、上述したように、測定物体上の測定点への測定ビームの集束を可能にする集束装置を有している。共焦点仕様によって、測定物体によって反射されるが集束装置の焦点面にないビームは消去される。結果として、散乱光の顕著な減少が達成され、こうして本発明による装置の有効分解能とともに測定信号の品質が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、添付図面を参照して、この発明の1つ実施例を詳しく説明する。
【0065】
図1に示した実施例では、光学測定装置はヘテロダイン・レーザドップラー振動計として形成されている。
【0066】
ヘテロダイン・レーザドップラー振動計としての光学測定装置の干渉計20は、レーザ源として形成された光源1と、第1の偏光ビームスプリッタ2と、第2の偏光ビームスプリッタ3と、ビームスプリッタ4と、偏向鏡5と、λ/4波長板6と、顕微鏡対物レンズとして形成された集束装置7とを備えている。レーザ源1は、波長λの単色のビーム8を発生させ、該ビーム8は第1のビームスプリッタ2によって第1の分割ビーム9と第2の分割ビーム10とに分割される。第1の分割ビーム9は、ブラッグセル11と、第2の偏光ビームスプリッタ3と、λ/4波長板6と、顕微鏡対物レンズ7とを通過する。その後に第1の分割ビーム9は測定ビームとして干渉計の測定ビーム射出口12から出射され、測定されるべき物体13aの測定点13に当たる。
【0067】
物体によって反射された測定ビーム(つまり、反射ビーム)は、本実施例において測定ビーム射出口12と同一である反射ビーム入射口14を通って再び干渉計20に入射し、顕微鏡対物レンズ7とλ/4波長板6とを通過し、第2の偏光ビームスプリッタ3によってビームスプリッタ4に向かって偏向され、このビームスプリッタを通過した後に、干渉計20の重畳ビーム送出口15に達する。
【0068】
第2の分割ビーム10は偏向鏡5によって同じくビームスプリッタ4に向かって偏向され、ビームスプリッタ4において反射ビームと重なり合う結果、重畳ビーム15として重畳ビーム送出口15を通じて干渉計から送り出される。
【0069】
顕微鏡対物レンズ7は物体13aの測定点13に対して、測定ビームが測定点13に集束されるように配置されている。
【0070】
この光学測定装置はさらに光検出器16を備えている。この光検出器16は、重畳ビーム送出口15から入力した重畳ビーム15がその測定面に当たるように重畳ビーム送出口15に対応させて配置されている。
【0071】
本実施例において、光検出器16は入ってきた重畳ビームの強度に応じて測定信号を出力するように構成されている。
【0072】
測定装置はさらに、光検出器16の測定信号を測定するための、光検出器16と接続された信号処理ユニット17を有している。
【0073】
ブラッグセル11によってブラッグセル11の通過時に第2の分割ビーム10に対する第1の分割ビーム9の周波数シフトが生ずる。これによってドップラー干渉計はヘテロダイン・ドップラー干渉計となるため、信号処理ユニット17は光検出器16の測定信号の評価によって測定点13の運動の方向も求めることができる。
【0074】
ここで重要なことは、干渉計20が、一方で信号処理ユニット17のビーム制御信号出力部と接続されているとともに他方でブラッグセル11と接続されているビーム制御信号入力部18を有していることである。
【0075】
ブラッグセル11は、信号処理ユニット17によって出力されたスイッチング信号(ビーム制御信号;変調信号)がブラッグセル11に印加されている場合には、第1の分割ビーム9は実線で表された経路を通ってブラッグセル11を通過するように形成されている。他方、干渉計20のビーム制御信号入力部18にスイッチング信号(ビーム制御信号;変調信号)が到達せず、その結果ブラッグセル11にスイッチング信号(ビーム制御信号;変調信号)が印加されていない場合には、第1の分割ビーム9は破線で表したように偏向されるため、第1の分割ビーム9はビームトラップ11aで止まってしまう。したがって、後者の場合には、干渉計の測定ビーム射出口12から測定ビームが出射しない。
【0076】
信号処理ユニット17は、測定中は干渉計20のビーム制御信号入力部18にスイッチング信号を出力し、測定完了後は干渉計20のビーム制御信号入力部18にスイッチング信号を出力しないように構成されている。
【0077】
この光学測定装置によって測定プロセスが実施される前に、最小測定時間tminと最大測定時間tmaxとの算出を可能にするパラメータが信号処理ユニット17に設定される。最小測定時間tminは最小分解周波数fminの逆数から得られる。
【0078】
最大測定時間tmaxは上述した式Aによって得られ、測定ビーム直径dMはレーザ1によって発生したビーム8の波長λと顕微鏡対物レンズ7の開口数NAとにより同じく上述した式Bによって決定される。
【0079】
測定されるべき物体に応じて材料パラメータρ、c、aおよびηは予め設定される。測定されるべき物体がたとえば実質的にケイ素から作られている場合には、ケイ素に関する上記材料パラメータが予め設定される。
【0080】
長さlは測定ビーム直径dMの20倍として予め設定され、最大温度差Tはユーザによってオプショナルに設定されるかまたは100℃に設定される。
【0081】
これらの計算から、測定プロセスの最小および最大時間が得られる。算出された最大測定時間tmaxが最小測定時間tminよりも大きいかぎり、測定はtmaxよりも小さいかまたはそれに等しい、tminの整数倍の時間で実施される。したがって、所与のtminにつき、nmax・tmin≦tmaxの条件下で、可能最大の整数nmaxが求められる。かくて測定は測定時間n・tminで実施することができ、その際、1とnmaxとの間の整数n倍の値を選択することができる。
【0082】
ただし、最大測定時間tmaxが最小測定時間tminよりも小さい場合には、信号処理ユニット17により(不図示の)出力ユニットを経てユーザに警報が出力される。
【0083】
ユーザは、時間tmaxによる複数の測定プロセスが順次実施される間に、所与の値を修正するかまたは測定モードを選択することができ、その際、測定プロセスの間にそれぞれ時間tmaxの一時休止が実施され、その間、信号処理ユニットは干渉計20のスイッチング信号を出力しないため、物体の測定点13は一時休止の間、測定ビームで照射されることはない。
【0084】
この場合、測定プロセスの合算時間が最小測定時間tminよりも大きくなるかまたはそれに等しくなるだけの測定プロセスがそれぞれ測定時間tmaxで実施される。
【0085】
本発明によるこの装置によって初めて、高いエネルギー伝達によって測定物体のミクロ構造を破損または破壊することなく、高集束度かつ同時に高強度の測定ビームで物体を測定することが可能になる。
【0086】
これは特にナノテク分野などにおける物体測定に新たな次元の測定精度を切り拓くことを可能にする。というのも、場合によって生ずる被測定共振周波数は部材が小さくなるとともに高まるからである。したがって、ナノテク分野など微細技術における物体の測定には、測定品質、とりわけ信号/雑音比に高い要件が求められる高い測定帯域幅が必要である。本発明によって、従来実現不可能であった測定ビーム強度の引き上げによる測定信号品質の顕著な改善を達成することができるため、より高い測定帯域幅による測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】光学スイッチング素子がビームトラップと組み合わされたブラッグセルとして形成されている、本発明による光学測定装置の1つの実施例を示すブロック図
【符号の説明】
【0088】
1:光源
8:ビーム
9:第1の分割ビーム
10:第2の分割ビーム
11:ブラッグセル(調光デバイス;光学スイッチング素子)
12:測定ビーム射出口
13a:物体
14:反射ビーム入射口
15:重畳ビーム送出口
16:光検出器
17:信号処理ユニット
18:ビーム制御信号入力部
20:干渉計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の光学的測定を行う光学測定装置であって、
測定ビーム射出口と、反射ビーム入射口と、重畳ビーム送出口と、ビームを発生させる光源とを有する干渉計が備えられ、その際、前記干渉計は、光源によって発生させられたビームが少なくとも2本の分割ビームに分割され、第1の分割ビームは測定ビーム射出口から所定の角度で出射し、第2の分割ビームと反射ビーム入射口を通って入射する反射ビームとを重ね合わせた重畳ビームを重畳ビーム送出口から送り出すように構成され、
さらに、前記重畳ビーム送出口から送り出された重畳ビームが当たるように前記重畳ビーム送出口に対応して光検出器が配置されるとともに、前記光検出器の測定信号を記録または処理あるいはその両方を行う信号処理ユニットが備えられた光学測定装置において、
前記干渉計はビーム制御信号入力部を有し、このビーム制御信号入力部に印加されているスイッチング信号に応じてビームを測定ビーム射出口から所定の光強度ならびに所定の角度で出射させるように構成され、かつ
前記信号処理ユニットは前記ビーム制御信号入力部と接続されたビーム制御信号出力部を有し、前記測定信号の測定中のみに測定用の所定の光強度ならびに所定の角度で測定ビーム射出口から測定ビームが出射されるように前記干渉計を制御することを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記干渉計は、測定ビームのビーム経路に配置されるとともに前記ビーム制御信号入力部と接続された調光デバイスを有し、前記調光デバイスは、スイッチング信号が印加されていれば測定ビームを強度損失なしに通過させ、他方、スイッチング信号が印加されていなければ測定ビームの強度を所定の倍率だけ減少させることを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記調光デバイスはスイッチング信号が印加されていなければ測定ビームの強度を少なくとも90%だけ減少させることを特徴とする請求項2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記調光デバイスはスイッチング信号が印加されていなければ測定ビームを遮断することを特徴とする請求項3に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記信号処理ユニットは少なくとも時間tminにわたって前記光検出器の測定信号を測定し、その際、tminは所定の最小振動周波数fminの逆数に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記信号処理ユニットは所定の最大時間tmaxにわたって前記光検出器の測定信号を測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記最大時間tmaxは、最大温度差T、熱容量c、密度ρ、測定ビーム直径dM、長さl、熱伝導率η、吸収係数aおよび前記干渉計の測定ビーム射出口から出射される測定ビームの測定ビーム出力PMをパラメータとして、以下の式、
【数1】

から算出されることを特徴とする請求項6に記載の光学測定装置。
【請求項8】
材料パラメータρ、c、aおよびηに関しては、測定物体の材料パラメータに一致する値が選択され、測定物体がケイ素である場合ρはほぼ2.33Kg/m、cはほぼ670J/kg/K、aはほぼ1およびηはほぼ150W/m/Kであることを特徴とする請求項7に記載の光学測定装置。
【請求項9】
前記測定ビーム直径dMは前記干渉計の測定ビーム射出口で出射する測定ビームの直径であることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学測定装置。
【請求項10】
前記干渉計には、測定ビーム射出口から出射される測定ビームが集束されるようにそのビーム経路に集束装置が配置されており、前記干渉計の光源は波長λの単色のビームを発生するかまたは複数の波長の分割ビームからなるビームでその分割ビームの波長の平均値がほぼλであるビームを発生し、測定ビーム直径dMは以下の式
【数2】

ここで、NAは集束装置の開口数である、
によって求められることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項11】
前記所定の長さlは少なくともdMであり、とりわけ、lはdMのほぼ20倍であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項12】
前記所定の最大温度差Tは最大で500℃であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項13】
前記信号処理ユニットは少なくとも2測定プロセスをそれぞれ測定信号の記録によって実施し、2測定プロセスの間に少なくとも所定の時間tPの一時休止が実施され、その間、測定信号の記録は行われず、かつ前記干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号が出力されず、前記tPは少なくとも次式
【数3】

を満たすものであることを特徴とする請求項6〜12のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項14】
前記信号処理ユニットは、準備時間tvorで示される測定データ記録の前準備期間において前記干渉計のビーム制御信号入力部にスイッチング信号を出力することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項15】
前記干渉計は、前記ビーム制御信号入力部と接続されるとともに前記干渉計のビーム経路に配置された光学スイッチング素子を備えており、前記光学スイッチング素子はスイッチング信号が印加されていれば前記測定ビーム射出口から所定の角度で測定ビームを出射させ、スイッチング信号が印加されていなければ測定ビーム射出口から所定の角度でいかなる測定ビームも出射しないようにすることを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項16】
前記光学スイッチング素子はブラッグセルまたは機械式シャッタであることを特徴とする請求項15に記載の光学測定装置。
【請求項17】
前記光学スイッチング素子は電気光学シャッタ、とりわけ偏光子付液晶回転体として形成されていることを特徴とする請求項15に記載の光学測定装置。
【請求項18】
この光学測定装置が振動計として構成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の光学測定装置。
【請求項19】
前記振動計はヘテロダイン干渉計として形成されていることを特徴とする請求項18に記載の光学測定装置。
【請求項20】
この光学測定装置が走査型共焦点レーザドップラー振動計として構成されていることを特徴とする請求項18に記載の光学測定装置。
【請求項21】
発生させたビームを少なくとも測定ビームと参照ビームとに分割する第1ステップと、前記測定ビームを物体上の測定点に照射する第2ステップと、前記物体によって反射された測定ビームを前記参照ビームと重ね合わせた重畳ビームを光検出器に当てる第3ステップと、前記光検出器の測定信号を測定する第4ステップとからなる、物体の光学的測定方法において、
前記第4ステップの測定プロセスは少なくとも時間tminにわたって実施され、その際前記物体はこの時間中測定ビームによって照射され、前記時間tminは所定の最小周波数fminの逆数に等しく、かつ、
前記第4ステップの測定プロセスの直後に測定ビームの強度は所定の倍率だけ減少させられることを特徴とする光学的測定方法。
【請求項22】
前記第4ステップの測定プロセスの直後に、前記測定ビームの強度は少なくとも1/10に減少させられることを特徴とする請求項21に記載の光学的測定方法。
【請求項23】
前記第4ステップの測定プロセスの直後に前記物体の測定点はもはや測定ビームで照射されないことを特徴とする請求項21又は22に記載の光学的測定方法。
【請求項24】
前記第4ステップの測定プロセスはせいぜい所定の最大時間tmaxの時間にわたって続けられることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の光学的測定方法。
【請求項25】
前記最大時間tmaxは、最大温度差T、熱容量c、密度ρ、測定ビーム直径dM、長さl、熱伝導率η、吸収係数aおよび測定ビーム射出口で出射する測定ビームの測定ビーム出力PMをパラメータとして、以下の式
【数4】

から算出されることを特徴とする請求項24に記載の光学的測定方法。
【請求項26】
材料パラメータρ、c、aおよびηに関しては、測定物体の材料パラメータに基本的に一致する値が選択され、測定物体がケイ素出ある場合ρはほぼ2.33kg/m、cはほぼ670J/kg/K、aはほぼ1およびηはほぼ150W/m/Kであることを特徴とする請求項25に記載の光学的測定方法。
【請求項27】
前記測定ビーム直径dMは前記物体の測定点に当たる測定ビームの直径に等しいことを特徴とする請求項25又は26に記載の光学的測定方法。
【請求項28】
前記測定ビームは集束装置によって前記物体の測定点に集束させられ、前記測定ビームは波長λの単色のビームであるかまたは複数の波長の分割ビームからなるビームで分割ビームの波長の平均値はほぼλであり、測定ビーム直径dMは以下の式
【数5】

ここで、NAは集束装置の開口数である、
によって求められることを特徴とする請求項25又は26に記載の光学的測定方法。
【請求項29】
前記長さlは少なくともdMであり、とりわけ、lはdMのほぼ20倍であることを特徴とする請求項25〜28のいずれか一項に記載の光学的測定方法。
【請求項30】
前記最大温度差Tは最大にて500℃であることを特徴とする請求項25〜29のいずれか一項に記載の光学的測定方法。
【請求項31】
それぞれ光検出器の測定信号が測定される少なくとも2測定プロセスが前記第4ステップで実施され、2測定プロセスの間に少なくとも所定の時間tPの一時休止が実施され、その間、測定信号は測定されず、かつ物体上の測定点は測定ビームによって照射されず、前記tPは少なくとも次式
【数6】

であることを特徴とする請求項24〜30のいずれか一項に記載の光学的測定方法。
【請求項32】
前記第4ステップにおいて光検出器の測定信号は光検出器のデータの準備時間tvorの経過後に初めて測定され、前記準備期間tvorの間、物体上の測定点は測定ビームで照射されることを特徴とする請求項23〜31のいずれか一項に記載の光学的測定方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−199071(P2007−199071A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18186(P2007−18186)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(598126324)ポリテック・ゲー・エム・ベー・ハー (8)
【氏名又は名称原語表記】POLYTEC GMBH
【住所又は居所原語表記】POLYTECPLATZ 1‐7, D‐76337 WALDBRONN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
【Fターム(参考)】